説明

タンポン用アプリケータ

【課題】膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供する。
【解決手段】 タンポン用アプリケータ1は、吸収体4が内部に収容され、かつ一側に吸収体が押し出される開口8が設けられ他側に把持部7が設けられた外筒2と、外筒2内への移動により吸収体4を外方へ押し出す内筒3と、補助把持部材10と、を備える。補助把持部材10は、把持部の外周面を覆うカバー部11と、カバー部の外周面から外筒の径方向外側に向けて延出する鍔部12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポン用アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケータ付きの生理用タンポンが提供されている。タンポン用アプリケータは、外筒と内筒とを備えている。外筒の内部には、引き出し紐を有する吸収体が収納されている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、外筒を把持した状態で外筒を膣内に挿入した後、内筒を外筒に向けて押圧する。吸収体は、内筒が外筒に向けて押圧されると、外筒から押し出されて膣内に配置される。しかし、生理用タンポンを使用する際に、外筒を適切な深さまで挿入されていない状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置されない。
【0003】
特許文献1には、このような問題に鑑みてなされたタンポン用アプリケータが記載されている。タンポン用アプリケータは、外筒の周囲に延出した鍔部を備えている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、鍔部を介して外筒を押圧して、膣内に外筒を挿入する。鍔部は、適切な深さまで外筒が挿入されると、膣口に当接する。したがって、使用者は、適切な深さまで外筒を挿入することができる。外筒を適切な深さまで挿入された状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3217617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述のタンポン用アプリケータについて、以下のような問題点を発見した。
【0006】
特許文献1に記載のタンポン用アプリケータの鍔部は、厚み方向に貫通した穴部が形成されており、この穴部に外筒が挿入されている。この鍔部は、特許文献1の図1に示されているように、比較的薄い板状である。したがって、鍔部と外筒の外周面との接触面積が十分に確保できず、鍔部を外筒に対して安定した状態で装着できないおそれがあった。例えば、外筒を体内に挿入する際に鍔部の位置がずれてしまうと、適切な挿入角度を維持した状態で外筒を挿入できず、膣内の適切な位置に吸収体を配置できないおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係るタンポン用アプリケータ(タンポン用アプリケータ1)は、吸収体が内部に収容される外筒(外筒2)と、前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体(吸収体4)を前記外筒外へ押し出す内筒(内筒3)と、を有し、前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口(開口8)が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部(把持部7)が形成されたタンポン用アプリケータであって、前記外筒の前記把持部の外周面を覆うカバー部(カバー部11)と、前記カバー部の外周面(外周面11a)から前記外筒の径方向外側に向けて延出する鍔部(鍔部12)と、を有する補助把持部材(補助把持部材10)を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る補助把持部材は、外筒の把持部を覆うカバー部と鍔部とを備えており、使用者は、カバー部や鍔部を把持してタンポン用アプリケータを使用することができる。
【0010】
鍔部は、外筒の外周面を覆うカバー部の外周面から径方向外側に向けて延出しているため、鍔部のみが把持部に装着される場合と比較して、外筒の把持部に対する位置が安定される。よって、鍔部や把持部と外筒との位置ずれを抑制でき、鍔部や把持部を適切な角度で維持した状態で体内に外筒を挿入し、膣内の適切な位置に吸収体を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータの斜視図である。
