説明

ダイズタンパク質含有食品及びその調製方法

本発明は、(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質材料、(B)(i)着色剤と、(ii)着香剤、(iii)トリグリセリド、(iv)食品等級酸または酸性塩、(v)食品等級塩基または塩基性塩、および(vi)食品等級エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1つとを含んでなる保湿剤、および(C)水を含んでなるダイズタンパク質含有食品に関する。別の実施態様では、本発明はダイズタンパク質含有食品の調製方法に向けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書は、2004年8月16日に出願された米国特許出願第10/919,421号明細書の一部継続特許出願である。
【0002】
本発明は、ダイズタンパク質含有食品、およびダイズタンパク質含有食品の調製方法に関する。ダイズタンパク質含有食品は、100%肉無しであってもよく、または50%までの肉を含有してもよい。
【背景技術】
【0003】
天然肉タンパク質以外の様々なタンパク質源が、天然肉タンパク質ベース製品の代替え物として知られている肉類似物製品中で使用されている。消費者にとって許容度がより高いこのような類似物製品を作るために、それらに天然肉タンパク質ベースの製品とできる限り近い色を提供することが必要である。天然の赤味肉ベースの製品をシミュレートするようにデザインされたタンパク質ベースの類似物製品の調製において、今日に至るまで使用されている着色剤は、大部分、ベニコウジ赤である。しかし従来の手順によって作られたダイズ単離物ベースの類似物製品中での着色剤としてのベニコウジ赤以外の色の使用は、所望のピンク/オレンジ色でなく、むしろ望ましくない青/褐色を有する類似物製品を生じることが分かっている。
【0004】
ステーキおよびローストは、普遍的に人気の高い食物である。しかしビーフの高騰は、これらの製品を平均的家族がどのくらいの頻度で食べられるかを制限する可能性が高い。したがって外観、味、テクスチャおよび栄養価において天然ステーキおよびローストを密接にシミュレートするが、より安価である組織化肉製品に対する必要性が存在する。本発明の一目的は、このような組織化肉製品を提供することである。いくつかの特性が良質の天然ステーキまたはローストを特徴づける。未調理では、それぞれが、リーンな赤身筋肉の上にのっているかまたは赤身筋肉の周縁を形成する薄い白色脂肪を有することが多い、特定の形状および寸法によって特徴づけられる外観を有する。調理中に、肉は、寸法および形状の双方の変化をはじめとする特定の収縮特性を示す。調理済み製品は、外観、味、テクスチャ、柔らかさ、肉汁の多さおよび脂肪、軟骨および筋の有無の特有の特性を示す。これらの特性は、消費者の製品許容度および食の楽しみに影響するだけでなく、製品の販売および調製の双方の様式にもまた影響する。
【0005】
天然の高級ステーキは、脂肪が霜降りになっていることが多い赤身の筋肉部分を含む。脂肪含量は調理時の肉汁の多さをもたらし、肉の味を改善する。ステーキのテクスチャおよび硬さは、筋肉中の結合組織の配置によって、そして軟骨の有無によって定まる。後者は生のステーキで目に見えるが、ステーキの物理的完全性を壊すことなく容易に除去することはできない。上にのっている脂肪または脂肪周縁は、調理時に有利なことに褐色の外観をもたらし、肉の肉汁の多さおよび味に上乗せする。
【0006】
肉様製品形態のテクスチャー加工ダイズタンパク質の工業生産は、数十年間にわたって行われている。文献は莫大である。ダイズタンパク質は豊富にあることが知られており、多種多様な肉代替え製品にスパン、押し出し、および加工できる。
【0007】
最良の市販ダイズベース肉代用品は高価で腐敗しやすい。これらは冷凍または乾燥のいずれかで販売される。凍結形態では、それらは使用するのに解凍しなくてはならない。乾燥形態では、それらは肉に似せるために再水和しなくてはならない。しかし乾燥は著しく品質を変化させ、低下させる。品質がより劣るダイズベースの肉代用品は味が豆のようであり、性質が粗雑であり、乾燥されて販売される。これらを単独で使用することは意図されない。
【0008】
より密接に肉に似て、直接使用できる状態で保持できる、安価なダイズベースの肉代用品が製造できれば有用であろう。このような製品中では、次の4つの条件が満たされなくてはならない。(1)食物はそれが置き換えを試みる肉より安価でなくてはならない、(2)肉が使用されるのと同一様式での使用を可能にするように、それはテクスチャーおよび水分含量が肉に非常に類似していなくてはならない、(3)それは適切な栄養価を有さなくてはならない、および(4)それは保存中に安定していなくてはならない。
【0009】
市販のテクスチャー加工ダイズタンパク質材料を製造する既存の技術は、今やますます味の良い製品を産出している。豆の風味および味は減少している。タンパク質含量は70%以上に向けて増大している。ポンドあたりの価格は低下している。したがって上の第1の条件は解決されている。しかしこのような入手できるテクスチャー加工ダイズ製品は、性質がスポンジ様である。このため例えばそれらを指で圧搾すると、それらが水和時に含有した液体が容易に放出される。それは肉に類似するには早く浸出しすぎる。肉では、このような加圧は流体または肉汁のいくらかの放出をもたらすが、スポンジほどではない。
【0010】
押し出しダイズ製品のテクスチャーを改質するために、様々な原料混合物が使用されている。これには小麦タンパク質グルテンが挙げられる。グルテンをドライミックスに添加して、次にミックスを押し出しすると、ダイズグルテンベースのテクスチャーにおける恒久的な変質が実際にもたらされる。タンパク質の品質もまた改善される。しかしそうすることによって押し出し過程でグルテンが変性し、完成品は出発原料が最初に示す液体保持能力を失う。
【0011】
全ての現在使用されるテクスチャー加工ダイズタンパク質製造ステップは、水、水溶性および脂肪可溶性材料を保持する不十分な能力をもたらす。ダイズタンパク質は不溶性になる。したがって肉それ自体ができるように機能できない、最終肉代用品が全て帰結する。この水保持不良のために、特に赤味肉において肉の外観を作り出すのに必要な色を保持することもまた困難である。
【0012】
動物肉タンパク質は、ヒトの食餌における良質栄養源である。このようなタンパク質は、それらの風味、栄養価のバランスのために所望され、唯一の最も完全な必須アミノ酸源としての機能を果たす。肉および肉製品は、ほとんどの人々の食餌において歴史的に重要度が高いが、ますます費用がかかるようになってきた。その結果、充填材成分が添加されて栄養価が増強され、製造コストが低減されている。植物性構成要素を添加して、コレステロールを中和することができる。デンプンおよび小麦粉などの脂肪代替物質成分を添加して、栄養価をさらに増強できる。その他の成分を添加して、得られる製品の栄養価を高め、特定文化内での受け入れのために風味付けできる。ここで述べられる方法および製品は、冷却なしで長期にわたる貯蔵寿命を有するタンパク質強化源を提供するだけでなく、充填材によって増量された従来の肉タンパク質ベースの製品よりも低コストで作ることができる、栄養的に健全な製品も提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質材料、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(iii)トリグリセリド、
(iv)食品等級(food grade)酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、および
(vi)食品等級エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤、および
(C)水
を含んでなるダイズタンパク質含有食品に関する。
【0014】
