タンポン
【課題】液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンを提供する。
【解決手段】紐体22と、該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、前記原形吸収体は凹部40又は開口部を有し、前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いている。
【解決手段】紐体22と、該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、前記原形吸収体は凹部40又は開口部を有し、前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンに関する。
【背景技術】
【0002】
紐体と、当該紐体が取り付けられ、経血等の液体を吸収する吸収体と、を有するタンポンは、既によく知られている。そして、かかる吸収体は、平坦形状の原形吸収体が圧縮されて円柱形状を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3725370号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したタンポンにおいては、液体が吸収体全体へ行き渡らず、吸収体が液体吸収機能を適切に発揮しない場合があった。
したがって、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが要請されていた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポンである。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】タンポン10の外観構成を示した模式図である。
【図2】紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30の様子を表した模式図である。
【図3】タンポン10、原形タンポン15間の変遷を示した模式図である。
【図4】長手方向を備える凹部又は開口部を説明するための説明模式図である。
【図5】第二実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図6】第三実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図7】第四実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図8】第五実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図9】第六実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図10】第七実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図11】タンポン10の製造フローを示した図である。
【図12】シンジャイナ試験装置の概略図である。
【図13】コンドームのマーク位置を表した模式図である。
【図14】シンジャイナチャンバーの概略図である。
【図15】第八実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポン。
かかる場合には、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが実現される。
【0012】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、凹部を有し、
該凹部は、エンボスであることが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0013】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の、前記紐体固定部を避けた箇所に、備えられていることが望ましい。
かかる場合には、液体が紐体を伝わって垂れてしまう不都合をより一層適切に抑止することが可能となる。
【0014】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記原形吸収体の前記後端部における前記凹部又は開口部の密度よりも、前記原形吸収体の前端部における前記凹部又は開口部の密度の方が大きいことが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0015】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の前記後端部及び前端部のうちの該前端部のみに備えられていることが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0016】
かかるタンポンであって、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の一側端から他側端に亘って連続して設けられていることが望ましい。
かかる場合には、紐体の長手方向への液体の移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能が、より適切に発揮される。
【0017】
===タンポン10の構成について===
ここでは、タンポン10の構成について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1は、タンポン10の外観構成を示した模式図である。タンポン10は、図1に示すように、吸収体20と紐体22とを有する。
【0018】
吸収体20は、膣腔を閉塞して経血等の液体を吸収するものである。本実施の形態において、吸収体20は、レーヨン繊維等の親水性繊維からなる吸収体本体(綿体)をポリエステルスパンボンド不織布からなるカバー体で覆ったものである。また、吸収体20は、図1に示すように、円柱形状を備えている(吸収体20の前端部の丸みを考慮すれば、弾丸形状を備えているとも言える)。
【0019】
紐体22は、タンポン10を取り出すためのものである。本実施の形態において、紐体22は、綿製の撚糸である。また、紐体22は、図1に示すように、吸収体20に取り付けられており、吸収体20の後端部から延び出ている。そして、紐体22は、膣腔内にある吸収体20を膣腔外に引き出す際にタンポン10の使用者等によって持たれる。
【0020】
次に、図2に着目する。図2は、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30の様子を表した模式図である。図2の上図は、原形吸収体30の平面図を、下図は、上図のA−A断面図を、それぞれ示したものである。後述のタンポン10の製造方法に係る項において説明するが、図1に示した吸収体20は、図2に示した平坦形状の原形吸収体30(すなわち、もとの形の吸収体)が圧縮されて、円柱形状を備えることとなる。
【0021】
図3を用いて説明すると、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30(図3の左図参照)は、折り目の方向が紐体22の長手方向(つまり、吸収体20に縫い付けられている紐体22の長手方向。以下、便宜上、紐体長手方向とも呼ぶ)に沿うように、M字形状に折り畳まれる(図3の中央図参照)。そして、かかる状態で、両側方から圧縮されて(図3の中央部の矢印参照)、円柱形状に変形する(図3の右図参照)。このように、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が圧縮成形されて、紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20、すなわち、タンポン10が得られる(製造される)こととなる。すなわち、原形吸収体30は、吸収体20が圧縮成形される前の吸収体と言うことができる。
【0022】
一方で、図3の右図に示されたタンポン10(紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20)は、当該吸収体20を両手で摘んで両側方(すなわち、図3の中央図の矢印とは逆の方向)へ引っ張ると(伸張させると)、図3の左図に示された紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30となる。すなわち、吸収体20については簡易に原形に復することが可能であり(但し、吸収体20には折り癖が付いているため、手を離すと吸収体20は元の形状に戻る)、タンポン10の製造後にも、図3の右図(又は図1)に示されたタンポン10(紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20)から、図3の左図(又は図2)に示された紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30を再現することができる。したがって、原形吸収体30は、吸収体20が伸張された(すなわち、前記圧縮が解かれた)際の吸収体と言うこともできる。
【0023】
ここで、図2を用いて、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30(以下、便宜上、原形タンポン15とも呼ぶ)について説明する。
【0024】
原形吸収体30は、前述のとおり平坦形状を有している。また、図2に示すとおり、原形吸収体30は、平面視で矢羽根形状を備えている。
【0025】
また、原形吸収体30は、当該原形吸収体30の幅方向における中央部の前端から後端に亘って、紐体22が固定される紐体固定部32を備えており、紐体22が当該紐体固定部32に固定されている。より具体的には、紐体22は、紐体固定部32に固定される被固定部24と、原形吸収体30の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部26と、を備えており、被固定部24が紐体固定部32に固定されている。なお、本実施の形態においては、紐体固定部32が、前記中央部の前端から後端に亘って設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、前記中央部の前端から後端までのうちの一部に設けられていることとしてもよい。
【0026】
