説明

タイヤチェーン

【課題】車両と路面の間の摩擦を増加するために車両用タイヤに取り付けられるタイヤチェーンに関し、使用限度が容易に確認できるタイヤチェーンを提供することを課題とする。
【解決手段】底部51が地面と接触するように設けられた有底筒状のケース部33と、ケース部33の内部に設けられ、ケース部33の底部51が摩耗により消滅すると、外部に露出する樹脂、エラストマのうちのいずれかでなる表示部35と、からなる使用限度表示部材31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬季条件下で、車両と路面の間の摩擦を増加するために車両用タイヤに取り付けられるタイヤチェーンに関し、更に詳しくは、タイヤチェーンの摩耗による使用限度を容易に確認できるタイヤチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
雪道や凍った路面を自動車で走行する際は、タイヤを通常のものに換えて、スパイクタイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤ自体に滑り止め効果のあるものを用いる他、タイヤチェーンをタイヤに装着してスリップ防止を図るのが一般的である。
【0003】
冬季に常時路面上が氷雪で覆われている地域では上記の如くタイヤ自身を交換することが良く行われるが、上記氷雪地域以外の特に都会部では、通常のタイヤに対し必要時にのみタイヤチェーンを装着するのが一般的である。
【0004】
タイヤチェーンとしては金属チェーン,樹脂チェーン,繊維製チェーンが挙げられる。
る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−20431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタッドレスタイヤでは、タイヤの溝の1.6mm以下に減ると使用者にタイヤとしての使用限度を知らせるスリップサイン以外に、タイヤの溝が残り50%未満になると使用者にスタッドレスタイヤとして使用限度を知らせるプラットフォームと呼ばれるサインも設けられている。
【0007】
しかし、金属チェーン、樹脂チェーンでは、チェーンの使用限度を使用者に知らせるサインがない。そして、例えば、金属チェーンでは、チェーンの線径が新品の半分になったら使用限度であると取扱説明書で記載されている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、使用限度が容易に確認できるタイヤチェーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決する請求項1に係る発明は、地面と接触部分に、底部が地面と接触するように設けられた有底筒状のケース部と、該ケース部の内部に設けられ、前記ケース部の底部が摩耗すると、外部に露出する表示部と、からなる使用限度表示部材を設けたことを特徴とするタイヤチェーンである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記タイヤチェーンは、線材を環状にした鎖をつなげたチェーンから構成され、前記使用限度表示部材の周部は、前記鎖に接続されることを特徴とするタイヤチェーンである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記表示部は、樹脂、エラストマのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のタイヤチェーンである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記表示部は、赤色であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のタイヤチェーンである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1−3に係る発明によれば、底部が地面と接触するように設けられた有底筒状のケース部と、該ケース部の内部に設けられ、前記ケース部の底部が摩耗すると、外部に露出する表示部と、からなる使用限度表示部材を地面と接触する部分に設けた。よって、チェーンの使用限度になると、ケース部の底部が摩耗して消滅し、表示部が外部に露出するように、ケース部の底部の厚さ、材質を選定すれば、使用限度が容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の使用限度表示部材を説明する図で、図3の切断線I-Iでの断面図である。
【図2】実施形態のタイヤチェーンの全体構成を説明する図である。
【図3】図2の使用限度表示部材の斜視図である。
【図4】図3の使用限度表示部材の分解斜視図である。
【図5】図1の使用限度表示部材の作動を説明る図である。
【図6】図1の使用限度表示部材の作動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図2を用いて、実施形態のタイヤチェーンの全体構成を説明する。図において、金属タイヤチェーン21は、線材を環状にした鎖をつなげたチェーンから構成され、タイヤ3の外側のサイドウォール5に沿って設けられるサイドチェーン部23と、サイドチェーン部23に連設され、タイヤ3のトレッド9と対向し、地面と接触するクロスチェーン部25と、タイヤ3の内側のサイドウォールに沿って設けられるケーブルとからなっている。
【0016】
そして、金属タイヤチェーン21をタイヤ3にフィットさせるために、タイヤ3の外側のサイドウォール5には、付勢手段31が設けられている。付勢手段61は、一方の端部が滑車63を介してサイドチェーン部23に接続されたチェーン65と、チェーン65の他方の端部側に設けられた金属スプリング67と、金属スプリング67に設けられたフック69とからなっている。
