説明

ソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットと、それを使用するソーラーパネルの傾斜角度調整装置

【課題】ソーラーパネルの傾斜角度の調整を、簡単な手段で行う。
【解決手段】ソーラーパネル30の傾斜角度調整ユニット1は、ソーラーパネル30を取り付け、軸32、32を有するフレームと、軸32、32を回転自在に支持するブラケット44、44とを主要部材としてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ソーラーパネルを設置する場合において、発電効率を向上させるために有用なソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットと、それを使用するソーラーパネルの傾斜角度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ソーラーパネルの発電効率は、太陽光の照射方向とソーラーパネルの傾斜角度によって大きく変動するため、太陽光の照射方向にソーラーパネルを直角方向に近づけるように調整する装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−207801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術によるときは、装置は複雑で、ソーラーパネルの自由な配置も困難であるため、一般家庭には不適であるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、屋根のサイズや形状にかかわらず、配置したソーラーパネルの傾斜角度の調整を、簡単な手段で行うことができるソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットと、それを使用するソーラーパネルの傾斜角度調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明(請求項1に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、ソーラーパネルを取り付け、軸を有するフレームと、軸を回転自在に支持するブラケットとを備えてなり、軸を回転することによって、フレームを揺動させることをその要旨とする。
【0007】
第2発明(請求項2に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、第1発明に係る複数のソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットと、傾斜角度調整ユニットを設置する架台フレームと、傾斜角度調整ユニットの軸に固定するレバーと、レバーを連結する共通の駆動リンクとを備えてなり、駆動リンクを前後動することによって、レバーを介して、傾斜角度調整ユニットのフレームを揺動させることをその要旨とする。
【0008】
なお、レバーが固定されている傾斜角度調整ユニットに対して、第1発明に係るソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットを連結して連動させてもよい。
【0009】
また、駆動リンクは、補助リンクを介して、駆動モータによって回転するクランクと連結してもよい。
【発明の効果】
【0010】
かかる第1発明の構成によるときは、軸の回転によって、ソーラーパネルを取り付けるフレームを揺動させるという簡単な機構によって、1枚単位でソーラーパネルの傾斜角度を調整する傾斜角度調整ユニットができ、傾斜角度調整ユニットを屋根のサイズや形状に合わせて配置することによって、傾斜角度調整装置を形成することができる。
【0011】
第2発明の構成によるソーラーパネルの傾斜角度調整装置は、複数の傾斜角度調整ユニットに取り付けられているソーラーパネルの傾斜角度を一斉に、同一の角度に調整することができ、発電効率の良い角度に設定すれば、効率よく発電することができる。
【0012】
レバーが固定されている傾斜角度調整ユニットに対して、別の傾斜角度調整ユニットを連結して連動させることによって、さらに多数のソーラーパネルに対して傾斜角度を調整することができる。
【0013】
補助リンクを介して、駆動リンクと駆動モータによって回転するクランクとを連結することによって、フレームを揺動する機構は、駆動モータの回転方向がどちらであっても、フレームの揺動範囲は、変わらない。したがって、駆動モータが逆回転しても部品破損の心配がなく頑丈で壊れない構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】要部拡大図(1)
【図2】動作説明図(1)
【図3】要部拡大図(2)
【図4】要部拡大図(3)
【図5】要部拡大図(4)
【図6】要部拡大図(5)
【図7】ソーラーパネル配置図(1)
【図8】要部拡大図(6)
【図9】動作説明図(2)
【図10】ソーラーパネル配置図(2)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
