説明

ソフトトレイ

【課題】上下に積み重ねても容易に分離することができ、物品を入れたソフトトレイを上下に積み重ねても撓み難いソフトトレイを提供する。
【解決手段】上面1bに第1凹部2を有し、外周に4つの端縁1aを有する矩形のソフトトレイ1にかかわる。4つの端縁1aのうち少なくとも平行な2つの端縁1aに形成された第1凸部5と、第1凹部2以外の領域に形成された第2凸部6と、を備え、ソフトトレイ1を同一の向きに上下に積み重ねたときに端縁1aにおいて第1凸部5は上側のソフトトレイ1と下側のソフトトレイ1との間に隙間を生じさせ、第2凸部6は上側のソフトトレイ1が下側のソフトトレイの向きに撓むことを抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトトレイにかかわり、特に、ソフトトレイの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージや液晶パネル等の電子部品を製造するとき電子部品を収納するトレイが用いられる。そして、トレイを搬送することにより、電子部品に触れることなく電子部品を移動させている。電子部品が配置されたトレイを製造装置の給材部にセットし、加工装置はトレイから電子部品を移動して加工する。次に、加工された電子部品をトレイに配置して製造装置の除材部にストックする。このようにトレイを用いて製造装置間における電子部品の除給材を行っていた。
【0003】
トレイは射出成形して製造されたトレイと真空成形して製造されたソフトトレイが広く活用されている。真空成形ではポリエチレンテレフタレートフィルム等のフィルムを加熱して、柔らかくなったフィルムを金型と重ねた後金型とフィルムとの間を減圧する。これによりフィルムは金型の形状が転写されて成形される。
【0004】
真空成形は射出成形に比べて金型を製造し易い。また、樹脂を溶融するまで過熱せず、フィルムが柔らかくなる程度に加熱するので消費する熱量が少ない。さらに、樹脂を硬化させるために熱を下げるのにかかる時間が短くできるので生産性良くソフトトレイを製造することができる。
【0005】
ソフトトレイを用いて電子部品の表裏を反転する方法が特許文献1に開示されている。それによると、表面と裏面に電子部品を収納する凹凸が形成されている。そして、表面の凹凸と裏面の凹凸とが逆の形状となっている。そして、電子部品を一対のソフトトレイにて挟んでソフトトレイの表裏を反転させる。その結果、電子部品が反転した状態でソフトトレイに収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−76617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ソフトトレイはフィルムを用いて形成していることから、凹凸を高くすると側面の肉厚が薄くなる。また、成形後に金型から離し易くするために側面を斜面にすることが多い。これにより、ソフトトレイを重ねたときソフトトレイは隙間なく重なる。このとき、重なったソフトトレイの間の隙間に鋭利な部材を挿入し難くなり分離することは容易ではない。ソフトトレイに部品が入っているときでも部品が薄い部品のときには同様に重なったソフトトレイを分離することは容易ではない。
【0008】
ソフトトレイはフィルムを用いて形成されているので、収納する部品の荷重によって撓みや反りが発生する。そして、ソフトトレイは樹脂材料から形成されているので長時間荷重が加わることによりクリープ現象が生ずる。これにより、ソフトトレイが変形する。
【0009】
そこで、上下に積み重ねても容易に分離することができ、物品を入れたソフトトレイを上下に積み重ねても撓み難いソフトトレイが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]
本適用例にかかるソフトトレイは、上面に第1凹部を有し、外周に4つの端縁を有する矩形のソフトトレイであって、前記4つの端縁のうち少なくとも平行な2つの端縁に形成された第1凸部と、前記第1凹部以外の領域に形成された第2凸部と、を備え、前記ソフトトレイを同一の向きに上下に積み重ねたときに前記端縁において前記第1凸部は上側の前記ソフトトレイと下側の前記ソフトトレイとの間に隙間を生じさせ、前記第2凸部は前記上側のソフトトレイが前記下側のソフトトレイの向きに撓むことを抑えることを特徴とする。
【0012】
本適用例によれば、ソフトトレイは第1凹部を有している。第1凹部に物品をいれるとき物品が第1凹部に留まり、ソフトトレイは容器として機能する。ソフトトレイは樹脂からなるフィルムを真空成型したものであり、上面の形状と上面と反対側の面の形状は略同じ形状となっている。これにより、同一の向きに上下に重ねたときに上側のソフトトレイと下側のソフトトレイとが重なり易い形状となっている。
【0013】
本適用例のソフトトレイでは第1凸部が平行な2つの端縁に形成されている。そして、ソフトトレイを上下に積み重ねるとき第1凸部が上側のソフトトレイと下側のソフトトレイとの間に隙間を生じさせる。従って、ソフトトレイを上下に積み重ねてもソフトトレイを容易に分離することができる。
【0014】
さらに、ソフトトレイを同一の向きに上下に積み重ねたときに下側のソフトトレイの第2凸部が上側のソフトトレイを支持する。従って、第2凸部が上側のソフトトレイが撓むことを抑える。その結果、物品を入れたソフトトレイは上下に積み重ねても撓み難くなる為、ソフトトレイが変形することを防止することができる。
【0015】
[適用例2]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記第1凸部は前記4つの端縁のうち少なくとも平行な2つの端縁のそれぞれに複数形成されていることを特徴とする。
【0016】
本適用例によれば、平行な2つの端縁のそれぞれに第1凸部が複数形成されている。これにより、平行な2つの端縁において上側のソフトトレイと下側のソフトトレイとの間に隙間を生じさせている。従って、平行な2つの端縁を用いてソフトトレイを保持し易くなるので容易に重なったソフトトレイを分離することができる。さらに、端縁には複数の第1凸部が形成されている。従って、1つの端縁に位置する複数の第1凸部の間に確実に隙間を配置することができる。
【0017】
[適用例3]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記第1凸部が形成された面の反対側の面には前記第1凸部と対向する場所に第2凹部を備え、前記第2凸部が形成された面の反対側の面には前記第2凸部と対向する場所に第3凹部を備え、前記第1凸部を前記第2凹部に挿入するとき、前記第1凸部が第2凹部に入る長さは前記第1凸部の高さの1/2以下であり、前記第2凸部を前記第3凹部に挿入するとき、前記第2凸部が第3凹部に入る長さは前記第2凸部の高さの1/2以下であることを特徴とする。
【0018】
