説明

タグ取付用フック

【課題】麻袋に対して識別タグを片手で簡単に取り付けられるようにすること。
【解決手段】棒状部材の一方側が屈曲した保持部12と、棒状部材の他方側が鋭角に屈曲した突刺部13と、棒状部材の突刺部側先端13aが保持部側先端12aの外側に接した状態でかつ間隙部14を有するように配置された掛止部15とを備えたタグ取付用フック10であって、保持部12に識別タグ50を保持したフック10を摘んで突刺部13を麻袋40に突き刺した後、これを引き抜くと麻糸42が間隙部14を通り抜けて掛止部15に引っ掛かり、フック10が麻袋40に固定されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物等を詰めた麻袋等に内容物の情報を記録した識別タグを取り付けるためのタグ取付用フックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば米や麦などの穀物や、砂糖、コーヒー豆、羊毛、綿花などの産物を出荷する際には、これらの穀物等を麻袋に詰めてその口を紐で縛り、内容物の原産国、種類、重量などの情報を記録した識別タグを取り付けて管理している。また、麻袋に識別タグを取り付ける場合に、従来は図3に示すような市販のスナップフックを利用していた。このスナップフック30は、同図(a)に示すようにステンレス等からなる棒状部材の両側を湾曲させた形状を有し、中央に把持部31、一端に保持部32、棒状部材の端部どうしを重ね合わせた掛止部33を備えている。
【0003】
そして、麻袋40に識別タグ50を取り付ける際には、まず同図(b)に示すようにスナップフック30の把持部31を指で挟み付けて掛止部33を開き、識別タグ50に開けられた取付孔51に掛止部33の先端を通し、保持部32で識別タグ50を保持する。次に、同図(c)に示すようにスナップフック30の掛止部33を開いた状態で麻袋40の編目41を狙って掛止部33の先端を通し、矢印方向に手首のスナップを利かせて掛止部33を麻糸42に引っ掛けるようにする。これにより、同図(d)に示すように識別タグ50が保持されたスナップフック30を麻袋40に取り付けることができる。
【0004】
ところが、従来のスナップフック30によると、次のような欠点があった。
1)スナップフック30に識別タグ50を取り付ける時、把持部31を挟み付けた状態で作業しなければならない。
2)麻袋40の編目41を狙って掛止部33の先端を通す作業が難しい。
3)麻袋40の編目41を通して麻糸42に引っ掛ける時にも、把持部31を挟み付けたままの状態で作業しなければならない。
4)一方の手でスナップフック30を摘み、他方の手で麻袋40を掴んでいる必要があるので両手作業になってしまう。
【0005】
このように、従来のスナップフック30を利用すると上記のような欠点があるため、例えば穀物等が満杯に詰まって膨らんだ麻袋40にスナップフック30を取り付ける場合には特に取付作業に時間が掛かり、大量処理には適していないという問題があった。なお、下記の特許文献には、図3に示したものと同じような構造のスナップフックに関する発明が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭59−54810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、麻袋に代表される編目を有する袋に対して識別タグを簡単かつ確実に取り付けることが可能なタグ取付用フックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、編目を有する袋に識別タグを取り付けるためのタグ取付用フックであって、棒状部材の一方側が屈曲して上記識別タグを保持する保持部と、上記棒状部材の他方側が鋭角に屈曲して上記袋に突き刺す突刺部と、上記棒状部材の突刺部側先端が保持部側先端の外側に接した状態でかつ間隙部を有するように配置されて上記袋の編目に掛止する掛止部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のタグ取付用フックにおいて、上記掛止部は上記棒状部材の突刺部側先端に向かって先細りとなるテーパ加工が施されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タグ取付用フックを摘んで突刺部を麻袋等の編目を有する袋に突き刺した後、これを引き抜くだけで編目を構成する麻糸が間隙部を通り抜けて掛止部に引っ掛かり、これによりフックが袋に確実に固定され、片手で簡単に取り付けることが可能になるので、短時間で大量に識別タグの取付作業を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明のタグ取付用フックの構成を示す全体図であり、図2は同フックの使用方法を示す説明図である。
【0013】
図1に示すように、タグ取付用フック10は、例えば米や麦などの穀物や、砂糖、コーヒー豆、羊毛、綿花などの産物を詰めた麻袋40に対して、内容物の原産国、種類、重量などの情報を記録した識別タグ50を取り付けるためのものである。また、識別タグ50のUID(タグ識別コード)のみを読み取るようにして、UIDに関連付けされた上記の各種情報がホストコンピュータに保存されている運用であってもよい。
【0014】
タグ取付用フック10は、ステンレスや樹脂等の錆びにくい材質からなる棒状部材を折り曲げることによって構成されており、同図(a)に示すように棒状部材の中央に把持部11を有している。また、このフック10には、棒状部材の一方側を略円形に屈曲させて識別タグ50を保持する保持部12が設けられているとともに、棒状部材の他方側を略V字形に屈曲させて麻袋40に突き刺す突刺部13が設けられている。さらに、棒状部材の突刺部側先端13aは、保持部側先端12aの外側に一部がほぼ接した状態でありながら間隙部14を有するように配置されており、麻袋40の編目41に掛止する掛止部15になっている。