ソーラーパネル30の傾斜角度調整ユニット1は、ソーラーパネル30を取り付け、軸32、32を有するフレーム31と、軸32、32を回転自在に支持するブラケット44、44とを主要部材としてなる(図1)。
【0017】
傾斜角度調整ユニット1のブラケット44、44は、2箇所の雌ねじが加工されている四角形のプレート26a、26aが取付金具42、42の中に挿入され、ブラケット44、44の下面と取付金具42、42の上面とがボルト26、26…とプレート26a、26aとによって、挟み込まれ締め付けられていることによって取付金具42、42の上に設置されている。ブラケット44、44は、フレーム31が有する軸32、32が回転自在となるように支持している。
【0018】
傾斜角度調整ユニット1のソーラーパネル30は、横方向がアルミニウムの形材30a、30aによって、縦方向がプレート30b、30bによって、形材30a、30aの端部が覆われている枠に収容されている。ソーラーパネル30は、横方向の両側から形材30a、30aの溝に挟み込まれて収容され(図2)、形材30a、30aがフレーム31に固定されることによって、フレーム31に取り付けられている。
【0019】
フレーム31が有する軸32、32は、フレーム31の横方向の両端に、固定されている(図1)。軸32、32には、プレート33、33が溶接で取り付けられており、プレート33、33がフレーム31に取り付けられていることにより、軸32、32は、フレーム31に固定されている。また、ブラケット44、44には、取付金具42、42と反対側に無給油タイプのブッシュ32a、32a…が装着されている。そして、軸32、32は、ブラケット44、44と回転自在に支持されており、軸32、32が固定されているフレーム31は、ブラケット44、44に対して揺動自在となっている。
【0020】
ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置は、複数のソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整ユニット1、1…と、該傾斜角度調整ユニット1、1…を設置する架台フレーム40と、傾斜角度調整ユニット1、1…の軸32、32…に固定するレバー24、24…と、レバー24、24…を連結する共通の駆動リンク23とを主要部材としてなる(図2)。
【0021】
ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置は、架台フレーム40に設置されている(図1)。なお、図1は、図2のX−X矢視断面図である。傾斜角度調整装置の架台フレーム40は、縦横に固定されている支持金具41、41…と取付金具42、42…とによって、形成されている。ここで、支持金具41、41…は、屋根を構成する部材Rに直接に固定され、支持金具41、41…に対して取付金具42、42…が固定されている。なお、支持金具41、41…と、取付金具42、42…とは、リップ溝形鋼であって、雌ねじが加工されている四角形のプレート43a、43a…を支持金具41、41…の中に挿入して、取付金具42、42…の下面と支持金具41、41…の上面をボルト43、43…とプレート43a、43a…で挟み込み締め付ければ、プレート43a、43a…が角パイプの支持金具41、41…の側面でまわり止めされ、取付金具42、42…は、容易に支持金具41、41…の任意の場所に取り付けられる。なお、取付金具42、42…は、傾斜角度調整ユニット1のブラケット44、44が設置される取付け寸法に合わせて取り付けられている。
【0022】
傾斜角度調整装置の複数の傾斜角度調整ユニット1、1…は、同一の間隔で架台フレーム40を構成する取付金具42、42…に設置されている(図2)。
【0023】
傾斜角度調整装置の傾斜角度調整ユニット1の各レバー24は、各フレーム31が有する軸32、32の一方に、スペーサ24cを介して割り締めで固定されている。また、軸32、32の端部は、ワッシャ32b、32bがボルト32c、32cによって取り付けられ、軸32、32がブラケット44、44に対して抜け止めされている。したがって、傾斜角度調整ユニット1のブラケット44、44と回転自在に支持されている軸32、32を有するフレーム31は、軸32に固定されているレバー24を介して揺動させることができる。
【0024】
傾斜角度調整装置の複数の傾斜角度調整ユニット1、1…のレバー24、24…を連結する共通の駆動リンク23は、傾斜角度調整ユニット1、1…と同一の間隔で、無給油タイプのブッシュ24b、24b…が装着されている(図2、図3)。なお、図3は、図2のY矢視拡大図である。そして、駆動リンク23は、レバー24、24…の軸32、32…と反対側に取り付けられているピン24a、24a…が駆動リンク23に装着されているブッシュ24b、24b…の中を回転自在となるように、レバー24、24…と連結されている(図1、図2)。したがって、ソーラーパネル30、30…が取り付けられているフレーム31、31…は、駆動リンク23が前後動することによって、レバー24、24…を介して、軸32、32…を中心として、一斉に、同一の揺動を行うことが可能となっている。
【0025】