別の実施態様では、本発明は、
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズタンパク質単離物の少なくとも1つからなる群から選択されるダイズタンパク質材料を水和するステップと、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(ii)トリグリセリド、
(iv)食品等級酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、または
(vi)食品等級エマルジョンの少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤を添加するステップと、
水和したダイズタンパク質材料および保湿剤を混合して、少なくとも約50重量%の水分含量を有するダイズタンパク質含有食品を生成するステップと、
を含んでなる、ダイズタンパク質含有食品の調製方法を開示する。
【0015】
製品および製品を製造する方法の双方が、動物性脂肪および肉をさらに含んでなってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ダイズタンパク質含有食品は、100%肉無し製品であってもよく、または無水ベースで50重量%までの肉を含有してもよい。この食品は、未調理状態および様々な調理状態の双方において、様々な肉の色と類似した着色を有することで際だっている。未調理状態では、製品は内外双方の部分で赤色である。調理状態では製品内部の色は赤、赤褐色または褐色であり、外部の色は褐色である。褐色の外部がある赤い内部の色は、レアの状態の肉片に似た製品を示唆する。赤さの異なる内部の赤褐色は(赤からピンクがかった褐色で、外部は褐色)ミディアムレアからミディアムウェルダンの肉を表す。外部が褐色で内部が褐色は、ウェルダンの肉を表す。
【0017】
定義
ここでの用法では「ダイズ材料」という用語は、非ダイズ由来の添加剤を含有しない、全ダイズに由来する材料と定義される。もちろんこのような添加剤をダイズ材料に添加して、ダイズ材料にさらなる機能性または栄養素含量を提供してもよい。「ダイズ」という用語は、種ダイズ(Glycine max)、ツルマメ(Glycine soja)、またはダイズ(Glycine max)と有性的に交配適合性のあらゆる種を指す。
【0018】
「タンパク質含量」という用語は、ここでの用法ではそれぞれその内容全体を本願明細書に引用した、ダイズ材料サンプルの全窒素含量をアンモニアとして、タンパク質含量をサンプルの全窒素含量の6.25倍として測定する、A.O.C.S.(米国油脂化学協会(American Oil Chemists Society))公定法Bc 4−91(1997)、Aa 5−91(1997)、またはBa 4d−90(1997)によって確認された、ダイズ材料の相対タンパク質含量を指す。
【0019】
タンパク質含量の測定に使用したA.O.C.S.法Bc 4−91(1997年)、Aa 5−91(1997年)、およびBa 4d−90(1997年)の窒素−アンモニア−タンパク質修正ケルダール法は、ダイズ材料サンプルに次のように実施してもよい。0.0250〜1.750gのダイズ材料を標準ケルダールフラスコに秤り入れる。16.7gの硫酸カリウム、0.6gの二酸化チタン、0.01gの硫酸銅、および0.3gの軽石の市販触媒混合物をフラスコに添加し、次に30mLの濃硫酸をフラスコに添加する。沸石を混合物に添加して、サンプルを沸騰水浴中でおよそ45分間加熱してサンプルを消化する。消化中にフラスコを少なくとも3回、回転させるべきである。サンプルに300mLの水を添加して、サンプルを室温に冷却する。受け入れフラスコの底にある蒸留排出管の末端を覆うのに十分に、標準0.5N塩酸および蒸留水を留出物受け入れフラスコに入れる。消化溶液を強アルカリ性にするのに十分な量の水酸化ナトリウム溶液を消化フラスコに添加する。次に即座に消化フラスコを蒸留排出管に接続し、振盪によって消化フラスコ内容物を完全に混合し、少なくとも150mLの留出物が収集されるまで、消化フラスコを約7.5分の沸騰速度で加熱する。次にエチルアルコール中0.1%のメチルレッド指示液を3または4滴使用して、受け入れフラスコ内容物を0.25N水酸化ナトリウム溶液で滴定する。全ての点で同様の全試薬のブランク測定をサンプルと同時に行い、試薬について測定されたブランクについて補正を行う。粉砕サンプルの水分含量を下で述べられる手順(A.O.C.S公定法Ba 2a−38)に従って測定する。式、窒素(%)=1400.67×[[(標準酸規定度)×(サンプルに使用した標準酸容積(mL))]−[(1mLの標準酸を滴定するのに必要な標準塩基容積から、方法を達成して1mLの標準酸中に蒸留された試薬ブランクを滴定するのに必要な標準塩基容積を指しひいいたもの(mL))×(標準塩基規定度)]−[(サンプルに使用した標準塩基容積(mL))×(標準塩基規定度)]]/(サンプルのmg数)に従って、サンプルの窒素含量を測定する。タンパク質含量はサンプルの窒素含量の6.25倍である。
【0020】
「水分含量」という用語は、ここでの用法では材料中の水分量を指す。材料の水分含量は、その内容全体を本願明細書に引用したA.O.C.S.(米国油脂化学協会)方法Ba 2a−38(1997年)によって測定できる。方法に従って、イリノイ州シカゴのSeedboro Equipment Co.から入手できる6×6リフルデバイダーに1000gの粉砕材料サンプルを通過させ、サンプルサイズを100gに低下させて材料の水分含量を測定してもよい。次に即座に100gのサンプルを気密容器に入れて秤量する。5gのサンプル(「サンプル重量」)を風袋水分皿(最小30ゲージ、およそ50×20mm、ぴったり閉まるカバー付き、Sargent−Welch Co.から入手できる)に秤り取る。サンプルを含有する皿を強制通気オーブンに入れ、130±3℃で2時間乾燥させる。次に皿をオーブンから取り出して即座に覆い、デシケータ内で室温に冷却する。次に皿を秤量して「乾燥重量」を得る。式、水分含量(%)=100×[(サンプル重量−乾燥重量)/サンプル重量]に従って、水分含量を計算する。
【0021】
互換性に使用される「無水ベースの重量」または「乾燥ベースの重量」という用語は、ここでの用法では乾燥させて全水分を完全に除去した後の、例えば材料の水分含量が0%である材料重量を指す。具体的には、ダイズ材料の無水ベースの重量は、ダイズ材料が恒量に達するまでダイズ材料を45℃のオーブンに入れた後に、ダイズ材料を秤量して得ることができる。
【0022】
「ダイズタンパク質単離物」という用語は、ここでの用法ではダイズタンパク質産業における従来の意味で使用される。具体的にはダイズタンパク質単離物は、無水ベースで少なくとも90%のダイズタンパク質のタンパク質含量を有するダイズ材料である。技術分野における用法での「単離されたダイズタンパク質」は、ここでの用法そして技術分野での用法における「ダイズタンパク質単離物」と同一の意味を有する。ダイズタンパク質単離物は、子葉からダイズ外皮および胚芽を除去して子葉を圧扁または粉砕し、圧扁または粉砕子葉から油を除去して、子葉繊維から子葉のダイズタンパク質および炭水化物を分離し、引き続いて炭水化物からダイズタンパク質を分離して、ダイズから形成される。
【0023】
「ダイズタンパク質濃縮物」という用語は、ここでの用法ではダイズタンパク質産業における従来の意味で使用される。具体的にはダイズタンパク質濃縮物は、無水ベースで65%〜約90%までのダイズタンパク質のタンパク質含量を有するダイズ材料である。ダイズタンパク質濃縮物はまた、典型的に無水ベース重量で3.5%から5%までのダイズ子葉繊維のダイズ子葉繊維も含有する。ダイズタンパク質濃縮物は、子葉からダイズ外皮および胚芽を除去し子葉を圧扁または粉砕して、圧扁または粉砕子葉から油を除去し、子葉の炭水化物からダイズタンパク質およびダイズ子葉繊維を分離して、ダイズから形成される。
【0024】
