説明

ゼオライト化発泡ガラス製造方法およびゼオライト化発泡ガラス製造設備

【課題】ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減し、高品質のゼオライト化発泡ガラスを得ることができるゼオライト化発泡ガラス製造技術を提供する。
【解決手段】ゼオライト化発泡ガラス製造設備50は、発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成手段Aと、焼成手段Aで形成された発泡ガラスを粒状化する破砕手段B1と、破砕手段B1で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透手段B2と、ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱手段C及びマイクロ波照射手段Dと、を備えている。焼成手段Aには、ローラコンベア51の搬送方向に沿って予熱帯52,焼成炉53及び冷却帯54が配置され、予熱帯52及び冷却帯54の下流に配置された吸気装置55,56はローラコンベア51上方の高温空気を吸い込んで加熱手段C及びマイクロ波照射手段Dへ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末ガラスを原料とし、表面がゼオライト化された発泡ガラスを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ガラスの表面をゼオライト化させることにより吸着機能あるいはイオン交換機能などを有するゼオライト化発泡ガラスを製造する技術については、従来、様々な研究開発が行われているが、本願発明に関連する技術として、アルミン酸ナトリウム水溶液中に浸漬した発泡ガラスにマイクロ波を照射することによってその表面をゼオライト化させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−145807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された「表面ゼオライト化ガラスの製造方法」においては、ガラス原料をアルミン酸ナトリウム水溶液中に浸漬した状態またはガラス原料に前記水溶液を塗布した状態でマイクロ波を照射するので、ゼオライト化するのに長時間を要する。また、濃度の高いアルミン酸ナトリウム水溶液の場合、発泡ガラス内部の気孔まで浸透し難いため、ゼオライト化しない部分が多くなり、陽イオン交換能(CEC値)が低くなることがある。一方、濃度の低いアルミン酸ナトリウム水溶液の場合、発泡ガラス内部への浸透性は良好であるが、ゼオライト化反応が進まず、CEC値が低くなるのを回避できない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減し、高品質のゼオライト化発泡ガラスを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゼオライト化発泡ガラス製造方法は、発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成工程と、前記焼成工程で形成された発泡ガラスを粒状化する破砕工程と、前記破砕工程で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透工程と、前記ゼオライト化溶液を含浸した前記粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱工程・マイクロ波照射工程の少なくとも一方と、を備え、
前記加熱工程・前記マイクロ波照射工程の少なくとも一方において、前記焼成工程で発生する余熱を使用することを特徴とする。
【0007】
このような構成とすれば、ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスのゼオライト化反応に必要な熱の一部を発泡ガラスの製造工程で発生する余熱で補うことが可能となるため、ゼオライト化反応に要するエネルギ消費量が少なくなり、ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減することができる。なお、発泡剤としては、炭酸カルシウム、炭化珪素、ドロマイト、硼酸ナトリウムなどが好適であるが、これらに限定するものではない。
【0008】
ここで、前記ゼオライト化溶液として、アルミン酸ナトリウム水溶液を用いれば、ゼオライト化反応に必要なアルカリ成分、アルミナ成分及び水はゼオライト化溶液から供給され、シリカ成分は粒状発泡ガラスから供給される。このため、新たにシリカ成分を供給する必要がなく、アルミン酸ナトリウム溶液はアルカリ成分、アルミナ成分、水分が混在しているため、新たに薬剤を混合するといった作業も不要であり、作業工程を短縮することができる。
【0009】
また、前記ゼオライト化溶液として、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムとの混合水溶液を用いれば、ゼオライト化反応に必要なアルカリ成分、アルミナ成分及び水はゼオライト化溶液から供給され、シリカ成分は、水酸化ナトリウムの強アルカリ作用により軟質化した粒状発泡ガラス表面から供給される。このため、粒状発泡ガラスのゼオライト化率を高めることができる。