本適用例によれば、ソフトトレイは第1凸部と対向する場所に第2凹部を備えている。これにより、ソフトトレイを上下に重ねたとき第2凹部と第1凸部とが重なる。そして、第1凸部が第2凹部に挿入されるときにも、第1凸部が第2凹部に入る長さは第1凸部の高さの1/2以下となっている。従って、上下に重なったソフトトレイには第1凸部の高さの1/2以上の長さの隙間を生じさせることができる。
【0019】
同様に、ソフトトレイは第2凸部と対向する場所に第3凹部を備えている。これにより、ソフトトレイを上下に重ねたとき第3凹部と第2凸部とが重なる。そして、第2凸部が第3凹部に挿入されるときにも、第2凸部が第3凹部に入る長さは第2凸部の高さの1/2以下となっている。従って、第3凹部及び第2凸部を介して下側のソフトトレイが上側のソフトトレイを支持することができる為、上側のソフトトレイを撓み難くすることができる。
【0020】
[適用例4]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記第1凸部が形成された面の反対側の面には前記第1凸部と対向する場所に第2凹部を備え、前記第2凸部が形成された面の反対側の面には前記第2凸部と対向する場所に第3凹部を備え、前記第2凹部の側面には第3凸部が形成され、第3凹部の側面には第4凸部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、ソフトトレイは第1凸部と対向する場所に第2凹部を備えている。これにより、ソフトトレイを上下に重ねたとき第2凹部と第1凸部とが重なる。そして、第2凹部には第3凸部が形成されている。これにより、第1凸部が第2凹部に挿入されるとき第1凸部は第3凸部と接触するので、第1凸部は第2凹部に入り難くなっている。従って、上下に重なったソフトトレイに隙間を生じさせることができる。
【0022】
同様に、ソフトトレイは第2凸部と対向する場所に第3凹部を備えている。これにより、ソフトトレイを上下に重ねたとき第3凹部と第2凸部とが重なる。そして、第3凹部には第4凸部が形成されている。これにより、第2凸部が第3凹部に挿入されるとき第2凸部は第4凸部と接触するので、第2凸部は第3凹部に入り難くなっている。従って、第3凹部及び第2凸部を介して下側のソフトトレイが上側のソフトトレイを支持することができる為、上側のソフトトレイを撓み難くすることができる。
【0023】
[適用例5]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、第3凸部は第2凹部の入口に形成され、第4凸部は第3凹部の入口に形成されていることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、第3凸部が第2凹部の入口に形成されている為、第1凸部は入口において第2凹部に入り難くなっている。従って、第3凸部が第2凹部の中程に形成されているときに比べて、第1凸部が第2凹部に入る長さを短くすることができる。その結果、ソフトトレイを上下に重ねるとき隙間を大きくすることができる。
【0025】
同様に、第4凸部が第3凹部の入口に形成されている為、第2凸部は入口において第3凹部に入り難くなっている。従って、第4凸部が第3凹部の中程に形成されているときに比べて、第2凸部が第3凹部に入る長さを短くすることができる。その結果、ソフトトレイを上下に重ねるとき、第3凹部及び第2凸部を介して下側のソフトトレイが上側のソフトトレイを確実に支持することができる為、上側のソフトトレイを撓み難くすることができる。
【0026】
[適用例6]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記第1凸部及び前記第2凸部の平面視における外周に囲まれた面積は根元より先端が広いことを特徴とする。
【0027】
本適用例によれば、第1凸部及び第2凸部の外周に囲まれた面積は根元より先端の方が広くなっている。従って、第1凸部の外周に囲まれた面積は根元の面積より先端の面積が広い為、ソフトトレイを上下に重ねるとき第1凸部の先端が第1凸部の根元に入り難くなっている。従って、上下に重なったソフトトレイに隙間を生じさせることができる。
【0028】
同様に、第2凸部の外周に囲まれた面積は根元の面積より先端の面積が広い為、ソフトトレイを上下に重ねるとき第2凸部の先端が第2凸部の根元に入り難くなっている。従って、ソフトトレイを上下に重ねるとき、第2凸部を介して下側のソフトトレイが上側のソフトトレイを確実に支持することができる為、上側のソフトトレイを撓み難くすることができる。
【0029】
[適用例7]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記第2凸部は複数形成されていることを特徴とする。
【0030】
本適用例によれば、第2凸部が複数形成されている。従って、ソフトトレイを上下に重ねるとき、上側のソフトトレイの荷重は複数の第2凸部に分散する。その結果、第2凸部を座屈し難くすることができる。
【0031】
[適用例8]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、平面視における前記第2凸部は5つ以上の角部を有することを特徴とする。
【0032】
本適用例によれば、第2凸部は5つ以上の角部を有している。第2凸部は四角形に比べて角部の個数が多い。角柱の角部は直線部分に比べて厚み方向に曲がり難いため、角部にて荷重を支えることができる。その結果、第2凸部を座屈し難くすることができる。
【0033】
[適用例9]
上記適用例にかかるソフトトレイにおいて、前記端縁には外周に沿って面取りが形成されていることを特徴とする。
【0034】
本適用例によれば、端縁には面取りが形成されていることから、ソフトトレイを上下に重ねるとき、上側のソフトトレイの端縁と下側のソフトトレイの端縁との間に面取りが位置した凹形状となる。従って、上側のソフトトレイの端縁と下側のソフトトレイの端縁との間に面取りに沿って鋭利な部材を挿入し易くすることができる。その結果、重なったソフトトレイを分離し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの構造を示す概略斜視図、(b)は、ソフトトレイを重ねたときの構造を示す模式側面図、(c)は、第1凸部を示す要部模式側面図。
【図2】(a)は、ソフトトレイを重ねたときの構造を示す模式側断面図、(b)は、第2凸部を示す要部模式側面図、(c)は、ソフトトレイの端縁を示す要部断面図、(d)は、ソフトトレイの縁端を示す要部模式平面図。
【図3】第2の実施形態にかかわり、(a)はソフトトレイの第2凹部を示す要部模式断面図、(b)はソフトトレイの第3凹部を示す要部模式断面図、(c)〜(e)は、ソフトトレイの製造方法を説明するための要部模式断面図。
【図4】第3の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの第2凹部を示す要部模式断面図、(b)はソフトトレイの第3凹部を示す要部模式断面図。(c)〜(e)はソフトトレイの製造方法を説明するための要部模式断面図。
