説明

タイヤバルブユニット

【課題】リムに対し容易に装着し得ると共に、確実に装着状態を保持しシール性を確保し得る装着構造を備えたタイヤバルブユニットを提供する。
【解決手段】タイヤバルブ1とタイヤセンサ2を備え、弾性筒状部材20を介して車両用ホイールのリムRに装着するタイヤバルブユニットUにおいて、弾性筒状部材の開口端部に硬質環状部材(カラー30)を固着する。弾性筒状部材内で環状空間S1を形成するように、ハウジング40の延出部42を硬質環状部材に係合した状態で、弾性筒状部材の第1係合部21と第2係合部22との間でリムRに保持する。環状空間は延出部の連通路40aを介してハウジング外に連通し、空気圧を導入して弾性筒状部材をリムに押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態監視装置に供されるタイヤバルブユニットに関し、特に、車両用ホイールのリムへの適切な装着構造を有するタイヤバルブユニットに係る。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用タイヤにおける空気圧等のタイヤ状態を車室内で監視し得るタイヤ状態監視装置が知られており、これに供される種々のタイヤバルブユニットが提案されている。このタイヤバルブユニットは、一般的に、バルブ本体から延出する硬質筒状部材、例えば金属管のバルブステムを有するタイヤバルブと、バルブステムを囲繞する例えばゴム製の弾性筒状部材と、この弾性筒状部材に装着する空気圧センサ等のタイヤセンサを備え、弾性筒状部材を介して車両用ホイールのリムに装着される。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、スナップインタイヤバルブを備えたタイヤ空気圧センサに関し、タイヤの空気圧を検出する検圧素子とこの検圧素子の情報を送信する電波発信機等を格納するケースに、通気部を有する突起状の嵌合部を設け、この嵌合部をゴム等の弾性体からなるスナップインタイヤバルブの通気穴に圧入して保持する構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、タイヤ空気圧送信ユニットを含み、ホイールの開口に容易に挿入し得るタイヤバルブに関し、送信ユニットと弾性バルブボデーとの間に円筒体のような負荷対抗部材を設け、両者間に膨張(許容)空間を形成する装置が提案されている。この負荷対抗部材は剛体であり、同じく剛体のバルブボデーと螺合あるいは圧入によって連結され、剛構造となっている。同文献2の図10に記載のユニットでは、環状シール面を有しホイールのリムに対してスナップイン(snap-in)装着するのに好適な弾性部材によって、バルブボデーの一部が囲繞され、このバルブボデーの内端には溝と円錐面が形成されており、送信ユニットを支持する負荷対抗部材は、弾性部材内でクリップリングが溝にスナップインすることによって送信ユニットをバルブボデーに固定することとしている。そして、送信ユニットと弾性バルブボデーとの間に膨張(許容)空間を形成するように設定される旨記載されている。
【0005】
更に、特許文献3にも、スナップイン式のバルブに空気圧センサを固定する手段に関し、空気圧センサに一端を固定すると共に他端をタイヤバルブに固定する連結ロッドと、タイヤバルブを空気圧センサに連通する空気通路を設ける構造が提案されている。その図1には、ゴム製のバルブステムに環状溝が形成されており、その溝がリムの穴に係合してスナップイン(snap-in)を構成する旨記載されている。そして、自由端が鉤状に形成された筒体のロッドが、バルブステムの内側通路に形成された円錐部に係合される旨記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−174356号公報
【特許文献2】米国特許第6,005,480号明細書
【特許文献3】米国特許第6,851,308号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前掲の特許文献に記載のタイヤバルブは何れも所謂スナップイン構造を有し、ホイールのリムに対しスナップイン装着される手段が開示されているが、タイヤ空気圧送信ユニットあるいはタイヤ空気圧センサとの接合等に関連して、以下の課題が残る。先ず、特許文献1に記載のような通気穴への嵌合部の圧入構造では、装着は容易であるが十分な接合力を確保することが困難である。
【0008】
一方、特許文献2に開示された構造では、上記ユニットをホイールのリムに圧入し、必要なシール性を確保するには極めて高い寸法精度が要求される。特に、ユニット取付時の弾性部材の変位を吸収するとされる膨張(許容)空間は、リムとの結合部から離隔しており、スナップイン装着時の変位を吸収し得るか否か、疑問が残る。また、弾性部材内で負荷対抗部材のクリップリングをバルブボデーの溝にスナップインさせる構造も開示されているが、特許文献2の図10に示すようなリムとの結合部に対応する部分では、負荷対抗部材(のクリップリング)をバルブボデー(の溝)に係合させることは極めて困難であり、現実的ではない。更に、上記ユニット装着後、リムとの間の気密性を維持することが必要であり、リムの回転に伴いユニットに対して遠心力が働くので、これに対処することも必要である。しかし、特許文献2に記載のような剛構造のユニットでは重量も大となり、遠心力の影響を受け易く、リムとの気密性を維持することは至難である。特に、リムが薄い場合には、リムへの支持部を中心に揺動し、振動するおそれがあるので、対抗すべき遠心力の大きさによっては別途対策を講ずる必要がある。
【0009】
同様に、特許文献3においても、その図1に示された構造ではロッドの鉤状自由端をバルブステムの内側通路に形成された円錐部に係合させることは困難であり、必要なシール性を確保することは至難である。仮に、ロッドの鉤状自由端を円錐部に容易に係合させ得る空間が残置されているとすれば、鉤状自由端はゴム製の円錐部に係合することになり、逆に脱落するおそれが生ずるので、何らかの対策を講ずる必要がある。
【0010】
そこで、本発明は、車両用ホイールのリムに装着するタイヤバルブユニットにおいて、リムに対し容易に装着し得ると共に、確実に装着状態を保持しシール性を確保し得る装着構造を備えたタイヤバルブユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、バルブ本体から延出する硬質筒状部材を有するタイヤバルブと、前記硬質筒状部材を囲繞する弾性筒状部材と、該弾性筒状部材に接合するハウジングと、該ハウジング内に収容するタイヤセンサを備え、前記弾性筒状部材を介して車両用ホイールのリムに装着するタイヤバルブユニットにおいて、前記弾性筒状部材が、夫々径方向に延出する第1係合部及び第2係合部を外側面に形成し、前記第1係合部と前記第2係合部との間で前記リムに保持するように構成し、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に固着する硬質環状部材を備えると共に、前記ハウジングが、連通路を有し前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合する延出部を備え、前記第1係合部と前記第2係合部との間の外側面に略対応する前記弾性筒状部材の内側面と前記延出部との間に環状空間を形成すると共に、該環状空間を、前記連通路を介して前記ハウジング外に連通するように構成したものである。尚、前記タイヤセンサは、空気圧を含みタイヤ状態を監視するもので、その構成要素として種々の電子部品、バッテリ、アンテナ等を含み、送信機能を備えたものも包含される。
