タッチパネル及びその製造方法
【課題】各種電子機器に用いられるタッチパネルに関し、視認性に優れ安価なものを提供することを目的とする。
【解決手段】略額縁状のスペーサ１５に開口部１５Ａを設けると共に、下基板２下面に貼付されたシート１６に外方へ突出する舌片部１６Ａを設け、この舌片部１６Ａでスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うことによって、製作時には、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡等がない状態で、容易に製作が行えると共に、完成した状態では、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、視認性が良好で安定した操作が可能なタッチパネル、及びその製造方法を得ることができる。
【解決手段】略額縁状のスペーサ１５に開口部１５Ａを設けると共に、下基板２下面に貼付されたシート１６に外方へ突出する舌片部１６Ａを設け、この舌片部１６Ａでスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うことによって、製作時には、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡等がない状態で、容易に製作が行えると共に、完成した状態では、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、視認性が良好で安定した操作が可能なタッチパネル、及びその製造方法を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、携帯電話やカーナビ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表示を視認しながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の各機能の切換えを行うものが増えており、視認性に優れ安価なものが求められている。
【０００３】
このような従来のタッチパネルについて、図５及び図６を用いて説明する。
【０００４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【０００５】
図５は従来のタッチパネルの断面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の上基板、２は同じく光透過性の下基板で、上基板１の下面には酸化インジウム錫等の光透過性の上導電層３が、下基板２の上面には同じく下導電層４が各々形成されている。
【０００６】
そして、下導電層４上面には絶縁樹脂によって、複数のドットスペーサ（図示せず）が所定間隔で形成されると共に、上導電層３の両端には一対の上電極（図示せず）が、下導電層４の両端には、上電極とは直交方向の一対の下電極（図示せず）が各々形成されている。
【０００７】
また、５は略額縁状のスペーサで、このスペーサ５の上下面に塗布形成された接着層（図示せず）によって、上基板１と下基板２の外周が貼り合わされ、上導電層３と下導電層４が所定の間隙を空けて対向している。
【０００８】
さらに、６は上下面に接着層７が塗布形成されたシートで、上面の接着層７によって下基板２下面に貼付されると共に、下面の接着層７には離型紙８が貼付されて、タッチパネルが構成されている。
【０００９】
そして、このように構成されたタッチパネルは、離型紙８を剥がした後、下面の接着層７によって液晶表示素子等の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、一対の上電極と下電極が機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１０】
以上の構成において、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示を視認しながら、上基板１上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板１が撓み、押圧された箇所の上導電層３が下導電層４に接触する。
【００１１】
そして、電子回路から上電極と下電極へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【００１２】
なお、このようなタッチパネルを製作する際には、図６（ａ）の分解断面図に示すように、先ず、スペーサ５によって上基板１と下基板２を貼り合わせた後、下基板２下面にシート６が貼付される。
【００１３】
また、この時、図６（ｂ）に示すように、ローラ９等によってシート６の貼付が行われるが、ローラ９によって押圧された下基板２の左方が上方へ撓み、これによって上基板１と下基板２間の空気が圧縮されて、下基板２の右方には下方への膨らみＡが生じる。
【００１４】
そして、この結果、図６（ｃ）に示すように、下基板２下面とシート６の間に気泡Ｂが生じた状態で貼り合わせが行われてしまい、このようなタッチパネルを液晶表示素子等に貼付した場合には、この気泡Ｂによって、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示が見えづらくなり、視認性が損なわれてしまう。
【００１５】
このため、シート６を下基板２下面に貼付する際には、膨らみＡが生じないようにローラ９の押圧を加減したり、気泡Ｂが生じないようにローラ９をゆっくりと移動させたりする必要があり、製作に手間や時間のかかるものであった。