【0017】
更に、付勢手段61は、フック69を用いて、サイドチェーン部23に沿って配設されるようになっている。そして、金属タイヤチェーン21をタイヤ3に装着した後に、金属スプリング27の付勢力に抗して、フック39をサイドチェーン部23に係止させることによりサイドチェーン部23を縮径方向に付勢し、金属タイヤチェーン21全体をタイヤ3にフィットさせる。
【0018】
クロスチェーン部25は、タイヤの回転方向に沿って配置される回転方向部25aと、回転方向部25aからタイヤの回転方向に対して斜めに横切る方向に延出し、タイヤの表側のサイドウォールに至る第1クロス部25bと、回転方向部25aからタイヤの回転方向に対して斜めに横切る方向に延出し、タイヤの裏側のサイドウォールに至る第2クロス部25cとからなっている。尚、このような形状の金属タイヤチェーンを亀甲型の金属タイヤチェーンという。
【0019】
そして、回転方向部25aの鎖と、第1クロス部25bの鎖と、第2クロス部25cの鎖とは、本実施形態の使用限度表示部材31を介して接続されている。
【0020】
次に、図1、図3−図4を用いて、使用限度表示部材31を説明する。図1は本実施形態の使用限度表示部材を説明する図で、図3の切断線I-Iでの断面図、図3は図2の使用限度表示部材の斜視図、図4は図3の使用限度表示部材の分解斜視図である。
【0021】
図において、使用限度表示部材31は、ケース部33とケース部33内に設けられた表示部35とから構成される。
【0022】
本実施形態の使用限度表示部材31のケース部33は、大径部33aと小径部33bとからなり、小径部33bのほうに底が形成され、大径部33aのほうに開放面が形成された有底円筒状をなしている。更に、大径部33aの開放面側の周面には、つば部33bが形成されている。本実施形態では、金属板をプレス加工して形成した。そして、小径部33bの底部51が、地面に当接するように、使用限度表示部材31は設けられる。
【0023】
大径部33a、小径部33b内に、赤色の樹脂でなる表示部35がインサート成形で充填されている。尚、表示部35の材質としては、他にエラストマであってもよい。また、樹脂でケース部33内部に嵌合する形状の部品を製造し、接着等の手法でケース部33内部に取り付けてもよい。また、色も赤色に限定するものではなく、黄色や、また、本実施形態では、つば部33cの周部に、略等ピッチで、3箇所の凹部33d、33e、33fが形成されている。
【0024】
そして、図4に示すように、つば部33の周部には、リング37が溶接等の手法により取り付けられる。このリング37を取り付けることにより、図3に示すように、つば部33cの凹部33dには、クロスチェーン部25の回転方向部25aの鎖41が係合可能となる。また、つば部33cの凹部33eには、第1クロス部25bの鎖43が係合可能となる。更に、つば部33cの凹部33fには、第2クロス部25cの鎖45が係合可能となる。
【0025】
次に、上記構成の使用限度表示部材31の作動を図5、図6を用いて説明する。使用限度表示部材31の小径部33bの底部51が地面Gに接触する。走行することにより、使用限度表示部材31のケース部33の底部51は摩耗して消滅し、図5→図6に示すように、表示部35が外部に露出する。
【0026】
よって、チェーンの使用限度になると、ケース部31の底部51が摩耗して消滅し、表示部35が外部に露出するように、ケース部31の底部51の厚さ(t)や底部51の材質を選定すれば、使用限度が容易に確認できる。
【0027】
尚、本実施形態のように、ケース部31をプレス加工で製造する場合には、底部51の厚さを変えることは、金型の種類が増えるので、材質を変えて対応する方が好ましい。
【0028】
尚、本発明は、上記実施液体に限定するものではない。上記実施形態では、亀甲型の金属タイヤチェーンで説明を行ったが、クロスチェーン部がタイヤ回転方向に対して略直交する部分のみでなるハシゴ型金属タイヤチェーンでも設けることが可能である。
【0029】
更に、接地部が樹脂等の非金属材料でなる非金属チェーンにも本実施形態の使用限度表示部材を設けることが可能である。例えば、スパイクピン部を本実施形態の使用限度表示部材とすることで適用できる。
【符号の説明】
【0030】
31 使用表示部材
33 ケース部
35 表示部
51 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面と接触する底部を有する筒状のケース部と、
該ケース部の内部に設けられ、前記ケース部の底部が摩耗により消滅すると、外部に露出する表示部と、
からなる使用限度表示部材を設けたことを特徴とするタイヤチェーン。
【請求項2】
前記タイヤチェーンは、線材を環状にした鎖をつなげたチェーンから構成され、
前記使用限度表示部材の周部は、前記鎖に接続されることを特徴とするタイヤチェーン。
【請求項3】
前記表示部は、樹脂、エラストマのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のタイヤチェーン。
【請求項4】
前記表示部は、赤色であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のタイヤチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−95266(P2013−95266A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239899(P2011−239899)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(390024040)株式会社エフ.イー.シーチェーン (5)