ターゲット波形決定方法及びターゲット波形決定装置
【課題】 記録媒体に適したターゲット波形を選択することができるターゲット波形決定方法及びターゲット波形決定装置を提供する。
【解決手段】 磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと、所定時間の待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、比較結果に基づいて記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する。
【解決手段】 磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと、所定時間の待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、比較結果に基づいて記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置の熱緩和保証に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置などの磁気記憶装置における記録媒体の信号が劣化する現象として、熱緩和が知られている。この熱緩和は、データが記録された記録媒体を放置すると、記録媒体にデータとして記録された信号レベルが減衰していき、結果として、読み出されたデータのエラーレートが高くなる現象である。水平磁気記録方式の磁気ディスク装置において、熱緩和による信号レベルの減衰は、低周波よりも高周波の方が大きい。これは、水平磁気記録方式の特性によるものであり、具体的には、周波数によるビット当たりのボリュームの相違に起因する。一方、垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置において、熱緩和による信号レベルの減衰は、原理的に高周波成分よりも低周波成分の方が影響を受けやすい。これは、垂直磁気記録方式の原理に起因する。ここで垂直磁気記録方式の原理について説明する。図6は、垂直磁気記録方式の原理を示す。図6に示すように、垂直磁気記録方式によれば、信号は記録媒体としての磁性体が垂直に磁化されることにより記録される。これにより、垂直磁気記録方式は、磁化反転の多い高周波ほど磁化が安定しやすく、磁化反転の少ない低周波ほど安定しづらいという特性を持つ。
【0003】
また、記録媒体上に記録された信号が読み出される際、その波形は等化される。また、等化の目標とする波形によってその周波数スペクトラムは異なる。この等化の際、記録媒体から再生された信号波形を目標信号波形に等化するために等化器が持つ特性値をターゲット波形と呼ぶ。ターゲット波形としては、例えば、DC TargetとDC FREE Targetとが知られている。図7は、DC Target及びDC FREE Targetを示す。図7に示すように、DC Targetには、低周波成分が多く含まれている。一方、DC FREE Targetには、図7に示すように、DC Targetに比べて低周波成分の含有率が低い。
【0004】
DC Targetは、低周波成分が多く含まれているため、垂直磁気記録方式による記録媒体において、信号レベルが熱緩和により減衰しやすいという特性を持つ。図8及び9は、DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。図8及び9に示すように、DC Targetによれば、初期状態のシンボルエラーレートは低くなるが、時間が経過するに従ってシンボルエラーレートが高くなる。
【0005】
一方、DC FREE Targetは、DC Targetに比べて低周波成分の含有率が低いため、垂直磁気記録方式による記録媒体において、信号レベルが熱緩和により減衰しづらいという特性を持つ。図10及び11は、DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。図10及び11に示すように、DC FREE Targetによれば、熱緩和によるシンボルエラーレートの増加率は低くなるが、初期エラーレートが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した熱緩和の特性は、同じターゲット波形が適用された同じ種類の記録媒体であっても、個々の記録媒体によってそれぞれ異なるという問題がある。これにより、例えば、波形ターゲットとしてDC Targetが採用されている磁気ディスク装置において、その記録媒体のLot版数等の違いによって、熱緩和によるシンボルエラーレートにばらつきが生じてしまう。この場合、熱緩和によるシンボルエラーレートが特に高い磁気ディスク装置は、不良品として扱われてしまう。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体に適したターゲット波形を選択することができるターゲット波形決定方法及びターゲット波形決定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、ターゲット波形決定方法は、磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を選択する。
【発明の効果】
【0009】
記録媒体に適したターゲット波形を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る磁気ディスク装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】リードチャネルのハードウェア構成を示す。
【図3】本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成を示す。
【図4】本実施の形態に係る試験装置の機能構成を示す。
【図5】本実施の形態に係る試験装置の動作を示す。
【図6】垂直磁気記録方式の原理を示す。
【図7】DC Target及びDC FREE Targetの特性を示す。
