説明

ターンシグナルスイッチ

【課題】スイッチケースの小型化を容易に図ることができるとともに、ウィンカの点滅操作及びキャンセル操作を確実に行わせることができるターンシグナルスイッチを提供する。
【解決手段】ハンドルバーHの把持グリップG近傍に固定されるスイッチケース1と、中立位置から左右方向に操作可能とされ、かつ、中立位置から押し込み操作可能とされた操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)と、操作ノブに対する左右方向の操作及び押し込み操作と連動し、スイッチケース1に固定された固定接点10aと接触又は離間し得る可動接点9が形成されたローラ8とを具備したターンシグナルスイッチにおいて、可動接点9は、操作ノブに対してスイッチケース1の高さ方向にオフセットして配設されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブの摺動操作により、可動接点と固定接点とが接触して車両に配設された所望の側のウィンカを点滅させるとともに、当該操作ノブの押し込み操作により、可動接点と固定接点とが離間して当該ウィンカの点滅をキャンセルさせ得るターンシグナルスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車のハンドルバーの左右先端には、運転者が把持するための把持グリップが取り付けられており、その把持グリップの基端側近傍にはスイッチケースが固定されている。かかるスイッチケースには、車両が具備する種々電装品を操作するための複数のスイッチが配設されており、そのうちの一つとしてターンシグナルスイッチがある。このターンシグナルスイッチは、二輪車の左右それぞれに配設されたウィンカを操作して、所望の側のウィンカを点滅させるためのスイッチであり、従来、ハンドルバーに固定されたスイッチケースと、該スイッチケースから突出して形成された操作ノブ(左右に摺動操作可能なスライドノブ及び押し込み操作可能なプッシュボタン)と、スライドノブの左右の摺動操作に応じて左右方向に摺動するローラ部材と、該ローラ部材に形成されて固定接点に対して接触又は離間可能な可動接点とを有して構成されていた(例えば、特許文献1或いは特許文献2にて開示されているものが挙げられる)。
【0003】
このような従来のターンシグナルスイッチによれば、中立位置にあるスライドノブを左右何れかの方向に摺動操作すると、その方向にローラ部材を摺動させることにより固定接点に可動接点が接触して所定の回路が形成され、二輪車が具備する左右何れかのウィンカが選択的に点滅し得るようになっている。また、プッシュボタンを押し込み操作すると、連動部材が元の位置(初期位置)に戻され、可動接点が固定接点から離間するので、ウィンカの点滅がキャンセル(選択されたウィンカが消灯)されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−73730号公報
【特許文献2】実開平2−143737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のターンシグナルスイッチにおいては、操作ノブと連動する可動接点や当該可動接点と接触又は離間可能な固定接点の他、ウィンカの点滅をキャンセルするためのキャンセル機構が必要とされるとともに、スイッチケース内部にハンドルバーが延設されていることから、小型化を図るのが困難であるという問題があった。特に、ターンシグナルスイッチの操作ノブは、スイッチケースにおける高さ方向の略中央に配設されるのが一般的であるので、その位置にターンシグナルスイッチを配設する場合、ハンドルバーが邪魔になってしまい、スイッチケース全体が大型化してしまうという不具合がある。
【0006】
なお、操作ノブと連動する可動接点や固定接点、及びキャンセル機構の各部品を小型化してスイッチケースを小型化することも考えられるが、その場合、可動接点と固定接点との離間寸法を十分に取れず電気的な不具合が生じ易くなってしまうとともに、キャンセル機構の強度を十分に維持することが困難となって、長期に亘る使用により変形や破損等が生じ易くなってしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スイッチケースの小型化を容易に図ることができるとともに、ウィンカの点滅操作及びキャンセル操作を確実に行わせることができるターンシグナルスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、車両が具備するハンドルバーの把持グリップ近傍に固定されるスイッチケースと、該スイッチケースに取り付けられ、中立位置から左右方向に操作可能とされ、かつ、中立位置から押し込み操作可能とされた操作ノブと、該操作ノブに対する左右方向の操作及び押し込み操作と連動し、前記スイッチケースに固定された固定接点と接触又は離間し得る可動接点とを具備し、前記操作ノブの左右方向の操作により、前記可動接点と固定接点とが接触して車両に配設された所望の側のウィンカを点滅させるとともに、当該操作ノブの押し込み操作により、前記可動接点と固定接点とが離間して当該ウィンカの点滅をキャンセルさせ得るターンシグナルスイッチにおいて、前記可動接点は、前記操作ノブに対して前記スイッチケースの高さ方向にオフセットして配設されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のターンシグナルスイッチにおいて、前記操作ノブは、中立位置