タッチパネルシステム
【課題】ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことのできるタッチパネルシステムを提供する。
【解決手段】表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に第1検知領域11が設定され、検知面6pから所定の検知距離Lまでの3次元領域に第2検知領域12が設定される。第2検知領域12に検知対象物が存在することが検知されている選択候補標章21に対応する画像が拡大して表示され、第1検知領域は拡大された選択候補標章の画像に応じて拡大された第1検知領域13として設定され、拡大された第2検知領域14としての第2検知領域12は、検知面6pの上では拡大された第1検知領域13に一致し、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定される。
【解決手段】表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に第1検知領域11が設定され、検知面6pから所定の検知距離Lまでの3次元領域に第2検知領域12が設定される。第2検知領域12に検知対象物が存在することが検知されている選択候補標章21に対応する画像が拡大して表示され、第1検知領域は拡大された選択候補標章の画像に応じて拡大された第1検知領域13として設定され、拡大された第2検知領域14としての第2検知領域12は、検知面6pの上では拡大された第1検知領域13に一致し、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作標章を画像として表示する表示面と、この表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサとを備えたタッチパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ポータブル機器、車両用ナビゲーション装置などの様々な機器において、表示画面となると同時にユーザーの指示入力を受け付ける操作部となるタッチパネルが広く採用されている。このようなタッチパネルでは、操作標章としての操作ボタンや操作スイッチが、画像として表示画面に表示される。そして、当該操作標章に対してユーザーの指などを近接あるいは接触させることによって、操作ボタンや操作スイッチへの入力が行われる。表示画面上には多くの操作標章が表示される場合があり、特に文字入力のための文字キーが表示される場合には、文字キー同士の間隔も狭くなり、所望の文字とは異なる文字キーが入力される場合もある。
【0003】
上記課題に鑑みて、特開平7−229751号公報(特許文献1)には、ユーザーの選択操作により選択された操作標章のみを拡大して表示させる情報入力表示装置が開示されている(第5〜7、48段落、図10等)。また、特開2006−103358号公報(特許文献2)には、タッチパネルを覆うような検知領域を有した赤外線センサを備え、ユーザーの指等が向かっていくと予想される操作標章を拡大表示させる車両用情報表示装置が開示されている(第42〜47、71〜73段落、図5、6、12〜17等)。また、特開2005−275576号公報(特許文献3)には、ユーザーが操作標章の近傍に触れた場合に、当該触れた箇所の近傍に位置する操作標章が他の操作標章よりも拡大して表示されるタッチパネルが開示されている(第32、38、41〜43段落、図6〜8等)。
【0004】
特許文献1の装置は、選択された操作標章のみが拡大されるので、操作時に当該操作標章がユーザーの指等で隠されても、その操作標章が選択されたのか容易に確認することができる。また、異なった操作標章が選択されてしまった場合にも、当該操作標章が拡大して表示されるので、ユーザーは、容易に誤入力を発見することができる。しかし、ユーザーによる選択の後の拡大表示であるから、選択の際の操作性自体を向上させるものではない。特許文献2の装置は、赤外線センサという付加的なセンサを必要とするので、装置規模の増大や製造コストの上昇を招く可能性がある。特許文献3の装置は、操作標章を拡大するために操作標章の枠外にタッチ操作をする必要があり、文字入力のためのキーボードなどで文字間隔、つまり枠外の領域が狭い場合には、このタッチ操作自体も容易ではない。また、一度拡大された操作標章は、何れかの操作標章への入力があった場合や、所定の非入力時間が経過した後でなければ拡大を解除されて元の大きさに戻らない。従って、所望の操作標章が拡大表示されなかった場合には、入力に時間を要する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平−229751号公報
【特許文献2】特開2006−103358号公報
【特許文献3】特開2005−275576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景に鑑みて、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことのできるタッチパネルシステムの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みた本発明に係るタッチパネルシステムの特徴構成は、
複数の操作標章を画像として表示する表示面と、前記表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサと、を備えたタッチパネルシステムであって、
前記表示面に前記操作標章を画像として表示させる表示制御部と、
前記センサの検出結果に基づいて、1つの前記検知対象物が前記検知面に達した場合に、当該検知対象物の前記検知面の面上の位置に応じて前記複数の操作標章の内の1つが選択されたことを検知する第1検知部と、
前記センサの検出結果に基づいて、前記検知面から所定の検知距離内に前記検知対象物が存在することを検出する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部の検知領域である第1検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面の面上に設定され、
前記第2検知部の検知領域である第2検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面から、前記所定の検知距離までの3次元領域に設定され、
前記表示制御部は、複数の前記操作標章のいずれかに対応する前記第2検知領域に前記検知対象物が存在することが検知されている場合には、当該検知対象物が検知されている第2検知領域に対応する前記操作標章である選択候補標章の画像を、他の前記操作標章の画像に比べて拡大して表示し、
前記第1検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域を、拡大された前記選択候補標章の画像に応じて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面の面上では前記選択候補標章の画像に応じて設定された前記第1検知領域に一致するように設定すると共に、前記検知面から離れるに従って前記検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定する点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第2検知領域にユーザーの指先やスタイラスペンなどの検知対象物が存在することを第2検知部が検知した場合に、当該第2検知領域に対応する操作標章の画像が拡大され、当該操作標章に対応する第1検知領域も拡大される。つまり、検知対象物が第1検知部の近傍にある場合に操作標章の画像とその画像に対応した第1検知領域が拡大されるので、ユーザーは余裕を持って当該拡大された操作標章の画像に検知対象物を近接あるいは接触させることができる。その結果、操作標章の画像が小さく、隣接する操作標章に対する誤操作を招く可能性が高くなるような場合であっても、所望の操作標章を高い精度で効率よく操作することが可能となる。さらに、3次元領域に形成される第2検知領域の内、拡大された第1検知領域に対応する第2検知領域は、検知面から離れるに従って検知面に平行な形状が縮小されるような、例えば頂部が剪断された錐体状に形成される。従って、検知面から離れるほど、検知対象物を選択候補標章に隣接する他の操作標章の第2検知領域に移動させやすくなる。つまり、所望の操作標章ではない選択候補標章が拡大して表示された場合でも、検知面から離れた位置では容易に隣接する操作標章の第2検知領域へと検知対象物を移動させることができる。そして、移動先の第2検知領域に対応する操作標章を迅速に新たな選択候補標章とすることができる。これにより、新たな選択候補標章の画像が拡大され、第1検知領域及び第2検知領域もそれに応じて拡大される。このように、本特徴構成によれば、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことのできるタッチパネルシステムが実現される。
【0009】
ところで、選択候補標章が未選定の状態で、拡大されることなく表示面に表示される各操作標章の画像に応じた同じ条件で第1検知領域が設定されている。同様に、選択候補標章が未選定の状態では、第2検知領域も各操作標章の画像(及び第1検知領域)に対して同じ条件で設定されることが好ましい。また、選択候補標章が存在する場合には、選択候補標章以外の操作標章についても、次の選択候補標章の候補という点で同じ条件で第2検知領域が設定されることが好ましい。つまり、選択候補標章となっていない操作標章に対応する第2検知領域は、第1検知領域に対応した同じ条件で設定されることが好ましい。1つの形態として、本発明に係るタッチパネルシステムの前記第2検知部は、前記選択候補標章となっていない前記操作標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面から前記検知距離まで前記第1検知領域を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に設定すると好適である。
【0010】
上述したように、第2検知領域における検知対象物の存否に応じて、操作標章は選択候補標章となり、当該選択候補標章に対応する第1検知領域及び第2検知領域は、選択候補標章となる前と比べて拡大される。しかし、検知対象物が当該選択候補標章に対応する第2検知領域の外へ出た場合には、この選択候補標章は一般の操作標章へと戻り、拡大されていた第1検知領域及び第2検知領域も拡大前の大きさに復帰する。拡大の前後において、第1検知領域及び第2検知領域の位置が変動すると、選択候補標章が切り替わる際の検知領域の設定が安定しない。また、このような拡大が特に必要とされるのは、文字キーなど、多くの入力候補が存在するために画面上における各操作標章の大きさが小さくなり、隣接する操作標章を選択してしまう可能性が高くなる場合である。この場合、選択候補標章が頻繁に切り替わる可能性も高くなるから、この切り替わりは円滑であることが好ましい。尚、拡大の前後において検知領域の位置を保持した場合、拡大対象の操作標章である選択候補標章に隣接する操作標章の検知領域と、選択候補標章の検知領域とが重複する領域が生じる可能性がある。この場合には、拡大対象である選択候補標章の検知領域を優先し、それと重複する領域の分だけ隣接する操作標章の検知領域を減じると、選択候補標章に対して検知領域が拡大される効果を最大限に享受することができて好適である。
【0011】
