説明

タッチスイッチ

【課題】指先の操作面に対する当接面積の変化に対して、検出精度の低下が抑制されるようにした、新規な構造のタッチスイッチを提供すること。
【解決手段】導電部材14に対して電圧が印加されており、導電部材14における通電状態に基づいて手指44の導電部材14上での接触の有無および接触しながらの移動を検出するタッチスイッチ10において、手指44が接触する導電部材14の操作面16を、手指44の先端部分よりも狭幅の所定幅寸法で延びる帯状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の指先での入力を検出するためのタッチスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーションシステムやオーディオ装置、空調装置等を操作するための入力インターフェイスとして、タッチスイッチの採用が検討されている。このタッチスイッチは、操作面に対する手指の接触の有無や、接触位置、指先を操作面に接触させながら移動させるスライド入力等を検出するようになっており、電気抵抗の変化に基づいて検出する抵抗検出型や、静電容量の変化に基づいて検出する静電容量検出型等がある。なお、特開2006−7920号公報(特許文献1)の図2に示されているのが、それである。
【0003】
ところで、タッチスイッチは、特許文献1の図2にも示されているように、一般的に手指による接触の有無や接触の位置等を検出するようになっている。具体的には、例えば抵抗検出型のタッチスイッチでは、タッチスイッチを構成する導電部材に対して複数箇所から直流電圧が印加されており、導電部材の表面に設けられた操作面に手指が接触することによって、接触部分が手指および人体を介して接地されることから、電流が流れる。このときの電圧を計測することによって、手指の操作面に対する接触位置や接触の強さ等が検出される。
【0004】
しかし、このようなタッチスイッチでは、指先の操作面に対する当接面積の変化によって、検出の精度が低下するおそれがある。即ち、電圧の計測による接触位置等の検出では、複数箇所の電圧を同時に計測することは難しく、複数箇所の電圧を順次に計測して、その計測結果に基づいて接触位置等を検出する。それ故、指先の操作面に対する当接圧が大きく変化する等して、指先の操作面に対する当接面積が急激に変化すると、手指および人体を通じて流れる電流が増減して、接触位置等の検出結果が実際の接触位置等に対してずれを生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−7920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、指先の操作面に対する当接面積の変化に対して、検出精度の低下が抑制されるようにした、新規な構造のタッチスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の第1の態様は、導電部材に対して電圧が印加されており、該導電部材における通電状態に基づいて手指の該導電部材上での接触位置および接触しながらの移動を検出するタッチスイッチにおいて、前記手指が接触する前記導電部材の操作面が該手指の先端部分よりも狭幅の所定幅寸法で延びる帯状とされていることを、特徴とする。
【0008】
このような第1の態様に従う構造とされたタッチスイッチによれば、操作面が手指の先端部分よりも狭幅の帯状とされていることにより、手指の操作面に対する当接面積が当接圧に関わらず略一定とされる。それ故、導電部材に電圧を印加して手指の接触位置等を通電状態に基づいて検出する際に、手指の操作面に対する当接面積の変化に起因した検出精度の低下が抑えられて、高精度な検出が可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたタッチスイッチにおいて、前記導電部材には前記手指の先端部分よりも幅広の凹所が形成されていると共に、該凹所の底面から開口側に向かって突出する突出部が形成されており、該突出部の突出先端面が前記操作面とされているものである。
【0010】
第2の態様によれば、操作凹所の底面から突出する突出部の先端面に操作面が設けられていることによって、操作面に触れる際に手指が導電部材の他の部分に誤って触れて、意図しない接触が検出されるのを防ぐことができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載されたタッチスイッチにおいて、前記操作面が平面視で長さ方向に直線的に延びる帯状とされているものである。
【0012】