【0010】
また、前記ゼオライト化溶液として、ガラス粉末とアルミン酸ナトリウムとの混合水溶液を用いれば、ガラス粉末をアルミン酸ナトリウム水溶液に予め混合させておくことにより、ガラス粉末からゼオライト化溶液中へシリカ成分を溶出させることができる。また、発泡ガラスの製造工程の原料であるガラス粉末をシリカ成分として有効利用することができ、ガラス粉末であるため、アルミン酸ナトリウム水溶液へのシリカ成分の溶解性が良好である。
【0011】
一方、前記ゼオライト化溶液として、水ガラスとアルミン酸ナトリウムとの混合水溶液を用いれば、ゼオライト化反応に必要なシリカ成分、水は水ガラスから供給され、アルミナ成分、アルカリ成分及び水はアルミン酸ナトリウムから供給される。このため、ゼオライト化に必要なアルカリ源、アルミナ源、シリカ源、水分のモル比を調整することができる。このため、必要に応じて、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等の様々な構造のゼオライトを形成することができる。
【0012】
次に、本発明のゼオライト化発泡ガラス製造設備は、発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成手段と、前記焼成手段で形成された発泡ガラスを粒状化する破砕手段と、前記破砕手段で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透手段と、前記ゼオライト化溶液を含浸した前記粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱手段・マイクロ波照射手段の少なくとも一方と、を備え、
前記焼成手段で発生する余熱を前記加熱手段・前記マイクロ波照射手段の少なくとも一方へ供給する送熱手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
このような構成すれば、前述した本発明に係るゼオライト化ガラス製造方法を実施することが可能となり、ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減し、高品質のゼオライト化発泡ガラスを得ることができる。
【0014】
ここで、前記溶液浸透手段として、前記粒状発泡ガラスを浸漬した前記ゼオライト化溶液を収容する気密容器と、前記気密容器内の気圧を低下させる減圧手段とを設ければ、粒状発泡ガラスが有する気孔、特に、ミクロンサイズの微小な気孔にゼオライト化溶液を浸透させることができるため、粒状発泡ガラスのゼオライト化率を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゼオライト化発泡ガラス製造方法およびゼオライト化発泡ガラス製造設備により、ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減し、高品質のゼオライト化発泡ガラスを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態であるゼオライト化発泡ガラス製造設備の概略構成を示す図、図2は図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備における製造工程を示す図である。
【0017】
図1に示すように、ゼオライト化発泡ガラス製造設備50(以下、「製造設備50」と記す。)は、発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成手段Aと、焼成手段Aで形成された発泡ガラスを粒状化する破砕手段B1と、破砕手段B1で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透手段B2と、ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱手段C及びマイクロ波照射手段Dと、を備えている。
【0018】
焼成手段Aにおいては、発泡ガラス原料を搬送するローラコンベア51の搬送方向に沿って予熱帯52,焼成炉53及び冷却帯54が配置されている。予熱帯52及び冷却帯54の下流には、熱回収用の吸気装置55,56が配置されている。吸気装置55,56はそれぞれファンFによりローラコンベア51上方の高温空気を吸い込んで他の場所へ供給する送熱手段である。
【0019】
破砕手段B1においては、焼成手段Aにおいて形成された発泡ガラスの破砕57及び分級58が行われる。溶液浸透手段B2においては、破砕手段B1で破砕57,分級58された発泡ガラスのゼオライト化溶液浸漬59が行われた後、発泡ガラスに付着した余分なゼオライト化溶液を除去するゼオライト化溶液液切り60が行われる。
【0020】
加熱手段Cには、ローラコンベア61及び加熱炉62が設けられ、加熱炉62内のローラコンベア61の下方に、焼成手段Aの吸気装置55,56から供給される高温空気によって発熱する加熱器63が配置されている。
【0021】
マイクロ波照射手段Dには、ローラコンベア64と、マイクロ波発振器65で発生させたマイクロ波を照射する加熱炉66と、が設けられ、加熱炉66内のローラコンベア64の下方には、送熱手段である吸気装置55,56から供給される高温空気によって発熱する加熱器67が配置されている。
【0022】