【図2】図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【図4】図1に示すタンポン用アプリケータの使用態様を示す模式正面図である。
【図5】第2の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。
【図7】第4の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。
【図8】第5の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータの全体を示す斜視図、図2は、図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。
【0013】
タンポン用アプリケータ1は、外筒2と内筒3とを有している。外筒2及び内筒3は、内部に中空部を有する筒形状である。外筒2と内筒3の断面形状は、正円形である。外筒2及び内筒3は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、または表面をポリオレフィンフィルムでラミネートした厚紙によって全体が形成されている。
【0014】
本実施の形態では、外筒2及び内筒3は、ポリエチレンやポリプロピレンと、顔料1%以上と、滑材1%以上とが混ぜ合わされて射出成型によって、個別に成型されている。なお、本実施の形態に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、正円形であるが、外筒2及び内筒3の断面形状は、膣内に挿入し易い形状であればよく、例えば、楕円形であってもよい。
【0015】
外筒2の内部には、タンポンとしての吸収体4が収容されている。吸収体4には、取り出し紐4aが連結されている。取り出し紐4aは、吸収体4の端部から内筒3の内部を挿通し、その挿通端部が内筒3から抜き出されている。使用中に取り出し紐4aを引くことにより、吸収体4を体内から引き出すことができる。
【0016】
外筒2の一端には、吸収体4が押し出される開口8が設けられている。開口8には、吸収体4が押し出される際に径方向外側に向けて変形する花弁体8aが形成されている。花弁体8aは、90°毎に分割された4つの分割片で形成されている。花弁体8aは、常時、開口8の縁部で閉となっているが、内筒3によって吸収体4が押し出されるときに吸収体4によって押し広げられて開口する。これにより、吸収体4が外筒2から押し出され、吸収体4を体内に挿入することができる。
【0017】
外筒2の他端には、外筒2及び内筒3の移動操作の際に指によって把持される把持部7が設けられている。把持部7の外径D5は、開口8と把持部7との間における外筒本体9の外径D4よりも小径である。把持部7には内筒3の先端部分が挿入されており、挿入された内筒3の先端面は吸収体4に臨んでいる。外筒本体9の把持部7側の端部は、把持部7と略等しい径に絞られており、その外端には、突起部5が形成されている。
【0018】
突起部5は、後述する補助把持部材10と当接し、補助把持部材10を開口8側に移動させないように補助把持部材10の移動を規制する。なお、本実施の形態では、補助把持部材10が外筒2の突起部5と当接して、補助把持部材10の移動が規制されるように構成されているが、補助把持部材10が外筒2の外周面に当接して、補助把持部材10の移動が規制されるように構成されていてもよい。
【0019】
把持部7には、外筒2の把持部の外周に沿って配置された補助把持部材10が装着されている。図3は、補助把持部材10を示した図である。図3(A)は、正面図であり、(B)は、(A)の左側面図である。
【0020】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11と、カバー部11の外周面11aから外筒2の径方向(図1に示すX方向及びZ方向)外側に向けて延出する鍔部12と、が一体化されている。
【0021】
補助把持部材10には、把持部7が挿入される穴部10aが形成されている。穴部10aの内径D1は、突起部5の外径D2よりも小さい。補助把持部材10のうち、タンポン用アプリケータの挿入方向における先端に位置する鍔部12の表面12aは、突起部5に当接している。タンポン用アプリケータの挿入方向は、タンポン用アプリケータの長手方向(図2に示すY方向)に沿って配置されている。
【0022】
