説明

タービンブレード

【課題】改良された機械的特性を特徴とする改良されたブレードを提供する。
【解決手段】ブレード1は、翼2と、翼2の内端部におけるプラットフォーム3とを有し、プラットフォーム3は、翼2に隣接した上板12と、上板12の下方におけるシャンク13とを有する。ブレード1の下流壁部20及び/又は上流壁部10に、軸方向に沿って側壁19,20のうちの1つを貫通した少なくとも1つの凹所21が設けられているとき、ブレード1の改良された機械的特性を達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン、特にガスタービンのロータのためのブレードに関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのこのようなブレードを有するロータ及びタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、流体の膨張エネルギをロータの回転に変換し、この回転エネルギをさらに利用することができる。ロータは、ロータの軸に半径方向に結合されたブレードを有する。前記結合は、通常、ブレードの固定部によって実現されており、この固定部は、ブレードのプラットフォームのシャンクの下方に配置されている。この場合、「下方」との用語は軸の半径方向に関して規定されている。駆動流体、特に膨張するガスは、これによりブレードを移動させ、これが軸の回転につながる。ブレードは翼を有しており、翼は、翼の内側端部においてプラットフォームの上板に結合されている。上板はシャンクの上方に配置されており、内側端部は、軸に関する半径方向に関して規定されている。さらに、駆動流体、ひいては膨張するガスの漏れを減じるために、ブレードは、翼の外側端部にシュラウドを有している。前記シュラウドはさらにフィンを有することができ、このフィンは、前記漏れを減じるために、タービンの対面する対向部分と協働する。
【0003】
ブレード、特に翼は、対応するロータのある回転周波数と重なり合う共振周波数を有しており、このことは、特にブレードが、翼の外側に配置されたシュラウドを有する場合には、望ましくない破壊的な振動につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特に改良された機械的特性を特徴とする、前記種類のブレードのための改良された又は少なくとも択一的な実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、前記課題は独立請求項によって解決される。本発明によるブレードの好適な実施形態は、従属請求項に見ることができる。
【0006】
本発明は、ブレードのプラットフォームの上流壁部及び/又は下流壁部に、前記壁部の少なくとも一方に設けられた、特に少なくとも一方を軸方向に貫通した少なくとも1つの凹所を提供するという基本的な概念に基づき、前記壁部は、翼の内側端部においてブレードの翼を支持する、プラットフォームの上板から、半径方向に、プラットフォームのシャンクの下方に配置されたプラットフォームの固定部に向かって延びており、これにより、シャンクの上流側又はシャンクの下流側に沿って少なくとも部分的にカバーしている若しくは延びており、かつシャンクから周方向に突出している。これにより、壁部の軸方向の貫通は、必ずしも凹所の実質的な軸方向の延びを必要としない。これは単に、凹所が、軸方向でシャンクとは反対の壁部の側から、軸方向でシャンクに面した壁部の側まで延びていることを意味する。さらに、壁部を、凹所によって部分的に又は完全に貫通することができる。さらに、凹所は、この凹所が設けられたそれぞれの壁部の突出の方向と同じ方向に面した、開放した側を有する。さらに、ブレードは、翼の外側端部に配置されたシュラウドを有しており、このシュラウドは通常、前記ブレードを備えたロータを有するタービンの駆動流体の漏れを減じるために働く。ロータはさらに回転する軸を有し、この軸は、軸に沿った軸方向、並びに半径方向及び周方向を規定している。これによりここで与えられる方向及び位置は、前記方向に関する。例えば「下方」及び「上方」という用語は、半径方向に関して与えられている。つまり、シャンクの下方における固定部の配置は、ブレードが前記軸に結合されているときに、固定部が半径方向に沿ってシャンクよりも軸の近くに配置されており、プラットフォームの上板が軸からさらに離れていることを意味する。同様に、翼の内側端部は、外側端部よりも軸に近い端部である。「下流」及び「上流」という用語は、タービンの駆動流体の流れ方向に関するものであり、この流れ方向は概して軸の軸方向に対して平行に延びている。