【0012】
上記タイヤバルブユニットにおいて、請求項2に記載のように、前記ハウジングの延出部は、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部と、該螺合部から前記弾性筒状部材内に延出する自由端部を備えたものとし、該自由端部及び前記螺合部内に前記連通路を形成するとよい。
【0013】
更に、請求項3に記載のように、前記硬質筒状部材は、延出方向の端部に拡径部を有するものとし、該拡径部内に前記自由端部を収容するように配置し、前記拡径部の内側面と前記自由端部の外側面との間に筒状空間を形成し、該筒状空間及び前記環状空間を、前記連通路を介して前記ハウジング外に連通するように構成するとよい。
【0014】
また、請求項4に記載のように、前記ハウジングの延出部は、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有するものとし、該螺合部に一端が保持され、自由端部が前記弾性筒状部材内に延出する硬質支持部材を備えたものとし、該硬質支持部材及び前記螺合部内に前記連通路を形成することとしてもよい。
【0015】
前記硬質筒状部材は、請求項5に記載のように、延出方向の端部に拡径部を有するものとし、該拡径部内に前記硬質支持部材の自由端部を収容するように配置し、前記拡径部の内側面と前記硬質支持部材の自由端部の外側面との間に筒状空間を形成することとしてもよい。更に、請求項6に記載のように、前記硬質支持部材を、金属管を備えたものとし、該金属管の一端を前記螺合部に固定することとしてもよい。
【0016】
上記タイヤバルブユニットにおいて、請求項7に記載のように、前記弾性筒状部材をゴム製とし、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に前記硬質環状部材を嵌着するとよい。例えば、ゴム製の弾性筒状部材に、金属製の硬質環状部材を加硫インサート成形するとよい。更に、請求項8に記載のように、前記硬質環状部材は、金属カラーを備え、該金属カラーの一端に、前記ハウジングに当接するフランジ部を形成したものとしてもよい。
【0017】
あるいは、上記タイヤバルブユニットにおいて、請求項9に記載のように、前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合する鉤部を有するものとし、該鉤部を前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合した状態で、前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間で前記リムに保持するように構成することができる。そして、請求項10に記載のように、前記弾性筒状部材をゴム製とし、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に前記硬質環状部材を一体的に固着するとよい。例えば、ゴム製の弾性筒状部材に、金属製の硬質環状部材を加硫インサート成形するとよい。
【0018】
更に、請求項11に記載のように、前記タイヤセンサのハウジングを、前記鉤部を前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合した状態で、前記弾性筒状部材の開口端面に当接する突起部を有するものとし、前記鉤部が前記硬質環状部材に係合したときに、前記突起部の前記弾性筒状部材に対する押圧力に応じて発生する前記弾性筒状部材の弾性力によって、前記鉤部と前記硬質環状部材との係合状態を保持するように構成するとよい。そして、請求項12に記載のように、前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間に略対応する位置の、前記弾性筒状部材の内側面と前記鉤部との間に、前記環状空間を形成するとよい。
【0019】
あるいは、請求項13に記載のように、前記硬質環状部材は、内側面に環状溝を有するものとし、該環状溝に前記鉤部が係合するように構成してもよい。そして、請求項14に記載のように、前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間に略対応する位置の、前記弾性筒状部材の内側面と前記硬質筒状部材の端部外側面との間に、前記環状空間を形成するとよい。更に、前記鉤部は、請求項15に記載のように、軸方向にすり割りが形成され、複数に分割された部材から成るものとするとよい。尚、前記ハウジングは、請求項16に記載のように、前記リムの内側面に略平行な外側面を有し、前記リムとの間隙を所定の値に設定するガイド部を備えたものとするとよい。
【0020】
また、前記硬質支持部材は、請求項17に記載のように、前記螺合部から前記自由端部に延在する金属管を前記ハウジング内に一体的に収容したものとし、当該金属管内に前記連通路を形成するとよい。あるいは、請求項18に記載のように、前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有し、該螺合部内に一端が保持され、前記ハウジング内で保持されるフランジ部が他端に形成された硬質支持部材を備えたものとし、該硬質支持部材及び前記螺合部内に前記連通路を形成するとよい。更に、請求項19に記載のように、前記ハウジングの延出部は、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有すると共に、該螺合部に連続する自由端部を有し、該自由端部が前記弾性筒状部材内に延出する硬質支持部材を備えたものとし、該硬質支持部材内に前記連通路を形成するとよい。この場合において、請求項20に記載のように、前記硬質支持部材は、前記螺合部及び前記自由端部を有する金属管から成り、該金属管を前記螺合部の端部で前記ハウジングに一体的に結合して成るものとするとよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のタイヤバルブユニットにおいては、弾性筒状部材のハウジング側開口端部に固着する硬質環状部材を備え、この硬質環状部材に係合するハウジングの延出部を有し、弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間の外側面に略対応する弾性筒状部材の内側面と延出部との間に環状空間を形成するように、弾性筒状部材内で延出部が硬質環状部材に係合した状態で、第1係合部と第2係合部との間で弾性筒状部材がリムに保持されるように構成されており、第1係合部と第2係合部との間の弾性筒状部材は径方向に変形し得るので、容易に車両用ホイールのリムに装着することができる。