説明

ゾピクロンの分割方法および中間化合物

本発明は、式(I)の化合物のラセミ化合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための方法に関し:この方法は、ラセミ混合物と式(III)の光学活性アセチル化アミノ酸との反応により生成する式(II)のジアステレオ異性体塩からその1種の鏡像異性体を分離することを含む。本発明はまた、本発明の方法を行うのに有用な新規中間体にも関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、化合物ゾピクロン、6−(5−クロロ−2−ピリジル)−5−[(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルオキシ]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピラジンのラセミ混合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための新規方法、およびその方法を行うのに有用な中間化合物に関する。
【0002】
発明の背景
ゾピクロンという名前でも知られている、一般式(I):
【化1】

の化合物6−(5−クロロ−2−ピリジル)−5−[(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルオキシ]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピラジンは、その催眠作用、鎮静作用、精神安定作用、抗不安作用、筋弛緩作用および抗痙攣作用を特徴とする市販製品である。この化合物は仏国特許文献FR2166314に初めて記載され、この特許文献ではそれを得るための方法ならびに前記有効成分を含んでなる医薬組成物も記載されている。
【0003】
式(I)の化合物は、5H−ピロロ[3,4−b]ピラジン環系の5位に不斉炭素原子を有しており、結果として、この化合物は、ラセミ体で、左旋型と右旋型の等モル混合物からなると考えるべきである。ラセミ生成物では、多くの場合、2種の鏡像異性体のうちの1種に活性があること、そしてこの活性と毒性の増強が関係している可能性があり、もう一方の鏡像異性体は活性が著しく低いかまたは不活性でありかつ毒性が低いことは広く知られている。
【0004】
ゾピクロンの場合では、右旋性鏡像異性体(S−鏡像異性体)は、ラセミ化合物の毒性より低毒性でありながら、ラセミ化合物のおよそ2倍の活性があるが、左旋性異性体は、ほとんど不活性でありかつラセミ化合物より毒性が高いことが見出された。
【0005】
エスゾピクロンとしても知られるゾピクロンの右旋性異性体は、通常の方法(例えばキラル相クロマトグラフィー、光学活性塩の分割、適当な微生物を利用した立体選択的酵素触媒反応、または不斉合成)に従って対応するラセミ化合物から調製し得る。
【0006】
ゾピクロンの様々な鏡像異性体を得るための方法を記載している最初の参照文献は、EP0609210である。より詳しくは、この文献は、光学活性酸、すなわちD−(+)−O,O’−ジベンゾイル−酒石酸を使用し、適当な有機溶媒の存在下で作用させ、右旋性異性体の塩を単離し、その塩からこの異性体を外し、所望により、該異性体を薬学上許容される塩へと変換することによるラセミゾピクロンの分割によりゾピクロンの右旋性異性体を得るための方法について言及している。
【0007】
科学刊行物Chirality, 5,419 (1993)ならびに国際出願WO2005/079851、WO2005/060968およびWO2005/097132では、有機溶媒としてのアセトンとメタノールの混合物の存在下で光学活性酸としてリンゴ酸を使用することによる、エスゾピクロンを提供するためのゾピクロンラセミ混合物の分割を記載している。得られた(S)−ゾピクロン D−リンゴ酸塩は、炭酸カリウム水溶液および酢酸エチルでの処理、続いて分離、結晶化および所望のサイズへの粉砕を行うことにより光学的に純粋なエスゾピクロンへと変換される。
【0008】
米国特許出願US2007/054914は、光学活性酸としてジ−p−トルオイル酒石酸を使用することによるゾピクロンラセミ混合物の分割のための方法について言及している。
【0009】
しかしながら、ラセミゾピクロンの分割を、有機溶媒中で標準的な分割剤、より詳しくはキラル酸、例えばリンゴ酸、ジベンゾイル酒石酸およびジ−p−トルオイル酒石酸を使用する分別結晶により可能にする方法が存在するにもかかわらず、これらの方法では、1回の結晶化により低光学純度の化合物がもたらされ、再現性がほとんどない、結局は高光学純度を得るためにさらなる結晶化処理を行う必要があるということである。従って、より高い光学純度の鏡像異性体を得ることを可能にする改良法を開発することが著しく必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、化合物ゾピクロンのラセミ混合物の分割は、それと光学的にアセチル化されたアミノ酸(an optically acetylated amino acid)とを反応させることによりエナンチオ選択的に達成することができるということを見出した。この方法は、1回目の結晶化でも優れたジアステレオ異性体過剰率および収率をもたらす。前記アセチル化アミノ酸を使用することから得られるもう1つの利点は、本発明の方法で得られるエスゾピクロン塩が水溶性であり、これにより、所望の鏡像異性体を単離する際に後処理が容易になるということである。
【0011】
よって、本発明の目的は、式(I):
【化2】

