説明

タイヤチェーンの短縮要素およびタイヤチェーン

【課題】たとえ困難な状況下でも面倒な作業なしにタイヤチェーンの走行用網目を短縮することのできる、操作が単純であり失敗のないシステムを提供する。
【解決手段】短縮要素は、少なくとも1つのソケットを有し、ロックポジション32のチェーンストランドは、その長手方向において互いに対して変位不能にソケットの中で固定可能である。工具を使用せずに走行用網目1をさまざまなタイヤ径に合わせるもので、ソケットは、少なくとも1つのロック用スリット18および少なくとも1つの引込み開口部24を有し、ロックポジション32の少なくとも1本のチェーンストランド6は、ロック用スリット18の中に収容可能である。チェーンストランド6は、引込み開口部24の中で、他のチェーンストランドに対して長手方向に移動可能である。これによって、走行用網目を単純な方法で短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの周方向に少なくとも区間単位で延在する少なくとも2本のチェーンストランド(track chain strand)を有するタイヤチェーンの短縮要素であって、少なくとも1つのソケットを有し、ロックポジションのチェーンストランドをその長手方向に変位不能にソケットの中で固定することができる短縮要素に関する。
【0002】
さらに、本発明は、タイヤチェーンであって、少なくとも2本のチェーンストランドを有する走行用網目(running mesh)であり、少なくとも2本のチェーンストランドが、周方向に対して横方向に離間配置されているそれぞれの固定点から、それぞれの第2の固定点まで周方向に延在している、走行用網目と、第1の固定点と第2の固定点との間に位置している少なくとも1つの短縮要素であって、短縮要素の中で、ロックポジションの少なくとも2本のチェーンストランドが、周方向に対して横方向に互いに離間して、かつ長手方向に変位不能に保持される、短縮要素と、を有する、タイヤチェーン、に関する。
【背景技術】
【0003】
上述したタイプのタイヤチェーンは、主として、車両用タイヤのトラクション装置(traction device)として、例えばスノーチェーンや森林用チェーン(forestry chain)、さらには保護チェーンとして使用されている。トラクション装置は、氷、雪、ぬかるみなどすべりやすい地面において車両用タイヤのトラクションを増大させる役割を果たす。タイヤの保護チェーンは、タイヤを損傷から保護する。本質的に周方向に延在するチェーンストランドは、タイヤチェーンの方向安定性および直進能力を高める。特に良好な方向安定性は、チェーンストランドが区間単位で延在しているのみならず、タイヤの走行面全体にわたり周方向に沿って延在していることによって得られる。チェーンストランドは、周方向に対して最大+/−45°またはそれ以上の角度で延在する区間を有することができる。これらの傾きは、主として短縮要素において生じ、短縮要素では、走行用網目の長さを短縮する目的でチェーンストランドがV字状またはX字状にまとめられる。走行用網目のこのような短縮は、標準化されているさまざまなタイヤ径にタイヤチェーンを合わせる目的で必要である。
【0004】
タイヤチェーンストランドを有するタイヤチェーンは、例えば、特許文献1〜5から公知である。
【0005】
特許文献1、2のスノーチェーンでは、タイヤストランド(track tire strand)が固定されているグリップ要素支持部(gripping element support)が、異なるタイヤ径に適合させる役割を果たす。チェーンリンクをグリップ要素支持部に引っかけることによって、タイヤストランドの周囲長が変更される。この原理は、市販されているWeisenfels社のスノーチェーンClack & Go Quattroにも採用されている。
【0006】
市場において公知である別のスノーチェーン、例えばRUD社のスノーチェーンCENTRAXあるいはThule社のスノーチェーンK−summitでは、一箇所または複数箇所においてチェーンストランドがX字状にまとめられることによって、走行用網目が短縮される。したがって、チェーンストランドの隣り合う固定点の間の周方向距離が、まっすぐ平行に延在した状態よりも減少し、走行用網目の周囲長が短くなる。
【0007】
上述したいずれの短縮要素およびタイヤチェーンにおいても、その欠点として、短縮するためには必ず工具の使用が要求される。したがって、冬季の条件下で、たとえ道路脇であっても、わずかに異なるタイヤ周長に走行用網目を合わせることが不必要に難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第3722903号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3823661号明細書
【特許文献3】欧州特許第0911193号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/032155号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2050590号明細書
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、たとえ困難な状況下でも面倒な作業なしにタイヤチェーンの走行用網目を短縮することのできる、操作が単純であり失敗のないシステムを提供することである。
【0010】