「ダイズタンパク質粉」という用語は、ここでの用法では粒子が100号メッシュ(米国標準規格)ふるいを通過できるようなサイズを有する粒子の形状をなす、好ましくは約1%未満の油を含有する脱脂ダイズ材料の粉砕された形態を指す。従来のダイズ粉砕プロセスを使用して、ダイズケーク、チップ、フレーク、ミール、または材料混合物をダイズ粉に細かく砕く。ダイズ粉は無水ベースで約49%〜約65%のダイズタンパク質含量を有する。好ましくは粉は非常にきめ細かく、最も好ましくは約1%の未満の粉が300メッシュ(米国標準規格)ふるい上に保持されるように粉砕される。
【0025】
米は、約6%〜約10%のタンパク質を含有するでんぷん質の多い食物である。「米粉」という用語は、ここでの用法では砕け米を粉砕して得られる米製粉の安価な副産物に関する。従来の製粉慣習は、一般に約80%の炭水化物から構成される米粉を生じる。米中のタンパク質の低濃度、および満足できるタンパク質摂取量を得るのに必要な嵩のために、乳幼児はタンパク質要件を満たすのに十分な量を食べられない。
【0026】
「デンプン」という用語は、ここでの用法ではあらゆる天然源に由来する全てのデンプンを含むことが意図され、そのいずれもがここで使用するのに適するかもしれない。天然デンプンとは、ここでの用法では自然界にみられるものである。また適切なのは、交雑をはじめとする標準育種技術、転位、逆位、形質転換、またはその他の遺伝子または染色体操作法によって得られる植物、そのバリエーションに由来するデンプンである。さらに既知の突然変異育種の標準方法によって生じてもよい人工突然変異から生育した植物、および上の総称的組成物のバリエーションに由来するデンプンもまた、ここでは適切である。
【0027】
典型的なデンプン源は、穀類、塊茎、根、マメ科植物、および果物である。天然源は、コーン(トウモロコシ)のもち性変種、エンドウ豆、ジャガイモ、甘藷、バナナ、オオムギ、小麦、米、カラスムギ、サゴ、アマランス、タピオカ(キャッサバ)、クズウコン、カンナ、およびソルガム特にトウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、および米であることができる。ここでの用法では「もち性」または「低アミロース」は、約10重量%以下のアミロースを含有するデンプンを含むことが意図される。本発明で特に適切なのは、約5重量%以下のアミロースを含有するデンプンである。
【0028】
「無グルテンデンプン」という用語は、ベーカリーミックス製品の多くの主成分である変性タピオカデンプンに関する。無グルテンまたは実質的に無グルテンのデンプンは、小麦−、コーン−、およびタピオカベースのデンプンからできており、小麦、カラスムギ、ライ麦またはオオムギからのグルテンを含有しないため「グルテン−フリー」であり、これはセリアック病および/または小麦アレルギーと診断された人々にとって、特に重要な要素である。
【0029】
「小麦粉」という用語は、小麦の製粉から得られる粉に関する。小麦粉の粒度は典型的に約14〜120μmである。小麦粉は、典型的に約11.7〜約14%のタンパク質、および約3.7〜約10.9%の繊維を含有する。
【0030】
「グルテン」という用語は、高タンパク質含量ならびにユニークな構造および粘着特性を有する、小麦粉中のタンパク質画分に関する。新鮮に抽出された湿潤状態では、それはガムグルテンとして知られており、その後乾燥させると、それは高タンパク質含量で淡泊な味の易流動性粉末になる。これは一般にその形態で食品加工において使用される。
【0031】
「ダイズ子葉繊維」という用語は、ここでの用法では少なくとも70%の繊維(多糖類)を含有するダイズ子葉の繊維質の部分を指す。ダイズ子葉繊維は、典型的にいくらかの量のダイズタンパク質を含有するが、また100%繊維であってもよい。ダイズ子葉繊維は、ここでの用法ではダイズ外殻繊維を指さない、または含まない。混乱を避けるために、「繊維」という用語は、ここでの用法では(この段落を除いて)ダイズ子葉繊維ではなく、一般にタンパク質−タンパク質相互作用によって、ダイズタンパク質材料を押し出し加工するプロセスにおいて形成される繊維を指す。さらに混乱を避けるために、ダイズ子葉繊維は、ここでは「繊維」としてではなく「ダイズ子葉繊維」としてのみ言及される。ダイズ子葉繊維は、子葉からダイズの外皮および胚芽を除去し、子葉を圧扁または粉砕して圧扁または粉砕子葉から油を除去し、ダイズタンパク質および子葉の炭水化物からダイズ子葉繊維を分離して、ダイズから形成される。
【0032】
「保湿剤」という用語は、ここでの用法では水分保持を指す。別の物質に添加されて、それを湿潤に保つあらゆる物質が保湿剤である。食物への保湿剤の添加は、食物を湿潤に保つ効果を有する。食物中の水分損失を阻害することは、食物を新鮮かつ柔軟に保つ。
【0033】
ダイズタンパク質材料(A)
一実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)は、ダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質粉、またはそれぞれのその他のものとの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質源である。ダイズタンパク質源が混合物である場合、ダイズタンパク質材料(A)中の良好なタンパク質繊維形成を確実にするために、ダイズタンパク質単離物と別のダイズタンパク質との混合物は、ダイズタンパク質単離物とその他のダイズタンパク質とを合わせた重量の少なくとも約50%のダイズタンパク質単離物を含有するべきである。ダイズタンパク質材料(A)は、デンプン、無グルテンデンプン、米粉、小麦粉、小麦グルテン、ダイズ子葉繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構成要素をさらに含んでなってもよい。
【0034】
別の実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)が水およびダイズタンパク質単離物の押し出し製品である場合、小麦粉、小麦グルテン、およびそれらの混合物からなる群から選択される約2%〜約20重量%の少なくとも1つと共に、乾燥ベースで約2%〜約20重量%のデンプンまたは無グルテンデンプンが存在し、残部がダイズタンパク質単離物である。
【0035】
別の実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)が水およびダイズタンパク質源の押し出し製品である場合、米粉、無グルテンデンプン、およびそれらの混合物からなる群から選択される乾燥ベースで約2%〜約20重量%の少なくとも1つが使用され、ダイズタンパク質材料(A)の残部は、ダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質粉、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0036】
別の実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)が水およびダイズタンパク質源の押し出し製品である場合、乾燥ベースで約1%〜約20重量%のダイズ子葉繊維が使用され、ダイズタンパク質材料(A)の残部は、ダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質粉、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0037】
別の実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)が水およびダイズタンパク質源の押し出し製品である場合、乾燥ベースで約1%〜約20重量%のダイズ子葉繊維および約10%〜約50重量%の小麦粉または小麦グルテンが使用され、残部は、ダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質粉、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