このような観点に鑑みて、本発明に係るタッチパネルシステムは、1つの態様として、下記に示すように第1検知部と第2検知部とが設定されると好適である。即ち、前記第1検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第1検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第1検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域と重複する領域を除いて設定すると好適である。そして、前記第2検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第2検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第2検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域と重複する領域を除いて設定すると好適である。
【0012】
ここで、選択候補標章に対応する第1検知領域が、表示面上での選択候補標章の画像の外形に一致するように設定されていると、ユーザーは表示面の画像を参照して円滑な操作が可能となる。一方、選択候補標章に対応する第2検知領域は、検知面の面上では選択候補標章の画像に応じて設定された第1検知領域に一致し、検知面から離れるに従って検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定されている。この際、第2検知領域が、検知面に平行な全ての断面の重心が検知面に対する1本の垂直線上に位置するような3次元領域として設定されると、不可視の第2検知領域の位置をユーザーが把握し易く、操作性もよい。また、第2検知領域の、検知面に平行な断面が、第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると、不可視の第2検知領域の形状もユーザーが把握し易く、良好な操作性を提供することができる。このように、1つの態様として、本発明に係るタッチパネルシステムは、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域は、前記選択候補標章の画像の前記表示面上での外形に一致するように設定され、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域が、前記検知面から離れるに従って、前記検知面に平行な断面が前記第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると共に、前記検知面に平行な全ての断面の重心が前記検知面に対する1本の垂直線上に位置するように設定されると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タッチパネルシステムの構成の一例を模式的に示すブロック図
【図2】静電容量による検知の原理を示す説明図
【図3】操作標章と座標検知との関係を示す説明図
【図4】電極周辺の静電容量の一例を示す波形図
【図5】検知領域の一例を断面視により示す図
【図6】第2検知領域の一例を示す斜視図
【図7】偏心した第2検知領域の一例を示す斜視図
【図8】タッチパネルシステムによる検出手順の一例を示すフローチャート
【図9】拡大される表示及び検知領域の一例を平面視及び断面視により示す図
【図10】拡大される表示及び検知領域の一例を示す斜視図
【図11】拡大される表示及び検知領域の他の例を平面視及び断面視により示す図
【図12】表面型タッチパネルの構成例を模式的に示す図
【図13】投影型タッチパネルの構成例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ポインティングデバイスとしてのタッチパネルには、抵抗膜式、静電容量式など、種々の方式のものが提案されているが、ここでは、静電容量式を例として説明する。静電容量式のタッチパネルには、図12及び図13に示すように、大別して2種類の方式が知られている。一方の方式は、図12に示す表面型(surface capacitive type)であり、他方の方式は、図13に示す投影型(projected capacitive type)である。
【0015】
図12に示すように、表面型は、例えば、表面に設けられたカバー層81と、ガラス基板84などの基板層に設けられた導電膜82、4隅に設けられた電極83を備えて構成される。駆動回路85を介して電極83に電圧を印加することによって、タッチパネル70全体に均一な電界が形成される。画面(カバー層81)にユーザーの指先などの検知対象物90が触れると、あるいは近接すると、4隅の電極83から検知対象物90、及びタッチパネル70と検知対象物90との間に形成されたコンデンサ89を経由して電流が流れる。4隅の電極83から流れた電流の比率を演算することによって、タッチパネル70(カバー層81)上の位置が特定される。投影型の場合は、図13に示すように、プリント基板や透明フィルムなどの基板6b上に、電極パターンが形成された電極層6aを備えて構成される。そして、電極層6aの上に配置された絶縁体材料の保護パネル7aにユーザーの指先などの検知対象物90が接近して生じた電極間の静電容量の変化が検出される。電極層6aの各電極における静電容量により、検知対象物90が最も接近した電極が特定されるので、当該電極の位置がタッチパネル7上の位置(座標)として特定される。
【0016】
このように、何れの方式においても、検知対象物が接近あるいは接触したタッチパネル上の位置は、タッチパネル上の座標値として特定可能である。本実施形態では、以下、投影型のタッチパネルを例として本発明のタッチパネルシステムについて説明する。図1は、本発明のタッチパネルシステム10の1つの構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、タッチパネルシステム10は、例えば液晶式表示装置のような表示部5と、タッチパネル7と、回路部9とを備えて構成されている。回路部9は、アナログ回路を中核とする静電容量検出部91、表示部5の液晶を駆動するドライバ回路92、検知対象物を検知した座標の演算や表示部5に表示させる内容を決定するための演算を行う制御演算部93などを備えて構成されている。静電容量検出部91は、ITO(indium tin oxide)などの透明電極により構成される電極層6a及びガラス等の透明な基板6bとともに、タッチパネル7におけるセンサ6としても機能する。また、制御演算部93は、マイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)などの論理演算回路を用いて構成されると好適である。
【0017】
図1に示すように、制御演算部93は、表示制御部3、第1検知部1、第2検知部2の各機能部を備えて構成される。表示制御部3は、表示部5の表示面5pに操作標章20を画像として表示させる機能部である。表示制御部3は、画像処理回路などを中核として構成されると好適である。ここで、操作標章20とは、検知対象物によってタッチパネル70が操作され、タッチパネルシステム10から他の制御装置などにその操作入力が伝達されて特定の機能が実現されるに際して、その機能をユーザーが容易に知覚できるように表示面5pに表される標章である。例えば、イラストなどによって描画された操作ボタンや操作スイッチ、文字入力のための文字キーなどである。また、操作標章20は、検知対象物によってタッチパネル70が操作されて、前述の特定の機能を生じさせるためのタッチパネル70上の領域である操作領域を区画するための標章でもある。この区画は、標章の外縁を示す枠線などによって、明確に操作領域を規定するものであってもよいし、明確な枠線などが表示されることなく操作領域を規定するものであってもよい。例えば、複数の標章を整列させて表示させることによって、仮想的な境界をユーザーが知覚可能なように区画されてもよい。特に、文字キーなどは、複数の文字を整列させて表示面5pに表示することで、明確に外縁を示す枠線がなくても、操作領域が区画可能である。
【0018】
表示される画像に対応した操作標章20の座標情報は、後述する第1検知部1や第2検知部2に伝達される。第1検知部1は、センサ6の検出結果に基づいて、ユーザーの指先などの1つの検知対象物が後述する検知面6pに達した場合に、検知面6p上における検知対象物の位置(平面座標)に応じて、複数の操作標章20の内の1つが選択されたことを検知する機能部である。第2検知部2は、センサ6の検出結果に基づいて、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する機能部である。第2検知部2は、後述するように、検知面6pから所定の検知距離L内に存在する検知対象物の位置(空間座標)を検知することもできる。
【0019】
ここで、図2を参照して、センサ6に基づき、第1検知部1及び第2検知部2が検知対象物を検知する基本的な原理を簡単に説明する。図2の左側には、電極層6aに形成される複数の電極の内の1つと検知対象物との間に生じる静電容量の変化を示している。図2に示すように、検知対象物とタッチパネル7、より正確には電極層6aとの距離が近づくほど、静電容量が大きくなる。この静電容量が第1しきい値Th1に達すると、第1検知部1により、検知対象物がタッチパネル7に達したと検知される。つまり、図2に示すように、静電容量が第1しきい値Th1に達する位置に、検知面6pが設定されていることになり、検知対象物がこの検知面6pに達した場合に、タッチパネル7に達したと検知される。図2から明らかなように、この検知面6pは、タッチパネル7の保護パネル7aの表面に一致するように設定される必要はなく、保護パネル7aから離間して設定されていてもよい。当然ながら、検知面6aが保護パネル7a表面に一致するように設定されていてもよい。
【0020】
この検知面6pから、タッチパネル7とは反対の方向へ所定の検知距離Lだけ離れた位置には、仮想的な検知開始面6qが設定される。図2に示すように、この検知開始面6qは、検知対象物と電極層6aとの間の静電容量が第1しきい値Th1よりも小さい第2しきい値Th2に達する位置に設定されている。第2検知部2は、センサ6の検出結果に基づいて、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する。
【0021】
図3は、タッチパネル7に対して垂直な方向から見た複数の操作標章20を示している。ここでは、操作標章20の一例として、文字キーを示している。図中の符号6eは、電極層6aに形成されている電極を模擬している。また、電極6eの内、黒塗りで示している電極6tは、図4に示すように、電極6tの中心における静電容量、つまり、電極6t周辺の静電容量の分布のピークが第1しきい値Th1を超えている電極6eを示している。また、電極6eの内、網掛けで示している電極6sは、図4に示すように、電極6sの中心における静電容量、つまり、電極6s周辺の静電容量の分布のピークが電極6tよりも小さく、第1しきい値Th1を超えていない電極6eを示している。図3に示す例では、第1検知部1は、最も静電容量が大きく、その値が第1しきい値Th1を超えている電極6tが検知対象物の位置に対応する電極6eであると判定する。そして、当該電極6tの座標に表示されている操作標章20(ここでは、「G」の文字キー)が検知対象物により選択されたと判定される。
【0022】
このように、タッチパネルシステム10は、複数の操作標章20を画像として表示する表示面5pと、この表示面5pを覆って設定される検知面6pへの検知対象物の接近を少なくとも検知するセンサ6とを備えて構成されている。具体的には、操作標章20は、表示制御部3によって表示面5pに画像として表示される。また、センサ6により検知される検知対象物の接近は、上述したように第1検知部1によって判定され、検知対象物が検知面6pに達した場合には、検知面6p上の位置に対応する操作標章20が選択されたと検知される。本実施形態においては、第1検知部1に加えて、第2検知部2も備えてタッチパネルシステム10が構成されている。上述したように、第2検知部2は、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する機能を有して構成されている。つまり、本実施形態のタッチパネルシステム10は、検知領域の異なる2つの検知部を備えて構成されている。