したがって、それぞれ、上流側は、流れ方向に対面する側であり、下流側は反対側である。同じ定義が、上流壁部及び下流壁部にも当てはまる。プラットフォームのシャンクは、さらに、周方向に沿った前側及び後側を含む。この場合、下流壁部は、シャンクの前側及び/又は後側から突出している。すなわち、下流壁部は、シャンクの前側及び下流側に沿って延びていることができるか、又は下流壁部は、下流側において、シャンクの前側及び後側に沿って延びていることができる。この場合、下流側は、前側及び後側に沿って異なる又は同じ寸法を有することができる。すなわち、下流壁部が、下流側においてシャンクの前側全体に沿って延びる一方で、下流壁部は、下流側においてシャンクの後側の一部にわたって延びていることができる。下流壁部と同様に、上流壁部は、シャンクの前側及び/又は後側から突出しているが、シャンクの上流側に配置されている。
【0007】
上述のように、ブレード、特に翼は、対応するロータのある回転周波数と重なり合う共振周波数を有しており、これは望ましくない破壊的振動につながる。この場合、本発明は、前記形式の少なくとも1つの凹所をブレードに提供することは特にブレードの望ましくない共振周波数を回避し、つまり、共振効果又は振動を防止又は少なくとも低減し、これが、ブレードの改良された機械的特性、特により長い耐久性を結果として生じるという知識を利用する。
【0008】
発明の基本的な思想によれば、下流壁部は、好適な実施形態において凹所を有する。この場合、凹所は、下流壁部を貫通しており、好適にはシャンクの前側に配置されている。しかしながら、凹所は、シャンクの後側に配置することもでき、凹所の開口は、シャンクの前側又は後側それぞれから、つまり下流壁部と同じ方向に沿って、突出している。
【0009】
別の実施形態によれば、上流壁部が凹所を有する。下流壁部の凹所と同様に、この凹所は好適にはシャンクの前側に配置されており、したがって、その開口は、前側から突出している。しかしながら、凹所はシャンクの後側において突出させられていることもでき、後者の場合、開口は後側から突出している。
【0010】
別の実施形態によれば、ブレードは複数の凹所を有する。この場合、これらの凹所を上流壁部及び/又は下流壁部に配置することができる。凹所をさらに、個々の開口の対応する突出で、シャンクの前側及び/又は後側に配置することができる。1つの凹所は、さらに、異なるサイズ及び形状、又は同じサイズ及び形状を有することができる。凹所は、同じように成形することもできる及び/又は同じサイズを有することができる。
【0011】
上述のように、凹所は任意の形状及びサイズを有することができ、凹所の形状及びサイズは、対応する下流壁部及び上流壁部のそれぞれの形状及びサイズによって制限される。上流壁部及び下流壁部も、任意の形状及びサイズであり、これは、ブレードを構成する場合に、凹所のための多数の可能性につながる。この場合、下流壁部及び上流壁部は概して異なるサイズ及び形状を有する。しかしながら、凹所の好適な形状は円筒形であり、これは特に単純な構成及び/又は組立てを許容する。
【0012】
好適な実施形態によれば、シャンクの前側は、湾曲した形状を有する。つまり、前側は特に凹面状である。すなわち、特に、ブレードがロータに組み付けられると、前側は、周方向で隣接するブレードの後側から見ると凹面形状を有する。付加的に又は択一的に、シャンクの後側は、曲線に構成されている。すなわち特に、後側は凸面形状を有する。シャンクの凹面状の前側と、凸面状の後側との場合、シャンクの前側及び後側に接する、直径Cの円を規定することができる。前記円はこの場合、好適には周方向に沿った、半径方向に対して垂直な平面に位置する。
【0013】
凹所の寸法は、特に共振効果の制限に関して、ブレードの所要の特性を達成するための重要な役割を果たす。したがって、凹所の幅Bは、半径方向に沿った、凹所の外端における寸法として規定することができ、凹所の外端は周方向でシャンクから最も離れている。さらに、凹所の長さAは、軸方向寸法、すなわち軸方向に沿った延びとして定義される。実質的に軸方向からの逸脱を有する凹所の場合、長さAの対応する定義を与えることができる。凹所の長さAは、この場合特に、壁のサイズ変化及び形状変化の場合に、それぞれの壁セクションの下流壁部及び上流壁部の形状及びサイズに依存する。同様に、凹所の深さDは、円周方向に沿った寸法として規定される。
【0014】