次に、図2に基づいて、図1に示す製造設備50におけるゼオライト化発泡ガラスの製造工程について説明する。
【0023】
図2に示すように、原料となる廃ガラスに前処理1が施される。前処理1においては廃ガラス中に混入しているキャップ等の金属やラベルの除去が行われる。本実施形態では原料として廃ガラスを用いているが、これに限定するものではないので、一般のガラス材を原料として使用することができる。
【0024】
前処理工程1を経た廃ガラスは、一次粉砕2工程において粒径2〜5mm程度まで粉砕され、次に、二次粉砕3工程において粒径30〜100μm程度のガラスパウダーとなるまで粉砕された後、ガラスパウダー原料ストック4においてストックされる。そして、ガラスパウダー原料ストック4から供給されたガラスパウダーに発泡剤混合5が行われる。本実施形態では、発泡剤である炭酸カルシウムを0.5〜15質量%程度、ガラスパウダーに添加しているが、これに限定するものではない。
【0025】
発泡剤混合5を経たガラスパウダーは、図1に示す焼成手段Aのローラコンベア51に載って予熱帯52、焼成炉53及び冷却帯54を通過しながら焼成6され、発泡ガラスとなる。本実施形態では焼成温度800〜900℃、焼成時間30〜120分としているがこれに限定するものではない。焼成6工程を経て形成された発泡ガラスは、発泡ガラス荒割り7工程において破砕され、粒径100mm程度の塊状体となった後、一次ストック8にストックされる。
【0026】
一次ストック8から供給された塊状発泡ガラスは、図1に示す破砕手段B1における発泡ガラス粉砕9工程を経て粉砕され、50mm以下の粒状体となった後、発泡ガラス分級・袋詰め10工程において分級及び袋詰めが行われる。このとき、分級された粒径2mm以下の粒状発泡ガラスは発泡剤混合5工程の前のガラスパウダーに混入される。
【0027】
発泡ガラス分級・袋詰め10工程において分級された粒径2〜50mmの粒状発泡ガラスに対し、図1に示す溶液浸透手段B2において、ゼオライト化溶液浸漬59及びゼオライト化溶液の液切り60が施される。本実施形態では、ゼオライト化溶液として、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムとの混合水溶液を用いているが、これに限定するものではない。
【0028】
溶液浸透手段B2を経て、ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスは、図1に示す加熱手段C、マイクロ波照射手段Dの少なくとも一方を通過することによってゼオライト化加熱11が行われ、ゼオライト化発泡ガラスが形成される。そして、前記ゼオライト化発泡ガラスは次の工程で洗浄12され、脱水・乾燥13が行われた後、製品出荷14される。
【0029】
図1に示すように、製造設備50においては、ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスのゼオライト化反応に必要な熱の一部を、発泡ガラスの製造工程(焼成手段A)で発生する余熱を回収して補っているため、ゼオライト化反応に要するエネルギ消費量が少なくなり、ゼオライト化発泡ガラスの製造に要するエネルギを削減することができる。
【0030】
前述したように、図1,2に示すゼオライト化溶液浸漬工程59では、ゼオライト化溶液として、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムとの混合水溶液を使用している。従って、ゼオライト化反応に必要なアルカリ成分、アルミナ成分及び水分はゼオライト化溶液から供給され、シリカ成分は、水酸化ナトリウムの強アルカリ作用により軟質化した粒状発泡ガラス表面から供給されることとなり、粒状発泡ガラスのゼオライト化率を高めることができる。製造設備50において、見掛比重1.2以上の粒状発泡ガラスをゼオライト化すると、陽イオン交換能(CEC値)が20〜60meq/100gのゼオライト化発泡ガラスを得ることができる。
【0031】
次に、図3〜図9に基づいて、製造設備50を構成する各種装置の構造、機能などについて説明する。図3は図1に示す製造設備50を構成するストックサイロ付近を示す模式図、図4は製造設備50を構成するローラコンベアの一部を示す斜視図、図5は製造設備50を構成する発泡ガラス荒割り機を示す模式図、図6は製造設備50を構成する溶液浸透装置を示す模式図、図7は製造設備50を構成するゼオライト化溶液液切り装置を示す側面図である。また、図8は図7に示すゼオライト化溶液液切り装置の正面図、図9はゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスをゼオライト化させる際の反応容器を示す斜視図である。
【0032】
図3に示すストックサイロ20はガラスパウダーGPを貯留するため、図2に示すガラスパウダー原料ストック4に配備されている。ストックサイロ20は、内径の等しい筒状部20aと、その下方に連設された漏斗部20bとを備え、漏斗部20bはその下端開口部21に向かって徐々に縮径した形状である。漏斗部20bの外面には振動装置MBが配置され、漏斗部20bの下端開口部21は、スクリューコンベア22に臨む姿勢で立設されている。ストックサイロ20に貯留されたガラスパウダーGPは下端開口部21からスクリューコンベア22へ送り出されるが、振動装置MBを稼働させてストックサイロ20に振動を与えることにより、ガラスパウダーGPを滞りなく送り出すことができる。