この目的は、冒頭に記載した短縮要素において、ソケットが、少なくとも1つのロック用スリットおよび少なくとも1つの引込み開口部を有し、ロック用スリットの中に、少なくとも1本のチェーンストランドを、ロックポジションにおいて入れることができ、少なくとも1本のチェーンストランドを、ロックポジションから、引込み開口部に配置されている引込みポジションに移行させることができ、かつ、引込み開口部の内側輪郭に内接可能(inscribable)である、ことにおいて、解決する。
【0011】
冒頭に記載したタイヤチェーンにおいて、上の目的は、本発明によると、短縮要素に少なくとも1つの引込み開口部が設けられており、少なくとも1本のチェーンストランドを、ロックポジションからこの引込み開口部の中に動かすことができ、この引込み開口部の中で、少なくとも1本のチェーンストランドを、その長手方向に、少なくとも1本の別のチェーンストランドに対して変位させることができる、ことにおいて、解決する。
【0012】
走行用網目を短縮するには、最初にロックポジションのロック用スリットに保持されている少なくとも1本のチェーンストランドを、引込みポジションに動かし、引き込む側とは反対の短縮要素の側での、チェーンストランドの固定点と短縮要素との間の周方向の距離、を小さくする。引込み開口部の内側輪郭は、少なくとも1本のチェーンストランドの外側輪郭を受け入れるため、チェーンストランドを引込み開口部を通じて、引っかかることなく長手方向に沿って引き込むことができる。
【0013】
他方のチェーンストランドは、短縮要素によってロックポジションに保持されており、短縮されたチェーンストランドに対して変位不能であるため、短縮要素の他方の側(引込み開口部を通じてチェーンストランドを引き込んだ側)での他方の固定点と短縮要素との間の距離は、変化しない。したがって、短縮要素の2つの側それぞれと2つの固定点との間の距離の合計が容易に減少し、これにより走行用網目の直径が減少する。したがって、工具を使用する必要がない。手袋を着用した状態でもタイヤチェーンを短縮することができる。
【0014】
以下では本発明の改良点について説明する。これらは互いに独立しており、ここまで説明した解決方法と組み合わせることができる。
【0015】
短縮要素は、ロックポジションおよび引込みポジションのいずれにおいても、少なくとも1本のチェーンストランドにおいて制約的に保持されていることが好ましい。このことは、少なくとも1本のチェーンストランドに対する横方向には、ソケットが完全に閉じていることによって、容易に達成される。あるいは、ソケットを、部分的に横方向に外に通じた状態にすることもでき、この場合、チェーンリンクがソケットから脱落することを防ぐ目的で、その開口部の間隙幅は、チェーンストランドのチェーンリンクの材料厚さよりも小さくすべきである。
【0016】
第1の有利な実施形態によると、チェーンストランドがロック用スリットから引込み開口部に動いたとき、チェーンストランドが自然にゆるむことを防止する目的で、引込みポジションにおいては、少なくとも1本のチェーンストランドが、ロックポジションに対して長手方向を軸として特定の角度だけ回転している。これにより、少なくとも1本のチェーンストランドが、ロック用スリットから引込み開口部に動いた場合でも、自然に引込みポジションをとることはない。したがって、角度は、少なくとも約20°から少なくとも約50°の範囲内、好ましくは約45°とすることができる。
【0017】
さらなる有利な実施形態においては、少なくとも2つのロック用スリットが設けられており、好ましくはただ1つの共通の引込み開口部によって互いに連結されている。これら2つのロック用スリットは、特に細隙の方向に互いに一直線に配置することができる。この実施形態では、2つのロック用スリットと、チェーンストランドのそれぞれのロックポジションが、周方向に対する横方向にわずかに離間されるのみである。ロックポジションでのチェーンストランド間の距離がわずかであることにより、チェーンストランドをより大きく短縮することができ、したがって、大幅に異なるタイヤ径におよそ合わせることができ、異なる長さのチェーンストランドを既製品として用意する必要がない。
【0018】
さらに、共通の引込み開口部によって、正しくない操作も防止され、なぜなら、一度に短縮するチェーンストランドは1本であり、短縮するときに他方のチェーンストランドが引込み開口部に入らないためである。
【0019】
短縮要素の中で保持されているチェーンストランドの距離は、固定点でのチェーンストランドの間の距離とは異なっていることができる。ロック用スリットは、引込み開口部の左右の側のうち、チェーンストランドが固定点の方に延在する側に位置していることが好ましい。
【0020】
固定点でのチェーンストランド間の距離が、ロックポジションでの距離よりも大きい場合、少なくとも1つのロック用スリットが短縮要素の一方の端部の近くに位置していることが好ましく、引込み開口部が短縮要素の中央領域に位置していることが好ましい。この配置構造によって、使用時にチェーンストランドがV字状またはX字状に短縮要素に向かって延在し、チェーンストランドに張力が発生するため、チェーンストランドが引込み開口部から離れてロック用スリットの中に押し込まれる。したがって、自動的な弛緩が発生しにくい。ロックポジションでのチェーンストランド間の距離が、固定点での距離よりも大きい場合、引込み開口部は、ロック用スリットの中央とは反対側のロック用スリットの端部に位置する。
【0021】