【0023】
ここで、図5〜図7も利用して、第1検知部1の検知領域である第1検知領域11と、第2検知部2の検知領域である第2検知領域12について説明する。第1検知領域11は、図5に示すように、表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に設定される。第2検知領域12は、図5及び図6に示すように、表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pから、表示面5pとは反対方向に設定された所定の検知距離Lまで(検知開始面6qまで)の3次元領域に設定される。本実施形態においては、第1検知部1が、検知面6pの面上に第1検知領域11を設定する。また、第2検知部2が、検知面6pから検知開始面6qまでの3次元領域に第2検知領域12を設定する。
【0024】
図5及び図6では、検知面6pから検知距離Lまで第1検知領域11を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に第2検知領域12が設定される例を示している。また、図5及び図6では、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するように第2検知領域12が設定される例を示している。しかし、これに限定されることなく、例えば、図7に示すように、各断面の重心を結ぶ線(曲線も可)が、検知面6pに対する垂直線から偏心して第2検知領域12が設定されてもよい。例えば、検知対象物がほぼ決まった方向から近づいてくるような場合に、その方向に第2検知領域12を偏心させることによって利便性が向上する場合がある。一例として、車両の運転席と助手席との間のコンソールの中央に設置されたディスプレイ装置にタッチパネルが搭載されている場合がある。この場合、運転席からのタッチパネルの操作を容易にするために、第2検知領域12を運転席方向に偏心させて設定すると好適である。
【0025】
以下、図8のフローチャートも参照して、タッチパネルシステム10により検知対象物を検知する手順を説明する。タッチパネルシステム10は、第1検知領域11及び第2検知領域12の何れにおいても検知対象物を検知していない場合には、図5や図6に示したような第1検知領域11及び第2検知領域12を設定して待機している。タッチパネルシステム10(第2検知部2)は、はじめに第2検知領域12に検知対象物があるか否かを判定する(#01)。つまり、複数の操作標章20に対して、それぞれ設定されている第2検知領域12の何れかに検知対象物があるか否かを判定する。何れにおいても、検知対象物が検知されていない場合には、そのまま待機し、ステップ#01を繰り返す。
【0026】
ステップ#01において検知対象物の存在が検知されると、つまり、第2検知部2が第2検知領域12に検知対象物が存在すると検知した場合には、第2検知部2により検知対象物の存在する空間座標(3次元座標)が演算されて取得される(#02)。平面座標は、図3を利用して上述したように、最も大きい静電容量が検知される電極6eによって規定される座標とすることができる。また、表示面5p並びに検知面6pに直交する方向の座標は、平面座標の規定に用いられた電極6eの静電容量の値によって決定することができる。つまり、検知面6pに直交する方向の座標と静電容量とは相関関係があり、検知対象物と検知面6pとの距離と、静電容量とは理論上反比例する。従って、第2検知部2は、静電容量の値に基づいて検知対象物と検知面6pとの距離を演算することができ、3次元座標を演算することができる。
【0027】
第2検知部2は、ステップ#02で求めた空間座標が含まれる第2検知領域12に対応する操作標章20を判定する(#03)。換言すれば、第2検知部2は、ステップ#02で求めた空間座標が属する第2検知領域12に対応する操作標章20を選択候補標章として決定する。そして、第2検知部2は、この選択候補標章の情報を表示制御部3に伝達する。これにより、表示制御部3は、選択候補標章の表示を他の操作標章20に比べて拡大して表示する(#04)。ここで、図9〜図11も利用して、選択候補標章の拡大表示と、この拡大表示に伴う検知領域の変更について詳細に説明する。
【0028】
例えば、図5においてアルファベット「G」を示す操作標章20の第2検知領域12に、検知対象物が存在した場合、当該操作標章20は、図9に示すように選択候補標章21となる。そして、表示制御部3によって、選択候補標章21の画像が他の操作標章20に比べて拡大される(#04)。第1検知領域11は、上述したように、表示面5pに表示された操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に設定される。従って、選択候補標章21の拡大された画像に対応して、第1検知領域11も他の第1検知領域11に比べて拡大された拡大第1検知領域13となる(#05)。
【0029】
また、第2検知領域12は、上述したように、操作標章20のそれぞれの画像に対応して検知面6pから、表示面5pの側とは反対方向に設定された所定の検知距離Lまでの3次元領域に設定される。従って、第2検知領域12も、選択候補標章21の拡大された画像に対応して他の第2検知領域12に比べて拡大された拡大第2検知領域14となる(#05)。但し、この際、拡大第2検知領域14は、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定される(図9及び図10参照)。つまり、第2検知部2は、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)を、検知面6pの面上では選択候補標章21の画像に応じて設定された第1検知領域11(拡大第1検知領域13)に一致し、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定する。
【0030】
このように、拡大第2検知領域14が、頂部が剪断された錐体状(円錐台や角錐台などの錐体台状)に形成されると、検知面6pから離れた位置では、検知対象物を、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12に移動させやすくなる。つまり、所望ではない操作標章20が選択候補標章21として選定された場合でも、検知面6pから離れた位置では容易に隣接する操作標章20の第2検知領域12へと検知対象物を移動させることができる。その結果、移動先の第2検知領域12に対応する操作標章20を迅速に新たな選択候補標章21とすることができる。ここで、1つの態様として、図11に示すように、検知面6pから所定の検知距離Lだけ離れた位置において、つまり、選択候補標章21の第2検知領域12(拡大第2検知領域14)の検知開始面6qにおいて、検知面6pに平行な断面の形状(例えば幅M)が、拡大前の形状と同一となるように、拡大第2検知領域14が縮小されると好適である。検知面6pから離れるに従って、第2検知領域12が拡大されていない状態に近くなっていくので、選択候補標章21を再選択する際の操作性がよい。
【0031】
尚、図9等に示すように、選択候補標章21の画像が拡大表示されることに伴い、選択候補標章21に隣接する操作標章20の画像の少なくとも一部と、拡大された選択候補標章21の画像とが重なってしまう場合がある。従って、選択候補標章21に隣接する操作標章20の全てに拡大された選択候補標章21の画像が重なることがない程度の拡大率で、選択候補標章21の画像が拡大されると好適である。好ましくは、当該隣接する操作標章20の視認性が確保できるように、当該隣接する操作標章20の1/2〜2/3程度を残して選択候補標章21の画像が重畳されるような拡大率であるとよい。
【0032】
また、隣接する操作標章20の画像の少なくとも一部に、拡大された選択候補標章21の画像が重なると、当該操作標章20の第1検知領域11の面積もそれに伴って狭くなる。この際、第1検知領域11の位置は保持した状態であることが好ましい。つまり、1つの態様として、第1検知部1は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21の拡大に対応する第1検知領域11の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)と重複する領域を除いて設定すると好適である。換言すれば、第1検知部1は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21の拡大に対応する第1検知領域11の拡大の前後で、拡大第1検知領域13と重複する領域を除いて設定すると共に、残りの領域の外形位置を保持して設定すると好適である。選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、そのまま隣接する操作標章20に検知対象物を接触させる場合に、従前の位置が保持されていると操作性がよい。また、対応する操作標章20の座標の演算など、制御演算部93による演算も、単純に重複している領域を除けば容易に実行することができ、演算負荷を低減することができる。
【0033】
同様に、第1検知領域11が狭くなると、選択候補標章21に隣接し、拡大された画像に重複する操作標章20の第2検知領域12も、その領域が小さくなる。この際、第1検知領域11と同様に、第2検知領域12もその位置は保持した状態であることが好ましい。つまり、第2検知部2は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21の拡大に対応する第2検知領域12の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)と重複する領域を除いて設定すると好適である。換言すれば、第2検知部2は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21の拡大に対応する第2検知領域12の拡大の前後で、拡大第2検知領域14と重複する領域を除いて設定すると共に、残りの領域の外形位置を保持して設定すると好適である。つまり、少なくとも、拡大の前後で第2検知領域12の位置が保持されるので、選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、別の操作標章20を選択候補標章21にするためにユーザーの指先などの検知対象物を移動させる場合の操作性がよい。また、対応する操作標章20の座標の演算など、制御演算部93による演算も、単純に重複している領域を除けば容易に実行することができ、演算負荷を低減することができる。
【0034】
さらに、上述したように、拡大第2検知領域14は、錐体台状に設定されている。従って、検知面6pから離れた位置では、拡大第2検知領域14と、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第2検知領域12とが重複しなくなる場合がある(例えば、図11参照。)。この場合、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第2検知領域12の、検知面6pに平行な断面積は、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)が拡大される前と同じ断面積を維持することができる。従って、選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、別の操作標章20を選択候補標章21にするためにユーザーの指先などの検知対象物を移動させる場合に、当該検知対象物を検知面6pに沿った方向に大きく移動させる必要がなく、操作性がよい。