第3の態様によれば、操作面が平面視において長さ方向で直線的に延びていることにより、スライド入力が関節の屈伸による指先の直線的な動きによって実現される。それ故、スライド入力時に、視認しながらの操作を要することなく、手指の先端を操作面に触れながら移動させることができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載されたタッチスイッチにおいて、前記操作面の幅寸法:wが、2mm≦w≦7mmの範囲に設定されているものである。
【0014】
第4の態様によれば、操作面の幅寸法が上記の数値範囲内に設定されることによって、人の手指の先端部分の幅寸法よりも小さくされることから、手指と操作面との当接圧の変化に起因した当接面積の変化が低減されて、手指による入力の検出精度が高められ得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導電部材の操作面が、操作面に接触する手指の先端部分の幅寸法よりも狭幅の幅寸法で延びる帯状とされている。これにより、手指の先端部分を操作面に当接させて入力操作する際に、手指の操作面に対する当接面積が幅方向で一定とされる。それ故、手指の操作面に対する当接面積の変化量が低減されて、安定して優れた検出精度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのタッチスイッチが自動車のドアアームレストに設けられた状態を示す図。
【図2】図1に示されたタッチスイッチを説明する図。
【図3】図1に示されたタッチスイッチの導電部材を示す平面図。
【図4】図3のIV−IV断面図。
【図5】図3のV−V断面図。
【図6】図2に示されたタッチスイッチの検出機構を説明する図。
【図7】図6に示されたタッチスイッチの電気回路図。
【図8】図5に示された導電部材の使用状態を説明する図。
【図9】本発明の第2の実施形態としてのタッチスイッチを構成する導電部材の斜視図。
【図10】本発明の第3の実施形態としてのタッチスイッチを構成する導電部材および絶縁部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1,図2には、本発明の1実施形態としてのタッチスイッチ10が示されている。タッチスイッチ10は、図1に示されているように、自動車のドア部に設けられたアームレスト12に配設されており、車窓開閉用の入力インターフェイスとされている。
【0019】
より詳細には、タッチスイッチ10は、図3〜図5に示された導電部材14を含んで構成されている。導電部材14は、電気伝導率の大きい導電性材料で形成されており、本実施形態では、合成樹脂材料にカーボンブラック等の導電性フィラーを混合した導電性樹脂材料で形成されている。そして、導電部材14は、例えば電気絶縁性を有する基体(図示せず)の上面に重ね合わされて固着されている。なお、導電部材14は、調製されたゴムコンパウンドに有機溶剤を添加したものに導電性フィラーとしてのカーボンブラックを混合し、更に印刷用溶剤を添加したゴム系の導電性塗料が、スクリーン印刷やインクジェット印刷,フレキソ印刷,グラビア印刷,パッド印刷,リソグラフィー等の方法で、基体の上面に所定の形状で印刷されることによって形成されていても良い。更に、金属板等の導電体によって導電部材14を形成することも可能である。
【0020】
また、導電部材14の下面が図示しない基体の上面に重ね合わされて固着されていると共に、導電部材14の上面には操作面16が設けられている。操作面16は、平面視で前後方向(図3中、右左)に直線的に延びる帯状の平坦面とされている。そして、後述する手指44の操作面16への接触の有無および接触しながらの移動が、通電状態の変化に基づいて検出されるようになっている。
【0021】
また、導電部材14の一端には、第1の直流電源20が接続されており、第1の直流電源20から導電部材14の一端に直流電圧が印加されている。一方、導電部材14の他端には、第2の直流電源22が接続されており、第2の直流電源22から導電部材14の他端に直流電圧が印加されている。これら第1,第2の直流電源20,22によって、導電部材14には、同相且つ同電位の電圧が2箇所から印加されており、後述する手指44が接触していない状態では導電部材14には電流が流れない。
【0022】
