説明

タービンおよびタービン製造方法

【課題】軸流タービンのオフセット翼のシュラウドカバーがタービン停止時に脱落するのを防止する。
【解決手段】動翼1、2は、動翼有効部5と、動翼有効部の外周縁部に配設されたシュラウドカバー54、56と、ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部4とを有する。動翼は、交互に隣接して配置された普通翼1およびオフセット翼2からなり、オフセット翼では普通翼に比べてロータ側フックと動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、シュラウドカバーの周方向の幅は、オフセット翼では外側ほど狭く、普通翼では外側ほど広く構成され、互いに隣接するシュラウドカバーは接触面58同士で接触するように構成され、かつ、半径方向外側のくさび角度α1の方が内側のくさび角度α2よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気やガスなどの流体で駆動されるタービンに係り、特に、ロータ(タービンロータ)の外周上に複数個のタービン動翼を嵌合してなるインテグラルシュラウド形のタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の動翼同士をカバー部分で周方向に連結し、動翼の振動や流体漏れを防ぐことが、従来の蒸気タービン等で行われている。最近では、隣接するシュラウドカバー同士をテノンカシメなどで剛結合せず、断面が外径方向に凸形のシュラウドカバーを有する動翼(オフセット翼)と、内径方向に凸形のシュラウドカバーを有する動翼(普通翼)とをロータの周りに周方向に交互に並べて配置し、ロータ回転時に作用する遠心力により隣接するシュラウドカバー間を接触させた、くさび形スナッバ翼が登場した(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、図8〜12に基づいて従来のくさび形スナッバ翼を説明する。図8〜10に示すように、軸流タービンの動翼として、普通翼1とオフセット翼2が交互にロータ(図示せず)の周りに周方向に並べて配置されている。各動翼1、2はロータに植え込むための植込み部4と、この植込み部4から外側に向かって延びる翼有効部5と、この翼有効部5の外側にシュラウドカバー12、13を有する。
【0004】
シュラウドカバー12、13は、ロータの軸方向から見て台形であって、隣接するシュラウドカバー12、13同士が、台形の斜面で接触している。普通翼1のシュラウドカバー12では、外側の方が周方向の長さが長く、オフセット翼2のシュラウドカバー13では、外側の方が周方向の長さが短い。この接触面52とロータ半径方向とのなす角をくさび角度αと呼ぶ。
【0005】
植込み部4には、図10に示すように凹凸を有するフック部50が設けられ、このフック部50の凹凸が、ロータの外周に設けられた凹凸を有するフック部(図示せず)と嵌めあって係合するようになっている。オフセット翼2では、フック部50のロータ側のフック部との隙間11(図8)が、普通翼1よりも大きくできている。
【0006】
動翼1、2の組立て時には、図8に示すように、オフセット翼2のシュラウドカバー13は、普通翼1のシュラウドカバー12に比べて外周面が窪んだように組み立てられる。
【0007】
動翼1、2の組立ての後に、ロータを回転させると、動翼1、2に遠心力が作用するが、オフセット翼2では、フック部の隙間11が、普通翼1よりも大きいために、オフセット翼2が普通翼1に対して相対的に外側に押し出て行き、図9、図10に示すように、普通翼1のシュラウドカバー12とオフセット翼2のシュラウドカバー13が同一円周上に並び、台形の斜面同士が全体で接触して互いに押し合う状態になる。運転中にオフセット翼2では、遠心力、接触反力、摩擦力が釣り合う。なお、図8、図9で、符号6はロータフック位置を表している。
【0008】
次に、図9、図10の状態から、ロータの回転を停止すると、動翼1、2にかかる遠心力が消滅するが、シュラウドカバー12、13同士の摩擦力によって、オフセット翼2は必ずしも図8の状態には戻らず、図9、図10の状態が保持される。このときの力の釣合いを図11に示す。この図に示されるように、遠心力が無い状態では、摩擦力20と接触反力17が釣り合う。
【0009】
(摩擦力20)=(摩擦係数μ)×(接触反力17)
で表されることから、接触反力17によりオフセット翼2が押し戻されるのを阻止するための条件は、力の釣合いより、
tanα<μ
で表わされる。この条件よりもくさび角度αが大きい場合は、tanαが大きくなり、オフセット翼2は脱落してしまう。なお、図11で、符号18は接触反力の周方向の分力を表わし、符号19は接触反力の半径方向の分力を表わす。
【0010】