【0035】
また、選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)は、選択候補標章21の画像の表示面5p上での外形に一致するように設定されると好適である。ユーザーは、表示面5pの画像を参照して円滑な操作が可能となる。一方、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)は、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するような3次元領域として設定されると、不可視の拡大第2検知領域14の位置をユーザーが把握し易く、操作性もよくなる。また、拡大第2検知領域14の、検知面6pに平行な断面が、拡大第1検知領域13の相似形状を保ったまま縮小されると、不可視の拡大第2検知領域14の形状もユーザーが把握し易く、良好な操作性を提供することができる。
【0036】
図8のステップ#05において、第1検知領域11及び第2検知領域12が、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14に変更されると、続いて、第1検知領域11(拡大第1検知領域13)に検知対象物が達したか否かが判定される(#06)。検知対象物が拡大第1検知領域13に達していない場合には、ステップ#01に戻り、ステップ#01〜ステップ#06が繰り返される。この間、検知対象物が同一の操作標章20の第2検知領域12(拡大第2検知領域14)に存在した場合には、当該同一の操作標章20(選択方向標章21)が拡大表示され、それに応じて拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14が設定される。一方、この間において、検知対象物が他の操作標章20の第2検知領域12に移動すると、それに応じて新たな選択候補標章21が決定され、当該新たな選択候補標章21に対応する拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14が設定される。
【0037】
ステップ#06において、第1検知領域11に検知対象物が達したと判定されると、図3を利用して上述したように、最も大きい静電容量が検知される電極6eによって規定される座標が平面座標として取得される(#07)。この座標により、操作標章20が特定できるので検知対象物によって、何れの操作標章20が選択されたかを示す情報が確定する。この情報は、タッチパネルシステム10から他の制御装置などに伝達され、操作標章20の内容に応じた制御などが実施される。第1検知部1により、操作標章20が検知されると、選択候補標章21が解除され、通常の操作標章20となる(#08)。表示制御部3は、選択候補標章21であった操作標章20の画像の拡大を解除し、通常の大きさで操作標章20を表示する(#14)。第1検知部1及び第2検知部2は、拡大表示が解除された操作標章20の画像に対応して、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14を、通常の第1検知領域11及び第2検知領域12に変更する(#15)。
【0038】
以上、説明したように、2つの検知領域、第1検知領域11と第2検知領域12が設定された本発明に係るタッチパネルシステム20により、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことが可能となる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0040】
(1)上記実施形態においては、図5〜図7に例示したように、第2検知部2が、選択候補標章21となっていない操作標章20に対応する第2検知領域12を、検知面6pから検知距離Lまで第1検知領域11を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に設定する例を示した。しかし、これに限定されることなく、例えば、図7に示すように、各断面の重心を結ぶ線(曲線も可)が、検知面6pに対する垂直線から偏心して第2検知領域12が設定されるような場合、このような偏心方向に延びる基準線に直交するように、第1検知領域11を移動させた軌跡によって第2検知領域12が形成されてもよい。
【0041】
(2)上記実施形態においては、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21に対応する第1検知領域11の拡大の前後で位置を保持して設定し、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21に対応する第2検知領域12の拡大の前後で位置を保持して設定する例を示した。しかし、この構成に限定されることなく、選択候補標章21と隣接しない側へ位置をオフセットして、第1検知領域11及び第2検知領域12が設定されてもよい。操作標章20の間に隙間が設けられているような場合には、選択候補標章21に隣接する操作標章20の検知領域が狭くなる量を少なくすることができる。この場合において、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第1検知領域11及び第2検知領域12が、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14と重複しないようにオフセットされてもよいし、オフセットされた後においても重複領域を有していてもよい。
【0042】
(3)上記実施形態においては、選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)が、選択候補標章21の画像の表示面5p上での外形に一致するように設定される例を示した。しかし、拡大第1検知領域13は、必ずしも表示面5pにおける画像の外形に一致して設定される必要はない。心理的にユーザーは、選択候補標章21の中心を狙って操作するので、拡大された画像よりも小さい範囲に拡大第1検知領域13が設定されてもよい。画像が拡大されることにより、画像の中心への狙いも定めやすくなるから、この場合であっても操作性は向上する。例えば、図9や図11に例示したように、選択候補標章21とそれに隣接する標章20との間に隙間が設けられている場合には、当該隙間の範囲までを拡大第1検知領域13として設定してもよい。この場合には、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11が見掛け(表示面5p上での表示)に比べて狭くならない。従って、拡大された表示に拘わらず隣接する操作標章20を操作するような場合の操作性が担保される。
【0043】
(4)上記実施形態においては、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)が、検知面6pから離れるに従って、検知面6pに平行な断面が拡大第1検知領域13の相似形状を保ったまま縮小される例を示した。しかし、これに限定されることなく、任意の形状で縮小されることを妨げるものではない。また、上記実施形態においては、拡大第2検知領域14が、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するように設定される例を示した。しかし、例えば図7に例示した第2検知領域12のように、拡大第2検知領域14も偏心して設定されることを妨げるものではない。また、拡大第2検知領域14が偏心して設定される場合、偏心方向に延びる基準線に直交するように、拡大第1検知領域13を移動させると共に検知面6pから離れるに従って拡大第1検知領域13を縮小させた軌跡によって拡大第2検知領域14が形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、複数の操作標章を画像として表示する表示面と、この表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサとを備えたタッチパネルシステムに適用することができる。また、本発明のタッチパネルシステムは、車両に備え付けられたモニタ装置や、キャッシュディスペンサー、券売機、スマートフォンなどのポータブル機器などに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :第1検知部
2 :第2検知部
3 :表示制御部
5p :表示面
6 :センサ
6p :検知面
10 :タッチパネルシステム
11 :第1検知領域
12 :第2検知領域
13 :拡大第1検知領域
14 :拡大第2検知領域
20 :操作標章
21 :選択候補標章
90 :検知対象物
L :検知距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作標章を画像として表示する表示面と、この表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサとを備えたタッチパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ポータブル機器、車両用ナビゲーション装置などの様々な機器において、表示画面となると同時にユーザーの指示入力を受け付ける操作部となるタッチパネルが広く採用されている。このようなタッチパネルでは、操作標章としての操作ボタンや操作スイッチが、画像として表示画面に表示される。そして、当該操作標章に対してユーザーの指などを近接あるいは接触させることによって、操作ボタンや操作スイッチへの入力が行われる。表示画面上には多くの操作標章が表示される場合があり、特に文字入力のための文字キーが表示される場合には、文字キー同士の間隔も狭くなり、所望の文字とは異なる文字キーが入力される場合もある。
【0003】
上記課題に鑑みて、特開平7−229751号公報(特許文献1)には、ユーザーの選択操作により選択された操作標章のみを拡大して表示させる情報入力表示装置が開示されている(第5〜7、48段落、図10等)。また、特開2006−103358号公報(特許文献2)には、タッチパネルを覆うような検知領域を有した赤外線センサを備え、ユーザーの指等が向かっていくと予想される操作標章を拡大表示させる車両用情報表示装置が開示されている(第42〜47、71〜73段落、図5、6、12〜17等)。また、特開2005−275576号公報(特許文献3)には、ユーザーが操作標章の近傍に触れた場合に、当該触れた箇所の近傍に位置する操作標章が他の操作標章よりも拡大して表示されるタッチパネルが開示されている(第32、38、41〜43段落、図6〜8等)。
【0004】
特許文献1の装置は、選択された操作標章のみが拡大されるので、操作時に当該操作標章がユーザーの指等で隠されても、その操作標章が選択されたのか容易に確認することができる。また、異なった操作標章が選択されてしまった場合にも、当該操作標章が拡大して表示されるので、ユーザーは、容易に誤入力を発見することができる。しかし、ユーザーによる選択の後の拡大表示であるから、選択の際の操作性自体を向上させるものではない。特許文献2の装置は、赤外線センサという付加的なセンサを必要とするので、装置規模の増大や製造コストの上昇を招く可能性がある。特許文献3の装置は、操作標章を拡大するために操作標章の枠外にタッチ操作をする必要があり、文字入力のためのキーボードなどで文字間隔、つまり枠外の領域が狭い場合には、このタッチ操作自体も容易ではない。また、一度拡大された操作標章は、何れかの操作標章への入力があった場合や、所定の非入力時間が経過した後でなければ拡大を解除されて元の大きさに戻らない。従って、所望の操作標章が拡大表示されなかった場合には、入力に時間を要する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平−229751号公報