【００１６】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００５−２７４６６７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１７】
しかしながら、上記従来のタッチパネルにおいては、下基板２下面にシート６を貼付する際、背面の液晶表示素子の視認を妨げる気泡Ｂが生じ易く、或いは、これを防止するために製作に時間を要し、高価なものになってしまうという課題があった。
【００１８】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、製作が容易で、視認性に優れ安価なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１９】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２０】
本発明の請求項１に記載の発明は、上基板と下基板間の外周に形成された略額縁状のスペーサに開口部を設けると共に、下基板下面に貼付されたシートに外方へ突出する舌片部を設け、この舌片部によりスペーサの開口部を覆ってタッチパネルを構成したものであり、下基板下面にシートを貼付する際には、スペーサの開口部から空気が出入するため、下基板の膨らみがなく、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡の発生を防ぐことができると共に、完成した状態では、スペーサの開口部がシートの舌片部で覆われているため、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、安定した操作が可能なタッチパネルを得ることができるという作用を有する。
【００２１】
請求項２に記載の発明は、上基板上面または下基板下面にシートを貼付した後、シートの舌片部を折曲し、スペーサの開口部を覆って請求項１記載のタッチパネルを製作するものであり、製作が容易で、視認性に優れ安価なタッチパネルを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によれば、視認性に優れ安価なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図４を用いて説明する。
【００２４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【００２５】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２６】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図、図２は同分解斜視図であり、同図において、１はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の光透過性でフィルム状の上基板、２は同じく光透過性の下基板で、上基板１の下面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の上導電層３が、下基板２の上面には同じく下導電層４が、スパッタ法等によって各々形成されている。
【００２７】
そして、下導電層４の上面にはエポキシやシリコン等の絶縁樹脂によって複数のドットスペーサ（図示せず）が所定間隔で形成されると共に、上導電層３の両端には銀やカーボン等の一対の上電極（図示せず）が、下導電層４両端には、上電極とは直交方向の一対の下電極（図示せず）が各々形成されている。
【００２８】
また、１５は略額縁状で不織布やポリエステルフィルム等のスペーサで、このスペーサ１５の上下面に塗布形成されたアクリルやゴム等の接着層（図示せず）によって、上基板１と下基板２の外周が貼り合わされ、上導電層３と下導電層４が所定の間隙を空けて対向している。
【００２９】
さらに、１６はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の光透過性でフィルム状のシートで、上面に塗布形成されたアクリル等の強粘着性の接着層１７Ａによって、シート１６が下基板２下面に貼付されると共に、下面に塗布形成されたシリコンゴム等の弱粘着性の接着層１７Ｂには、紙やポリエステルフィルム等の離型紙１８が貼付されている。
【００３０】
そして、スペーサ１５には一部切断された開口部１５Ａが、シート１６には外方へ突出する舌片部１６Ａが各々設けられ、この舌片部１６Ａが上方へ折曲されてスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うと共に、舌片部１６Ａはさらに折曲され、端部が強粘着性の接着層１７Ａによって上基板１の上面に貼付されて、タッチパネルが構成されている。
【００３１】
また、このようなタッチパネルを製作する際には、図３（ａ）の分解断面図に示すように、先ず、スペーサ１５によって上基板１と下基板２を貼り合わせた後、下基板２下面にシート１６を貼付する。
【００３２】
そして、この時、図３（ｂ）に示すように、ローラ９等によってシート１６の貼付が行われ、ローラ９によって押圧された下基板２の左方が上方へ撓み、これによって上基板１と下基板２間の空気が圧縮されるが、スペーサ１５には開口部１５Ａが設けられ、この開口部１５Ａから空気が出入するため、下基板２には下方への膨らみ等は生じない。
【００３３】