【図8】DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図9】DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図10】DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図11】DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
まず、本実施の形態に係る磁気ディスク装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置のハードウェア構成を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る磁気ディスク装置1は、磁気ディスク装置1のホストとして動作する試験装置2とホストインターフェイス(IF)3を介して接続されている。試験装置2は磁気ディスク装置1の試験を行うコンピュータであり、磁気ディスク装置1に対して動作の指示をする。
【0014】
磁気ディスク装置1は、ホストIF(インターフェイス)制御部11、バッファ制御部12、バッファメモリ13、フォーマット制御部14、リードチャネル15、ヘッドIC(Integrated Circuit)16、MPU(Microprocessor Unit)17、メモリ18、不揮発性メモリ19、サーボ制御部20、VCM(Voice Coil Motor)21、SPM(Spindle Motor)22、リードライトヘッド23、ディスク媒体24、バス25、および、ホストIF(インターフェイス)3を有する。
【0015】
ホストIF3は、磁気ディスク装置1と試験装置2との間でデータやコマンドを送受するための通信に寄与する。ホストIF制御部11はホストIF3を介して送られる試験装置2へのデータやコマンドを制御する。また、ホストIF制御部11は試験装置2から送られてホストIF3で受け取られたデータやコマンドを制御する。バッファ制御部12は、バッファメモリ13に記憶されるデータの書き込みや読み出しを制御する。バッファメモリ13は、ディスク媒体24に書き込まれるデータや、ディスク媒体24から読み出されたデータを一時的に記憶する。フォーマット制御部14はディスク媒体24に書き込まれるデータの書き込みフォーマットを生成する。リードチャネル15は、ディスク媒体24に書き込まれるデータから信号への変換、ディスク媒体24から読み出された信号からデータへの変換を実行する。
【0016】
ヘッドIC16は、リードライトヘッド23によりディスク媒体24に書き込まれる信号やディスク媒体24から読み出された信号を増幅する。MPU17は磁気ディスク装置1全体の動作を制御する。また、MPU17は、後述するコマンドメモリ17aを含む。メモリ18は揮発性のメモリである。不揮発性メモリ19は、磁気ディスク装置1を制御するためのプログラムを記憶する。サーボ制御部20は、VCM21およびSPM22の動作を制御する。VCM21は、リードライトヘッド23を駆動する。SPM22は、ディスク媒体24を回転駆動する。リードライトヘッド23はディスク媒体24にデータとしての信号を書き込んだり、ディスク媒体24に記録されているデータを信号として読み出したりする。ディスク媒体24はデータを記録するための磁気記録媒体である。バス25は、ホストIF制御部11、バッファ制御部12、フォーマット制御部14、リードチャネル15、ヘッドIC16、MPU17、メモリ18、不揮発性メモリ19、及びサーボ制御部20との間のデータやコマンドなどの情報の送受に寄与する。
【0017】
次に、リードチャネルのハードウェア構成について説明する。図2は、リードチャネルのハードウェア構成を示す。
【0018】
図2に示すように、磁気ディスク装置1のリードチャネル15は、ハーモニックセンサ151を有する。このハーモニックセンサ151は、リードライトヘッド23によりディスク媒体24から読み出された信号の波形を離散フーリエ変換する。離散フーリエ変換は、離散群上のフーリエ変換であり、信号処理などで離散化されたデジタル信号の周波数解析などに用いることできる。この離散フーリエ変換によれば、読み出された信号の任意の周波数についての信号レベルが得られる。
【0019】
次に、本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成及び機能構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成を示す。また、図4は、本実施の形態に係る試験装置の機能構成を示す。
【0020】
図3に示すように、本実施の形態に係る試験装置2は、CPU(Central Processing Unit)221及びメモリ222を有する。また、試験装置2は、制御部(書き込み部、第1読み出し部、第1取得部、第2読み出し部、第2取得部)201、算出部202、判断部(比較部)203、設定部(決定部、設定部)204を機能として有する。なお、これら各部は、CPU221により実現される。制御部201は、コマンドを発行することにより磁気ディスク装置1を制御し、低周波信号及び高周波信号のディスク媒体24への書き込み指示、書き込んだこれらの信号の取得を実行する。また、算出部202は、制御部201により取得された低周波信号及び高周波信号について、後述する減衰率を算出する。また、判断部203は、算出部202により算出された減衰率を比較し、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上であるかどうかを判断する。また、設定部204は、判断部203による判断に基づいて、磁気ディスク装置1にドライブパラメータを設定し、調整する。
【0021】