しかも、弾性筒状部材のハウジング側開口端部には硬質環状部材が固着されているので、弾性筒状部材端部の変形を防止することができ、確実に装着状態を保持し、リムとの間に必要なシール性を確保することができる。更に、上記環状空間を、延出部の連通路を介してハウジング外に連通するように構成されており、環状空間に導入される空気圧により、弾性筒状部材が装着対象のリムの端面に押圧されるので、リムとの間の気密性を確実に維持することができる。特に、硬質筒状部材とハウジングの延出部は弾性筒状部材を介して連結された柔構造であるので、リムの回転に伴いタイヤバルブユニットに加わる遠心力に対しても、適切に対応することができ、気密性を維持しつつ、安定した状態でリムに保持することができる。
【0022】
特に、請求項2に記載のように構成すれば、ハウジングの延出部に形成された螺合部が硬質環状部材に螺合するので、確実に延出部を硬質環状部材に係合し得ると共に、弾性筒状部材の変形を防止し、シール性を確保することができる。しかも、自由端部及び螺合部内に上記連通路が形成されており、この連通路を介して上記環状空間がハウジング外に連通し、環状空間に導入される空気圧により、弾性筒状部材が装着対象のリムの端面に押圧されるので、リムとの間の気密性を確実に維持することができる。
【0023】
更に、請求項3に記載のように構成すれば、硬質筒状部材に形成された拡径部内に自由端部が収容され、両者間に筒状空間が形成されているので、装着容易性を確保しつつ、装着後の変形を防止し、シール性を確保することができる。しかも、この筒状空間と延出部の連通路を介して上記環状空間がハウジング外に連通し、環状空間に導入される空気圧により、弾性筒状部材が装着対象のリムの端面に押圧されるので、リムとの間の気密性を確実に維持することができる。更に、前述のように、タイヤバルブユニットに加わる遠心力に対しても、適切に対応することができ、リムが高速回転するのに伴い、タイヤバルブユニットに対し大きな遠心力が働き、硬質筒状部材の拡径部と延出部の自由端部との間に相対変位が生ずるような力が加わる場合にも、これらの間には筒状空間が形成されているので、この筒状空間内での相対変位は許容され、この相対変位によって上記の遠心力を適切に吸収することができる。万一、相対変位以上の力が加わったときには、自由端部が拡径部の内側面に当接し、その後は相対変位が規制されるのでタイヤバルブユニットの機能が損なわれるおそれはない。
【0024】
また、請求項4に記載のように、ハウジングの延出部に螺合部を有するものとし、この螺合部に硬質支持部材を保持したものとすれば、確実に延出部を硬質環状部材に係合し得ると共に、弾性筒状部材の変形を防止し、確実に装着状態を維持することができる。更に、請求項5に記載のように構成すれば、硬質筒状部材に形成された拡径部内に硬質支持部材の自由端部が収容され、両者間に筒状空間が形成されているので、装着容易性を確保しつつ、装着後の変形を防止し、シール性を確保することができる。請求項6に記載のように、硬質支持部材として金属管を用い、例えば一体樹脂成形によって、金属管の一端を螺合部に固定することとすれば、一層確実に変形を防止することができる。
【0025】
更に、請求項7に記載のように構成すれば、硬質環状部材を弾性筒状部材のハウジング側開口端部に容易且つ確実に固着することができる。更に、請求項8に記載のように、硬質環状部材として金属カラーを用い、その一端にフランジ部を形成したものとすれば、一層確実に変形を防止することができる。
【0026】
一方、請求項9に記載のタイヤバルブユニットは、鉤部を弾性筒状部材内で硬質環状部材に係合した状態で、弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間でリムに保持するように構成されており、第1係合部と第2係合部との間の弾性筒状部材は径方向に変形し得るので、容易に車両用ホイールのリムに装着することができると共に、弾性筒状部材のハウジング側開口端部には硬質環状部材が固着されているので、装着後の変形を防止することができ、シール性を確保することができる。
【0027】
特に、請求項10に記載のように構成すれば、硬質環状部材を弾性筒状部材のハウジング側開口端部に容易且つ確実に固着することができる。また、請求項11に記載のように構成すれば、ハウジングの突起部によって鉤部と硬質環状部材との係合状態を保持することができるので、確実に装着状態を維持することができる。更に、請求項12に記載のように構成すれば、環状空間に導入される空気圧により、弾性筒状部材が装着対象のリムの端面に押圧されるので、リムとの間の気密性を確実に維持することができる。
【0028】
あるいは、硬質環状部材を、請求項13に記載のように、内側面に環状溝を有するものとし、この環状溝に鉤部が係合するように構成すれば、鉤部と硬質環状部材との係合状態を確実に保持することができ、この硬質環状部材をインサート成形する場合には、金型を容易に製造することができるので、安価な製品となる。これに加えて、請求項14に記載のように構成すれば、延出部を硬質環状部材から突出させることなく硬質環状部材に係合させることができ、軸方向寸法を短くすることができると共に、車両用ホイールのリムへの装着時における弾性筒状部材の変形を容易に吸収することができる。しかも、環状空間に導入される空気圧により、弾性筒状部材が装着対象のリムの端面に押圧されるので、リムとの間の気密性を確実に維持することができる。
【0029】
更に、請求項15に記載のように構成すれば、すり割りによって係合延出部の硬質環状部材への係合を容易に行うことができる。また、請求項16に記載のように、ハウジングにガイド部を形成すれば、リムとの間隙を最小限に抑えることができるので、仮に車両走行中にハウジングがリムに当接することがあっても、安定した装着状態を確保することができる。
【0030】