【図5】第4の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの第1凸部を示す要部模式平面図、(b)はソフトトレイの第2凸部を示す要部模式平面図、(c)は、ソフトトレイの第1凸部を示す要部模式平面図、(d)はソフトトレイの第2凸部を示す要部模式平面図。
【図6】第5の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの構造を示す模式平面図、(b)は、ソフトトレイの構造を示す模式側面図、(c)は、ソフトトレイの構造を示す模式断面図。
【図7】第6の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの構造を示す模式平面図、(b)は、ソフトトレイの構造を示す模式側面図、(c)は、ソフトトレイの構造を示す模式断面図。
【図8】第7の実施形態にかかわり、(a)は、ソフトトレイの構造を示す模式平面図、(b)は、ソフトトレイの構造を示す模式側面図、(c)は、ソフトトレイの構造を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、構造に特徴のあるソフトトレイの実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、ソフトトレイの特徴的な例について図1〜図4に従って説明する。
【0037】
図1(a)は、ソフトトレイの構造を示す概略斜視図であり、図1(b)は、ソフトトレイを重ねたときの構造を示す模式側面図である。図1(c)は、第1凸部を示す要部模式側面図である。図1(a)に示すように、ソフトトレイ1は矩形に形成されており、矩形の辺に沿う4つの端縁1aを備えている。ソフトトレイ1は1枚のフィルムが真空成形法により複数の凹凸が形成されている。ソフトトレイ1の長手方向をY方向とし、ソフトトレイ1の平面視でY方向と直交する方向をX方向とする。そして、X方向及びY方向と直交する鉛直方向を−Z方向とする。ソフトトレイ1のZ側を上面1bとする。
【0038】
ソフトトレイ1には6つの第1凹部2が形成され、各第1凹部2には電子部品3が配置されている。図中には6つの第1凹部2のうち5つの第1凹部2に電子部品3が配置されている様子を示している。第1凹部2の個数は特に限定されず1つ〜5つでも良く、7つ以上でもよい。
【0039】
各第1凹部2の間及び第1凹部2を囲む場所には枠部4が形成されている。枠部4は第1凸部5以外の領域となっている。枠部4の外周には側面4aが形成され、側面4aと端縁1aとが接続して配置されている。端縁1aと枠部4のZ側を向く上面4bと第1凹部2の底2aの面は平行な面となっている。そして、枠部4の側面4aと第1凹部2の側面2bとは底2aの面に対して傾いた斜面となっている。これにより、ソフトトレイ1を真空成型するときに金型から容易に離型させることができるようになっている。
【0040】
端縁1aにはソフトトレイ1の外周と直交する方向に延在する第1凸部5が形成されている。第1凸部5は4つの端縁1aそれぞれに複数形成されている。端縁1aの個数は特に限定されないが、本実施形態では例えばX側と−X側の端縁1aにそれぞれ6つ形成され、Y側と−Y側の端縁1aにそれぞれ4つ形成されている。そして、端縁1aが長い場所では短い場所に比べて多くの第1凸部5が形成されている。これにより、端縁1aを撓み難くすることができる。
【0041】
ソフトトレイ1のX方向の中央の枠部4の上面4bには4つの第2凸部6が形成されている。第2凸部6は枠部4のY方向に直線となる部分とX方向に直線となる部分とが交差する場所に設置されている。第2凸部6は第1凹部2以外の領域であり、電子部品3が収納されない場所となっている。
【0042】
図1(b)に示すように、ソフトトレイ1は重ねて配置することが可能になっている。ソフトトレイ1を重ねる個数は特に限定されず所望の個数を重ねても良い。電子部品3及びソフトトレイ1の重量によってソフトトレイ1が変形しない範囲の個数が好ましい。
【0043】
ソフトトレイ1を重ねるとき、Z方向に第1凸部5が重なって接触する。従って、端縁1aはZ方向に隙間ができるので上下に隣り合う端縁1aの間に鋭利な部材を挿入することにより容易にソフトトレイ1を分離することができる。
【0044】
図1(c)に示すように、端縁1aの上面1bに第1凸部5が形成されている。第1凸部5の端縁1aからの高さを第1高さ5aとし、第1高さ5aの半分の高さを第2高さ5bとする。そして、第2高さ5bにおける第1凸部5の幅を第1凸部幅5cとする。第1凸部幅5cはソフトトレイ1の平面視で第1凸部5が延在する方向と直交する方向の第1凸部5の幅である。
【0045】
ソフトトレイ1の上面1bと反対側の面を下面1cとする。端縁1aの下面1cには第1凸部5と対向する場所に第2凹部7が形成されている。そして、端縁1aの下面1c側から第2高さ5bにおける第2凹部7の幅を第2凹部幅7aとする。このとき、第2凹部幅7aは第1凸部幅5cより小さく形成されている。これにより、第1凸部5を第2凹部7に挿入するとき、第1凸部5が第2凹部7に入る長さは第1高さ5aの1/2以下となる。さらには、第1凸部5が第2凹部7に入る長さは第1高さ5aの1/3以下がこのましい。第1凸部5が第2凹部7に入る長さは第1高さ5aの1/5以下である方がさらに好ましい。さらには、第1凸部5は第2凹部7に入らないのがさらに好ましい。
【0046】
Z方向に隣り合う端縁1aの間の隙間の間隔を第1隙間長さ8とする。第1凸部5が第2凹部7に入り込む長さが短い方が第1隙間長さ8を長くすることができる。従って、端縁1aの間の隙間に鋭利な部材を入れ易くすることができる為、重ねたソフトトレイ1を容易に分離することができる。
【0047】
図2(a)は、ソフトトレイを重ねたときの構造を示す模式側断面図であり、図1(a)のA−A’線に沿った面における模式断面図である。図2(b)は、第2凸部を示す要部模式側面図である。図2(a)に示すように、ソフトトレイ1を重ねるとき、Z方向に第2凸部6が重なって接触する。第1凹部2に電子部品3が収納されるとき電子部品3の荷重を枠部4が支える。そして、枠部4を反らす応力が枠部4に作用する。この応力の一部が第2凸部6を通じて−Z方向に位置するソフトトレイ1に作用する。つまり、下側のソフトトレイ1が第2凸部6を介して上側のソフトトレイ1の枠部4を支える構造となっている。
【0048】
ソフトトレイ1は樹脂により形成されている。このため、枠部4に長時間応力が作用するときクリープ現象により枠部4が撓むことがある。枠部4に作用する応力が大きい程枠部4が撓み易くなる。第2凸部6が枠部4を支持するとき枠部4の側面4aに作用する応力が低減する為、枠部4を撓み難くすることができる。
【0049】