の化合物のラセミ化合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための方法(以下「本発明の方法」という)に関し、この方法は、式(II):
【化3】

(式中、HXは式(III):
【化4】

(式中:
nは0、1、2または3であり、
はH、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、CONH、COOH、SRまたはORであり、RはC−Cアルキルである)
の光学活性アセチル化アミノ酸である)
のジアステレオ異性体塩からその1種の鏡像異性体を分離することを含む。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、式(I):
【化5】

の化合物のラセミ化合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための方法に関し、この方法は、次の工程:
a)該ラセミ化合物と、式(III):
【化6】

(式中、nおよびRは上記に定義したとおりである)
の光学活性アセチル化アミノ酸の鏡像異性体のいずれかとを反応させる工程;
b)式(II):
【化7】

(式中、HXは式(III)の光学活性アセチル化アミノ酸である)
の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩を単離する工程;および
c)式(II)のそのジアステレオ異性体塩から式(I)の鏡像異性体を分離する工程
を含む。
【0013】
最後に、本発明の他の目的は、本発明に記載した方法を行うのに有用な中間化合物となる式(II)のジアステレオ異性体塩に関する。好ましい態様では、前記塩は、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩または(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩である。
【発明の具体的説明】
【0014】
本発明において使用する式(I)の化合物の上記定義において、次の用語は以下に示す意味を有する。
【0015】
「アルキル」とは、炭素原子と水素原子からなり、不飽和を含まず、1〜8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分と一重結合により結合する直鎖または分岐炭化水素鎖ラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチルなどを指す。「C−Cアルキル」という用語は、アルキルについて定義したとおりであるが1〜6個の炭素原子を有するものである。
【0016】
「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリルまたはアントラシルラジカル、好ましくはフェニルまたはナフチルラジカルを指す。
【0017】
「ヘテロアリール」とは、芳香族複素環ラジカルを指す。複素環とは、炭素原子と、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子からなる安定した3員〜15員環、好ましくは1個以上のヘテロ原子を含む4員〜8員環、より好ましくは1個以上のヘテロ原子を含む5員または6員環を指す。かかる複素環の例としては、限定されるものではないが、アゼピン類、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフランが挙げられる。
【0018】
本発明では、化合物6−(5−クロロ−2−ピリジル)−5−[(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルオキシ]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピラジンのラセミ化合物を、純粋なジアステレオ異性体塩に対応する新規中間体の分別結晶によりその鏡像異性体のうちの1種に分割するための効果的で簡単な新規方法を記載する。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、HXとしても定義される式(III)の光学活性アセチル化アミノ酸は、N−アセチル−D−グルタミン酸、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−D−アスパラギン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸、N−アセチル−D−メチオニンおよびN−アセチル−L−メチオニンから選択される。
【0020】
本発明の特定の実施態様では、本発明の方法に従って得られる鏡像異性体は、(S)−鏡像異性体である。この場合、式(II)のジアステレオ異性体塩は、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩および(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩から選択される。
【0021】
本発明のもう1つの特定の実施態様では、本発明の方法に従って得られる鏡像異性体は、(R)−鏡像異性体である。この場合、式(II)のジアステレオ異性体塩は、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩および(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩から選択される。
【0022】
この文献において提示する分割のための出発材料として使用するラセミ化合物の主成分は、当技術分野の現状において公知のいずれの方法によっても得ることができる。例えば、前記ラセミ化合物は、仏国特許出願FR2166314に記載されているような方法によって得ることができる。
【0023】
式(I):
【化8】

の化合物の分割は、化合物(I)のラセミ化合物または任意の鏡像異性体混合物と、一般式(III):
【化9】

(式中、nは0、1、2または3であり、RはH、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、CONH、COOH、SRまたはORであり、RはC−Cアルキルである)
の光学的に純粋なアセチル化アミノ酸とを、有機溶媒中でまたは有機溶媒の混合物中で反応させることにより行われる。このようにして得られるものは式(II):
【化10】