また、導電部材14の一端には、第1の検出用抵抗体24が接続されている。第1の検出用抵抗体24は、導電部材14の一端と第1の直流電源20との接続経路上に配設されて、それら導電部材14および第1の直流電源20と電気的に接続されている。一方、導電部材14の他端には、第2の検出用抵抗体26が接続されている。第2の検出用抵抗体26は、導電部材14の他端と第2の直流電源22との接続経路上に配設されて、それら導電部材14および第2の直流電源22と電気的に接続されている。なお、第1,第2の検出用抵抗体24,26は、抵抗値が同じ(R’)とされている。
【0023】
また、第1の検出用抵抗体24への印加電圧を計測するための第1の電圧計28が設けられていると共に、第2の検出用抵抗体26への印加電圧を計測するための第2の電圧計30が設けられている。そして、第1,第2の電圧計28,30の計測値に基づいて導電部材14における通電状態を確認することにより、後述する手指44の導電部材14への接触の有無や接触位置等が検出されるようになっている。
【0024】
さらに、第1,第2の電圧計28,30は、有線乃至は無線によって、処理装置32に接続されている。処理装置32は、第1,第2の電圧計28,30の計測結果に基づいて後述する手指44の導電部材14への接触の有無を判定する接触確認手段34と、接触確認手段34によって手指44の導電部材14への接触が確認された場合に接触位置および接触位置の変化(スライド入力)を特定する操作特定手段36と、操作特定手段36によって特定された操作に応じた制御信号を図示しない車窓の開閉装置に出力する制御信号出力手段38とを有している。
【0025】
このような構造とされたタッチスイッチ10では、導電部材14の操作面16が操作凹所40内に設けられている。操作凹所40は、導電部材14の上面に開口して形成されており、平面視において前後方向に長手の長円形状を呈している。また、操作凹所40は、左右方向の幅寸法が手指44の先端部分の幅寸法よりも大きくされており、手指44の先端部分が操作凹所40に容易に挿入可能とされている。なお、操作凹所40の底面は、図4に示されているように、前後方向の中央部分が前後方向に直線的に延びていると共に、前後方向の両端部分が前後方向外側に向かって上傾する湾曲形状とされている。また、操作凹所40の底面は、図5に示されているように、左右方向の両側に向かって上傾する湾曲形状とされている。
【0026】
また、操作凹所40には、突出部42が設けられている。突出部42は、操作凹所40よりも狭い左右方向の幅寸法で、前後方向に直線的に延びる突条であって、操作凹所40の底面から開口側に向かって突出している。また、突出部42の突出高さ寸法は、操作凹所40の最大深さ寸法よりも小さくされており、突出部42が操作凹所40の開口部までは至らない高さで形成されている。なお、本実施形態では、突出部42が操作凹所40の前後方向全長に亘って連続的に形成されている。
【0027】
さらに、突出部42の突出先端面は所定の幅寸法で前後方向に延びる平坦面とされており、かかる突出部42の突出先端面によって前後方向に延びる帯状の操作面16が形成されている。要するに、操作面16は、操作凹所40内に設けられており、手指44の先端部分よりも狭幅の帯状とされていると共に、操作凹所40の開口部を通じて外部に露出している。
【0028】
この操作面16は、後述する手指44の先端部分の幅寸法に比して狭幅の所定幅寸法:wで前後方向に直線的に延びている(図3参照)。好適には、操作面16の幅寸法:wは、2mm≦w≦7mmの範囲に設定されており、より好適には、3mm≦w≦6mmの範囲に設定される。特に本実施形態では、w=5mmに設定されている。上記の範囲で操作面16の幅寸法:wを設定すれば、主たる使用者である一般的な成人の手指44の先端部分の幅寸法に対して、操作面16を狭幅とすることができる。尤も、この操作面16の幅寸法:wは、主たる使用者の手指44の先端部分の幅寸法を考慮して設定されるものであって、例えば使用者が手指44の細い子供に限定される場合等には、より狭幅の操作面16が採用され得る。
【0029】
そして、図7に示されているように、手指44が導電部材14の操作凹所40に挿入されて指先が操作面16に接触すると、導電部材14が手指44を含む人体を通じて接地されることから、導電部材14および第1,第2の検出用抵抗体24,26に電流:I1 ,I2 が流れる。
【0030】
第1,第2の検出用抵抗体24,26に電流:I1 ,I2 が流れると、第1,第2の電圧計28,30において第1,第2の検出用抵抗体24,26に流れる電流に応じた電圧値:Vm1 ,Vm2 が計測される。そして、処理装置32の接触確認手段34は、第1,第2の電圧計28,30の各計測値:Vm1 ,Vm2 が所定の数値以上である場合に、導電部材14に対する手指44(被検出導電体)の接触を検出する。なお、接触確認手段34は、例えば第1,第2の電圧計28,30の計測値が予め設定された閾値以上であるか否かを判定するものであって、計測値が閾値以上であると判定された場合に導電部材14の操作面16に対する手指44の接触が検知される。また、第1の電圧計28による電圧値:Vm1 の計測と、第2の電圧計30による電圧値:Vm2 の計測は、同時ではなく、順次に実行されており、計測のタイミングに僅かな時差が生じている。
