説明

ソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ

少なくとも1つの封止によって封止されている空間を有するランプ容器を持つソケットに入れられた高圧ガス放電ランプである。この高圧ガス放電ランプは、この内部に前記ランプ容器が自身の封止によって取り付けられていると共にセメントによって固定されているソケットを更に有する。ランプの軸は、前記ソケットを通り、前記ランプ容器の前記空間を通って延在している。前記ソケットは、ベース側からフロント側まで前記ソケットを軸方向に通って延在している少なくとも1つの開口を備えている。前記開口は、前記ソケットのみによって又は前記ソケットと前記ランプ容器の封止との組み合わせによっての何れかによって形成されている環状壁を有している。好ましくは、前記開口は、前記封止の両側に位置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットに入れられた高圧ガス放電ランプに関する。
【0002】
前記ソケットに付けられた高圧ガス放電ランプは、
− 封止によって封止されている気密な放電空間内に配されている電気要素を有するランプ容器と、
− 内部に前記ランプ容器が前記封止によって取り付けられているソケットであって、記空間から外方を向いているベース側及び前記空間に面しているフロント側を有するソケットと、
− 前記ソケット及び前記空間を通過して延在しているランプ軸と、
− 前記電気要素から外部まで前記封止を通る前記軸の方向に延在している少なくとも1つ電流導体と、
を有する。
【背景技術】
【0003】
このようなソケットに入れられたランプは、米国特許第6578991号から知られている。既知のランプにおいて、ランプ容器を冷却するための構造が、開示されている。一般に、冷却は、比較的非常により高い温度で動作されるランプ(例えば、舞台、スタジオ及び劇場照明に使用されるMSRランプのような、特別なメタルハライドランプ)に必要とされる。特に、冷却は、酸化に敏感なランプの部分(例えば、これらが前記ランプ容器の封止から外部まで出ている場所における電流導体)に適用されている。従って、前記既知のランプにおいて、前記封止のみを冷却することを意図している特別な構造が、開示されている。前記構造は、大きいエアチャンバと噴出口とを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記既知のランプの不利な点は、前記封止を冷却する構造が、比較的バルキーで高価なことにある。前記既知のランプの他の不利な点は、前記冷却構造が、前記ランプ容器上に取り付けられ位置決めされなければならない多くの部分を有することにある。
【0005】
本発明の目的は、冒頭段落に記載したような種類のランプの不利な点のうちの少なくとも1つを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このことを達成するために、前記ランプは、前記ソケットが、前記ベース側から前記フロント側まで前記ソケットを通る軸方向において延在する少なくとも1つの開口を備えており、前記ランプ容器は、前記ソケット内のセメントによる封止によって固定されていることを特徴とする。前記ランプが直立位置において動作される場合、即ち当該軸が垂直方向に延在する場合、前記ベースは、前記ランプ容器の上方にあり、前記開口の細長い形状及び放電空間における前記ランプ容器の比較的高い温度は、前記封止の傍らにガス(例えば、空気)の自然な対流の流れを生じる。従って、前記封止から出ている前記封止及び金属部分が非常に熱くなることは防止され、従って、前記封止及び/又は電流フィードスルーの劣化の速度は、低下される。他のランプ燃焼位置(例えば、水平又は逆さま)において、自然な対流は、適切に作用せず、強制された流れによる冷却は、例えば、ファンを使用することによって、適切に使用されることができる。前記流れの所望の向きは、前記ランプ容器に対する前記開口の向きによって与えられ、即ち前記開口の前記軸の向きは、前記流れに前記封止のそばを通過させる。前記ランプが、水平位置において動作される場合、前記封止の最も熱い部分のみを、即ち上方の位置にある前記封止の側部のみを冷却することで十分であり得て、このことは、前記ソケットが唯1つの開口を有していることによって達成されることができる。付加的には、前記放電の冷却も、同様に可能にされる。セメントによる前記ランプ容器の固定は、便利で比較的安価な仕方の固定であり、比較的高価で比較的及び比較的複雑な機械的な取付構造を回避する。
【0007】
代替的には、前記ソケットは、前記封止の2つ以上の側部をつけられている周囲の冷却を可能にするために2つ以上の開口を有することができる。前記封止の均一な冷却を達成するために、前記開口は、好ましくは、前記ソケットの周囲にわたって均一に分配される。前記ランプ容器は、通常、ガラス(例えば、硬質ガラスであるが、好ましくは石英ガラス、即ち少なくとも95重量%のSiO含有率を有するガラス)でできている。
