説明

ソフトウェア管理システム、管理サーバー、ソフトウェア管理システムの制御方法およびプログラム

【課題】企画設計情報と実際の活用シーンとを対比させることができる。
【解決手段】各ユーザー端末2は、会計ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する録画部14と、活用シーンの録画結果(操作動画)に、活用時に操作されているソフトウェア画面Aの画面IDを付加した録画データを、提供元データセンター3に送信する配信エージェント19と、を備え、提供元データセンター3は、会計ソフトウェアの企画設計段階において作成された企画書に、画面IDを付加した企画書データを記憶するソフトウェア管理情報記憶部33と、各ユーザー端末2から送信された録画データと、企画設計データとを、画面IDによって紐付け、録画管理データベース31に記録するDB記録部37と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末と、当該各ユーザー端末とネットワークを介して接続された管理サーバーと、を備えたソフトウェア管理システム、管理サーバー、ソフトウェア管理システムの制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開発プロセス管理システムとして、ソフトウェアにおける開発プロセスの各段階の管理書類を保存する開発プロセス管理書類データベースと、開発プロセス管理書類データベースへの読み書きを制御する開発プロセス管理書類処理部と、を有したものが知られている。この開発プロセス管理システムでは、開発プロセス管理書類処理部が、電子会議システム上で審議されたピアレビュー内容(レビュー評価等)を開発プロセス管理システムの管理書類に自動的に反映させ、開発プロセス管理書類データベースに格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、電子会議システム上におけるピアレビューの際、ソフトウェアを活用している活用シーンを想定して、設計文書を評価することになるが、必ずしも、開発者が意図した活用方法でそのソフトウェアが活用されるとは限らない。そのため、想定した活用シーンと、実際の活用シーンとに差異が生じてしまい、その結果、ユーザービリティの高いソフトウェアを開発することができないという問題があった。これに対し、実際の活用シーンを録画し、これと設計文書を対比させることで、上記の差異を緩和することも考えられるが、録画した活用シーンが、どの設計文書に対応しているかを判別することができないため、設計文書と活用シーンとを対比させることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、企画設計情報と実際の活用シーンとを対比させることができるソフトウェア管理システム、管理サーバー、ソフトウェア管理システムの制御方法およびプログラムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のソフトウェア管理システムは、ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末と、当該各ユーザー端末とネットワークを介して接続された管理サーバーと、を備えたソフトウェア管理システムであって、各ユーザー端末は、ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する録画部と、活用シーンの録画結果に、活用時に操作されているソフトウェア画面の画面IDを付加した録画データを、管理サーバーに送信する録画データ送信部と、を備え、管理サーバーは、ソフトウェアの企画設計段階において作成された企画設計情報に、画面IDを付加した企画設計データを記憶する企画設計データ記憶部と、各ユーザー端末から送信された録画データと、企画設計データとを、画面IDによって紐付け、データベースに記録するDB記録部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のソフトウェア管理システムの制御方法は、ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末と、当該各ユーザー端末とネットワークを介して接続された管理サーバーと、を備えたソフトウェア管理システムの制御方法であって、各ユーザー端末が、ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する録画ステップと、活用シーンの録画結果に、活用時に操作されているソフトウェア画面の画面IDを付加した録画データを、管理サーバーに送信する録画データ送信ステップと、を実行し、管理サーバーが、各ユーザー端末から送信された録画データと、ソフトウェアの企画設計段階において作成された企画設計情報に、画面IDを付加して記憶した企画設計データとを、画面IDによって紐付け、データベースに記録するDB記録ステップを、実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、活用シーンの録画結果と企画設計情報とにそれぞれ画面IDを付加し、当該画面IDによってこれらを紐付けしてデータベースに記憶することにより、当該データベースを参照することで、実際の活用シーン(録画結果)と企画設計情報とを対比させることができる。例えば、録画結果と企画設計情報とを比較可能に表示して検証することで、ユーザービリティの高いソフトウェアの開発に役立てることができる。
