説明

タンタル酸化合物微粒子の製造方法

【課題】粒子径および化学組成の均一性に優れ、高い結晶性を有するタンタル酸化合物微粒子を容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】酸化物基準のモル%表示で、MO(MはBa、Sr、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上の元素)を10〜60%、Taを1〜20%およびBを30〜85%からなる溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質を得る工程と、前記非晶質物質からタンタル酸化合物の結晶を析出させる工程と、得られた析出物からタンタル酸化合物結晶を分離、精製する工程とを、この順に包含することを特徴とする製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタンタル酸化合物微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タンタル酸化合物は、誘電材料、電気光学材料、高屈折材料等として利用されている。近年、前記材料においては微細化や高機能化が進んでおり、これらの材料に用いるタンタル酸化合物粒子には、粒子径が小さいことや比表面積が大きいことが要求されている。
【0003】
一般に、タンタル酸化合物粒子は固相反応法を用いて製造される。すなわち、原料粉末を混合して焼成し、焼成物をさらに粉砕して作製されている。このような固相反応法では、微細な粒子が得られにくいばかりでなく、均一な粒子径を有するものを得ることが難しかった。また、粉砕時のエネルギーが粒子内に歪として残存するおそれがあった。しかしながら、固相反応法以外の方法でタンタル酸化合物微粒子を作製する試みは、あまり行われていないのが現状である。
【0004】
固相反応法以外で酸化タンタル微粒子を製造する方法として、フッ化タンタル塩の水溶液に塩基性溶液を添加し中和することによって水酸化タンタルを沈殿させ、これを焼成して針状または柱状の酸化タンタル粒子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1に記載された方法では、高価なフッ化物原料を使用するばかりでなく、結晶性をよくするために高温処理を行う必要があるため、製造コストが高くつくという問題があった。
【0005】
上記のように、タンタル酸化合物は、誘電材料、電気光学材料、高屈折材料等として利用される重要な物質であり、タンタル酸化合物の微粒子の開発が急務となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−255454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、粒子径および化学組成の均一性に優れ、高い結晶性を有する微粒子を容易に得ることができる、タンタル酸化合物微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係るタンタル酸化合物微粒子の製造方法は、酸化物基準のモル%表示で、MO(Mは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)を10〜60%、Taを1〜20%、およびBを30〜85%からなる溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質を得る工程と、前記非晶質物質からタンタル酸化合物の結晶を析出させる工程と、前記工程で得られた析出物から前記タンタル酸化合物の結晶を分離し精製する工程を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粒子径および化学組成の均一性に優れ、高い結晶性を有するタンタル酸化合物微粒子を容易に製造することができる。そして、本発明により得られたタンタル酸化合物微粒子は、誘電材料、電気光学材料、高屈折材料等として所望の高い機能を発現し、長期に亘り高い信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例2で得られた微粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図2】本発明の実施例11で得られた微粒子のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のタンタル酸化合物微粒子の製造方法の実施形態について説明する。
【0012】
本発明の実施形態の製造方法は、酸化物基準のモル%表示で、MO(MはBa、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。以下同じ。)を10〜60%、Taを1〜20%、Bを30〜85%からなる溶融物を得る工程(以下、溶融工程という)と、この溶融物を急速冷却して非晶質物質を得る工程(以下、急冷工程という)と、この非晶質物質からタンタル酸化合物の結晶を析出させる工程(以下、結晶化工程という)と、得られた析出物からタンタル酸化合物の結晶を分離し精製する工程(以下、分離・精製工程という)とを備えている。各工程について以下に詳述する。
【0013】
[溶融工程]