【0031】
そして、導電部材14の操作面16に対する手指44の接触が検知されると、処理装置32の操作特定手段36が、第1,第2の電圧計28,30の計測値に基づいて手指44の操作面16に対する当接位置を特定する。即ち、図7に示されているように、全体の抵抗値をRとされた導電部材14の中間部分に手指44が接触すると、抵抗体としての導電部材14は、一方の端(図7中、左端)から手指44の接触位置までの第1の抵抗体46(抵抗値はR1 )と、他方の端(図7中、右端)から手指44の接触位置までの第2の抵抗体48(抵抗値はR2 )とに実質的に分割される。これら第1の抵抗体46の抵抗値:R1 と、第2の抵抗体48の抵抗値:R2 の比は、導電部材14の一方の端から手指44の接触位置までの距離と、導電部材14の他方の端から手指44の接触位置までの距離との比と略同じになることから、R1 とR2 の比を求めることによって、手指44の導電部材14に対する接触位置が特定される。なお、導電部材14に手指44が接触した状態を電気回路図として示したのが、図8である。
【0032】
なお、第1,第2の電圧計28,30による電圧値の計測は所定の時間間隔で繰り返されており、操作特定手段36が手指44の導電部材14に対する接触位置の変化を連続的に検出している。これにより、手指44の先端部分(指先)を導電部材14の表面(操作面16)に接触させながら移動させた場合に、手指44の変位方向と変位量が特定されるようになっている。
【0033】
操作特定手段36によって手指44の接触位置や接触しながらの移動(スライド入力)が検知されると、処理装置32の制御信号出力手段38は、手指44の操作面16に対する接触位置や操作面16に接触しながらの移動量および移動方向等に応じた制御信号を、車両の装置に出力する。タッチスイッチ10の操作によって制御される装置は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、例えば、図示しない車窓の開閉装置が制御されるようになっており、タッチスイッチ10への指先によるスライド入力に応じて車窓の開閉動作が実行される。なお、本実施形態では、手指44を操作面16に接触させながら操作凹所40の長手方向で移動させることにより、移動方向(図2中、左方向又は右方向)に応じて開作動と閉作動が識別されると共に、移動量に応じて車窓の開閉動作量が設定されて、制御信号出力手段38から車窓の開閉装置に制御信号として出力される。
【0034】
このような手指44の先端部分の接触位置やスライド入力の検出において、タッチスイッチ10では、手指44の操作面16に対する当接面積の変化が抑えられている。
【0035】
すなわち、操作面16が手指44の先端部分よりも狭幅で前後方向に延びる帯状とされている。これにより、図8に実線で示された手指44aのように、操作面16に対して弱く押し当てられた場合の指先の操作面16に対する当接面積と、図8に二点鎖線で示された手指44bのように、操作面16に対して強く押し当てられた場合の指先の操作面16に対する当接面積とが、略同じとされる。それ故、手指44による入力時に、手指44の操作面16に対する当接圧のばらつきに起因した当接面積の変化が抑えられる。その結果、第1の電圧計28の測定時と、第2の電圧計30の測定時とで、当接面積の変化が抑えられて測定結果のばらつきが低減されることから、検出精度の向上が図られる。
【0036】
特に、操作面16の幅寸法:wが、5mmに設定されており、2mm≦w≦7mmの範囲に設定されている。それ故、一般的な成人の手指44の先端部分の幅寸法に対して操作面16の幅寸法が小さくされて、手指44の操作面16に対する当接面積の変化が低減されることから、優れた検出精度が実現される。
【0037】
また、操作面16が操作凹所40の底面から上方に突出した突出部42の突出先端面に設けられている。それ故、手指44の操作面16に対する当接圧が大きくなって、手指44が操作面16から幅方向外側に食み出すように膨出した場合にも、手指44が導電部材14の操作面16以外の部分に接触するのが防止されて、誤操作が回避される。
【0038】