鍔部12の表面12aと突起部5とが当接することによって、補助把持部材10の挿入方向の先端側(外筒2の開口8側)への移動が規制される。
【0023】
なお、穴部10aの内径D1は、把持部7の外径よりも大径又は把持部7の外径と同じ径であればよい。補助把持部材10は、把持部7の周方向及び軸方向に対して移動可能である。
【0024】
本実施形態のタンポン用アプリケータ1は、補助把持部材10の内径D1が11.6mmであり、外筒本体9の外径D4が13.4mmであり、把持部7の外径D3が10mmであり、突起部5の外径D2が13.4mmである。カバー部の外径D5が13.2mmである。
【0025】
開口8側の外筒2の端部から補助把持部材10までの長手方向Yにおける長さL1は53.05mmであり、補助把持部材10の長手方向Yにおける長さL2は16mmである。
【0026】
カバー部11は、円筒状である。図3(A)に示す補助把持部材の正面視における鍔部12の形状は、四隅が曲線状の矩形である。鍔部12の四隅は、半径R=7.5mmの円弧形状である。図3(A)に示す鍔部12の幅W1は、16mmであり、鍔部12の高さH1は、32mmである。鍔部12の高さに対する幅の比率は、0.41である。鍔部の高さH1は、少なくともカバー部11の外径D5よりも長く構成されていればよい。
【0027】
把持部7の長手方向Yにおける長さL4は、カバー部11の長手方向における長さL3以下である。本実施の形態におけるカバー部の長さL3は、15.2mmであり、把持部の長さL4は、13.5mmである。なお、カバー部11の長さは、使用者が指で把持できる長さであればよく、具体的には、5mm〜20mm程度が好ましい。また、鍔部12の長手方向Yにおける長さL5(鍔部12の厚み)は、0.8mmである。
【0028】
カバー部11の長さL3を把持部7の長さL4よりも長く構成することにより、補助把持部材10を装着した際に使用者が把持することが可能な面積を大きくすることができる。よって、体内にタンポン用アプリケータを挿入する際に、使用者がしっかりと把持部を持つことができ、安定した状態でタンポン用アプリケータを挿入することができる。
【0029】
補助把持部材10は、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー、紙、その他の材料に構成される。本実施の形態に係る補助把持部材10は、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂によって形成されている。
【0030】
次いで、このように構成されたタンポン用アプリケータの使用態様について説明する。図4は、タンポン用アプリケータの使用態様を示す模式断面図である。使用者は、外筒2の先端を膣口100に当接させた状態で、外筒を膣内101に挿入する方向に補助把持部材10を押圧する。補助把持部材10の鍔部12の表面12aが外筒2の突起部5に当接しているため、補助把持部材10は、外筒2に対する開口側への移動が規制される。よって、使用者が補助把持部材10を膣内101に向けて押すことにより、外筒2が膣内に挿入される。
【0031】
鍔部12は、タンポン用アプリケータ1の膣内101への挿入方向(図4に示すP)における補助把持部材10の先端側に配置されているため、外筒2を適切な位置まで挿入した状態で、鍔部12の表面12aは、膣口近傍に配置される。この状態で更に外筒2を挿入しようとしても、使用者の身体に鍔部12が当接する。すなわち、鍔部12は、ストッパーとしての機能を発揮し、使用者は、適切な位置まで外筒2を挿入できたことを把握することができる。
【0032】
また、外筒2を適切な位置まで挿入した状態において、膣口100と指との間には、鍔部12が配置される。このとき、カバー部11の外径D5よりも鍔部12の幅W1が長いため、補助把持部材10を持つ指と膣口100との間に鍔部12が配置され、経血等の体液によって使用者の指が汚れることを防ぐことができる。
【0033】
次いで、使用者は、膣内101の所定の位置まで外筒2を挿入した後、内筒3を外筒2の開口8側に向けて押圧することにより、外筒2の開口8から吸収体4が押し出され、吸収体4が膣内の適切な位置に配置される。このように、鍔部12を備えることにより、使用者の指が膣口付近に触れることなく、適切な位置に容易に吸収体4を配置することができる。吸収体4を適切な位置に配置することにより、使用者は、使用時の違和感が少なくなり、タンポンの使用を快適に感じることができる。