さらに、原形吸収体30は、長手方向と幅方向を備え細長形状(細長形状には、長方形状も楕円形状も含まれる)の凹部又は開口部(本実施の形態においては、凹部。開口部の例については、後述する)を多数有している。この凹部は、タンポン10の液体吸収機能を適切に発揮させるためのものである(後に詳述する)。また、本実施の形態において、この凹部は、エンボス40(つまり、エンボス加工により形成される圧縮部)であり、横長の形状を有している。
【0027】
なお、(長手方向を備える)「凹部又は開口部」とは、長手方向を定義できる凹部又は開口部のことであり、例えば、線状、長方形状、楕円状の凹部又は開口部を挙げることができる(線状の凹部又は開口部を、図4の上図に示す)。一方で、長手方向を定義できない円状、正方形状の凹部又は開口部は除外されるが、円状、正方形状の凹又は開口(長手方向を定義できない凹又は開口)が集合したものが、線状、長方形状、楕円状等の長手方向を定義できる形状となっているものは、(長手方向を備える)「凹部又は開口部」の一例である(便宜上、擬似的な長手方向を備える凹部又は開口部と呼ぶ)。擬似的な長手方向を備える凹部又は開口部として、円状の凹又は開口の集合体が線状となっている線状の凹部又は開口部を、図4の下図に示す。なお、図4の下図から明らかなように、円状の凹又は開口の直径rは、隣り合う二つの凹又は開口間の距離dよりも大きくなっている。そしてかかる場合には、直径rが距離dよりも小さい場合と比べて、より望ましい(望ましい理由については、後述する)。
【0028】
また、横長のエンボス40の長手方向(例えば、図2の上図において矢印Lで示される方向。以下、便宜上、エンボス長手方向とも呼ぶ)は、紐体長手方向(図2から明らかなように、この長手方向は、原形吸収体30の前後方向でもある。また、タンポン10の膣腔内への挿入方向でもある)に対し傾いている。特に、本実施の形態においては、当該エンボス長手方向は、紐体長手方向に対し略直交している。換言すれば、エンボス長手方向は、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向(図2参照)に沿っている。
【0029】
また、エンボス40は、均一に(すなわち、原形吸収体30のどの場所においても単位面積あたりのエンボス40の数が同じとなるように)、複数設けられており、また、おもて面のみならず裏面にも備えられている(図2の下図参照)。なお、本実施の形態においては、図2の下図に示すように、おもて面においてエンボス40が設けられている箇所の裏側に位置する裏面の箇所には、必ずエンボス40が設けられている。
【0030】
また、エンボス40は、図2に示すように、原形吸収体30の全面に亘って設けられ、間欠的に配置されている(つまり、原形吸収体の一側端70から他側端72に亘って連続的に設けられているわけではない)。そして、本実施の形態においては、当該間欠的な配置が、千鳥状配置を構成している。しかしながら、エンボス40は、前述した紐体固定部32(及び紐体22)には、設けられていない。すなわち、エンボス40は、原形吸収体30の紐体固定部32を避けた箇所に、備えられている。
【0031】
上述したとおり、本実施の形態に係るタンポン10は、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部の一例としてのエンボス40を有し、エンボス40は長手方向と幅方向を有する細長形状で、エンボス40における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。そして、このことにより、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポン10が実現されることとなる。
【0032】
すなわち、原形吸収体30にエンボス40を有さないタンポン10(比較例に係るタンポン10)においては、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)にあまり拡がることなく、紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部へと移動する場合があった。そして、かかる場合には、液体の横方向への拡がりが乏しいことに起因して、液体が吸収体20全体に行き渡らない状況が生じ、また、液体が横方向へ拡がる代わりに、液体の紐体長手方向後端部への移動が促進される結果、吸収体20の後端部から延び出ている紐体22へ液体が移動し、当該液体が紐体22を伝わって垂れてしまう恐れもあった。そして、このような現象は、結果的に、タンポン10の液体吸収量を少なくすることとなり、したがって、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されないこととなっていた。
【0033】
これに対し、本実施の形態に係るタンポン10においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が設けられ、このエンボス40の長手方向が紐体長手方向に対して傾いているため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いたエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0034】
なお、本実施の形態に係るタンポン10の液体吸収機能が比較例に係るタンポン10の液体吸収機能よりも優れている点は、例えば、シンジャイナ法によって双方のタンポン10の吸収量を求めて双方の当該吸収量を比較することにより検証できる(本実施の形態においても、このようにして検証している)。
【0035】
なお、社団法人日本衛生材料工業連合会が定めた生理用タンポン自主基準においては、タンポン10の吸収量が規定の吸収量範囲内に入らなければならないことが定められているが(当該生理用タンポン自主基準の「5.物理的要求事項」の「5.3 吸収量」参照)、シンジャイナ法とは、タンポン10の吸収量を得るための基準となる方法として、当該「5.3 吸収量」の項にて挙げられている測定方法(当該生理用タンポン自主基準の附属書3「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」参照)である。当該附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」の内容については、後に示す。
【0036】
また、上記においては、長手方向を備える凹部又は開口部として、擬似的な凹部又は開口部と擬似的でない凹部又は開口部とが存在することを説明したが、双方を比較した場合には、後者は、前者と比べて、凹又は開口間の隙間がないため、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。また、前者の場合に、円状の凹又は開口の直径が隣り合う二つの凹又は開口間の距離よりも大きい場合の方が、当該直径が当該距離よりも小さい場合と比べて、凹又は開口間の隙間がより小さくなるため、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。
【0037】
また、本実施の形態に係るタンポン10においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の、紐体固定部32を避けた箇所に、備えられていることとした。
【0038】
そのため、エンボス40により移動を促された液体の移動先が紐体22(紐体固定部32)となることを適切に回避することができる。したがって、液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合をより一層適切に抑止することが可能となる。
【0039】
また、紐体22にエンボス40が備えられることにより紐体22が切れ易くなる不都合の発生(特に、タンポン取り出しのために使用者が紐体22を引っ張る際に当該不都合が発生し易い)を抑止することが可能となる。
【0040】
===タンポン10(原形タンポン15)のバリエーションについて===
上記において、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いているタンポン10(液体吸収機能が適切に発揮されるタンポン10)として、図2に一例(第一実施形態とする)を示したが、これに限定されるものではない。
【0041】
以下において、かかるタンポン10の他の実施形態(第二乃至第七実施形態)について説明する。
【0042】
上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向に対して傾いている例として、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿っている(紐体長手方向に対し略直交している)実施形態を挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、図5や図6に示す実施形態であってもよい。図5及び図6は、第二実施形態及び第三実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0043】
すなわち、図5及び図6に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向に対して傾いていれば、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿っていなくてもよい(紐体長手方向に対し略直交していなくてもよい)。つまり、図5に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向と、紐体長手方向との成す角が、略45度であってもよい。また、図6に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が曲線となっており、このことにより、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向と、紐体長手方向との成す角が、場所によって変わる(直交する場所もあるし、45度となる場所もある)形態であってもよい。
【0044】
このような第二及び第三実施形態においても、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
ただし、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で、第一実施形態の方がより望ましい。
