説明

タービン装置

【課題】複数の翼溝20を備えたロータ1と複数の翼10とを有するタービン装置で、予翼10の根元30が翼溝20内に回動取付けされている形式のものを改良して、翼溝20内に回動取付けしようとする翼10の取付け及び/又は固定における従来技術における問題点を克服する。
【解決手段】翼の根元30及びロータ1の翼溝20が、互いに相補的なテーパ角を有する端壁26,36を備えており、翼の根元30が、翼溝20内で半径方向の遊びを有するようにするように構成されており、この半径方向の遊びと前記端壁のテーパ角とを組み合わせることによって、根元30の底面31が翼溝20の底面21と接触すると過回動が可能となり、一方、根元30の底面31と翼溝20の底面21とが接触しないと、この過回動によって、翼溝20内に最後の根元30を取付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なタービン、特にロータ及び、該ロータ内に取り付けられる翼に関する。
【背景技術】
【0002】
翼列を形成するための、翼をロータ内に取付けるための公知の固定装置は、差込根元及びサイドエントリー型のクリスマスツリー形を有している。この構成は、側方からアクセスする必要があり、これによって、蒸気タービンにおいては蒸気通路の形状が限定されることになる。このような欠点を有していない、翼を取り付ける選択的な可能性は、いわゆる拡張型根元が使用される。このような装置は側方からのアクセスを必要としないが、ロータに取付け用窓を設ける必要があり、このような窓は弱い箇所を形成することになる。翼を取付けるためのその他の装置は、回動させながら取り付けるための回動取付け手段を必要とする。
【0003】
回動取付け式の翼は、例えばUS−PatNr.5236308に開示されているように、T字形又はL字形の根元を有している。T字形の根元も、L字形の根元も、回動させながら若しくはねじりながら取付けられ、相補的に形成された翼溝内に固定される。根元の軸方向長さは、その周方向の幅よりも大きいので、根元を回動させながら取付けるために必要なスペースは、運転中に根元が整列された時に必要とされる周方向のスペースよりも大きい。GB2171150Aに記載されているように、追加的な取付けスペースを生ぜしめるために、翼根元を翼溝内で過回動させるように構成されている。GB2171150Aによれば、翼根元は、平行四辺形のプレート及び/又は根元を有しており、さらに根元の周方向の幅を必要な幅以下に減少させ、次いで、翼列のすべての翼が取付けられた後で、得られた隙間をシムによって埋めることによって、翼根元を翼溝内で過回動させることができるようになっている。選択的に、US−PatNr.3567337に開示されているように、翼根元の脚部及びロータ溝を、翼が遠心力に抗して挿入され得るように傾斜された、それぞれ1つの側面を有するように構成し、かつロータ溝内への翼根元の取付け及び回動を許容するように構成することができる。このような構成においては、シムによって隙間が満たされ、翼が固定されるようになっている。シムの例は、US−PatNr.6299411B1に開示されている。シムは、熟練した専門家を必要とし、またシム自体の複雑さ及び費用に基づいて、製造コストが高価であるという欠点を有している。また、シムを取付けるために必要な時間が、翼の取付け及び分解のための時間に影響する。特開2004−169552号公報によれば、翼根元の底面と翼溝の底面との間にスペーサ(間隔保持部材)を挿入する方法を含む、翼を固定するための選択的な方法について開示されている。これと類似の、シムと協働して用いられるスペーサは、USPat.Nr.3567337号明細書にも開示されている。翼を固定した後でスペーサを挿入することは、場合によっては不可能であるので、このような解決策は、複雑さを助長し、根元間の周方向ギャプの問題を解決することはできない。
【0004】
GB2171150Aに記載された、その他の選択的なロック装置によれば、翼を所定の食い違い角(stagger angle)で固定するために、ピン装置及びねじ装置が用いられる。
【0005】