【0008】
一実施例において、前記ソケットに入れられたランプは、前記開口が、前記ソケットによって形成されている環状壁を有することを特徴とする。このことは、封止は、前記ソケット内部に位置されている前記封止の外部表面全体を介して、全ての側部に接着されている(cemented)ので、前記ソケット内の前記ランプ容器の非常に強い固定という利点を有する。代替的には、前記ソケットに入れられたランプの実施例は、前記開口が前記ソケットと前記ランプ容器の前記封止との両方の組み合わせによって形成される環状壁を有することを特徴とする。これらの長所によって、前記ソケット内部に位置されている前記封止の部分が前記冷却媒体の流れに直接的にさらされているので、前記ソケットに入れられたランプは、前記封止の改善された冷却効率の利点を有する。
【0009】
前記封止とは、圧潰封止又はピンチ充填材であり得る。圧潰封止は、封止工程においてなされ、前記封止工程において、ガラスは、前記ガラスが表面エネルギにより自身を縮小し、従って前記ガラス内部に前記電流導体を埋め込み、前記放電空間を封止することを可能にするために、比較的低い粘性まで軟化される。ピンチ封止は、ピンチ封止工程によってなされ、ピンチ封止工程において、前記ピンチブロックが、前記ランプ容器の封止部の軟化された前記ガラスを成形する。前記ピンチ封止工程における前記ピンチブロック間の最も近い距離が、前記ピンチ封止の厚さを決定し、前記軟化されたガラスに接触している前記ピンチブロックの表面が、前記ピンチ封止の幅を決定する。前記ピンチ封止の場合、前記ソケットに入れられたランプの好ましい実施例は、前記開口が、対応している幅を有する表面に面している前記封止の両側に位置されていることを特徴とする。このことは、前記ピンチ封止の比較的大きい領域が、直接的に冷却媒体にさらされるので、改善された冷却効率の利点を有する。
【0010】
前記ランプ容器は、両頭ランプ容器、即ち対応する電流導体によって互いに対向して位置決めされている2つの封止を有するランプ容器であっても良く、又は単頭ランプ容器、即ちこれを通過して全ての前記電流導体が延在している唯1つの封止を備えるランプ容器であっても良い。
【0011】
本発明のこれらの及び他の見地は、更に説明され、添付図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるソケットに入れられた高圧ガス放電ランプの第1の実施例の断面図を示している。
【図2】図1のソケットに入れられたランプの前記ソケットの立面図を示している。
【図3】本発明によるソケットに入れられた高圧ガス放電ランプの第2の実施例の立面図を示している。
【図4】図3のソケットに入れられたランプのソケットの上面図を示している。
【図5】本発明によるガス放電ランプのソケットの第3の実施例の立面上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、ソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ1が、示されている。前記ソケットに入れられたランプは、気密な放電空間4内に配されている電気要素3と、第1の封止5及び第2の封止6によって封止されている空間とを有するランプ容器2を有している。前記ソケットに入れられたランプは、高温度耐性セラミック材料のソケット12(この場合、酸化アルミニウム)を更に有しており、ランプ容器2は、粘着性の化合物19(この場合、セメント)によって確実に固定されており、第1の封止5は、前記ソケットの窪み18内にある。前記ソケットは、空間4から外方に向いているベース側13及び前記空間に面しているフロント側14を有する。ランプ軸15は、ソケット12及び第1の封止5を通って空間4内に延在している。電流導体7は、前記電気要素から外部まで第1の封止5を通って軸方向に延在している。前記ソケットは、前記ベース側から前記フロント側まで前記ソケットを通って軸方向に延在する2つの開口16、17を備えている。開口16、17は、対応する環状壁11によって窪み18から分離されている。示されている放電ランプは、フィリップス社のMSR Gold 1200ワット交流ランプであり、充填材、希土類金属の塩類の混合物、及び始動ガスとしてのアルゴンの充填材を備えている。
【0014】
図2において、図1のソケットに入れられたランプのソケット12が、示されている。前記ソケットは、前記ソケットの周囲23にわたって均一に環状に分散されている2つの軸方向に延在している開口16、17を有する。各開口は、前記ソケットの材料によって完全に形成されている環状壁11を有しており、従って、前記開口は、前記ランプ容器が第1の封止によって取り付けられるべきである窪み18から分離されている(図1参照)。窪み18内の2つの通路21、22は、前記ランプ容器から出て前記ソケットの前記ベース側を通過している電気導体(図1の符号7参照)のために設けられている。前記ソケットは、およそ石英ガラスの熱膨張係数と同じである(即ち1*10−7から1*10−6―1の範囲)熱膨張係数を有するガラスセラミック材料でできている。