【0045】
また、上記においては、凹部又は開口部の例として、凹部(エンボス40)を挙げて説明した。これに対し、図7は、第四実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図であり、凹部(エンボス40)の代わりに開口部(本実施の形態においては、カッター等により形成される切り込み50)が設けられている実施形態を示している。
【0046】
このような第四実施形態においても、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた開口部の一例としての切り込み50が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0047】
また、凹部(エンボス40)と開口部(切り込み50)とを比較した場合には、前者は、エンボス40は圧縮部であるため液体を吸い込み易く、したがって、液体がより一層適切に横方向に拡がり液体吸収機能がより一層適切に発揮される点で優位性を有する。
【0048】
一方で、後者は、硬くなった圧縮部であるエンボスが存在しないので、原形吸収体30を圧縮して円柱形状を備える吸収体20を得る際に、当該原形吸収体30の圧縮がより適切に行われる点で優位性を有する。
【0049】
また、硬くなった(剛性の高い)圧縮部であるエンボスが存在すると、当該エンボスが液体を吸い込んだ際に、その剛性の高さに起因して、円柱形状を備える吸収体20が平板形状に戻り易い。そして、かかる事項が生じると、タンポン10を取り出しにくくなる恐れがある。後者にはこのよう恐れがない点でも、後者は優位性を有する。
【0050】
また、上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、均一に(すなわち、原形吸収体30のどの場所においても単位面積あたりの凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の数が同じとなるように)、複数設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8や図9に示す実施形態であってもよい。図8及び図9は、第五実施形態及び第六実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0051】
第五実施形態及び第六実施形態においても、第一実施形態と同様、タンポン10が、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。
【0052】
そのため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0053】
しかしながら、第五実施形態においては、第一実施形態とは異なり、原形吸収体30の前端部60における単位面積あたりの凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の数が、図8に示すように、原形吸収体30の後端部62における当該数よりも多くなっている。換言すれば、原形吸収体30の後端部62における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度よりも、原形吸収体30の前端部60における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度の方が大きくなっている。
【0054】
そのため、かかる第五実施形態は以下の優位性を有する。すなわち、当然のことながら、液体(経血)は、タンポン10(吸収体20)の全体において均一に滲みこむのではなく、タンポン10(吸収体20)の前端部において顕著に(集中的に)滲みこむ傾向にある。したがって、最も液体が集中し易い前端部における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度の方をより大きくすることとすれば、液体を横方向へ移動させる凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の機能が、前端部において顕著に滲みこんだ多くの液体に対して(例え液体の量が多くても)適切に発揮される。また、前端部よりも後側で滲みこんだ液体が、当該前端部の密度がより大きいことに起因して、当該前端部に吸い上がる現象が生じ得る。そのため、当該後側で滲みこんだ液体にもエンボス40の前記機能が前端部において適切に働くことなる。以上のことから、タンポン10の液体吸収機能がより一層適切に発揮されることとなる。
【0055】
また、第六実施形態は、第五実施形態の変形例であり、当該実施形態も以下の点で第一実施形態とは異なっている。すなわち、第六実施形態においては、図9に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の後端部62及び前端部60のうちの当該前端部60のみに備えられている。
【0056】
そのため、かかる第六実施形態は、第五実施形態と同様、以下の優位性を有する。すなわち、最も液体が集中し易い前端部に凹部又は開口部の一例としてのエンボス40を集中させることとすれば、液体を横方向へ移動させる凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の機能が、前端部において顕著に滲みこんだ多くの液体に対して(例え液体の量が多くても)適切に発揮される。また、前端部よりも後側で滲みこんだ液体が、当該前端部にエンボス40が集中して存在していることに起因して、当該前端部に吸い上がる現象が生じ得る。そのため、当該後側で滲みこんだ液体にもエンボス40の前記機能が前端部において適切に働くことなる。以上のことから、タンポン10の液体吸収機能がより一層適切に発揮されることとなる。
【0057】
なお、第五実施形態においては、図8に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度が、後端部62から前端部60へ行くにつれて徐々に大きくなっている。また、第六実施形態においては、図9に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が原形吸収体30の前半分64のみに備えられており、後半分66には備えられていない。
【0058】
また、上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、間欠的に配置されていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示す実施形態であってもよい。図10は、第七実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0059】
第七実施形態においても、第一実施形態と同様、タンポン10が、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。
【0060】
そのため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0061】
しかしながら、第七実施形態においては、第一実施形態とは異なり、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40は、原形吸収体30の一側端70から他側端72に亘って連続して設けられている。
【0062】
第七実施形態(連続的なエンボス40)と第一実施形態(間欠的なエンボス40)とを比較した場合には、前者は、後者と比べて、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。
【0063】
一方で、後者は、硬くなった圧縮部であるエンボスが連続的に存在しないので、前者と比べて、原形吸収体30を圧縮して円柱形状を備える吸収体20を得る際に当該原形吸収体30の圧縮がより適切に行われる点で優位性を有する。
【0064】
なお、第七実施形態においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、その長手方向が紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿った(紐体長手方向に対し略直交した)状態で、前記一側端70から前記他側端72に亘って連続して設けられている。
【0065】
一方で、既述の第三実施形態においては、図6に示したとおり、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が曲線となっており、当該第三実施形態は、この点で第七実施形態とは異なるものの、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の一側端70から他側端72に亘って連続して設けられている(図6参照)点では、第七実施形態と共通している。
そのため、当該第三実施形態においても、前述した第七実施形態に係る効果が奏されることとなる。
【0066】
なお、第七実施形態及び第三実施形態においては、エンボス40が前記一側端70から前記他側端72に亘って連続して設けられている関係上、紐体22(紐体固定部32)にもエンボス40が形成されている。これらの例が示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の、紐体固定部32を避けた箇所に、備えられていること(つまり、第一実施形態のような形態)に、限定されるものではない。
【0067】
===タンポン10の製造方法について===
次に、上述したタンポン10を製造する製造方法について、図3及び図11を用いて説明する。図11は、タンポン10の製造フローを示した図である。
【0068】
図11の製造フローは、吸収体材料形成ステップ(ステップS1)から始まる。当該ステップにおいては、先ず、前記吸収体本体(綿体)を前記カバー体で覆う(前記カバー体で巻く)。その後、カバー体で覆われた吸収体本体(綿体)を、所定の形状(例えば、前述した矢羽根形状)及び大きさに裁断する。そして、このことにより、吸収体材料(すなわち、凹部又は開口部が形成される前の原形吸収体30)が形成される。
【0069】
次に、紐体縫い付けステップ(ステップS3)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、吸収体材料の所定箇所(例えば、吸収体材料の幅方向における中央部の前端から後端に亘って備えられた紐体固定部)に、紐体22を縫い付ける。