また、US−Patent7168919B2に記載された解決策によれば、食い違い接合手段(staggered abutment means)を備えた翼根元について開示されている。組み立て中に、このような接合手段は、根元がその最終的な運転整列位置にある時に、根元を周方向で整列させ、翼間のギャップを閉じるようになっている。
【0006】
しかしながら、このような配置構成は、シュラウド付きタービン翼の組み立てに限定される。シュラウド付きタービン翼では、翼部分が予めねじられているので、最終的な組み立て位置において、周方向接合手段の半径方向整列及びシュラウド部分によってねじり負荷が加えられ、それによってシュラウドがその周辺に対して押圧接触及び摩擦接触させられる。このような接触は、半径方向運動に抗する作用を加えるために必要である。また、前記のような翼根元を備えた翼のシュラウドに、組み立て中に過回動させるか若しくは過剰なねじりを加え、それによって最後の翼を取付けるために必要なギャプを生ぜしめる必要がある。これによって、必要なねじり負荷に基づいて装置がより複雑になり、その結果、取付け時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US−PatNr.5236308号明細書
【特許文献2】GB2171150A号明細書
【特許文献3】US−PatNr.3567337号明細書
【特許文献4】US−PatNr.6299411B1号明細書
【特許文献5】特開2004−169552号公報
【特許文献6】US−Patent7168919B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の課題は、翼溝内に回動させながら取付けようとする翼の取付け及び/又は固定における前記のような問題点を克服するための装置を提供することである。
【発明の効果】
【0009】
この課題は、本発明によれば、独立請求項に記載した手段によって解決された。有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明は、翼の根元の脚部の半径方向遊びと、翼の根元のネック部及び翼溝のネック部のテーパ角と、プラットフォーム及び/又は翼の根元の平行四辺形形状とに組み合わせによって、ロータ翼溝内で翼の根元を過回動させる(過剰に回動させるか若しくは加除なねじりをくわえる)、という考え方に基づいている。根元を過回動させることによって生ぜしめられた、翼列内の追加的なスペースは、翼溝内に追加的に翼の根元を組み込むためのスペースを増大する。これによって、特に、翼溝窓を必要とすることなしに、最後の翼を翼列内に組み込むことができる。運転中に、翼の根元は、遠心力によって半径方向外方に押しやられる。このように、角張った根元と翼溝端壁とが協働することによって、もはや過回動は避けられるので、翼の根元は、翼列内で周方向に固定され、それによって、正しい食い違い角が固定され、運転中の過回動又は回動不足は避けられる。その結果、根元間にシムを設ける必要はなくなり、また回動は不可能であるので、回動を阻止するねじり負荷が強制されることもない。従ってこの実施例は、シュラウド付きタービン翼にも、またシュラウド無しのタービン翼にも使用することができ、翼の取付け時間が著しく短縮されるという利点が得られる。何故ならばシムの数を減少させるか、又はシムを省くことができるからである。
【0011】
本発明の1実施態様によれば、ロータと翼とを有するタービン装置が提案されている。ロータは、回転軸線と外側面と翼溝とを有しており、該翼溝は、ロータの輪郭を成す外側面に形成されている。翼溝は、軸方向に延在する根元及びネック部を有している。軸方向に延在する根元は、底面と、半径方向で内方に向いた接続面とを有している。この接続面と底面との間の間隔が、根元の半径方向高さを規定する。半径方向で脚部と外側面との間に延在するネック部は、第1及び第2の軸方向の端壁を有しており、これらの端壁のうちの一方又はいずれもがテーパ角(円錐角)を有している。このテーパ角は、半径方向で外方に向かってネック部を次第に狭くする。翼溝内には、周方向に分配され、かつ回動取付け可能な複数の翼が一列に配置されている。各翼は、少なくとも部分的に翼溝内に配置された根元を有しており、該根元は、軸方向に延在する脚部とネック部とを有している。脚部は、底面及び、この底面から延在する半径方向高さを有しており、これに対して、脚部から半径方向に延在するネック部は、第1及び第2の軸方向の端壁を有している。