【0034】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11を備えており、このカバー部11と鍔部12とが一体化しているため、外筒2の把持部7に対する補助把持部材10の角度を一定に維持し易くなる。よって、鍔部12や把持部7を適切な角度で維持した状態で体内に外筒2を挿入し、膣内の適切な位置に吸収体4を配置することができる。
【0035】
また、補助把持部材10は、把持部7に対して回転可能であるため、補助把持部材10を把持した状態で外筒2を体内に挿入する際に、補助把持部材10を外筒2に対して回転させて、適切な角度を維持しつつ外筒2を体内に挿入することができる。
【0036】
具体的には、外筒2の先端である開口8が膣口に当接した状態と、外筒2が膣内に挿入されて鍔部12が膣口100に当接した状態とでは、タンポン用アプリケータ1を持つ手の角度や位置が変化する。このとき、外筒2に対して補助把持部材10を回転させることにより、タンポン用アプリケータ1に対する手の位置や角度の変化に追従させて、鍔部12と外筒2との相対角度を変えることができる。よって、タンポン用アプリケータ1を持つ手の角度や位置が変化した場合であっても、使用者は、タンポン用アプリケータに対して適切に力を加えて、スムーズに挿入することができる。
【0037】
本実施の形態における補助把持部材10は、金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成形したものである。補助把持部材10は、射出成形する際に、外筒2と同時に成形されてもよいし、別々で成形され、製造工程中に一体形成工程を通り、嵌合されるように構成してもよい。また、補助把持部材10は、外筒2に対して着脱自在に構成され、使用前に使用者が嵌合するように構成されていてもよい。
【0038】
補助把持部材10のカバー部11の剛性は、外筒2の把持部7の剛性よりも高く構成されていることが望ましい。例えば、カバー部11の剛性が低いと、使用者が把持した際にカバー部11が変形して外筒2を内側に押圧して外筒2と内筒3との隙間が少なくなり、内筒3をスムーズに押し出すことができないことがある。しかし、補助把持部材10のカバー部11の剛性が外筒2の把持部7の剛性よりも高いことにより、外筒2の把持部7の変形を防ぐことができ、内筒3をスムーズに押出しやすくなる。
【0039】
なお、補助把持部材10のカバー部11の剛性が外筒の把持部の剛性よりも高い構成として、例えば、補助把持部材10のカバー部の素材が、把持部の素材よりも硬い素材とする構成や、補助把持部材10のカバー部11の厚みを把持部の厚みよりも厚くする構成を例示できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次いで、図5に基づいて第2の実施形態に係る補助把持部材40について説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成のみ説明し、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態に係る補助把持部材40は、カバー部41と、鍔部42とを有する。カバー部41の外周面41aには、カバー部の外周面から径方向外側に突出した突出部44が形成されている。
【0042】
カバー部の外周面に突出部44が形成されているため、使用者がカバー部を把持した際に指が突出部44に当たり、指が滑りにくくなる。よって、鍔部や把持部を適切な角度で維持した状態で体内に外筒を挿入し、膣内の適切な位置に吸収体を配置することができる。
【0043】
突出部44の形状は、図5(A)に示すように、筒状のカバー部の周方向に沿って周方向に連続した輪形状であってもよいし、図5(B)に示すように、筒状のカバー部の周方向に沿って、周方向に連続しない円弧形状であってもよいし、図5(C)に示すように、間欠的に配置された点形状であってもよい。
【0044】
突出部44の成型方法は、金型射出、レーザー成型、熱成型その他の方法であってもよい。突出部44の形状は、一文字形、シンメトリー形、ドット形、ひし形、ハート形等を例示することができる。突出部のカバー部の外周面に対する高さは、1mm以上であることが好ましく、図5(A)に示すように、カバー部41の全周に亘って形成することが望ましい。
【0045】
(第3の実施形態)
次いで、図6に基づいて、第3の実施形態に係る補助把持部材50について説明する。図6(A)及び(C)は、第3の実施形態に係る補助把持部材50の正面図であり、図6(B)は、図6(A)のB−B断面の断面図であり、図6(D)は、図6(C)のC−C断面の断面図である。
【0046】