円形または異形(profiled)の鋼製チェーンリンクから作製されているチェーンストランドは、長手方向に見たとき、または横断面において、外側輪郭が十字の形になっている。チェーンストランドを手で調整するとき、引込み開口部の中に位置しているチェーンストランドのみを長手方向に沿って引き込むことができるようにする目的で、引込み開口部が凸部を有することができ、これらの凸部それぞれは、少なくとも1本のチェーンストランドにおいて形成されるチェーン十字部(chain cross)の脚部に割り当てられている。したがって、引込み開口部を通じて引き込むことのできる引込みポジションでのチェーンストランドの姿勢が、正確に決まる。引き込むときに、凸部によって定義される向きになるようにチェーンストランドをわずかに回転させなければならない場合、チェーンストランドは長手方向にブロックされる。これにより、意図しないチェーンストランドの弛緩に対する安全性も確保される。
【0022】
長手方向に見たときチェーンストランドの輪郭によって形成されるチェーン十字部の脚部に合うように、ロック用スリットの中央部に対して対向する2組の凸部を設けることができる。この場合、凸部それぞれをチェーン十字部の脚部に割り当てることができる。
【0023】
別の有利な実施形態によると、短縮要素を好ましくは本質的に長楕円形の板として設計し、板の平坦面にロック用スリットおよび引込み開口部を配置することができる。ロック用スリットおよび引込み開口部は、互いに少なくともほぼ一直線に配置されていることが好ましい。板形状として具体化する場合、短縮要素は、トラクションを追加的に発生させるトラクション要素としての役割を果たし、その幅狭側面はタイヤから半径方向に離れる方向に位置し、柔らかい地面にくさびのように食い込む。好ましくは周方向に対して横方向に長い楕円形のため、タイヤからの駆動力が短縮要素を介して地面に良好に伝えられる。
【0024】
短縮されて緊張状態で延在するチェーンストランドの意図しない弛緩に対するさらなる安全性確保のため、例えば、ソケットの中で繰り返し取り外せるように設計されている少なくとも1つの安全要素(securing element)を設けることができる。安全要素は、少なくとも1つの引込み開口部に、もしくは少なくとも1つのロックポジションと少なくとも1つの引込みポジションとの間、またはその両方に、取付け可能であることが好ましい。したがって、安全要素は、チェーンストランドがロックポジションから引込みポジションに動くことを阻止することができる。
【0025】
安全要素は、冬季の条件下での装着および取り外しを容易にする目的で、しっかりと、好ましくは繰り返し取り外せるようにソケットと係合するように設計することができる。特に、クリッピング(clipping-in)が可能である。安全要素は、少なくとも部分的に弾性変形可能な部材(例えば弾性プラスチック)から製造することができ、この部材は、約−30℃の低温下でも弾性を維持することが好ましく、冬季の道路における環境条件に起因して発生する摩耗が最小限であることが好ましい。
【0026】
安全要素は、本質的にバーベル形状に設計することができ、2つの頭部を有することができ、頭部の外側輪郭はソケット(特に、引込み開口部)の間隙幅よりも大きい。ソケットに取り付けるには、2つの頭部の間に短縮要素が配置されるように一方の頭部を押し込むだけである。2つの頭部の距離は、最も短くて短縮要素の厚さよりもわずかに小さい、またはわずかに大きいことが好ましい。安全要素は、少なくとも一方のロック用スリットの方に移動不能に保持されることが好ましい。安全要素が引込み開口部からロック用スリット(および引込み開口部のあそび)の中に移動することを防止する目的で、頭部の間の領域の断面形状がロック用スリットの間隙幅よりも大きいことが好ましい。
【0027】
短縮された状態では、第1の固定点から短縮要素までは、少なくとも1本のチェーンストランドが緊張状態で延在しており、少なくとも1本の別のチェーンストランドが弛緩状態で延在しており、短縮要素から第2の固定点までは、前者の少なくとも1本のチェーンストランドが弛緩状態で延在しており、後者の少なくとも1本の別のチェーンストランドが緊張状態で延在している。したがって、短縮するためには、1本のチェーンストランドを引込み開口部を通じて引き込んで短くすれば十分である。この引っ張られたチェーンストランドは、短縮要素より手前側のストランドが短くなるため、他方のチェーンストランドが弛緩する。しかしながら短縮要素の向こう側では、引っ張られたチェーンストランドが弛緩状態となっているが、他方のチェーンストランドは、その短い長さが変化しないため緊張状態のままである。
【0028】
以下では、本発明について、例示的な実施形態に基づき、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。1つの実施形態に示した特徴の組合せは例示を目的としているにすぎず、特定の用途において、各特徴に対応する利点が得られない場合、上の説明に従って組合せを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による短縮要素を備えたタイヤチェーンの概略的な斜視図を示している。
【図2】短縮手順時における、図1の一部分の概略的な斜視図を示している。
【図3】短縮要素の実施形態の概略的な斜視図を示している。
【図4】短縮要素のさらなる実施形態の概略図を示している。
【図5】短縮要素のさらなる実施形態の概略図を示している。