【0070】
次に、凹部又は開口部形成ステップ(ステップS5)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、紐体22が縫い付けられた吸収体材料に、凹部又は開口部の、長手方向が紐体22の長手方向に対し傾くように、凹部又は開口部を形成する。凹部又は開口部がエンボス40であれば、エンボス加工を行うことにより圧縮部であるエンボス40を形成し、凹部又は開口部が切り込み50であれば、カッター等により切り込み50を形成する。そして、凹部又は開口部形成ステップが終了すると、図2、図3の左図等に示した紐体22が取り付けられた原形吸収体30、すなわち、原形タンポン15が形成されることとなる。
【0071】
次に、圧縮成形ステップ(ステップS7)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、原形吸収体30(図3の左図参照)を、折り目の方向が紐体長手方向に沿うように、M字形状に(つまり、紐体長手方向に沿った折り目が3つできるように)折り畳む(図3の中央図参照)。そして、かかる状態で、原形吸収体30を両側方から圧縮して(図3の中央部の矢印参照)円柱形状に変形させる(図3の右図参照)。このように、紐体22が取り付けられた原形吸収体30(原形タンポン15)を圧縮成形することにより、紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20、すなわち、タンポン10を得る。
【0072】
次に、形状固定ステップ(ステップS9)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、圧縮成形ステップにおいて原形タンポン15を圧縮成形することにより得られたタンポン10を、加熱しながら圧縮する。そして、この処理により、タンポン10の形状、すなわち、吸収体20の円柱状の形状、が固定され、最終的にタンポン10を得ることとなる。なお、加熱温度は、例えば135度である。
【0073】
なお、上記においては、凹部又は開口部形成ステップを紐体縫い付けステップに引き続いて行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、凹部又は開口部の形成を、吸収体本体(綿体)をカバー体で覆う工程とカバー体で覆われた吸収体本体(綿体)を裁断する工程の間に行ってもよいし、吸収体本体(綿体)をカバー体で覆う工程の前に行ってもよい。
【0074】
===シンジャイナ法による吸収量の測定方法===
ここでは、生理用タンポン自主基準の附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」について、以下に示す。
【0075】
1.装置
図12に示すシンジャイナ装置を組立てて試験を行う。
(a)シンジャイナチャンバー(図14参照)。
(b)注入ポンプ、50±(プラス・マイナス)2 mL/時を供給するように設定。
(c)外部循環付恒温槽、27±(プラス・マイナス)1°(度)Cに設定。
(d)真直で潤滑剤のついていないコンドーム。
【0076】
2.コンドームの取り付けおよび交換
(1)開封してコンドームを伸ばす。
(2)開口部から20mmと160 mmのところに線で印をつける(図13参照)。
(3)コンドームをシンジャイナチャンバー内に挿入し、棒を使って160 mmの線(下線)がチャンバーの小さい方の開口端にくるようにする(図14参照)。
(4)コンドームの尖端をカットし、カットした端をチャンバーの小さい方の開口部から引っ張り出し、160 mmの線がチャンバーの開口端上にくるように調節し、コンドームの端を折り返して輪ゴムでチャンバーに固定する。
(5)チャンバーの大きい方の開口部からコンドームを引っ張り、20mmの線(上線)がチャンバーの開口端上にくるように、コンドームの上端を折り返して輪ゴムで固定する(図14参照)。
(6)(a)漏れた場合、(b)試験10回ごと、または、(c)1日ごとのいずれかに該当するときはコンドームを交換する。
【0077】
3.シンジャイナ液の調製
処方および調製は以下の通りである。
(a)呈色試薬
酸性フクシン、C.I. No. 42685、赤色102号又は赤色40号
(b)塩化ナトリウム溶液
10gの塩化ナトリウム(分析用試薬等級)を1Lの精製水に溶解する。
(c)調製
0.5gの呈色試薬を1Lの塩化ナトリウム溶液に溶解する。室温で保管および使用する。微生物による汚染を避けるため、定期的に交換する。
【0078】
4.検体
タンポンを包装から出し、アプリケーターがあれば外し、試験に用いる。タンポンは試験直前に包装から出す。試験ごとの検体数及びサンプリング手順は、製造管理基準に基づいて定める。
【0079】
5.手順
(1)試験するタンポン(取り出し用コードを含む)の質量を0.01g の位まで測定し記録する。
(2)空のシンジャイナチャンバーのコンドーム内に、タンポンの中心がチャンバーの中心と一致し、取り出し用コードがチャンバーの下部に垂れ下がるようにタンポンを取り付ける(図12参照)。
(3)注入針を中隔キャップを通して挿入し、注入針がタンポンの先端に接触するようにする。
(4)チャンバーの外側部を水で満たし、水が上部から恒温槽へ滴り落ちるように流れを調節する。水が通気口より上がらないようにする。
(5)タンポンの位置を調べ、必要であれば排水し、タンポンが中心にくるように調整しなおし、(3)および(4)の手順を繰り返す。
(6)シンジャイナ液をチャンバーにポンプで送り込む。
(7)タンポンがシンジャイナ液で完全に飽和し、最初の一滴が取り出し用コードを伝って試験装置から滴り落ちたとき、液の注入を停止して試験を終了する。
注:タンポンが飽和する前にコンドームの折り目に液が認められた時は試験を中止する。
(8)チャンバーから水を排水し、タンポンを取り外し、直ちに0.01g の単位まで質量を測定し記録する。
(9)タンポンの質量を測定した後、次の試験のために、コンドーム内に残った液を実験用ワイプ等を用いて、丁寧に除去する。
注:試験を平行して行うために試験装置が2つ以上のチャンバーで構成されている場合、同一の吸収力を有するタンポンを試験する。
【0080】
6.計算および結果の記録
(a)各タンポンの吸収量は以下のように計算し、結果は小数点第1 位まで記録する。
タンポンの吸収量(g)=飽和したタンポンの質量(g)−乾いたタンポンの質量(g)
(b)検体すべての平均値を計算し記録する。
【0081】
7.結果の判定
同一生産ロットから採取し、試験した規定数量の検体の90%以上が規定の吸収量の範囲であるとき、「適合」と判断する。
【0082】
なお、上記において、生理用タンポン自主基準の附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」を示したが、本実施の形態においては、タンポンの適合性を判断するわけではないので、「7.結果の判定」は行われない。
【0083】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るタンポン等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0084】
また、上記実施の形態においては、タンポンとしてアプリケーターの無いタンポン10を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、アプリケーター付きのタンポンであってもよい。
【0085】
また、上記実施の形態においては、原形吸収体30は、図2に示したとおり、矢羽根形状を備えていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、矩形形状を備えていてもよい。なお、図15は、第八実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0086】
また、上記実施の形態においては、原形吸収体30が、M字形状に折り畳まれることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、S字形状やV字形状に折り畳まれることとしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 タンポン、15 原形タンポン、
20 吸収体、22 紐体、24 被固定部、26 把持部、
30 原形吸収体、32 紐体固定部、
40 エンボス、50 切り込み、
60 前端部、62 後端部、
64 前半分、66 後半分、
70 一側端、72 他側端、
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンに関する。
【背景技術】
【0002】
紐体と、当該紐体が取り付けられ、経血等の液体を吸収する吸収体と、を有するタンポンは、既によく知られている。そして、かかる吸収体は、平坦形状の原形吸収体が圧縮されて円柱形状を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3725370号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したタンポンにおいては、液体が吸収体全体へ行き渡らず、吸収体が液体吸収機能を適切に発揮しない場合があった。
したがって、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが要請されていた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポンである。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】タンポン10の外観構成を示した模式図である。
【図2】紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30の様子を表した模式図である。
【図3】タンポン10、原形タンポン15間の変遷を示した模式図である。
【図4】長手方向を備える凹部又は開口部を説明するための説明模式図である。