図12は、くさび角度αの大小により、運転中の接触しやすさが変わることを示す。動翼12、13はロータ周上に配置され、遠心力が作用することにより径が増加し、周方向の隣接翼間のギャップが増加する。このため、くさび角度αが小さすぎると運転中の接触が保たれないことがある。図12(a)で示されるように、くさび角度αが大きい場合には、オフセット翼の浮上がり量がわずかでもシュラウドカバー間は接触する。一方、図12(b)で示されるように、くさび角度が小さい場合、シュラウドカバー間で接触が起るまでのオフセット翼の浮上がり量が大きくなる。これらから、くさび角度αが小さい場合、運転中のカバー接触が起らないことがあることがわかる。
【特許文献1】特許第3034417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
タービンの製造および組立て時における誤差などの影響により、くさび形スナッバ翼は必ずしも全周において均一の状態とはならず、停止時のオフセット翼2の浮上がり量にバラツキが見られる。すなわち、シュラウドカバー上面に段差が生じたり、オフセット翼2が停止時に留まらず元の位置へ戻る脱落を起こすなどの現象が見られる。特に、オフセット翼2が脱落する場合には、タービンは起動、停止時において、シュラウドカバー接触面52において摩擦摺動を繰り返すことになるため、長期間の運転においては同部位の摩耗や焼付きなどの不具合が懸念される。
【0012】
また、摩耗や焼付きによる不具合や、これらの誤差の結果、回転中にシュラウドカバー接触が保たれない場合には、シュラウドカバー接触による翼の制振効果も低下することが考えられる。
【0013】
本発明では、オフセット翼のシュラウドカバーがタービン停止時に脱落するのを避けることにより、シュラウドカバーにおける摩耗や焼付きなどの不具合を避けると同時に、回転中はシュラウドカバー同士が接触し制振効果が発揮できるタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するものであって、請求項1の発明は、ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、前記オフセット翼では前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触するように構成され、かつ、その接触面のくさび角度は、半径方向外側の方が内側よりも大きいこと、を特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、前記オフセット翼では前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触して互いに摩擦力を及ぼすように構成され、かつ、前記ロータの回転によって前記オフセット翼が前記普通翼に対して外側に移動し、これによって、前記シュラウドカバーが曲げ変形を受けて前記接触面のくさび角度が静止時に比べて小さくなるように構成されていること、を特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、前記オフセット翼では前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触するように構成され、かつ、前記接触面での接触が外れないように、各接触部の接触面の少なくとも一方に外れ防止突起を有すること、を特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載のタービンの製造方法において、前記オフセット翼が前記普通翼よりも半径方向内側になるように前記オフセット翼および普通翼を前記ロータに取り付ける取付け工程と、前記取付け工程の後に前記ロータを回転させて、遠心力によって前記オフセット翼が半径方向で前記普通翼とほぼ同じ位置になるようにする工程と、を有すること、を特徴とする。
【0018】
請求項10の発明によれば、請求項1ないし9のいずれかの発明の作用・効果を得られるとともに、このタービンを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、タービンのオフセット翼のシュラウドカバーがタービン停止時に脱落するのを防止または抑制することができ、これにより、シュラウドカバーにおける摩耗や焼付きなどの不具合を避けると同時に、回転中はシュラウドカバー同士が接触し制振効果が発揮できるため、長期間使用においても信頼性の高いタービンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
前述のように、くさび角度をα、摩擦係数をμとすると台形断面のシュラウドカバーが停止する条件は、摩擦力と接触力との釣合いから、tanα<μで表わされる。通常、比較的清浄なシュラウドカバー間の摩擦係数μは0.2〜0.3の間と考えられるので、くさび角度は11.3ないし11.6より小さい範囲になければならない。
【0021】
くさび角度αが大きいとシュラウドカバー同士は接触しやすいが、この接触条件は定格運転中に維持されていれば良く、オフセット翼が浮き上がった状態で留まるかどうかは、定格運転から停止に至るときに満足されてれば良い。すなわち、運転開始時と定格から停止に至る過程で、接触部の接触角度が変われば両者の条件を満たすことが可能となる。