(式中、HXは式(III)のアセチル化アミノ酸である)
の塩であり、この塩は分別結晶により、その純粋なジアステレオ異性体塩に分離される。
【0024】
式(III)のアセチル化アミノ酸の鏡像異性体のいずれかを用いた式(I)化合物ラセミ混合物からの前記ジアステレオ異性体塩の形成は、有機溶媒の存在下でまたは有機溶媒の混合物中で行われる。本発明の好ましい実施態様では、前記有機溶媒は、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、ハロゲン化溶媒、芳香族溶媒およびそれらの混合物から選択される。より好ましい実施態様では、前記有機溶媒は、メタノール、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、ギ酸エチル、メチルtertブチルエーテル、炭酸ジエチル、クロロベンゼン、ジクロロメタンおよびそれらの混合物から選択される。
【0025】
前記方法の変形では、前記アセチル化アミノ酸の右旋性鏡像異性体を使用する場合には、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アミノ酸ジアステレオ異性体塩が第1に得られる。一方、前記アセチル化アミノ酸の左旋性鏡像異性体を使用する場合には、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アミノ酸ジアステレオ異性体塩が第1に得られる。
【0026】
よって、本発明の特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−D−グルタミン酸を使用する場合には、前記方法の工程b)において(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩が単離される。もう1つの特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−L−グルタミン酸を使用する場合には、工程b)において(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩が単離される。もう1つの特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−D−アスパラギン酸を使用する場合には、工程b)において(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩が単離される。もう1つの特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−L−アスパラギン酸を使用する場合には、工程b)において(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩が単離される。もう1つの特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−D−メチオニンを使用する場合には、工程b)において(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩が単離される。もう1つの特定の実施態様では、式(III)の光学活性アミノ酸としてN−アセチル−L−メチオニンを使用する場合には、工程b)において(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩が単離される。
【0027】
従って、式(III)のアセチル化アミノ酸鏡像異性体の選択に応じて、2種の考えられるジアステレオ異性体塩のうちの1種は1回目の結晶化において分離され、残りのジアステレオ異性体塩は母液に溶解したままであり、これも単離することができる。従って、本発明のもう1つの態様は、式(II)の残りの光学的に純粋なジアステレオ異性体塩の追加の単離工程に関する。残りのジアステレオ異性体塩のこの追加の単離工程は、第一のジアステレオ異性体塩の単離後に生じる母液の濃縮と、前記残りのジアステレオ異性体塩の沈殿を生じさせるためのその後の結晶化を含む。
【0028】
上記の場合に得られる塩は、それらの光学純度を高めるために、好適な溶媒中への単純再懸濁または再結晶化により精製することができる。
【0029】
本発明の特定の実施態様では、本発明の方法から得られた(R)−鏡像異性体は、(S)−鏡像異性体を調製するために再利用し得る。よって、本発明の方法は、式(I)の化合物のラセミ化合物を調製するために(R)−鏡像異性体の追加ラセミ化工程をさらに含み得る。この工程は、(R)−鏡像異性体のキラル炭素の脱プロトン化により行うことができ、そのため平面分子を得るが、この平面分子はラセミ化合物に再び変換されやすい。一度式(I)のラセミ化合物が得られたら、この化合物を(S)−鏡像異性体を単離するために上記の工程a)〜c)に供する。
【0030】
本発明のもう1つの態様は、式(II):
【化11】