次に、試験装置2から送られるコマンドの経路について簡単に説明する。試験装置2からは、データの書き込みや読み出し、データの送受を指示するコマンドが磁気ディスク装置1に送られる。コマンドはホストIF3で受信され、ホストIF制御部11により、MPU17に送られる。MPU17は受け取ったコマンドをコマンドメモリ17aに記憶する。MPU17は、コマンド毎に、データの受け取りから経過した時間をカウントする。複数のコマンドが図示しないコマンドメモリに保持されている場合、MPU17はコマンド毎に割り当てられた実行順位に従ってコマンドを実行する。
【0022】
次に、本実施の形態に係る試験装置の動作について説明する。図5は、本実施の形態に係る試験装置の動作を示す。
【0023】
まず、試験装置2の制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に、リードライトヘッド23により低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込むように指示する(S101)。ここで低周波信号及び高周波信号は、それぞれディスク媒体24の異なるトラックに書き込まれる。なお、本実施の形態において、低周波信号はF2(約188MHz)とし、高周波信号はF8(約753MHz)とする。
【0024】
低周波信号及び高周波信号の書き込み後、制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に書き込まれた低周波信号及び高周波信号の読み出しを指示する(S102)。次に、制御部201は、上述したハーモニックセンサ151を介して低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する(S103)。なお、信号レベルは、どのような方法によって取得されても構わない。その後、制御部201は、高温に維持された環境で所定時間待機する(S104)。なお、本実施の形態において、維持される温度は55℃とし、待機時間は10時間とする。
【0025】
待機時間経過後、制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に書き込まれた低周波信号及び高周波信号の読み出しを指示する(S105)。次に、制御部201は、上述したハーモニックセンサ151を介して低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する(S106)。
【0026】
次に、算出部202は、取得された低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの減衰率を算出する(S107)。この減衰率は、所定時間待機後に信号レベルがどれだけ減衰したかを示し、待機前の信号レベルをL1、所定時間待機後の信号レベルをL2とした場合、以下の式により算出される。
減衰率 = 1−(L2/L1)
【0027】
次に、判断部203は、低周波信号の減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上であるかどうかを判断する(S108)。
【0028】
高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合(S108,YES)、設定部204は、磁気ディスク装置1に対して、DC Targetを選択し、これに対応するドライブパラメータをセットする(S109)。次に、設定部204は、セットしたドライブパラメータを磁気ディスク装置1に合わせて調整する(S110)。
【0029】
一方、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率より低い場合(S108,NO)、設定部204は、磁気ディスク装置1に対して、DC FREE Targetを選択し、これに対応するドライブパラメータをセットする(S111)。つまり、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率より低い場合、そうでない場合に設定されたターゲット波形に対して、低周波成分の含有率が低いターゲット波形が選択される。ドライブパラメータのセット後、設定部204は、セットしたドライブパラメータを磁気ディスク装置1に合わせて調整する(S110)。
【0030】
上述したように、ディスク媒体24から読み出した異なる周波数の信号レベルの減衰率の比較に基づいてターゲット波形を選択することによって、ディスク媒体24に適したターゲット波形に対応したドライブパラメータを磁気ディスク装置1にセットすることができる。なお、このドライブパラメータは、ディスク媒体24の特定の領域に書き込まれ、磁気ディスク装置1の起動時に読み出されるものとする。なお、本実施の形態において、ターゲット波形は、DC TargetまたはDC FREE Targetのいずれかが選択されるが、選択されるターゲット波形はこれらのターゲット波形に限定されない。また、ターゲット波形の選択は、1台の磁気ディスク装置1が有する複数のディスク媒体24のそれぞれに対してなされても良い。
【0031】
以上、本実施の形態によれば、以下の付記で示す技術的思想が開示されている。
(付記1) 磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定し、ターゲット波形決定方法。
(付記2) 前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記3) 前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする付記2に記載のターゲット波形決定方法。
(付記4) 前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定することを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記5) 前記所定時間の待機は、所定温度に維持された環境下でなされることを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記6) ターゲット波形を決定するターゲット波形決定装置であって、