【図6】短縮要素のさらなる実施形態の概略図を示している。
【図7】安全要素を有する短縮要素の実施形態の概略図を示している。
【図8】短縮要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示している。
【図9】タイヤチェーンのさらなる実施形態の概略的な斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に、本発明の構造および機能原理について、図1を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、車両用タイヤ3の走行面2に装着されたタイヤチェーン4の走行用網目1を概略的に示している。タイヤチェーン4は、チェーンストランド6のいくつかの区間を有し、これらは互いに交差せず、車両用タイヤ3の周方向5に延在している。チェーンストランドは、周方向5に対して横に延在する横断方向7に、横方向ウェブ(transverse web)9の固定点8において保持されている。図1に示したように、チェーンストランド6間の横断方向7の距離を、周方向5に沿って変えられるように、タイヤチェーン4は、周方向5に一連の(例えば複数の異なる長さの)横方向ウェブまたは固定要素9を有することができる。当然ながら、走行用網目1は同一の横方向ウェブを有することもできる。
【0032】
例えば、より長い横方向ウェブ9aには、チェーンストランド6が、特に大きな距離10aにおいて固定されており、このウェブ9aに、車両用タイヤ3の半径方向11に延在する固定ストランド12を配置することができる。固定ストランド12は、タイヤの肩部の上を半径方向11に車両用タイヤ3のハブの方に延在しており、タイヤの側面(図示していない)またはリム(図示していない)の領域で固定リングにおいて固定され、固定リングは、タイヤチェーン4が横断方向7に片寄る(laterally forming)ことがないようにタイヤチェーン4を固定する。
【0033】
一連の横方向ウェブ9を周方向5に周期的に配置することによって、本質的に互いに平行に延在した、好ましくは周方向5に連続するチェーンストランドが形成される。チェーンストランド6は、タイヤチェーンの方向安定性を提供する。
【0034】
横方向ウェブは、例えば、厚板材料から打ち抜きまたは鍛造によって作製されている。高強度プラスチック(resistant plastic)から横方向ウェブ9を製造することもできる。チェーンストランド6によって横方向ウェブ9の平坦面13が押され、平坦面13が周方向5を向く。したがって、横方向ウェブ9は、使用時に走行面2に対して直立し、したがって縁部の幅狭側面がトラクション増大要素として柔らかい地面に食い込み、車両用タイヤ3を通じて作用する駆動力14を地面により容易に伝えることができる。
【0035】
図1に示したタイヤチェーン4は、車両用タイヤ3のさまざまな幅および直径に適する。高速走行時、遠心加速度によって走行用網目が走行面から持ち上がって車両(図示していない)のホイールカバー(図示していない)に当たることがないようにするため、走行用網目1またはチェーンストランド6を走行面2の上に緊張状態にしなければならない。タイヤ径が異なる場合、そのためには、走行用網目1の周囲長を、短縮されていない状態の最大長より短くすることが要求される。
【0036】
走行用網目1を短縮する目的で、横方向ウェブ9に類似する形状の少なくとも1つの短縮要素15が、チェーンストランド6の固定点8を有する横方向ウェブ9の間に配置されている。図1は、少なくとも1つの短縮要素15を、より長い横方向ウェブ9aと、より短い横方向ウェブ9bとの間に配置できることを示している。短縮要素15は、板材から打ち抜く、または高強度プラスチックから製造することができる。短縮要素15におけるチェーンストランド6の間の横断方向の距離10は、横方向ウェブ9における距離10と比較して小さいことが好ましく、したがって、短縮要素15の少なくとも一方の側において、チェーンストランド6が固定点8から短縮要素15まで、V字状に互いに近づくように延在している。
【0037】
短縮要素15は、チェーンストランド6を2つの部分ストランド16に分けている。
【0038】
短縮要素15の中では、チェーンストランド6は、ロックポジションにおいてその長手方向において互いに対して変位できない状態に保持されている。このことは、例えば、2つ(少なくとも1つ)のロック用スリット18(それぞれのチェーンストランド6が中に挿入される)を形成することによって達成される。
【0039】
ロック用スリットの間隙幅は、チェーンストランド6のチェーンリンク21の輪郭厚さ19より大きく、かつ外側幅20よりも小さい。したがって、ロック用スリット18の中に位置しているチェーンリンク23に隣接する、ロック用スリットの両側の2つのチェーンリンク22は、ロック用スリット18を通過することができない。
【0040】
ロック用スリット18それぞれに引込み開口部24が割り当てられており、引込み開口部24の間隙幅は、チェーンストランド6をその長手方向17に引込み開口部24を通じて引き込むことができるような寸法である。以下では、引込み開口部24の設計についてさらに説明する。
【0041】
図1に示した実施形態においては、両方のロック用スリット18に1つの引込み開口部24が結合されており、したがって、つねにいずれか一方のチェーンストランド6のみを引込み開口部24に移動させることができる。これに代えて、短縮要素15を通るチェーンストランド6それぞれに、引込み開口部24を割り当てることができる。
