説明

タンポン用アプリケータ

【課題】膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供する。
【解決手段】 タンポン用アプリケータ1は、吸収体4が内部に収容され、かつ一側に吸収体が押し出される押し出し開口8が設けられ他側に把持筒部7が設けられた外筒2と、外筒2内への移動により吸収体4を外方へ押し出す内筒3と、外筒2の把持筒部7の外周面から径方向外側に向けて延出する把持鍔部11を備えており、把持鍔部11には、使用者の指が引っ掛かる指掛かり部11aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポン用アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケータ付きの生理用タンポンが提供されている。タンポン用アプリケータは、外筒と内筒とを備えている。外筒の内部には、引き出し紐を有する吸収体が収納されている。使用者が生理用タンポンを使用する際は、外筒を把持して膣内に外筒を挿入し、外筒を把持した状態で内筒を外筒に向けて押圧する。内筒を外筒に向けて押圧すると、吸収体が外筒から押し出されて、膣内に吸収体が配置される。しかし、生理用タンポンを使用する際に、適切な深さまで外筒を挿入せずに吸収体を押し出すと、膣内の適切な位置に吸収体を配置できないことがあった。
【0003】
特許文献1には、このような問題に鑑みてなされたタンポン用アプリケータが記載されている。タンポン用アプリケータは、外筒の周囲に延出した曲線形状のストッパーを備えている。使用者が生理用タンポンを使用する際は、ストッパーを介して外筒を押圧して、膣内に外筒を挿入する。そして、適切な深さまで外筒を挿入すると、ストッパーが膣口に当接するように構成されている。したがって、使用者は、適切な深さまで外筒を挿入して、膣内の適切な位置に吸収体を配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3217617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のタンポン用アプリケータのストッパーは、その外周面が曲線状の楕円形であるため、挿入する際に指で把持しようとすると、指が滑ってしまうおそれがある。外筒を挿入する際にストッパーを把持する指が滑ってしまうと、適切な挿入角度を維持した状態で外筒を挿入できずに、膣内の適切な位置に吸収体を配置できないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の例示的側面としてのタンポン用アプリケータは、吸収体が内部に収容され、かつ一側に該吸収体が押し出される押し出し開口が設けられ他側に把持筒部が設けられた外筒と、該把持筒部内に挿入され該外筒内への移動により該吸収体を該押し出し開口から外方へ押し出すことが可能な内筒と、を備え、前記外筒の前記把持筒部の外周面から径方向外側に向けて延出する把持鍔部を備えており、前記把持鍔部には、使用者の指が引っ掛かる指掛かり部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者は、把持鍔部の指掛かり部に指を掛けた状態で外筒を挿入するため、膣内の適切な位置や角度で外筒を挿入することができ、吸収体を膣内の適切な位置に容易に吸収体を配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータの斜視図である。
【図2】図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。
【図3】図1に示す把持鍔部の平面図である。
【図4】図1に示すタンポン用アプリケータの使用態様を示す模式断面図である。
【図5】変形例1に係る把持鍔部の平面図である。
【図6】変形例2に係る把持鍔部の平面図である。
【図7】変形例3に係る把持鍔部の平面図である。
【図8】変形例4に係る把持鍔部の平面図である。
【図9】変形例5に係る把持鍔部の平面図である。
【図10】変形例6に係る把持鍔部の平面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るタンポン用アプリケータの把持鍔部を示した図である。(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図12】第2の実施形態に係るタンポン用アプリケータの使用態様を示す模式断面図である。
【図13】変形例7に係る把持鍔部の平面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るタンポン用アプリケータの把持鍔部を示した図である。(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータの全体を示す斜視図、図2は、図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。
