説明

タイル連結方法およびタイル連結装置

【課題】高さの高いタイルと低いタイルが混在していてもタイルをタイル連結用ネットで連結してタイルシートを形成することができると共に、タイルシートをパレットに載置した状態で各タイルの表面の傷や色配分をチェックできるタイル連結方法およびタイル連結装置を提供する。
【解決手段】本発明のタイル連結方法は、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイル11にタイル連結用ネット1を貼着し、隣接するタイル11を連結して一枚のタイルシート10を形成するタイル連結方法であって、パレット2内にタイル連結用ネットを敷設する工程と、スタンプ3によりタイル連結用ネットに液状接着剤13を塗布する工程と、タイル11の表面を吸盤で吸着して各タイルをパレットまで移送し、パレット内に敷設されたタイル連結用ネットに載置して吸盤から離脱させることにより、タイル連結用ネット1をタイル11に貼着するタイル連結用ネット貼着工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルの裏側にタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結方法およびタイル連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルの裏側にタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結方法およびタイル連結装置としては、例えば特許第3849695号のタイルユニットの製造方法及び装置がある。この方法及び装置によれば、タイル連結用ネットが原反ロールから巻き出され、カッターにて切断された後、糊付けローラの上部と接触して糊付けされ、送り機構によって整列配置された複数枚のタイルの裏面に送られて重ね合わされた後、接着剤を乾燥させることによりタイルユニット3が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3849695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、特に住宅壁面に使用されるタイルには表面の意匠性、デザイン性が要求されるようになり、高さの変化を付けたタイル及び表面に凹凸を付けたタイルを混在させた壁面の施工が増加している。このような高さに高低の違いがあるタイルをタイル連結用ネットで連結する場合、裏返してタイルをパレットに載置すると、各タイルの裏面の高さが区々になる。そのため、接着剤を付着させたタイル連結用ネットをタイルの裏面に貼着したとき、高さの高いタイルとタイル連結用ネットは接着されるが、低いタイルはタイル連結用ネットと接触せず皺が生じたり、タイル連結用ネットとタイル裏面間に隙間も生ずるので所定の配列を有するタイルシートを形成できないという問題があった。
【0005】
また、連結片で連結して形成されたタイルシートは接着剤を乾燥させるためパレットごと乾燥工程へ送られるが、従来のタイル連結方法ではタイルがパレットに裏返して
載置されているので、乾燥工程へ送られる前にタイル表面の傷及び色配分をチェックできないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、高さの高いタイルと低いタイルが混在していてもタイルをタイル連結用ネットで連結してタイルシートを形成することができると共に、タイルシートをパレットに載置した状態で各タイルの表面の傷や色配分をチェックできるタイル連結方法およびタイル連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものは、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルにタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結方法であって、パレット内にタイル連結用ネットを敷設する工程と、スタンプにより前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程と、前記施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルの表面を吸盤で吸着して各タイルを前記パレットまで移送し、前記パレット内に敷設されたタイル連結用ネットに載置して吸盤から離脱させることによりタイル連結用ネットをタイルに貼着するタイル連結用ネット貼着工程を備えたことを特徴とするタイル連結方法である。
【0008】
前記スタンプにより前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程は、複数の凸条を備えたスタンプが接着剤槽の上方に配置される工程と、前記接着剤槽内から相対的に浮上し上面に液状接着剤を保持した接着剤付与体より前記スタンプが液状接着剤を付与される工程と、前記スタンプが前記パレットの上方に配置された後、降下して前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程とを有していることが好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するものは、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルにタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結装置であって、タイル連結用ネットを敷設するためのパレットと、パレット内に敷設された前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布するためのスタンプ手段と、前記施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルの表面を吸盤で吸着して各タイルを前記パレットまで移送し前記タイル連結用ネット上に載置するためのタイル移送手段とを備えたことを特徴とするタイル連結装置である。