【0009】
上記のソフトウェア管理システムにおいて、管理サーバーは、ソフトウェアの開発段階において作成された開発管理情報に、画面IDを付加した開発管理データを記憶する開発管理データ記憶部をさらに備え、DB記録部は、録画データおよび企画設計データと、開発管理データとを、画面IDによって紐付け、データベースに記録することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、実際の活用シーン、企画設計情報および開発管理情報を対比させることができる。なお、開発管理情報とは、例えば、ソフトウェア画面に係るプログラムを開発するのに掛かった開発スケジュール、開発工数、開発費用等である。
【0011】
上記のソフトウェア管理システムにおいて、録画部は、ユーザーの操作に伴うソフトウェア画面の変化を動画として録画することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、例えばキャプチャー等により録画処理を行うことができるため、録画部を簡単な構成にすることができる。
【0013】
この場合、各ユーザー端末は、録画データ送信部により送信される前の録画データに対し、録画結果に含まれる守秘情報にマスキング処理を施すマスキング処理部をさらに備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、録画データの送信による守秘情報(例えば、取引先の社名や顧客情報等)の漏洩を防止することができる。なお、ここにいうマスキング処理とは、守秘情報を認識できないようにする処理の意であり、守秘情報を覆い隠す狭義のマスキング処理はもちろん、モザイク処理や置換処理等を含む概念である。また、守秘情報をマスキング処理するのに、守秘情報を表示した部分のみを加工して見えないようにする構成であっても良いし、ソフトウェア画面全体を加工して(例えば、画面全体の解像度を下げて)守秘情報を見えないようにする構成であっても良い。
【0015】
上記のソフトウェア管理システムにおいて、録画部は、ユーザー端末に設けられたカメラにより、ユーザーの動作を録画することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ユーザー端末に既に設けられたカメラ(例えば、Webカメラ等)により録画処理を行うことができるため、カメラを新たに設けることなく、ユーザーの動作を録画することができる。
【0017】
一方、録画部は、ソフトウェア画面に表示された操作子の操作により、録画を開始および停止することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ユーザー端末を操作するユーザーが、録画の開始および停止を操作することができるため、ユーザーの意に介さずに録画され、送信されてしまうのを防止することができる。
【0019】
また、管理サーバーは、画面IDによって紐付けられた録画データおよび企画設計データを、同一画面上の別領域に表示する表示部をさらに備えることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、同一画面上で、録画結果と企画設計情報とを比較可能に表示することで、効率的な検証を行うことができる。
【0021】
さらに、各ユーザー端末は、ソフトウェアを用いて作成された作成情報に、作成時に操作されたソフトウェア画面の画面IDを付加した作成データを、管理サーバーに送信する作成データ送信部と、を備え、DB記録部は、録画データおよび企画設計データと、作成データとを、画面IDによって紐付け、データベースに記録することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、実際の活用シーン、企画設計情報および作成情報を対比させることができる。
【0023】
本発明の管理サーバーは、上記のソフトウェア管理システムに用いられることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、実際の活用シーンと企画設計情報とを紐付けして記録可能な管理サーバーを提供することができる。
【0025】