また、操作面16は、平面視において、前後方向に直線的に延びている。それ故、スライド入力を容易に行うことができて、スライド入力時に手指44の先端が操作面16から外れるのを回避することができる。
【0039】
図9には、本発明の第2の実施形態としてのタッチスイッチを構成する導電部材50が示されている。導電部材50は、第1の実施形態に示された導電部材14と同様に導電性の合成樹脂等で形成されている。なお、以下の説明において、第1の実施形態のタッチスイッチ10と実質的に同一の部材および部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。また、本実施形態のタッチスイッチにおいて図中に図示されていない部分については、第1の実施形態のタッチスイッチ10と実質的に同一の構造とされている。
【0040】
すなわち、導電部材50は、略矩形板状を呈しており、その前後方向(図9中、右左方向)の中間部分には突出部52が設けられている。突出部52は、略一定の矩形断面で前後方向に湾曲しながら左右方向(図9中、上下方向)に延びており、導電部材50と一体的に形成されている。また、突出部52は、前後方向において手指44の先端部分に比して狭幅とされており、その突出先端面が操作面54とされている。
【0041】
このような本実施形態に従う構造とされたタッチスイッチにおいても、手指44の先端部分による操作面54に対する当接入力に際して、手指44の操作面54に対する当接面積の変化に起因した検出精度のばらつきを防ぐことができて、入力を高精度に検出することができる。
【0042】
また、操作面54が導電部材50に突出形成された突出部52の先端面を利用して形成されていることによって、入力時に導電部材50の他の部分に手指44が接触することによる誤入力が防止される。それ故、使用者が意図する入力操作が精度よく検出されて、目的とする動作が実行される。
【0043】
なお、本実施形態のタッチスイッチからも明らかなように、操作面は必ずしも車両の前後方向に延びるものに限定されず、左右方向等、前後方向以外の方向で延びるように設けられていても良い。また、操作面は直線的に延びる形状に限定されるものではなく、本実施形態に示された全体が湾曲しながら延びる形状や、部分的に屈曲乃至は湾曲して延びる形状等も、採用され得る。
【0044】
図10には、本発明の第3の実施形態としてのタッチスイッチを構成する導電部材60および絶縁部材62が示されている。導電部材60は、第1の実施形態に示された導電部材14と同様に導電性の合成樹脂等で形成されており、上方に突出して前後方向で延びる突出部64を備えている。突出部64は、左右方向で手指44の先端部分に比して狭幅とされており、その突出先端面が前後方向に延びる平坦な操作面66とされている。
【0045】
また、導電部材60には、絶縁部材62が重ね合わされている。絶縁部材62は、ゴム弾性体や合成樹脂等の絶縁体で形成された部材であって、シート状乃至は板状とされている。また、絶縁部材62には、突出部64に対応する切欠き68が上下に貫通して形成されている。
【0046】
そして、絶縁部材62は、導電部材60の突出部64を外れた部分に対して重ね合わされており、導電部材60の上面が絶縁部材62によって覆われていると共に、操作面66が絶縁部材62の切欠き68を通じて露出している。これにより、手指44が導電部材60の操作面66に対する接触を許容されていると共に、導電部材60の他の部分(操作面66以外の上面)に対する手指44の接触が絶縁部材62によって阻止されて、導電部材60の他の部分と手指44との導通が防止されている。なお、本実施形態では、絶縁部材62の厚さ寸法が突出部64の突出高さ寸法と略同じとされており、操作面66と絶縁部材62の上面が略同一平面上に位置している。
【0047】
このような本実施形態に従う構造とされたタッチスイッチによれば、導電部材60の上面における操作面66以外の部分が、絶縁部材62で被覆されており、手指44の接触が絶縁部材62によって防止されている。これにより、導電部材60の操作面66以外の部分に手指44が誤って触れることによる誤入力がより効果的に回避されて、使用者が意図した入力操作だけを検出することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、絶縁体で形成された板状の基体(絶縁部材)上に、指先よりも狭幅の帯状とされた導電部材を配設した構造を採用して、その導電部材の上面全体で操作面が構成されていても良い。
【0049】
また、操作面は、各部が長手帯状とされていれば、平面視で十字形状や放射形状等のものも採用され得る。