溶融工程は、酸化物基準のモル%表示で、MOを10〜60%、Taを1〜20%およびBを30〜85%からなる溶融物を得る工程であり、続く急冷工程で非晶質物質を得るために行われる。上記の組成域の溶融物は、完全に溶融することが可能であり、適度な粘性を有する。また、この溶融物は、続く急冷工程で急速冷却操作により結晶化することがなく、非晶質物質を生成するため好ましい。
【0014】
溶融物が非晶質物質を形成するとき、MOはネットワークモディファイヤーとして、Bはネットワークフォマーとして、Taはネットワークモディファイヤーとして、それぞれ作用する。
【0015】
Taが20%を超えるか、またはMOが60%を超える場合、あるいはBが30%未満の場合には、溶融物は続く急冷工程で結晶化しやすく、非晶質物質を得ることができない。一方、Taが1%未満であるか、MOが10%未満である場合、あるいはBが85%を超える場合には、分離・精製工程でタンタル酸化合物微粒子を効率よく得ることができない。
【0016】
特に、溶融物中のMO、TaおよびBの含有割合が、それぞれ15〜50%、2〜15%および40〜80%である場合には、溶融工程で完全に溶融させることができるうえに、急冷工程で非晶質物質を得ることがより容易であり、かつタンタル酸化合物微粒子を効率よく得ることができる。
【0017】
溶融工程では、目的とするタンタル酸化合物微粒子の各構成成分(元素)を供給するための各化合物が、原料として用いられる。すなわち、M源となる化合物、Ta源となる化合物、およびB源となる化合物がそれぞれ原料として用いられる。そして、これらの原料を、得られる溶融物の組成が前記した組成となるように所定の比率で混合し、得られた原料混合物を加熱することにより溶融物を得る。溶融雰囲気は特に制御する必要はなく、大気雰囲気で溶融させることができる。
【0018】
ここで、原料混合物の組成は、原則として、当該混合物から得られる溶融物の組成と対応するものである。ただし、溶融処理中に揮発等により失われる成分がある場合は、所望の組成の溶融物が得られるように、各原料の仕込み量を補正する。
【0019】
M源としては、Mの炭酸塩(MCO)、Mの水酸化物(M(OH))およびMの酸化物(MO)から選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。これらの化合物は、安価で操作性が良好であるため、使用が好ましい。また、Mの塩化物(MCl)、Mの硫酸塩(MSO)、Mのホウ酸塩(MB、MB)、およびMのシュウ酸塩(M(COO))、Mの酢酸塩(M(CHCOO))等の有機酸塩から選ばれる1種以上の化合物を用いてもよい。以上の化合物は、結晶水を含む場合はその含水化合物をも含むものとする。
【0020】
Ta源としては、Taの酸化物(Ta)を用いることが好ましい。また、塩化タンタル(TaCl)を用いてもよい。
【0021】
B源としては、酸化ホウ素(B)またはホウ酸(HBO)を用いることが好ましい。前記したように、Mのホウ酸塩(MB、MB)を用いてもよい。
【0022】
各原料の純度は、所望の特性を低下させない範囲であれば特に限定されるものではないが、結晶水や水和水を除いた純度が99%以上であることが好ましく、より好ましくは純度99.9%以上とする。また、溶融して均一な組成の溶融物が得られる範囲であれば、各原料の粒度(粒子径)も特に限定されない。これらの原料は、回転式ミキサ、ボールミル、遊星ミル等の混合・粉砕手段を用いて、乾式または湿式で混合してから溶融させることが好ましい。
【0023】
原料混合物の溶融は、抵抗加熱炉、高周波誘導炉、またはプラズマアーク炉を用いて行うことが好ましい。抵抗加熱炉は、ニクロム合金等の金属製、炭化ケイ素製、またはケイ化モリブデン製の発熱体を備えた電気炉であることが好ましい。高周波誘導炉は、誘導コイルを備えており、出力を制御できるものであればよく、プラズマアーク炉は、カーボン等からなる電極を備え、それによって発生するプラズマアークを利用できるものであればよい。さらに、赤外線加熱やレーザー直接加熱によって溶融させてもよい。
【0024】
溶融に用いる容器(るつぼ)は、アルミナ製、白金製、またはロジウムを含む白金合金製であることが好ましいが、耐火煉瓦製のものを用いることもできる。また、原料成分の揮散や蒸発を防止するため、容器に蓋等を装着することが好ましい。さらに、溶融工程に続いて急冷工程が行いやすいように、容器は排出口を備えることが好ましい。
【0025】
前記原料混合物は、粉体状態で溶融してもよいし、予め成型された混合物を溶融してもよい。原料混合物の溶融は、900℃〜1600℃の温度で行うことが好ましく、1100〜1500℃の温度範囲で行うことがより好ましい。得られた溶融物は、均一性を高めるために撹拌してもよい。
【0026】
[急冷工程]
急冷工程は、前記溶融工程で得られた溶融物を急速に室温付近まで冷却し、より均一な組成を有する非晶質物質を得る工程である。冷却速度は、100℃/秒以上とすることが好ましく、1×10℃/秒以上とすることがより好ましい。
【0027】
急冷工程では、高速で回転する双ローラーの間に溶融物を滴下してフレーク状の非晶質物質を得る方法や、冷却したカーボン板や金属板の間に溶融物をプレスして非晶質物質を得る方法が好適に用いられる。中でも前者の方法は、急冷の程度が高くかつ大量に処理することができるので、より好ましい。ここで、双ローラーとしては、金属製、カーボン製、またはセラミックス製のものを用いることが好ましい。さらに、高速で回転するドラムにより、溶融物から連続的にファイバー状(長繊維)の非晶質物質を巻き取る方法や、側壁に細孔を設けたスピナーを高速で回転させて、ファイバー状(短繊維)の非晶質物質を得る方法を用いてもよい。これらの方法によれば、溶融物を効果的に急速冷却し、高純度で化学組成が均一な非晶質物質を得ることができる。