本発明のプログラムは、コンピューターを、上記のソフトウェア管理システムにおける各ユーザー端末および管理サーバーとして機能させることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、コンピューターに本プログラムを搭載するだけで、コンピューターを上記のソフトウェア管理システムの各ユーザー端末および管理サーバーとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ソフトウェア管理システムのシステム構成図である。
【図2】ソフトウェア管理システムの機能ブロック図である。
【図3】検討画面の具体例を示した図である。
【図4】提供元データセンターへの録画データの記録処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明のソフトウェア管理システム、管理サーバー、ソフトウェア管理システムの制御方法およびプログラムについて説明する。本実施形態では、本発明を適用したソフトウェア管理システムを例に挙げて説明する。このソフトウェア管理システムは、会計ソフトウェア(ソフトウェア)の情報管理を行うものである。
【0029】
図1に示すように、ソフトウェア管理システム1は、会計ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末2と、当該各ユーザー端末2とネットワークNWを介して接続された提供元データセンター(管理サーバー)3と、を備えている。提供元データセンター3は、メインサーバー3aとサブサーバー3bとを接続して構成されている。また、ユーザー端末2、メインサーバー3aおよびサブサーバー3bは、コンピューターで構成されており、キーボード5やマウス6等を有する入力手段7と、ディスプレイ8等を有する表示手段9とを備えている。また、図示省略するが、データ通信を行う通信手段と、各手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0030】
また、各ユーザー端末2にインストールされた会計ソフトウェアは、1以上のソフトウェア画面(操作画面)Aを順次表示すると共に、ソフトウェア画面Aでの入力情報に基づいて帳票Bを作成するプログラムである。すなわち、当該会計ソフトウェアをインストールすることで、ユーザー端末2を帳票作成装置として機能させる。
【0031】
次に、図2の機能ブロック図を参照して、ユーザー端末2および提供元データセンター3の各機能について説明する。図2に示すように、各ユーザー端末2は、画面表示部11と、操作部12と、帳票作成部13と、録画部14と、情報収集部15と、録画データ記録部16と、帳票データ記録部17と、マスキング処理部18と、配信エージェント(録画データ送信部および作成データ送信部)19と、を備えている。また、各ユーザー端末2は、後述の録画データを記憶した録画データベース21と、後述の帳票データを記憶した帳票データベース22と、会計ソフトウェアの帳票作成処理に用いる情報を記憶したソフトウェアデータベース23と、を備えている。
【0032】
画面表示部11は、表示手段9を主要部とし、各ソフトウェア画面Aを表示する。なお、各ソフトウェア画面Aには、それぞれ画面IDが割り付けられている。操作部12は、キーボード5およびマウス6を主要部とし、ソフトウェア画面A上で各種操作・入力を行うためのものである。帳票作成部13は、制御手段を主要部とし、ソフトウェア画面A上での入力情報に基づいて帳票Bを作成する。なお、作成する各帳票Bには、それぞれ帳票IDが割り当てられる。このように、画面表示部11、操作部12および帳票作成部13により、ユーザーの操作に伴って帳票Bを作成する帳票作成処理を実行する。
【0033】
録画部14は、制御手段を主要部とし、会計ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する。厳密には、録画部14は、当該活用シーンとして、ユーザーの操作に伴うソフトウェア画面Aの変化を動画として録画する。すなわち、操作しているソフトウェア画面Aを、動画としてキャプチャーする。なお、以下、この録画した動画を操作動画と呼称する。録画部14は、操作動画を、各ソフトウェア画面Aに表示された録画メニュー(操作子)A1の操作に伴って録画する。すなわち、録画メニューA1により、録画を開始および停止するように構成されている。また、録画部14は、操作動画をソフトウェア画面A単位で録画する。
【0034】
情報収集部15は、録画した各操作動画に対し、これに関連する情報を収集する。具体的には、情報収集部15は、各操作動画に対し、当該各操作動画の操作を行った作業日時(システム日時)と、当該各操作動画の操作を行ったユーザーのユーザーIDと、当該各操作動画を録画したソフトウェア画面Aの画面IDと、当該各操作動画のソフトウェア画面Aにより作成される帳票Bの帳票IDと、当該各操作動画のソフトウェア画面Aの操作に起因して行われた処理(バッチ処理等)の各処理IDと、当該各操作動画のソフトウェア画面Aで行なわれた操作内容(エンターキーの押下等)と、を取得する。その他、情報収集部15は、ソフトウェアデータベース23から、ソフトウェアID、バージョンNo.および顧客IDと、当該各操作動画のソフトウェア画面Aに関連する商品マスター、伝票情報および得意先情報とを取得すると共に、OS(Operating System)から、当該各操作動画を録画した時点のユーザー端末2のDBサイズ、空き容量および稼動サービス等を取得する。