【0042】
駆動時、駆動力14に起因してチェーンストランド6に張力が発生するため、チェーンストランド6が、軸方向26(横断方向7に対応する)、この場合には外側の方に引っ張られる。張力によってチェーンストランド6がロック用スリットの中でより強く保持されるようにする目的で、少なくとも1つのロック用スリット18が外側に配置されており、少なくとも1つの引込み開口部24が、それぞれのロック用スリット18の(タイヤの中心27の側にある)端部28に配置されていることが好ましい。
【0043】
ロック用スリット18および少なくとも1つの引込み開口部24が短縮要素15の平坦面29を押し、したがって、タイヤチェーン4の使用時、短縮要素15も直立し、その平坦面は周方向5に向く。したがって、短縮要素15の縁部の幅狭側面30は、さらなるトラクション増大要素の役割を果たす。
【0044】
図1には、安全要素31を備えたさらなる短縮要素15も示してある。安全要素31は、短縮要素15において好ましくは噛み合い嵌合または形状嵌合(form-fit)によって固定される。安全要素31は、ロック用スリット18の中のチェーンストランド6がそのロックポジション32から、引込み開口部24の領域に配置されている引込みポジションに動いて弛緩することを防止する。安全要素については、後から図6を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0045】
走行用網目を短縮するためには、1本のみのチェーンストランド6を、図1に示したロック用スリットの中のロックポジションから引込み開口部24における引込みポジションに動かした後、引込み開口部24を通じて引き込む。その後、チェーンストランド6を再びロック用スリット18に押し込み、したがってロックポジション32に移行させる。これによって、弛緩した部分ストランド16と緊張した部分ストランド16とが、短縮要素15を中心として十字状に対向する。
【0046】
図2はこの状況を示しており、一方のチェーンストランド6,6aがロックポジション32に配置されており、他方のチェーンストランド6,6bが引込みポジション33に配置されている。したがって、引込み開口部24の中、引込みポジション33に位置している右側のチェーンストランド6bを、引込み開口部24を通じて、図面において上方、矢印34の方向に引っ張る。結果として、このチェーンストランド6b(図面には右側に描いてある)の下側の部分ストランド16aが短縮されて緊張状態で延在し、これより、短縮要素15の同じ側の、周方向5に延在する他方のチェーンストランド6aの、短縮されていない部分ストランド16bが、弛緩する。部分ストランド16aが短くなることによって、同じチェーンストランド6bの、短縮要素15の他方の側に位置する部分ストランド16cが弛緩し、なぜなら、部分ストランド16cは、短縮要素15のこの側における他方のチェーンストランド6aの部分ストランド16dよりも長いためである。したがって、互いに斜めの位置にあるチェーンストランド16a,16dが短縮されて緊張状態で延在する一方で、これらよりも長い部分ストランド16b,16cが弛緩することにより、この短縮が達成される。
【0047】
図3〜図5は、短縮要素15の可能な形状構造を例示目的で概略的に示している。説明を簡潔にする目的で、図1および図2に関連してすでに説明した、構造または機能が同じ要素には、同じ参照記号を付してある。
【0048】
例示的な実施形態のいずれも、共通点として、2つのロック用スリット18が設けられており、短縮要素の中央領域37から短縮要素15の両側の端部36まで、短縮要素15の長手方向に延在している。中央領域37には引込み開口部24が配置されている。引込み開口部の内側輪郭38の中には、ストランド6の長手方向17に見たとき、少なくとも1本のチェーンストランド6の外側輪郭39が内接可能である。外側輪郭39は、図3には二点鎖線によって概略的に示してある。外側輪郭39は、ほぼ十字形状であり、この場合、このようなチェーン十字部41の脚部40は、互いに正確に直角に交差している必要はなく、なぜなら、チェーンリンク21,22の互いの相対的な遊びのため、チェーンがわずかに扁平状になるためである。チェーンリンクの中心面が軸方向26になす小さい方の角度42は、30°〜50°の範囲内である。
【0049】
引込み開口部24の内側輪郭は少なくとも4つの凸部43を有し、これらはチェーン十字部41の脚部40に割り当てられている。この形状構造により、チェーンリンク21,22が引込み開口部24の内側輪郭38の形状どおりに配置されている場合にのみ、チェーンストランド6を引込み開口部24を通じて引っ張ることができる。これにより、短縮された走行用網目の意図しない弛緩に対する安全性が向上する。凸部は、少なくとも1つのロック用スリット18の中心に対して、対として向かい合っている。
【0050】
さらなる安全性向上のため、引込みポジション33(二点鎖線で示してある)のチェーン十字部41は、ロックポジション32(同様に二点鎖線で示してある)に対して回転角度44だけ回転している。タイヤチェーン4の使用時(図1を参照)、チェーンストランド6がロック用スリット18からすべって引込み開口部24に入っても、その時点でチェーンストランド6はロックポジション32にはなく、そのためには回転角度44だけ回転しなければならない。回転角度44は、約20°〜約60°の範囲内、好ましくは約45°とすることができる。
【0051】