【0050】
また、本発明のタッチスイッチでは、操作面が長さ方向の少なくとも一方の端部が長さ方向外側に向かって次第に上傾する湾曲形状とされていても良い。これによれば、スライド入力時に操作面の端部を触感の変化によって容易に把握することができることから、目視による確認を省略することができて、入力操作を容易に行うことができる。なお、操作面の長さ方向の両側に、長さ方向の外方に向かって上傾する湾曲形状の部分を操作面とは別に設けても良く、例えば操作凹所40の底面を利用して湾曲形状の部分が設けられていても良い。
【0051】
また、本発明に係るタッチスイッチでは、入力時の当接面積の変化に起因した検出精度の低下が、指先が操作面上を長さ方向に移動するスライド入力時だけでなく、指先が操作面の一点に接触するタッチ入力時にも、有効に回避され得る。
【0052】
また、導電部材14の表面に薄肉の絶縁体層が被着形成されて、操作面16が絶縁体で被覆されていても良い。この場合には、手指44と導電部材14の直接的な接触が生じ得ないが、交流電圧を印加することで、絶縁体層を誘電体とすると共に手指44および導電部材14を一対の電極とするコンデンサが構成されることから、静電容量の変化を検出することによって、手指44の動作を入力として検出することができる。要するに、本発明に係るタッチスイッチにおいて、入力の検出方法は特に限定されない。なお、絶縁体層を持たない構造のタッチスイッチに交流電圧を印加しても良く、その場合にも目的とするスライド入力の検出が実現され得る。
【0053】
また、前記実施形態では、導電部材14に対して複数箇所(2箇所)から電圧が印加された構造が示されているが、例えば導電部材14に対して1箇所に電圧が印加されていても良く、電圧の印加部分と指先の接触部分との間の抵抗変化に基づいて、指先の接触位置の変化を検出することができる。なお、電圧が3箇所以上の複数箇所から印加されていても良いことは言うまでもない。
【0054】
また、例えば、アームレスト12に接地された導電部が設けられて、導電部を親指で触りながら人差指で導電部材14の操作面16に触れてスライド入力することにより、入力が検出されるようになっていても良い。これにより、電気抵抗が低減されて、検出精度の向上と安定化が図られ得る。
【0055】
また、本発明のタッチスイッチは、必ずしもドアのアームレスト12に配設されるものに限定されない。更に、本発明のタッチスイッチは、窓の開閉用スイッチとして採用される他にも、例えばオーディオの操作用スイッチやエアコンディショナの操作用スイッチ等としても適用され得るものであって、操作対象となる装置は特に限定されない。更にまた、本発明に係るタッチスイッチの適用範囲は、自動車用に限定されるものではなく、例えば自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両等にも好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0056】
10:タッチスイッチ、14,50,60:導電部材、16,54,66:操作面、40:操作凹所、42,52,64:突出部、44:手指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部材に対して電圧が印加されており、該導電部材における通電状態に基づいて手指の該導電部材上での接触の有無および接触しながらの移動を検出するタッチスイッチにおいて、
前記手指が接触する前記導電部材の操作面が該手指の先端部分よりも狭幅の所定幅寸法で延びる帯状とされていることを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項2】
前記導電部材には前記手指の先端部分よりも幅広の操作凹所が形成されていると共に、該操作凹所の底面から開口側に向かって突出する突出部が形成されており、該突出部の突出先端面が前記操作面とされている請求項1に記載のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記操作面が平面視で長さ方向に直線的に延びる帯状とされている請求項1又は2に記載のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記操作面の幅寸法:wが、2mm≦w≦7mmの範囲に設定されている請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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