また、請求項17に記載のように、硬質支持部材として金属管を用い、例えば一体樹脂成形によってハウジング内に一体的に収容することとすれば、金属管はハウジング内で強固に固着され、一層確実に変形を防止することができる。あるいは、請求項18に記載のように構成すれば、硬質支持部材はハウジング内の螺合部近傍で強固に固着される。更に、請求項19に記載のように硬質支持部材を構成すれば、硬質支持部材はハウジング内で強固に固着され、一層確実に変形を防止することができる。特に、請求項20に記載のように、硬質支持部材として金属管を用いれば、その螺合部と硬質環状部材との係合状態が一層強固となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1及び図2はタイヤバルブ1とタイヤセンサ2を結合してタイヤバルブユニットUを構成した状態を示すもので、弾性筒状部材20を介して車両用ホイールのリムRに装着される。本実施形態のタイヤバルブユニットUは、車両用タイヤ内の空気圧や温度等のタイヤ状態を監視するタイヤ状態監視装置に供される。タイヤセンサ2の構成要素としては、種々の電子部品、バッテリ、アンテナ等を含み、送信機能を備えており、送信機ユニットということもできるが、これに限定するものではなく、少なくともタイヤ状態を監視する機能を有するセンサユニットが対象とされる。
【0032】
タイヤバルブ1は、バルブ機構部品Vが金属製のバルブ本体10内に収容され、バルブ本体10からバルブステム12が一体的に延出形成されている。このバルブステム12は金属製であるが、硬質筒状部材であれば樹脂製でもよく、バルブ本体10とは別体に形成して接合することとしてもよい。このバルブステム12は、延出方向の端部が拡径されて拡径部13が形成されており、バルブ本体10との境界となる膨出部11と共にゴム製の弾性筒状部材20に囲繞されている。
【0033】
本実施形態の弾性筒状部材20は、図1及び図3に示すようにバルブステム12を囲繞するように形成されており、外周面がテーパ状に形成されたゴム部材である。弾性筒状部材20の一端側の外側面には、径方向に延出しリムRの一方の側面と係合する第1係合部21が一体的に形成されている。また、弾性筒状部材20の他端側の外側面には、径方向に延出しリムRの他方の側面と係合する第2係合部22が一体的に形成されている。尚、第1係合部21及び第2係合部22は、本実施形態では、何れも環状凸部であるが、複数の突起を連続して形成し外周に沿って隙間を有するように構成することもできる。
【0034】
また、弾性筒状部材20の他端側(ハウジング40側)の開口端部には、硬質環状部材として、フランジ部31を有する金属製(例えば黄銅製)円環のカラー30が嵌着されている。具体的には、図3に示すように、バルブステム12と共に、カラー30がインサート成形(加硫)されて、ゴム製の弾性筒状部材20がバルブステム12及びカラー30と一体的に形成される。
【0035】
一方、タイヤセンサ2のハウジング40は樹脂製容器で、図3乃至図7に示すように形成され、センサユニット(図示省略)が収容された後、リムRの内側面に対向する側の開口が蓋体41によって閉塞されるように構成されており、ハウジング40には、カラー30と係合する延出部42が一体的に形成されている。そして、延出部42には、カラー30に螺合する螺合部43と、この螺合部43からバルブステム12の拡径部13内に延出する自由端部44が形成されている。これらの螺合部43及び自由端部44には連通路40aが形成されており、この連通路40aは、自由端部44の先端で開口し、螺合部43側でハウジング40の側方に開口する連通路40bと連通するように構成されている。
【0036】
而して、後述するように組み付けられてリムRに装着されると、図1に示すように、弾性筒状部材20内で螺合部43がカラー30に螺合した状態で、弾性筒状部材20の第1係合部21と第2係合部22との間でリムRに保持される。そして、図1及び図4に示すように、弾性筒状部材20の第1係合部21と第2係合部22との間に略対応する位置の、弾性筒状部材20の内側面と延出部42との間に、環状空間S1が形成される。また、自由端部44が拡径部13内に収容されるので、拡径部13の内側面と自由端部44の外側面との間に筒状空間S2が形成される。従って、これらの環状空間S1及び筒状空間S2は連通路40a及び40bを介してリムRの内側空間(図1の右側空間)と連通する。尚、環状空間S1及び筒状空間S2は実質的に環状及び筒状であればよく、例えば軸方向のリブ(図示せず)によって複数の径方向空間に分割し、これらによって実質的に環状及び筒状となるように構成してもよい。
【0037】
更に、本実施形態では、図7の斜視図に明らかなように、延出部42の両側に一対の立壁部46,46が形成されており、これらは夫々リブ47,47が一体的に形成されている。蓋体41は、リムRの内側面に略平行な外側面を有し、蓋体41とリムRとの間隙を所定の値に設定するように形成されている。この蓋体41の外側面により、車両走行時にハウジング40(タイヤセンサ2)に遠心力が加わり、万一ハウジング40に撓みが生じた場合にも、蓋体41の外側面がリムRの内側面に当接して、リムRとの間の間隙を最小限に抑えることができる。而して、仮に車両走行中に蓋体41がリムRに当接することがあっても、安定した装着状態を確保することができる。尚、タイヤセンサ2は、前述のように、少なくともタイヤ状態を監視する機能を有し、送信機能も備えているが、これらの構成は本発明とは直接関係するものではないので、説明は省略する。
【0038】
次に、上記の構成になるタイヤバルブユニットUの組み付け及び車両用ホイールのリムRへの装着について説明する。図3に示すように弾性筒状部材20及びカラー30が一体的に形成されたタイヤバルブ1に対し、図5乃至図7に示すように構成されたハウジング40(タイヤセンサ2)が、図3に白抜き矢印で示すように挿入され、自由端部44がバルブステム12の拡径部13内に収容された状態で、螺合部43がカラー30に螺合される。従って、ハウジング40はカラー30に確実に固定された状態で保持される。この結果、図4に示すように、弾性筒状部材20の内側面と延出部42との間に環状空間S1が形成されると共に、拡径部13の内側面と自由端部44の外側面との間に筒状空間S2が形成された状態となる。従って、環状空間S1は、筒状空間S2を介して連通路40a及び40bと連通する。
【0039】
而して、タイヤバルブ1とタイヤセンサ2が図1の状態に組み付けられ、タイヤバルブユニットUが構成される。そして、タイヤバルブユニットUのキャップ3側をリムRの孔Rhに挿通し、弾性筒状部材20をキャップ3側に引っ張り、弾性筒状部材20の第1係合部21がリムRの孔Rhを乗り越えると、第1係合部21と第2係合部22との間で、弾性筒状部材20がリムRに係止される。このとき、弾性筒状部材20の内側面と延出部42との間に環状空間S1が形成されており、弾性筒状部材20の第1係合部21がリムRの孔Rhを乗り越えるときに、第1係合部21と第2係合部22との間の部分が径方向(軸心方向)に屈曲するので、容易にリムRに装着することができる。尚、それ以上弾性筒状部材20を引っ張っても、第2係合部22がリムRに係止されて、リムRを乗り越えることはないので、タイヤバルブユニットUはリムRに保持された状態となる。この結果、図2に示すように、タイヤバルブユニットUは、そのハウジング40の蓋体41がリムRの内側面に対し微小間隙を以って略平行の状態で保持される。しかも、弾性筒状部材20のハウジング側開口端部には硬質環状部材のカラー30が固着されているので、弾性筒状部材20の端部の変形を防止することができ、確実にタイヤバルブユニットUの装着状態を保持し、リムRとの間に必要なシール性を確保することができる。