各端壁は、翼溝のネック部のテーパ角に相応して先細りされて形成されているか、又は翼溝のネック部のテーパ角が存在しない場合には、その形状に対して相補的な形状を有している。根元のネック部及び脚部の形状は、一般的に翼溝のネック部及びベース部の形状に対して相補的な形状である。根元の脚部の半径方向の高さ寸法は、翼溝のベース部の半径方向の高さ寸法よりも小さい。これらの構成部材は、テーパ形の形状と相俟って、根元の脚部が翼溝の底面に接触すると、翼溝内での根元の過回動を許容し、これに対して、根元の脚部が翼溝の接続面と接触すると、最後の翼を翼溝のベース部内に組み込むことができる程度のスペースが提供される。これによって、シムは不要となる。付加的に、翼を整列させ、かつ固定するためのねじり負荷は必要なくなる。何故ならば翼は、運転中の遠心力によって固定されるからである。
【0012】
本発明のその他の態様及び利点は、本発明の1実施例を開示した添付の図面を用いて以下に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】翼をロータ内に回動取付けする従来技術による装置、並びに翼シム使用法を示す概略図である。
【図2】1実施例によるロータの横断面図である。
【図3】1実施例による翼の斜視図である。
【図4】1実施例によるロータ内に取付けられた翼の横断面図である。
【図5】付勢装置を含む図4に示したロータ及び翼の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明の有利な実施例を説明する。図面中、同じ部材には同じ符号が付けられている。以下では、本発明を理解するために必要な詳細について説明されているが、本発明は、これらの個々の詳細の説明なしでも実施できるものであることは明らかである。
【0015】
図1は、ロータ1内に取付けられた翼2の種々異なる状態を有する従来技術によるタービン翼装置を示す。各翼2は、平行四辺形の形をしたプラットフォーム及び/又は根元4を有しており、プラットフォーム及び/又は根元4は、平行四辺形の形状を有しているので、過回動させて取付けることができる。取付け作業は、各翼2aをロータの翼溝(翼差込用の溝)20内に組み込むことによって行われ、これに対して既に取付けられている翼2bは、翼溝20内に付加的なスペースを確保するために、過回動せしめられる。すべての翼2cが取付けられると、翼プラットフォームの根元4間にシム3を取付けることによって、正しい翼食い違い角が得られる。
【0016】
図2は、1実施例によるタービン装置のロータ1の部分の長手方向断面図を示す。ロータの回転軸線5は、ロータの長手方向軸線に相当する。図示の実施例では、ロータ1は翼溝20を有しており、該翼溝20は外側面8が異形成形されていて、ロータ1を規定している。翼溝20は、軸方向に延在するベース部22及びネック部25を包含する。ベース部22の半径方向端部及びネック部25は、翼溝20の半径方向の境界を規定する。
【0017】
半径方向で外側面8から遠い位置に配置されたベース部22は、半径方向で底面21によって仕切られていて、内方に向いた接続面24によって仕切られており、従ってベース部22の半径方向高さ23が、底面21と接続面24との間の半径方向の間隔である。
【0018】
半径方向でベース部22と外側面との間に配置されたネック部25は、第1及び第2の軸方向の端壁26を有している。これらの端壁26はそれぞれ、半径方向で外方に向かってネック部25を次第に狭めるテーパ角(円錐角)を有している。つまり、ネック部25とベース部22との境界面において、ネック部25の軸方向の幅は、ネック部25と外側面8との間の境界面におけるよりも大きい。
【0019】
図示していない別の実施例では、軸方向の端壁26のうちの1つだけがテーパ角を有している。
【0020】
図2に示した実施例では、翼溝のベース部22は軸方向で両方向に延在している。これによって、ネック区分25と共にT字形の根元が形成される。図示していない実施例では、ベース部22は、軸方向で一方の方向に延在しており、これによってL字形の根元が形成される。
【0021】