から左右に摺動操作可能なスライドノブと、該スライドノブに配設されて中立位置から押し込み操作可能なプッシュボタンとを有するとともに、当該プッシュボタンは、押し込み操作し得る押圧部と、該押圧部の上端又は下端から延設されて前記可動接点と連結される延設部とを有した側面視でL字状の部材から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のターンシグナルスイッチにおいて、前記操作ノブは、前記スイッチケースにおける高さ方向の略中央位置に配設されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のターンシグナルスイッチにおいて、一端部に前記操作ノブが連結されるとともに他端部に前記可動接点が連結された作動板を有し、当該作動板を介して前記操作ノブと可動接点とが連結されることにより、当該可動接点が前記操作ノブに対して前記スイッチケースの幅方向にオフセットして配設されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のターンシグナルスイッチにおいて、前記操作ノブの下部に前記作動板の一端部が連結されるとともに、当該作動板の他端部の下部に前記可動接点が連結されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、可動接点は、操作ノブに対してスイッチケースの高さ方向にオフセットして配設されたので、スイッチケースの小型化を容易に図ることができるとともに、ウィンカの点滅操作及びキャンセル操作を確実に行わせることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、操作ノブは、中立位置から左右に摺動操作可能なスライドノブと、該スライドノブに配設されて中立位置から押し込み操作可能なプッシュボタンとを有するとともに、当該プッシュボタンは、押し込み操作し得る押圧部と、該押圧部の上端又は下端から延設されて可動接点と連結される延設部とを有した側面視でL字状の部材から成るので、簡単な構成で可動接点を操作ノブに対してスイッチケースの高さ方向にオフセットさせることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、操作ノブは、スイッチケースにおける高さ方向の略中央位置に配設されたので、汎用的なターンシグナルスイッチの操作ノブの位置とすることができ、操作性を維持することができ、かつ、スイッチケースの小型化を容易に図ることができるとともに、ウィンカの点滅操作及びキャンセル操作を確実に行わせることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、一端部に操作ノブが連結されるとともに他端部に可動接点が連結された作動板を有し、当該作動板を介して操作ノブと可動接点とが連結されることにより、当該可動接点が操作ノブに対してスイッチケースの幅方向にオフセットして配設されたので、ターンシグナルスイッチを任意位置に配設することができ、レイアウトの自由度をより向上させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、操作ノブの下部に作動板の一端部が連結されるとともに、当該作動板の他端部の下部に可動接点が連結されたので、可動接点を操作ノブに対してスイッチケースの幅方向にオフセットさせると同時に当該スイッチケースの高さ方向にもオフセットさせることができ、レイアウトの自由度をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るターンシグナルスイッチが適用されるハンドルスイッチを示す斜視図
【図2】同ハンドルスイッチを示す正面図
【図3】同ハンドルスイッチを示す平面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】同ハンドルスイッチにおけるスイッチケースから操作ノブを取り外した状態を示す斜視図
【図6】本発明の実施形態に係るターンシグナルスイッチを構成する操作ノブ及び可動接点等を示す分解斜視図
【図7】同ターンシグナルスイッチを構成するスイッチケース内部を背面側から示す斜視図
【図8】同ターンシグナルスイッチを構成する操作ノブ、可動接点及び作動板の連結状態を示す側面図
【図9】同ターンシグナルスイッチを構成する操作ノブ、ローラ及び作動板の連結状態を示す模式図
【図10】同ターンシグナルスイッチを構成する操作ノブ、ローラ及び作動板の連結状態であって、操作ノブをa方向に摺動した後の状態を示す模式図
【図11】同ターンシグナルスイッチを構成する操作ノブ、ローラ及び作動板の連結状態であって、操作ノブをb方向に摺動した後の状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るターンシグナルスイッチは、図1〜9に示すように、二輪車(車両)が具備するハンドルバーHの把持グリップG近傍に固定されたハンドルスイッチに形成されたもので、スイッチケース1と、操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)と、ローラ8と、作動板7とから主に構成されており、スライドノブ3の図2中左右方向の摺動操作により、二輪車に配設された所望の側(左右何れかの側)のウィンカ(ターンシグナルフラッシャ)を点滅させるとともに、プッシュボタン4の押し込み操作により、当該ウィンカの点滅をキャンセルさせ得るものである。なお、図1中符号hは、二輪車の車体まで延設された配線を示している。