別の実施形態によれば、凹所の深さDは、軸方向に沿って減少又は増大している。すなわち、深さDは、軸方向に沿って、特に線形に変化している。深さDはこれにより、凹所の上流側から凹所の下流側に向かって、又はその逆に増大している。これは、凹所の最小深さ及び最大深さ、及びその差としての深さ差Eにつながる。
【0015】
別の好適な実施形態において、凹所の少なくとも1つは、以下の比のうちの全て又は少なくとも1つを満たす:
−凹所の長さAは、0と(1.5×C)との間である
−凹所の幅Bは、0と(0.7×C)との間である
−深さ差Eは、0と(0.45×C)との間である。
【0016】
これらの比の範囲はこの場合、特にシャンクの前側と後側との間に配置される円の直径Cによって与えられるシャンクの寸法に応じて、凹所の共振減衰特性を高める。これらの比はさらに、翼への凹所寸法の依存を反映しており、翼は好適には100mmと772mmとの間の半径方向長さを有する。すなわち、翼の内側端部と外側端部との間の半径方向長さは、好適には100mmと772mmとの間である。しかしながら、翼の半径方向長さのこの範囲は、凹所によって達成される所望の特性のために必須ではない。
【0017】
別の実施形態によれば、プラットフォームは、好適には下流壁部及び/又は上流壁部に、特に少なくとも1つのシールプレートを収容するように適応された、少なくとも1つの溝を有し、シールプレートは特に、ブレードと、隣接するベーン及び/又は隣接するブレードとの間の封止を保証する。凹所とは対照的に、前記溝は好適には、周方向に沿って下流壁部又は上流壁部全体を貫通している。溝はこの場合好適には同じ壁における凹所の上方に配置されている。すなわち例えば、上流壁部は溝及び凹所を有しているならば、凹所は溝よりも固定部の近くに配置されている。同じことは、複数の溝及び/又は複数の凹所にも当てはまり、凹所は好適には半径方向に関して1つ又は複数の溝の下方に配置されている。
【0018】
好適な実施形態によれば、下流壁部は、前側に凹所を有している、すなわち凹所の開放側はシャンクの前側と同じ方向に面している。さらに、溝は、半径方向に関して凹所の上方に配置されている。前記凹所は、好適には凹所の下流端部から上流端部に向かって増大する深さにより深さ差Eを有する。凹所はさらに、プラットフォームの固定部に隣接した下流壁部領域に配置されており、凹所は好適には固定部内へ延びている。
【0019】
別の好適な実施形態によれば、ブレードは、翼の外側端部に配置されたシュラウドを有する。シュラウドはあらゆる形状を有する。好適には、シュラウドは、翼の軸方向範囲全体にわたって延びている。すなわち、シュラウドは実質的に、上面図でみて軸方向に沿って翼全体をカバーしている。前記シュラウドは特に、タービンの対向部分と協働することによって、それぞれのタービンの駆動ガスの漏れを改善するために使用される。シュラウドはさらに好適には、300mmと1594mmとの間の重心半径又は回転中心半径を有する。シュラウドのこの寸法は特に、上に提供した比を満たす1つ又は複数の凹所の高められた効果を保証する。
【0020】
シュラウドの漏れ封止を改善するために、シュラウドは、好適な実施形態によれば少なくとも1つのフィンを有しており、フィンは好適には周方向に沿って延びておりかつ半径方向に沿って突出している。すなわち、前記フィンは、翼から突出し、半径方向に沿って延びている。複数のフィンの場合は、これらのフィンは好適には軸方向で間隔を置いて配置されている。
【0021】
シュラウドはあらゆる数のフィンを有する。シュラウドは少なくとも1つのフィンを有する。特に好適な実施形態は、2つのフィンを有するシュラウドを含み、両フィンは、半径方向に沿って翼から突出している。前記フィンはさらに、周方向に沿って平行に延びている。フィンはさらに、軸方向に沿って分離されており、一方のフィンが、シュラウドの上流エッジに配置されているのに対し、他方のフィンはシュラウドの下流エッジに配置されている。
【0022】
別の実施形態によれば、ブレードの固定部はもみの木形状を有しており、これは、ロータへのブレードの組付けを単純化する。もちろん、ブレードの固定部はあらゆる他の形状を有することができる。
【0023】
発明の別の有利な実施形態によれば、特にタービンのためのロータは、本発明による少なくとも1つのブレードを有する。前記ロータは特に、改良された機械的特性、特に共振効果に対する低減された感度を特徴とする。ロータは、この場合、特に、0回転毎分(rpm)と3780rpmとの間の回転速度に適応されており、これは、前記共振効果の高められた抑制につながる。しかしながら、この制限は、必ずしもロータの与えられた有利な特性のために必要というわけではない。