【0040】
そして、タイヤに空気が注入されると、リムRの内側(図1の右側)から連通路40b、連通路40a及び筒状空間S2を介して環状空間S1に空気圧(所謂、背圧)が付与され、弾性筒状部材20の第1係合部21と第2係合部22との間の部分がリムRの開口端面に押圧される。これにより、弾性筒状部材20とリムRとの間に必要なシール性が維持され、リムRの厚さが薄い場合でも気密性が維持される。また、リムRが回転するのに伴い、タイヤバルブユニットUに対し径方向(放射方向)に遠心力が働くが、本実施形態では、硬質筒状部材たるバルブステム12とハウジング40は分離しており、これらが弾性筒状部材20を介して連結された柔構造であるので、遠心力に対し適切に対応することができる。従って、従前の剛構造のユニットで懸念される脱落のおそれはなく、安定した状態でリムRに保持される。しかも、螺合部43がカラー30に螺合されているので、タイヤバルブ1とハウジング40(タイヤセンサ2)は確実にリムRに支持された状態が維持され、安定した状態でタイヤバルブユニットUとしての機能を発揮する。
【0041】
更に、リムRが高速回転するのに伴い、タイヤバルブユニットUに対し大きな遠心力が働き、バルブステム12の拡径部13と延出部42の自由端部44との間に相対変位が生ずるような力が加わるが、これらの間には筒状空間S2が形成されているので、この筒状空間S2内での、弾性筒状部材20の弾性力に抗した拡径部13と自由端部44との間の相対変位は許容される。而して、拡径部13と自由端部44との間の相対変位によって上記の遠心力を適切に吸収することができ、万一、その相対変位を生じさせる力以上の負荷が加わったときには、自由端部44が拡径部13の内側面に当接し、その後は相対変位が規制されるのでタイヤバルブユニットUの機能が損なわれるおそれはない。
【0042】
図8乃至図10は本発明の他の実施形態を示すもので、前述の実施形態においては螺合部43と自由端部44がハウジング40に一体的に形成されているのに対し、本実施形態では、硬質支持部材たる金属管45の一端が螺合部43に保持され、金属管45の自由端部が弾性筒状部材20内(更に、拡径部13内)に延出するように支持されている。即ち、樹脂によりハウジング40と一体的に形成される自由端部44に代えて、その強度を上げるため、金属管45が用いられている。図8に示すように、金属管45の一端に環状溝45sが形成されており、この環状溝45s部分を囲繞するように、樹脂の一体成形により螺合部43(ひいては、延出部42及びハウジング40本体)が形成されるので、金属管45は螺合部43に強固に固着される。尚、その他の構成は図1乃至図7に示す実施形態と実質的に同じであり、組付け方法及び作用も略同様であり、同様の効果を奏するので、図8乃至図10においては、図1乃至図7と実質的に同じ部分には同じ符号を付して示し、説明を省略する。
【0043】
次に、図11乃至図16と図17乃至図22は本発明の別の実施形態を示すもので、前述の実施形態とは、延出部とバルブステムの構成が異なり、タイヤバルブ1とハウジング40(タイヤセンサ2)との接合構造が若干異なるが、これらが組み付けられ、タイヤバルブユニットUが構成されるときの環状空間S1の機能は同様である。而して、以下の各図において、前述のバルブステム12、弾性筒状部材20、カラー30及びハウジング40についてはxを付して区別し、図1乃至図7と異なる部分については別の符号を付すが、図1乃至図7と実質的に同じ部分には同じ符号を付して示して説明を省略する。
【0044】
図11乃至図16に示す実施形態においては、ハウジング40xは樹脂製容器で、タイヤセンサ2のセンサユニット(図示省略)が収容された後、タイヤバルブ1と同軸方向に形成された開口端が蓋体41xで閉塞されるように構成されており、蓋体41xの反対側に、カラー30xと係合する延出部48を有している。本実施形態の延出部48は、ハウジング40xと一体的に形成され、その先端部に、カラー30xに係止される鉤部49が形成されている。また、延出部48の軸方向に、すり割り48s(図14に示す)が形成され、複数の部材に分割されている。而して、後述するように組み付けられてリムRに装着されると、図11に示すように、鉤部49が弾性筒状部材20xでカラー30xに係合した状態で、弾性筒状部材20xの第1係合部21と第2係合部22との間でリムRに保持される。
【0045】
ハウジング40xには、図13に示すように、鉤部49が弾性筒状部材20x内でカラー30xに係合した状態で、弾性筒状部材20xの開口端面に当接する突起部40pが形成されている。これは、図11及び図13に示すように鉤部49がカラー30xに係合したときに、突起部40pによって圧縮された弾性筒状部材20x(の当接部)に発生する弾性力によって、鉤部49とカラー30xとの係合状態を保持するものである。尚、本実施形態では、図11及び図13に示すように、弾性筒状部材20xの第1係合部21と第2係合部22との間に略対応する位置の、弾性筒状部材20xの内側面とハウジング40xの鉤部49(延出部48)との間に、環状空間S1が形成される。この環状空間S1も、連通路40a及び40bを介してハウジング40x外に連通している。尚、環状空間S1は複数の径方向空間によって実質的に環状となるように構成してもよい。
【0046】
更に、本実施形態では、ハウジング40xのリムRに対向する外面にはガイド部40tが形成されている。このガイド部40tは、リムRの内側面に略平行な外側面を有し、ハウジング40xとリムRとの間隙を所定の値に設定するものである。このガイド部40tにより、車両走行時にハウジング40x(タイヤセンサ2)に遠心力が加わり、万一ハウジング40xに撓みが生じた場合にも、ガイド部40tの外周面がリムRに当接して、リムRとの間の間隙を最小限に抑えることができる。而して、仮に車両走行中にハウジング40xがリムRに当接することがあっても、安定した装着状態を確保することができる。
【0047】
次に、上記の構成になるタイヤバルブユニットUの組み付け及び車両用ホイールのリムRへの装着について説明する。図12に示すように弾性筒状部材20x及びカラー30xが一体的に形成されたタイヤバルブ1に対し、図14乃至図16に示すように構成されたハウジング40x(タイヤセンサ2)が、図12に白抜き矢印で示すように挿入されると、鉤部49が弾性筒状部材20x内でカラー30xに係合する。このとき、延出部48(鉤部49)にはすり割り48sが形成されており、鉤部49がカラー30xの開口を通過する際には、径方向(軸心方向)に屈曲するので、容易にカラー30xを越えてその開口端に係合し、図11及び図14の状態で保持される。この間、突起部40pが弾性筒状部材20xの端面に押圧され、弾性筒状部材20xの当接部を圧縮しつつ鉤部49がカラー30xに係合するので、係合後は、弾性筒状部材20xの弾性力によって、鉤部49はカラー30xの開口端に確実に係止された状態で保持される。