図2(b)に示すように、枠部4の上面4bに第2凸部6が形成されている。第2凸部6の上面4bからの高さを第3高さ6aとし、第3高さ6aの半分の高さを第4高さ6bとする。そして、第4高さ6bにおける第2凸部6の幅を第2凸部幅6cとする。第2凸部幅6cはソフトトレイ1の平面視でY方向の第2凸部6の幅である。尚、第2凸部幅6cはソフトトレイ1の平面視でX方向の第2凸部6の幅に設定しても良い。
【0050】
枠部4の下面1c側には第2凸部6と対向する場所に第3凹部9が形成されている。そして、枠部4の下面1c側から第4高さ6bにおける第3凹部9の幅を第3凹部幅9aとする。尚、第2凸部幅6cと第3凹部幅9aとはソフトトレイ1の平面視で同じ方向における幅とする。このとき、第3凹部幅9aは第2凸部幅6cより小さく形成されている。これにより、第2凸部6を第3凹部9に挿入するとき、第2凸部6が第3凹部9に入る長さは第3高さ6aの1/2以下となる。さらには、第2凸部6が第3凹部9に入る長さは第3高さ6aの1/3以下がこのましい。第2凸部6が第3凹部9に入る長さは第3高さ6aの1/5以下である方がさらに好ましい。さらには、第2凸部6は第3凹部9に入らないのがさらに好ましい。
【0051】
Z方向に隣り合う枠部4の間の隙間の間隔を第2隙間長さ10とする。第2凸部6が第3凹部9に入り込む長さが短い方が第2隙間長さ10を長くすることができる。従って、電子部品3に起因する応力が枠部4に作用するときに枠部4が撓む長さを短くすることができる。その結果、枠部4の変形を抑えることができる。
【0052】
図2(c)はソフトトレイの端縁を示す要部断面図であり、図2(d)はソフトトレイの縁端を示す要部模式平面図である。図2(c)及び図2(d)に示すように端縁1aには外周に沿って面取り11が形成されている。面取り11はソフトトレイの上面1b及び下面1cに形成されている。上下に重ねられたソフトトレイ1の端縁1aの間に鋭利な部材を入れるときに面取り11がガイドとなるため板材を端縁1aに入れ易くすることができる。従って、重ねたソフトトレイ1を容易に分離することができる。
【0053】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ1は樹脂板であるフィルムを真空成型したものであり、ソフトトレイ1の上面1bの形状と下面1cの凹凸形状は略同じ形状となっている。これにより、同一の向きに上下に重ねたときに上側のソフトトレイと下側のソフトトレイとが重なり易い形状となっている。
【0054】
ソフトトレイ1では第1凸部5が平行な2つの端縁1aに形成されている。従って、ソフトトレイ1を上下に積み重ねても、第1凸部5が上側のソフトトレイ1と下側のソフトトレイ1との間に隙間を生じさせる。従って、この隙間に鋭利な部材を挿入することによりソフトトレイ1は上下に積み重ねても容易に分離することができる。
【0055】
(2)本実施形態によれば、枠部4に第2凸部6が形成されている。そして、ソフトトレイ1を重ねたとき第2凸部6が上側のソフトトレイ1を支える。従って、下側のソフトトレイが上側のソフトトレイ1が下側に撓むことを抑える。従って、電子部品3を入れたソフトトレイ1は上下に積み重ねても撓み難くなる為、ソフトトレイ1が変形することを防止できる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、端縁1aのそれぞれに第1凸部5が複数形成されている。これにより、平行な2つの端縁1aにおいて上側のソフトトレイ1と下側のソフトトレイ1との間に隙間を生じさせている。従って、平行な1対の端縁1aを用いてソフトトレイ1を保持し易くなるので容易に重なったソフトトレイ1を分離することができる。さらに、端縁1aには複数の第1凸部5が形成されている。従って、1つの端縁1aに位置する複数の第1凸部5の間に確実に隙間を配置することができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、ソフトトレイ1は第1凸部5と対向する場所に第2凹部7を備えている。これにより、ソフトトレイ1を上下に重ねたとき第2凹部7と第1凸部5とが重なる。そして、第1凸部5が第2凹部7に挿入されるときにも、第1凸部5が第2凹部7に入る長さは第1凸部5の高さの1/2以下となっている。従って、上下に重なったソフトトレイには第1凸部5の高さの1/2以上の長さの隙間を生じさせることができる。
【0058】
(5)本実施形態によれば、ソフトトレイ1は第2凸部6と対向する場所に第3凹部9を備えている。これにより、ソフトトレイ1を上下に重ねたとき第3凹部9と第2凸部6とが重なる。そして、第2凸部6が第3凹部9に挿入されるときにも、第2凸部6が第3凹部9に入る長さは第2凸部6の高さの1/2以下となっている。従って、第3凹部9及び第2凸部6を介して下側のソフトトレイ1が上側のソフトトレイ1を支持することができる為、上側のソフトトレイ1を撓み難くすることができる。
【0059】
(6)本実施形態によれば、枠部4には第2凸部6が複数形成されている。従って、ソフトトレイ1を上下に重ねるとき、上側のソフトトレイ1の荷重は複数の第2凸部6に分散する。その結果、第2凸部6を座屈し難くすることができる。
【0060】
(7)本実施形態によれば、端縁1aには面取り11が形成されている。これにより、ソフトトレイ1を上下に重ねるとき、上側のソフトトレイ1の端縁1aと下側のソフトトレイ1の端縁1aとの間に面取り11が位置する凹形状となる。従って、凹形状となった上側のソフトトレイ1の端縁と下側のソフトトレイ1の端縁1aとの間に面取り11をガイドにして鋭利な部材を挿入し易くすることができる。その結果、重なったソフトトレイ1を分離し易くすることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図3を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第2凹部7及び第3凹部9の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0062】
図3(a)はソフトトレイの第2凹部を示す要部模式断面図である。すなわち、本実施形態では、図3(a)に示すように、ソフトトレイ14は端縁14aを有し、端縁14aに第1凸部15が形成されている。そして、第1凸部15が形成された面と反対側の面には第1凸部15と対向する場所に第2凹部16が形成されている。そして、第2凹部16の側面の入口には第3凸部17が形成されている。端縁14a、第1凸部15、第2凹部16はそれぞれ第1の実施形態における端縁1a、第1凸部5、第2凹部7に相当する部位である。
【0063】
ソフトトレイ14を重ねるとき第1凸部15と第2凹部16とが重なる。第1凸部15が第2凹部16に入り込むとき第1凸部15は第3凸部17にあたる。従って、第1凸部15は第2凹部16に入り込めないようになっている。
【0064】