【0024】
別の有利な実施形態によれば、タービン、特にガスタービンには、本発明によるロータ及び/又は本発明によるブレードがそれぞれ装備されている。
【0025】
前記特徴及び以下で言及される特徴は、発明の範囲から逸脱することなく、対応する組合せとしてだけでなく、他の組合せにおいても、別々でも適用可能である。
【0026】
発明の上記目的、特徴及び利点、並びにその他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照した場合に、その好適な実施形態の以下の説明より、さらに明らかになるであろう。
【0027】
発明は、図面に概略的に示された実施形態を参照して説明されており、以下により詳細に図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ブレードの斜視図である。
【図2】ブレードの正面図である。
【図3】ブレードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、ブレード1は、翼2と、翼2の内側端部におけるプラットフォーム3と、翼2の外側端部におけるシュラウド4とを有する。「内側」及び「外側」という用語は、ブレード1が組み付けられるタービンの軸の、矢印5によって示された半径方向に関する。軸は、矢印6によって示された軸方向、及び矢印7によって示された周方向も規定する。さらに、タービンを流過する駆動流体の方向は、矢印8によって示された流れ方向を規定する。翼2の内側端部は、翼2の外側端部よりも軸に近い。シュラウド4は少なくとも1つのフィン9を有する。より多くのフィン9が設けられているならば(図1による好適な実施形態において2つのフィン9が示されている)、全てのフィン9は、同じ形状及びサイズであり、矢印7によって示された周方向に互いに平行に延びており、軸方向6に互いに離間させられている。フィン9のうちの一方は、この場合、シュラウド4の上流エッジ10を完全にカバーしているのに対し、他方のフィン9は、シュラウド4の下流エッジ11を完全にカバーしている。「上流」及び「下流」という用語は、矢印8によって示された駆動ガスの流れ方向に関して規定されている。
【0030】
図1及び図2に示したように、翼2は、プラットフォーム3の上板12によって支持されている。プラットフォーム3のシャンク13は、上板12の下方に配置されておりかつ半径方向に延びており、この実施形態においてはもみの木形状を有する固定部14は、シャンク13に隣接してかつシャンク13の下方に配置されている。シャンク13は、前側15と、後側16とを有する。「前」及び「後」とは、矢印7によって示された周方向に関して決定される。さらに、シャンク13は、上流側17と、下流側18とを有しており、それぞれ、駆動流体の流れ方向に関して、つまり矢印8に関して決定されている。上流壁部19は、上板12から固定部14に向かって、プラットフォームの上流側17において、半径方向に延びている。上流壁部19は、周方向7でみて、シャンク13の前側15及び後側16を超えて突出している。つまり、上流壁部19は、前側15においては前側15から突出しており、後側16においては後側16から突出している。さらに、上流壁部19は、シャンク13の上流側17において、シャンク13の前側15及び後側16の両方を部分的にカバーしている。下流壁部20は、上板12から固定部14に向かって、シャンクの前側15及び後側16の両方において、半径方向に延びており、シャンク13の下流側18を完全にカバーしている。つまり、下流壁部20は、半径方向に沿って上流壁部19よりもさらに長く延びている。上流壁部19及び下流壁部20はそれぞれ、上板12への湾曲した移行部を有する。さらに、上板12と、上流壁部19と、下流壁部20とはそれぞれ、シャンク13の前側15及び後側16への湾曲した移行部を有する。
【0031】