図3の短縮要素15には、横断方向7に細長い、ほぼ楕円形の平坦面29が設けられている。この形は、幅が165mmまでの幅狭タイヤに特に適しており、なぜなら、走行面の中央で良好に支持されるためである。
【0052】
図4の短縮要素は、図3の実施形態と比較して外形に関して異なるのみである。図4の実施形態においては、走行面(図1を参照)の側の幅狭側面30が平坦に設計されているのに対して、走行面とは反対側の外側の幅狭側面46は、ロックポジション32の領域において引込みポジション33の領域よりも厚くなっている。特に、短縮要素15の高さ47は、チェーンストランド6のチェーン要素21,22の外側幅20(図1)よりも大きくすることができる。したがって、短縮要素15がチェーンストランド6よりも上に突き出し、トラクションが増大する。さらに、この実施形態においては、短縮されたチェーンストランド6に生じる張力25(図1)(部分チェーンストランド16dから短縮要素を斜めに介して他方の部分ストランド16aに伝わる)(図2)に対する高い耐破壊性が、ロック用スリット18の両側の材料によって達成される。
【0053】
図5の実施形態においては、図3および図4の実施形態と比較して引込み開口部24が変更されている。凸部43が大幅に小さく、完全に省くこともできる。したがって、引込みポジション33のチェーンストランドを、図3および図4の実施形態よりも容易に引き込むことができ、チェーンストランドが引っかかることも少ない。しかしながら、この単純な操作の欠点として、チェーンストランド6が意図せずにずれたときの安全性が低い。それ以外については、図5の実施形態は図4の実施形態と同じである。
【0054】
図6の実施形態は、図3〜図5に示した短縮要素と異なる点として、引込み開口部24が丸い(例えば円形または楕円形)。引込み開口部24は凸部43を備えていない。
【0055】
さらに、外側の平坦面46(タイヤチェーンの使用時に地面と接触する)にグリップ用輪郭形状52が設けられており、短縮要素15の長手方向35に突起部53および凹部54が交互に形成されている。このグリップ用輪郭形状52により、横滑りに対するタイヤチェーンの横安定性が向上する。
【0056】
図7は、取付け式の安全要素31を有する短縮要素15を示している。安全要素31は、チェーンストランド6がロックポジション32から引込みポジション33に自動的に動くことがないように、配置されている。この場合、図6に示した安全要素31は、ロック用スリット18と少なくとも1つの引込み開口部24とによって形成されているソケット48に挿入され、ソケットに嵌入した状態で保持される。
【0057】
安全要素31は、弾性変形可能な材料から製造することができ、変形させながら、ソケット48、好ましくは引込み開口部24に挿入することができる。
【0058】
安全要素31は、ダンベル形状に形成することができ、この場合、2つの頭部49が引込み開口部24の内側輪郭よりも大きい。頭部49を連結している中央領域50は、ロック用スリット18の間隙幅49よりも大きい直径を有することが好ましい。したがって、安全要素31は、誤ってロック用スリット18に押し込まれることがない。
【0059】
走行用網目2を短縮するときには、安全要素31を短縮要素15の厚さ51の方向に単純に押し出す。そして一方のチェーンストランド6を、図4に関連して説明したように、ロック用スリット18から引込み開口部24に移動させて引き込むことができる。
【0060】
修正形態においては、タイヤチェーン4は、3本以上のチェーンストランド6を有することもでき、これらは交代に短縮要素15を通じて調整される。このようにすることで、1つのロック用スリット18の中にいくつかのチェーンストランド6が隣り合うように保持することができる。短縮するには、1本のチェーンストランド6のみをその長手方向17に残りのチェーンストランド6に対して相対的に動かし、ロック用スリット18の中に再び挿入する。
【0061】
あるいは、少なくとも1本のチェーンストランド6を短縮要素15において固定することもできる。この場合、他方のチェーンストランドのための引込み開口部24および1つのロック用スリット18をソケット48の中に設けるのみでよい。短縮要素15は、横方向ウェブ9の役割を同時に果たすことができる。
【0062】
図8は、横方向ウェブ9の別の実施形態を示しており、長い横方向ウェブ9aは、短縮要素15の役割も同時に果たす。この横方向ウェブには、その2つの端部それぞれに、横断方向7に、または、チェーンストランド6(図1を参照)の長手方向17に対して本質的に横方向に延在するソケット48が設けられている。ソケット48それぞれがロック用スリット18および引込み開口部24を有し、これらの構造および機能は上述したとおりである。
【0063】
図8の実施形態においては、上述した実施形態とは異なり、それぞれのロック用スリット18の端部、タイヤの中心27または短縮要素15の中央とは反対側に、引込み開口部24が配置されている。
【0064】
この形状構造は、使用時に、ソケット48の中をチェーンストランド6(図1を参照)が通ることによって、タイヤの中心27または短縮要素15の中央の方向に力が作用する場合に好適である。この力によって、チェーンストランド6がロック用スリット18の中に保持され、使用時にチェーンストランド6が引込み開口部24に動くことが防止される。この力は、隣接する横方向ウェブ(図示していない)の固定点の間の距離が、図8の横方向ウェブ9におけるロックポジションの距離よりも大きいときに発生する。