記録媒体を有する磁気記憶装置に、低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体にそれぞれ書き込ませる書き込み部と、
前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第1読み出し部と、
前記第1読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第1取得部と、
所定時間の待機後、前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第2読み出し部と、
前記第2読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された信号レベルと、前記第2取得部により取得された信号レベルとに基づいて、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号それぞれの前記所定時間における信号レベルの減衰率を算出する算出部と、
前記算出部により算出された低周波信号の信号レベルの減衰率と、高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する決定部と
を有するターゲット波形決定装置。
(付記7) 前記比較部による前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込まれた高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込まれた低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、前記決定部は、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
(付記8) 前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする付記7に記載のターゲット波形決定装置。
(付記9) 前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定する設定部を更に有することを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
(付記10) 前記所定時間の待機は、所定温度に維持された環境下でなされることを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
【符号の説明】
【0032】
1 磁気ディスク装置、2 試験装置、3 ホストIF、11 ホストIF制御部、12 バッファ制御部、13 バッファメモリ、14 フォーマット制御部、15 リードチャネル、16 ヘッドIC、17 MPU、18 メモリ、19 不揮発性メモリ、20 サーボ制御部、21 VCM、22 SPM、23 リードライトヘッド、24 ディスク媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置の熱緩和保証に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置などの磁気記憶装置における記録媒体の信号が劣化する現象として、熱緩和が知られている。この熱緩和は、データが記録された記録媒体を放置すると、記録媒体にデータとして記録された信号レベルが減衰していき、結果として、読み出されたデータのエラーレートが高くなる現象である。水平磁気記録方式の磁気ディスク装置において、熱緩和による信号レベルの減衰は、低周波よりも高周波の方が大きい。これは、水平磁気記録方式の特性によるものであり、具体的には、周波数によるビット当たりのボリュームの相違に起因する。一方、垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置において、熱緩和による信号レベルの減衰は、原理的に高周波成分よりも低周波成分の方が影響を受けやすい。これは、垂直磁気記録方式の原理に起因する。ここで垂直磁気記録方式の原理について説明する。図6は、垂直磁気記録方式の原理を示す。図6に示すように、垂直磁気記録方式によれば、信号は記録媒体としての磁性体が垂直に磁化されることにより記録される。これにより、垂直磁気記録方式は、磁化反転の多い高周波ほど磁化が安定しやすく、磁化反転の少ない低周波ほど安定しづらいという特性を持つ。
【0003】
また、記録媒体上に記録された信号が読み出される際、その波形は等化される。また、等化の目標とする波形によってその周波数スペクトラムは異なる。この等化の際、記録媒体から再生された信号波形を目標信号波形に等化するために等化器が持つ特性値をターゲット波形と呼ぶ。ターゲット波形としては、例えば、DC TargetとDC FREE Targetとが知られている。図7は、DC Target及びDC FREE Targetを示す。図7に示すように、DC Targetには、低周波成分が多く含まれている。一方、DC FREE Targetには、図7に示すように、DC Targetに比べて低周波成分の含有率が低い。
【0004】
DC Targetは、低周波成分が多く含まれているため、垂直磁気記録方式による記録媒体において、信号レベルが熱緩和により減衰しやすいという特性を持つ。図8及び9は、DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。図8及び9に示すように、DC Targetによれば、初期状態のシンボルエラーレートは低くなるが、時間が経過するに従ってシンボルエラーレートが高くなる。
【0005】