凹所21は、プラットフォーム3の前側15において、矢印6によって示された軸方向で、下流壁部20を貫通している。凹所21の開放した側22は、周方向に面しており、つまりシャンク13の前側15と同じ方向に面している。したがって、凹所21の下側、すなわち固定部14により近い側は、下流壁部20の下端部に配置されている。すなわち、凹所21は固定部14に隣接して配置されている。凹所21の上側は、上流壁部19の下側に対して平行に延びている。すなわち、凹所21の上側と、上流壁部19の下側とは、一平面に位置しており、この平面は特に軸方向に対して平行に延びている。周方向で下流壁部20の全範囲に延びた溝23は、凹所21の上端部の僅かに上方に配置されている。別の同様の溝23は、シャンク13の反対側に配置されている、すなわち、前記溝23は、上流壁部19を貫通しており、上流壁部19の下端部の僅かに上方に配置されている。別の同様の溝23は、前記溝23の上方に配置されている。これにより、全ての溝23は平行な形式で配置されており、この場合、溝23のうちの2つは上流壁部19に配置されており、1つの溝23は下流壁部20に配置されている。スロット24は上板12内に配置されており、前記スロット24は上板12の前側に沿って軸方向に延びている。シールプレート25はスロット24内に配置されており、前側から突出している。さらに、凹所21は溝23及びスロット24よりも形状及びサイズにおいて大きい。
【0032】
全ての図面は、シャンク13の前側15において、シャンク13と固定部14との移行領域に配置されたブレード1の収容部26を示している。この場合、前記収容部26は、シャンク13の突出部27において軸方向中央に配置されている。
【0033】
図2に示したように、凹所21の寸法は以下のように規定される。凹所21の長さAは、凹所21の内側端部と外側端部との間の軸方向の差として与えられる。この場合、内側端部は上流に面しているのに対し、外側端部は下流に面している。さらに、凹所21の幅Bはさらに、凹所21の半径方向寸法、つまり矢印5に沿った寸法として規定されている。さらに、凹所21の深さDは、周方向での凹所21の寸法によって与えられる。
【0034】
図3は、図2に示された矢印Fによって示された方向から見た場合の、平面28に沿ったブレード1の断面図を示している。この断面図は、シャンク13の後側16が、収容部26の反対側に配置された突出部29を有することを開示している。つまり、収容部26及び突出部29は、特に、タービンのロータの周方向で隣り合うブレード1を接続するために働く。さらに、前側15及び後側16の両方が湾曲した形状を有することが示されている。前側15が凹面状であるのに対し、後側16は凸面状である。この場合、前側15は均一な湾曲を有するのに対し、後側16は、凹所21へのインターセプション領域において湾曲の増大する程度を有する。つまり、湾曲した前壁若しくは前側15及び後壁若しくは後側16に接触する円30は直径Cを有する。図3は、さらに、凹所21の深さDが凹所21の外端から凹所の内端に向かって線形に増大することを開示している。すなわち、深さは、シャンク13とは反対の凹所21の側から、シャンク13に面した凹所21の側に向かって増大している。これは、最大深さDmaxと、深さ差Eによって与えられる最小深さDminとの差につながる。
【符号の説明】
【0035】
1 ブレード
2 翼
3 プラットフォーム
4 シュラウド
5 半径方向を示す矢印
6 軸方向を示す矢印
7 周方向を示す矢印
8 流れ方向を示す矢印
9 フィン
10 上流エッジ
11 下流エッジ
12 上板
13 シャンク
14 固定部
15 前側
16 後側
17 上流側
18 下流側
19 上流壁部
20 下流壁部
21 凹所
22 凹所の開放した側
23 溝
24 スロット
25 シールプレート
26 収容部
27 突出部
28 平面
29 突出部
30 円
A 凹所の長さ
B 凹所の幅
C 円の直径
D 凹所の深さ
max 最大深さ
min 最小深さ
E 凹所の深さ差
F 見る方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン、特にガスタービンのロータのためのブレード(1)において、該ブレード(1)が、翼(2)と、該翼(2)の外側端部におけるシュラウド(4)と、前記翼(2)の内側端部におけるプラットフォーム(3)とを有し、
該プラットフォーム(3)が、翼(2)に隣接した上板(12)を有し、
前記プラットフォーム(3)が、半径方向に延びた、上板(12)の下方に配置されたシャンク(13)を有し、
前記プラットフォーム(3)が、半径方向に延びた、シャンク(13)の下方に配置された固定部(14)を有し、
前記シャンク(13)が、周方向に面した、前側(15)及び後側(16)を有し、
前記シャンク(13)が、軸方向に面した、上流側(17)及び下流側(18)を有し、
シャンク(13)から周方向に突出した上流壁部(19)が、上板(12)から固定部(13)へ向かって延びており、かつシャンク(13)の上流側(17)を少なくとも部分的にカバーしており、
シャンク(13)から周方向に突出した下流壁部(20)が、上板(12)から固定部(14)へ向かって延びており、かつシャンク(13)の下流側(18)を少なくとも部分的にカバーしており、