【0011】
タンポン用アプリケータ1は、外筒2と内筒3とを有している。外筒2及び内筒3は、内部に中空部を有する筒形状である。外筒2と内筒3の断面形状は、正円形である。外筒2及び内筒3は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、または表面をポリオレフィンフィルムでラミネートした厚紙によって全体が形成されている。なお、本実施の形態に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、正円形であるが、本発明に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、膣内に挿入し易い形状であればよく、例えば、楕円形であってもよい。
【0012】
外筒2の内部には、タンポンとしての吸収体4が収容されている。吸収体4には、取り出し紐4aが連結されている。取り出し紐4aは、吸収体4の端部から内筒3の内部を挿通し、その挿通端部が内筒3から抜き出されている。使用中に取り出し紐4aを引くことにより、吸収体4を体内から引き出すことができる。
【0013】
外筒2の一端には、吸収体4が押し出される押し出し開口8が設けられている。押し出し開口8には、吸収体4が押し出される際に径方向外側に向けて変形する花弁体8aが形成されている。花弁体8aは、常時、押し出し開口8の縁部で閉となっているが、内筒3によって吸収体4が押し出されるときに吸収体4によって押し広げられて開口する。これにより、吸収体4が外筒2から押し出され、吸収体4を体内に挿入することができる。
【0014】
外筒2の他端には、外筒2及び内筒3の移動操作の際に指によって把持される把持筒部7が設けられている。把持筒部7は、押し出し開口8と把持筒部7との間における外筒本体9の径よりも小径である。把持筒部7には内筒3の先端部分が挿入されており、挿入された内筒3の先端面は吸収体4に臨んでいる。外筒本体9の把持筒部7側の端部は、把持筒部7と略等しい径に絞られており、その外端には、突起部5が形成されている。突起部5は、後述する把持鍔部11と当接し、把持鍔部11を外筒本体9側に移動させないように把持鍔部11の移動を規制する。
【0015】
把持筒部7には、把持筒部7よりも径方向外側に向かって延出した把持鍔部11が装着されている。把持鍔部11は、突起部5に当接している。図3は、把持鍔部を示した図である。図3(a)は平面図であり、図3(b)は側面図である。把持鍔部11には、把持筒部7が挿入される穴部11bが形成されている。穴部11bの径は、把持筒部7の外周の径よりも大径又は把持筒部7の外周の径と同じ径であればよい。また、把持鍔部11の穴部11bの内径D1は、突起部5の外径D2よりも小径である。したがって、把持鍔部11は、把持筒部7の周方向及び軸方向に対して移動可能である。また、把持鍔部11は、突起部5によって、突起部5よりも外筒本体側への移動が規制される。
【0016】
本実施形態のタンポン用アプリケータ1は、把持鍔部11の内径D1が9.9mmであり、外筒本体9の外径が13.7mmであり、把持筒部7の外径が9.4mmであり、突起部5の外径が10.4mmである。また、押し出し開口8側の外筒2の端部から把持鍔部までの長さL1(図2参照)は50mmであり、把持鍔部11の先端側の面から把持筒部7側の外筒2の端部までの長さL2(図2参照)は10mmである。なお、把持鍔部11の先端側の面から把持筒部7側の外筒2の端部までの長さL2は、使用時に使用者が指で把持する部分の長さであるため、使用者の持ち易さを考慮して、10mm以上であることが望ましい。
【0017】
把持鍔部11の外形は、平面視にて略長方形状である。把持鍔部11は、把持鍔部の長手方向(図示するZ方向)に延びる一対の長辺Hと、把持鍔部11の幅方向(図示するX方向)に延びる一対の短辺Wと、を有する。一対の短辺Wには、使用者の指が引っ掛かる指掛かり部11aがそれぞれ形成されている。指掛かり部11aは、穴部11b側(中心側)に凹んだ凹部である。一対の短辺において凹部11aが対向するように配置されていることにより、使用者は、凹部11aに指を沿わせて、把持鍔部11を2本の指で摘むことができる。したがって、タンポン用アプリケータを体内に挿入する際に、把持鍔部11を持つ指が滑り難くなる。よって、適切な挿入角度を維持した状態で外筒を挿入することができ、膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置することができる。
【0018】