駆動リンク23は、補助リンク22を介して、駆動モータ11によって回転するクランク21と連結することができる。ここで、駆動リンク23の補助リンク22と連結している側の端部には、無給油タイプのブッシュ22bが装着されている(図3)。補助リンク22は、ピン22aがブッシュ22bの中を回転自在となるように駆動リンク23を両側から支持し、駆動リンク23と連結されている。
【0026】
補助リンク22のピン22aと反対側には、無給油タイプのブッシュ21bが装着され、クランク21は、ピン21aがブッシュ21bの中を回転自在となるように補助リンク22と連結されている。したがって、駆動リンク23は、補助リンク22を介して、クランク21と連結している。
【0027】
駆動モータ11と減速機12が取り付けられているフレーム13は、ボルト43、43…とプレート43a、43a…によって、支持金具41、41に直接取り付けられている(図4)。なお、図4は、図3のZ矢視図である。フレーム13には、フレーム13に垂直な3枚のプレート13a1 、13a2 、13a3 が溶接で固定されており、駆動モータ11は、プレート13a2 に付設され、減速機12は、プレート13a1 に付設されている(図3)。なお、フレーム13は、駆動モータ11と減速機12を屋外に設置できるように、カバー14がプレート13a1 とプレート13a3 とに対して取り付けられている。また減速機12は、駆動モータ11とジョイント11aによって連結されている。そして、クランク21は、減速機12のキー付の出力軸12aに取り付けられている。したがって、駆動モータ11の回転は、減速機12によって減速され、クランク21は、減速機12によって出力される出力軸12aと同一の回転をする。また、減速機12は、ウオームタイプのため、駆動モータ11が停止している場合に、外部にブレーキがなくても、出力軸12aの位置を保持することができる。なお、減速機12は、グリスが封入されているタイプのため、オイルの交換は不要である。
【0028】
前記のような構成によって(図2)、駆動モータ11によって回転するクランク21が回転することにより、補助リンク22は、クランク21の回転を駆動リンク23に伝動し、駆動リンク23は、レバー24、24…に拘束され、前後動する。そして、駆動リンク23は、フレーム31、31…が有する軸32、32…が回転自在のため、レバー24、24…を介して、フレーム31、31…を一斉に、同一の角度で揺動させる。そして、フレーム31、31…が揺動するため、フレーム31、31…に取り付けられているソーラーパネル30、30…に対して傾斜角度の調整をすることができる。
【0029】
傾斜角度調整装置の複数の傾斜角度調整ユニット1、1…のレバー24、24…が固定されている傾斜角度調整ユニット1、1…に対して、傾斜角度調整ユニット1、1…を連結して連動させることができる。例えば、傾斜角度調整ユニット1、1を横並びさせ、傾斜角度調整ユニット1、1をジョイント34で連結することもできる(図5)。あるいは、傾斜角度調整ユニット1、1のフレーム31、31が有する軸32は、フレーム31、31に対して共通の軸として配置してもよい(図6)。ここで、図6は、取付部材35、35…によってフレーム31、31を軸32に取り付けしている例を示している。また、図5と図6では、2個のフレーム31、31が取り付けられている例を示しているが、2個に限定するものでない。したがって、傾斜角度調整装置のレバー24、24…が固定されている前記傾斜角度調整ユニット1、1…に対して、傾斜角度調整ユニット1、1…を連結して連動させることによって、例えば、縦4枚と横4枚の合計16枚のソーラーパネル30、30…を一斉に、同一の傾斜角度に調整することができるというソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置を形成することができる(図7)。ただし、図7では、傾斜角度調整ユニット1、1…を横方向に、ジョイント34で連結している例を示している。また、図7における傾斜角度調整装置では、フレーム31、31…が揺動する場合において、駆動リンク23とフレーム31、31…との衝突を避けるため、駆動リンク23は、フレーム31の外側に設置している。
【0030】
前記の実施例では、クランク21が360度回転するのに対して、フレーム31、31…は、正逆合わせて60度の範囲の揺動を行うことができる。したがって、水平面や傾斜のある屋根に設置しても、太陽光の照射方向に対してソーラーパネル30、30…の傾斜角度を十分に調整することができる。また、駆動モータ11の回転方向がどちらであっても、フレーム31、31…の揺動範囲は、変わらない。したがって、駆動モータ11が逆回転しても部品同士が衝突するといった問題は、発生しない。また、架台フレーム40を形成する支持金具41や取付金具42の代わりに、他の鉄鋼材料を使用してもよい。
【0031】
なお、駆動モータ11、減速機12、クランク21、補助リンク22の組合せの代わりに、直線的な動作を行うエアシリンダや電動のリニアアクチュエータによって、駆動リンク23を直接前後動することも可能であり、また、駆動モータ11を一方向の連続的な回転ではなく、回転と、停止と、逆転とを組み合わせることによってフレーム31、31…を揺動させることも可能である。