別の実施態様では、ダイズタンパク質材料(A)が水およびダイズタンパク質源の押し出し製品である場合、乾燥ベースで約1%〜約20重量%のダイズ子葉繊維および約10%〜約50重量%の小麦粉または小麦グルテンが使用され、ダイズタンパク質材料(A)はまた、約1%〜約15重量%のデンプンを含んでもよく、残部はダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質粉、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
ダイズタンパク質材料(A)は、ダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズタンパク質粉の1つ以上と水とを押し出し加工して、またはダイズタンパク質単離物、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズタンパク質粉の1つ以上と水とをデンプン、無グルテンデンプン、米粉、小麦粉および小麦グルテン、およびダイズ子葉繊維の上述の構成要素の1つ以上と共に押し出し加工して製造される。ダイズタンパク質材料(A)は、約4%〜約80%の水分含量を有する。ダイズタンパク質材料(A)を製造するのに用いられる水分条件は、低水分ダイズタンパク質材料(A)(約4%から約50%未満まで)および高水分ダイズタンパク質材料(A)(少なくとも約50%〜約80%)である。ダイズタンパク質材料(A)の製造においては、蒸煮押し出し機内において、増大する温度、圧力、および剪断条件下で、上の成分が水と共に加熱され、成分混合物がダイを通して押し出し加工される。押し出しに際して、低下する圧力(通常、大気圧)の媒体に入るにつれて、押し出し物は一般に膨張し繊維質のセル状構造を形成する。繊維質のセル状構造を形成するための押し出し方法はよく知られており、例えば米国特許第4,099,455号明細書で開示されている。
【0040】
ダイズタンパク質材料(A)のダイズタンパク質含量は、低水分ダイズタンパク質材料(A)または高水分ダイズタンパク質材料(A)であるかに関わらず、無水ベースで約30%〜約90重量%である。低水分ダイズタンパク質材料(A)では、水分を含めたダイズタンパク質含量は約50%を超えて約90重量%までである。高水分ダイズタンパク質材料(A)では、水分を含めたダイズタンパク質含量は約30%〜約50重量%である。
【0041】
高度に加水分解されたダイズタンパク質単離物は、加工においてタンパク質繊維を適切に形成するタンパク質鎖長を欠くので、ダイズタンパク質単離物は、低分子量分布を有する高度に加水分解されたダイズタンパク質単離物であってはならない。しかし高度に加水分解されたダイズタンパク質単離物は、合わせたダイズタンパク質単離物の高度に加水分解されたダイズタンパク質単離物含量が、合わせたダイズタンパク質単離物の約40重量%未満であるという条件で、その他のダイズタンパク質単離物と組み合わせて使用してもよい。
【0042】
利用されるダイズタンパク質単離物は、単離物中のタンパク質が押し出しに際して繊維を形成できるように、十分な保水容量を有するべきである。ダイズタンパク質単離物の保水容量は、水和時にタンパク質が被る膨潤量の尺度である。タンパク質の膨潤は、タンパク質が分子間接触を形成して、繊維形成を生じさせるのを確実にするのに十分でなくてはならない。本発明の方法で使用されるダイズタンパク質単離物は、好ましくはpH7.0でダイズタンパク質単離物(そのまま)1gあたり少なくとも約4.0gの水の保水容量を有し、より好ましくはpH7.0でダイズタンパク質単離物(そのまま)1gあたり少なくとも約5.0gの水の保水容量を有する。保水容量は遠心分離法を使用して測定される。
【0043】
ダイズタンパク質単離物1gあたり少なくとも約4.0gの水の水分保持能を有して本発明で有用な非高度加水分解ダイズタンパク質単離物は、例えばミズーリ州セントルイスのSolae,LLCから市販され、SUPRO(登録商標)500E、SUPRO(登録商標)EX33、SUPRO(登録商標)620、SUPRO(登録商標)630、およびSUPRO(登録商標)545が挙げられる。
【0044】
ダイズタンパク質源として有用なダイズタンパク質単離物は、ダイズからダイズタンパク質製造産業の従来のプロセスに従って生成されてもよい。例示的なこのようなプロセスでは、ダイズフレーク、ダイズ粉、大豆グリッツ、またはダイズミールを形成する従来のプロセスに従って、全ダイズを最初にゴミを除去して挽き割り、外殻除去し胚芽除去して脱脂する。ダイズは、磁気選別機にダイズを通過させて、鉄、鋼、およびその他の磁気感受性対象物を除去して、続いてダイズを徐々に小さくなるメッシュのふるい上で振盪して、土壌残留物、サヤ、茎、雑草の種、サイズ不十分のマメ、およびその他のゴミを除去して、ゴミを除去してもよい。ダイズを挽き割りロールに通過させて、ゴミを除去したダイズを挽き割りしてもよい。挽き割りロールは、ダイズがロールを通過する際に外皮を緩めて、ダイズ材料をいくつかの断片に挽き割りするねじれカット波形シリンダーである。次に挽き割りダイズを吸引によって外殻除去してもよい。外殻除去ダイズを小さいサイズの胚芽を除去して、マメのより大きい子葉を保持するのに十分に小さいメッシュサイズのふるい上で振盪して、外殻除去ダイズを胚芽除去する。次に子葉を圧扁ロールに通過させて子葉を圧扁する。圧扁子葉は、フレークから油を機械的連続圧搾し、またはフレークとヘキサンまたはその他の適切な親油性/疎水性溶剤とを接触させて、フレークから油を抽出して脱脂される。所望ならば脱脂フレークを粉砕して、ダイズ粉、ダイズグリッツ、またはダイズミールを形成してもよい。
【0045】
次に脱脂ダイズフレーク、ダイズ粉、大豆グリッツ、またはダイズミールを典型的に約7.5〜約11.0のpHを有する希釈水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ性水溶液で抽出し、不溶物からアルカリ性水溶液中で可溶性のタンパク質を抽出する。不溶物は、主として不溶性の炭水化物から構成されるダイズ子葉繊維である。引き続いて可溶性タンパク質を含有する水性アルカリ性抽出物を不溶物から分離し、次に抽出物を酸で処理して抽出物のpHをダイズタンパク質の等電点近辺、好ましくは約4.0〜約5.0のpH、および最も好ましくは約4.4〜約4.6のpHに低下させる。等電点のまたはその近くの水溶液中ではタンパク質の溶解性が欠如するために、ダイズタンパク質が酸性化された抽出物から沈殿する。次に沈殿したタンパク質カードを残留抽出物(ホエー)から分離する。分離したタンパク質を水で洗浄して、タンパク質材料から残留可溶性炭水化物および灰分を除去してもよい。次に噴霧乾燥またはトンネル乾燥などの従来の乾燥手段を使用して分離したタンパク質を乾燥させ、ダイズタンパク質単離物を形成する。
【0046】
ダイズタンパク質濃縮物をダイズタンパク質単離物と混合し、ダイズタンパク質源として存在するダイズタンパク質単離物の一部を置き換えてもよい。ダイズタンパク質単離物は、一般に、ダイズタンパク質濃縮物より高い保水容量を有して、より良い繊維を形成する。したがってダイズタンパク質単離物に置換されるダイズタンパク質濃縮物の量は、押し出し物中に顕著な繊維形成ができる量に制限されるべきである。好ましくはダイズタンパク質単離物の一部をダイズタンパク質濃縮物で置き換える場合、ダイズタンパク質濃縮物は、最大でダイズタンパク質単離物の40%重量までを置き換え、より好ましくはダイズタンパク質単離物の30重量%までを置き換える。
【0047】
