説明

タンク洗浄システム

【課題】タンク洗浄モード時のポンプによる濯ぎ水の圧送を廃止し、タンク内に濯ぎ水を溜める時間が不要となり、排水効率を向上する。
【解決手段】密閉された貯蔵タンク1と、前記貯蔵タンクに対する連通及び遮断が切替可能な上流管開閉弁3、上流側配管2と、連通及び遮断が切替可能な下流管開閉弁11を有し、前記貯蔵タンクに接続された下流側配管4と、当該配管内の貯蔵液を下流側に圧送するポンプ6と、洗浄モード時に、前記貯蔵タンク内にガスによる背圧をかけた状態で前記上流側配管を介して水及び洗浄液を前記貯蔵タンク内に供給する洗浄装置7を有し、前記貯蔵タンクと前記ポンプとの間に当該下流側配管から分岐する分岐配管12を設け、この分岐配管に気体と液体とを分離する気液分離装置13を接続し分離された前記水及び洗浄液を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビール製造工程においてビール等を貯蔵するタンクの洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1,2には、浴槽や台所等の排水構造が記載されている。
【0003】
また、従来のビール製造工程におけるタンク洗浄システムは、図2に示すように、発酵タンクや貯酒タンク等の密閉された貯蔵タンク1と、貯蔵タンク1に対する連通及び遮断が切替可能な上流管開閉弁3を有し貯蔵タンク1に接続された上流側配管2と、貯蔵タンク1に対する連通及び遮断が切替可能な下流管開閉弁5を有し貯蔵タンク1に接続された下流側配管4と、下流側配管4に配置されて当該配管内の貯蔵液を下流側に圧送するポンプ6と、貯蔵タンク1内を洗浄する洗浄モード時に、貯蔵タンク1内にガスによる背圧をかけた状態で上流側配管2を介して水及び洗浄液を貯蔵タンク1内に供給する洗浄装置7と、を有する。
【特許文献1】特開2001−009161号公報
【特許文献2】特開2000−210218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2に示すタンク洗浄システムによるタンクの洗浄では、先ずタンク1内が空の状態で、洗浄装置7から供給した水でタンク1内のビール分等を濯ぎ、次に苛性ソーダ等の薬液でタンク1内を洗浄し、再度水でタンク1内を濯ぐようにしている。このような洗浄工程では、薬液である苛性ソーダをポンプ6により循環させて再利用することから、濯ぎ水も苛性ソーダと同様の配管を通じてタンク1内に注入される。このように薬液や水を循環させる理由は、タンク1が密閉状態で、炭酸ガスによってタンク1内に背圧をかけているため、濯ぎ水をタンク下の排出口から直に排出してしまうと、タンク1内の炭酸ガスが水と一緒に排出されてしまうからである。このため、従来は炭酸ガスが無駄に排出されないようにタンク1内にある程度の濯ぎ水を溜めることで炭酸ガスと濯ぎ水とを分離し、タンク1内に溜まった濯ぎ水だけをポンプ6によって下流側配管4の末端まで送って排出していた。また、タンク1内に濯ぎ水を溜めるのはポンプ6が濯ぎ水に混入した炭酸ガスによって空転して水が配管4内を流動しなくなるのを防ぐためであるが、濯ぎ水をタンク1内に溜めるので排水に時間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、タンク洗浄モード時のポンプによる濯ぎ水の圧送を廃止し、タンク内に濯ぎ水を溜める時間が不要となり、排水効率を向上できるタンク洗浄技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るタンク洗浄システムは、密閉された貯蔵タンク1と、前記貯蔵タンクに対する連通及び遮断が切替可能な上流管開閉弁3を有し、前記貯蔵タンクに接続された上流側配管2と、前記貯蔵タンクに対する連通及び遮断が切替可能な下流管開閉弁11を有し、前記貯蔵タンクに接続された下流側配管4と、前記下流側配管に配置されて当該配管内の貯蔵液を下流側に圧送するポンプ6と、前記貯蔵タンク内を空にして洗浄する洗浄モード時に、前記貯蔵タンク内にガスによる背圧をかけた状態で前記上流側配管を介して水及び洗浄液を前記貯蔵タンク内に供給する洗浄装置7と、を有し、前記下流側配管における前記貯蔵タンクと前記ポンプとの間に当該下流側配管から分岐する分岐配管12を設け、この分岐配管に気体と液体とを分離する気液分離装置13を接続し、前記気液分離装置により分離された前記水及び洗浄液を排出する。
【0007】