一方、DC FREE Targetは、DC Targetに比べて低周波成分の含有率が低いため、垂直磁気記録方式による記録媒体において、信号レベルが熱緩和により減衰しづらいという特性を持つ。図10及び11は、DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。図10及び11に示すように、DC FREE Targetによれば、熱緩和によるシンボルエラーレートの増加率は低くなるが、初期エラーレートが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した熱緩和の特性は、同じターゲット波形が適用された同じ種類の記録媒体であっても、個々の記録媒体によってそれぞれ異なるという問題がある。これにより、例えば、波形ターゲットとしてDC Targetが採用されている磁気ディスク装置において、その記録媒体のLot版数等の違いによって、熱緩和によるシンボルエラーレートにばらつきが生じてしまう。この場合、熱緩和によるシンボルエラーレートが特に高い磁気ディスク装置は、不良品として扱われてしまう。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体に適したターゲット波形を選択することができるターゲット波形決定方法及びターゲット波形決定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、ターゲット波形決定方法は、磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を選択する。
【発明の効果】
【0009】
記録媒体に適したターゲット波形を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る磁気ディスク装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】リードチャネルのハードウェア構成を示す。
【図3】本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成を示す。
【図4】本実施の形態に係る試験装置の機能構成を示す。
【図5】本実施の形態に係る試験装置の動作を示す。
【図6】垂直磁気記録方式の原理を示す。
【図7】DC Target及びDC FREE Targetの特性を示す。
【図8】DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図9】DC Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図10】DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【図11】DC FREE Targetにより波形が等化される場合の累積時間に対するシンボルエラーレートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
まず、本実施の形態に係る磁気ディスク装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置のハードウェア構成を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る磁気ディスク装置1は、磁気ディスク装置1のホストとして動作する試験装置2とホストインターフェイス(IF)3を介して接続されている。試験装置2は磁気ディスク装置1の試験を行うコンピュータであり、磁気ディスク装置1に対して動作の指示をする。
【0014】
磁気ディスク装置1は、ホストIF(インターフェイス)制御部11、バッファ制御部12、バッファメモリ13、フォーマット制御部14、リードチャネル15、ヘッドIC(Integrated Circuit)16、MPU(Microprocessor Unit)17、メモリ18、不揮発性メモリ19、サーボ制御部20、VCM(Voice Coil Motor)21、SPM(Spindle Motor)22、リードライトヘッド23、ディスク媒体24、バス25、および、ホストIF(インターフェイス)3を有する。
【0015】
ホストIF3は、磁気ディスク装置1と試験装置2との間でデータやコマンドを送受するための通信に寄与する。ホストIF制御部11はホストIF3を介して送られる試験装置2へのデータやコマンドを制御する。また、ホストIF制御部11は試験装置2から送られてホストIF3で受け取られたデータやコマンドを制御する。バッファ制御部12は、バッファメモリ13に記憶されるデータの書き込みや読み出しを制御する。バッファメモリ13は、ディスク媒体24に書き込まれるデータや、ディスク媒体24から読み出されたデータを一時的に記憶する。フォーマット制御部14はディスク媒体24に書き込まれるデータの書き込みフォーマットを生成する。リードチャネル15は、ディスク媒体24に書き込まれるデータから信号への変換、ディスク媒体24から読み出された信号からデータへの変換を実行する。
【0016】
ヘッドIC16は、リードライトヘッド23によりディスク媒体24に書き込まれる信号やディスク媒体24から読み出された信号を増幅する。MPU17は磁気ディスク装置1全体の動作を制御する。また、MPU17は、後述するコマンドメモリ17aを含む。メモリ18は揮発性のメモリである。不揮発性メモリ19は、磁気ディスク装置1を制御するためのプログラムを記憶する。サーボ制御部20は、VCM21およびSPM22の動作を制御する。VCM21は、リードライトヘッド23を駆動する。SPM22は、ディスク媒体24を回転駆動する。リードライトヘッド23はディスク媒体24にデータとしての信号を書き込んだり、ディスク媒体24に記録されているデータを信号として読み出したりする。ディスク媒体24はデータを記録するための磁気記録媒体である。バス25は、ホストIF制御部11、バッファ制御部12、フォーマット制御部14、リードチャネル15、ヘッドIC16、MPU17、メモリ18、不揮発性メモリ19、及びサーボ制御部20との間のデータやコマンドなどの情報の送受に寄与する。
【0017】
次に、リードチャネルのハードウェア構成について説明する。図2は、リードチャネルのハードウェア構成を示す。
【0018】