【0035】
録画データ記録部16は、録画部14が録画した各操作動画(活用シーンの録画結果)に、情報収集部15が収集した各種情報を付加して録画データとし、これを録画データベース21に記録する。帳票データ記録部17は、会計ソフトウェア(帳票作成部13)により作成された各帳票B(作成情報)に、作成時に操作されたソフトウェア画面Aの画面IDを付加して帳票データ(作成データ)とし、これを帳票データベース22に記録する。
【0036】
マスキング処理部18は、録画データベース21に記憶した各録画データを加工して、各録画データに対し、操作動画に含まれる守秘情報(例えば、取引先の社名や顧客情報等)のマスキング処理を施す。具体的には、守秘情報の表示部分に、マスキング処理を施し、または、ソフトウェア画面A全体にマスキング処理を施す。ここにいうマスキング処理とは広義のマスキング処理であり、黒塗りで一部を覆い隠すマスキング処理はもちろん、モザイクをかけるモザイク処理や、守秘情報をサンプルデータに置換する置換処理等を行う構成であっても良い。また、帳票データベース22に記憶した帳票データについても当該マスキング処理を施すようにしても良い。
【0037】
配信エージェント19は、録画データベース21上に記憶されたマスキング処理後の各録画データと、帳票データベース22上に記憶された各帳票データとを、提供元データセンター3(厳密にはメインサーバー3a)に送信する。また、配信エージェント19は、これらのデータを送信するのに先駆けて、当該送信を行うか否かを確認する送信確認画面をポップアップ表示する。
【0038】
なお、録画データを送信した際には、ユーザー側のインセンティブとして、提供元データセンター3により、製品購入時に使える値引きクーポンなどを発行する構成であっても良い。例えば、提供元データセンター3は、クーポンコードが記載されたメールをユーザー端末2に送信する。そして、提供元データセンター3は、クーポンコードと顧客ID(またはユーザーID)を紐付けて、提供元データセンター3内の顧客管理データベースに登録しておき、ユーザーが、アプリ購入などの際に、クーポンコードを入力して値引きを受ける。
【0039】
上記したように、提供元データセンター3は、メインサーバー3aとサブサーバー3bとにより構成されている。サブサーバー3bは、ソフトウェア管理情報記憶部(企画設計データ記憶部)33と、開発管理情報記憶部(開発管理データ記憶部)34と、変更履歴記憶部35と、プロパティ記憶部36と、を備えている。
【0040】
ソフトウェア管理情報記憶部33は、会計ソフトウェア毎のソフトウェア管理情報を記憶する。具体的には、ソフトウェア管理情報として、各会計ソフトウェアの企画管理情報、開発管理情報、品質評価書、運用設計書およびサポート情報を記憶する。企画管理情報は、画面ID毎(すなわちソフトウェア画面A毎)の企画書データ(企画設計データ)、要件定義書データおよび設計書データを有している。企画書データ、要件定義書データおよび設計書データは、会計ソフトウェアの企画設計段階において作成されたソフトウェア画面A毎の企画書(企画設計情報)、要件定義書および設計書に、対応する画面IDを付加したデータである。開発管理情報は、開発ツールや部品の情報と、画面ID毎のソースコードデータとを有している。ソースコードデータは、開発段階で作成されたソフトウェア画面A毎の開発ソースコードに、対応する画面IDを付加したデータである。サポート情報は、マニュアル、顧客保守カルテ、問合せ情報および障害情報を有している。
【0041】
開発管理情報記憶部34は、会計ソフトウェア毎の開発プロジェクト管理情報を記憶する。具体的には、開発プロジェクト管理情報として、各会計ソフトウェアの画面ID毎(すなわちソフトウェア画面A毎)のスケジュールデータ、工数データおよび経費データ(開発管理データ)を記憶する。スケジュールデータ、工数データおよび経費データは、ソフトウェアの開発段階において作成されたソフトウェア画面A毎の開発スケジュール、開発工数および開発経費(開発管理情報)に、対応する画面IDを付加したデータである。
【0042】
変更履歴記憶部35は、ソフトウェア管理情報および開発プロジェクト管理情報の各項目の変更履歴を記憶する。プロパティ記憶部36は、ソフトウェア管理情報および開発プロジェクト管理情報の各項目のプロパティを記憶する。
【0043】