【0015】
より詳しくは、同図(b)に示すように、突刺部13の先端の幅W1が1〜5mmの範囲内に設定されている。その理由は、突刺部13の幅W1が1mm未満であるとステンレス等からなる棒状部材を曲げなければならず加工上困難であり、5mmを超えると麻袋40の編目41に通すのが困難になるからである。また、突刺部13の先端の角度αは10〜45°の範囲内に設定されているとよい。その理由は、突刺部13の角度αが10°よりも小さいと加工上困難であり、45°よりも大きいと先端が広がりすぎて麻袋40の編目41に通しづらくなるからである。また、突刺部13の先端はやや丸みを帯びた形状とするのがよい。尖っていると危険であり、取付時の動作で引っ掛かりがあってスムーズにいかない場合が考えられるためである。
【0016】
さらに、同図(c)に示すように、掛止部15には棒状部材の突刺部側先端13aに向かって先細りとなるテーパ加工が施されている。突刺部側先端13aは引きの作業時に編目41を構成する麻糸42が間隙部14をうまく通り抜けるように尖っているとよいが、あまり尖りすぎていると作業時に指に刺さって危険なので、図示したように先端だけ丸みを持たせたテーパ加工とするのがよい。また、掛止部15において、間隙部14の幅W2は麻糸42の太さに合わせて0.5〜2.0mm程度に設定されている。
【0017】
以上がタグ取付用フック10の構成であるが、以下にその使用方法を説明する。
【0018】
麻袋40に識別タグ50を取り付ける際には、まず図2(a)に示すように、タグ取付用フック10の把持部11を持ち、識別タグ50に開けられた取付孔51に掛止部15の先端を通し、保持部12で識別タグを保持する。ここで、掛止部15は始めから間隙部14を隔てて配置されているので、図3に示した従来のスナップフック30のようにわざわざ把持部31を挟み付けて掛止部33を開く必要がなく、簡単にタグ50の取付孔51に通すことができる。
【0019】
次に、同図(b)に示すように、タグ取付用フック10の先端に設けられた突刺部13を麻袋40に突き刺す。掛止部15は先端に向かって先細りとなるテーパ加工が施されているので、麻糸42を拾いやすくなっている。このため、従来のスナップフック30のように麻袋40の編目41を狙う必要はなく、好きな箇所に突き刺せばよいので、その作業は麻袋40を持たずに片手で簡単に行うことができる。
【0020】
次いで、同図(c)に示すように、タグ取付用フック10を矢印方向に引き抜くようにする。このとき、引っ掛かった麻糸42はフック10を引くことで間隙部14と保持部側先端12aの間を容易に通り抜け、掛止部15の内側に引っ掛かって抜け止めされる。このように、突刺部側先端13aにある間隙部14で引っ掛け、これを引くだけで麻袋40にフック10を通すことができ、取り付けた識別タグ50が間隙部14付近に来ても外れることがない。
【0021】
これにより、同図(d)に示すように、識別タグ50が保持されたタグ取付用フック10を麻袋40に取り付けることができる。
【0022】
このように、本発明のタグ取付用フック10によれば、把持部11を摘んで突刺部13を麻袋40に突き刺した後、これを引き抜くだけで麻糸42が掛止部15に引っ掛かり、フック10が麻袋40に確実に取り付けられる。したがって、作業者は片手で簡単にタグ取付用フック10を取り付けることができ、例えば穀物等が満杯に詰まって膨らんだ麻袋40に取り付ける場合であっても短時間で取付作業が完了し、迅速に大量処理を行うことができる。
【0023】
なお、上述した実施形態では麻袋40を例に挙げて説明したが、本発明のタグ取付用フック10は、編目を有する袋であれば同様に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のタグ取付用フックの構成を示す全体図。
【図2】本発明のタグ取付用フックの使用方法を示す説明図。
【図3】従来の識別タグの取付方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0025】
10…タグ取付用フック
11…把持部
12…保持部
12a…保持部側先端
13…突刺部
13a…突刺部側先端
14…間隙部
15…掛止部
W1…突刺部の幅
W2…間隙部の幅
α…突刺部の角度
40…麻袋
41…編目
42…麻糸
50…識別タグ
51…取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編目を有する袋に識別タグを取り付けるためのタグ取付用フックであって、棒状部材の一方側が屈曲して上記識別タグを保持する保持部と、上記棒状部材の他方側が鋭角に屈曲して上記袋に突き刺す突刺部と、上記棒状部材の突刺部側先端が保持部側先端の外側に接した状態でかつ間隙部を有するように配置されて上記袋の編目に掛止する掛止部と、を備えたことを特徴とするタグ取付用フック。
【請求項2】
上記掛止部は上記棒状部材の突刺部側先端に向かって先細りとなるテーパ加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のタグ取付用フック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−24788(P2009−24788A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189212(P2007−189212)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】