図2に示すように、磁気ディスク装置1のリードチャネル15は、ハーモニックセンサ151を有する。このハーモニックセンサ151は、リードライトヘッド23によりディスク媒体24から読み出された信号の波形を離散フーリエ変換する。離散フーリエ変換は、離散群上のフーリエ変換であり、信号処理などで離散化されたデジタル信号の周波数解析などに用いることできる。この離散フーリエ変換によれば、読み出された信号の任意の周波数についての信号レベルが得られる。
【0019】
次に、本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成及び機能構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る試験装置のハードウェア構成を示す。また、図4は、本実施の形態に係る試験装置の機能構成を示す。
【0020】
図3に示すように、本実施の形態に係る試験装置2は、CPU(Central Processing Unit)221及びメモリ222を有する。また、試験装置2は、制御部(書き込み部、第1読み出し部、第1取得部、第2読み出し部、第2取得部)201、算出部202、判断部(比較部)203、設定部(決定部、設定部)204を機能として有する。なお、これら各部は、CPU221により実現される。制御部201は、コマンドを発行することにより磁気ディスク装置1を制御し、低周波信号及び高周波信号のディスク媒体24への書き込み指示、書き込んだこれらの信号の取得を実行する。また、算出部202は、制御部201により取得された低周波信号及び高周波信号について、後述する減衰率を算出する。また、判断部203は、算出部202により算出された減衰率を比較し、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上であるかどうかを判断する。また、設定部204は、判断部203による判断に基づいて、磁気ディスク装置1にドライブパラメータを設定し、調整する。
【0021】
次に、試験装置2から送られるコマンドの経路について簡単に説明する。試験装置2からは、データの書き込みや読み出し、データの送受を指示するコマンドが磁気ディスク装置1に送られる。コマンドはホストIF3で受信され、ホストIF制御部11により、MPU17に送られる。MPU17は受け取ったコマンドをコマンドメモリ17aに記憶する。MPU17は、コマンド毎に、データの受け取りから経過した時間をカウントする。複数のコマンドが図示しないコマンドメモリに保持されている場合、MPU17はコマンド毎に割り当てられた実行順位に従ってコマンドを実行する。
【0022】
次に、本実施の形態に係る試験装置の動作について説明する。図5は、本実施の形態に係る試験装置の動作を示す。
【0023】
まず、試験装置2の制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に、リードライトヘッド23により低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込むように指示する(S101)。ここで低周波信号及び高周波信号は、それぞれディスク媒体24の異なるトラックに書き込まれる。なお、本実施の形態において、低周波信号はF2(約188MHz)とし、高周波信号はF8(約753MHz)とする。
【0024】
低周波信号及び高周波信号の書き込み後、制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に書き込まれた低周波信号及び高周波信号の読み出しを指示する(S102)。次に、制御部201は、上述したハーモニックセンサ151を介して低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する(S103)。なお、信号レベルは、どのような方法によって取得されても構わない。その後、制御部201は、高温に維持された環境で所定時間待機する(S104)。なお、本実施の形態において、維持される温度は55℃とし、待機時間は10時間とする。
【0025】
待機時間経過後、制御部201は、磁気ディスク装置1に対して、ディスク媒体24に書き込まれた低周波信号及び高周波信号の読み出しを指示する(S105)。次に、制御部201は、上述したハーモニックセンサ151を介して低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する(S106)。
【0026】
次に、算出部202は、取得された低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの減衰率を算出する(S107)。この減衰率は、所定時間待機後に信号レベルがどれだけ減衰したかを示し、待機前の信号レベルをL1、所定時間待機後の信号レベルをL2とした場合、以下の式により算出される。
減衰率 = 1−(L2/L1)
【0027】
次に、判断部203は、低周波信号の減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上であるかどうかを判断する(S108)。
【0028】
高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合(S108,YES)、設定部204は、磁気ディスク装置1に対して、DC Targetを選択し、これに対応するドライブパラメータをセットする(S109)。次に、設定部204は、セットしたドライブパラメータを磁気ディスク装置1に合わせて調整する(S110)。
【0029】
一方、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率より低い場合(S108,NO)、設定部204は、磁気ディスク装置1に対して、DC FREE Targetを選択し、これに対応するドライブパラメータをセットする(S111)。つまり、高周波信号の信号レベルの減衰率が低周波信号の信号レベルの減衰率より低い場合、そうでない場合に設定されたターゲット波形に対して、低周波成分の含有率が低いターゲット波形が選択される。ドライブパラメータのセット後、設定部204は、セットしたドライブパラメータを磁気ディスク装置1に合わせて調整する(S110)。