【図5】第二実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図6】第三実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図7】第四実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図8】第五実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図9】第六実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図10】第七実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【図11】タンポン10の製造フローを示した図である。
【図12】シンジャイナ試験装置の概略図である。
【図13】コンドームのマーク位置を表した模式図である。
【図14】シンジャイナチャンバーの概略図である。
【図15】第八実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポン。
かかる場合には、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポンが実現される。
【0012】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、凹部を有し、
該凹部は、エンボスであることが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0013】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の、前記紐体固定部を避けた箇所に、備えられていることが望ましい。
かかる場合には、液体が紐体を伝わって垂れてしまう不都合をより一層適切に抑止することが可能となる。
【0014】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記原形吸収体の前記後端部における前記凹部又は開口部の密度よりも、前記原形吸収体の前端部における前記凹部又は開口部の密度の方が大きいことが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0015】
かかるタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の前記後端部及び前端部のうちの該前端部のみに備えられていることが望ましい。
かかる場合には、液体吸収機能がより一層適切に発揮される。
【0016】
かかるタンポンであって、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の一側端から他側端に亘って連続して設けられていることが望ましい。
かかる場合には、紐体の長手方向への液体の移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能が、より適切に発揮される。
【0017】
===タンポン10の構成について===
ここでは、タンポン10の構成について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1は、タンポン10の外観構成を示した模式図である。タンポン10は、図1に示すように、吸収体20と紐体22とを有する。
【0018】
吸収体20は、膣腔を閉塞して経血等の液体を吸収するものである。本実施の形態において、吸収体20は、レーヨン繊維等の親水性繊維からなる吸収体本体(綿体)をポリエステルスパンボンド不織布からなるカバー体で覆ったものである。また、吸収体20は、図1に示すように、円柱形状を備えている(吸収体20の前端部の丸みを考慮すれば、弾丸形状を備えているとも言える)。
【0019】
紐体22は、タンポン10を取り出すためのものである。本実施の形態において、紐体22は、綿製の撚糸である。また、紐体22は、図1に示すように、吸収体20に取り付けられており、吸収体20の後端部から延び出ている。そして、紐体22は、膣腔内にある吸収体20を膣腔外に引き出す際にタンポン10の使用者等によって持たれる。
【0020】
次に、図2に着目する。図2は、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30の様子を表した模式図である。図2の上図は、原形吸収体30の平面図を、下図は、上図のA−A断面図を、それぞれ示したものである。後述のタンポン10の製造方法に係る項において説明するが、図1に示した吸収体20は、図2に示した平坦形状の原形吸収体30(すなわち、もとの形の吸収体)が圧縮されて、円柱形状を備えることとなる。
【0021】
図3を用いて説明すると、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30(図3の左図参照)は、折り目の方向が紐体22の長手方向(つまり、吸収体20に縫い付けられている紐体22の長手方向。以下、便宜上、紐体長手方向とも呼ぶ)に沿うように、M字形状に折り畳まれる(図3の中央図参照)。そして、かかる状態で、両側方から圧縮されて(図3の中央部の矢印参照)、円柱形状に変形する(図3の右図参照)。このように、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が圧縮成形されて、紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20、すなわち、タンポン10が得られる(製造される)こととなる。すなわち、原形吸収体30は、吸収体20が圧縮成形される前の吸収体と言うことができる。
【0022】
一方で、図3の右図に示されたタンポン10(紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20)は、当該吸収体20を両手で摘んで両側方(すなわち、図3の中央図の矢印とは逆の方向)へ引っ張ると(伸張させると)、図3の左図に示された紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30となる。すなわち、吸収体20については簡易に原形に復することが可能であり(但し、吸収体20には折り癖が付いているため、手を離すと吸収体20は元の形状に戻る)、タンポン10の製造後にも、図3の右図(又は図1)に示されたタンポン10(紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20)から、図3の左図(又は図2)に示された紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30を再現することができる。したがって、原形吸収体30は、吸収体20が伸張された(すなわち、前記圧縮が解かれた)際の吸収体と言うこともできる。
【0023】
ここで、図2を用いて、紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30(以下、便宜上、原形タンポン15とも呼ぶ)について説明する。
【0024】
原形吸収体30は、前述のとおり平坦形状を有している。また、図2に示すとおり、原形吸収体30は、平面視で矢羽根形状を備えている。
【0025】
また、原形吸収体30は、当該原形吸収体30の幅方向における中央部の前端から後端に亘って、紐体22が固定される紐体固定部32を備えており、紐体22が当該紐体固定部32に固定されている。より具体的には、紐体22は、紐体固定部32に固定される被固定部24と、原形吸収体30の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部26と、を備えており、被固定部24が紐体固定部32に固定されている。なお、本実施の形態においては、紐体固定部32が、前記中央部の前端から後端に亘って設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、前記中央部の前端から後端までのうちの一部に設けられていることとしてもよい。
【0026】
さらに、原形吸収体30は、長手方向と幅方向を備え細長形状(細長形状には、長方形状も楕円形状も含まれる)の凹部又は開口部(本実施の形態においては、凹部。開口部の例については、後述する)を多数有している。この凹部は、タンポン10の液体吸収機能を適切に発揮させるためのものである(後に詳述する)。また、本実施の形態において、この凹部は、エンボス40(つまり、エンボス加工により形成される圧縮部)であり、横長の形状を有している。
【0027】
なお、(長手方向を備える)「凹部又は開口部」とは、長手方向を定義できる凹部又は開口部のことであり、例えば、線状、長方形状、楕円状の凹部又は開口部を挙げることができる(線状の凹部又は開口部を、図4の上図に示す)。一方で、長手方向を定義できない円状、正方形状の凹部又は開口部は除外されるが、円状、正方形状の凹又は開口(長手方向を定義できない凹又は開口)が集合したものが、線状、長方形状、楕円状等の長手方向を定義できる形状となっているものは、(長手方向を備える)「凹部又は開口部」の一例である(便宜上、擬似的な長手方向を備える凹部又は開口部と呼ぶ)。擬似的な長手方向を備える凹部又は開口部として、円状の凹又は開口の集合体が線状となっている線状の凹部又は開口部を、図4の下図に示す。なお、図4の下図から明らかなように、円状の凹又は開口の直径rは、隣り合う二つの凹又は開口間の距離dよりも大きくなっている。そしてかかる場合には、直径rが距離dよりも小さい場合と比べて、より望ましい(望ましい理由については、後述する)。
【0028】
また、横長のエンボス40の長手方向(例えば、図2の上図において矢印Lで示される方向。以下、便宜上、エンボス長手方向とも呼ぶ)は、紐体長手方向(図2から明らかなように、この長手方向は、原形吸収体30の前後方向でもある。また、タンポン10の膣腔内への挿入方向でもある)に対し傾いている。特に、本実施の形態においては、当該エンボス長手方向は、紐体長手方向に対し略直交している。換言すれば、エンボス長手方向は、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向(図2参照)に沿っている。
【0029】
また、エンボス40は、均一に(すなわち、原形吸収体30のどの場所においても単位面積あたりのエンボス40の数が同じとなるように)、複数設けられており、また、おもて面のみならず裏面にも備えられている(図2の下図参照)。なお、本実施の形態においては、図2の下図に示すように、おもて面においてエンボス40が設けられている箇所の裏側に位置する裏面の箇所には、必ずエンボス40が設けられている。
【0030】