メインサーバー3aは、録画管理データベース(データベース)31と、DB記録部37と、検討画面表示部38と、を備えている。録画管理データベース31は、各ユーザー端末2からの録画データを記憶する。なお、詳細は後述するが、録画データと共に、これに紐付けた各データを記憶している。
【0044】
DB記録部37は、各ユーザー端末2から送信された録画データを録画管理データベース31に記録する。また、DB記録部37は、録画データを記録する際、当該録画データと他のデータとを画面IDによって紐付けて、録画管理データベース31に記録する。具体的には、録画データと共通の画面IDが付加された企画書データ、要件定義書データ、設計書データ、開発ソースコードデータ、開発スケジュールデータ、開発工数データおよび開発経費データを、サブサーバー3bのソフトウェア管理情報記憶部33および開発管理情報記憶部34から収集し、且つ録画データと共通の画面IDが付加された帳票データを選別して、録画データとこれらのデータとを紐付けて記録する。
【0045】
検討画面表示部38は、表示手段9を主要部とし、指定された会計ソフトウェアの各種検討を行うための検討画面Cを表示する。検討画面Cは、会計ソフトウェアを、ソフトウェア画面A単位で検討を行うものであり、録画管理データベース31から画面IDによって紐付けられた録画データと他のデータ(いずれか一つ)とを抽出し、これらを同一画面上の別領域に表示する。すなわち、画面を略均等に二分割し、一方の分割領域に録画データを表示すると共に、他方の分割領域に録画データに紐付けた他のデータを表示する(図3参照)。このように、録画データの操作動画と、これと紐付けした他のデータとを比較可能に表示することで、ソフトウェア画面Aの各種検討を行うことができる。
【0046】
検討画面Cでは、検討したい事柄に応じて、録画データと比較可能に表示するデータを変更する。具体的には、図3に示すように、企画書の狙い通りであるかを検討する場合には、検討画面C上に、録画データと、これと紐付けした企画書データとを比較可能に表示する。また、レスポンス等が妥当であるかを検討する場合には、検討画面C上に、録画データと、これと紐付けした設計書データやソースコードデータとを比較可能に表示する。さらに、開発効率を検討する場合には、検討画面C上に、録画データと、これと紐付けしたスケジュールデータ、工数データや費用データとを比較可能に表示する。またさらに、帳票Bがどのような操作で作成されたかを検討する場合には、検討画面C上に、録画データと、これと紐付けした帳票データとを比較可能に表示する。その他、検討したい事柄に応じて、要件定義書データを比較可能に表示する構成であっても良い。また、3分割以上で画面を分割し、同一画面上で、複数のデータを録画データと比較可能に表示する構成であっても良い。
【0047】
次に図4を参照して、提供元データセンター3への録画データの記録処理について説明する。図4に示すように、まず、ユーザー端末2は、録画メニューA1の操作に起因して、録画部14により、操作動画を録画する(S1)。操作動画を録画したら、情報収集部15により、録画した操作動画に関連する情報を収集する(S2)。そして、録画データ記録部16により、録画した操作動画に、収集した各種情報を付加して録画データとし、これを録画データベース21に記録する(S3)。
【0048】
録画データを記録したら、マスキング処理部18により、録画データに対しマスキング処理を施す(S4)。その後、配信エージェント19により、録画データの送信確認画面を表示する(S5)。送信確認画面において送信しない旨が選択された場合(S6:No)には、録画データの送信をキャンセルし、本動作を終了する。
【0049】
一方、送信確認画面において送信する旨が選択された場合(S6:Yes)には、配信エージェント19により、録画データを提供元データセンター3に送信する(S7:録画データ送信ステップ)。これに対し、提供元データセンター3(メインサーバー3a)は、録画データを受信し(S8)、DB記録部37により、受信した録画データと上記他のデータとを、画面IDによって紐付け、録画管理データベース31に記録する(S9:DB記録ステップ)。これにより本動作を終了する。ここで記録した各録画データとこれに紐付けされた他のデータとが、録画管理データベース31に蓄積されていき、検討画面表示部38による検討画面Cの表示に用いられる。
【0050】
以上のような構成によれば、活用シーンの録画結果と企画書とにそれぞれ画面IDを付加し、当該画面IDによってこれらを紐付けして録画管理データベース31に記憶することにより、当該録画管理データベース31を参照することで、実際の活用シーン(録画結果)と企画書とを対比させることができる。また、録画結果と企画書とを比較可能に表示して検証することで、ユーザービリティの高いソフトウェアの開発に役立てることができる。
【0051】
また、録画データと、開発管理データ(スケジュールデータ、工数データおよび費用データ)とを、画面IDによって紐付けて記録することにより、実際の活用シーン、企画書および開発管理情報(開発スケジュール、開発工数および開発経費)を対比させることができる。