(式中、HXは上記に定義したとおりである)
の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩に関する。
【0031】
好ましい実施態様では、前記式(II)塩は、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩または(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩である。
【0032】
これまでに記載した方法は、式(I)の化合物のラセミ混合物の分割を、2種の鏡像異性体のいずれかを得ることにより可能にする。得られる生成物の収率および光学純度、操作の簡易性ならびにこの方法の再現性により産業的観点から適用可能となる。
【0033】
以下の実施例は、本発明のさらなる例示としてのみ示しており、本発明の範囲を定義するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1:(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩の調製
500ml三ツ口フラスコに25gの(±)−ゾピクロン(1当量)および11.3gのN−アセチル−D−アスパラギン酸(1当量)を入れた。363mlのメタノール/トルエン(1/1)混合物を加えた。この反応混合物を室温で10分間攪拌した後、加熱し、還流させながら30分間維持した。この分散液をゆっくりと冷却し、室温で30分以上維持した。この固体生成物を濾過により単離し、10mlのメタノールおよび10mlのトルエンで洗浄した。この固体を真空乾燥させ、白色生成物として15.6gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩(43%)を得た。
【0035】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより99.5%.水分含量:0.6%w/w.融点: 186−189℃. [α]D20: +55° (c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1): 3433, 1741, 1731, 1720, 1675, 1575, 1460, 1373, 1279, 1255, 1031. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.96 (1H, d, 2.4 Hz), 8.93 (1H, d, 2.4 Hz), 8.53 (1H, d, 2.4 Hz), 8.36 (1H, d, 9.2 Hz), 8.14 (1H, 幅の広いシグナル), 8.09 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.4 Hz), 7.78 (1H, s), 4.47-4.41 (1H, m), 3.47 (1H, 幅の広いシグナル), 3.31 (1H, 幅の広いシグナル), 3.14 (2H, 幅の広いシグナル), 2.62 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.50 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.35 (1H, 幅の広いシグナル), 2.32 (1H, 幅の広いシグナル), 2.19 (1H, 幅の広いシグナル), 2.18 (3H, s), 1.89 (1H, 幅の広いシグナル), 1.81 (3H, s). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ (ppm): 172.7, 171.8, 169.0, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.1, 116.1, 79.1, 53.7, 48.6, 45.2, 43.2, 36.6, 22.4. XRPD (2θ): 14.7, 14.8, 17.7, 18.3, 18.7, 19.2, 19.8, 21.5, 24.4, 25.1, 25.9, 26.2, 27.3, 33.1±0.2に主要なピーク
【0036】
実施例2:(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩の調製
実施例1の調製の母液から160mlのメタノール/トルエン混合物を大気圧で留出した。得られた混合物から淡褐色固体が結晶化した。この分散液を室温で冷却した。この固体を濾過により単離し、10mlのメタノールおよび10mlのトルエンで洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、灰白色固体として15.8gの白色固体(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩(44%)を得た。
【0037】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより86.3%.水分含量:6.3%w/w.融点:176−177℃. [α]D20: -72.5° (c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1): 3433, 3068, 2860, 1741, 1732, 1720, 1675, 1577, 1461, 1373, 1255, 1144, 1052, 975. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.96 (1H, d, 2.8 Hz), 8.93 (1H, d, 2.8 Hz), 8.52 (1H, d, 2.8 Hz), 8.36 (1H, d, 9.2 Hz), 8.10 (1H, 幅の広いシグナル), 8.09 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.76 (1H, s), 4.46-4.41 (1H, m), 3.47 (1H, 幅の広いシグナル), 3.31 (1H, 幅の広いシグナル), 3.14 (2H, 幅の広いシグナル), 2.62 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.0 Hz), 2.50 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.40 (1H, 幅の広いシグナル), 2.32 (1H, 幅の広いシグナル), 2.19 (1H, 幅の広いシグナル), 2.16 (3H, s), 1.88 (1H, 幅の広いシグナル), 1.81 (3H, s). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ (ppm): 172.7, 171.8, 169.0, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.1, 116.1, 79.1, 53.7, 48.6, 45.2, 43.3, 36.6, 22.4. XRPD (2θ): 5.3, 8.0, 10.6, 12.7, 14.1, 15.8, 15.9, 17.1, 21.3, 24.2, 24.8, 25.5, 25.8±0.2に主要なピーク.
【0038】
実施例3:(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩の調製
100ml三ツ口フラスコに2gの(±)−ゾピクロン(1当量)および0.9gのN−アセチル−L−アスパラギン酸(1当量)を入れ、29mlのメタノール/キシレン(1/1)混合物を加えた。この反応混合物を室温で10分間攪拌した後、加熱し、還流させながら30分間維持し、その後、これを冷却し、この分散液を室温で30分以上維持した。この固体生成物を濾過により単離し、0.8mlのメタノールおよび0.8mlのキシレンで洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、白色固体として1.18gの(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩(41%)を得た。