ダイズタンパク質材料源として有用なダイズタンパク質濃縮物は市販される。例えばダイズタンパク質濃縮物Promine DSPC、Procon、Alpha 12、およびAlpha 5800がミズーリ州セントルイスのSolae(登録商標),LLCから入手できる。本発明で有用なダイズタンパク質濃縮物はまた、ダイズタンパク質製造産業における従来のプロセスに従ってダイズから製造されてもよい。例えば上述のように製造された脱脂ダイズフレーク、ダイズ粉、大豆グリッツ、またはダイズミールを水性エタノール(好ましくは約60%〜約80%水性エタノール)で洗浄して、ダイズタンパク質およびダイズ繊維から可溶性炭水化物を除去してもよい。引き続いてダイズタンパク質およびダイズ繊維含有材料を乾燥させて、ダイズタンパク質濃縮物を生成する。代案としては脱脂ダイズフレーク、ダイズ粉、大豆グリッツ、またはダイズミールをpH約4.3〜約4.8を有する水性酸性洗浄液で洗浄して、ダイズタンパク質およびダイズ繊維から可溶性炭水化物を除去してもよい。引き続いてダイズタンパク質およびダイズ繊維含有材料を乾燥させて、ダイズタンパク質濃縮物を生成する。
【0048】
ダイズタンパク質材料中に、ダイズ子葉繊維の形態で追加的繊維が存在してもよい。ダイズタンパク質材料で利用されるダイズ子葉繊維は、ダイズタンパク質およびダイズ子葉繊維の混合物を同時押し出しする際に、効果的に水と結合しなくてはならない。ダイズ子葉繊維は水に結合することで、押し出し物が冷却ダイを押し出されるのに伴って、押し出し物全体に粘度勾配を誘発し、それによってタンパク質繊維の形成を促進する。本発明のプロセスの目的のため効果的に水に結合させるために、ダイズ子葉繊維はダイズ子葉繊維1gあたり少なくとも水5.50gの保水容量を有さなくてはならならず、好ましくはダイズ子葉繊維はダイズ子葉繊維1gあたり少なくとも6.0gの水の保水容量を有する。ダイズ子葉繊維がダイズ子葉繊維1gあたり最大で8.0gの水の保水容量を有することもまた好ましい。
【0049】
ダイズ子葉繊維は複合糖質であり市販される。例えばFIBRIM(登録商標)1260およびFIBRIM(登録商標)2000は、本発明で良好に機能するミズーリ州セントルイスのSolae,LLCから市販されるダイズ子葉繊維材料である。本発明で有用なダイズ子葉繊維はまた、ダイズ加工産業における従来のプロセスに従って生成されてもよい。例えば上述のようにして生成された脱脂ダイズフレーク、ダイズ粉、大豆グリッツ、またはダイズミールをダイズタンパク質単離物の製造について上述したようにアルカリ性水溶液で抽出して、水性アルカリ性可溶性ダイズタンパク質および炭水化物から不溶性のダイズ子葉繊維を分離してもよい。次に分離したダイズ子葉繊維を好ましくは噴霧乾燥によって乾燥し、ダイズ子葉繊維製品を生成する。ダイズ子葉繊維は、ダイズタンパク質材料中に一般に無水ベースで約1%〜約20%、好ましくは約1.5%〜約15%、最も好ましくは約2%〜約10重量%で存在する。
【0050】
ダイズ繊維の控えめな濃度は、タンパク質分子の架橋を邪魔するのに効果的であり、したがってダイを出る蒸煮押し出し物中に過剰なゲル強度が生じるのを防止すると考えられる。同じく水分を吸収するタンパク質とは違って、ダイズ繊維はダイ出口温度における圧力解放に際して容易に水分を放出する。
【0051】
ダイズタンパク質源およびダイズ子葉繊維と混合して押し出す成分として、小麦粉、小麦グルテンまたはそれらの混合物を使用してもよい。小麦グルテンは経済的タンパク質源を提供し、ダイズタンパク質源の一部を置き換えてもよい。小麦グルテンのタンパク質は非常に低い保水容量を有し、押し出しに際してそれ自体は顕著なタンパク質繊維を形成するのに効果的でない。したがってダイズタンパク質源、ダイズ子葉繊維、およびその他の成分の混合物中の小麦グルテンの量は、無水成分ベースで混合物の約60%未満に限定されるべきである。好ましくは小麦グルテンは、無水ベースで約10%〜約50重量%、好ましくは無水ベースで約12%〜約45重量%、最も好ましくは無水ベースで約15%〜約40重量%でダイズタンパク質材料(A)中に存在する。小麦グルテンは市販される成分である。本発明で有用な好ましい市販される小麦グルテンは、Manildra Millingから入手できるGem of the Star Glutenである。
【0052】
ダイズタンパク質材料およびダイズ子葉繊維と混合して押し出す成分として、デンプン材料もまた使用してもよい。デンプンを使用して、ダイズタンパク質材料、ダイズ子葉繊維、デンプン、およびその他の成分を押し出して生成される繊維質材料にテクスチャーを提供してもよい。使用されるデンプン材料は、好ましくは天然デンプンである。デンプン材料は、よく知られている従来の方法によって、コーン、小麦、ジャガイモ、米、クズウコン、およびキャッサバなどの多様な植物から単離されてもよい。本発明のプロセスにおいて有用なデンプン材料としては、以下の市販デンプンが挙げられる。コーン、小麦、ジャガイモ、米、高アミロースコーン、もち性トウモロコシ、クズウコン、およびタピオカ。好ましくは使用されるデンプン材料は、コーンデンプンまたは小麦デンプンであり、最も好ましくは市販されるデントコーンデンプンまたは天然小麦デンプンである。デンプンは無水ベースで約1%〜約15重量%、好ましくは無水ベースで約2%〜約12重量%、最も好ましくは無水ベースで約5%〜約10重量%でダイズタンパク質材料(A)中に存在する。好ましいデントコーンデンプンは、A.E.Staley Mfg.,Co.からデントコーンデンプン、タイプIV、Pearlとして市販される。
【0053】
好ましくは香料成分もまた、ダイズタンパク質材料およびダイズ子葉繊維と共に混合され押し出される。好ましい香料成分は、ダイズタンパク質材料およびダイズ子葉繊維を押し出して生成する繊維質材料に肉様香気を提供するものである。好ましい香料成分としては、ビーフ香料、チキン香料、焼き物香料、およびモルト抽出物が挙げられ、全て香料成分製造業者から市販される。
【0054】
低水分ダイズタンパク質材料(A)の調製に適した押し出しプロセスは、ダイズタンパク質源、ダイズ子葉繊維、小麦グルテン、およびデンプン調合物の特定成分を混合タンク(すなわち成分配合機)に装入して成分を合わせ、ドライブレンドダイズタンパク質材料プレミックスを生成するステップを含んでなる。次にドライブレンドダイズタンパク質材料プレミックスをホッパーに移し、それからドライブレンド成分をプレコンディショナーに装入し、調整された繊維質材料混合物を形成する。次に調整されたダイズタンパク質材料を押し出し装置(すなわち押し出し機)に供給し、その中で押し出し機のスクリューによって発生する機械的圧力下において、ダイズタンパク質材料混合物を加熱し、溶融押し出し物を形成させる。溶融押し出し物は、押し出しダイを通って押し出し機を出る。
【0055】
プレコンディショナー内では、微粒子固形分ミックスが予熱されて水分と接触され、制御温度および圧力条件下に保持されて、水分を浸透させて個々の粒子を軟化する。調整ステップは微粒子ダイズタンパク質材料混合物の嵩密度を増大させて、その流れ特性を改善する。プレコンディショナーは1つ以上のパドルを含有してタンパク質の均一の混合、およびプレコンディショナーを通るタンパク質混合物の移動を促進する。パドルの構成および回転速度は、プレコンディショナーの容量、押し出し機処理能力、および/またはプレコンディショナーまたは押し出し機バレル内における繊維質材料混合物の所望の滞留時間次第で大きく異なる。一般にパドルの速度は、毎分回転数約500〜約1300(rpm)である。
【0056】
典型的にダイズタンパク質材料混合物は、少なくとも約45℃(110°F)の温度でプレミックスと水分(すなわち蒸気および/または水)とを接触させることで、押し出し装置内への装入に先だって調整される。しかしプレコンディショナー内のより高い温度(すなわち85℃(185°F)を超える温度)は、デンプンが糊化するのを促進するかもしれず、次にそれは塊の形成を引き起こすかもしれず、それはプレコンディショナーから押し出し機バレルへのタンパク質混合物の流れを妨害するかもしれないことが観察されている。
【0057】