【0052】
さらに、録画部14は、ユーザーの操作に伴うソフトウェア画面Aの変化を動画として録画し、この録画結果を検討画面C上で表示するので、例えばキャプチャー等により録画処理を行うことができるため、録画部14を簡単な構成にすることができる。
【0053】
またさらに、マスキング処理部18により、マスキング処理を施すことにより、録画データの送信による守秘情報の漏洩を防止することができる。
【0054】
また、ソフトウェア画面Aに表示された録画メニューA1の操作により、録画を開始および停止することで、ユーザー端末2を操作するユーザーが、録画の開始および停止を操作することができるため、ユーザーの意に介さずに録画され、送信されてしまうのを防止することができる。
【0055】
さらに、検討画面表示部38により、同一画面上で、録画結果(操作動画)と企画書とを比較可能に表示することで、効率的な検証を行うことができる。
【0056】
またさらに、録画データを、画面IDによって帳票データに紐付け、録画管理データベース31に記録することで、実際の活用シーン、企画書および帳票Bを対比させることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、録画部14が、ユーザーの操作に伴うソフトウェア画面Aの変化を動画として録画し、この録画結果を検討画面C上で表示する構成であったが、録画部14が、ユーザー端末2に設けられたカメラ(例えばビデオチャット等に用いるWebカメラ)により、ユーザーの動作を録画し、この録画結果を検討画面C上で表示する構成であっても良い。かかる場合、ユーザー端末2に既に設けられたカメラにより録画処理を行うことができるため、カメラを新たに設ける必要がなく、ユーザーの動作を録画することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、リリース後のユーザーによる操作を録画し、これを検討画面C上に表示する構成であったが、開発時点における開発者による操作の動画(いわゆる社内動画)を録画し、これを検討画面C上に表示する構成であっても良い。つまり、ユーザー端末2とは、開発成果物(会計ソフトウェア)をインストールした端末であれば良く、必ずしも開発成果物を購入したユーザーによって操作される必要はない。
【0059】
さらに、ソフトウェア画面A毎のマニュアル、問合せ情報および障害情報等を、画面IDを付加したデータとし、検討画面C上で、ソフトウェア画面A単位で、録画データと共に比較表示する構成であっても良い。
【0060】
なお、本実施形態においては、録画メニューA1の操作によって、録画部14による録画を開始、終了する構成であったが、ユーザー端末2が、所定のタイミング(例えば、会計ソフトウェアの初回起動時等)で、録画を開始していいか否かを確認する録画確認画面をポップアップ表示し、録画確認画面においてユーザーが録画を許可した場合のみ、録画部14による録画を開始する構成であっても良い。
【0061】
また、本実施形態においては、録画データを受信した際に、録画データと上記他のデータとを、録画管理データベース31に記録する構成であったが、受信した録画データをサブサーバー3b上に記憶しておき、検討画面Cを表示する際に、サブサーバー3bから録画データと上記他のデータとを収集して、録画管理データベース31に記録する構成であっても良い。
【0062】
さらに、本実施形態においては、録画データと上記他のデータとを録画管理データベース31に記録する構成であったが、上記他のデータそのものを録画管理データベース31に記録するのに代えて、上記他のデータの記憶場所を示す情報を録画管理データベース31に記録することにより、録画データと上記他のデータとを紐付けする構成であっても良い。
【0063】
なお、本実施形態において、操作動画に代えて、会計ソフトウェアを実際に活用している際の、クリックや入力操作等の操作ログをソフトウェア画面A単位で記録し、当該操作ログを上記他のデータと比較可能に表示する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1:ソフトウェア管理システム、 2:ユーザー端末、 3:提供元データセンター、 14:録画部、 18:マスキング処理部、 19:配信エージェント、 31:録画管理データベース、 33:ソフトウェア管理情報記憶部、 34:開発管理情報記憶部、 37:DB記録部、 38:検討画面表示部、 A:ソフトウェア画面、 A1:録画メニュー、 NW:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末と、当該各ユーザー端末とネットワークを介して接続された管理サーバーと、を備えたソフトウェア管理システムであって、
前記各ユーザー端末は、