【0030】
上述したように、ディスク媒体24から読み出した異なる周波数の信号レベルの減衰率の比較に基づいてターゲット波形を選択することによって、ディスク媒体24に適したターゲット波形に対応したドライブパラメータを磁気ディスク装置1にセットすることができる。なお、このドライブパラメータは、ディスク媒体24の特定の領域に書き込まれ、磁気ディスク装置1の起動時に読み出されるものとする。なお、本実施の形態において、ターゲット波形は、DC TargetまたはDC FREE Targetのいずれかが選択されるが、選択されるターゲット波形はこれらのターゲット波形に限定されない。また、ターゲット波形の選択は、1台の磁気ディスク装置1が有する複数のディスク媒体24のそれぞれに対してなされても良い。
【0031】
以上、本実施の形態によれば、以下の付記で示す技術的思想が開示されている。
(付記1) 磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定し、ターゲット波形決定方法。
(付記2) 前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記3) 前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする付記2に記載のターゲット波形決定方法。
(付記4) 前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定することを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記5) 前記所定時間の待機は、所定温度に維持された環境下でなされることを特徴とする付記1に記載のターゲット波形決定方法。
(付記6) ターゲット波形を決定するターゲット波形決定装置であって、
記録媒体を有する磁気記憶装置に、低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体にそれぞれ書き込ませる書き込み部と、
前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第1読み出し部と、
前記第1読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第1取得部と、
所定時間の待機後、前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第2読み出し部と、
前記第2読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された信号レベルと、前記第2取得部により取得された信号レベルとに基づいて、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号それぞれの前記所定時間における信号レベルの減衰率を算出する算出部と、
前記算出部により算出された低周波信号の信号レベルの減衰率と、高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する決定部と
を有するターゲット波形決定装置。
(付記7) 前記比較部による前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込まれた高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込まれた低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、前記決定部は、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
(付記8) 前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする付記7に記載のターゲット波形決定装置。
(付記9) 前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定する設定部を更に有することを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
(付記10) 前記所定時間の待機は、所定温度に維持された環境下でなされることを特徴とする付記6に記載のターゲット波形決定装置。
【符号の説明】
【0032】
1 磁気ディスク装置、2 試験装置、3 ホストIF、11 ホストIF制御部、12 バッファ制御部、13 バッファメモリ、14 フォーマット制御部、15 リードチャネル、16 ヘッドIC、17 MPU、18 メモリ、19 不揮発性メモリ、20 サーボ制御部、21 VCM、22 SPM、23 リードライトヘッド、24 ディスク媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を選択するターゲット波形決定方法。
【請求項2】
前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする請求項1に記載のターゲット波形決定方法。
【請求項3】
前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする請求項2に記載のターゲット波形決定方法。
【請求項4】
前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のターゲット波形決定方法。
【請求項5】
ターゲット波形を決定するターゲット波形決定装置であって、
記録媒体を有する磁気記憶装置に、低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体にそれぞれ書き込ませる書き込み部と、
前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第1読み出し部と、
前記第1読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第1取得部と、