また、エンボス40は、図2に示すように、原形吸収体30の全面に亘って設けられ、間欠的に配置されている(つまり、原形吸収体の一側端70から他側端72に亘って連続的に設けられているわけではない)。そして、本実施の形態においては、当該間欠的な配置が、千鳥状配置を構成している。しかしながら、エンボス40は、前述した紐体固定部32(及び紐体22)には、設けられていない。すなわち、エンボス40は、原形吸収体30の紐体固定部32を避けた箇所に、備えられている。
【0031】
上述したとおり、本実施の形態に係るタンポン10は、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部の一例としてのエンボス40を有し、エンボス40は長手方向と幅方向を有する細長形状で、エンボス40における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。そして、このことにより、液体吸収機能が適切に発揮されるタンポン10が実現されることとなる。
【0032】
すなわち、原形吸収体30にエンボス40を有さないタンポン10(比較例に係るタンポン10)においては、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)にあまり拡がることなく、紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部へと移動する場合があった。そして、かかる場合には、液体の横方向への拡がりが乏しいことに起因して、液体が吸収体20全体に行き渡らない状況が生じ、また、液体が横方向へ拡がる代わりに、液体の紐体長手方向後端部への移動が促進される結果、吸収体20の後端部から延び出ている紐体22へ液体が移動し、当該液体が紐体22を伝わって垂れてしまう恐れもあった。そして、このような現象は、結果的に、タンポン10の液体吸収量を少なくすることとなり、したがって、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されないこととなっていた。
【0033】
これに対し、本実施の形態に係るタンポン10においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が設けられ、このエンボス40の長手方向が紐体長手方向に対して傾いているため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いたエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0034】
なお、本実施の形態に係るタンポン10の液体吸収機能が比較例に係るタンポン10の液体吸収機能よりも優れている点は、例えば、シンジャイナ法によって双方のタンポン10の吸収量を求めて双方の当該吸収量を比較することにより検証できる(本実施の形態においても、このようにして検証している)。
【0035】
なお、社団法人日本衛生材料工業連合会が定めた生理用タンポン自主基準においては、タンポン10の吸収量が規定の吸収量範囲内に入らなければならないことが定められているが(当該生理用タンポン自主基準の「5.物理的要求事項」の「5.3 吸収量」参照)、シンジャイナ法とは、タンポン10の吸収量を得るための基準となる方法として、当該「5.3 吸収量」の項にて挙げられている測定方法(当該生理用タンポン自主基準の附属書3「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」参照)である。当該附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」の内容については、後に示す。
【0036】
また、上記においては、長手方向を備える凹部又は開口部として、擬似的な凹部又は開口部と擬似的でない凹部又は開口部とが存在することを説明したが、双方を比較した場合には、後者は、前者と比べて、凹又は開口間の隙間がないため、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。また、前者の場合に、円状の凹又は開口の直径が隣り合う二つの凹又は開口間の距離よりも大きい場合の方が、当該直径が当該距離よりも小さい場合と比べて、凹又は開口間の隙間がより小さくなるため、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。
【0037】
また、本実施の形態に係るタンポン10においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の、紐体固定部32を避けた箇所に、備えられていることとした。
【0038】
そのため、エンボス40により移動を促された液体の移動先が紐体22(紐体固定部32)となることを適切に回避することができる。したがって、液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合をより一層適切に抑止することが可能となる。
【0039】
また、紐体22にエンボス40が備えられることにより紐体22が切れ易くなる不都合の発生(特に、タンポン取り出しのために使用者が紐体22を引っ張る際に当該不都合が発生し易い)を抑止することが可能となる。
【0040】
===タンポン10(原形タンポン15)のバリエーションについて===
上記において、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いているタンポン10(液体吸収機能が適切に発揮されるタンポン10)として、図2に一例(第一実施形態とする)を示したが、これに限定されるものではない。
【0041】
以下において、かかるタンポン10の他の実施形態(第二乃至第七実施形態)について説明する。
【0042】
上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向に対して傾いている例として、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿っている(紐体長手方向に対し略直交している)実施形態を挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、図5や図6に示す実施形態であってもよい。図5及び図6は、第二実施形態及び第三実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0043】
すなわち、図5及び図6に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向に対して傾いていれば、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向が、紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿っていなくてもよい(紐体長手方向に対し略直交していなくてもよい)。つまり、図5に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向と、紐体長手方向との成す角が、略45度であってもよい。また、図6に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が曲線となっており、このことにより、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40における長手方向と、紐体長手方向との成す角が、場所によって変わる(直交する場所もあるし、45度となる場所もある)形態であってもよい。
【0044】
このような第二及び第三実施形態においても、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
ただし、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で、第一実施形態の方がより望ましい。
【0045】
また、上記においては、凹部又は開口部の例として、凹部(エンボス40)を挙げて説明した。これに対し、図7は、第四実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図であり、凹部(エンボス40)の代わりに開口部(本実施の形態においては、カッター等により形成される切り込み50)が設けられている実施形態を示している。
【0046】
このような第四実施形態においても、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた開口部の一例としての切り込み50が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0047】
また、凹部(エンボス40)と開口部(切り込み50)とを比較した場合には、前者は、エンボス40は圧縮部であるため液体を吸い込み易く、したがって、液体がより一層適切に横方向に拡がり液体吸収機能がより一層適切に発揮される点で優位性を有する。
【0048】
一方で、後者は、硬くなった圧縮部であるエンボスが存在しないので、原形吸収体30を圧縮して円柱形状を備える吸収体20を得る際に、当該原形吸収体30の圧縮がより適切に行われる点で優位性を有する。
【0049】
また、硬くなった(剛性の高い)圧縮部であるエンボスが存在すると、当該エンボスが液体を吸い込んだ際に、その剛性の高さに起因して、円柱形状を備える吸収体20が平板形状に戻り易い。そして、かかる事項が生じると、タンポン10を取り出しにくくなる恐れがある。後者にはこのよう恐れがない点でも、後者は優位性を有する。
【0050】
また、上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、均一に(すなわち、原形吸収体30のどの場所においても単位面積あたりの凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の数が同じとなるように)、複数設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8や図9に示す実施形態であってもよい。図8及び図9は、第五実施形態及び第六実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0051】
第五実施形態及び第六実施形態においても、第一実施形態と同様、タンポン10が、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。
【0052】