翼溝20は、回動取付けされた翼10の列を収容し、かつ保持し、それによって周方向に翼列を形成するためのものである。回動させて取付けることができる翼10は、図示の実施例では次のように構成され、かつ配置された翼10として構成されている。つまり、翼10をまず翼溝20内に挿入し、次いで、例えば図1に示したように構成を有する、翼を回動取付けするための公知の方法を用いて、翼を回動させて、翼を軸方向で整列させるように、構成され、かつ配置された翼10として構成されている。このためには基本的に、プラットフォーム40及び/又は根元30は平行四辺形の形を有している必要がある。取付けられた翼の長手方向断面図は、図4及び図5に示されている。
【0022】
図3に示した実施例では、翼10は根元30を有しており、該根元30は軸方向に延在する脚部32を有している。脚部32は、翼10の半径方向端部を形成している。ネック部35は、脚部32から半径方向に延在している。脚部32は、翼10の半径方向端部を規定する底面31を有し、底面31から延在する半径方向高さ33を有している。ネック部35は、第1及び第2の軸方向の端壁36を有している。これらの端壁36は、翼溝のネック部25のテーパ角に相応して先細りして形成されている。つまり、ネック部25の第1及び第2の端壁26がテーパ形(円錐形)である実施例において、根元30の第1及び第2の端壁36はテーパ形である。ネック部25の一方の端壁26だけがテーパ形である実施例では、一方の軸方向の端壁36だけがテーパ形である。このような形式で、互いに鏡像対称的なテーパ角、つまり相補的なテーパ角が得られ、これによって根元30が翼溝20内に位置決めされると、翼溝20若しくは根元30の端壁26,36が互いに平行に整列され得る。この相補的に合致し合う構成は図4及び図5に示されている。
【0023】
図4及び図5に示した実施例では、根元30の脚部32及びネック部35と、翼溝20のベース部22及びネック部25とは、互いに相補的な形状を有しているので、根元30は翼溝20内に組み込んで取付けることができる。しかしながら翼溝20のベース部22と、根元30の脚部32とは次の点で異なっている。つまり、根元の脚部32の半径方向高さ33は、翼溝のベース部22の半径方向高さ23よりも小さい。翼溝のベース部22の半径方向高さ23と、根元の脚部32の半径方向高さ33とが異なっていることによって、根元30が翼溝20内にある時に、テーパ角に基づいて端壁26,36間にギャップ(隙間)が形成されると、根元30を下降させることができる。これによって、図5に示されているように、根元の脚部32が翼溝の接続面24と接触している場合と比較して、図4に示されているように根元の底面31が翼溝の底面21と接触した時に、翼10を過回動させることができる。このような形式で、翼溝20内で翼10を過回動させることができ、翼溝20内に付加的な取付けギャップを生ぜしめることができる。このために、根元30の周方向の幅を減少させる必要はない。根元30の周方向の幅を減少させると、すべての根元30を取付けた後で各根元30間に不都合な周方向ギャップが生じる。図示の実施例では、過回動とは、根元30を、翼10の運転上の軸方向の整列ポイントを越えて、取付け方向で回動させるか若しくはねじるということである。
【0024】
図5に示した実施例では、翼10は上昇されているので、根元の脚部32は翼溝の接続面24と接触しており、半径方向のギャプはもはや存在しない。図示の実施例では、このように根元の脚部32と翼溝の接続面24とが接触している状態では、翼10の回動が妨げられており、これはタービン運転中に翼溝20内に根元30が配置されている典型的な配置状態である。
【0025】
翼10を下降させることによって形成される軸方向ギャップの寸法は、部分的に、翼の下降寸法及びテーパ角に基づいている。一般的に、翼の下降寸法及びテーパ角が大きければ、その他の制約がない場合、可能な過回動角度が大きくなる。図示の実施例は、このような翼の下降寸法及びテーパ角のパラメータは、最後の翼を翼列内に回動取付けできるように設計されており、それによって根元窓(root windows)の必要性又はシム3を使用する必要性が低減されるか又は取り除かれる。これを得るための、過回動の所望の角度範囲は、ロータ及び翼の寸法に基づいており、従ってそれぞれの構成に適合させる必要がある。
【0026】