【0039】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより91.8%.水分含量:0.6%w/w.融点:184−186℃. [α]D20: -57.5°(c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1): 3413, 3060, 2964, 1732, 1720, 1661, 1467, 1376, 1258, 1169, 1079. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.96 (1H, d, 2.4 Hz), 8.93 (1H, d, 2.4 Hz), 8.52 (1H, d, 2.4 Hz), 8.36 (1H, d, 9.2 Hz), 8.10 (1H, 幅の広いシグナル), 8.09 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.4 Hz), 7.76 (1H, s), 4.46-4.40 (1H, m), 3.47 (1H, 幅の広いシグナル), 3.31 (1H, 幅の広いシグナル), 3.14 (2H, 幅の広いシグナル), 2.62 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.50 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.39 (1H, 幅の広いシグナル), 2.31 (1H, 幅の広いシグナル), 2.19 (1H, 幅の広いシグナル), 2.15 (3H, s), 1.85 (1H, 幅の広いシグナル), 1.81 (3H, s). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ (ppm): 172.7, 171.9, 169.0, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.1, 116.1, 79.1, 53.8, 48.6, 45.2, 43.3, 36.7, 22.4. XRPD (2θ): 14.7, 14.8, 18.3, 18.7, 19.2, 19.8, 21.5, 21.5, 24.4, 25.1, 25.9, 26.2, 27.3±0.2に主要なピーク.
【0040】
実施例4:(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩の調製
250ml三ツ口フラスコに10gの(±)−ゾピクロン(1当量)および4.5gのN−アセチル−L−アスパラギン酸(1当量)を入れた。87mlのメタノール/トルエン(1/1)混合物を加えた。この反応混合物を室温で3分間を攪拌した後、加熱し、還流温度で10分間維持した。この分散液をゆっくりと冷却し、室温で1時間以上維持した。この固体生成物を濾過により単離し、10mlのメタノールおよび10mlのトルエンで洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、白色固体として6.7gの(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩(46%)を得た。
【0041】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより96.6%.水分含量:0.2%w/w.融点:181−186℃. [α]D20: -62.5°(c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1):3433, 3067, 3006, 2860, 1740, 1731, 1720, 1675, 1576, 1460, 1373. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.8 Hz), 8.95 (1H, d, 2.8 Hz), 8.54 (1H, d, 2.4 Hz), 8.38 (1H, d, 8.4 Hz), 8.14 (1H, 幅の広いシグナル), 8.11 (1H, dd, 8.4 Hz, 2.4 Hz), 7.79 (1H, s), 4.49-4.43 (1H, m), 3.48 (1H, 幅の広いシグナル), 3.32 (1H, 幅の広いシグナル), 3.10 (2H, 幅の広いシグナル), 2.63 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.0 Hz), 2.52 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.42 (1H, 幅の広いシグナル), 2.33 (1H, 幅の広いシグナル), 2.195 (1H, 幅の広いシグナル), 2.18 (s, 3H), 1.91 (1H, 幅の広いシグナル), 1.83 (3H, s). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ (ppm): 172.7, 171.8, 169.0, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 53.7, 48.6, 45.2, 43.2, 36.6, 22.4. XRPD (2θ): 14.7, 18.3, 18.7, 19.2, 19.8, 21.4, 21.5, 25.1, 25.9, 26.2, 27.3±0.2に主要なピーク.
【0042】
実施例5:(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩の調製
実施例4の(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩の調製の母液の80mlのメタノール/トルエンを大気圧で留出し、得られた混合物から白色固体が結晶化した。20mlの新たなトルエンを加えた。この混合物を室温に冷却し、この温度で30分以上維持した。この生成物を濾過により単離し、10mlのトルエンで2回洗浄し、真空乾燥させ、白色固体として6.2gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩(43%)を得た。
【0043】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより92.3%.水分含量:4.3%w/w.融点:173−179℃. [α]D20: +93°(c アセトン0.4%w/w). IR (KBr, cm-1):3436, 3059, 3025, 2968, 1743, 1732, 1724, 1660, 1470, 1377, 1079. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz), δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.8 Hz), 8.95 (1H, d, 2.8 Hz), 8.54 (1H, d, 2.8 Hz), 8.38 (1H, d, 9.2 Hz), 8.14 (1H, 幅の広いシグナル), 8.11 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.84 (1H, s), 4.48-4.43 (1H, m), 3.48 (1H, 幅の広いシグナル), 3.33 (1H, 幅の広いシグナル) 3.16 (2H, 幅の広いシグナル), 2.63 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.4 Hz), 2.52 (1H, dd, 16.4 Hz, 6.8 Hz), 2.41 (1H, 幅の広いシグナル), 2.333 (1H, 幅の広いシグナル), 2.18 (s, 3H),2.17 (1H, 幅の広いシグナル), 1.91 (1H, 幅の広いシグナル), 1.83 (3H, s). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ (ppm): 172.7, 171.8, 169.0, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 53.7, 48.6, 45.2, 43.3, 36.6, 22.4. XRPD (2θ): 5.3, 7.9, 10.6, 12.7, 15.7, 17.0, 17.1, 17.3, 18.8, 21.3, 24.3, 24.8, 25.6, 26.4, 29.1±0.2に主要なピーク.
【0044】
実施例6:(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩の調製
反応フラスコに11.2gの(±)−ゾピクロン(1当量)、4.9gのN−アセチル−D−グルタミン酸(0.9当量)および830mlのアセトンを入れた。この混合物を加熱還流し、この分散液をこの温度で1時間維持した。この温溶液を濾過し、澄明な溶液を得た。この溶液を大気圧で2分の1に濃縮した。この溶液を冷却し、約46℃において白色固体が結晶化する。このスラリーを室温で冷却し、30分間維持した。この固体生成物を濾過により単離し、2mlのアセトンで洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、白色固体として5.9gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩(40%)を得た。