【0032】
ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置の操作は、手動の遠隔操作によって、ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置の駆動モータ11を回転させ、ソーラーパネル30、30…の電力モニタによって、ソーラーパネル30、30…の傾斜角度と発電効率の確認を行う。発電効率の良い角度を見つけ、その位置で停止する。そうすると、ソーラーパネル30、30…は、かかる角度を保持し、効率よく発電することができる。
【他の実施の形態】
【0033】
傾斜角度調整ユニット1は、2枚のソーラーパネル30、30を取り付けることができる(図8)。
【0034】
また、ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整ユニット1、1…のレバー24、24…の寸法を変更することによって(図9)、フレーム31、31…が揺動する場合であっても、ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置のフレーム31、31…が駆動リンク23と衝突しないように変更すれば、駆動リンク23をフレーム31、31…の下部に設置することができる。そうすると、例えば、寄棟造の屋根に対応するために、不規則にソーラーパネル30、30…を配置することが必要となる場合に(図10)、すべてのソーラーパネル30、30…の傾斜角度を調整するために、フレーム31、31…が有する軸32、32…の都合の良い位置にレバー24、24…を固定し、レバー24、24…を駆動リンク23で連結するというソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置を形成することができる。そうすると、駆動リンク23を前後動することによって、レバー24、24…を介して、傾斜角度調整ユニット1、1…のフレーム31、31…を連動させることができ、フレーム31、31…に取り付けられているすべてのソーラーパネル30、30…を一斉に、同一の傾斜角度に調整することができる。したがって、ソーラーパネル30、30…の傾斜角度調整装置は、屋根のサイズや形状に応じて、ソーラーパネル30、30…の枚数や配置を変えることに対して対応ができるようになるため、さらに柔軟に設置することができる。なお、図10における駆動リンク23、レバー24、24…、軸32、32…は、例示である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、安価で簡単な構造によって、ソーラーパネルの枚数や配置の変更に対応するソーラーパネルの傾斜角度調整装置の提供ができるため、ソーラーパネルの普及に広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…傾斜角度調整ユニット
11…駆動モータ
21…クランク
22…補助リンク
23…駆動リンク
24…レバー
30…ソーラーパネル
31…フレーム
32…軸
40…架台フレーム
44…ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルを取り付け、軸を有するフレームと、前記軸を回転自在に支持するブラケットとを備えてなり、前記軸を回転することによって、前記フレームを揺動させることを特徴とするソーラーパネルの傾斜角度調整ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の複数のソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットと、該傾斜角度調整ユニットを設置する架台フレームと、前記傾斜角度調整ユニットの前記軸に固定するレバーと、該レバーを連結する共通の駆動リンクとを備えてなり、該駆動リンクを前後動することによって、前記レバーを介して、前記傾斜角度調整ユニットの前記フレームを揺動させることを特徴とするソーラーパネルの傾斜角度調整装置。
【請求項3】
前記レバーが固定されている前記傾斜角度調整ユニットに対して、請求項1記載のソーラーパネルの傾斜角度調整ユニットを連結して連動させることを特徴とする請求項2記載のソーラーパネルの傾斜角度調整装置。
【請求項4】
前記駆動リンクは、補助リンクを介して、駆動モータによって回転するクランクと連結することを特徴とする請求項2または請求項3記載のソーラーパネルの傾斜角度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−253997(P2011−253997A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127962(P2010−127962)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(594024796)株式会社テイビョウ (2)
【出願人】(398069447)株式会社キャダック (14)
【Fターム(参考)】