第3の実施形態に係る補助把持部材50は、カバー部51と、鍔部52とを有する。カバー部51の外周面51aには、カバー部の外周面から径方向内側に凹んだ凹み部54が形成されている。
【0047】
カバー部の外周面に凹み部54が形成されているため、使用者がカバー部を把持する際に指を凹み部に沿わせて配置することができ、指が滑りにくくなる。なお、長手方向における凹み部54の長さL6は、指を配置できる長さとすることができ、具体的には、3mm〜5mmが好ましい。
【0048】
凹み部54は、図6(A)及び(B)に示すように、カバー部の外周面に沿って2つ形成されていてもよいし、図6(C)及び(D)に示すように、カバー部の外周面に沿って4つ形成されていてもよい。
【0049】
(第4の実施形態)
次いで、図7に基づいて、第4の実施形態に係る補助把持部材60について説明する。図7(A)及び(B)は、第4の実施形態に係る補助把持部材60の側面図であり、図7(C)は、図7(B)に示す補助把持部材60の使用態様を模式的に示した図である。
【0050】
第4の実施形態に係る補助把持部材60は、カバー部61と、鍔部62とを有する。タンポン用アプリケータの挿入方向におけるカバー部61の末端部61cには、末端部61cから挿入方向における先端部側に向かって窪む窪み部64が形成されている。
【0051】
カバー部の末端部に少なくとも1つ以上の窪み部64が形成されていることにより、カバー部の末端部の位置よりも内側に向かって内筒を押し込むことができる。
【0052】
また、図7(C)は、挿入方向における内筒3の先端が外筒2の内周面に当接した状態を示している。この状態において、内筒3の先端から補助把持部材60の窪み部64までの長さL7は、内筒の長手方向の長さL8よりも短い。
【0053】
内筒3の先端から補助把持部材60の窪み部64までの長さL7が、内筒の長手方向の長さL8よりも短いため、カバー部の面積を広く確保するために、カバー部の長手方向の長さを長く構成した場合であっても、外筒内部に内筒全体を押し込むことができ、内筒によって吸収体を適切に押し出すことができる。
【0054】
(第5の実施形態)
次いで、図8に基づいて、第5の実施形態に係る補助把持部材70について説明する。図8(A)は、第5の実施形態に係る補助把持部材70の側面図であり、図8(B)は、補助把持部材70の使用態様を模式的に示した図である。
【0055】
第5の実施形態に係る補助把持部材70は、カバー部71と、鍔部72とを有する。第1の実施形態に係る補助把持部材10の鍔部12の表面12aは、カバー部11の外周面に対して略垂直に配置されている。これに対して、第5の実施形態の鍔部72の表面72aは、カバー部71の外周面に対して垂直ではなく、斜めに配置されている。
【0056】
また、第1の実施形態の鍔部12は、カバー部11の挿入方向における先端に配置されているが、第5の実施形態の鍔部72は、カバー部71の先端よりも挿入方向における後方に配置されている。外筒2の径方向における外側となる鍔部72の外周縁の一部分72Sは、カバー部71の先端よりも後方に配置されているが、鍔部72の外周縁の他の部分72Tは、カバー部71の先端よりも前方に配置されている。
【0057】
図8(B)に、補助把持部材70を外筒2に装着した状態のタンポンアプリケータ1の使用態様を示す。使用者が立っている状態では、使用者の膣口は、一般的に、膣の軸方向と略垂直に配置される。よって、第1の実施形態のように、外筒2の外周面に対して略垂直に鍔部12が配置されたタンポン用アプリケータを用いて外筒の軸方向を鉛直に配置することにより、鍔部12の表面を膣口に対向させて配置することができる。
【0058】
しかし、使用者が座っている状態では、使用者の膣口は、一般的に、膣の軸方向に対して斜めに配置される。このとき、第1の実施形態のように、外筒の外周面に対して略垂直に鍔部が配置されたタンポン用アプリケータを用いると、外筒2を適切な位置まで挿入した際に、鍔部の表面が膣口に対向して配置されず、鍔部の表面と膣口と隙間が生じすることがある。しかし、第5の実施形態に係るタンポンアプリケータを用いることにより、適切な位置までタンポンアプリケータを挿入した際に、図8(b)に示すように、鍔部72の表面全体が膣口に当接するように構成でき、使用者は、適切な位置まで挿入したことを把握することができる。
【0059】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0060】