【0015】
図3のソケットに入れられたランプ1は、ソケット12内のセメント19によって固定されたランプ容器2を示しており、第1のピンチ封止5の部分は、セメントを含まず軸方向に延在している開口16を囲んでいる環状壁11の部分を形成している前記ソケット内部に位置されており、前記ソケット内で、1つの前記開口のみが可視的である。前記開口は、前記封止の両側に位置され、前記封止の対応する幅のある表面5aに面している。図3のソケットに入れられたランプのソケット12のみの上面図である図4に示されているように、開口16、17及び窪み18の両方は、一体的であり、前記ソケット内の開口16、17を形成するために前記ランプ容器の第1の封止5によって再分割されている。この実施例において、前記ソケット内のランプ容器の固定は、やや強固ではないが、前記ソケット内に位置されているこれらの構成要素の部分が、前記開口を通って流れる冷却ガスに直接的にさらされるので、前記ランプの封止5及び電流導体7(図1参照)の効率的な冷却を可能にする。
【0016】
図5において、本発明1によるソケット12の第3の実施例が、示されている。前記ソケットは、ソケットの周囲23にわたって均一に環状に分散されている4つの軸方向に延在している開口16、17、26、27を有する。各開口は、前記ソケットの材料によって完全に形成されている環状壁11を有しており、従って、前記開口は、前記ランプ容器が自身の第1の封止によって取り付けられるべきである窪み18から分離されている。図5において、窪み18は、圧潰された第1の封止を有するランプ容器を収容するのに適している。この図において、前記ソケットは、焼結された酸化アルミニウムでできている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットに入れられた高圧ガス放電ランプであって、
- 封止によって封止されている気密な空間内に配されている電気要素を有するランプ容器と、
- 内部に前記ランプ容器が前記封止によって取り付けられているソケットであって、前記空間から外方を向いているベース側と前記空間に面しているフロント側とを有するソケットと、
- 前記ソケット及び前記空間を通って延在しているランプ軸と、
- 前記電気要素から外部まで前記封止を通って前記ランプ軸の方向に延在している少なくとも1つの電流導体と、
を有するソケットに入れられた高圧ガス放電ランプにおいて、前記ソケットが前記ベース側から前記フロント側まで前記ソケットを通って前記ランプ軸の方向に延在する少なくとも1つの開口を備えており、前記ランプ容器は、前記ソケット内の封止によってセメントによって固定されていることを特徴とする、ソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。
【請求項2】
前記ソケットは、少なくとも2つの前記開口を有することを特徴とする。請求項1に記載のソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。
【請求項3】
前記開口は、前記ソケットによって形成されている環状壁を有することを特徴とする、請求項1に記載のソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。
【請求項4】
前記開口は、前記ソケットと前記ランプ容器の前記封止との組み合わせによって形成されている環状壁を有することを特徴とする、請求項1に記載のソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。
【請求項5】
前記開口は、前記ソケットの周囲にわたって均一に分散されていることを特徴とする、請求項2に記載のソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。
【請求項6】
前記封止は、幅のある表面及び厚さを有するピンチ封止であり、前記開口は、前記封止の両側に位置されており、対応する幅のある表面に面していることを特徴とする、請求項5に記載のソケットに入れられた高圧ガス放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−506603(P2012−506603A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531614(P2011−531614)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054487
【国際公開番号】WO2010/046805
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】