【特許文献2】特開2006−103358号公報
【特許文献3】特開2005−275576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景に鑑みて、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことのできるタッチパネルシステムの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みた本発明に係るタッチパネルシステムの特徴構成は、
複数の操作標章を画像として表示する表示面と、前記表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサと、を備えたタッチパネルシステムであって、
前記表示面に前記操作標章を画像として表示させる表示制御部と、
前記センサの検出結果に基づいて、1つの前記検知対象物が前記検知面に達した場合に、当該検知対象物の前記検知面の面上の位置に応じて前記複数の操作標章の内の1つが選択されたことを検知する第1検知部と、
前記センサの検出結果に基づいて、前記検知面から所定の検知距離内に前記検知対象物が存在することを検出する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部の検知領域である第1検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面の面上に設定され、
前記第2検知部の検知領域である第2検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面から、前記所定の検知距離までの3次元領域に設定され、
前記表示制御部は、複数の前記操作標章のいずれかに対応する前記第2検知領域に前記検知対象物が存在することが検知されている場合には、当該検知対象物が検知されている第2検知領域に対応する前記操作標章である選択候補標章の画像を、他の前記操作標章の画像に比べて拡大して表示し、
前記第1検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域を、拡大された前記選択候補標章の画像に応じて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面の面上では前記選択候補標章の画像に応じて設定された前記第1検知領域に一致するように設定すると共に、前記検知面から離れるに従って前記検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定する点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第2検知領域にユーザーの指先やスタイラスペンなどの検知対象物が存在することを第2検知部が検知した場合に、当該第2検知領域に対応する操作標章の画像が拡大され、当該操作標章に対応する第1検知領域も拡大される。つまり、検知対象物が第1検知部の近傍にある場合に操作標章の画像とその画像に対応した第1検知領域が拡大されるので、ユーザーは余裕を持って当該拡大された操作標章の画像に検知対象物を近接あるいは接触させることができる。その結果、操作標章の画像が小さく、隣接する操作標章に対する誤操作を招く可能性が高くなるような場合であっても、所望の操作標章を高い精度で効率よく操作することが可能となる。さらに、3次元領域に形成される第2検知領域の内、拡大された第1検知領域に対応する第2検知領域は、検知面から離れるに従って検知面に平行な形状が縮小されるような、例えば頂部が剪断された錐体状に形成される。従って、検知面から離れるほど、検知対象物を選択候補標章に隣接する他の操作標章の第2検知領域に移動させやすくなる。つまり、所望の操作標章ではない選択候補標章が拡大して表示された場合でも、検知面から離れた位置では容易に隣接する操作標章の第2検知領域へと検知対象物を移動させることができる。そして、移動先の第2検知領域に対応する操作標章を迅速に新たな選択候補標章とすることができる。これにより、新たな選択候補標章の画像が拡大され、第1検知領域及び第2検知領域もそれに応じて拡大される。このように、本特徴構成によれば、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことのできるタッチパネルシステムが実現される。
【0009】
ところで、選択候補標章が未選定の状態で、拡大されることなく表示面に表示される各操作標章の画像に応じた同じ条件で第1検知領域が設定されている。同様に、選択候補標章が未選定の状態では、第2検知領域も各操作標章の画像(及び第1検知領域)に対して同じ条件で設定されることが好ましい。また、選択候補標章が存在する場合には、選択候補標章以外の操作標章についても、次の選択候補標章の候補という点で同じ条件で第2検知領域が設定されることが好ましい。つまり、選択候補標章となっていない操作標章に対応する第2検知領域は、第1検知領域に対応した同じ条件で設定されることが好ましい。1つの形態として、本発明に係るタッチパネルシステムの前記第2検知部は、前記選択候補標章となっていない前記操作標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面から前記検知距離まで前記第1検知領域を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に設定すると好適である。
【0010】
上述したように、第2検知領域における検知対象物の存否に応じて、操作標章は選択候補標章となり、当該選択候補標章に対応する第1検知領域及び第2検知領域は、選択候補標章となる前と比べて拡大される。しかし、検知対象物が当該選択候補標章に対応する第2検知領域の外へ出た場合には、この選択候補標章は一般の操作標章へと戻り、拡大されていた第1検知領域及び第2検知領域も拡大前の大きさに復帰する。拡大の前後において、第1検知領域及び第2検知領域の位置が変動すると、選択候補標章が切り替わる際の検知領域の設定が安定しない。また、このような拡大が特に必要とされるのは、文字キーなど、多くの入力候補が存在するために画面上における各操作標章の大きさが小さくなり、隣接する操作標章を選択してしまう可能性が高くなる場合である。この場合、選択候補標章が頻繁に切り替わる可能性も高くなるから、この切り替わりは円滑であることが好ましい。尚、拡大の前後において検知領域の位置を保持した場合、拡大対象の操作標章である選択候補標章に隣接する操作標章の検知領域と、選択候補標章の検知領域とが重複する領域が生じる可能性がある。この場合には、拡大対象である選択候補標章の検知領域を優先し、それと重複する領域の分だけ隣接する操作標章の検知領域を減じると、選択候補標章に対して検知領域が拡大される効果を最大限に享受することができて好適である。
【0011】
このような観点に鑑みて、本発明に係るタッチパネルシステムは、1つの態様として、下記に示すように第1検知部と第2検知部とが設定されると好適である。即ち、前記第1検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第1検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第1検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域と重複する領域を除いて設定すると好適である。そして、前記第2検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第2検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第2検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域と重複する領域を除いて設定すると好適である。
【0012】
ここで、選択候補標章に対応する第1検知領域が、表示面上での選択候補標章の画像の外形に一致するように設定されていると、ユーザーは表示面の画像を参照して円滑な操作が可能となる。一方、選択候補標章に対応する第2検知領域は、検知面の面上では選択候補標章の画像に応じて設定された第1検知領域に一致し、検知面から離れるに従って検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定されている。この際、第2検知領域が、検知面に平行な全ての断面の重心が検知面に対する1本の垂直線上に位置するような3次元領域として設定されると、不可視の第2検知領域の位置をユーザーが把握し易く、操作性もよい。また、第2検知領域の、検知面に平行な断面が、第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると、不可視の第2検知領域の形状もユーザーが把握し易く、良好な操作性を提供することができる。このように、1つの態様として、本発明に係るタッチパネルシステムは、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域は、前記選択候補標章の画像の前記表示面上での外形に一致するように設定され、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域が、前記検知面から離れるに従って、前記検知面に平行な断面が前記第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると共に、前記検知面に平行な全ての断面の重心が前記検知面に対する1本の垂直線上に位置するように設定されると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タッチパネルシステムの構成の一例を模式的に示すブロック図
【図2】静電容量による検知の原理を示す説明図
【図3】操作標章と座標検知との関係を示す説明図
【図4】電極周辺の静電容量の一例を示す波形図
【図5】検知領域の一例を断面視により示す図
【図6】第2検知領域の一例を示す斜視図
【図7】偏心した第2検知領域の一例を示す斜視図
【図8】タッチパネルシステムによる検出手順の一例を示すフローチャート
【図9】拡大される表示及び検知領域の一例を平面視及び断面視により示す図
【図10】拡大される表示及び検知領域の一例を示す斜視図
【図11】拡大される表示及び検知領域の他の例を平面視及び断面視により示す図
【図12】表面型タッチパネルの構成例を模式的に示す図
【図13】投影型タッチパネルの構成例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ポインティングデバイスとしてのタッチパネルには、抵抗膜式、静電容量式など、種々の方式のものが提案されているが、ここでは、静電容量式を例として説明する。静電容量式のタッチパネルには、図12及び図13に示すように、大別して2種類の方式が知られている。一方の方式は、図12に示す表面型(surface capacitive type)であり、他方の方式は、図13に示す投影型(projected capacitive type)である。
【0015】
図12に示すように、表面型は、例えば、表面に設けられたカバー層81と、ガラス基板84などの基板層に設けられた導電膜82、4隅に設けられた電極83を備えて構成される。駆動回路85を介して電極83に電圧を印加することによって、タッチパネル70全体に均一な電界が形成される。画面(カバー層81)にユーザーの指先などの検知対象物90が触れると、あるいは近接すると、4隅の電極83から検知対象物90、及びタッチパネル70と検知対象物90との間に形成されたコンデンサ89を経由して電流が流れる。4隅の電極83から流れた電流の比率を演算することによって、タッチパネル70(カバー層81)上の位置が特定される。投影型の場合は、図13に示すように、プリント基板や透明フィルムなどの基板6b上に、電極パターンが形成された電極層6aを備えて構成される。そして、電極層6aの上に配置された絶縁体材料の保護パネル7aにユーザーの指先などの検知対象物90が接近して生じた電極間の静電容量の変化が検出される。電極層6aの各電極における静電容量により、検知対象物90が最も接近した電極が特定されるので、当該電極の位置がタッチパネル7上の位置(座標)として特定される。