典型的にダイズタンパク質材料プレミックスは、コンディショナーの速度およびサイズ次第で、約30〜約60秒間にわたり調整される。ダイズタンパク質材料プレミックスは、プレコンディショナー内で蒸気および/または水と接触され、所望の温度を与える一般に一定の蒸気流内で加熱される。水および/または蒸気は、タンパク質が組織化される押し出し機バレルへの装入に先だって、ダイズタンパク質材料混合物を調整して(すなわち水和させ)その密度を増大させ、妨害することなく乾燥ミックスの流動性を容易にする。
【0058】
調整されたプレミックスは、(重量で)約5%〜約30%の水を含有してもよい。調整されたプレミックスは、典型的に約0.25g/cm3〜約0.6g/cm3の嵩密度を有する。一般に調整されたタンパク質混合物の嵩密度がこの範囲内で増大すると、タンパク質混合物は加工が容易になる。これは現在、このような混合物が押し出し機のスクリュー間の全てまたは大部分の空間を占有し、それによってバレルを通して押し出し物を運搬するのを促進するためであると考えられている。
【0059】
調整されたプレミックスは、一般に約10kg/分以下の(約20ポンド/分以下の)速度で押し出し装置に装入される。一般にプレミックスの押し出し機へのタンパク質速度が増大するにつれ、押し出し物密度が減少することが観察されている。
【0060】
押し出し装置は、多種多様な食用製品の製造において長期にわたり使用されている。1つの適切な押し出し装置は、例えば米国特許第4,600,311号明細書で述べられるような双胴二軸押し出し機である。市販される双胴二軸押し出し装置の例としては、フロリダ州タンパのClextral,Inc.によって製造されるCLEXTRALモデルBC−72押し出し機、カンサス州サベサのWengerによって製造されるWENGERモデルTX−57押し出し機、およびカンサス州サベサのWengerによって製造されるWENGERモデルTX−52押し出し機が挙げられる。本発明で使用するのに適したその他の従来の押し出し機については、例えば参照によってここに編入する米国特許第4,763,569号明細書、米国特許第4,118,164号明細書、および米国特許第3,117,006号明細書で述べられている。
【0061】
二軸押し出し機のスクリューは、バレル内で同一または反対方向に回転できる。同一方向のスクリューの回転が単流と称されるのに対し、反対方向のスクリュー回転は複流と称される。押し出し機のスクリューまたはスクリュー群の速度は、特定の装置次第で異なってよい。しかしスクリュー速度は、典型的に毎分回転数約250〜約350(rpm)である。一般にスクリュー速度が増大すると、押し出し物の密度は低下する。
【0062】
押し出し装置は、一般にタンパク質混合物が押し出しダイを通って押し出し装置を出るのに先だって、機械的圧力の下でそれを通って運ばれる複数の加熱ゾーンを含んでなる。各連続する加熱ゾーン内の温度は、一般に前の加熱ゾーンの温度を約10℃〜約70℃(約15°F〜約125°F)超える。一実施態様では、調整されたプレミックスは、押し出し装置内の4つの加熱ゾーンを通って移動し、タンパク質混合物は、溶融押し出し物が約100℃〜約150℃(約212°F〜約302°F)の温度で押し出しダイに入るように、約100℃〜約150℃(約212°F〜約302°F)の温度に加熱される。
【0063】
押し出し機バレル内の圧力は、綿密に決定的ではない。典型的に押し出し物には少なくとも約400psig(約28バール)の圧力がかけられ、一般に最後の2つの加熱ゾーン内の圧力は、約1000psig〜約3000psig(約70バール〜約210バール)である。バレル圧力は、例えば押し出し機スクリュー速度、バレルへの混合物供給速度、バレルへの水供給速度、およびバレル内の溶融物粘度をはじめとする多数の要素に左右される。
【0064】
水を押し出し機バレル内に注入してダイズタンパク質材料混合物を水和し、タンパク質の組織化を促進する。溶融押し出し物を形成する助けとして、水が可塑剤として作用してもよい。水は加熱ゾーンと連絡する1つ以上の注入ジェットを通じて、押し出し機バレルに装入してもよい。典型的にバレル内の混合物は、約15%〜約30重量%の水を含有する。あらゆる加熱ゾーンへの水の装入速度は一般に制御されて、所望の特性を有する押し出し物の製造を促進する。バレルへの水の装入速度が低下すると、押し出し物の濃度が低下することが観察されている。典型的にタンパク質1kgあたり約1kg未満の水がバレルに装入される。一般にタンパク質1kgあたり約0.1kg〜約1kgの水がバレルに装入される。
【0065】
押し出し装置内の溶融押し出し物はダイを通って押し出され、押し出し物が生成し、次にそれを乾燥機内で乾燥させてもよい。
【0066】
押し出し条件は、一般に押し出し機バレルから出てくる製品が、典型的に湿潤ベースで、約20%〜約45(重量)%の水分含量を有するようなものである。水分含量は、押し出し機内に装入される混合物中に存在する水、調整中に添加される水分、および/または加工中に押し出し機バレル内に注入されるあらゆる水に由来する。
【0067】
圧力解放に際して、溶融押し出し物はダイを通って押し出し機バレルを出て、押し出し物内に存在する過熱された水は、瞬時に蒸気として放出され、材料の同時の膨張(すなわち膨れ)を引き起こす。押し出し物断面積とダイ開口部断面積との比率で見た、押し出し機から混合物が出る際の押し出し物の膨張レベルは、一般に約15:1未満である。典型的に、押し出し物断面積とダイ開口部断面積との比率は、約2:1〜約11:1である。
【0068】
押し出し物はダイを出た後に切断される。押し出し物を切断するのに適した装置としては、カンサス州サベサのWengerおよびフロリダ州タンパのClextralによって製造される可撓性のナイフが挙げられる。押し出し物がダイを出る際に、押し出し物を異なる寸法に切断してもよい。押し出し物は形状が円柱状である。切断間隔は、押し出し物がペニーコインの形状であるように小さくてもよく、またはする切断押し出し物が生のジャガイモのミニチュアに似るように切断間隔を約5cmに増大させてもよい。さらにジャガイモ形状の押し出し物をまた、細いストリップまたは小型のマッチ棒様片に切断してもよい。
【0069】
低水分ダイズタンパク質材料のために使用される場合、押し出し物を乾燥する乾燥機は、一般にその中で空気温度が異なってもよい複数の乾燥ゾーンを含んでなる。一般に1つ以上のゾーン内の空気温度は、約135℃〜約185℃(約280°F〜約370°F)である。典型的に押し出し物は、所望の水分含量を有する押し出し物を提供するのに十分な時間乾燥機内に存在する。この所望の水分含量は押し出し物の意図される用途次第で大きく異なってもよく、一般に4%〜約50重量%未満である。一実施態様では、水分含量は約4%〜約13重量%である。別の実施態様では、水分含量は約16%〜約30重量%である。押し出し物は、一般には少なくとも約5分、より一般には少なくとも約10分乾燥させる。適切な乾燥機としては、マサチューセッツ州メリマックのWolverine Proctor & Schwartz、ペンシルベニア州フィラデルフィアのNational Drying Machinery Co.、カンサス州サベサのWenger、フロリダ州タンパのClextral、およびイリノイ州レークブラフのBuehlerによって製造されるものが挙げられる。
【0070】
乾燥押し出し物をさらに細かく砕いて、押し出し物の平均粒度を低下させてもよい。適切な粉砕装置としては、英国のHosokawa Micron Ltd.によって製造されMikroハンマーミルなどのハンマーミルが挙げられる。
【0071】
低水分ダイズタンパク質材料(A)と保湿剤(B)とを合わせるのに先だって、乾燥時に4%〜13重量%の水分含量を有する低水分ダイズタンパク質材料を水が吸収されるまで、水和させる必要がある。低水分ダイズタンパク質材料が完全に乾燥していない場合、その水分含量はより高く一般に16%〜30重量%である。不完全乾燥低水分ダイズタンパク質材料は、保湿剤と合わせるのに先だって水和させる必要がある。しかし不完全乾燥低水分ダイズタンパク質材料を使用する場合、不完全乾燥低水分ダイズタンパク質材料を水和するのにより少ない水が必要であり、不完全乾燥低水分ダイズタンパク質材料の水和ははるかに速く起きる。低水分ダイズタンパク質材料は、水が原型を維持する繊維に吸収されるまで、または水が吸収されて繊維が分離するまで水和される。