【0033】
図4に示すように、ローラコンベア51(図1参照)で搬送されるガラスパウダーと発泡剤との混合物GPMは、焼成炉53のメッシュベルト上に敷き均しされるが、そのときの混合物GPMの厚さを10〜20mmとするとともに、歯型敷き均し板25により、混合物GPMに搬送方向に沿って複数列の櫛目26が入れられる。このことにより、混合物GPM内部まで焼成時の熱が拡がるため、均一な発泡ガラスを形成することができる。
【0034】
図5に示す発泡ガラス荒割り機27は発泡ガラス荒割り工程7(図2参照)において使用されるものである。焼成炉53で形成された発泡ガラスBGは板状であり、外気に触れて急冷されることによりクラックが生じるが、そのままでは大き過ぎてベルトコンベア28で移送できないので、荒割り機27によって荒割りされる。荒割り機27は、矢線方向に回転する網状ベルト51aを有するローラコンベア51で搬送されてくるクラック入りの板状の発泡ガラスBGを、モータMによって昇降する破砕具29で破砕する。これにより、発泡ガラスBGは粒径100mm程度の塊状体LGとなり、ベルトコンベア28で次の工程へ移送される。
【0035】
図1,図2で示したゼオライト化溶液浸漬工程59においては、図6に示す溶液浸透装置30が使用される。溶液浸透装置30は、粒状発泡ガラスCGを浸漬したゼオライト化溶液ZLを収容する気密容器31と、気密容器31内の空気を吸引排出する真空ポンプPと、ゼオライト化溶液ZLの貯留タンク32と、を備えている。気密容器31と真空ポンプPとを連通する通気経路33には開閉バルブ34が設けられ、気密容器31と貯留タンク32とを連通する通液経路35には開閉バルブ36が設けられている。また、気密容器31には開閉バルブ38を有する排液経路37が設けられている。
【0036】
開閉バルブ36,38を閉止した状態で、粒状発泡ガラスCGが収容された気密容器31中の空気を真空ポンプPで吸引排出すると、気密容器31内が減圧され、粒状発泡ガラスCGが有する多数の気孔内に存在する空気が排出される。次に、開閉バルブ34を閉止し、開閉バルブ36を開くとゼオライト化溶液ZLが通液経路35を通って気密容器31内に流入し、収容されている粒状発泡ガラスCGの気孔、特に、ミクロンサイズの微小な気孔にもゼオライト化溶液ZLが浸透する。これにより、後工程であるゼオライト化加熱工程11(図2参照)における粒状発泡ガラスCGのゼオライト化率を高めることができる。
【0037】
溶液浸透装置30においてゼオライト化溶液ZLを浸透させた粒状発泡ガラスCGは、気密容器31内のゼオライト化溶液ZL中から取り出された後、図7,図8に示す液切り装置40において、粒状発泡ガラスCGに付着している余分なゼオライト化溶液ZLが除去される。液切り装置40は、支持フレーム44上に平行された二本の回転軸43と、回転軸43に取り付けられた複数のローラ42と、回転軸43を回転駆動するモータMと、二本の回転軸43の間のローラ42上に着脱可能に載置される円筒形状の網かご41と、を備えている。
【0038】
気密容器31から取り出した粒状発泡ガラスCGを装入した網かご41を二本の回転軸43の間のローラ42上に載置した後、モータMを作動させると、図8に示すように、回転軸43及びローラ42が回転し、ローラ42に接触している網かご41も回転する。これにより、粒状発泡ガラスCGに付着している余分なゼオライト化溶液ZLを速やかに除去することができる。
【0039】
液切り装置40における液切りが終わった粒状発泡ガラスCGは、図9に示すセラミック製の反応容器45に入れられ、セラミック製の蓋体46を被せた状態で、図1に示す加熱手段C及びマイクロ波照射手段Dに順次送り込まれる。反応容器45内の粒状発泡ガラスCGは、加熱手段Cにおいて加熱されゼオライト化反応が生じ、次のマイクロ波照射手段Dにおけるマイクロ波加熱によりゼオライト化反応が促進される。反応容器45には蓋体46が被せられているため、ゼオライト化反応に必要な水分が粒状発泡ガラスCGから蒸発するのを防止することができる。
【0040】
加熱手段Cにおける加熱温度は50〜300℃、加熱時間は1〜24時間程度であり、マイクロ波照射手段Dにおける加熱温度は50〜300℃、加熱時間は0.5〜30分程度であるが、これに限定するものではない。なお、本実施形態では、反応容器45に入れた粒状発泡ガラスCGを、加熱手段C及びマイクロ波照射手段Dで加熱しているため、マイクロ波照射手段Dにおける照射時間が短縮化され、エネルギ消費を抑制することができるが、いずれか一方のみでゼオライト化加熱を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のゼオライト化発泡ガラス製造方法およびゼオライト化発泡ガラス製造設備は、廃ガラスなどから形成される粉末ガラスを原料としてゼオライト化発泡ガラスを製造する産業分野において広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態であるゼオライト化発泡ガラス製造設備の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備における製造工程を示す図である。