【0016】
このように、何れの方式においても、検知対象物が接近あるいは接触したタッチパネル上の位置は、タッチパネル上の座標値として特定可能である。本実施形態では、以下、投影型のタッチパネルを例として本発明のタッチパネルシステムについて説明する。図1は、本発明のタッチパネルシステム10の1つの構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、タッチパネルシステム10は、例えば液晶式表示装置のような表示部5と、タッチパネル7と、回路部9とを備えて構成されている。回路部9は、アナログ回路を中核とする静電容量検出部91、表示部5の液晶を駆動するドライバ回路92、検知対象物を検知した座標の演算や表示部5に表示させる内容を決定するための演算を行う制御演算部93などを備えて構成されている。静電容量検出部91は、ITO(indium tin oxide)などの透明電極により構成される電極層6a及びガラス等の透明な基板6bとともに、タッチパネル7におけるセンサ6としても機能する。また、制御演算部93は、マイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)などの論理演算回路を用いて構成されると好適である。
【0017】
図1に示すように、制御演算部93は、表示制御部3、第1検知部1、第2検知部2の各機能部を備えて構成される。表示制御部3は、表示部5の表示面5pに操作標章20を画像として表示させる機能部である。表示制御部3は、画像処理回路などを中核として構成されると好適である。ここで、操作標章20とは、検知対象物によってタッチパネル70が操作され、タッチパネルシステム10から他の制御装置などにその操作入力が伝達されて特定の機能が実現されるに際して、その機能をユーザーが容易に知覚できるように表示面5pに表される標章である。例えば、イラストなどによって描画された操作ボタンや操作スイッチ、文字入力のための文字キーなどである。また、操作標章20は、検知対象物によってタッチパネル70が操作されて、前述の特定の機能を生じさせるためのタッチパネル70上の領域である操作領域を区画するための標章でもある。この区画は、標章の外縁を示す枠線などによって、明確に操作領域を規定するものであってもよいし、明確な枠線などが表示されることなく操作領域を規定するものであってもよい。例えば、複数の標章を整列させて表示させることによって、仮想的な境界をユーザーが知覚可能なように区画されてもよい。特に、文字キーなどは、複数の文字を整列させて表示面5pに表示することで、明確に外縁を示す枠線がなくても、操作領域が区画可能である。
【0018】
表示される画像に対応した操作標章20の座標情報は、後述する第1検知部1や第2検知部2に伝達される。第1検知部1は、センサ6の検出結果に基づいて、ユーザーの指先などの1つの検知対象物が後述する検知面6pに達した場合に、検知面6p上における検知対象物の位置(平面座標)に応じて、複数の操作標章20の内の1つが選択されたことを検知する機能部である。第2検知部2は、センサ6の検出結果に基づいて、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する機能部である。第2検知部2は、後述するように、検知面6pから所定の検知距離L内に存在する検知対象物の位置(空間座標)を検知することもできる。
【0019】
ここで、図2を参照して、センサ6に基づき、第1検知部1及び第2検知部2が検知対象物を検知する基本的な原理を簡単に説明する。図2の左側には、電極層6aに形成される複数の電極の内の1つと検知対象物との間に生じる静電容量の変化を示している。図2に示すように、検知対象物とタッチパネル7、より正確には電極層6aとの距離が近づくほど、静電容量が大きくなる。この静電容量が第1しきい値Th1に達すると、第1検知部1により、検知対象物がタッチパネル7に達したと検知される。つまり、図2に示すように、静電容量が第1しきい値Th1に達する位置に、検知面6pが設定されていることになり、検知対象物がこの検知面6pに達した場合に、タッチパネル7に達したと検知される。図2から明らかなように、この検知面6pは、タッチパネル7の保護パネル7aの表面に一致するように設定される必要はなく、保護パネル7aから離間して設定されていてもよい。当然ながら、検知面6aが保護パネル7a表面に一致するように設定されていてもよい。
【0020】
この検知面6pから、タッチパネル7とは反対の方向へ所定の検知距離Lだけ離れた位置には、仮想的な検知開始面6qが設定される。図2に示すように、この検知開始面6qは、検知対象物と電極層6aとの間の静電容量が第1しきい値Th1よりも小さい第2しきい値Th2に達する位置に設定されている。第2検知部2は、センサ6の検出結果に基づいて、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する。
【0021】
図3は、タッチパネル7に対して垂直な方向から見た複数の操作標章20を示している。ここでは、操作標章20の一例として、文字キーを示している。図中の符号6eは、電極層6aに形成されている電極を模擬している。また、電極6eの内、黒塗りで示している電極6tは、図4に示すように、電極6tの中心における静電容量、つまり、電極6t周辺の静電容量の分布のピークが第1しきい値Th1を超えている電極6eを示している。また、電極6eの内、網掛けで示している電極6sは、図4に示すように、電極6sの中心における静電容量、つまり、電極6s周辺の静電容量の分布のピークが電極6tよりも小さく、第1しきい値Th1を超えていない電極6eを示している。図3に示す例では、第1検知部1は、最も静電容量が大きく、その値が第1しきい値Th1を超えている電極6tが検知対象物の位置に対応する電極6eであると判定する。そして、当該電極6tの座標に表示されている操作標章20(ここでは、「G」の文字キー)が検知対象物により選択されたと判定される。
【0022】
このように、タッチパネルシステム10は、複数の操作標章20を画像として表示する表示面5pと、この表示面5pを覆って設定される検知面6pへの検知対象物の接近を少なくとも検知するセンサ6とを備えて構成されている。具体的には、操作標章20は、表示制御部3によって表示面5pに画像として表示される。また、センサ6により検知される検知対象物の接近は、上述したように第1検知部1によって判定され、検知対象物が検知面6pに達した場合には、検知面6p上の位置に対応する操作標章20が選択されたと検知される。本実施形態においては、第1検知部1に加えて、第2検知部2も備えてタッチパネルシステム10が構成されている。上述したように、第2検知部2は、検知面6pから所定の検知距離L内に検知対象物が存在することを検出する機能を有して構成されている。つまり、本実施形態のタッチパネルシステム10は、検知領域の異なる2つの検知部を備えて構成されている。
【0023】
ここで、図5〜図7も利用して、第1検知部1の検知領域である第1検知領域11と、第2検知部2の検知領域である第2検知領域12について説明する。第1検知領域11は、図5に示すように、表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に設定される。第2検知領域12は、図5及び図6に示すように、表示面5pに表示された複数の操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pから、表示面5pとは反対方向に設定された所定の検知距離Lまで(検知開始面6qまで)の3次元領域に設定される。本実施形態においては、第1検知部1が、検知面6pの面上に第1検知領域11を設定する。また、第2検知部2が、検知面6pから検知開始面6qまでの3次元領域に第2検知領域12を設定する。
【0024】
図5及び図6では、検知面6pから検知距離Lまで第1検知領域11を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に第2検知領域12が設定される例を示している。また、図5及び図6では、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するように第2検知領域12が設定される例を示している。しかし、これに限定されることなく、例えば、図7に示すように、各断面の重心を結ぶ線(曲線も可)が、検知面6pに対する垂直線から偏心して第2検知領域12が設定されてもよい。例えば、検知対象物がほぼ決まった方向から近づいてくるような場合に、その方向に第2検知領域12を偏心させることによって利便性が向上する場合がある。一例として、車両の運転席と助手席との間のコンソールの中央に設置されたディスプレイ装置にタッチパネルが搭載されている場合がある。この場合、運転席からのタッチパネルの操作を容易にするために、第2検知領域12を運転席方向に偏心させて設定すると好適である。
【0025】
以下、図8のフローチャートも参照して、タッチパネルシステム10により検知対象物を検知する手順を説明する。タッチパネルシステム10は、第1検知領域11及び第2検知領域12の何れにおいても検知対象物を検知していない場合には、図5や図6に示したような第1検知領域11及び第2検知領域12を設定して待機している。タッチパネルシステム10(第2検知部2)は、はじめに第2検知領域12に検知対象物があるか否かを判定する(#01)。つまり、複数の操作標章20に対して、それぞれ設定されている第2検知領域12の何れかに検知対象物があるか否かを判定する。何れにおいても、検知対象物が検知されていない場合には、そのまま待機し、ステップ#01を繰り返す。
【0026】
ステップ#01において検知対象物の存在が検知されると、つまり、第2検知部2が第2検知領域12に検知対象物が存在すると検知した場合には、第2検知部2により検知対象物の存在する空間座標(3次元座標)が演算されて取得される(#02)。平面座標は、図3を利用して上述したように、最も大きい静電容量が検知される電極6eによって規定される座標とすることができる。また、表示面5p並びに検知面6pに直交する方向の座標は、平面座標の規定に用いられた電極6eの静電容量の値によって決定することができる。つまり、検知面6pに直交する方向の座標と静電容量とは相関関係があり、検知対象物と検知面6pとの距離と、静電容量とは理論上反比例する。従って、第2検知部2は、静電容量の値に基づいて検知対象物と検知面6pとの距離を演算することができ、3次元座標を演算することができる。
【0027】
第2検知部2は、ステップ#02で求めた空間座標が含まれる第2検知領域12に対応する操作標章20を判定する(#03)。換言すれば、第2検知部2は、ステップ#02で求めた空間座標が属する第2検知領域12に対応する操作標章20を選択候補標章として決定する。そして、第2検知部2は、この選択候補標章の情報を表示制御部3に伝達する。これにより、表示制御部3は、選択候補標章の表示を他の操作標章20に比べて拡大して表示する(#04)。ここで、図9〜図11も利用して、選択候補標章の拡大表示と、この拡大表示に伴う検知領域の変更について詳細に説明する。
【0028】