【0028】
また、非晶質物質がフレーク状またはファイバー状の場合には、微細なタンタル酸化合物粒子(微粒子)を得やすい。非晶質物質がフレーク状の場合には、その平均厚さが200μm以下、より好ましくは100μm以下となるように、急速冷却することが好ましい。また、ファイバー状の場合には、その平均直径が50μm以下、より好ましくは30μm以下となるように急速冷却することが好ましい。非晶質物質の平均厚さまたは平均直径を上記上限値以下とした場合には、タンタル酸化合物微粒子を得やすい。
【0029】
なお、フレーク状の非晶質物質の平均厚さは、ノギスまたはマイクロメーターにより測定することができる。また、ファイバー状の非晶質物質の平均直径は、ノギスまたはマイクロメーターにより測定するか、または顕微鏡観察により測定することができる。
【0030】
[結晶化工程]
結晶化工程は、前記急冷工程で得られた非晶質物質を加熱し、目的とするタンタル酸化合物の結晶(微粒子)を含む結晶化物を析出させる工程である。前記非晶質物質の加熱により、タンタル酸化合物の結晶、およびホウ酸塩が析出する。結晶化工程は、大気雰囲気で500〜900℃の温度で行うことが好ましい。結晶化工程での加熱温度(以下、結晶化温度ともいう)が500℃未満であると、連続して加熱を行っても結晶が析出しにくく、一方結晶化温度が900℃を超えると、非晶質物質が融解するおそれがある。結晶析出を効率よく行い、かつ析出する結晶の粒子径の増大を抑制するためには、結晶化温度を600〜800℃にすることが好ましい。なお、500〜900℃の温度範囲内では、結晶化温度を高くするほど析出する結晶の粒子径が大きくなる傾向があるので、所望の粒子径に応じて結晶化温度を設定すればよい。
【0031】
結晶化工程は、結晶核生成とそれに続く結晶(粒子)成長の2段階からなるため、この2段階を異なる温度で行ってもよい。そして、それぞれ異なる温度で2〜64時間保持し、結晶核生成および結晶(粒子)成長を行わせることが好ましい。なお、結晶化の時間を長くすることで結晶の粒子径を大きくすることはできるが、粒子径の増大に与える影響は結晶化温度ほど大きくないので、粒子径を微調整するときは結晶化時間を変化させて対応することが好ましい。
【0032】
[分離・精製工程]
分離・精製工程は、結晶化工程で得られた結晶化物の分離・精製を行い、目的とするタンタル酸化合物微粒子を単離する工程である。結晶化物は、タンタル酸化合物からなる結晶微粒子部分と、主にMOを含むホウ酸塩からなるマトリックス部分とからなる。このような結晶化物からタンタル酸化合物の結晶微粒子を分離するために、水または酸溶液を用いてマトリックス部分を溶解・除去する。ここで、水はイオン交換水または蒸留水を示すものとする。酸溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸溶液、酢酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸溶液が好ましい。これらの中でも、分離能の良さからは塩酸、硝酸を用いることが好ましく、pH緩衝能を有することからは酢酸を用いることが特に好ましい。酸溶液の濃度は、前記マトリックス部分に対する溶解能の高さから、0.05mol/L〜5mol/Lの範囲とすることが好ましい。
【0033】
マトリックス部分の溶解処理およびタンタル酸化合物微粒子の分離操作は、酸溶液等の温度が室温から90℃の範囲で行うことが好ましい。溶液を室温より低い温度に冷却する必要はない。また、溶液の温度が90℃を超える場合は沸騰するおそれがあり、また成分の揮発や蒸発が生じるため、密閉等の方法を講じない限り好ましくない。
【0034】
タンタル酸化合物微粒子の分離処理は、前記酸溶液等を用いて結晶化物からマトリックス部分を溶解した後、微粒子を沈降させて上澄みと分離することにより行われる。微粒子と上澄みとの分離は、自然沈降、ろ過、フィルタープレス、遠心沈降等を用いて行うことが好ましい。マトリックス部分の溶解と微粒子の上澄みからの分離操作は、微粒子のみが得られるまで繰り返し実施してもよい。微粒子が沈降しにくい場合には、沈降剤を用いてもよい。
【0035】
前記した微粒子の分離操作に続いて精製操作を行う。精製操作は溶解処理で生じた可溶性塩を除去するために行うものであり、水のみで洗浄してもよいが、前記分離操作と同様に酸の希薄溶液を用いて行ってもよい。この操作は繰り返してもよい。また、精製操作は室温から90℃の温度で行うことが好ましく、最終的には水のみで行うことが好ましい。
【0036】
本発明の実施形態の製造方法においては、前記したように溶融工程、急冷工程、結晶化工程および分離・精製工程を順に経ることで、粒子径および化学組成の均一性に優れ、高い結晶性を有するタンタル酸化合物の微粒子を得ることができる。得られるタンタル酸化合物としては、組成式:MTaで表される化合物、組成式:MTa11で表される化合物、および組成式:MTa15で表される化合物のうちの少なくとも1種を挙げることができる。これらの化合物は、誘電特性および光学特性に優れている。
【0037】