例えば、補助把持部材の鍔部は、平面視において矩形以外の外形であってもよく、長方形、三角形等の多角形であってもよいし、ハート形や星形やリンゴ形であってもよいし、楕円形であってもよいし、ティアドロップ型であってもよいし、動物の頭の形状や、蝶等昆虫の形状であってもよい。例えば、鍔部の外形をハート形や動物の頭の形状等にすることにより、医療用具的なタンポンを鍔部によって可愛らしく装飾することができる。よって、使用者の生理の憂鬱な気分を和らげることができ、次回の使用意欲を向上させることができる。
【0061】
また、鍔部に色を付すことにより、装飾効果を更に高めることができる。鍔部に付す色は、特に限定されないが、例えば、ハート形の鍔部には赤やピンク色、熊の頭の形状の鍔部には茶色を付すことができる。更に、鍔部を着色することにより、鍔部を目立たせることができ、特にトイレ等の薄暗い場所での取り扱いが容易になる。
【0062】
また、鍔部の外周形状は、曲線形状が望ましい。なお、曲線形状とは、尖った角部を有しない構成であればよく、直線形状を一部に含んでいてもよい。鍔部の外周形状が曲線形状であることにより、使用者が鍔部を把持した際の感触を和らげることができる。
【0063】
また、補助把持部材の鍔部は、挿入方向におけるカバー部の先端に配置されていなくてもよく、カバー部の先端よりも後方に配置されていてもよい。なお、鍔部がカバー部の先端よりも後方に配置されている構成にあっては、カバー部の先端が外筒の外周面や突起部に当接して、補助把持部材の先端側への移動が規制されるように構成される。
【符号の説明】
【0064】
1…タンポン用アプリケータ、 2…外筒、 2a…外周面、 3…内筒、 4…吸収体、 4a…取り出し紐、 5…突起部、 7…把持部、 7a…外周面、 8…開口、 8a…花弁体、 9…外筒本体、 10、20、30、40、50、60…補助把持部材、 10a、20a、30a、…穴部 11、21,31、41、51、61…カバー部、 11a、21a、31a、41a、51a、61a…外周面、 12、22、32、42、52、62…鍔部、 23、33…第1凹凸部、 24、34…第2凹凸部、 54…凹み部、 64…窪み部、 100…膣口、 101…膣内

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体が内部に収容される外筒と、
前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体を前記外筒外へ押し出す内筒と、を有し、
前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部が形成されたタンポン用アプリケータであって、
前記外筒の前記把持部の外周面を覆うカバー部と、前記カバー部の外周面から前記外筒の径方向外側に向けて延出する鍔部と、を有する補助把持部材を備える、タンポン用アプリケータ。
【請求項2】
前記鍔部は、前記タンポン用アプリケータの膣内への挿入方向における前記補助把持部材の先端側に配置されている、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項3】
前記タンポン用アプリケータの長手方向において、前記カバー部の長さは、前記把持部の長さよりも長い、請求項1又は請求項2に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項4】
前記カバー部の前記外周面には、前記カバー部の外周面から前記径方向外側に突出した突起部が形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項5】
前記カバー部の前記外周面には、前記外周面から径方向内側に凹んだ凹み部が形成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項6】
前記タンポン用アプリケータの膣内への挿入方向における前記カバー部の末端部には、前記末端部から前記挿入方向における先端部側に向かって窪む窪み部が形成されており、
前記挿入方向における前記内筒の先端が前記外筒の内周面に当接した状態で、前記内筒の先端から前記補助把持部材の前記窪み部までの長さは、前記内筒の前記長手方向の長さよりも短い、請求項1から請求項5のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項7】
前記補助把持部材の前記カバー部の剛性は、前記外筒の前記把持部の剛性よりも高い、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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