【0010】
前記スタンプ手段は、複数の凸条を備えたスタンプと、液状接着剤を収容した接着剤槽と、前記接着剤槽内から相対的に浮上し上面に液状接着剤を保持して前記スタンプに液状接着剤を付与するための接着剤付与体と、前記スタンプを前記パレットと前記接着剤槽間を往復動させると共に前記スタンプを降下させて前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布するためのスタンプ移送手段とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1または3に記載の発明によれば、パレットにタイル連結用ネットを敷設しスタンプにて液状接着剤を塗布した後、タイルをパレット上のタイル連結用ネットに載置してタイルを連結するため、高さの高いタイルと低いタイルが混在していても、各タイルの裏面にタイル連結用ネットが貼着され、タイル連結用ネットに皺が生じ、あるいはタイル裏面とタイル連結用ネットに隙間が生じることはない。従って、高さの高いタイルと低いタイルが混在していてもタイルをタイル連結用ネットで連結してタイルシートを形成することができる。
また、タイルはパレットに裏返しで載置されるのではなくて、表面を上にしてパレット上のタイル連結用ネットに載置するので、パレット上で形成されるタイルシートは表面を上に向けた状態となる。そのため、乾燥工程へ送る前にタイルシートを構成する各タイルの表面の傷及び色配分をチェックできる。
【0012】
請求項2または4に記載の発明によれば、タイル連結用ネットは複数の凸条を備えたスタンプにより、液状接着剤がタイル連結用ネットの全体ではなく広範囲かつ分散的に塗布されるため、タイルの連結性を保持しつつ、施工後も硬化した接着剤が施工する躯体面とタイルとの密着性を阻害することがなく、躯体面からより剥離しないタイルシートを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係るタイル連結方法またはタイル連結装置で連結したタイルシートの表面を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るタイル連結方法またはタイル連結装置で連結したタイルシートの裏面を示す斜視図である。
【図3】本発明のタイル連結方法およびタイル連結装置の一実施例を説明するための平面概略図である。
【図4】本発明のタイル連結装置の一実施例におけるタイル移送手段を説明するため側面概略図である。
【図5】本発明のタイル連結装置の一実施例におけるスタンプ手段を説明するため側面概略図である。
【図6】本発明のタイル連結装置の一実施例におけるスタンプの底面図である。
【図7】本発明のタイル連結装置の一実施例における接着剤付与体の平面図である。
【図8】本発明のタイル連結装置の一実施例におけるスタンプと接着剤付与体の作用を説明するための部分拡大縦断面図である。
【図9】本発明のタイル連結装置の一実施例におけるスタンプと接着剤付与体の作用を説明するための部分拡大縦断面図である。
【図10】本発明のタイル連結装置の他の実施例における接着剤付与体の平面図である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明のタイル連結方法の一実施例をタイル連結装置20と共に説明する。
この実施例のタイル連結方法は、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイル11にタイル連結用ネット1を貼着し、隣接するタイル11を連結して一枚のタイルシート10を形成するタイル連結方法であって、パレット2内にタイル連結用ネット1を敷設する工程と、スタンプ3によりタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布する工程と、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイル11の表面を吸盤で吸着して各タイル11をパレット2まで移送し、パレット2内に敷設されたタイル連結用ネット1に載置して吸盤から離脱させることによりタイル連結用ネット1をタイル11に貼着するタイル連結用ネット貼着工程を備えている。以下、各工程について順次詳述する。
【0015】
図1および図2に示したタイルシート10は、この実施例のタイル連結方法によって形成したタイルシートである。このタイルシート10は細長長方形の24枚のタイル11が縦12列、横2列に配列され、裏面に一枚のタイル連結用1が貼着されて隣接するタイル11同士が連結されている。これら各タイル11は、図1に示すように高さの高いタイルと低いタイルが混在してタイルシート10が形成されている。
【0016】
このようなタイルシート10を作製するために、本発明のタイル連結方法では上記工程が順次行われる。まず、パレット2内にタイル連結用ネット1を敷設する工程では、図3または図4に示すパレット供給手段30上において順次搬送されてくる各パレット2内にタイル連結用ネット1が長手方向に2枚敷設される。