また、好ましくは、前記気液分離装置は、分離した気体を放出するガス抜き弁15を有し、前記洗浄モード中に前記ガス抜き弁を間欠的に開閉動作させて分離した気体を放出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タンク洗浄モード時のポンプによる濯ぎ水の圧送を廃止し、タンク内に濯ぎ水を溜める時間が不要となり、排水効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0010】
図1は、本発明に係る実施形態のタンク洗浄システムの構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のタンク洗浄システムは、貯蔵タンク1、上流側配管2、上流管開閉弁3、下流側配管4、下流管開閉弁5、ポンプ6、洗浄装置7までは図2に示す構造と同様である。
【0012】
図2との相違点は、下流側配管4における貯蔵タンク1とポンプ6との間に当該下流側配管4から分岐する三方弁11及び分岐配管12を設け、この分岐配管12に気体と液体とを分離する気液分離装置13を接続した点である。また、気液分離装置13は、分離したエアーや炭酸ガス等の気体を大気中に放出する排出管14及び排出管14を開閉するガス抜き弁15を有し、タンク洗浄時にガス抜き弁15を間欠的に開閉動作させて分離した気体を放出する。
【0013】
本実施形態のタンク洗浄システムによるタンクの洗浄は、タンク1内を空にして洗浄装置7から炭酸ガスを送ってタンク1内に背圧をかけた状態で、タンク1内に三方弁11により下流側配管4を分岐配管12に接続し、洗浄装置7から水を送ってタンク1内を濯ぎ、次に洗浄装置7から苛性ソーダ等の薬液を送ってタンク1内を洗浄し、再度水でタンク1内を濯ぐようにしている。
【0014】
この洗浄中において、炭酸ガスと濯ぎ水や薬液が混合した廃液は気液分離装置13に送られて気体と液体に分離される。そして、ガス抜き弁15を間欠的に開閉動作させることで炭酸ガスの無駄な排出を抑えつつ、気液分離装置13内で分離された液体を排出する。
【0015】
これにより、タンク洗浄モード時にタンク1内に水を溜める必要がないので濯ぎ時間が格段に短縮できる。更に、気液分離装置13から液体を排出すると同時に炭酸ガスは必要に応じて間欠的に放出されるので、炭酸ガスの無駄な排出を抑え、洗浄モード終了後に気液分離装置13内に溜まった炭酸ガスを取り出して再利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上説明したタンク洗浄システムは、ビール製造工程で使用されるタンクに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施形態のタンク洗浄システムの構成を示す図である。
【図2】従来のタンク洗浄システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 貯蔵タンク
2 上流側配管
3 上流管開閉弁
4 下流側配管
5 下流管開閉弁
6 ポンプ
7 洗浄装置
11 三方弁
12 分岐配管
13 気液分離装置
14 排出管
15 ガス抜き弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクに対する連通及び遮断が切替可能な上流管開閉弁を有し、前記貯蔵タンクに接続された上流側配管と、
前記貯蔵タンクに対する連通及び遮断が切替可能な下流管開閉弁を有し、前記貯蔵タンクに接続された下流側配管と、
前記下流側配管に配置されて当該配管内の貯蔵液を下流側に圧送するポンプと、
前記貯蔵タンク内を空にして洗浄する洗浄モード時に、前記貯蔵タンク内にガスによる背圧をかけた状態で前記上流側配管を介して水及び洗浄液を前記貯蔵タンク内に供給する洗浄装置と、を有し、
前記下流側配管における前記貯蔵タンクと前記ポンプとの間に当該下流側配管から分岐する分岐配管を設け、この分岐配管に気体と液体とを分離する気液分離装置を接続し、
前記気液分離装置により分離された前記水及び洗浄液を排出することを特徴とするタンク洗浄システム。
【請求項2】
前記気液分離装置は、分離した気体を放出するガス抜き弁を有し、前記洗浄モード中に前記ガス抜き弁を間欠的に開閉動作させて分離した気体を放出することを特徴とする請求項1に記載のタンク洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−229557(P2008−229557A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75343(P2007−75343)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】