【0022】
以下に、図1〜図7を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。ここで、背景技術とあるいは相互に共通または類似の部分に共通の符号を付し、重複説明は適宜省略する。
【0023】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1に示すように、普通翼1およびオフセット翼2のシュラウドカバー54、56の相互に接触する面58がそれぞれ2平面で構成されていて、外周に近い部分の接触角α1が内周に近い部分の接触角α2よりも大きくなっている。
【0024】
一般に、オフセット翼2が浮き上がる過程と停止に至る過程では、接触域が異なる。起動時にはオフセット翼シュラウドカバーの外周近くが主に強く当たっているが、停止過程では逆に内周近くが強く当たる。そこでこの実施の形態では、このような回転上昇中と停止過程の接触部が異なることを生かし、停止過程の接触部である内周近くの接触角α2を小さくして、tanα2<μ とすることで、オフセット翼の脱落を防ぐことができる。
【0025】
しかも、外周に近い部分の接触角α1を十分に大きくすることができるので、運転中にシュラウドカバー同士の接触を確実なものとすることができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、図2に示すように、普通翼1およびオフセット翼2のシュラウドカバー60、61の相互に接触する面62が曲面で構成されていて、外周に近い部分の接触角α1が内周に近い部分の接触角α2よりも大きくなっている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0027】
この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、曲面を用いることにより、シュラウドカバー60、61の応力集中を避け、しかも、オフセット翼2が浮き上がる過程を滑らかなものとすることができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図3に示す。この実施の形態では、動翼組立て時には図3の点線で示すように、普通翼のシュラウドカバー23とオフセット翼のシュラウドカバー24がほぼ同一円上にある。そして、定格運転時には、実線で示すように、遠心力によってオフセット翼2が普通翼1よりも外側に移動する。このとき、普通翼のシュラウドカバー23の接触面65は普通翼1全体に対して相対的に押し上げられて曲がり、オフセット翼のシュラウドカバー24の接触面66はオフセット翼1全体に対して相対的に押し下げられて曲がる。その結果、定格運転時の接触角α4は動翼組立て時の接触角α3よりも小さくなる。すなわち、定格時のくさび角度を小さくすることができるので、オフセット翼2の脱落を防ぐことができる。
【0029】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を図4に示す。この実施の形態では、シュラウドカバー70が翼有効部5からの張出し長さが翼の各部分で異なる。すなわち、翼有効部5の腹側(翼有効部5の湾曲した内側)71を例にとると、上流端部近くでのシュラウドカバー70の張出し長さL1は、下流端部近くでのシュラウドカバー70の張出し長さL2よりも長い。また、翼有効部5の腹側71と背側(翼有効部5の湾曲した外側)72とを比べてみると、特に上流端部近くで、背側72の張出し長さL3は腹側71の張出し長さL1よりも短い。このように張出し長さが異なる場合、張出し長さが長いほど曲げ変形が大きくなる。
【0030】
第3の実施の形態(図3)に示したようにシュラウドカバーの曲げ変形を起こすことでくさび角度を変えることができるが、この実施の形態では、一様に大きなシュラウドカバーの変形を生じさせず、すなわち、局所的にすべり判定式を満たすことによりオフセット翼の脱落を防ぐものである。このように、シュラウドカバーの変形が大きい接触面を作ることにより、接触部の定格時のくさび角度が小さい部位を作ることができる。
【0031】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は第4の実施の形態の変形例であって、図5に示すように、シュラウドカバー74の曲げ変形が部位によって異なることを踏まえ、接触部位のシュラウドカバー変形量に応じて、隣接するシュラウドカバーとの接触面29の各接触部のくさび角度を変える。これによって、オフセット翼のすべり・停止挙動を制御することができる。
【0032】
図5では、シュラウドカバー変形が大きい部位、すなわち、翼腹側71の流体入口近くのくさび角度を元々小さくしておき、同部位をオフセット翼の脱落を止めることに特化させたものを示す。
【0033】