把持鍔部11の平面視における中心は、把持鍔部11の穴部11bの中心Cと一致している。凹部11aは、把持鍔部11の長辺Hの両端部から内側に延びる所定領域内に形成されている。凹部11aが形成された領域は、把持鍔部11の長手方向(図示するZ方向)における両端部を含む領域であって、かつ幅方向(図示するX方向)において両端部よりも内側の領域である。把持鍔部11の長手方向の長さは、中心Cから凹部11aが形成された領域までの長さHA1及びHB1と、凹部11aが形成された領域の長さをHA2及びHB2と、を合わせた長さである。また、把持鍔部11の幅方向の長さは、凹部11aが形成された領域の長さをWA1と、この領域から幅方向の両端部までの長さWA2及びWB2と、を合わせた長さである。
【0019】
凹部11aの寸法は、使用者の指が引っ掛かる領域が確保されていればよく、指の腹部分を沿わせることができる寸法であってもよいし、例えば使用者の爪が引っ掛けることができる寸法であってもよい。本実施の形態では、凹部11aが形成された領域の長手方向の長さHA2及びHB2は、それぞれ3mmであり、凹部11aが形成された領域の幅方向の長さWA1は、13mmである。なお、凹部11aが形成された領域の幅方向の長さWA1は指の腹部分が挿入可能な長さを有することが望ましい。
【0020】
また、把持鍔部11の長手方向の寸法は、両端部間の長さである最大寸法が26mmであり、中心Cから凹部11aが形成された領域までの長さHA1及びHB1は、それぞれ10mmである。また、把持鍔部11の幅方向の寸法は、両端部間の長さである最大幅寸法が17mmであり、凹部11aが形成された領域から幅方向両端までの長さWA2及びWB2は、それぞれ2mmであり、凹部が形成された領域における直線長さWA3は、10mmである。
【0021】
なお、把持鍔部11の幅方向の長さは、穴部11bの周囲における強度を確保する観点から少なくとも穴部の内径よりも2mmずつ外側に延びた長さであることが望ましく、本実施の形態では17mmである。更に、把持鍔部11の幅方向の長さは、把持鍔部11と膣口100(図4参照)とが当接した際に、体液が指に付着することを防止する観点から、少なくとも15mm以上であることが望ましい。
【0022】
なお、本実施形態では、指掛かり部としての凹部は、2箇所設けられているが、この構成に限られず、少なくとも1箇所設けられていればよい。また、2つの凹部は、必ずしても対向して配置されていなくてもよく、その配置は限定されない。加えて、本実施形態では、凹部を短辺上(長辺の両端部)に設けているが、長辺上(短辺の両端部)に設けてもよい。しかし、凹部を短辺上に設けることにより、長辺上に凹部を設ける場合と比較して、凹部間の距離が長くなるため、使用者がより把持鍔部を把持し易くなる。
【0023】
凹部11a間の長さH1(図3参照)は、把持筒部7の外径よりも長く、かつ外筒本体9の外径D4(図2参照)よりも長い。より詳細には、凹部11aの長さH1は、把持筒部7に形成された突起部5の外径よりも長い。したがって、把持鍔部11の凹部11aを把持することにより、外筒2の外周面等を把持する場合と比較して、持ち易くなり、かつ挿入時に力を加えやすくなる。特に、把持鍔部11の凹部11aは、曲線形状であって、外周面に対して内側に向けて凹んでいるため、凹部11aの凹んでいる部分に指を沿わせることができ、外筒2を挿入する際に指が滑ることを防ぐことができる。
【0024】
また、把持鍔部11は、把持筒部7に対して回転可能であるため、把持鍔部11を把持した状態で外筒2を体内に挿入する際に、把持鍔部11を外筒2に対して回転させて、適切な角度を維持しつつ外筒2を体内に挿入することができる。具体的には、外筒2の先端である押し出し開口8が膣口100に当接した状態と、外筒2が膣内に挿入され、把持鍔部11が膣口100に当接した状態とでは、タンポン用アプリケータ1を持つ手の角度や位置が変化する。このとき、外筒2に対して把持鍔部11を回転させることにより、タンポン用アプリケータに対する手の位置や角度の変化に追従させて、把持鍔部11と外筒2との相対角度を変えることができる。よって、タンポン用アプリケータ1を持つ手の角度や位置が変化した場合であっても、使用者は、タンポン用アプリケータに対して適切に力を加えて、スムーズに挿入することができる。
【0025】
把持鍔部11の外周形状は、曲線形状である。具体的には、凹部11aの形状のみならず、外周面と平面との交わる部分や長辺と短辺とが交わる部分も曲線形状である。なお、曲線形状とは、尖った角部を有しない構成であればよく、直線形状を一部に含んでいてもよい。このように、把持鍔部11の外周形状が曲線形状であることにより、使用者が把持鍔部11を把持した際の感触を和らげることができる。
【0026】
また、本実施の形態における把持鍔部11は、金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成形したものである。把持鍔部11は、射出成形する際に、外筒2と同時に成形されてもよいし、別々で成形され、製造工程中に一体形成工程を通り、嵌合されるように構成してもよい。また、把持鍔部11は、外筒2に対して着脱自在に構成され、使用前に使用者が嵌合するように構成されていてもよい。
【0027】