図3(b)はソフトトレイの第3凹部を示す要部模式断面図である。すなわち、本実施形態では、図3(b)に示すように、ソフトトレイ14は枠部18を有し、枠部18に第2凸部19が形成されている。そして、第2凸部19が形成された面と反対側の面には第2凸部19と対向する場所に第3凹部20が形成されている。そして、第3凹部20の側面の入口には第4凸部21が形成されている。枠部18、第2凸部19、第3凹部20はそれぞれ第1の実施形態における枠部4、第2凸部6、第3凹部9に相当する部位である。
【0065】
ソフトトレイ14を重ねるとき第2凸部19と第3凹部20とが重なる。第2凸部19が第3凹部20に入り込むとき第2凸部19は第4凸部21にあたる。従って、第2凸部19は第3凹部20に入り込めないようになっている。
【0066】
次に、第1凸部15の製造方法を説明する。図3(c)〜図3(e)はソフトトレイの製造方法を説明するための要部模式断面図である。図3(c)に示すようにソフトトレイ14を形成する金型22を用意する。金型22には第1凸部15及び第2凹部16を形成するための突起22aが形成されている。そして、突起22aには第3凸部17を形成するための凹部22bが形成されている。突起22aの内部には気体を流動させる配管22cが形成されている。
【0067】
次に、ソフトトレイ14の原料となるフィルムを加熱して柔らかくした後、フィルムを金型22に被せる。続いて、フィルムと金型22との間を減圧する。突起22aにおいても配管22cから気体を吸引しても良い。これにより、フィルムが金型22に密着して凹凸が転写される。そして、突起22aと同じ形状に第2凹部16が形成され、凹部22bと同じ形状に第3凸部17が形成される。次に、フィルムを冷却することによりフィルムが固化しソフトトレイ14が形成される。
【0068】
続いて、図3(e)に示すように、金型22からソフトトレイ14を剥離する。このとき、配管22cから圧縮空気を金型22とソフトトレイ14との間に流動させる。これにより、凹部22bから第3凸部17がはずれ易くなるので、第2凹部16を突起22aから離すことができる。尚、第2凸部19においても第3凸部17と同様な方法にて第4凸部21を形成することができる。詳細な説明は省略する。
【0069】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ14は第1凸部15と対向する場所に第2凹部16を備えている。これにより、ソフトトレイ14を上下に重ねたとき第2凹部16と第1凸部15とが重なる。そして、第2凹部16には第3凸部17が形成されている。これにより、第1凸部15が第2凹部16に挿入されるとき第1凸部15は第3凸部17と接触するので、第1凸部15は第2凹部16に入り難くなっている。従って、上下に重なったソフトトレイ14に隙間を生じさせることができる。
【0070】
(2)本実施形態によれば、第3凸部17は第2凹部16の入口に形成されている為、第1凸部15は入口において第2凹部16に入り難くなっている。従って、第3凸部17が第2凹部16の中程に形成されているときに比べて、第1凸部15が第2凹部16に入る長さを短くすることができる。その結果、ソフトトレイ14を上下に重ねるとき隙間を大きくすることができる。
【0071】
(3)本実施形態によれば、ソフトトレイ14は第2凸部19と対向する場所に第3凹部20を備えている。これにより、ソフトトレイ14を上下に重ねたとき第3凹部20と第2凸部19とが重なる。そして、第3凹部20には第4凸部21が形成されている。これにより、第2凸部19が第3凹部20に挿入されるとき第2凸部19は第4凸部21と接触するので、第2凸部19は第3凹部20に入り難くなっている。従って、第3凹部20及び第2凸部19を介して下側のソフトトレイ14が上側のソフトトレイ14を支持することができる為、上側のソフトトレイ14を撓み難くすることができる。
【0072】
(4)本実施形態によれば、第4凸部21が第3凹部20の入口に形成されている為、第2凸部19は入口において第3凹部20に入り難くなっている。従って、第4凸部21が第3凹部20の中程に形成されているときに比べて、第2凸部19が第3凹部20に入る長さを短くすることができる。その結果、ソフトトレイ14を上下に重ねるとき、第3凹部20及び第2凸部19を介して下側のソフトトレイ14が上側のソフトトレイ14を確実に支持することができる為、上側のソフトトレイ14を撓み難くすることができる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図4を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第2凹部7及び第3凹部9の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0074】
図4(a)はソフトトレイの第2凹部を示す要部模式断面図である。すなわち、本実施形態では、図4(a)に示すように、ソフトトレイ25は端縁25aを有し、端縁25aに第1凸部26が形成されている。そして、第1凸部26が形成された面と反対側の面には第1凸部26と対向する場所に第2凹部27が形成されている。そして、ソフトトレイ25の第1凸部26が形成されている側の面の上面25bとし、第2凹部27が形成されている側の面を下面25cとする。上面25bは第1の実施形態における上面1bに相当する。
【0075】
第1凸部26はソフトトレイ25の平面視において外周に囲まれた面積が根元26bから先端26aに進むに従って広くなるように形成されている。従って、第2凹部27の入口27aは第2凹部27の奥の場所より狭くなっている。第1凸部26の先端26aは第2凹部27の奥より広いので、第2凹部27の入口27aは第1凸部26の先端26aより狭くなっている。尚、端縁25a、第1凸部26、第2凹部27はそれぞれ第1の実施形態における端縁1a、第1凸部5、第2凹部7に相当する部位である。
【0076】
ソフトトレイ25を重ねるとき第1凸部26と第2凹部27とが重なる。第1凸部26の先端26aは第2凹部27の入口27aより広くなっている。従って、第1凸部26は第2凹部27に入り込めないようになっている。
【0077】
図4(b)はソフトトレイの第3凹部を示す要部模式断面図である。すなわち、本実施形態では、図4(b)に示すように、ソフトトレイ25は枠部28を有し、枠部28の上面25bには第2凸部29が形成されている。そして、第2凸部29が形成された面と反対側の下面25cには第2凸部29と対向する場所に第3凹部30が形成されている。尚、枠部28、第2凸部29、第3凹部30はそれぞれ第1の実施形態における枠部4、第2凸部6、第3凹部9に相当する部位である。
【0078】
第2凸部29は、ソフトトレイ25の平面視において外周に囲まれた面積が根元29bから先端29aに進むに従って広くなるように形成されている。従って、第3凹部30の入口30aは第3凹部30の奥の場所より狭くなっている。第2凸部29の先端29aは第3凹部30の奥より広いので、第3凹部30の入口30aは第2凸部29の先端29aより狭くなっている。
【0079】