【0048】
而して、タイヤバルブ1とタイヤセンサ2が図11の状態に組み付けられ、タイヤバルブユニットUが構成される。そして、タイヤバルブユニットUのキャップ3側をリムRの孔Rhに挿通し、弾性筒状部材20xをキャップ3側に引っ張り、弾性筒状部材20xの第1係合部21がリムRの孔Rhを乗り越えると、第1係合部21と第2係合部22との間で、弾性筒状部材20xがリムRに係止される。このとき、弾性筒状部材20xの内側と延出部48の外面との間に環状空間S1が形成されており、弾性筒状部材20xの第1係合部21がリムRの孔Rhを乗り越えるときに、第1係合部21と第2係合部22との間の部分が径方向(軸心方向)に屈曲するので、容易にリムRに装着することができる。尚、これ以上弾性筒状部材20xを引っ張っても、第2係合部22がリムRに係止されて、リムRを乗り越えることはないので、タイヤバルブユニットUはリムRに保持された状態となる。この結果、タイヤバルブユニットUは、そのハウジング40xがリムRの内側面に対し微小間隙を以って略平行の状態で保持される。尚、装着後の作用効果、例えば環状空間S1によるシール性の確保等は、前述の図1乃至図7に記載の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
図17乃至図22は本発明の更に別の実施形態を示すもので、硬質環状部材たるカラー50は、前述のカラー30xに対応するが、カラー50の内側面には環状溝51が形成されており、この環状溝51にハウジング60の延出部62が係合するように構成されている。即ち、本実施形態のカラー50は図11乃至図13に示すカラー30xとは形状を異にすると共に、本実施形態の延出部62は図11乃至図13に示す延出部48と形状を異にし、その高さ(軸方向長さ)がカラー50の高さ(軸方向長さ)と略等しくなるように形成されている。従って、タイヤバルブ1にハウジング60(タイヤセンサ2)が組み付けられると、図17に示す状態となり、軸方向寸法を短くすることができる。
【0050】
また、本実施形態においては、弾性筒状部材20yの第1係合部21と第2係合部22との間に略対応する位置の、弾性筒状部材20yの内側とバルブステム12xの端部外側との間に、環状空間S3が形成されるように構成されている。本実施形態においても、図18に示すように、バルブステム12xと共に、カラー50がインサート成形(加硫)されて、弾性筒状部材20yが形成されるが、前述の図11及び図12に示す実施形態と異なり、カラー50の内径が大きく形成されており、環状空間S3はカラー50に遮られることなく外側空間に開放されているので、前述の実施形態に比べ、インサート成形用の金型を容易に製造することができ、安価な製品となる。尚、その他の構成は図11乃至図16に示す実施形態と実質的に同じであるので、説明を省略する。
【0051】
次に、図17に示すタイヤバルブユニットUの組み付けについて説明する。図18に示すように弾性筒状部材20y及びカラー50が一体的に形成されたタイヤバルブ1に対し、図19乃至図22に示すように構成されたハウジング60(タイヤセンサ2)が、図18に白抜き矢印で示すように挿入されると、延出部62の鉤部63がカラー50の環状溝51に係合する。このとき、延出部62にも、すり割り64が形成されており、鉤部63がカラー50の環状溝51に係合する際には、径方向(軸心方向)に屈曲するので、容易に環状溝51に係合し、図17及び図19に示す状態で保持される。この間、突起部65が弾性筒状部材20yの端面に押圧され、弾性筒状部材20yの当接部を圧縮しつつ延出部62がカラー50に係合するので、係合後は、弾性筒状部材20yの弾性力によって、鉤部63はカラー50の環状溝51に確実に係止された状態で保持される。
【0052】
而して、本実施形態においてもタイヤバルブ1とタイヤセンサ2が組み付けられると図2と同様の状態になり、図17に示すタイヤバルブユニットUが構成される。そして、タイヤバルブユニットUのキャップ3側をリムRの孔Rhに挿通し、弾性筒状部材20yをキャップ3側に引っ張ると、タイヤバルブユニットUがリムRに係止される。この場合において、弾性筒状部材20yの内側とバルブステム12xの外側との間に環状空間S3が形成されており、弾性筒状部材20yの第1係合部21がリムRの孔Rhを乗り越えるときに、第1係合部21と第2係合部22との間の部分が径方向(軸心方向)に屈曲するので、容易にリムRに装着することができる。この結果、図17に示すように、タイヤバルブユニットUは、そのハウジング60がリムRの内側面に対し微小間隙を以って略平行の状態で保持される。
【0053】
更に、本実施形態においても、延出部62の両側には一対の立壁部66,66が形成されており、これらは夫々リブ67,67が一体的に形成されている。また、ハウジング60のリムRに対向する外面にはガイド部68が形成されており、リムRとの間隙が最小限に抑えられる。而して、仮に車両走行中にハウジング60がリムRに当接することがあっても、安定した装着状態を確保することができる。尚、装着後の作用効果、例えば環状空間S3によるシール性の確保等は、前述の図1乃至図7に記載の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
図23乃至図31に記載の実施形態は、図8乃至図10に記載の実施形態と同様、硬質支持部材として金属管を一体的に内蔵した三つの実施形態を示すもので、以下、順次説明する。尚、その他の構成は、図8乃至図10の実施形態と同様、図1乃至図7に示す実施形態と実質的に同じであり、組付け方法及び作用も略同様であり、同様の効果を奏するので、図1乃至図7と実質的に同じ部分には同じ符号を付して示し、説明を省略する。
【0055】
先ず、図23乃至図25に記載の実施形態は、硬質支持部材たる金属管45xが螺合部43から自由端部44に延在し、金属管45xの全長に亘って樹脂によって囲繞され、ハウジング40と一体的に形成されている。本実施形態においても、図8乃至図10に記載の実施形態と同様、その強度を上げるために金属管45xが用いられているが、更に、図23に示すように、金属管45xの後端にフランジ部45xfが形成されており、また、金属管45x本体及びフランジ部45xfを囲繞するように、樹脂の一体成形により、螺合部43及び自由端部44を含む延出部42並びにハウジング40本体が形成されるので、金属管45xはハウジング40内で強固に固着される。従って、連通路40aは金属管45x内に形成される。尚、連通路40aに連通しハウジング40の側方に開口する連通路40cは、図8乃至図10に記載の連通路40bとは開口位置が異なり、連通路40bが下側に開口しているのに対し連通路40cは上側に開口しているので、異なる符号を付したが、実質的に同じ機能を有する(図26乃至図31においても同様)。