さらに、本発明の実施形態で得られるタンタル酸化合物微粒子の粒子径については、1〜200m/gの比表面積を有する範囲とすることが好ましい。比表面積が1〜200m/gである場合は、粒子径が十分に小さくなるため好ましい。ここで、比表面積は、窒素(N)吸着量よりBETの式から求めた値を示すものとする。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の具体的な実施例および比較例について説明する。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜16
溶融物の組成が、MO、TaおよびB基準のモル%表示で、それぞれ表1に示す割合となるように、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化タンタル(Ta)および酸化ホウ素(B)をそれぞれ秤量し、乾式で混合し粉砕して原料混合物を得た。得られた原料混合物を、ロジウムを20質量%含む白金製のノズル付きるつぼに充填し、ケイ化モリブデン製の発熱体を備えた電気炉を用いて1400℃で0.5時間加熱し、完全に溶融させた。
【0040】
次に、ノズルの下端部を電気炉で加熱しながらガラス溶融物を滴下させ、300rpmで回転する直径約15cmの双ローラーを通すことによって、液滴を1×10℃/秒程度の冷却速度で急速冷却し、フレーク状の固形物を得た。得られたフレーク状固形物は透明な非晶質物質であった。フレークを粉砕した後に150μmの篩を通し、フレーク粉砕物を得た。
【0041】
得られたフレーク粉砕物を、表1に示す750℃または800℃の結晶化温度で8時間加熱し、タンタル酸化合物の結晶を析出させた。
【0042】
次いで、結晶化処理物を、70℃の1mol/L酢酸溶液中で4時間振とう撹拌し、可溶性物質を溶脱した。溶脱した液を遠心分離して上澄みを捨てた。この分離操作を5回行った。さらに、70℃の水で5回同様に洗浄した後、乾燥させることによって微粒子を得た。
【0043】
得られた微粒子の鉱物相を、X線回折装置を用いて同定したところ、いずれもMTa、MTa11およびMTa15のうちのいずれか1種の化学式を有する化合物に帰属させることができた。実施例2で得られた微粒子のX線回折パターンを図1に、実施例11で得られた微粒子のX線回折パターンを図2に、それぞれ示す。
【0044】
さらに、得られた微粒子の比表面積を、窒素吸着量からBETの式によって求めた。結果を表1に示す。この比表面積の値から、実施例1〜16ではいずれも微粒子が得られていることがわかる。
【0045】
【表1】

【0046】
比較例
溶融物の組成が、モル%表示でBaOが37.5%、Taが25%、Bが37.5%となるように、炭酸バリウム(BaCO)、酸化タンタル(Ta)および酸化ホウ素(B)をそれぞれ秤量し、乾式で混合・粉砕し、原料混合物を得た。
【0047】
次いで、得られた原料混合物を、実施例1と同様に溶融したが、完全には溶融せず、非晶質物質は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準のモル%表示で、MO(Mは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)を10〜60%、Taを1〜20%、およびBを30〜85%からなる溶融物を得る工程と、
前記溶融物を急速冷却して非晶質物質を得る工程と、
前記非晶質物質からタンタル酸化合物の結晶を析出させる工程と、
前記工程で得られた析出物から前記タンタル酸化合物の結晶を分離し精製する工程
を具備することを特徴とするタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記溶融物を得る工程は、前記タンタル酸化合物を構成する各成分を含む原料混合物を900〜1600℃で加熱する工程を有することを特徴とする請求項1記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記非晶質物質を得る工程は、前記溶融物を急速冷却してフレーク状またはファイバー状の非晶質物質を得る工程を有することを特徴とする請求項1または2記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記タンタル酸化合物の結晶を析出させる工程は、前記非晶質物質を500〜900℃で加熱する工程を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記タンタル酸化合物の結晶を分離し精製する工程は、前記タンタル酸化合物の結晶を酸溶液または水を用いて分離し精製する工程を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記タンタル酸化合物微粒子は、式:MTa、式:MTa11および式:MTa15から選ばれる少なくとも1つの化学式で表される組成を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記タンタル酸化合物微粒子は、1〜200m/gの比表面積を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載のタンタル酸化合物微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−126744(P2011−126744A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287288(P2009−287288)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)