例えば、図5においてアルファベット「G」を示す操作標章20の第2検知領域12に、検知対象物が存在した場合、当該操作標章20は、図9に示すように選択候補標章21となる。そして、表示制御部3によって、選択候補標章21の画像が他の操作標章20に比べて拡大される(#04)。第1検知領域11は、上述したように、表示面5pに表示された操作標章20のそれぞれの画像に対応して、検知面6pの面上に設定される。従って、選択候補標章21の拡大された画像に対応して、第1検知領域11も他の第1検知領域11に比べて拡大された拡大第1検知領域13となる(#05)。
【0029】
また、第2検知領域12は、上述したように、操作標章20のそれぞれの画像に対応して検知面6pから、表示面5pの側とは反対方向に設定された所定の検知距離Lまでの3次元領域に設定される。従って、第2検知領域12も、選択候補標章21の拡大された画像に対応して他の第2検知領域12に比べて拡大された拡大第2検知領域14となる(#05)。但し、この際、拡大第2検知領域14は、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定される(図9及び図10参照)。つまり、第2検知部2は、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)を、検知面6pの面上では選択候補標章21の画像に応じて設定された第1検知領域11(拡大第1検知領域13)に一致し、検知面6pから離れるに従って検知面6pに平行な断面の形状が縮小されるように設定する。
【0030】
このように、拡大第2検知領域14が、頂部が剪断された錐体状(円錐台や角錐台などの錐体台状)に形成されると、検知面6pから離れた位置では、検知対象物を、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12に移動させやすくなる。つまり、所望ではない操作標章20が選択候補標章21として選定された場合でも、検知面6pから離れた位置では容易に隣接する操作標章20の第2検知領域12へと検知対象物を移動させることができる。その結果、移動先の第2検知領域12に対応する操作標章20を迅速に新たな選択候補標章21とすることができる。ここで、1つの態様として、図11に示すように、検知面6pから所定の検知距離Lだけ離れた位置において、つまり、選択候補標章21の第2検知領域12(拡大第2検知領域14)の検知開始面6qにおいて、検知面6pに平行な断面の形状(例えば幅M)が、拡大前の形状と同一となるように、拡大第2検知領域14が縮小されると好適である。検知面6pから離れるに従って、第2検知領域12が拡大されていない状態に近くなっていくので、選択候補標章21を再選択する際の操作性がよい。
【0031】
尚、図9等に示すように、選択候補標章21の画像が拡大表示されることに伴い、選択候補標章21に隣接する操作標章20の画像の少なくとも一部と、拡大された選択候補標章21の画像とが重なってしまう場合がある。従って、選択候補標章21に隣接する操作標章20の全てに拡大された選択候補標章21の画像が重なることがない程度の拡大率で、選択候補標章21の画像が拡大されると好適である。好ましくは、当該隣接する操作標章20の視認性が確保できるように、当該隣接する操作標章20の1/2〜2/3程度を残して選択候補標章21の画像が重畳されるような拡大率であるとよい。
【0032】
また、隣接する操作標章20の画像の少なくとも一部に、拡大された選択候補標章21の画像が重なると、当該操作標章20の第1検知領域11の面積もそれに伴って狭くなる。この際、第1検知領域11の位置は保持した状態であることが好ましい。つまり、1つの態様として、第1検知部1は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21の拡大に対応する第1検知領域11の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)と重複する領域を除いて設定すると好適である。換言すれば、第1検知部1は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21の拡大に対応する第1検知領域11の拡大の前後で、拡大第1検知領域13と重複する領域を除いて設定すると共に、残りの領域の外形位置を保持して設定すると好適である。選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、そのまま隣接する操作標章20に検知対象物を接触させる場合に、従前の位置が保持されていると操作性がよい。また、対応する操作標章20の座標の演算など、制御演算部93による演算も、単純に重複している領域を除けば容易に実行することができ、演算負荷を低減することができる。
【0033】
同様に、第1検知領域11が狭くなると、選択候補標章21に隣接し、拡大された画像に重複する操作標章20の第2検知領域12も、その領域が小さくなる。この際、第1検知領域11と同様に、第2検知領域12もその位置は保持した状態であることが好ましい。つまり、第2検知部2は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21の拡大に対応する第2検知領域12の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)と重複する領域を除いて設定すると好適である。換言すれば、第2検知部2は、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21の拡大に対応する第2検知領域12の拡大の前後で、拡大第2検知領域14と重複する領域を除いて設定すると共に、残りの領域の外形位置を保持して設定すると好適である。つまり、少なくとも、拡大の前後で第2検知領域12の位置が保持されるので、選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、別の操作標章20を選択候補標章21にするためにユーザーの指先などの検知対象物を移動させる場合の操作性がよい。また、対応する操作標章20の座標の演算など、制御演算部93による演算も、単純に重複している領域を除けば容易に実行することができ、演算負荷を低減することができる。
【0034】
さらに、上述したように、拡大第2検知領域14は、錐体台状に設定されている。従って、検知面6pから離れた位置では、拡大第2検知領域14と、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第2検知領域12とが重複しなくなる場合がある(例えば、図11参照。)。この場合、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第2検知領域12の、検知面6pに平行な断面積は、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)が拡大される前と同じ断面積を維持することができる。従って、選択候補標章21がユーザーにとって適切ではなく、別の操作標章20を選択候補標章21にするためにユーザーの指先などの検知対象物を移動させる場合に、当該検知対象物を検知面6pに沿った方向に大きく移動させる必要がなく、操作性がよい。
【0035】
また、選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)は、選択候補標章21の画像の表示面5p上での外形に一致するように設定されると好適である。ユーザーは、表示面5pの画像を参照して円滑な操作が可能となる。一方、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)は、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するような3次元領域として設定されると、不可視の拡大第2検知領域14の位置をユーザーが把握し易く、操作性もよくなる。また、拡大第2検知領域14の、検知面6pに平行な断面が、拡大第1検知領域13の相似形状を保ったまま縮小されると、不可視の拡大第2検知領域14の形状もユーザーが把握し易く、良好な操作性を提供することができる。
【0036】
図8のステップ#05において、第1検知領域11及び第2検知領域12が、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14に変更されると、続いて、第1検知領域11(拡大第1検知領域13)に検知対象物が達したか否かが判定される(#06)。検知対象物が拡大第1検知領域13に達していない場合には、ステップ#01に戻り、ステップ#01〜ステップ#06が繰り返される。この間、検知対象物が同一の操作標章20の第2検知領域12(拡大第2検知領域14)に存在した場合には、当該同一の操作標章20(選択方向標章21)が拡大表示され、それに応じて拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14が設定される。一方、この間において、検知対象物が他の操作標章20の第2検知領域12に移動すると、それに応じて新たな選択候補標章21が決定され、当該新たな選択候補標章21に対応する拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14が設定される。
【0037】
ステップ#06において、第1検知領域11に検知対象物が達したと判定されると、図3を利用して上述したように、最も大きい静電容量が検知される電極6eによって規定される座標が平面座標として取得される(#07)。この座標により、操作標章20が特定できるので検知対象物によって、何れの操作標章20が選択されたかを示す情報が確定する。この情報は、タッチパネルシステム10から他の制御装置などに伝達され、操作標章20の内容に応じた制御などが実施される。第1検知部1により、操作標章20が検知されると、選択候補標章21が解除され、通常の操作標章20となる(#08)。表示制御部3は、選択候補標章21であった操作標章20の画像の拡大を解除し、通常の大きさで操作標章20を表示する(#14)。第1検知部1及び第2検知部2は、拡大表示が解除された操作標章20の画像に対応して、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14を、通常の第1検知領域11及び第2検知領域12に変更する(#15)。
【0038】
以上、説明したように、2つの検知領域、第1検知領域11と第2検知領域12が設定された本発明に係るタッチパネルシステム20により、ユーザーがより円滑に所望の入力を行うことが可能となる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0040】
(1)上記実施形態においては、図5〜図7に例示したように、第2検知部2が、選択候補標章21となっていない操作標章20に対応する第2検知領域12を、検知面6pから検知距離Lまで第1検知領域11を平行移動させた軌跡によって形成される3次元領域に設定する例を示した。しかし、これに限定されることなく、例えば、図7に示すように、各断面の重心を結ぶ線(曲線も可)が、検知面6pに対する垂直線から偏心して第2検知領域12が設定されるような場合、このような偏心方向に延びる基準線に直交するように、第1検知領域11を移動させた軌跡によって第2検知領域12が形成されてもよい。
【0041】
(2)上記実施形態においては、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11を、選択候補標章21に対応する第1検知領域11の拡大の前後で位置を保持して設定し、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第2検知領域12を、選択候補標章21に対応する第2検知領域12の拡大の前後で位置を保持して設定する例を示した。しかし、この構成に限定されることなく、選択候補標章21と隣接しない側へ位置をオフセットして、第1検知領域11及び第2検知領域12が設定されてもよい。操作標章20の間に隙間が設けられているような場合には、選択候補標章21に隣接する操作標章20の検知領域が狭くなる量を少なくすることができる。この場合において、選択候補標章21に隣接する操作標章20に対応する第1検知領域11及び第2検知領域12が、それぞれ拡大第1検知領域13及び拡大第2検知領域14と重複しないようにオフセットされてもよいし、オフセットされた後においても重複領域を有していてもよい。