所定時間の待機後、前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第2読み出し部と、
前記第2読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された信号レベルと、前記第2取得部により取得された信号レベルとに基づいて、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号それぞれの前記所定時間における信号レベルの減衰率を算出する算出部と、
前記算出部により算出された低周波信号の信号レベルの減衰率と、高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する決定部と
を有するターゲット波形決定装置。
【請求項6】
前記比較部による前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込まれた高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込まれた低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、前記決定部は、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする請求項5に記載のターゲット波形決定装置。
【請求項1】
磁気記憶装置の記録媒体に低周波信号及び高周波信号をそれぞれ書き込み、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、所定時間待機し、待機後、書き込んだ低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体からそれぞれ読み出してそれぞれの信号レベルを取得し、待機前に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルと待機後に取得した低周波信号及び高周波信号の信号レベルとに基づいて、書き込んだ低周波信号及び高周波信号の信号レベルそれぞれの前記所定時間における減衰率を算出し、算出した低周波信号の信号レベルの減衰率と高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較し、該比較結果に基づいて前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を選択するターゲット波形決定方法。
【請求項2】
前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする請求項1に記載のターゲット波形決定方法。
【請求項3】
前記第1ターゲット波形はDC Targetであり、前記第2ターゲット波形はDC FREE Targetであることを特徴とする請求項2に記載のターゲット波形決定方法。
【請求項4】
前記記録媒体に対して選択したターゲット波形に対応するドライブパラメータを、前記記録媒体を有する磁気記憶装置に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のターゲット波形決定方法。
【請求項5】
ターゲット波形を決定するターゲット波形決定装置であって、
記録媒体を有する磁気記憶装置に、低周波信号及び高周波信号を前記記録媒体にそれぞれ書き込ませる書き込み部と、
前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第1読み出し部と、
前記第1読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第1取得部と、
所定時間の待機後、前記磁気記憶装置に、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号を、前記記録媒体からそれぞれ読み出させる第2読み出し部と、
前記第2読み出し部により前記磁気記憶装置に読み出させた低周波信号及び高周波信号それぞれの信号レベルを取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された信号レベルと、前記第2取得部により取得された信号レベルとに基づいて、前記書き込み部により前記磁気記憶装置に書き込ませた低周波信号及び高周波信号それぞれの前記所定時間における信号レベルの減衰率を算出する算出部と、
前記算出部により算出された低周波信号の信号レベルの減衰率と、高周波信号の信号レベルの減衰率とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記記録媒体からの信号の読み出しにおいて波形等化に用いられるターゲット波形を決定する決定部と
を有するターゲット波形決定装置。
【請求項6】
前記比較部による前記信号レベルの減衰率の比較において、前記記録媒体に書き込まれた高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込まれた低周波信号の信号レベルの減衰率以上である場合、前記決定部は、所定のターゲット波形である第1ターゲット波形を選択し、前記記録媒体に書き込んだ高周波信号の信号レベルの減衰率が、前記記録媒体に書き込んだ低周波信号の信号レベルの減衰率未満である場合、前記第1ターゲット波形よりも低周波成分の含有率が低い第2ターゲット波形を選択することを特徴とする請求項5に記載のターゲット波形決定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−277635(P2010−277635A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128534(P2009−128534)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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