ソフトトレイ25を重ねるとき第2凸部29と第3凹部30とが重なる。第2凸部29の先端29aは第3凹部30の入口30aより広くなっている。従って、第2凸部29は第3凹部30に入り込めないようになっている。
【0080】
次に、第1凸部26の製造方法を説明する。図4(c)〜図4(e)はソフトトレイの製造方法を説明するための要部模式断面図である。図4(c)に示すようにソフトトレイ25を形成する金型31を用意する。金型31には第1凸部26及び第2凹部27を形成するための突起31aが形成されている。そして、突起31aの側面31bは突起31aが突出する方向に対して傾いた斜面となっている。突起31aの内部には気体を流動させる配管31cが形成されている。
【0081】
次に、図4(d)に示すように、ソフトトレイ25の原料となるフィルムを加熱して柔らかくした後、フィルムを金型31に被せる。続いて、フィルムと金型31との間を減圧する。突起31aにおいても配管31cから気体を吸引しても良い。これにより、フィルムが金型31に密着して凹凸が転写される。そして、突起31aと同じ形状に第2凹部27が形成される。次に、フィルムを冷却することによりフィルムが固化しソフトトレイ25が形成される。
【0082】
続いて、図4(e)に示すように、金型31からソフトトレイ25を剥離する。このとき、配管31cから圧縮空気を金型31とソフトトレイ25との間に流動させる。これにより、第1凸部26を突起31aから離すことができる。尚、第2凸部29においても第2凹部27と同様な方法にて第3凹部30を形成することができる。詳細な説明は省略する。
【0083】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ25は第1凸部26と対向する場所に第2凹部27を備えている。これにより、ソフトトレイ25を上下に重ねたとき第2凹部27と第1凸部26とが重なる。そして、第1凸部26の外周に囲まれた面積は根元26bから先端26aに進むに従って広くなっている。従って、ソフトトレイ25を上下に重ねるとき第1凸部26の先端が第2凹部27の入口27aに入り難くなっている。従って、上下に重なったソフトトレイ25に隙間を生じさせることができる。
【0084】
(2)本実施形態によれば、ソフトトレイ25は第2凸部29と対向する場所に第3凹部30を備えている。これにより、ソフトトレイ25を上下に重ねたとき第2凸部29と第3凹部30とが重なる。そして、第2凸部29の外周に囲まれた面積は根元29bの面積より先端29aの面積が広い為、ソフトトレイ25を上下に重ねるとき第2凸部29の先端が第3凹部30の入口30a根元に入り難くなっている。従って、ソフトトレイ25を上下に重ねるとき、第2凸部29を介して下側のソフトトレイ25が上側のソフトトレイ25を確実に支持することができる為、上側のソフトトレイ25を撓み難くすることができる。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図5を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第1凸部5及び第2凸部6の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0086】
図5(a)はソフトトレイの第1凸部を示す要部模式平面図である。すなわち、本実施形態では、図5(a)に示すように、ソフトトレイ34は外周に端縁35を備えている。そして、端縁35には第1凸部36が形成されている。第1凸部36は8つの角部36aを備えた多角形となっている。第1凸部36は角柱であり、角柱の角部36aは直線部分に比べてZ方向に曲がり難いため、角部36aにて荷重を支えることができる。その結果、第1凸部36を座屈し難くすることができる。
【0087】
図5(b)はソフトトレイの第2凸部を示す要部模式平面図である。図5(b)に示すように、ソフトトレイ34は枠部37を備えている。そして、枠部37には第2凸部38が形成されている。第2凸部38は20個の角部38aを備えた多角形となっている。第2凸部38は角柱であり、角柱の角部38aは直線部分に比べてZ方向に曲がり難いため、角部38aにて荷重を支えることができる。その結果、第2凸部38を座屈し難くすることができる。尚、角部38aの数は多い程良く、5つ以上設置されるのが好ましい。
【0088】
図5(c)はソフトトレイの第1凸部を示す要部模式平面図である。図5(c)に示すように、ソフトトレイ39は外周に端縁40を備えている。そして、端縁40には第1凸部41が形成されている。ソフトトレイ39の平面視において第1凸部41の側面41aは曲線となる曲面となっている。第1凸部41は柱であり、第1凸部41の側面41aは平面のときに比べて曲面のときの方がZ方向に曲がり難いため、側面41aにて荷重を支えることができる。その結果、第1凸部41を座屈し難くすることができる。
【0089】
図5(d)はソフトトレイの第2凸部を示す要部模式平面図である。図5(d)に示すように、ソフトトレイ39は枠部42を備えている。そして、枠部42には第2凸部43が形成されている。第2凸部43の側面43aはソフトトレイ39の平面視において曲線となる曲面となっている。第2凸部43は柱であり、第2凸部43の側面43aは平面のときに比べて曲面のときの方がZ方向に曲がり難いため、側面43aにて荷重を支えることができる。その結果、第2凸部43を座屈し難くすることができる。
【0090】
(第5の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図6を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第1凸部5及び第2凸部6の向きが異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0091】
図6(a)はソフトトレイの構造を示す模式平面図であり、図6(b)はソフトトレイの構造を示す模式側面図である。図6(c)はソフトトレイの構造を示す模式断面図であり、図6(a)のB−B’線に沿った面における模式断面図である。図6(b)及び図6(c)は3個のソフトトレイが重なった状態を示している。
【0092】
図6に示すように、ソフトトレイ46は矩形に形成されており、矩形の辺に沿う4つの端縁46aを備えている。ソフトトレイ46には6つの第1凹部47が形成され、第1凹部47には電子部品3が配置される。各第1凹部47の間には枠部48が形成されている。ソフトトレイ46に第1凹部47が配置された側であるZ方向を向く面を上面46bとし、上面46bとは反対側の面を下面46cとする。
【0093】
端縁46aにはソフトトレイ46の外周と直交する方向に延在する第1凸部49が形成されている。第1凸部49は4つの端縁46aそれぞれに複数形成されている。第1凸部49は下面46c側に突出するように形成されている。そして、第1凸部49の上面46b側には第2凹部50が配置されている。そして、ソフトトレイ46を同じ向きに重ねたとき、第1凸部49は第2凹部50に入り込まないようになっている。