【0065】
図8の実施形態のソケット48の中に、上に示したように安全要素31を挿入することもできる。
【0066】
図9の実施形態においては、図1の実施形態と比較して、横方向ウェブ9の間の短縮要素15が省かれている。代わりに、短縮機能は短い横方向ウェブ9bの1つによって行われ、したがって横方向ウェブ9bは短縮要素15の役割も同時に果たす。
【0067】
横方向ウェブ9bは、その長さのため、2つの個別のソケット48を有し、ソケット48それぞれに引込み開口部24およびロック用スリット18が設けられている。しかしながら、図8に関連して説明した横方向ウェブ9aとは異なり、短縮要素15における引込み開口部24が、ロック用スリット18の端部、タイヤの中心27の側に配置されている。図9の実施形態においては、使用時、チェーンストランドに作用する力はタイヤの中心27から遠ざかる方向である。この力が発生するのは、より短い横方向ウェブ9bの領域においてチェーンストランド6の間の距離が減少しているためである。
【0068】
図8および図9に示した実施形態においては、さらなる変更が可能である。横方向ウェブ9,9a,9bまたは短縮要素15の一方の端部のみに1つのソケット48を配置することができる。この場合、短縮するには、1本のチェーンストランドを引込み開口部24を通じて引き込んだ後、ロック用スリット18の中でロックするのみでよい。
【0069】
さらには、長い横方向ウェブ9aと短い横方向ウェブ9bの両方が協働して短縮要素15の役割を果たし、それぞれが1つまたは2つのソケット48を有することができる。さらに、ソケットをタイヤの中心27の左側および右側に互い違いに配置することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 走行用網目
2 走行面
3 車両用タイヤ
4 タイヤチェーン
5 周方向
6 チェーンストランド
6a 一方のチェーンストランド
6b 他方のチェーンストランド
7 横断方向
8 固定点
9 固定要素/横方向ウェブ
9a 長い横方向ウェブ
9b 短い横方向ウェブ
10 横方向ウェブ9におけるチェーンストランド6の距離
10a 距離
11 車両用タイヤ3の半径方向
12 タイヤチェーン4の固定ストランド
13 横方向ウェブ9の平坦面
14 駆動力
15 短縮要素
16,16a,16b,16c,16d 部分ストランド
17 チェーンストランド6の長手方向
18 ロック用スリット
19 チェーンストランド6のチェーンリンクの輪郭厚さ
20 チェーンストランド6のチェーンリンクの外側幅
21 チェーンストランド6のチェーンリンク
22 ロック用スリットに隣接するチェーンリンク
23 ロック用スリットの中に配置されているチェーンリンク
24 引込み開口部
25 張力
26 車両用タイヤ3の軸方向
27 タイヤの中心
28 タイヤの中心とは反対側のロック用スリット18の端部
29 平坦面
30 幅狭側面
31 安全要素
32 ロックポジション
33 引込みポジション
34 矢印
35 短縮要素の長手方向
36 長手方向35に位置する短縮要素15の端部
37 短縮要素15の中央領域
38 引込み開口部の内側輪郭
39 長手方向17に見たチェーンストランド6の外側輪郭
40 チェーン十字部の脚部
41 チェーン十字部
42 角度
43 凸部
44 走行面2の側の短縮要素15の幅狭側面
46 短縮要素15の外側幅狭側面
47 高さ
48 ソケット
49 頭部
50 安全要素31の中央領域
51 厚さ方向
52 グリップ用輪郭形状


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(3)の周方向(5)に少なくとも区間単位で延在する少なくとも2本のチェーンストランド(6)を有するタイヤチェーン(4)の短縮要素(15)であって、
前記短縮要素(15)が、少なくとも1つのソケット(48)を有し、前記ソケットの中で、ロックポジション(32)のチェーンストランド(6)は、その長手方向(17)に変位不能に固定可能であり、
前記ソケット(48)が、少なくとも1つのロック用スリット(18)および少なくとも1つの引込み開口部(24)を有し、前記ロックポジション(32)の少なくとも1本のチェーンストランド(6)は、前記ロック用スリット(18)の中に収容可能であり、
前記少なくとも1本のチェーンストランド(6)は、前記ロックポジションから、前記引込み開口部に配置されている引込みポジション(33)に移行可能であり、かつ、前記引込み開口部の内側輪郭(38)に内接可能である、
ことを特徴とする、短縮要素(15)。
【請求項2】
前記少なくとも1本のチェーンストランド(6)が、前記引込みポジション(33)において、前記ロックポジション(32)に対して前記長手方向(17)を軸として所定の角度(44)だけ回転している、
ことを特徴とする、請求項1に記載の短縮要素(15)。
【請求項3】
前記回転角度が、少なくとも約20°から最大で約60°の範囲内である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の短縮要素(15)。
【請求項4】
少なくとも2つのロック用スリット(18)が設けられており、これらは少なくとも1つの共通の引込み開口部(24)によって互いに連結されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのロック用スリット(18)の間にただ1つの引込み開口部(24)が配置されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載の短縮要素(15)。