次いで、このように構成されたタンポン用アプリケータの使用態様について説明する。図4は、タンポン用アプリケータの使用態様を示した模式断面図である。使用者は、吸収体4を使用する際に、まず外筒2を膣101の適切な位置まで挿入する。図4は、外筒2を膣101の適切な位置まで挿入した状態を示している。使用者は、外筒2の把持筒部7よりも大径の把持鍔部11を把持しているため、適切に把持鍔部11を掴んで外筒を挿入することができる。更に、使用者は、指を凹部に指を沿わせて把持鍔部を掴むため、図4に示すように指の爪が長い使用者やつけ爪を装着した使用者であっても、膣口100から離れる方向に爪を向けることができ、爪が膣口等、使用者の身体に当たることを防ぐことができる。
【0028】
例えば、指の爪が長い使用者が、把持鍔部11を有しないタンポン用アプリケータを使用すると、少なくとも2本の指で把持鍔部11よりも小径の把持筒部7を把持するため、爪の先端が把持筒部7の内側に向いてしまうことがある。指の爪が把持筒部7の内側に向いた状態で、外筒2を体内に挿入すると、爪の先端が膣口100やその周囲の使用者の身体に当たってしまうおそれがある。しかし、把持鍔部11を備えることにより、爪が身体に当たることを防ぐことができる。
【0029】
また、外筒2を適切な位置まで挿入した状態において、把持鍔部11の裏側(外筒本体側)の平面は、膣口近傍に配置される。この状態で更に外筒2を挿入しようとしても、使用者の身体に把持鍔部11が当接する。すなわち、把持鍔部11は、ストッパーとしての機能を発揮し、使用者は、適切な位置まで外筒2を挿入できたことを把握することができる。また、外筒2を適切な位置まで挿入した状態において、膣口100と指との間には、把持鍔部11が配置されるため、経血等の体液によって使用者の指が汚れることを防ぐことができる。
【0030】
次いで、使用者は、膣内の所定の位置まで外筒2を挿入した後、内筒3を外筒2側に向けて押圧することにより、外筒2の押し出し開口8から吸収体4が押し出され、吸収体4が膣101内の適切な位置に配置される。このように、把持鍔部11を備えることにより、使用者の指が膣口付近に触れることなく、適切な位置に容易に吸収体4を配置することができる。吸収体4を適切な位置に配置することにより、使用者は、使用時の違和感が少なくなり、タンポンの使用を快適に感じることができる。
【0031】
なお、第1の実施形態に係る把持鍔部11の指掛かり部は、一対の短辺上にそれぞれ設けられ、2箇所に設けられている。しかし、この構成に限られず、把持鍔部の2箇所以上に指掛かり部を設けてもよい。次いで、変形例に係る把持鍔部を説明する。図5は、変形例1に係る把持鍔部12の平面図であり、図6は、変形例2に係る把持鍔部13の平面図である。なお、以下の変形例の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0032】
変形例1に係る把持鍔部12の外形は、平面視にて略円形である。把持鍔部12の外周面には、指掛かり部として、穴部12b側(中心側)に凹んだ凹部12aが形成されている。凹部12aは、3つ形成されており、凹部12a同士の間隔は等しく、3つの凹部12aは、穴部12bの中心Cに対して120度ずれて配置されている。このように把持鍔部12の外周面に沿って3つの凹部12aを設けることにより、3本の指で把持鍔部12を把持することができ、外筒2を挿入する際の安定性を向上させることができる。更に、3つの凹部12aの間隔を等間隔にすることにより、凹部12aを介して均等に力をかけて把持鍔部12を持つことができ、把持した際の安定性を高めることができる。
【0033】
また、図6に示す変形例2に係る把持鍔部13のように、指掛かり部を3つ以上形成してもよい。変形例2に係る把持鍔部13の外形は、平面視にて略正円形である。その外周面には、指掛かり部として、穴部13b側(中心側)に凹んだ凹部13aが形成されている。凹部13aは、5つ形成されており、凹部13a同士の間隔は、等しい。この把持鍔部13によれば、使用者は、5つの凹部13aのうち指を配置しやすい凹部13aを適宜選択して、把持鍔部13を持つことができる。よって、手の大きさや指の長さが異なる複数の使用者においても、適切に把持することが可能となる。
【0034】
なお、変形例1及び変形例2に係る把持鍔部は、凹部同士の間隔が等間隔となるように凹部を配置しているが、この構成に限られない。例えば、変形例1に係る把持鍔部において、3つの凹部のうち、2つの凹部の間隔を短くなるように配置し、この2つの凹部と他の凹部との間隔を長くするように構成してもよい。具体的には、3つの凹部を繋いだ線が二等辺三角形となるように構成してもよい。
【0035】
また、把持鍔部は、平面視において長方形又は正円形以外の外形であってもよい。更に、第1の実施形態においては、凹部を指掛かり部として説明しているが、凹部と凹部の間である凸部を指掛かり部としてもよい。
【0036】