変形例としては、図5に示すものとは正反対にくさび角度を設定し、オフセット翼のすべり挙動を均等化するものもありうる(図示せず)。
【0034】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態を図6に示す。この実施の形態では、普通翼1のシュラウドカバー75の接触面78の下端部に突起37を設ける。このような構成で、図6(a)に示すように動翼1、2をロータに取り付けた後に、ロータを回転させると、オフセット翼2が遠心力によって、普通翼1に対して相対的に外側に移動し、図6(b)に示すような状態になる。すなわち、オフセット翼2のシュラウドカバー76の接触面79の下端が、普通翼1のシュラウドカバー75の接触面78の下端部の突起37を通過する。その後、ロータを停止して遠心力がなくなっても、突起37の存在によって、オフセット翼2が図6(a)のような状態に戻ることはない。この状態での見かけのくさび角度は90°に近くなると考えられ、みかけの摩擦係数を無限大に近づけることになる。
【0035】
なお、図6の例では普通翼1のシュラウドカバー75の接触面78の下端部に突起37を設けるとしたが、オフセット翼2のシュラウドカバー76の接触面79の上端部に突起を設けることによっても同様の作用・効果を得ることができる(図示せず)。
【0036】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態は第6の実施の形態の変形例であって、図7に示すように、普通翼1のシュラウドカバー82の接触面に複数の突起85を設けるとともに、オフセット翼2のシュラウドカバー83の接触面に複数の突起86を設ける。この実施の形態によれば、第6の実施の形態と同様に、図7(a)に示すように動翼1、2をロータに取り付けた後に、ロータを回転させると、オフセット翼2が遠心力によって、普通翼1に対して相対的に外側に移動し、図7(b)に示すような状態になる。すなわち、オフセット翼2のシュラウドカバー83の接触面79の突起86と、普通翼1のシュラウドカバー85の接触面の突起85が互いに係合する。その後、ロータを停止して遠心力がなくなっても、突起85、86の存在によって、オフセット翼2が図7(a)のような状態に戻ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るタービンの第1の実施の形態の一部の動翼をロータ軸方向から見た立面図であって、円周方向を模式的に直線状に置き換えた図。
【図2】本発明に係るタービンの第2の実施の形態の一部の動翼をロータ軸方向から見た立面図であって、円周方向を模式的に直線状に置き換えた図。
【図3】本発明に係るタービンの第3の実施の形態の隣接する二つの動翼のシュラウドカバーの一部をロータ軸方向から見た立面図。
【図4】本発明に係るタービンの第4の実施の形態の一つのオフセット翼を外周側から見た平面図。
【図5】本発明に係るタービンの第5の実施の形態の一つのオフセット翼を外周側から見た平面図。
【図6】本発明に係るタービンの第6の実施の形態の隣接する二つの動翼の一部をロータ軸方向から見た模式的立面図であって、(a)は動翼組立て直後の状態を表し、(b)は組立て後にロータを回転させた後の状態を表す。
【図7】本発明に係るタービンの第7の実施の形態の隣接する二つの動翼の一部をロータ軸方向から見た模式的立面図であって、(a)は動翼組立て直後の状態を表し、(b)は動翼組立て後にロータを回転させた後の状態を表す。
【図8】従来のタービンの一部のくさび形スナッバタービン動翼をロータ軸方向から見た立面図であり、円周方向を模式的に直線状に置き換えた図であって、動翼組立て直後のようすを示す。
【図9】図8のくさび形スナッバタービン動翼を図8と同様にロータ軸方向から見た立面図であって、動翼組立て後にロータを回転させた後の状態を示す。
【図10】図9の隣接する普通翼とオフセット翼を一つずつ示す斜視図。
【図11】図9の隣接する普通翼とオフセット翼の停止時における力のバランスを説明する模式図。
【図12】図9の隣接する普通翼とオフセット翼の回転時における釣合い状態を示す図であって、(a)はくさび角度が比較的大きい場合、(b)はくさび角度が比較的小さい場合を示す。
【符号の説明】
【0038】
1…普通翼、2…オフセット翼、4…植込み部、5…翼有効部、6…ロータフック位置、9…シュラウドカバー、11…オフセット翼フック隙間、12…普通翼シュラウドカバー、13…オフセット翼シュラウドカバー、17…接触反力、18…接触反力周方向分力、19…接触反力径方向分力、20…摩擦力、23…オフセット翼シュラウドカバー、24…普通翼シュラウドカバー、28…翼有効部、29…接触面、37…突起部、39…オフセット翼側突起、40…普通翼側突起、50…フック部、52…接触面、54…普通翼シュラウドカバー、56…オフセット翼シュラウドカバー、60…普通翼シュラウドカバー、61…オフセット翼シュラウドカバー、62,65,66…接触面、70…シュラウドカバー、71…翼有効部腹側、72…翼有効部背側、74…シュラウドカバー、75…普通翼シュラウドカバー、76…オフセット翼シュラウドカバー、78,79…接触面、82…普通翼シュラウドカバー、83…オフセット翼シュラウドカバー、85,86…突起。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、