つまり、ローラ９は比較的強く押圧したり、移動をある程度速くしたりしても、下基板２下面とシート１６の間に、タッチパネルを液晶表示素子等に貼付した際、視認を妨げる気泡等が生じない状態で、シート１６と下基板２の貼り合わせを行うことができるようになっている。
【００３４】
そして、この後、図３（ｃ）に示すように、シート１６の舌片部１６Ａを上方へ折曲して、スペーサ１５の開口部１５Ａを覆い、さらに舌片部１６Ａ先端を折曲し、これを上基板１の上面に貼付して、図１に示したようなタッチパネルが完成する。
【００３５】
つまり、上基板１と下基板２を貼り合わせる略額縁状のスペーサ１５に、開口部１５Ａを設けることによって、下基板２下面にシート１６を貼付する際には、開口部１５Ａから空気を出入させて、下基板２の膨らみがなく、気泡等のない状態で貼り合わせを行うことができると共に、シート１６を貼付した後は、舌片部１６Ａで開口部１５Ａを覆うことによって、周囲の塵埃や湿気等の上基板１と下基板２間への侵入を防止し、安定した操作が行える構成となっている。
【００３６】
なお、以上の説明では、ハーフカット加工等によって、シート１６下面の接着層１７Ｂや離型紙１８には、外方へ突出する舌片部のない構成として説明したが、接着層１７Ｂや離型紙１８にも舌片部を設けた構成としてもよい。
【００３７】
そして、このように構成されたタッチパネルは、離型紙１８を剥がした後、下面の弱粘着性の接着層１７Ｂによって液晶表示素子等の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、一対の上電極と下電極が機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３８】
以上の構成において、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示を視認しながら、上基板１上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板１が撓み、押圧された箇所の上導電層３が下導電層４に接触する。
【００３９】
そして、電子回路から上電極と下電極へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【００４０】
このように本実施の形態によれば、略額縁状のスペーサ１５に開口部１５Ａを設けると共に、下基板２下面に貼付されたシート１６に外方へ突出する舌片部１６Ａを設け、この舌片部１６Ａでスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うことによって、製作時には、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡等がない状態で、容易に製作が行えると共に、完成した状態では、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、視認性が良好で安定した操作が可能なタッチパネル、及びその製造方法を得ることができるものである。
【００４１】
また、上記のように、シート１６上面の接着層１７Ａを強粘着性、下面の接着層１７Ｂを弱粘着性とすることによって、タッチパネルを液晶表示素子等に貼付する際、位置ズレ等の貼り間違いが生じた場合にも、下基板２側は強粘着性、液晶表示素子側は弱粘着性となっているため、一旦タッチパネルを液晶表示素子から剥がし、再度の貼り直しを容易に行うことができる。
【００４２】
なお、以上の説明では、下基板２下面にシート１６を貼付した構成について説明したが、図４の断面図に示すように、操作面の保護等のために、下面に接着層１７Ａを塗布形成したシート１６を上基板１上面に貼付すると共に、舌片部１６Ａを下方へ折曲してスペーサ１５の開口部１５Ａを覆う構成としても、本発明の実施は可能である。
【００４３】
さらに、ヨウ素や染料を吸着させ延伸・配向させたポリビニルアルコールの上下面に、トリアセチルセルロース等が積層された偏光板を上基板１上面に貼付した、いわゆる直線偏光タイプのものや、上基板１と偏光板の間、及び下基板２下面に、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーフィルムを延伸し複屈折性を持たせた１／４波長の位相差板を貼付した、いわゆる円偏光タイプのものにおいても、本発明の実施は可能である。
【００４４】
つまり、これらの場合には、下基板２下面に位相差板を貼付する場合は、これを本発明のシート１６とし、外方へ突出する舌片部１６Ａを上方へ折曲して、スペーサ１５の開口部１５Ａを覆い、上基板１上面に位相差板を貼付する場合には、これを本発明のシート１６とし、舌片部１６Ａを下方へ折曲して開口部１５Ａを覆うようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明によるタッチパネル及びその製造方法は、製作が容易で、視認性に優れ安価なものを提供することができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図２】同分解斜視図
【図３】同分解断面図
【図４】同他の実施の形態による断面図
【図５】従来のタッチパネルの断面図
【図６】同分解断面図
【符号の説明】
【００４７】
１ 上基板
２ 下基板
３ 上導電層
４ 下導電層
１５ スペーサ
１５Ａ 開口部
１６ シート
１６Ａ 舌片部
１７Ａ、１７Ｂ 接着層
１８ 離型紙