次いで、図7〜図10を参照して変形例3〜変形例6に係る把持鍔部を説明する。図7は、変形例3に係る把持鍔部14の平面図であり、図8は、変形例4に係る把持鍔部15の平面図である。図9は、変形例5に係る把持鍔部16の平面図であり、図10は、変形例6に係る把持鍔部17の平面図である。
【0037】
変形例3に係る把持鍔部14の外形は、平面視にて略楕円形であり、その長手方向の両端部には、指掛かり部として、穴部14b側(中心側)に凹んだ凹部14aがそれぞれ形成されている。2つの凹部14aは、対向して配置されている。このような把持鍔部14によっても、把持鍔部の両端部を2本の指で適切に摘むことができる。
【0038】
変形例4に係る把持鍔部15の外形は、平面視にてハート形である。外周面には、指掛かり部として、図面における上側に突出した凸部15dと、この凸部15dの間において中心側に凹んだ凹部15aと、が形成されている。この把持鍔部15によれば、使用者は、凸部15dや凹部15aを指で掛けつつ把持鍔部15を把持することができる。また、把持鍔部15の外形がハート形であるため、医療用具的なタンポンを把持鍔部15によって可愛らしく装飾することができる。したがって、使用者の生理の憂鬱な気分を和らげることができ、次回の使用意欲を向上させることができる。
【0039】
また、使用者は、外筒2の挿入時にタンポン用アプリケータ1を持っていない手で大陰唇を広げ、この状態で外筒2を膣内に挿入することがある。このとき、使用者は、身体の前側から手を伸ばして大陰唇を広げるため、身体の前側の大陰唇は広がり、身体の後側(肛門側)の大陰唇は広がらない。したがて、大陰唇の開口形状は略三角形になる。一方、ハート形の把持鍔部15は、平面視にて略三角形状であり、大陰唇の開口形状と似たような形状である。このように大陰唇の開口形状と似た形状の把持鍔部を用いることにより、把持鍔部15が大陰唇に引っ掛かり難くなり、タンポン用アプリケータ1をスムーズに体内に挿入することができる。
【0040】
変形例5に係る把持鍔部16の外形及び変形例6に係る把持鍔部17の外形は、平面視にて動物の頭の形状である。把持鍔部16は、熊の頭の形状であり、把持鍔部17は、猫の頭の形状である。熊の耳部分及び猫の耳部分は、顔部分より外側に突出しており、指掛かり部としての凸部16d、17dとなる。また、耳部分である凸部16d、17d間の凹んだ部分は、指掛かり部としての凹部16a、17aとなる。
【0041】
このように把持鍔部の外形を動物の頭の形状とすることによっても、医療用具的なタンポンを把持鍔部によって可愛らしく装飾することができる。したがって、使用者の生理の憂鬱な気分を和らげることができる。
【0042】
また、把持鍔部に色を付すことにより、装飾効果を更に高めることができる。把持鍔部に付す色は、特に限定されないが、例えば、ハート形の把持鍔部には赤やピンク色、熊形の把持鍔部には茶色を付すことができる。更に、把持鍔部を着色することにより、把持鍔部を目立たせることができ、特にトイレ等の薄暗い場所での取り扱いが容易になる。
【0043】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて、図11及び図12を参照して詳細に説明する。なお、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0044】
図11は、第2の実施形態に係るタンポン用アプリケータの把持鍔部18を示した図である。図11(a)は、平面図であり、図11(b)は、(a)に示すX−X断面図である。また、図12は、第2の実施形態に係るタンポン用アプリケータの使用態様を示した図である。
【0045】
実施の形態2に係る把持鍔部18は、実施の形態1に係る把持鍔部と同様に外筒2の把持筒部7が挿入される穴部18bが形成されており、その表面には、指掛かり部が形成されている。実施の形態1に係る把持鍔部11と実施の形態2に係る把持鍔部18は、その外形と指掛かり部の構成が異なる。
【0046】
実施の形態2に係る把持鍔部18の外周形状は、正円形である。指掛かり部は、使用者の爪が引っ掛かる爪掛かり部18eである。爪掛かり部18eは、穴部18bから径方向外側に伸びる平面18fに形成されており、把持鍔部18の厚さ方向において凹むように形成されている。
【0047】
このように構成された把持鍔部18を備えるタンポン用アプリケータを使用する際は、図12に示すように、使用者の指の爪を爪掛かり部18eに挿入して、外筒2を体内に挿入することができる。また、例えば、膣口100に外筒2を当てて挿入し始める際は、指の腹部分で外筒2を把持し、外筒2を最後に押す際に爪掛かり部18eに爪を挿入して、把持鍔部18を介して外筒2を体内に押し込むようにしてもよい。
【0048】
また、爪掛かり部の構成は、第2実施形態に係る把持鍔部18の爪掛かり部18eに限られない。次いで、変形例7に係る把持鍔部について、図13を参照して説明する。図13は、変形例7に係る把持鍔部19の平面図である。
【0049】