【0017】
パレット供給手段30は、図4または図5に示すように、ベルトコンベア31と、ベルトコンベア31を駆動するモータ32を備え、ベルトコンベア31に載置されているパレット2を間欠的に搬送する。パレット2は図3に示すように、タイルシート10の2枚分を載置できる広さを有する平坦な底面を有しており、2枚のタイルシート10に対応して2枚のタイル連結用ネット1が搬送に先立って予め敷設される。
【0018】
スタンプ3によりタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布する工程では、複数の凸条3aを備えたスタンプ3が接着剤槽41の上方に配置される工程と、接着剤槽41内から相対的に浮上し上面に液状接着剤13を保持した接着剤付与体42よりスタンプ3が液状接着剤13を付与される工程と、スタンプ3がパレット2の上方に配置された後、降下してタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布する工程が行われる。
【0019】
これらの工程を行うのはスタンプ手段40であり、スタンプ手段40は、複数の凸条3aを備えたスタンプ3と、液状接着剤13を収容した接着剤槽41と、接着剤槽41内から相対的に浮上し上面に液状接着剤13を保持してスタンプ3に液状接着剤13を付与するための接着剤付与体4と、スタンプ3をパレット2と接着剤槽41間を往復動させると共にスタンプ3を降下させてタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布するためのスタンプ移送手段43とを有している。
【0020】
スタンプ3は、パレット2内に敷設されたタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布するためのものであり、この実施例では、図3に示すように、接着剤塗布ステーション(B)において2枚のタイル連結用ネット1に同時に液状接着剤13を塗布するため、図6に示すように、2つのスタンプ3がパレット2の進行方向に沿って配設されている。
【0021】
スタンプ3は、下方に向かって突出する複数の凸条3aを備えており、これにより、液状接着剤13がタイル連結用ネット1の全体ではなく広範囲かつ分散的に塗布され、タイルの連結性を保持しつつ、施工後も硬化した接着剤が施工する躯体面とタイルとの密着性を阻害せず、躯体面からより剥離しないタイルシートを作製できる。
【0022】
具体的には、この実施例のスタンプ3では、図6に示すように、パレット2の進行方向に沿って複数の線状体が離間して並設されて複数の凸条3aが構成されている。しかし、本発明におけるスタンプの凸条の構成はこれに限定されるものではなく、スタンプが下向きの凸条を複数有するものを広く包含するものであり、例えばパレット2の進行方向に対して直交する方向や斜行する方向に延在するもの、線状体が交叉して形成されたもの、或いは板状体のスタンプに凹条溝が形成されて凸条が構成されたものなどで複数の凸条3aが構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0023】
接着剤槽41は液状接着剤13を収容するためのものであり上面が開口して構成されている。接着剤槽41の下部にはエアーシリンダ41aが配設されており、エアーシリンダ41aのピストンロッドが接着剤槽41の外底面に連結され、接着剤槽41がエアーシリンダ41aにより昇降可能に構成されている。
【0024】
接着剤付与体4は、スタンプ3の凸条3aに液状接着剤13を付与するためのものであり、接着剤槽41内から相対的に浮上すると、図8に示すように凸条体4aの上面に表面張力によって液状接着剤13を保持するよう構成されている。具体的には、接着剤付与体4には、図7に示すように、線状体が離間して並設されて上方に向かって突出する複数の凸条体4aが構成されており、これら凸条体4aがスタンプ3の凸条3aに液状接着剤13を付与する。
【0025】
なお、この実施例では、図8に示すように、凸条体4aの幅(図8中横幅)はスタンプ3の凸条3aと略同一幅に形成されていると共に、接着剤付与体4はスタンプ3のそれぞれの凸条3aと対応する位置に凸条体4aが存在するよう、スタンプ3と接着剤付与体4との相対的位置決めがなされている。また、接着剤付与体4はスタンプ3とは異なり凸条体4a間の間隙から液状接着剤を落下させる必要があるため、板状体ではなく線状体の組み合わせから構成されるが、凸条3aの形態に対応して例えばパレット2の進行方向に対して直交する方向や斜行する方向に延在するもの、或いは線状体が交叉して形成されたものなどで構成されていてもよい。さらに、この実施例の接着剤付与体4は、図4に示すように、フレーム44a,44b間に水平方向に配された支持バー98の下方に懸垂バー99a,99bを介して固定されており、接着剤槽41が降下することにより相対的に浮上するように構成されているが、接着剤付与体が接着剤槽の内外を昇降するものも本発明の範疇に包含される。
【0026】