1実施例によれば、テーパ角は半径方向で3゜乃至9゜であって、この実施例と組み合わせることができるか又はできない別の実施例によれば、翼溝20内で翼10の根元30を半径方向に移動させることができる、根元の脚部32と翼溝のベース部22との間の相対的な半径方向の高さの差は、3mm乃至7mmである。
【0027】
別の実施例によれば、半径方向の高さ23,33の差と、テーパ角の差との組合せによって、翼10が運転中に翼溝20内で整列された時に、脚部の2つの端壁36と翼溝の2つの端壁26との間の組み合わされた軸方向のギャップ1mm乃至2mmが得られる。
【0028】
運転中に、遠心力によって、根元30は翼溝の接続面24と確実に接触するようになっているが、例えば翼溝20内における根元30の半径方向遊びに基づいて、翼溝20内に根元30を固定することが望まれている。これは、1実施例によれば、各根元30が根元30の半径方向の遠位端部においてプラットフォーム40を有していることによって、得られる。プラットフォーム40は、図3に示されているようにリップ42を有しており、このリップ42は、図5に示されているように根元30が翼溝20内に取り付けられた時に、軸方向で外側面8の区分上に延在するように構成されている。このような配置構成を有する実施例では、付勢手段45が外側面8とリップ42との間に配置されている。付勢手段45は、根元の脚部32を半径方向で翼溝の接続面24に向かって付勢し、それによって翼10は翼溝20内で位置固定される。付勢手段45は、挿入位置においてかしめられたロッド、ばねエレメント、プレート又はその他の、付勢機能(予備荷重機能)を有する公知のエレメントであってよい。
【0029】
1実施例では、付勢手段45は、図5に示されているように根元30の軸方向で一方の端部に配置されている。別の実施例では、付加的な付勢手段45が、根元30の軸方向で他方の端部に配置されているので、2つの付勢手段45がプラットフォーム40に作用するようになっている。
【0030】
本発明は、事実上最も理解され易いように、図面に示されかつ説明されているが、別の構成を有する複数の実施例も可能である。例えば、本発明の翼は、一般的に被覆部なしで示されているが、本発明の実施例では被覆部を有していてよい。従って、図示の実施例は、いずれにしても1つの具体的な実施例であって、これに限定されるものではない。本発明の範囲は、実施例の説明に記載されているものではなく、添付の請求項に記載されている通りであり、本発明の意味及び使用範囲に関するすべての変更及びこれに類するものは、添付の請求項に含まれているものとする。
【符号の説明】
【0031】
1 ロータ、 2,2a,2b 翼、 3 シム、 4 プラットフォーム40の平行四辺形の根元、 5 ロータ1の回転軸線、 8 外側面、 10 翼、 20 翼溝、 21 翼溝20の底面、 22 翼溝20のベース部、 23 翼溝20の半径方向高さ、 24 接続面、 25 翼溝20のネック部、 26 端壁、 30 根元、 31 根元30の底面、 32 根元30の脚部、 33 根元30の半径方向高さ、 35 ネック部、 36 端壁、 40 プラットフォーム、 42 リップ、 45 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン装置であって、回転軸線(5)と外側面(8)と翼溝(20)とを有するロータ(1)を備えており、前記翼溝(20)が、ロータ(1)の前記外側面(8)内に形成されていて、ロータ(1)の外周面に沿って延在しており、
前記翼溝(20)が、軸方向に延在する翼溝のベース部(22)を有していて、該ベース部(22)が、半径方向で内方に向いた接続面(24)と底面(21)とを備えており、前記底面(21)と接続面(24)との間の半径方向の間隔が、前記翼溝のベース部(22)の半径方向高さ(23)を規定しており、
前記翼溝(20)が、半径方向で前記翼溝のベース部(22)と前記外側面(8)との間に延在するネック部(25)を有しており、該ネック部(25)が第1及び第2の軸方向の端壁(26)を有していて、これらの端壁(26)のうちの少なくとも一方が、ネック部(25)を半径方向外方に向かって狭めるテーパ角を有しており、
回動させて取付け可能な複数の翼(10)の列が、前記翼溝(20)内で前記ロータ(1)を巡ってロータ(1)の外周面に分配されており、