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、携帯電話やカーナビ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表示を視認しながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の各機能の切換えを行うものが増えており、視認性に優れ安価なものが求められている。
【０００３】
このような従来のタッチパネルについて、図５及び図６を用いて説明する。
【０００４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【０００５】
図５は従来のタッチパネルの断面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の上基板、２は同じく光透過性の下基板で、上基板１の下面には酸化インジウム錫等の光透過性の上導電層３が、下基板２の上面には同じく下導電層４が各々形成されている。
【０００６】
そして、下導電層４上面には絶縁樹脂によって、複数のドットスペーサ（図示せず）が所定間隔で形成されると共に、上導電層３の両端には一対の上電極（図示せず）が、下導電層４の両端には、上電極とは直交方向の一対の下電極（図示せず）が各々形成されている。
【０００７】
また、５は略額縁状のスペーサで、このスペーサ５の上下面に塗布形成された接着層（図示せず）によって、上基板１と下基板２の外周が貼り合わされ、上導電層３と下導電層４が所定の間隙を空けて対向している。
【０００８】
さらに、６は上下面に接着層７が塗布形成されたシートで、上面の接着層７によって下基板２下面に貼付されると共に、下面の接着層７には離型紙８が貼付されて、タッチパネルが構成されている。
【０００９】
そして、このように構成されたタッチパネルは、離型紙８を剥がした後、下面の接着層７によって液晶表示素子等の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、一対の上電極と下電極が機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１０】
以上の構成において、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示を視認しながら、上基板１上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板１が撓み、押圧された箇所の上導電層３が下導電層４に接触する。
【００１１】
そして、電子回路から上電極と下電極へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【００１２】
なお、このようなタッチパネルを製作する際には、図６（ａ）の分解断面図に示すように、先ず、スペーサ５によって上基板１と下基板２を貼り合わせた後、下基板２下面にシート６が貼付される。
【００１３】
また、この時、図６（ｂ）に示すように、ローラ９等によってシート６の貼付が行われるが、ローラ９によって押圧された下基板２の左方が上方へ撓み、これによって上基板１と下基板２間の空気が圧縮されて、下基板２の右方には下方への膨らみＡが生じる。
【００１４】
そして、この結果、図６（ｃ）に示すように、下基板２下面とシート６の間に気泡Ｂが生じた状態で貼り合わせが行われてしまい、このようなタッチパネルを液晶表示素子等に貼付した場合には、この気泡Ｂによって、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示が見えづらくなり、視認性が損なわれてしまう。
【００１５】
このため、シート６を下基板２下面に貼付する際には、膨らみＡが生じないようにローラ９の押圧を加減したり、気泡Ｂが生じないようにローラ９をゆっくりと移動させたりする必要があり、製作に手間や時間のかかるものであった。
【００１６】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００５−２７４６６７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１７】
しかしながら、上記従来のタッチパネルにおいては、下基板２下面にシート６を貼付する際、背面の液晶表示素子の視認を妨げる気泡Ｂが生じ易く、或いは、これを防止するために製作に時間を要し、高価なものになってしまうという課題があった。
【００１８】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、製作が容易で、視認性に優れ安価なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１９】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２０】
本発明の請求項１に記載の発明は、上基板と下基板間の外周に形成された略額縁状のスペーサに開口部を設けると共に、下基板下面に貼付されたシートに外方へ突出する舌片部を設け、この舌片部によりスペーサの開口部を覆ってタッチパネルを構成したものであり、下基板下面にシートを貼付する際には、スペーサの開口部から空気が出入するため、下基板の膨らみがなく、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡の発生を防ぐことができると共に、完成した状態では、スペーサの開口部がシートの舌片部で覆われているため、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、安定した操作が可能なタッチパネルを得ることができるという作用を有する。