【0020】
スイッチケース1は、二輪車(車両)が具備するハンドルバーHの把持グリップG近傍に固定されるもので、本発明に係るターンシグナルスイッチの他、走行モードを切り替えるための走行モード切替スイッチノブ2、ホーンを鳴らすためのホーンボタン5等、二輪車が搭載する電装品を操作可能な複数のスイッチが配設されている。なお、本実施形態においては、スイッチケース1の背面側に操作ノブ6が形成されており、当該操作ノブ6により、二輪車の前照灯における下方照射から前方照射への切替操作、及びパッシング操作が可能となっている。
【0021】
操作ノブ(スライドノブ3、プッシュボタン4)は、スイッチケース1の正面側において突出形成されるとともに、中立位置から左右方向に操作可能とされ、且つ、中立位置から押し込み操作可能とされたものである。本実施形態においては、操作ノブは、中立位置に常時付勢されて左右に摺動操作可能なスライドノブ3と、該スライドノブ3に形成されて押し込み操作可能なプッシュボタン4とから構成されている。
【0022】
これらスライドノブ3及びプッシュボタン4は、スイッチケース1における高さ方向(図中上下方向)の略中央位置に配設されており、その上部に走行モード切替スイッチノブ2及び下部にホーンボタン5がそれぞれ配設されている。このうちホーンボタン5は、スイッチケース1の正面における下部の把持グリップG側(図2における左側)に配設されている。なお、操作ノブは、中立位置から左右に摺動操作可能とされ、かつ、中立位置から押し込み操作可能とされた単一の操作ノブを有したものであってもよく、或いは中立位置から左右方向に摺動可能なスライドノブ3に代えて揺動操作可能な操作ノブであってもよい。
【0023】
スライドノブ3は、図4〜6に示すように、ハンドルスイッチケース1に対して左右方向直線状に摺動可能に組み付けられるとともに、図示しないコイルスプリングによって常時中立位置に付勢されるもので、中央部が突起した山形に形成された部品から成る。かかるスライドノブ3の中央部には貫通孔3a(図6参照)が形成されており、その貫通孔3aにプッシュボタン4が嵌め込まれて組み付けられるようになっている。
【0024】
このプッシュボタン4は、スイッチケース1(スライドノブ3)に対して押し込み操作可能に組み付けられるとともに、コイルスプリングS(図4参照)によって常時突出する方向(押圧操作に抗する方向)に付勢されるものである。より具体的には、本実施形態に係るプッシュボタン4は、図6に示すように、押し込み操作し得る押圧部4bと、該押圧部4bの下端から延設されて作動板7を介してローラ8及び可動接点9と連結される延設部4cとを有した側面視でL字状の部材から成る。
【0025】
一方、スイッチケース1の正面には、図5に示すように、長孔部1a、凹部1b、孔部1c及び丸孔部1dがそれぞれ形成されており、長孔部1a及び丸孔部1dにそれぞれ走行モード切替スイッチノブ2及びホーンボタン5が嵌め込まれるとともに、孔部1cにプッシュボタン4の延設部4cが挿通されて嵌め込まれるようになっている。また、図4に示すように、スライドノブ3の背面側には凸部3bが形成されており、当該凸部3bがスイッチケース1の凹部1bに嵌め込まれるようになっている。
【0026】
凹部1b及び孔部1cは、左右方向に延びて形成されており、スライドノブ2a及びプッシュボタン4の摺動操作を許容し得るようになっている。このような構成により、スライドノブ2aを左右方向に摺動操作すると、その操作に伴ってプッシュボタン2bも追従するとともに、当該プッシュボタン2bを押圧すると、コイルスプリングSの付勢力に抗して押し込み操作可能とされている。
【0027】
作動板7は、図6に示すように、一端部に操作ノブ(プッシュボタン4の延設部4c)が連結されるとともに他端部にローラ8及び可動接点9が連結可能な板状部材から成る。すなわち、作動板7の一端部には、プッシュボタン4における延設部4cの先端部に形成された凸部4aを挿入可能なカム孔7aが形成されているとともに、他端部には、ローラ8に形成された凹部8aに嵌入可能な凸部7bがそれぞれ形成されており、当該作動板7を介して操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)とローラ8及び可動接点9とが連結されるようになっている。
【0028】
ローラ8は、スライドノブ3に対する左右方向の操作及びプッシュボタン4に対する押し込み操作と連動し、スイッチケース1に固定された固定接点10aと接触又は離間し得る可動接点9が形成されたものである。この固定接点10aは、図6に示すように、端子板10に複数形成されるとともに、図7に示すように、スイッチケース1内部の所定位置に固定されている。なお、図6中符号11は、ローラ8の動作時に節度を付与するための節度用ボールを示している。
【0029】
一方、スイッチケース1の内壁面には、一対の凸条部から成るガイドレール1eが形成されており、当該ガイドレール1eで案内されつつ作動板7が左右方向に摺動可能とされている。そして、スライドノブ3を左右何れかの方向に摺動操作すると、作動板7と共にローラ8が同方向に摺動し、固定接点10aに対して可動接点9を接触させることができ、当該固定接点10aと可動接点9との接触により所定の電気回路が形成されて、二輪車に配設された所望の側のウィンカを点滅させるようになっている。
【0030】