【0056】
次に、図26乃至図28に記載の実施形態は、図8乃至図10に記載の実施形態と同様、硬質支持部材たる金属管45yの一端(但し、本実施形態では前端)が螺合部43に保持されているが、その後端にフランジ部45yfが形成されており、金属管45y本体及びフランジ部45yfを囲繞するように、樹脂の一体成形により、螺合部43及び自由端部44を含む延出部42並びにハウジング40本体が形成されている。而して、金属管45yはハウジング40内の螺合部43近傍で強固に固着される。尚、本実施形態においては、連通路40aの一部が金属管45yで構成され、金属管45yを介して連通路40cに連通することになる。
【0057】
そして、図29乃至図31に記載の実施形態においては、硬質支持部材たる金属管45zは、その後端に前述の螺合部43と同形状の螺合部45zbが形成されると共に、その前端に前述の自由端部44と同形状の自由端部45zaが形成されており、弾性筒状部材20内(更に、拡径部13内)に自由端部45zaが延出するようにハウジング40に支持されている。即ち、更に強度を上げるため、金属管45zが用いられ、螺合部45zbの後端部分を囲繞するように、樹脂の一体成形によりハウジング40が形成される。而して、金属管45zはハウジング40に強固に固着される。また、その螺合部45zbがカラー30に螺合され、両者の金属螺子結合による強固な係合状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤバルブユニットの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタイヤバルブユニットのホイールリムへの装着状態を示す一部断面側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るタイヤバルブユニットの組み付け状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態においてハウジングの延出部がカラーに係合した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に供するハウジングの正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に供するハウジングの側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に供するハウジングの斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るタイヤバルブユニットの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態においてタイヤバルブユニットの組み付け状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に供するハウジングの正面図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係るタイヤバルブユニットの断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係るタイヤバルブユニットの組み付け状態を示す断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態においてハウジングの延出部がカラーに係合した状態を示す断面図である。
【図14】本発明の別の実施形態に供するハウジングの正面図である。
【図15】本発明の別の実施形態に供するハウジングの側面図である。
【図16】本発明の別の実施形態に供するハウジングの斜視図である。
【図17】本発明の更に別の実施形態に係るタイヤバルブユニットの断面図である。
【図18】本発明の更に別の実施形態に係るタイヤバルブユニットの組み付け状態を示す断面図である。
【図19】本発明の更に別の実施形態においてハウジングの延出部がカラーに係合した状態を示す断面図である。
【図20】本発明の更に別の実施形態に供するハウジングの正面図である。
【図21】本発明の更に別の実施形態に供するハウジングの側面図である。
【図22】本発明の更に別の実施形態に供するハウジングの斜視図である。
【図23】本発明の他の実施形態に係るタイヤバルブユニットの一実施例の断面図である。
【図24】本発明の他の実施形態においてタイヤバルブユニットの一実施例の組み付け状態を示す断面図である。
【図25】本発明の他の実施形態に供するハウジングの一実施例の正面図である。
【図26】本発明の他の実施形態に係るタイヤバルブユニットの他の実施例の断面図である。
【図27】本発明の他の実施形態においてタイヤバルブユニットの他の実施例の組み付け状態を示す断面図である。
【図28】本発明の他の実施形態に供するハウジングの他の実施例の正面図である。
【図29】本発明の他の実施形態に係るタイヤバルブユニットの更に他の実施例の断面図である。
【図30】本発明の他の実施形態においてタイヤバルブユニットの更に他の実施例の組み付け状態を示す断面図である。
【図31】本発明の他の実施形態に供するハウジングの更に他の実施例の正面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 タイヤバルブ
2 タイヤセンサ
10 バルブ本体
12,12x バルブステム
20,20x,20y 弾性筒状部材
21 第1係合部
22 第2係合部
30,30x,50 カラー(硬質環状部材)
40,40x,60 ハウジング
42,48,62 延出部
43 螺合部
44 自由端部
45,45x,45y,45z 金属管
49,63 鉤部
U タイヤバルブユニット
R リム
S1,S3 環状空間
S2 筒状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体から延出する硬質筒状部材を有するタイヤバルブと、前記硬質筒状部材を囲繞する弾性筒状部材と、該弾性筒状部材に接合するハウジングと、該ハウジング内に収容するタイヤセンサを備え、前記弾性筒状部材を介して車両用ホイールのリムに装着するタイヤバルブユニットにおいて、前記弾性筒状部材が、夫々径方向に延出する第1係合部及び第2係合部を外側面に形成し、前記第1係合部と前記第2係合部との間で前記リムに保持するように構成し、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に固着する硬質環状部材を備えると共に、前記ハウジングが、連通路を有し前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合する延出部を備え、前記第1係合部と前記第2係合部との間の外側面に略対応する前記弾性筒状部材の内側面と前記延出部との間に環状空間を形成すると共に、該環状空間を、前記連通路を介して前記ハウジング外に連通するように構成したことを特徴とするタイヤバルブユニット。