【００２１】
請求項２に記載の発明は、上基板上面または下基板下面にシートを貼付した後、シートの舌片部を折曲し、スペーサの開口部を覆って請求項１記載のタッチパネルを製作するものであり、製作が容易で、視認性に優れ安価なタッチパネルを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によれば、視認性に優れ安価なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図４を用いて説明する。
【００２４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【００２５】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２６】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図、図２は同分解斜視図であり、同図において、１はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の光透過性でフィルム状の上基板、２は同じく光透過性の下基板で、上基板１の下面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の上導電層３が、下基板２の上面には同じく下導電層４が、スパッタ法等によって各々形成されている。
【００２７】
そして、下導電層４の上面にはエポキシやシリコン等の絶縁樹脂によって複数のドットスペーサ（図示せず）が所定間隔で形成されると共に、上導電層３の両端には銀やカーボン等の一対の上電極（図示せず）が、下導電層４両端には、上電極とは直交方向の一対の下電極（図示せず）が各々形成されている。
【００２８】
また、１５は略額縁状で不織布やポリエステルフィルム等のスペーサで、このスペーサ１５の上下面に塗布形成されたアクリルやゴム等の接着層（図示せず）によって、上基板１と下基板２の外周が貼り合わされ、上導電層３と下導電層４が所定の間隙を空けて対向している。
【００２９】
さらに、１６はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の光透過性でフィルム状のシートで、上面に塗布形成されたアクリル等の強粘着性の接着層１７Ａによって、シート１６が下基板２下面に貼付されると共に、下面に塗布形成されたシリコンゴム等の弱粘着性の接着層１７Ｂには、紙やポリエステルフィルム等の離型紙１８が貼付されている。
【００３０】
そして、スペーサ１５には一部切断された開口部１５Ａが、シート１６には外方へ突出する舌片部１６Ａが各々設けられ、この舌片部１６Ａが上方へ折曲されてスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うと共に、舌片部１６Ａはさらに折曲され、端部が強粘着性の接着層１７Ａによって上基板１の上面に貼付されて、タッチパネルが構成されている。
【００３１】
また、このようなタッチパネルを製作する際には、図３（ａ）の分解断面図に示すように、先ず、スペーサ１５によって上基板１と下基板２を貼り合わせた後、下基板２下面にシート１６を貼付する。
【００３２】
そして、この時、図３（ｂ）に示すように、ローラ９等によってシート１６の貼付が行われ、ローラ９によって押圧された下基板２の左方が上方へ撓み、これによって上基板１と下基板２間の空気が圧縮されるが、スペーサ１５には開口部１５Ａが設けられ、この開口部１５Ａから空気が出入するため、下基板２には下方への膨らみ等は生じない。
【００３３】
つまり、ローラ９は比較的強く押圧したり、移動をある程度速くしたりしても、下基板２下面とシート１６の間に、タッチパネルを液晶表示素子等に貼付した際、視認を妨げる気泡等が生じない状態で、シート１６と下基板２の貼り合わせを行うことができるようになっている。
【００３４】
そして、この後、図３（ｃ）に示すように、シート１６の舌片部１６Ａを上方へ折曲して、スペーサ１５の開口部１５Ａを覆い、さらに舌片部１６Ａ先端を折曲し、これを上基板１の上面に貼付して、図１に示したようなタッチパネルが完成する。
【００３５】
つまり、上基板１と下基板２を貼り合わせる略額縁状のスペーサ１５に、開口部１５Ａを設けることによって、下基板２下面にシート１６を貼付する際には、開口部１５Ａから空気を出入させて、下基板２の膨らみがなく、気泡等のない状態で貼り合わせを行うことができると共に、シート１６を貼付した後は、舌片部１６Ａで開口部１５Ａを覆うことによって、周囲の塵埃や湿気等の上基板１と下基板２間への侵入を防止し、安定した操作が行える構成となっている。
【００３６】
なお、以上の説明では、ハーフカット加工等によって、シート１６下面の接着層１７Ｂや離型紙１８には、外方へ突出する舌片部のない構成として説明したが、接着層１７Ｂや離型紙１８にも舌片部を設けた構成としてもよい。
【００３７】
そして、このように構成されたタッチパネルは、離型紙１８を剥がした後、下面の弱粘着性の接着層１７Ｂによって液晶表示素子等の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、一対の上電極と下電極が機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３８】