【0094】
ソフトトレイ46の枠部48の下面46cには4つの第2凸部51が形成されている。第2凸部51は第1凹部47以外の領域であり、電子部品3が収納されない場所となっている。第2凸部51は下面46c側に突出するように形成されている。そして、第2凸部51の上面46b側には第3凹部52が配置されている。そして、ソフトトレイ46を同じ向きに重ねたとき、第2凸部51は第3凹部52に入り込まないようになっている。
【0095】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ46では第1凸部49が端縁46aに形成されている。従って、ソフトトレイ46を上下に積み重ねても、第1凸部49が上側のソフトトレイ46と下側のソフトトレイ46との間に隙間を生じさせる。従って、ソフトトレイ46は上下に積み重ねても容易に分離することができる。
【0096】
(2)本実施形態によれば、枠部48に第2凸部51が形成されている。そして、ソフトトレイ46を重ねたとき第2凸部51が上側のソフトトレイ46を支える。従って、下側のソフトトレイが上側のソフトトレイ46が下側に撓むことを抑える。従って、電子部品3を入れたソフトトレイ46は上下に積み重ねても撓み難くなる為、ソフトトレイ46が変形することを防止できる。
【0097】
(第6の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図7を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第1凸部5の向きが異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0098】
図7(a)はソフトトレイの構造を示す模式平面図であり、図7(b)はソフトトレイの構造を示す模式側面図である。図7(c)はソフトトレイの構造を示す模式断面図であり、図7(a)のC−C’線に沿った面における模式断面図である。図7(b)及び図7(c)は3個のソフトトレイが重なった状態を示している。
【0099】
図7に示すように、ソフトトレイ55は矩形に形成されており、矩形の辺に沿う4つの端縁55aを備えている。ソフトトレイ55には6つの第1凹部56が形成され、第1凹部56には電子部品3が配置される。各第1凹部56の間には枠部57が形成されている。ソフトトレイ55に第1凹部56が配置された側であるZ方向を向く面を上面55bとし、上面55bとは反対側の面を下面55cとする。
【0100】
端縁55aにはソフトトレイ55の外周と直交する方向に延在して第1凸部58が形成されている。第1凸部58は4つの端縁55aのそれぞれに複数形成されている。第1凸部58は下面55c側に突出するように形成されている。そして、第1凸部58の上面55b側には第2凹部59が形成されている。そして、ソフトトレイ55を同じ向きに重ねたとき、第1凸部58は第2凹部59に入り込まないようになっている。
【0101】
ソフトトレイ55の枠部57の上面55bには4つの第2凸部60が形成されている。第2凸部60は第1凹部56以外の領域であり、電子部品3が収納されない場所となっている。第2凸部60は上面55b側に突出するように形成されている。そして、第2凸部60の下面55c側には第3凹部61が形成されている。そして、ソフトトレイ55を同じ向きに重ねたとき、第2凸部60は第3凹部61に入り込まないようになっている。
【0102】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ55では第1凸部58が端縁55aに形成されている。従って、ソフトトレイ55を上下に積み重ねても、第1凸部58が上側のソフトトレイ55と下側のソフトトレイ55との間に隙間を生じさせる。従って、ソフトトレイ55は上下に積み重ねても容易に分離することができる。
【0103】
(2)本実施形態によれば、枠部57に第2凸部60が形成されている。そして、ソフトトレイ55を重ねたとき第2凸部60が上側のソフトトレイ55を支える。従って、下側のソフトトレイが上側のソフトトレイ55が下側に撓むことを抑える。従って、電子部品3を入れたソフトトレイ55は上下に積み重ねても撓み難くなる為、ソフトトレイ55が変形することを防止できる。
【0104】
(第7の実施形態)
次に、ソフトトレイの一実施形態について図8を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第2凸部6の向きが異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0105】
図8(a)はソフトトレイの構造を示す模式平面図であり、図8(b)はソフトトレイの構造を示す模式側面図である。図8(c)はソフトトレイの構造を示す模式断面図であり、図8(a)のD−D’線に沿った面における模式断面図である。図8(b)及び図8(c)は3個のソフトトレイが重なった状態を示している。
【0106】
図8に示すように、ソフトトレイ63は矩形に形成されており、矩形の辺に沿う4つの端縁63aを備えている。ソフトトレイ63には6つの第1凹部64が形成され、第1凹部64には電子部品3が配置される。各第1凹部64の間には枠部65が形成されている。ソフトトレイ63に第1凹部64が配置された側であるZ方向を向く面を上面63bとし、上面63bとは反対側の面を下面63cとする。
【0107】
端縁63aにはソフトトレイ63の外周と直交する方向に延在する第1凸部66が形成されている。第1凸部66は4つの端縁63aのそれぞれに複数形成されている。第1凸部66は上面63b側に突出するように形成されている。そして、第1凸部66の下面63c側には第2凹部67が形成されている。そして、ソフトトレイ63を同じ向きに重ねたとき、第1凸部66は第2凹部67に入り込まないようになっている。
【0108】
ソフトトレイ63の枠部65の下面63c側には4つの第2凸部68が形成されている。第2凸部68は第1凹部64以外の領域であり、電子部品3が収納されない場所となっている。第2凸部68は下面63c側に突出するように形成されている。そして、第2凸部68の上面63b側には第3凹部69が形成されている。そして、ソフトトレイ63を同じ向きに重ねたとき、第2凸部68は第3凹部69に入り込まないようになっている。
【0109】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ソフトトレイ63では第1凸部66が端縁63aに形成されている。従って、ソフトトレイ63を上下に積み重ねても、第1凸部66が上側のソフトトレイ63と下側のソフトトレイ63との間に隙間を生じさせる。従って、ソフトトレイ1は上下に積み重ねても容易に分離することができる。
【0110】