スタンプ移送手段43は、スタンプ3をパレット2と接着剤槽41間で往復動させると共にスタンプ3を降下させてタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布するためのものであり、図4に示すように、フレーム44a,44b間に水平方向に架設されたガイドバー45と、このガイドバー45に摺動可能に装着された移動ブロック46と、フレーム44a,44bに回転可能にそれぞれ取り付けたタイミングプーリ47a,47bと、タイミングプーリ47a,47b間に掛け渡したタイミングベルト48と、フレーム44bに固設されタイミングプーリ47bを駆動するモータ49を備え、移動ブロック46がタイミングベルト48に連結されている。移動ブロック46にはエアーシリンダ46aが垂設され、エアーシリンダ46aのピストンロッドの下端部に昇降プレート46bが固着されている。昇降プレート46bの下面にはスタンプ3が固定されている。
【0027】
そして、上記スタンプ手段40により、タイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布する工程が行われる。まず、接着剤付与ステーション(A)において複数の凸条3aを備えたスタンプ3が接着剤槽41の上方に配置される。具体的には、図3に示すように、移動ブロック46が接着剤槽41の上方に移動し、複数の凸条3aを備えたスタンプ3が接着剤槽41の上方に配置される。
【0028】
つぎに、接着剤槽41内から相対的に浮上し上面に液状接着剤13を保持した接着剤付与体4よりスタンプ3が液状接着剤13を付与される工程において、エアーシリンダ41aのピストンロッドが収縮し接着剤槽41が降下する。これによって、接着剤付与体4が接着剤槽41に対して相対的に浮上し、その際、液状接着剤13が複数の凸条体4aの間隙から落下すると共に、図8に示すように、表面張力によって凸条体4aの上面に液状接着剤13が残存する。その後、エアシンリダー46aのピストンロッドが伸長しスタンプ3が凸条体4aの上面付近まで降下することで、図9に示すように、凸条体4aの上面に残存した液状接着剤13が複数の凸条3aの下面に付与され、その状態でエアシンリダー46aのピストンロッドが収縮によりスタンプ3が上昇する。
【0029】
さらに、移動ブロック46が接着剤塗布ステーション(B)に移動してスタンプ3がパレット2の上方に配置される。その後、スタンプ3は、エアシンリダー46aのピストンロッドの伸長により降下してタイル連結用ネット1に液状接着剤13を塗布する。
【0030】
その後、施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイル11の表面を吸盤で吸着して各タイル11をパレット2まで移送し、パレット2内に敷設されたタイル連結用ネット1に載置して吸盤から離脱させることによりタイル連結用ネット1をタイル11に貼着するタイル連結用ネット貼着工程が、図3または図5に示すように、タイル供給手段50およびタイル搬送手段60を備えたタイル移送手段70により行われる。
【0031】
タイル供給手段50は、図5に示すように、ベルトコンベア51と、ベルトコンベア51を駆動するモータ52を備えている。図3に示すように、ベルトコンベア51上には複数枚のパレット53が連続して載置されタイル供給ステーション(C)へと間欠的に搬送される。各パレット53には目地枠53aで区画されたスペースにタイル11が収納され、タイルグループGを形成している。タイルグループGは一枚のタイルシート10に対応するようにそれぞれ縦12枚横2枚のタイル11で構成される。
【0032】
タイル搬送手段60は、図5に示すように、フレーム91a,91b間に水平に架設したガイドバー61と、このガイドバー61に摺動可能に装着された移動ブロック62と、フレーム91a,91bに回転可能にそれぞれ取り付けたタイミングプーリ63a,63bと、タイミングプーリ63a,63b間に掛け渡したタイミングベルト64と、フレーム91bに固設されタイミングプーリ63bを駆動するモータ65を備え、移動ブロック62がタイミングベルト64に連結されている。
【0033】
移動ブロック62にはエアーシリンダ66が垂設され、エアーシリンダ66のピストンロッドの下端部に昇降プレート67が固着されている。昇降プレート67には2組の吸盤グループ68,69が取り付けられ、各吸盤90が図示略の負圧源に接続されている。各吸盤グループ48,49を構成する複数個の吸盤90はパレット53の各タイルグループGから図1に示す一枚のタイルシート10に必要なタイルを施工状態と同じ配列で一度に吸着できるように配列されている。
【0034】
タイル移送手段70の構成は以上の通りであり、モータ65でタイミングプーリ63bを駆動するとタイミングベルト64に連結された移動ブロック62がガイドバー61に沿って水平に移動し、吸盤グループ68,69がタイル供給ステーション(C)とパレット供給手段30が設置されているタイル載置ステーション(D)間を往復動可能に構成されている。
【0035】
そして、タイル供給ステーション(C)では、エアーシリンダ66のピストンロッドを下降させ、吸盤90をベルトコンベア51上のタイル11に圧接させて負圧によりタイル11を吸着し、続いてピストンロッドの上昇によりタイル11をベルトコンベア51から持ち上げることができる。他方、タイル載置ステーション(D)では、エアーシリンダ66のピストンロッドを下降させ、タイル11をパレット2に敷設されているタイル連結用ネット1に当接させる。これにより、吸盤90の負圧が遮断され、タイル11が吸盤90から離脱してパレット2に載置され、タイル連結用ネット1にタイル11の裏面が付着して2枚のタイルシート10が形成される。タイルシート10を載置したパレット2は続いて図示略の乾燥工程へ搬送される。
【0036】