【0045】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより89.7%.水分含量:0.75%w/w.融点:169−171℃. [α]D20: +60°(c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1):3422, 3334, 3003, 2941, 2875, 1758, 1724, 1670, 1578, 14601, 1374, 1086. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.4 Hz), 8.95 (1H, d, 2.4 Hz), 8.54 (1Hd, 2.8 Hz), 8.38 (1H, d, 9.2 Hz), 8.11 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 8.10 (1H, 幅の広いシグナル) 7.79 (1H, s), 4.20-4.15 (1H, m), 3.48 (1H, 幅の広いシグナル), 3.29 (1H, 幅の広いシグナル), 3.13 (2H, 幅の広いシグナル), 2.40-2.20 (4H, m), 2.11 (3H, s), 2.08 (1H, 幅の広いシグナル), 1.94 (1H, m), 1.84 (3H, s), 1.81-1.71 (2H, m). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ(ppm): 173.7, 173.5, 169.3, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.7, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 53.9, 51.2, 45.5, 43.5, 30.2, 26.4, 22.3. XRPD (2θ): 3.4, 12.1, 13.6, 17.0, 18.4, 18.9, 19.1, 19.2, 19.8, 20.08, 20.4, 22.0, 22.9, 24.1, 24.5, 25.4, 26.5, 27.3±0.2に主要なピーク
【0046】
実施例7:(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩の調製
反応フラスコに5gの(±)−ゾピクロン(1当量)、2.4gのN−アセチル−L−グルタミン酸(1当量)および186mlのアセトンを入れた。この混合物を加熱還流し、この分散液をこの温度で30分間維持した。この溶液を35〜37℃で冷却し、30分維持した。この懸濁液を室温で冷却した。この生成物を濾過により単離し、5mlのアセトンで2回洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、白色固体として3.6gの(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩(48%)を得た。
【0047】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより89.7%.1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.96 (1H, d, 2.4 Hz), 8.93 (1H, d, 2.4 Hz), 8.52 (1H, d, 2.8 Hz), 8.36 (1H, d, 8.8 Hz), 8.10 (1H, dd, 8.8 Hz, 2.8 Hz), 8.08 (1H, 幅の広いシグナル) 7.76 (1H, s), 4.18-4.13 (1H, m), 3.46 (1H, 幅の広いシグナル), 3.28 (1H, 幅の広いシグナル), 3.11 (2H, 幅の広いシグナル), 2.31-2.20 (4H, m), 2.10 (3H, s), 2.07 (1H, 幅の広いシグナル), 1.96-1.89 (1H, m), 1.82 (3H, s), 1.80-1.70 (2H, m).
【0048】
実施例8:(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩の調製
反応フラスコに10.2gの(±)−ゾピクロン(1当量)、5gのN−アセチル−D−メチオニン(1当量)および300mlの酢酸エチルを入れた。この混合物を加熱還流し、この溶液をこの温度で30分間維持した。この溶液を冷却し、約66℃において固体が結晶化した。この懸濁液を冷却し、室温で1時間維持した。この生成物を濾過により単離し、3mlの酢酸エチルで2回洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、白色固体として6.9gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩(46%)を得た。
【0049】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより98.4%.水分含量:0.09%w/w.融点:171−172℃. [α]D20: +77.5°(c アセトン1%w/w). IR (KBr, cm-1):3292, 3064, 2915, 1740, 1731, 1720, 1668, 1461, 1373, 1090. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.8 Hz), 8.95 (1H,d, 2.8 Hz), 8.54 (1H, d, 2.8 Hz), 8.37 (1H, d, 9.2 Hz), 8.13 (1H, 幅の広いシグナル), 8.11 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.79 (1H, s), 4.30-4.24 (1H, m), 3.47 (1H, 幅の広いシグナル), 3.28 (1H, 幅の広いシグナル), 3.13 (2H, 幅の広いシグナル), 2.51-2.43 (2H, m), 2.31 (1H, 幅の広いシグナル), 2.22 (1H, 幅の広いシグナル), 2.11 (3H, s), 2.06 (1H, 幅の広いシグナル), 2.03 (3H, s), 1.95-1.93 (1H, m), 1.84 (3H, s), 1.81-1.71 (2H, m). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ (ppm): 173.5, 169.4, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.7, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 54.0, 51.0, 45.6, 43.6, 30.7, 29.7, 22.4, 14.5. XRPD (2θ): 3.3, 6.5, 11.8, 13.0, 13.9, 18.5, 18.7, 19.0, 19.1, 19.3, 19.8, 20.0, 22.0, 22.2, 26.4, 27.1±0.2に主要なピーク.
【0050】
実施例9:(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩の調製
実施例8の(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩の調製の母液から290mlの酢酸エチルを大気圧で留出した。約32℃においてこの濃縮溶液から生成物が結晶化した。この混合物を室温に冷却し、30分以上維持した。この生成物を濾過により単離し、3mlの酢酸エチルで2回洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、灰白色固体として4.2gの(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩(28%)を得た。
【0051】