【0072】
約4%〜約50%重量未満の低水分ダイズタンパク質材料を作るのに用いられる成分はまた、少なくとも約50%〜約80重量%の高水分ダイズタンパク質材料を作るのにも使用される。ダイズタンパク質源、ダイズ子葉繊維、およびその他の成分をドライブレンドし、混合タンク内で混合して成分を合わせてドライブレンドダイズタンパク質材料プレミックスを形成する。代案としては好ましくはプレコンディショナー内で、ダイズタンパク質源、ダイズ子葉繊維、およびその他の成分と水とを直接混合して、最初にドライブレンドすることなしに、生地を形成してもよい。
【0073】
好ましくは乾燥した成分と水を含む生地混合物は、プレコンディショナー内で生地混合物を加熱して押し出しのために調整される。好ましくは生地混合物は、プレコンディショナー内で50℃〜80℃、より好ましくは60℃〜75℃の温度に加熱される。
【0074】
次に生地混合物を蒸煮押し出し機内に供給して、生地混合物を加熱、剪断し、最終的に可塑化する。蒸煮押し出し機は、市販される蒸煮押し出し機から選択されてもよい。好ましくは蒸煮押し出し機は単軸押し出し機であり、またはより好ましくは生地をスクリュー要素で機械的に剪断する二軸押し出し機である。本発明の実施において有用な市販される蒸煮押し出し機としては、フロリダ州タンパのClextral,Inc.から市販されるClextral押し出し機、カンサス州サベサのWengerから市販されるWenger押し出し機、およびClextral,Inc.から市販されるEvolum押し出し機が挙げられる。本発明の実施において特に好ましい蒸煮押し出し機は、Clextral,Inc.から入手できるClextral BC72蒸煮押し出し機である。本発明の別の実施において好ましい蒸煮押し出し機は、EvolumからのEV32二軸押し出し機である。
【0075】
蒸煮押し出し機によって生地混合物に剪断応力および圧力がかけられて、生地混合物が可塑化される。蒸煮押し出し機のスクリュー要素は生地混合物を剪断すると同時に、押し出し機を通し、ダイを通して、生地混合物を前方に押し通すことで押し出し機内に圧力を生じさせる。スクリューモーター速度は、スクリュー(群)によって生地混合物にかけられる剪断および圧力量を定める。スクリューモーター速度は、好ましくは200rpm〜500rpm、より好ましくは300rpm〜400rpmの速度に設定され、それは生地混合物を少なくとも時速20kg、より好ましくは少なくとも時速40kgの速度で押し出し機を通して移動させる。蒸煮押し出し機は、好ましくは500〜1500psigの押し出し機バレル出口圧を発生させ、より好ましくは600〜1000psigの押し出し機バレル出口圧を発生させる。
【0076】
生地混合物は押し出し機を通過しながら、蒸煮押し出し機によって加熱される。加熱は生地混合物内のタンパク質を変性させ、生地混合物を可塑化させる。蒸煮押し出し機は、生地混合物を100℃〜180℃の温度に加熱する手段を含む。好ましくは蒸煮押し出し機中の生地混合物の加熱手段は、その中に蒸気または水などの加熱または冷却媒体が装入されて、押し出し機を通過する生地混合物の温度を制御してもよい、押し出し機バレルジャケットを含んでなる。蒸煮押し出し機はまた、蒸気を押し出し機内の生地混合物中に直接に注入するための蒸気注入ポート含んでもよい。蒸煮押し出し機は、好ましくは独立した温度に制御できる複数の加熱ゾーンを含み、そこでは加熱ゾーン温度は、好ましくは生地混合物が押し出し機を通って進むにつれて、生地混合物の温度を増大させるように設定される。例えば蒸煮押し出し機は、第1のゾーン(押し出し機の入り口ポートに隣接する)が80℃〜100℃の温度に設定され、第2のゾーンが100℃〜135℃の温度に設定され、第3のゾーンが135℃〜150℃の温度に設定され、第4のゾーン(押し出し機の出口ポートに隣接する)が150℃〜180℃の温度に設定される4つの温度ゾーン配列に設定されてもよい。蒸煮押し出し機は、必要に応じて、その他の温度ゾーン配列に設定されてもよい。例えば蒸煮押し出し機は、第1のゾーンが25℃の温度に設定され、第2のゾーンが50℃の温度に設定され、第3のゾーンが95℃の温度に設定され、第4のゾーンが130℃の温度に設定され、第5のゾーンが150℃の温度に設定される5つの温度ゾーン配列に設定されてもよい。
【0077】
可塑化生地混合物が押し出し機出口ポートを出る際に、冷却ダイを通って押し出し機から流れるように、蒸煮押し出し機には長い冷却ダイが装着される。生地混合物は蒸煮押し出し機内で溶融可塑化物を形成し、それは蒸煮押し出し機からダイの中に流れる。冷却ダイは熱い生地混合物が蒸煮押し出し機を出る際に、それを冷却して成形する。繊維形成は冷却ダイの冷却効果によって可塑化生地混合物中で誘発され、繊維質大豆タンパク質材料が形成される。繊維質大豆タンパク質材料は、ダイに取り付けられたダイプレートであってもよい、ダイ面の少なくとも1つの開口部を通って冷却ダイを出る。繊維質大豆タンパク質材料押し出し物は、押し出し物がダイ開口部(群)を出る際に切断する、ダイ開口部(群)に隣接して配置された切断ナイフで所望の長さに切断される。
【0078】
冷却ダイは、ダイに隣接する押し出し機の最終温度ゾーン内の蒸煮押し出し機内の温度よりも顕著により冷たい温度に維持される。冷却ダイは、温度を蒸煮押し出し機の出口温度よりも顕著により低い温度に維持する手段を含む。好ましくは冷却ダイは、ダイ温度を維持するために媒体を循環させるための入り口および出口ポートを含む。最も好ましくは、所望のダイ温度を維持するための循環媒体として一定温度の水が冷却ダイを通して循環される。好ましくは冷却ダイは80℃〜110℃の温度に維持され、より好ましくは冷却ダイは85℃〜105℃の温度に維持され、最も好ましくは冷却ダイは90℃〜100℃の温度に維持される。
【0079】
冷却ダイは、適切な繊維形成を誘導するため、可塑化生地材料がダイ通過中に十分に冷却されるのを確実にするために、好ましくは長い冷却ダイである。好ましい実施態様では、ダイは少なくとも200mmの長さ、およびより好ましくは少なくとも500mmの長さである。本発明のプロセスの実施において有用な長い冷却ダイは、例えばClextral,Inc.、E.I.du Pont de NemoursおよびCompany、およびKobe Steel,Ltd.から市販される。
【0080】
冷却ダイ開口部(群)の幅および高さ寸法を生地混合物の押し出しに先だって選択し設定して、繊維質ダイズタンパク質材料押し出し物に所望の寸法を提供してもよい。ダイ開口部(群)の幅は、押し出し物が角切り肉からステーキ切り身に似るように設定してもよく、そこではダイ開口部(群)の幅の拡張が、押し出し物の角切り様性質を減少させて、押し出し物の切り身様性質を増大させる。冷却ダイ開口部(群)の幅は好ましくは10mm〜40mm、および最も好ましくは25mm〜30mmの幅に設定される。
【0081】
冷却ダイ開口部(群)の高さ寸法は、所望の厚さの押し出し物を提供するように設定されてもよい。開口部(群)の高さは、非常に薄い押し出し物または厚い押し出し物を提供するように設定されてもよい。本発明の新しい特徴は、開口部(群)の高さを少なくとも12mmに設定してもよいことであり、得られる押し出し物は押し出し物のあらゆる断面全体で繊維質である。本発明以前には、少なくとも12mmの厚さ(冷却ダイ開口部(群)の高さで測定した)を有する高水分の押し出し物は、押し出し物の中心がゲル化して、押し出し物の横断面全体にわたって繊維質ではなかった。冷却ダイ開口部(群)の高さは、好ましくは1mm〜30mm、およびより好ましくは12mm〜25mm、および最も好ましくは15mm〜20mmに設定してもよい。
【0082】