【請求項6】
前記引込み開口部(24)が凸部(43)を有し、前記凸部(43)それぞれが、前記少なくとも1本のチェーンストランド(6)において形成されるチェーン十字部(41)の脚部(40)に割り当てられている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのロック用スリット(18)に対して互いに対向する2組の凸部(43)、が設けられている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の短縮要素(15)。
【請求項8】
前記短縮要素(15)が、好ましくは長楕円形の板として本質的に設計されており、
前記少なくとも1つのロック用スリット(18)および前記引込み開口部(24)が前記短縮要素(15)の平坦面(29)に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項9】
前記ソケット(48)に固定できるように設計されている少なくとも1つの安全要素(31)、が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項10】
前記安全要素(31)が、前記ソケット(48)と噛み合い嵌合するように設計されている、
ことを特徴とする、請求項9に記載の短縮要素(15)。
【請求項11】
前記安全要素(31)が、少なくとも部分的に弾性変形可能な部材から形成されている、
ことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の短縮要素(15)。
【請求項12】
前記安全要素(31)が、本質的にダンベルの形状に設計されており、かつ2つの頭部を有し、前記頭部の外側輪郭が前記ソケット(48)の内側輪郭よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項9から請求項11のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項13】
前記安全要素(31)が、前記少なくとも1つのロック用スリット(18)の方向に変位できないように前記ソケット(48)に保持されている、
ことを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれかに記載の短縮要素(15)。
【請求項14】
タイヤチェーン(4)であって、
少なくとも2本のチェーンストランド(6)を有する走行用網目(1)であって、前記少なくとも2本のチェーンストランドが、周方向(5)に対して横方向に離間配置されているそれぞれの固定点(8)から、それぞれの第2の固定点まで周方向に延在している、走行用網目(1)と、
前記第1の固定点と前記第2の固定点との間に位置している少なくとも1つの短縮要素(15)であって、前記短縮要素(15)の中で、前記少なくとも2本のチェーンストランドが、ロックポジション(32)において、前記周方向(5)に対して横方向に互いに離間して、かつ長手方向(17)に変位不能に、保持される、短縮要素(15)と、
を有し、
前記短縮要素(15)に、少なくとも1つの引込み開口部(24)が設けられており、少なくとも1本のチェーンストランドは、前記ロックポジション(32)から前記引込み開口部(24)の中に移動可能であり、前記引込み開口部(24)の中で、少なくとも1本の前記チェーンストランドは、その長手方向(17)に、少なくとも1本の別のチェーンストランド(6)に対して変位可能である、
ことを特徴とする、タイヤチェーン(4)。
【請求項15】
前記短縮要素(15)が、請求項1から請求項13のいずれかに従って形成されている、
ことを特徴とする、請求項14に記載のタイヤチェーン(4)。
【請求項16】
短縮された状態において、第1の固定点(8)から前記短縮要素(15)までは、少なくとも1本のチェーンストランド(6,6a)が緊張状態で延在しており、かつ少なくとも1本の別のチェーンストランド(6,6b)が弛緩状態で延在しており、前記短縮要素(15)から第2の固定点(8)までは、前記少なくとも1本のチェーンストランド(6,6a)が弛緩状態で延在しており、かつ前記少なくとも1本の別のチェーンストランド(6,6b)が緊張状態で延在している、
ことを特徴とする、請求項14または請求項15に記載のタイヤチェーン(4)。
【請求項17】
前記短縮要素(15)に、前記少なくとも2本のチェーンストランド(6)の間に安全要素(31)が取り付けられ、
少なくとも1本のチェーンストランド(6)が前記引込み開口部(24)に移動することが前記安全要素(31)によって阻止される、
ことを特徴とする、請求項14から請求項16のいずれかに記載のタイヤチェーン(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−153358(P2012−153358A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10937(P2012−10937)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(509003069)アールウーデー ケッテン リーガー ウント ディエッツ ゲーエムベーハー ウー. ツェーオー. カーゲー (5)