【請求項2】
前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部と、該螺合部から前記弾性筒状部材内に延出する自由端部を備え、該自由端部及び前記螺合部内に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤバルブユニット。
【請求項3】
前記硬質筒状部材が、延出方向の端部に拡径部を有し、該拡径部内に前記自由端部を収容するように配置し、前記拡径部の内側面と前記自由端部の外側面との間に筒状空間を形成し、該筒状空間及び前記環状空間を、前記連通路を介して前記ハウジング外に連通するように構成したことを特徴とする請求項2記載のタイヤバルブユニット。
【請求項4】
前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有し、該螺合部に一端が保持され、自由端部が前記弾性筒状部材内に延出する硬質支持部材を備え、該硬質支持部材及び前記螺合部内に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤバルブユニット。
【請求項5】
前記硬質筒状部材が、延出方向の端部に拡径部を有し、該拡径部内に前記硬質支持部材の自由端部を収容するように配置し、前記拡径部の内側面と前記硬質支持部材の自由端部の外側面との間に筒状空間を形成し、該筒状空間及び前記環状空間を、前記連通路を介して前記ハウジング外に連通するように構成したことを特徴とする請求項4記載のタイヤバルブユニット。
【請求項6】
前記硬質支持部材は、金属管を備え、該金属管の一端を前記螺合部に固定することを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項7】
前記弾性筒状部材をゴムによって形成し、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に前記硬質環状部材を嵌着することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のタイヤバルブユニット。
【請求項8】
前記硬質環状部材は、金属カラーを備え、該金属カラーの一端に、前記ハウジングに当接するフランジ部を形成したことを特徴とする請求項7記載のタイヤバルブユニット。
【請求項9】
前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合する鉤部を有し、該鉤部を前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合した状態で、前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間で前記リムに保持するように構成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤバルブユニット。
【請求項10】
前記弾性筒状部材をゴムによって形成し、前記弾性筒状部材の前記ハウジング側開口端部に前記硬質環状部材を一体的に固着することを特徴とする請求項9記載のタイヤバルブユニット。
【請求項11】
前記タイヤセンサのハウジングが、前記鉤部を前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に係合した状態で、前記弾性筒状部材の開口端面に当接する突起部を有し、前記鉤部が前記硬質環状部材に係合したときに、前記突起部の前記弾性筒状部材に対する押圧力に応じて発生する前記弾性筒状部材の弾性力によって、前記鉤部と前記硬質環状部材との係合状態を保持するように構成したことを特徴とする請求項10記載のタイヤバルブユニット。
【請求項12】
前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間に略対応する位置の、前記弾性筒状部材の内側面と前記鉤部との間に、前記環状空間を形成することを特徴とする請求項9乃至11の何れかに記載のタイヤバルブユニット。
【請求項13】
前記硬質環状部材は、内側面に環状溝を有し、該環状溝に前記鉤部が係合するように構成することを特徴とする請求項9記載のタイヤバルブユニット。
【請求項14】
前記弾性筒状部材の第1係合部と第2係合部との間に略対応する位置の、前記弾性筒状部材の内側面と前記硬質筒状部材の端部外側面との間に、前記環状空間を形成することを特徴とする請求項13記載のタイヤバルブユニット。
【請求項15】
前記鉤部は、軸方向にすり割りが形成され、複数に分割された部材から成ることを特徴とする請求項14記載のタイヤバルブユニット。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記リムの内側面に略平行な外側面を有し、前記リムとの間隙を所定の値に設定するガイド部を備えたことを特徴とする請求項9乃至15の何れかに記載のタイヤバルブユニット。
【請求項17】
前記硬質支持部材は、前記螺合部から前記自由端部に延在する金属管を前記ハウジング内に一体的に収容して成り、当該金属管内に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項18】
前記ハウジングの延出部が、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有し、該螺合部内に一端が保持され、前記ハウジング内で保持されるフランジ部が他端に形成された硬質支持部材を備え、該硬質支持部材及び前記螺合部内に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤバルブユニット。
【請求項19】
前記ハウジングの延出部は、前記弾性筒状部材内で前記硬質環状部材に螺合する螺合部を有すると共に、該螺合部に連続する自由端部を有し、該自由端部が前記弾性筒状部材内に延出する硬質支持部材を備え、該硬質支持部材内に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤバルブユニット。
【請求項20】
前記硬質支持部材は、前記螺合部及び前記自由端部を有する金属管から成り、該金属管を前記螺合部の端部で前記ハウジングに一体的に結合して成ることを特徴とする請求項19記載のタイヤバルブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−153298(P2007−153298A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19054(P2006−19054)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)