以上のように、本発明のタイル連結方法およびタイル連結装置によれば、パレットにタイル連結用ネットを敷設しスタンプにて液状接着剤を塗布した後、タイルをパレット上のタイル連結用ネットに載置してタイルを連結するため、高さの高いタイルと低いタイルが混在していても、各タイルの裏面にタイル連結用ネットが貼着され、タイル連結用ネットに皺が生じ、あるいはタイル裏面とタイル連結用ネットに隙間が生じることはない。従って、高さの高いタイルと低いタイルが混在していてもタイルをタイル連結用ネットで連結してタイルシートを形成することができる。
【0037】
また、タイルはパレットに裏返しで載置されるのではなくて、表面を上にしてパレット上のタイル連結用ネットに載置するので、パレット上で形成されるタイルシートは表面を上に向けた状態となる。そのため、乾燥工程へ送る前にタイルシートを構成する各タイルの表面の傷及び色配分をチェックできる。
【0038】
さらに、タイル連結用ネットは複数の凸条を備えたスタンプにより、液状接着剤がタイル連結用ネットの全体ではなく広範囲かつ分散的に塗布されるため、タイルの連結性を保持しつつ、施工後も硬化した接着剤が施工する躯体面とタイルとの密着性を阻害することがなく、躯体面からより剥離しないタイルシートを作製できる。
【0039】
さらに、図10に示した本発明のタイル連結装置の他の実施例における接着剤付与体84について説明する。
この実施例の接着剤付与体84と前述した接着剤付与体4との相違は、接着剤付与体4が線状体の組み合わせから構成されているのに対して、接着剤付与体84は一枚の金属板にて形成されている点である。具体的には、接着剤付与体84には液状接着剤を落下させるための大小様々な長孔84aが多数穿設されており、長孔84aが穿設されていない部分が接着剤付与部84bを構成し、この接着剤付与部84bの上面に液状接着剤が残存して、スタンプに液状接着剤を付与するように構成されている。接着剤付与体をこのような金属板にて構成したものも本発明の範疇に包含される。
【符号の説明】
【0040】
1 タイル連結用ネット
2 パレット
3 スタンプ
3a 凸条
4 接着剤付与体
4a 凸条体
10 タイルシート
20 タイル連結装置
30 パレット供給手段
40 スタンプ手段
50 タイル供給手段
60 タイル搬送手段
70 タイル移送手段
90 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルにタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結方法であって、パレット内にタイル連結用ネットを敷設する工程と、スタンプにより前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程と、前記施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルの表面を吸盤で吸着して各タイルを前記パレットまで移送し、前記パレット内に敷設されたタイル連結用ネットに載置して吸盤から離脱させることによりタイル連結用ネットをタイルに貼着するタイル連結用ネット貼着工程を備えたことを特徴とするタイル連結方法。
【請求項2】
前記スタンプにより前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程は、複数の凸条を備えたスタンプが接着剤槽の上方に配置される工程と、前記接着剤槽内から相対的に浮上し上面に液状接着剤を保持した接着剤付与体より前記スタンプが液状接着剤を付与される工程と、前記スタンプが前記パレットの上方に配置された後、降下して前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布する工程とを有している請求項1に記載のタイル連結方法。
【請求項3】
施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルにタイル連結用ネットを貼着し、隣接するタイルを連結して一枚のタイルシートを形成するタイル連結装置であって、タイル連結用ネットを敷設するためのパレットと、パレット内に敷設された前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布するためのスタンプ手段と、前記施工状態と同じ配列に整列された複数枚のタイルの表面を吸盤で吸着して各タイルを前記パレットまで移送し前記タイル連結用ネット上に載置するためのタイル移送手段とを備えたことを特徴とするタイル連結装置。
【請求項4】
前記スタンプ手段は、複数の凸条を備えたスタンプと、液状接着剤を収容した接着剤槽と、前記接着剤槽内から相対的に浮上し上面に液状接着剤を保持して前記スタンプに液状接着剤を付与するための接着剤付与体と、前記スタンプを前記パレットと前記接着剤槽間を往復動させると共に前記スタンプを降下させて前記タイル連結用ネットに液状接着剤を塗布するためのスタンプ移送手段とを有している請求項3に記載のタイル連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−167465(P2012−167465A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28151(P2011−28151)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(591127249)株式会社文晶堂 (3)
【Fターム(参考)】