例えば、図9に示すa方向にスライドノブ3を摺動させた後、操作を止めると、当該スライドノブ3(プッシュボタン4も同様)は、図示しないコイルスプリングによる付勢力で中立位置に戻るが、作動板7及びローラ8は当該スライドノブ3に追従せず、固定接点10aと可動接点9とが接触された状態が維持(すなわち、a方向のウインカの点滅が維持)される。このとき、プッシュボタン4の凸部4aは、図10に示すように、カム孔7aのカム面7aaに当接しており、当該プッシュボタン4を同図中の矢印方向に押圧させることにより、カムの作用にて作動板7及びローラ8を中立位置に戻し得るようになっている。これにより、可動接点9が固定接点10aと離間することとなり、ウィンカの点滅をキャンセルさせることができる。
【0031】
また、例えば図9に示すb方向にスライドノブ3を摺動させた後、操作を止めると、当該スライドノブ3(プッシュボタン4も同様)は、図示しないコイルスプリングによる付勢力で中立位置に戻るが、作動板7及びローラ8は当該スライドノブ3に追従せず、固定接点10aと可動接点9とが接触された状態が維持(すなわち、b方向のウインカの点滅が維持)される。このとき、プッシュボタン4の凸部4aは、図11に示すように、カム孔7aのカム面7abに当接しており、当該プッシュボタン4を同図中の矢印方向に押圧させることにより、カムの作用にて作動板7及びローラ8を中立位置に戻し得るようになっている。これにより、可動接点9が固定接点10aと離間することとなり、ウィンカの点滅をキャンセルさせることができる。
【0032】
ここで、本実施形態においては、可動接点9は、操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の高さ方向(本実施形態においては下方)にオフセットして配設されている。すなわち、図8に示すように、プッシュボタン4の延設部4cが押圧部4bの下端から延設されて作動板7を介してローラ8と連結(すなわち、側面視でL字状のプッシュボタン4で連結)されるとともに、操作ノブ(プッシュボタン4における延設部4c)の下部に作動板7の一端部が連結されるとともに、当該作動板7の他端部の下部にローラ8が連結されているので、当該プッシュボタン4に対してローラ8及び可動接点9を下方に寸法t1だけオフセットさせることができるのである。
【0033】
このように、本実施形態は、可動接点9を操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の高さ方向にオフセットして配設することにより、ターンシグナルスイッチにおけるのローラ8及び可動接点9を含む構成部品の強度及び電気的特性(スイッチングの良好性)を維持しつつ当該構成部品がハンドルバーHと干渉してしまうのを回避することができる。特に、本実施形態に係るターンシグナルスイッチおいては、操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)がスイッチケース1の高さ方向の略中央位置に配設されているので、汎用的なターンシグナルスイッチの操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)の位置とすることができ、操作性を維持することができ、かつ、スイッチケース1の小型化を容易に図ることができるとともに、ウィンカの点滅操作及びキャンセル操作を確実に行わせることができる。
【0034】
また、本実施形態に係るターンシグナルスイッチにおける操作ノブは、中立位置から左右に摺動操作可能なスライドノブ3と、該スライドノブ3に配設されて中立位置から押し込み操作可能なプッシュボタン4とを有するとともに、当該プッシュボタン4は、押し込み操作し得る押圧部4bと、該押圧部4bの下端から延設されてローラ8及び可動接点9と連結される延設部4cとを有した側面視でL字状の部材から成るので、簡単な構成でローラ8及び可動接点9を操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の高さ方向にオフセットさせることができる。
【0035】
さらに、本実施形態においては、図9に示すように、一端部に操作ノブ(プッシュボタン4の延設部4c)が連結されるとともに他端部にローラ8及び可動接点9が連結された作動板7を有し、当該作動板7を介して操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)とローラ8及び可動接点9とが連結されているので、当該可動接点9が操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の幅方向に寸法t2だけオフセットして配設されている。これにより、ターンシグナルスイッチを任意位置に配設することができ、レイアウトの自由度をより向上させることができる。
【0036】
特に、本実施形態においては、スイッチケース1の下部における把持グリップG側にホーンボタン5が配設されていることから、ローラ8及び可動接点9が操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の幅方向に寸法t2だけオフセットして配設されることにより、ターンシグナルスイッチにおけるのローラ8を含む構成部品がホーンボタン5及びそのスイッチの構成部品と干渉してしまうのを回避することができる。
【0037】