ジアステレオ異性体過剰率(d.e.):キラルHPLCにより82.6%.水分含量:1.7%w/w.融点:162−164℃. [α]D20: -95°(c 水分1%w/w). IR (KBr, cm-1):3447, 3305, 2942, 2790, 1740, 1730, 1716, 1668, 1659, 1655, 1462, 1372, 1143, 1046. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.96 (1H, d, 2.8 Hz), 8.93 (1H,d, 2.8 Hz), 8.5 (1H, d, 2.8 Hz), 8.36 (1H, d, 9.2 Hz), 8.11 (1H, 幅の広いシグナル), 8.09 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.77 (1H, s), 4.27-4.22 (1H, m), 3.45 (1H, 幅の広いシグナル), 3.26 (1H, 幅の広いシグナル), 3.11 (2H, 幅の広いシグナル), 2.49-2.30 (2H, m), 2.30 (1H, 幅の広いシグナル), 2.19 (1H, 幅の広いシグナル), 2.08 (3H, s), 2.04 (1H, 幅の広いシグナル), 2.01 (3H, s), 1.92-1.89 (1H, m), 1.82 (3H, s), 1.79-1.69 (2H, m). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ (ppm): 173.5, 169.4, 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.7, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 54.0, 51.0, 45.6, 43.6, 30.7, 29.7, 22.4, 14.5. XRPD (2θ): 3.3, 3.4, 11.9, 16.0, 16.7, 18.2, 18.8, 18.9, 20.0, 20.7, 21.3, 21.6, 25.3, 25.6, 25.8, 26.1, 26.9, 27.6±0.2に主要なピーク.
【0052】
実施例10:(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩からのエスゾピクロンの調製
6ml水中の3gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩の溶液に室温で45mlのジクロロメタンを加えた。この混合物を40%炭酸カリウム水溶液でpH10に塩基化する。水層をデカントし、45mlのジクロロメタンで抽出する。有機層を合わせ、乾燥するまで真空濃縮し、白色固体として2.04gのエスゾピクロン(100%)を得た。
【0053】
鏡像異性体過剰率(e.e.):キラルHPLCにより99.3%.水分含量:0.02%w/w.融点:190−192℃. [α]D20: +115°(c アセトン1%w/w). IR (KBr, cm-1):2942, 2790, 1730, 1715, 1470, 1463, 1372, 1086. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.8 Hz), 8.95 (1H, d, 2.8 Hz), 8.53 (1H, d, 2.8 Hz), 8.37 (1H, d, 9.2 Hz), 8.10 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.79 (1H, s), 3.47 (1H, 幅の広いシグナル), 3.26 (1H, 幅の広いシグナル), 3.12 (2H, 幅の広いシグナル), 2.30 (1H, 幅の広いシグナル), 2.20 (1H, 幅の広いシグナル), 2.09 (3H, s), 2.04 (1H, 幅の広いシグナル), 1.76 (1H, 幅の広いシグナル). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ (ppm): 163.1, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.8, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 54.0, 45.7, 43.6. XRPD (2θ): 9.9, 12.5, 16.0, 16.1, 18.0, 19.0, 20.1, 21.3, 25.6, 25.8, 27.6, 29.8±0.2に主要なピーク
【0054】
実施例11:(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩からの(R)−ゾピクロンの調製
3gの(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩に室温で6mlの水および45mlのジクロロメタンを加えた。この混合物を40%炭酸カリウム水溶液でpH10に塩基化する。水層をデカントし、45mlのジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を乾燥するまで真空濃縮し、白色固体として2.15gの(R)−ゾピクロン(100%)を得た。
【0055】
鏡像異性体過剰率(e.e.):キラルHPLCにより100%. [α]D20: -125°(c アセトン1%w/w). IR (KBr, cm-1):2942, 2790, 1730, 1715, 1462, 1371, 1086. 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ (ppm): 8.98 (1H, d, 2.4 Hz), 8.95 (1H, d, 2.4 Hz), 8.53 (1H, d, 2.8 Hz), 8.37 (1H, d, 9.2 Hz), 8.11 (1H, dd, 9.2 Hz, 2.8 Hz), 7.79 (1H, s), 3.50 (1H, 幅の広いシグナル), 3.26 (1H, 幅の広いシグナル), 3.12 (2H, 幅の広いシグナル), 2.30 (1H, 幅の広いシグナル), 2.20 (1H, 幅の広いシグナル), 2.09 (3H, s), 2.04 (1H, 幅の広いシグナル), 1.76 (1H, 幅の広いシグナル). 13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz), δ (ppm): 163.0, 155.4, 152.8, 148.6, 148.0, 147.7, 146.6, 143.4, 138.6, 127.0, 116.1, 79.1, 54.0, 45.7, 43.6. XRPD (2θ): 5.0, 9.9, 12.5, 16.0, 16.1, 18.0, 19.0, 20.0, 21.3, 25.6, 27.6, 29.7±0.2に主要なピーク.
【0056】
実施例12:(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩からのエスゾピクロンの調製
18ml水中の2gの(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩の溶液に室温で約30分内に2.7mlの40%炭酸カリウム水溶液を加えた。このスラリーをこの温度で1.5時間維持した。この生成物を濾過により単離し、1.4mlの水で2回洗浄した。この生成物を室温で真空乾燥させ、白色固体として1.29gのエスゾピクロン(94%)を得た。
【0057】
鏡像異性体過剰率(e.e.):キラルHPLCにより99.8%.水分含量:0.9%w/w.融点:198−202℃. [α]D20: +145°(c アセトン1%w/w).
【0058】
実施例13:エスゾピクロンの結晶化
1gの未精製エスゾピクロンを15mlのメチルイソブチルケトン(MIBK)に約114℃で溶かした。この溶液を冷却し、種晶を入れた。約98〜100℃において固体が結晶化し、このスラリーをこの温度で30分間維持した。その後、それを室温で冷却した。この生成物を濾過により単離し、0.4ml MIBKで2回洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、0.85gのエスゾピクロン(85%)を得た。
【0059】
鏡像異性体過剰率(e.e.):キラルHPLCにより100%.融点:195−198℃. [α]D20: +140°(c アセトン1%w/w).
【0060】
実施例14:エスゾピクロンの結晶化
2.2gの未精製エスゾピクロンを44mlのメチルエチルケトン(MEK)に約76℃で溶かした。この温溶液を濾過し、23mlのMEKを留出した。この溶液を−5℃で冷却し、この温度で30分間維持した。この生成物を濾過により単離し、0.4ml MEKで2回洗浄した。この生成物を真空乾燥させ、2.0gのエスゾピクロン(91%)を得た。
【0061】
鏡像異性体過剰率(e.e.):キラルHPLCにより100%.融点:202−204℃. [α]D20: +135°(c アセトン1%w/w).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物のラセミ化合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための方法であって、
式(II):
【化2】