前記ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する録画部と、
前記活用シーンの録画結果に、前記活用時に操作されているソフトウェア画面の画面IDを付加した録画データを、前記管理サーバーに送信する録画データ送信部と、を備え、
前記管理サーバーは、
前記ソフトウェアの企画設計段階において作成された企画設計情報に、前記画面IDを付加した企画設計データを記憶する企画設計データ記憶部と、
前記各ユーザー端末から送信された前記録画データと、前記企画設計データとを、前記画面IDによって紐付け、データベースに記録するDB記録部と、を備えたことを特徴とするソフトウェア管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバーは、
前記ソフトウェアの開発段階において作成された開発管理情報に、前記画面IDを付加した開発管理データを記憶する開発管理データ記憶部をさらに備え、
前記DB記録部は、前記録画データおよび前記企画設計データと、前記開発管理データとを、前記画面IDによって紐付け、前記データベースに記録することを特徴とする請求項1に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項3】
前記録画部は、ユーザーの操作に伴う前記ソフトウェア画面の変化を動画として録画することを特徴とする請求項1または2に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項4】
前記各ユーザー端末は、
前記録画データ送信部により送信される前の前記録画データに対し、前記録画結果に含まれる守秘情報にマスキング処理を施すマスキング処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項5】
前記録画部は、前記ユーザー端末に設けられたカメラにより、ユーザーの動作を録画することを特徴とする請求項1または2に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項6】
前記録画部は、前記ソフトウェア画面に表示された操作子の操作により、録画を開始および停止することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項7】
前記管理サーバーは、
前記画面IDによって紐付けられた前記録画データおよび前記企画設計データを、同一画面上の別領域に表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項8】
前記各ユーザー端末は、
前記ソフトウェアを用いて作成された作成情報に、作成時に操作された前記ソフトウェア画面の画面IDを付加した作成データを、前記管理サーバーに送信する作成データ送信部と、を備え、
前記DB記録部は、前記録画データおよび前記企画設計データと、前記作成データとを、前記画面IDによって紐付け、前記データベースに記録することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のソフトウェア管理システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のソフトウェア管理システムに用いられることを特徴とする管理サーバー。
【請求項10】
ソフトウェアがインストールされた1以上のユーザー端末と、当該各ユーザー端末とネットワークを介して接続された管理サーバーと、を備えたソフトウェア管理システムの制御方法であって、
前記各ユーザー端末が、
前記ソフトウェアを実際に活用している活用シーンを録画する録画ステップと、
前記活用シーンの録画結果に、前記活用時に操作されているソフトウェア画面の画面IDを付加した録画データを、前記管理サーバーに送信する録画データ送信ステップと、を実行し、
前記管理サーバーが、
前記各ユーザー端末から送信された前記録画データと、前記ソフトウェアの企画設計段階において作成された企画設計情報に、前記画面IDを付加して記憶した企画設計データとを、前記画面IDによって紐付け、データベースに記録するDB記録ステップを、実行することを特徴とするソフトウェア管理システムの制御方法。
【請求項11】
コンピューターを、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のソフトウェア管理システムにおける前記各ユーザー端末および前記管理サーバーとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33380(P2013−33380A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169013(P2011−169013)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】