【図3】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備を構成するストックサイロ付近を示す模式図である。
【図4】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備を構成するローラコンベアの一部を示す斜視図である。
【図5】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備を構成する発泡ガラス荒割り機を示す模式図である。
【図6】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備を構成する溶液浸透装置を示す模式図である。
【図7】図1に示すゼオライト化発泡ガラス製造設備を構成するゼオライト化溶液液切り装置を示す側面図である。
【図8】図7に示すゼオライト化溶液液切り装置の正面図である。
【図9】ゼオライト化溶液を含浸した粒状発泡ガラスをゼオライト化させる際の反応容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 前処理
2 一次粉砕
3 二次粉砕
4 ガラスパウダー原料ストック
5 発泡剤混合
6 焼成
7 発泡ガラス荒割り
8 一次ストック
9 発泡ガラス粉砕
10 発泡ガラス分級・袋詰め
11 ゼオライト化加熱
12 洗浄
13 製品出荷
20 ストックサイロ
20a 筒状部
20b 漏斗部
21 下端開口部
22 スクリューコンベア
25 歯型敷き均し板
26 櫛目
27 発泡ガラス荒割り機
28 ベルトコンベア
29 破砕具
30 溶液浸透装置
31 気密容器
32 貯留タンク
33 通気経路
35 通液経路
34,36,38 開閉バルブ
37 排液経路
40 液切り装置
41 網かご
42 ローラ
43 回転軸
44 支持フレーム
45 反応容器
46 蓋体
50 ゼオライト化発泡ガラス製造設備
51,61,64 ローラコンベア
52 予熱帯
53 焼成炉
54 冷却帯
55,56 吸気装置
57 破砕
58 分級
59 ゼオライト化溶液浸漬
60 ゼオライト化溶液液切り
62 加熱炉
63 加熱器
65 マイクロ波発振器
66 加熱炉
67 加熱器
A 焼成手段
B1 破砕手段
B2 溶液浸透手段
C 加熱手段
D マイクロ波照射手段
F ファン
BG 発泡ガラス
GP ガラスパウダー
GPM 混合物
LG 発泡ガラスの塊状体
M モータ
MB 振動装置
P 真空ポンプ
ZL ゼオライト化溶液
CG 粒状発泡ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成工程と、前記焼成工程で形成された発泡ガラスを粒状化する破砕工程と、前記破砕工程で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透工程と、前記ゼオライト化溶液を含浸した前記粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱工程・マイクロ波照射工程の少なくとも一方と、を備え、
前記加熱工程・前記マイクロ波照射工程の少なくとも一方において、前記焼成工程で発生する余熱を使用することを特徴とするゼオライト化発泡ガラス製造方法。
【請求項2】
前記ゼオライト化溶液として、アルミン酸ナトリウム水溶液を用いた請求項1記載のゼオライト化発泡ガラス製造方法。
【請求項3】
前記ゼオライト化溶液として、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムとの混合水溶液を用いた請求項1記載のゼオライト化発泡ガラス製造方法。
【請求項4】
前記ゼオライト化溶液として、ガラス粉末とアルミン酸ナトリウムとの混合水溶液を用いた請求項1記載のゼオライト化発泡ガラス製造方法。
【請求項5】
前記ゼオライト化溶液として、水ガラスとアルミン酸ナトリウムとの混合水溶液を用いた請求項1記載のゼオライト化発泡ガラス製造方法。
【請求項6】
発泡剤を添加したガラス粉末を加熱、発泡させて発泡ガラスを形成する焼成手段と、前記焼成手段で形成された発泡ガラスを粒状化する破砕手段と、前記破砕手段で形成された粒状発泡ガラスにゼオライト化溶液を含浸させる溶液浸透手段と、前記ゼオライト化溶液を含浸した前記粒状発泡ガラスをゼオライト化させる加熱手段・マイクロ波照射手段の少なくとも一方と、を備え、
前記焼成手段で発生する余熱を前記加熱手段・前記マイクロ波照射手段の少なくとも一方へ供給する送熱手段を設けたこと特徴とするゼオライト化発泡ガラス製造設備。
【請求項7】
前記溶液浸透手段として、前記粒状発泡ガラスを浸漬した前記ゼオライト化溶液を収容する気密容器と、前記気密容器内の気圧を低下させる減圧手段とを設けた請求項6記載のゼオライト化発泡ガラス製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−40623(P2009−40623A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205400(P2007−205400)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(597104053)日本建設技術株式会社 (24)
【Fターム(参考)】