(式中、HXは式(III):
【化3】

(式中:
nは0、1、2または3であり、
はH、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、CONH、COOH、SRまたはORであり、RはC−Cアルキルである)
の光学活性アセチル化アミノ酸である)
のジアステレオ異性体塩からその1種の鏡像異性体を分離することを含んでなる、方法。
【請求項2】
式(III)の光学活性アセチル化アミノ酸が、N−アセチル−D−グルタミン酸、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−D−アスパラギン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸、N−アセチル−D−メチオニンおよびN−アセチル−L−メチオニンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の鏡像異性体が(S)−鏡像異性体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)のジアステレオ異性体塩が、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩または(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の鏡像異性体が(R)−鏡像異性体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式(II)のジアステレオ異性体塩が、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩または(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(I):
【化4】

の化合物のラセミ化合物をその鏡像異性体のうちの1種に分割するための方法であって、
a)該ラセミ化合物と、式(III):
【化5】

(式中、nおよびRは上記に定義したとおりである)
の光学活性アセチル化アミノ酸の鏡像異性体のいずれかとを反応させる工程;
b)式(II):
【化6】

(式中、HXは式(III)の光学活性アセチル化アミノ酸である)
の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩を単離する工程;および
c)式(II)のそのジアステレオ異性体塩から式(I)の鏡像異性体を分離する工程
を含んでなる、方法。
【請求項8】
有機溶媒が、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、ハロゲン化溶媒、芳香族溶媒およびそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
有機溶媒が、メタノール、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、ギ酸エチル、メチルtertブチルエーテル、炭酸ジエチル、クロロベンゼン、ジクロロメタンおよびそれらの混合物から選択される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
化合物(III)がN−アセチル−D−グルタミン酸である場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
化合物(III)がN−アセチル−L−グルタミン酸である場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物(III)がN−アセチル−D−アスパラギン酸である場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
化合物(III)がN−アセチル−L−アスパラギン酸である場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化合物(III)がN−アセチル−D−メチオニンである場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
化合物(III)がN−アセチル−L−メチオニンである場合に、工程b)において単離される式(II)の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩が(R)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
式(II)の残りの光学的に純粋なジアステレオ異性体塩の単離工程をさらに含んでなる、請求項7〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記残りの式(II)のジアステレオ異性体塩の単離が、第一のジアステレオ異性体塩の単離後に生じる母液の濃縮と、前記残りのジアステレオ異性体塩を得るためのその後の結晶化を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記残りのジアステレオ異性体塩が、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩、(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩、(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩または(R)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物のラセミ化合物を調製するための式(I)化合物の(R)−鏡像異性体のラセミ化と、続いて請求項6〜10、12、14および16〜18のいずれか一項に記載の式(I)化合物の(S)−鏡像異性体の単離をさらに含んでなる、請求項1または5に記載の方法。
【請求項20】
式(II):
【化7】

(式中、HXは上記に定義したとおりである)
の光学的に純粋なジアステレオ異性体塩。
【請求項21】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−グルタミン酸塩である、請求項20に記載の塩。
【請求項22】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−アスパラギン酸塩である、請求項20に記載の塩。
【請求項23】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−D−メチオン酸塩である、請求項20に記載の塩。
【請求項24】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−グルタミン酸塩である、請求項20に記載の塩。
【請求項25】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−アスパラギン酸塩である、請求項20に記載の塩。
【請求項26】
(S)−ゾピクロン N−アセチル−L−メチオン酸塩である、請求項20に記載の塩。

【公表番号】特表2010−535177(P2010−535177A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518689(P2010−518689)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060115
【国際公開番号】WO2009/016251
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(504220524)エステベ キミカ,ソシエダ アノニマ (2)
【Fターム(参考)】