以上の構成において、タッチパネル背面の液晶表示素子の表示を視認しながら、上基板１上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板１が撓み、押圧された箇所の上導電層３が下導電層４に接触する。
【００３９】
そして、電子回路から上電極と下電極へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【００４０】
このように本実施の形態によれば、略額縁状のスペーサ１５に開口部１５Ａを設けると共に、下基板２下面に貼付されたシート１６に外方へ突出する舌片部１６Ａを設け、この舌片部１６Ａでスペーサ１５の開口部１５Ａを覆うことによって、製作時には、液晶表示素子等の視認を妨げる気泡等がない状態で、容易に製作が行えると共に、完成した状態では、周囲の塵埃や湿気等の上下基板間への侵入を防ぎ、視認性が良好で安定した操作が可能なタッチパネル、及びその製造方法を得ることができるものである。
【００４１】
また、上記のように、シート１６上面の接着層１７Ａを強粘着性、下面の接着層１７Ｂを弱粘着性とすることによって、タッチパネルを液晶表示素子等に貼付する際、位置ズレ等の貼り間違いが生じた場合にも、下基板２側は強粘着性、液晶表示素子側は弱粘着性となっているため、一旦タッチパネルを液晶表示素子から剥がし、再度の貼り直しを容易に行うことができる。
【００４２】
なお、以上の説明では、下基板２下面にシート１６を貼付した構成について説明したが、図４の断面図に示すように、操作面の保護等のために、下面に接着層１７Ａを塗布形成したシート１６を上基板１上面に貼付すると共に、舌片部１６Ａを下方へ折曲してスペーサ１５の開口部１５Ａを覆う構成としても、本発明の実施は可能である。
【００４３】
さらに、ヨウ素や染料を吸着させ延伸・配向させたポリビニルアルコールの上下面に、トリアセチルセルロース等が積層された偏光板を上基板１上面に貼付した、いわゆる直線偏光タイプのものや、上基板１と偏光板の間、及び下基板２下面に、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーフィルムを延伸し複屈折性を持たせた１／４波長の位相差板を貼付した、いわゆる円偏光タイプのものにおいても、本発明の実施は可能である。
【００４４】
つまり、これらの場合には、下基板２下面に位相差板を貼付する場合は、これを本発明のシート１６とし、外方へ突出する舌片部１６Ａを上方へ折曲して、スペーサ１５の開口部１５Ａを覆い、上基板１上面に位相差板を貼付する場合には、これを本発明のシート１６とし、舌片部１６Ａを下方へ折曲して開口部１５Ａを覆うようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明によるタッチパネル及びその製造方法は、製作が容易で、視認性に優れ安価なものを提供することができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図２】同分解斜視図
【図３】同分解断面図
【図４】同他の実施の形態による断面図
【図５】従来のタッチパネルの断面図
【図６】同分解断面図
【符号の説明】
【００４７】
１ 上基板
２ 下基板
３ 上導電層
４ 下導電層
１５ スペーサ
１５Ａ 開口部
１６ シート
１６Ａ 舌片部
１７Ａ、１７Ｂ 接着層
１８ 離型紙
【特許請求の範囲】
【請求項１】
下面に上導電層が形成された上基板と、上面に上記上導電層と所定の空隙を空けて対向する下導電層が形成された下基板と、上記上基板と下基板間の外周に形成された略額縁状のスペーサと、上記上基板上面または下基板下面に貼付されたシートからなり、上記スペーサに開口部を設けると共に、上記シートに外方へ突出する舌片部を設け、この舌片部により上記スペーサの開口部を覆ったタッチパネル。
【請求項２】
上基板上面または下基板下面にシートを貼付した後、シートの舌片部を折曲して、スペーサの開口部を覆う請求項１記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項１】
下面に上導電層が形成された上基板と、上面に上記上導電層と所定の空隙を空けて対向する下導電層が形成された下基板と、上記上基板と下基板間の外周に形成された略額縁状のスペーサと、上記上基板上面または下基板下面に貼付されたシートからなり、上記スペーサに開口部を設けると共に、上記シートに外方へ突出する舌片部を設け、この舌片部により上記スペーサの開口部を覆ったタッチパネル。
【請求項２】
上基板上面または下基板下面にシートを貼付した後、シートの舌片部を折曲して、スペーサの開口部を覆う請求項１記載のタッチパネルの製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−１４０７２４（Ｐ２００７−１４０７２４Ａ）
【公開日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３３１０６２（Ｐ２００５−３３１０６２）
【出願日】平成１７年１１月１６日（２００５．１１．１６）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１１月１６日（２００５．１１．１６）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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