そのため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0053】
しかしながら、第五実施形態においては、第一実施形態とは異なり、原形吸収体30の前端部60における単位面積あたりの凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の数が、図8に示すように、原形吸収体30の後端部62における当該数よりも多くなっている。換言すれば、原形吸収体30の後端部62における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度よりも、原形吸収体30の前端部60における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度の方が大きくなっている。
【0054】
そのため、かかる第五実施形態は以下の優位性を有する。すなわち、当然のことながら、液体(経血)は、タンポン10(吸収体20)の全体において均一に滲みこむのではなく、タンポン10(吸収体20)の前端部において顕著に(集中的に)滲みこむ傾向にある。したがって、最も液体が集中し易い前端部における凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度の方をより大きくすることとすれば、液体を横方向へ移動させる凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の機能が、前端部において顕著に滲みこんだ多くの液体に対して(例え液体の量が多くても)適切に発揮される。また、前端部よりも後側で滲みこんだ液体が、当該前端部の密度がより大きいことに起因して、当該前端部に吸い上がる現象が生じ得る。そのため、当該後側で滲みこんだ液体にもエンボス40の前記機能が前端部において適切に働くことなる。以上のことから、タンポン10の液体吸収機能がより一層適切に発揮されることとなる。
【0055】
また、第六実施形態は、第五実施形態の変形例であり、当該実施形態も以下の点で第一実施形態とは異なっている。すなわち、第六実施形態においては、図9に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の後端部62及び前端部60のうちの当該前端部60のみに備えられている。
【0056】
そのため、かかる第六実施形態は、第五実施形態と同様、以下の優位性を有する。すなわち、最も液体が集中し易い前端部に凹部又は開口部の一例としてのエンボス40を集中させることとすれば、液体を横方向へ移動させる凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の機能が、前端部において顕著に滲みこんだ多くの液体に対して(例え液体の量が多くても)適切に発揮される。また、前端部よりも後側で滲みこんだ液体が、当該前端部にエンボス40が集中して存在していることに起因して、当該前端部に吸い上がる現象が生じ得る。そのため、当該後側で滲みこんだ液体にもエンボス40の前記機能が前端部において適切に働くことなる。以上のことから、タンポン10の液体吸収機能がより一層適切に発揮されることとなる。
【0057】
なお、第五実施形態においては、図8に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40の密度が、後端部62から前端部60へ行くにつれて徐々に大きくなっている。また、第六実施形態においては、図9に示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が原形吸収体30の前半分64のみに備えられており、後半分66には備えられていない。
【0058】
また、上記においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、間欠的に配置されていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示す実施形態であってもよい。図10は、第七実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0059】
第七実施形態においても、第一実施形態と同様、タンポン10が、紐体22と、該紐体22が取り付けられた平坦形状の原形吸収体30が円柱形状に圧縮された吸収体20と、を有し、当該原形吸収体30は凹部又は開口部を有し、凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、凹部又は開口部における長手方向が、吸収体20に縫い付けられている前記紐体22の長手方向に対し傾いている。
【0060】
そのため、タンポン10(吸収体20)の前端部から吸収体20に滲みこんだ子宮口からの液体(経血)が、横方向(図1参照)に適切に拡がり、当該液体の紐体長手方向(前後方向や、挿入方向の逆方向でもある)後端部への移動が抑制される(このことは、紐体長手方向に対して傾いた凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す役割を果たすことにより実現される)。そのため、液体が吸収体20全体に行き渡り、また、吸収体20全体に行き渡ることにより液体が紐体22を伝わって垂れてしまう不都合も抑止される。したがって、タンポン10の液体吸収量がより多くなり、タンポン10の液体吸収機能が適切に発揮されることとなる。
【0061】
しかしながら、第七実施形態においては、第一実施形態とは異なり、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40は、原形吸収体30の一側端70から他側端72に亘って連続して設けられている。
【0062】
第七実施形態(連続的なエンボス40)と第一実施形態(間欠的なエンボス40)とを比較した場合には、前者は、後者と比べて、液体の紐体長手方向への移動を妨げると共に、液体の横方向への移動を促す機能がより適切に発揮される点で優位性を有する。
【0063】
一方で、後者は、硬くなった圧縮部であるエンボスが連続的に存在しないので、前者と比べて、原形吸収体30を圧縮して円柱形状を備える吸収体20を得る際に当該原形吸収体30の圧縮がより適切に行われる点で優位性を有する。
【0064】
なお、第七実施形態においては、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、その長手方向が紐体長手方向と直交する直交方向である幅方向に沿った(紐体長手方向に対し略直交した)状態で、前記一側端70から前記他側端72に亘って連続して設けられている。
【0065】
一方で、既述の第三実施形態においては、図6に示したとおり、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が曲線となっており、当該第三実施形態は、この点で第七実施形態とは異なるものの、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の一側端70から他側端72に亘って連続して設けられている(図6参照)点では、第七実施形態と共通している。
そのため、当該第三実施形態においても、前述した第七実施形態に係る効果が奏されることとなる。
【0066】
なお、第七実施形態及び第三実施形態においては、エンボス40が前記一側端70から前記他側端72に亘って連続して設けられている関係上、紐体22(紐体固定部32)にもエンボス40が形成されている。これらの例が示すように、凹部又は開口部の一例としてのエンボス40が、原形吸収体30の、紐体固定部32を避けた箇所に、備えられていること(つまり、第一実施形態のような形態)に、限定されるものではない。
【0067】
===タンポン10の製造方法について===
次に、上述したタンポン10を製造する製造方法について、図3及び図11を用いて説明する。図11は、タンポン10の製造フローを示した図である。
【0068】
図11の製造フローは、吸収体材料形成ステップ(ステップS1)から始まる。当該ステップにおいては、先ず、前記吸収体本体(綿体)を前記カバー体で覆う(前記カバー体で巻く)。その後、カバー体で覆われた吸収体本体(綿体)を、所定の形状(例えば、前述した矢羽根形状)及び大きさに裁断する。そして、このことにより、吸収体材料(すなわち、凹部又は開口部が形成される前の原形吸収体30)が形成される。
【0069】
次に、紐体縫い付けステップ(ステップS3)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、吸収体材料の所定箇所(例えば、吸収体材料の幅方向における中央部の前端から後端に亘って備えられた紐体固定部)に、紐体22を縫い付ける。
【0070】
次に、凹部又は開口部形成ステップ(ステップS5)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、紐体22が縫い付けられた吸収体材料に、凹部又は開口部の、長手方向が紐体22の長手方向に対し傾くように、凹部又は開口部を形成する。凹部又は開口部がエンボス40であれば、エンボス加工を行うことにより圧縮部であるエンボス40を形成し、凹部又は開口部が切り込み50であれば、カッター等により切り込み50を形成する。そして、凹部又は開口部形成ステップが終了すると、図2、図3の左図等に示した紐体22が取り付けられた原形吸収体30、すなわち、原形タンポン15が形成されることとなる。
【0071】
次に、圧縮成形ステップ(ステップS7)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、原形吸収体30(図3の左図参照)を、折り目の方向が紐体長手方向に沿うように、M字形状に(つまり、紐体長手方向に沿った折り目が3つできるように)折り畳む(図3の中央図参照)。そして、かかる状態で、原形吸収体30を両側方から圧縮して(図3の中央部の矢印参照)円柱形状に変形させる(図3の右図参照)。このように、紐体22が取り付けられた原形吸収体30(原形タンポン15)を圧縮成形することにより、紐体22が取り付けられた円柱形状の吸収体20、すなわち、タンポン10を得る。
【0072】
次に、形状固定ステップ(ステップS9)が実行される。すなわち、当該ステップにおいては、圧縮成形ステップにおいて原形タンポン15を圧縮成形することにより得られたタンポン10を、加熱しながら圧縮する。そして、この処理により、タンポン10の形状、すなわち、吸収体20の円柱状の形状、が固定され、最終的にタンポン10を得ることとなる。なお、加熱温度は、例えば135度である。