少なくとも1つの凹所(21)が設けられており、該凹所(21)が、上流壁部(19)又は下流壁部(20)を軸方向に少なくとも部分的に貫通しており、かつシャンク(13)領域に配置されており、前記凹所(21)が、それぞれの上流壁部(19)又は下流壁部(20)の突出の方向と同じ方向に面した開放側(22)を有することを特徴とする、タービン、特にガスタービンのロータのためのブレード(1)。
【請求項2】
シャンク(13)の前側(15)が、凹面形状を有し、
シャンク(13)の後側(16)が、凸面形状を有し、
凹面形状の前側(15)及び凸面形状の後側(16)に接する円(30)が、直径Cを有する、請求項1記載のブレード。
【請求項3】
凹所(21)のうちの少なくとも1つが、対応する外側端部において半径方向に幅Bを、軸方向に沿って長さAを有し、特に長さAが、対応する壁セクションの厚さによって与えられる、請求項1又は2記載のブレード。
【請求項4】
周方向での凹所(21)の深さDが、軸方向に沿って増大又は減少しており、
深さ差Eが、最大深さDmaxと最小深さDminとの間の差として与えられる、請求項1から3までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項5】
凹所(21)の長さAが、0と(1.5×C)との間である、及び/又は
凹所(21)の幅Bが、0と(0.7×C)との間である、及び/又は
深さ差Eが、0と(0.45×C)との間である、請求項2から4までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項6】
プラットフォーム(3)の下流壁部(20)及び/又は上流壁部(19)が、特に少なくとも1つのシールプレート(25)を収容するために適応された、少なくとも1つの溝(23)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項7】
少なくとも1つの凹所(21)が、半径方向に沿って1つ又は複数の溝(23)の下方に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項8】
下流壁部(20)が1つの凹所(21)を有し、該凹所(21)が特に、下流壁部(20)において1つ又は複数の溝(23)の下方に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項9】
シュラウド(4)が翼(2)の軸方向範囲全体に沿って延びている、請求項1から8までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項10】
シュラウド(4)が、周方向に延びかつ半径方向に突出した少なくとも1つのフィン(9)を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項11】
シュラウド(4)が、軸方向で間隔を置いて配置された少なくとも2つのフィン(9)を有する、請求項10記載のブレード。
【請求項12】
翼(2)が、100mmと772mmとの間の半径方向長さを有し、
シュラウド(4)が、300mmと1594mmとの間の回転中心半径を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項13】
プラットフォームの固定部(14)が、もみの木形状を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のブレード。
【請求項14】
特に0と3780rpmとの間の回転速度を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の少なくとも1つのブレード(1)を有することを特徴とする、タービン、特にガスタービンのためのロータ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載のロータ及び/又は少なくとも1つのブレード(1)を有することを特徴とする、タービン、特にガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−15142(P2013−15142A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−148425(P2012−148425)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】