各翼(10)が、少なくとも部分的に前記翼溝(20)内に配置された根元(30)を有しており、該根元(30)が、底面(31)及び該底面(31)から延在する半径方向高さ(33)を有する、軸方向に延在する脚部(32)と、該脚部(32)から半径方向に延在するネック部(35)とを備えており、該ネック部(35)が、第1及び第2の軸方向の端壁(36)を備えていて、前記翼溝のネック部(25)の前記端壁(26)のテーパ角に相応して先細りされて形成されており、
前記根元(30)の半径方向の遠位の端部にプラットフォーム(40)が設けられており、翼(10)は、前記プラットフォーム(40)及び/又は根元(30)が平行四辺形形状を有していることによって、回動させて取付け可能であり、
根元(30)の半径方向高さ(33)が、翼溝の半径方向高さ(23)よりも小さく構成されている形式のものにおいて、
翼(10)の根元(30)の半径方向高さ(33)と翼溝の半径方向高さ(23)との間の寸法差と、テーパ形の形状と、プラットフォーム(40)及び/又は根元(30)の形状とを組み合わせることによって、根元(30)の底面(31)が翼溝の底面(21)と接触すると、根元(30)の過回動を許容し、これに対して、根元の脚部(32)が翼溝の接続面(24)と接触すると、最後の翼(10)を翼溝(20)内に取付けることができるようになっており、
翼溝のネック部の軸方向の端壁(26)のテーパ角と、このテーパ角に相応して先細りされて形成された、ネック部の軸方向の端壁(36)とによって、翼(10)の固定が可能であり、それによって、根元の脚部(32)が翼溝の前記接続面(24)と接触すると、翼溝(20)内における回動が妨げられるようになっていることを特徴とする、タービン装置。
【請求項2】
前記テーパ角が、半径方向で3゜乃至9゜である、請求項1記載のタービン装置。
【請求項3】
翼溝(20)内でのロータ(10)の根元(30)の半径方向の運動を可能にする、根元の脚部(32)と翼溝のベース部(22)との間の相対的な半径方向高さの差が、3mm乃至7mmである、請求項1又は2記載のタービン装置。
【請求項4】
複数の翼(10)が翼溝(20)の運転中に整列されると、根元の脚部(32)と翼溝のベース部(22)との間の半径方向高さ(23,33)の差及びテーパ角によって、根元の2つの端壁(36)と翼溝の2つの端壁(26)との間に、1mm乃至2mmの、組み合わされた軸方向ギャップが形成される、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービン装置。
【請求項5】
ロータ(10)の各根元(30)が、該根元(30)の半径方向遠位の端部においてプラットフォーム(40)を有しており、
該プラットフォーム(40)が、軸方向で外側面(8)の部分上に延在するリップ(42)を有しており、
前記外側面(8)と前記リップ(42)との間で、翼溝(20)内に取付けられた、ロータ(10)の根元(30)の軸方向の端部に配置された付勢手段(45)が設けられていて、該付勢手段(45)が根元の脚部(32)を翼溝の接続面(24)に向かって付勢する、請求項1から4までのいずれか1項記載のタービン装置。
【請求項6】
前記付勢手段(45)がロッドである、請求項5記載のタービン装置。
【請求項7】
前記付勢手段(45)がばねエレメントである、請求項5記載のタービン装置。
【請求項8】
前記付勢手段(45)がプレートである、請求項5記載のタービン装置。
【請求項9】
前記付勢手段(45)が、根元(30)の軸方向の一方の端部に配置されている、請求項5から8までのいずれか1項記載のタービン装置。
【請求項10】
追加的な付勢手段(45)が、根元(30)の軸方向の他方の端部に配置されている、請求項9記載のタービン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−117454(P2011−117454A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−272717(P2010−272717)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】