(2)本実施形態によれば、枠部65に第2凸部68が形成されている。そして、ソフトトレイ63を重ねたとき第2凸部68が上側のソフトトレイ63を支える。従って、下側のソフトトレイが上側のソフトトレイ63が下側に撓むことを抑える。従って、電子部品3を入れたソフトトレイ63は上下に積み重ねても撓み難くなる為、ソフトトレイ63が変形することを防止できる。
【0111】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1凸部5の個数はX側と−X側にそれぞれ6つ形成され、Y側と−Y側にそれぞれ4つ形成されている。各辺における第1凸部5の個数は1から3個、5個、7個以上でも良く。端縁1aの間に隙間を形成し、隙間に鋭利な部材を挿入することが可能であればよい。各辺における第1凸部5の個数は2つ以上が好ましい。第1凸部5の間に隙間を形成することができる。
【0112】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、第1凸部5はX側と−X側との端縁1aに形成され、Y側と−Y側との端縁1aに形成されている。第1凸部5はX側と−X側との端縁1aだけでも良く。または、第1凸部5はY側と−Y側との端縁1aだけでも良い。このときにも、ソフトトレイ1を対向する両側から保持することができるので、重なったソフトトレイ1を容易に分離することができる。
【0113】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、第2凸部6の個数は4個配置された。第2凸部6の個数は特に限定されず、1個〜3個でも良く、5個以上でも良い。第2凸部6の個数が多い方が保持するソフトトレイ1の荷重を分散できるので第2凸部6を座屈し難くすることができる。
【0114】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、第1凹部2には電子部品3が配置された。第1凹部2に配置する物品は電子部品3に限定されない。電子部品3以外の部品や製品を配置しても良い。ソフトトレイ1は各種物品の搬送に用いることができる。
【0115】
(変形例5)
前記第4の実施形態では、第1凸部36は8つの角部36aを備えた多角形となっている。角部36aの数は8つに限らず、5個から7個でも良く、9個以上でも良い。角部36aを配置し易い個数に設定しても良い。第2凸部38は20個の角部38aを備えた多角形となっている。角部38aの数は20個に限らず、5個から19個でも良く、21個以上でも良い。角部36aを配置し易い個数に設定しても良い。また、第1凸部36は角部36aと曲面をと組み合わせても良い。同様に、第2凸部38も角部38aと曲面とを組み合わせても良い。この場合にも第1凸部36及び第2凸部38が座屈し難くすることができる。
【符号の説明】
【0116】
1,14,25,34,39,46,55,63…ソフトトレイ、1a,14a,25a,35,40,46a,55a,63a…端縁、1b,25b,46b,55b,63b…上面、2,47,56,64…第1凹部、6,19,29,38,43,51,60,68…第2凸部、7,16,27,50,59,67…第2凹部、9,20,30,52,61,69…第3凹部、11…面取り、15,26,36,41,49,58,66…第1凸部、17…第3凸部、21…第4凸部、25c,46c,55c,63c…下面、38a…角部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に第1凹部を有し、外周に4つの端縁を有する矩形のソフトトレイであって、
前記4つの端縁のうち少なくとも平行な2つの端縁に形成された第1凸部と、
前記第1凹部以外の領域に形成された第2凸部と、を備え、
前記ソフトトレイを同一の向きに上下に積み重ねたときに前記端縁において前記第1凸部は上側の前記ソフトトレイと下側の前記ソフトトレイとの間に隙間を生じさせ、前記第2凸部は前記上側のソフトトレイが前記下側のソフトトレイの向きに撓むことを抑えることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のソフトトレイであって、
前記第1凸部は前記4つの端縁のうち少なくとも平行な2つの端縁のそれぞれに複数形成されていることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のソフトトレイであって、
前記第1凸部が形成された面の反対側の面には前記第1凸部と対向する場所に第2凹部を備え、
前記第2凸部が形成された面の反対側の面には前記第2凸部と対向する場所に第3凹部を備え、
前記第1凸部を前記第2凹部に挿入するとき、前記第1凸部が第2凹部に入る長さは前記第1凸部の高さの1/2以下であり、
前記第2凸部を前記第3凹部に挿入するとき、前記第2凸部が第3凹部に入る長さは前記第2凸部の高さの1/2以下であることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項4】
請求項2に記載のソフトトレイであって、
前記第1凸部が形成された面の反対側の面には前記第1凸部と対向する場所に第2凹部を備え、
前記第2凸部が形成された面の反対側の面には前記第2凸部と対向する場所に第3凹部を備え、
前記第2凹部の側面には第3凸部が形成され、第3凹部の側面には第4凸部が形成されていることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項5】
請求項4に記載のソフトトレイであって、
第3凸部は第2凹部の入口に形成され、第4凸部は第3凹部の入口に形成されていることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項6】
請求項2に記載のソフトトレイであって、
前記第1凸部及び前記第2凸部の平面視における外周に囲まれた面積は根元より先端が広いことを特徴とするソフトトレイ。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載のソフトトレイであって、
前記第2凸部は複数形成されていることを特徴とするソフトトレイ。
【請求項8】
請求項3〜6のいずれか一項に記載のソフトトレイであって、
平面視における前記第2凸部は5つ以上の角部を有することを特徴とするソフトトレイ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のソフトトレイであって、
前記端縁には外周に沿って面取りが形成されていることを特徴とするソフトトレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52907(P2013−52907A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192539(P2011−192539)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】