加えて、本実施形態に係るターンシグナルスイッチによれば、図8に示すように、操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)の下部に作動板7の一端部が連結されるとともに、当該作動板7の他端部の下部にローラ8及び可動接点9が連結されているので、可動接点9を操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケースの幅方向にオフセットさせると同時に当該スイッチケース1の高さ方向にもオフセットさせることができ、レイアウトの自由度をより一層向上させることができる。
【0038】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば可動接点9を操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の高さ方向のうち上方にオフセットして配設してもよい。この場合、プッシュボタン4の延設部4cは、押圧部4bの上端から延設されて作動板7を介してローラ8及び可動接点9と連結される構成とするのが好ましい。なお、本実施形態においては、可動接点9を操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)に対してスイッチケース1の高さ方向及び幅方向にオフセットして配設されているが、これら可動接点9と操作ノブとがスイッチケース1の高さ方向のオフセットしつつ幅方向にオフセットしないものであってもよい。
【0039】
また、本実施形態に係る操作ノブ(スライドノブ3及びプッシュボタン4)は、スイッチケース1における高さ方向の略中央位置に配設されているが、スイッチケース1における他の位置に配設するようにしてもよい。さらに、本実施形態に係るスイッチケース1には、スライドノブ3及びプッシュボタン4の他、走行モード切替スイッチノブ2及びホーンボタン5、更には背面側に操作ノブ6が配設されているが、二輪車が具備する種々電装品を操作し得る他のスイッチが形成されたもの、或いはハンドルバーHの右側端部に固定されるものであってもよい。なお、本実施形態においては二輪車のハンドルバーに取り付けられたターンシグナルスイッチに適用されているが、スノーモービルや3輪又は4輪バギーなどハンドルバーを具備した他の車両にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
可動接点が操作ノブに対してスイッチケースの高さ方向にオフセットして配設されたターンシグナルスイッチであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スイッチケース
2 走行モード切替スイッチノブ
3 スライドノブ(操作ノブ)
4 プッシュボタン(操作ノブ)
4b 押圧部
4c 延設部
5 ホーンボタン
6 操作ノブ
7 作動板
8 ローラ
9 可動接点
10 接点板
10a 固定接点
11 節度用ボール
H ハンドルバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が具備するハンドルバーの把持グリップ近傍に固定されるスイッチケースと、
該スイッチケースに取り付けられ、中立位置から左右方向に操作可能とされ、かつ、中立位置から押し込み操作可能とされた操作ノブと、
該操作ノブに対する左右方向の操作及び押し込み操作と連動し、前記スイッチケースに固定された固定接点と接触又は離間し得る可動接点と、
を具備し、前記操作ノブの左右方向の操作により、前記可動接点と固定接点とが接触して車両に配設された所望の側のウィンカを点滅させるとともに、当該操作ノブの押し込み操作により、前記可動接点と固定接点とが離間して当該ウィンカの点滅をキャンセルさせ得るターンシグナルスイッチにおいて、
前記可動接点は、前記操作ノブに対して前記スイッチケースの高さ方向にオフセットして配設されたことを特徴とするターンシグナルスイッチ。
【請求項2】
前記操作ノブは、中立位置から左右に摺動操作可能なスライドノブと、該スライドノブに配設されて中立位置から押し込み操作可能なプッシュボタンとを有するとともに、当該プッシュボタンは、押し込み操作し得る押圧部と、該押圧部の上端又は下端から延設されて前記可動接点と連結される延設部とを有した側面視でL字状の部材から成ることを特徴とする請求項1記載のターンシグナルスイッチ。
【請求項3】
前記操作ノブは、前記スイッチケースにおける高さ方向の略中央位置に配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のターンシグナルスイッチ。
【請求項4】
一端部に前記操作ノブが連結されるとともに他端部に前記可動接点が連結された作動板を有し、当該作動板を介して前記操作ノブと可動接点とが連結されることにより、当該可動接点が前記操作ノブに対して前記スイッチケースの幅方向にオフセットして配設されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のターンシグナルスイッチ。
【請求項5】
前記操作ノブの下部に前記作動板の一端部が連結されるとともに、当該作動板の他端部の下部に前記可動接点が連結されたことを特徴とする請求項4記載のターンシグナルスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−109857(P2013−109857A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251866(P2011−251866)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】