把持鍔部19の外周形状は、正円形である。把持鍔部19の指掛かり部は、指の腹部分が引っ掛かる凹部19aと、指の爪部分が引っ掛かる爪掛かり部19eと、を有する。凹部19aは、把持鍔部19の外周面から穴部19b側に凹んだ形状である。
【0050】
爪掛かり部19eは、穴部19bから径方向外側に伸びる平面19fに形成されており、把持鍔部19の厚さ方向において把持鍔部19を貫通した穴部である。また、把持鍔部19は、指の腹部分が接する凹部19aと、指の爪部分が接する爪掛かり部19eと、を有しているため、使用者は、挿入の際にいずれかの指掛かり部を適宜選択して、把持鍔部19を持つことができる。
【0051】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて、図14を参照して詳細に説明する。なお、第3の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。図14は、第3の実施の形態に係るタンポン用アプリケータの把持鍔部を示した図である。
【0052】
実施の形態3に係る把持鍔部20は、指掛かり部としてのゴム部20gを有する。ゴム部20gは、射出成形された熱可塑性樹脂の外周面を覆うように設けられている。この把持鍔部20を有するタンポン用アプリケータによれば、使用者が把持鍔部20を把持した際に、把持鍔部20のゴム部20gが弾性変形し、指で摘んだ際のフィット感を高めることができる。また、摩擦係数の高いゴム部20gを用いることにより、指が滑りにくくなり、適切に把持鍔部20を支持した状態で、タンポン用アプリケータを体内に挿入することが可能となる。
【0053】
なお、第3の実施形態に係る把持鍔部20は、外周面にゴム部が設けられているが、この構成に限られず、把持鍔部20の穴部20bから径方向外側に延びる平面に設けられていてもよいし、把持鍔部の全体の表面に設けられていてもよい。
【0054】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…タンポン用アプリケータ、 2…外筒、 3…内筒、 4…吸収体、 4a…取り出し紐、 5…突起部、 7…把持筒部、 8…押し出し開口、 8a…花弁体、 9…外筒本体、 11、12、13、14、15、16、17、18、19、20…把持鍔部、 11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、19a…凹部(指掛かり部)、 11b、12b、13b、14b、15b、16b、17b…穴部、 15d、16d、17d…凸部、 18e、19e…爪掛かり部(指掛かり部)、 18f、19f…平面、 20g…ゴム部、 100…膣口、 101…膣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体が内部に収容され、かつ一側に該吸収体が押し出される押し出し開口が設けられ他側に把持筒部が設けられた外筒と、該把持筒部内に挿入され該外筒内への移動により該吸収体を該押し出し開口から外方へ押し出すことが可能な内筒と、を備えたタンポン用アプリケータであって、
前記外筒の前記把持筒部の外周面から径方向外側に向けて延出する把持鍔部を備えており、
前記把持鍔部には、使用者の指が引っ掛かる指掛かり部が形成されている、タンポン用アプリケータ。
【請求項2】
前記指掛かり部は、前記把持鍔部の外周面に形成された凹部を有する、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項3】
前記指掛かり部は、前記把持鍔部の外周面に形成された凸部を有する、請求項1又は請求項2に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項4】
前記把持鍔部の外周形状は、曲線形状である、請求項1から請求項3のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項5】
前記把持鍔部には、3つの前記指掛かり部が形成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項6】
前記指掛かり部は、前記把持鍔部の外周面に設けられたゴム部を有する、請求項1から請求項5のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項7】
前記指掛かり部は、前記把持鍔部の表面に形成され、かつ使用者の指の爪が引っ掛かる爪掛かり部を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項8】
前記把持鍔部は、前記外筒に対して回転方向に移動可能である、請求項1から請求項7のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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