【0042】
(3)上記実施形態においては、選択候補標章21に対応する第1検知領域11(拡大第1検知領域13)が、選択候補標章21の画像の表示面5p上での外形に一致するように設定される例を示した。しかし、拡大第1検知領域13は、必ずしも表示面5pにおける画像の外形に一致して設定される必要はない。心理的にユーザーは、選択候補標章21の中心を狙って操作するので、拡大された画像よりも小さい範囲に拡大第1検知領域13が設定されてもよい。画像が拡大されることにより、画像の中心への狙いも定めやすくなるから、この場合であっても操作性は向上する。例えば、図9や図11に例示したように、選択候補標章21とそれに隣接する標章20との間に隙間が設けられている場合には、当該隙間の範囲までを拡大第1検知領域13として設定してもよい。この場合には、選択候補標章21に隣接する操作標章20の第1検知領域11が見掛け(表示面5p上での表示)に比べて狭くならない。従って、拡大された表示に拘わらず隣接する操作標章20を操作するような場合の操作性が担保される。
【0043】
(4)上記実施形態においては、選択候補標章21に対応する第2検知領域12(拡大第2検知領域14)が、検知面6pから離れるに従って、検知面6pに平行な断面が拡大第1検知領域13の相似形状を保ったまま縮小される例を示した。しかし、これに限定されることなく、任意の形状で縮小されることを妨げるものではない。また、上記実施形態においては、拡大第2検知領域14が、検知面6pに平行な全ての断面の重心が検知面6pに対する1本の垂直線上に位置するように設定される例を示した。しかし、例えば図7に例示した第2検知領域12のように、拡大第2検知領域14も偏心して設定されることを妨げるものではない。また、拡大第2検知領域14が偏心して設定される場合、偏心方向に延びる基準線に直交するように、拡大第1検知領域13を移動させると共に検知面6pから離れるに従って拡大第1検知領域13を縮小させた軌跡によって拡大第2検知領域14が形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、複数の操作標章を画像として表示する表示面と、この表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサとを備えたタッチパネルシステムに適用することができる。また、本発明のタッチパネルシステムは、車両に備え付けられたモニタ装置や、キャッシュディスペンサー、券売機、スマートフォンなどのポータブル機器などに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :第1検知部
2 :第2検知部
3 :表示制御部
5p :表示面
6 :センサ
6p :検知面
10 :タッチパネルシステム
11 :第1検知領域
12 :第2検知領域
13 :拡大第1検知領域
14 :拡大第2検知領域
20 :操作標章
21 :選択候補標章
90 :検知対象物
L :検知距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作標章を画像として表示する表示面と、前記表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサと、を備えたタッチパネルシステムであって、
前記表示面に前記操作標章を画像として表示させる表示制御部と、
前記センサの検出結果に基づいて、1つの前記検知対象物が前記検知面に達した場合に、当該検知対象物の前記検知面の面上の位置に応じて前記複数の操作標章の内の1つが選択されたことを検知する第1検知部と、
前記センサの検出結果に基づいて、前記検知面から所定の検知距離内に前記検知対象物が存在することを検出する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部の検知領域である第1検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面の面上に設定され、
前記第2検知部の検知領域である第2検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面から前記所定の検知距離までの3次元領域に設定され、
前記表示制御部は、複数の前記操作標章のいずれかに対応する前記第2検知領域に前記検知対象物が存在することが検知されている場合には、当該検知対象物が検知されている第2検知領域に対応する前記操作標章である選択候補標章の画像を、他の前記操作標章の画像に比べて拡大して表示し、
前記第1検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域を、拡大された前記選択候補標章の画像に応じて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面の面上では前記選択候補標章の画像に応じて設定された前記第1検知領域に一致するように設定すると共に、前記検知面から離れるに従って前記検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定するタッチパネルシステム。
【請求項2】
前記第2検知部は、前記選択候補標章となっていない前記操作標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面から前記検知距離まで前記第1検知領域を平行移動させた軌跡によって形成する3次元領域に設定する請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記第1検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第1検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第1検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域と重複する領域を除いて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第2検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第2検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域と重複する領域を除いて設定する請求項1又は2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域は、前記選択候補標章の画像の前記表示面上での外形に一致するように設定され、
前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域は、前記検知面から離れるに従って、前記検知面に平行な断面が前記第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると共に、前記検知面に平行な全ての断面の重心が前記検知面に対する1本の垂直線上に位置するように設定される請求項1から3の何れか一項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項1】
複数の操作標章を画像として表示する表示面と、前記表示面を覆って設定される検知面への検知対象物の接近を少なくとも検出するセンサと、を備えたタッチパネルシステムであって、
前記表示面に前記操作標章を画像として表示させる表示制御部と、
前記センサの検出結果に基づいて、1つの前記検知対象物が前記検知面に達した場合に、当該検知対象物の前記検知面の面上の位置に応じて前記複数の操作標章の内の1つが選択されたことを検知する第1検知部と、
前記センサの検出結果に基づいて、前記検知面から所定の検知距離内に前記検知対象物が存在することを検出する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部の検知領域である第1検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面の面上に設定され、
前記第2検知部の検知領域である第2検知領域は、前記表示面に表示された複数の前記操作標章のそれぞれの画像に対応して、前記検知面から前記所定の検知距離までの3次元領域に設定され、
前記表示制御部は、複数の前記操作標章のいずれかに対応する前記第2検知領域に前記検知対象物が存在することが検知されている場合には、当該検知対象物が検知されている第2検知領域に対応する前記操作標章である選択候補標章の画像を、他の前記操作標章の画像に比べて拡大して表示し、
前記第1検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域を、拡大された前記選択候補標章の画像に応じて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面の面上では前記選択候補標章の画像に応じて設定された前記第1検知領域に一致するように設定すると共に、前記検知面から離れるに従って前記検知面に平行な断面の形状が縮小されるように設定するタッチパネルシステム。
【請求項2】
前記第2検知部は、前記選択候補標章となっていない前記操作標章に対応する前記第2検知領域を、前記検知面から前記検知距離まで前記第1検知領域を平行移動させた軌跡によって形成する3次元領域に設定する請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記第1検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第1検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第1検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域と重複する領域を除いて設定し、
前記第2検知部は、前記選択候補標章に隣接する前記操作標章の前記第2検知領域を、前記選択候補標章の拡大に対応する前記第2検知領域の拡大の前後で位置を保持して設定すると共に、拡大された前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域と重複する領域を除いて設定する請求項1又は2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記選択候補標章に対応する前記第1検知領域は、前記選択候補標章の画像の前記表示面上での外形に一致するように設定され、
前記選択候補標章に対応する前記第2検知領域は、前記検知面から離れるに従って、前記検知面に平行な断面が前記第1検知領域の相似形状を保ったまま縮小されると共に、前記検知面に平行な全ての断面の重心が前記検知面に対する1本の垂直線上に位置するように設定される請求項1から3の何れか一項に記載のタッチパネルシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−212240(P2012−212240A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76562(P2011−76562)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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