【0073】
なお、上記においては、凹部又は開口部形成ステップを紐体縫い付けステップに引き続いて行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、凹部又は開口部の形成を、吸収体本体(綿体)をカバー体で覆う工程とカバー体で覆われた吸収体本体(綿体)を裁断する工程の間に行ってもよいし、吸収体本体(綿体)をカバー体で覆う工程の前に行ってもよい。
【0074】
===シンジャイナ法による吸収量の測定方法===
ここでは、生理用タンポン自主基準の附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」について、以下に示す。
【0075】
1.装置
図12に示すシンジャイナ装置を組立てて試験を行う。
(a)シンジャイナチャンバー(図14参照)。
(b)注入ポンプ、50±(プラス・マイナス)2 mL/時を供給するように設定。
(c)外部循環付恒温槽、27±(プラス・マイナス)1°(度)Cに設定。
(d)真直で潤滑剤のついていないコンドーム。
【0076】
2.コンドームの取り付けおよび交換
(1)開封してコンドームを伸ばす。
(2)開口部から20mmと160 mmのところに線で印をつける(図13参照)。
(3)コンドームをシンジャイナチャンバー内に挿入し、棒を使って160 mmの線(下線)がチャンバーの小さい方の開口端にくるようにする(図14参照)。
(4)コンドームの尖端をカットし、カットした端をチャンバーの小さい方の開口部から引っ張り出し、160 mmの線がチャンバーの開口端上にくるように調節し、コンドームの端を折り返して輪ゴムでチャンバーに固定する。
(5)チャンバーの大きい方の開口部からコンドームを引っ張り、20mmの線(上線)がチャンバーの開口端上にくるように、コンドームの上端を折り返して輪ゴムで固定する(図14参照)。
(6)(a)漏れた場合、(b)試験10回ごと、または、(c)1日ごとのいずれかに該当するときはコンドームを交換する。
【0077】
3.シンジャイナ液の調製
処方および調製は以下の通りである。
(a)呈色試薬
酸性フクシン、C.I. No. 42685、赤色102号又は赤色40号
(b)塩化ナトリウム溶液
10gの塩化ナトリウム(分析用試薬等級)を1Lの精製水に溶解する。
(c)調製
0.5gの呈色試薬を1Lの塩化ナトリウム溶液に溶解する。室温で保管および使用する。微生物による汚染を避けるため、定期的に交換する。
【0078】
4.検体
タンポンを包装から出し、アプリケーターがあれば外し、試験に用いる。タンポンは試験直前に包装から出す。試験ごとの検体数及びサンプリング手順は、製造管理基準に基づいて定める。
【0079】
5.手順
(1)試験するタンポン(取り出し用コードを含む)の質量を0.01g の位まで測定し記録する。
(2)空のシンジャイナチャンバーのコンドーム内に、タンポンの中心がチャンバーの中心と一致し、取り出し用コードがチャンバーの下部に垂れ下がるようにタンポンを取り付ける(図12参照)。
(3)注入針を中隔キャップを通して挿入し、注入針がタンポンの先端に接触するようにする。
(4)チャンバーの外側部を水で満たし、水が上部から恒温槽へ滴り落ちるように流れを調節する。水が通気口より上がらないようにする。
(5)タンポンの位置を調べ、必要であれば排水し、タンポンが中心にくるように調整しなおし、(3)および(4)の手順を繰り返す。
(6)シンジャイナ液をチャンバーにポンプで送り込む。
(7)タンポンがシンジャイナ液で完全に飽和し、最初の一滴が取り出し用コードを伝って試験装置から滴り落ちたとき、液の注入を停止して試験を終了する。
注:タンポンが飽和する前にコンドームの折り目に液が認められた時は試験を中止する。
(8)チャンバーから水を排水し、タンポンを取り外し、直ちに0.01g の単位まで質量を測定し記録する。
(9)タンポンの質量を測定した後、次の試験のために、コンドーム内に残った液を実験用ワイプ等を用いて、丁寧に除去する。
注:試験を平行して行うために試験装置が2つ以上のチャンバーで構成されている場合、同一の吸収力を有するタンポンを試験する。
【0080】
6.計算および結果の記録
(a)各タンポンの吸収量は以下のように計算し、結果は小数点第1 位まで記録する。
タンポンの吸収量(g)=飽和したタンポンの質量(g)−乾いたタンポンの質量(g)
(b)検体すべての平均値を計算し記録する。
【0081】
7.結果の判定
同一生産ロットから採取し、試験した規定数量の検体の90%以上が規定の吸収量の範囲であるとき、「適合」と判断する。
【0082】
なお、上記において、生理用タンポン自主基準の附属書3に記載された「シンジャイナ法による吸収量の測定方法」を示したが、本実施の形態においては、タンポンの適合性を判断するわけではないので、「7.結果の判定」は行われない。
【0083】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るタンポン等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0084】
また、上記実施の形態においては、タンポンとしてアプリケーターの無いタンポン10を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、アプリケーター付きのタンポンであってもよい。
【0085】
また、上記実施の形態においては、原形吸収体30は、図2に示したとおり、矢羽根形状を備えていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、矩形形状を備えていてもよい。なお、図15は、第八実施形態に係る原形タンポン15の様子を表した模式図である。
【0086】
また、上記実施の形態においては、原形吸収体30が、M字形状に折り畳まれることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、S字形状やV字形状に折り畳まれることとしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 タンポン、15 原形タンポン、
20 吸収体、22 紐体、24 被固定部、26 把持部、
30 原形吸収体、32 紐体固定部、
40 エンボス、50 切り込み、
60 前端部、62 後端部、
64 前半分、66 後半分、
70 一側端、72 他側端、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポン。
【請求項2】
請求項1に記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、凹部を有し、
該凹部は、エンボスであることを特徴とするタンポン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の、前記紐体固定部を避けた箇所に、備えられていることを特徴とするタンポン。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記原形吸収体の前記後端部における前記凹部又は開口部の密度よりも、前記原形吸収体の前端部における前記凹部又は開口部の密度の方が大きいことを特徴とするタンポン。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の前記後端部及び前端部のうちの該前端部のみに備えられていることを特徴とするタンポン。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のタンポンであって、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の一側端から他側端に亘って連続して設けられていることを特徴とするタンポン。
【請求項1】
紐体と、
該紐体が取り付けられた平坦形状の原形吸収体が円柱形状に圧縮された吸収体と、を有するタンポンであって、
前記原形吸収体は凹部又は開口部を有し、
前記凹部又は開口部は長手方向と幅方向を有する細長形状で、前記凹部または開口部における長手方向が、前記吸収体に縫い付けられている前記紐体の長手方向に対し傾いていることを特徴とするタンポン。
【請求項2】
請求項1に記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、凹部を有し、
該凹部は、エンボスであることを特徴とするタンポン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の、前記紐体固定部を避けた箇所に、備えられていることを特徴とするタンポン。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記原形吸収体の前記後端部における前記凹部又は開口部の密度よりも、前記原形吸収体の前端部における前記凹部又は開口部の密度の方が大きいことを特徴とするタンポン。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタンポンであって、
前記原形吸収体は、前記紐体が固定される紐体固定部を有し、
前記紐体は、前記紐体固定部に固定される被固定部と、前記原形吸収体の後端部から延出され、タンポン取り出しの際に把持する部分である把持部と、を有し、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の前記後端部及び前端部のうちの該前端部のみに備えられていることを特徴とするタンポン。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のタンポンであって、
前記凹部又は開口部は、前記原形吸収体の一側端から他側端に亘って連続して設けられていることを特徴とするタンポン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−48692(P2013−48692A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187826(P2011−187826)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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