前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、
前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、
前記オフセット翼は前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、
前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、
互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触するように構成され、かつ、その接触面のくさび角度は、半径方向外側の方が内側よりも大きいこと、
を特徴とするタービン。
【請求項2】
請求項1に記載のタービンにおいて、前記接触面が曲面であることを特徴とするタービン。
【請求項3】
ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、
前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、
前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、
前記オフセット翼では前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、
前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、
互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触して互いに摩擦力を及ぼすように構成され、かつ、前記ロータの回転によって前記オフセット翼が前記普通翼に対して外側に移動し、これによって、前記シュラウドカバーが曲げ変形を受けて前記接触面のくさび角度が静止時に比べて小さくなるように構成されていること、
を特徴とするタービン。
【請求項4】
請求項3に記載のタービンにおいて、前記シュラウドカバーの曲げ変形が前記シュラウドカバーの一部に集中するように構成されていること、
を特徴とするタービン。
【請求項5】
請求項4に記載のタービンにおいて、動作流体入口の前記動翼の腹側の曲げ剛性を最小にしたこと、を特徴とするタービン。
【請求項6】
請求項3に記載のタービンにおいて、前記接触面のくさび角度が前記ロータの軸方向の位置によって異なるように構成されていること、を特徴とするタービン。
【請求項7】
請求項6に記載のタービンにおいて、前記接触面のくさび角度が前記動作流体の流れの上流側で最小になるように構成されていること、を特徴とするタービン。
【請求項8】
ロータと、このロータの外周に周方向に並べて放射状に配置された複数の動翼とを有する軸流タービンにおいて、
前記動翼それぞれは、動作流体と当接して動作流体の運動量を回転力に変換する動翼有効部と、前記動翼有効部の外周縁部に配設され、動作流体が動翼有効部の外側に流出するのを防ぐシュラウドカバーと、前記ロータに形成されたロータ側フックと係止する動翼側フックが形成された植込み部とを有し、
前記動翼は、交互に隣接して配置されたそれぞれ複数の普通翼およびオフセット翼からなり、
前記オフセット翼では前記普通翼に比べて前記ロータ側フックと前記動翼側フックの間の半径方向の間隙が大きく、
前記シュラウドカバーの周方向の幅は、前記オフセット翼では外側ほど狭く、前記普通翼では外側ほど広く構成され、
互いに隣接する前記シュラウドカバーは接触面同士で接触するように構成され、かつ、前記接触面での接触が外れないように、各接触部の接触面の少なくとも一方に外れ防止突起を有すること、
を特徴とするタービン。
【請求項9】
請求項8に記載のタービンにおいて、前記外れ防止突起は、前記普通翼の前記接触面の下端部または前記オフセット翼の前記接触面の上端部の少なくとも一方に設けられていること、を特徴とするタービン。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のタービンの製造方法において、
前記オフセット翼が前記普通翼よりも半径方向内側になるように前記オフセット翼および普通翼を前記ロータに取り付ける取付け工程と、
前記取付け工程の後に前記ロータを回転させて、遠心力によって前記オフセット翼が半径方向で前記普通翼とほぼ同じ位置になるようにする工程と、
を有すること、を特徴とするタービン製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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