生地混合物の高水分含量のために、繊維質材料押し出し物がダイ開口部(群)を出る際に、その中ではわずかなエネルギー放散および膨張しか生じない。その結果、ダイからの押し出しに際して、押し出し物膨張によって繊維質材料押し出し物中にはわずかな気泡しか装入されないので、繊維質材料は、低水分押し出し物と比べて比較的高密度である。
【0083】
高水分繊維質ダイズタンパク質材料(A)と保湿剤(B)とを合わせるのに先だって、50%〜80重量%の水分含量を有する高水分繊維質ダイズタンパク質材料(A)を水が吸収されるまで水和する必要がある。高水分繊維質ダイズタンパク質材料は、水が原型を維持する繊維に吸収されるまで、または水が吸収されて繊維が分離するまで水和される。
【0084】
ここで述べられる再構成肉製品で使用するためのダイズタンパク質およびダイズ子葉繊維を含有する繊維質材料の一例は、ミズーリ州セントルイスのSolae Co.から入手できるFXP MO339である。FXP MO339は、適切な繊維性およびテクスチャー、および適量のダイズタンパク質がある押し出し乾燥テクスチャー加工ダイズタンパク質製品である。具体的にはFXP MO339は、約70重量%のダイズタンパク質、約2重量%の繊維、約23重量%の小麦グルテン、約9重量%のデンプン、および約10重量%の水分を含んでなる。ここで述べられる再構成肉製品で使用するためのダイズタンパク質およびダイズ子葉繊維を含有する繊維質材料の別の例は、台湾のStentorian Industries Company Limitedから入手できるVETEX 1000である。ここで述べられる再構成肉製品で使用するためのダイズタンパク質およびダイズ子葉繊維を含有する繊維質材料の第3の例は、ミズーリ州セントルイスのThe Solae Co.から入手できるFXPMO327である。FXPMO327は、適切な繊維性およびテクスチャー、および適量のダイズタンパク質がある押し出し乾燥テクスチャー加工ダイズタンパク質製品である。具体的にはFXPMO327は、約30重量%のダイズタンパク質、約1重量%の繊維、約17重量%の小麦グルテン、約1重量%のデンプン、および約60重量%の水分を含んでなる。
【0085】
(B)保湿剤
構成要素(B)は保湿剤である。保湿剤(B)は、水分を吸収するおよび/または水分保持を促進するように機能する物質である。本発明では、(i)着色剤と、(ii)着香剤、(iii)トリグリセリド油、(iv)食品等級酸または酸性塩、(v)食品等級塩基または塩基性塩、または(vi)食品等級エマルジョンの少なくとも1つとを含んでなる保湿剤が用いられる。好ましくは2つを超える保湿剤が用いられる。
【0086】
着色剤(i)は、ダイズタンパク質含有食品にアイアピールを提供する。この食品は、未調理状態および様々な調理状態の双方において、様々な肉の色と類似した着色を有することで際だっている。未調理状態では、製品は内外双方の部分で赤色である。調理状態では製品内部の色は赤、赤褐色または褐色であり、外部の色は褐色である。褐色の外部がある赤い内部の色は、レアの状態の肉片に似た製品を示唆する。赤さの異なる内部の赤褐色は(赤からピンクがかった褐色で、外部は褐色)ミディアムレアからミディアムウェルダンの肉を表す。外部が褐色で内部が褐色は、ウェルダンの肉を表す。
【0087】
着色剤は未調理状態で再構成肉製品に赤色、ならびに調理状態で褐色を提供する。着色剤の例は、カラメル着色料、パプリカ、シナモン、ビーツ粉末、カルミン、水溶性アナットー、ターメリック、サフランおよびFD & C(食品医薬品化粧品)赤色3号(別名フードレッド14およびエリスロシンBS)、FD & C黄色5号(別名フードイエロー4およびタルトラジン)、FD & C黄色6号(別名フードイエロー3およびサンセットイエローFCF)、FD & C緑色3号(別名フードグリーン3およびファストグリーンFCF)、FD & Cブルー2号(別名フードブルー1およびインジゴカルミン)、FD & Cブルー1号(別名フードブルー2およびブリリアントブルーFCF)、FD & Cバイオレット1号(別名フードバイオレット2およびバイオレットB6)などの食用着色料、およびそれらの組み合わせである。キュアリング剤としても機能する亜硝酸ナトリウムは、ビーフなどの赤身肉の形態の肉が存在する場合に一般的に好まれる着色剤である。二酸化チタンは、チキン、七面鳥またはポークなどの非赤身肉の形態の肉が存在する場合に一般的に好まれる着色剤である。好ましいのは、様々な色の範囲があるカラメルおよびカルミンである。
【0088】
カラメルおよびカルミンを使用するにあたり、ダイズタンパク質含有食品に、カラメルは褐色を提供してカルミンは赤色を提供する。これらの2つの着色剤を調節し、調理してステーキと比較すると、使用する着色剤および着色剤使用量次第で、レア、ミディアムレア、ミディアムウェルダン、およびウェルダンに見えるダイズタンパク質食品を提供する。カルミンが内部色であり、カラメルが外部色になることが顕著である。
【0089】
カラメルとは、苦味、臭焦げ砂糖臭、およびおよそ1.35の比重を有する、非晶質濃褐色の潮解性粉末または高粘度の液体を意味する。これは水および希釈アルコールに可溶性である。カラメルは、デキストロース、転化糖、乳糖、麦芽シロップ、糖蜜、スクロース、デンプン加水分解産物、およびその画分などの炭水化物または糖類材料の注意深い制御された熱処理によって調製される。カラメル化を助けるために熱処理中に用いてもよいその他の材料としては、酸(例えば酢酸、クエン酸、リン酸、硫酸および亜硫酸)、および塩(例えば炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、重炭酸塩、第一リン酸)が挙げられる。
【0090】
カラメルを製造する一方法は米国特許第3,733,405号明細書で述べられ、米食品医薬品局によって認可された1つのまたは組み合わせた試薬と共に、サトウキビまたはコーンいずれかの液体糖を反応容器内にポンプで汲み入れて、混合物を加熱する。250℃〜500℃の範囲の温度を維持し、重合が生じる間、製品を平方インチあたり15〜250ポンド(psi)の圧力に保つ。プロセスが完了したら、温度を150°Fに低下させる急速冷却器内に製品を排出する。次にそれを濾過して冷却し、貯蔵庫に汲み入れる。
【0091】
着色剤は、ダイズタンパク質含有食品の0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.2%〜4%の範囲、最も好ましくは0.5%〜0.2重量%の範囲でダイズタンパク質含有食品中に存在することが好ましい。
【0092】
着香剤(ii)は、ダイズタンパク質含有食品に風味豊かな味を提供する。着香剤は、典型的にビーフストック、ロブスターストック、チキンストック、魚ストック、野菜ストックなどのベースブイヨンをはじめとするが、これに限定されるものではないストックである。その他の着香剤は、シーズニング、ハーブ、スパイス、コショウ、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、セイボリー粉末、マッシュルーム抽出物、および自然調味料抽出物(NFE)である。着香剤はダイズタンパク質含有食品の味の豊かさを増強する。着香剤は、ダイズタンパク質含有食品の味が口中でより長く続くように、すなわち長引く味効果を与える。用いる場合着香剤は、一般に無水ベースで4%〜15重量%、好ましくは5%〜12重量%、最も好ましくは無水ベースで6%〜10重量%存在する。
【0093】
用いられるトリグリセリド油(iii)は、植物油トリグリセリド、遺伝子改変植物油トリグリセリドまたは式、
【化1】

(式中、
1、R2、およびR3は、約7〜約23個の炭素原子を含有する脂肪族基である)の合成トリグリセリド油を含んでなる。
【0094】
脂肪族基はヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、ヘプタデシル、およびオクチルなどのアルキル基であり、アルケニル基はヘプテニル、ノネニル、ウンデセニル、トリデセニル、ヘプタデセニル、ヘンエイコセニルなどの単一二重結合を含有し、アルケニル基は8,11−ヘプタデカジエニルおよび8,11,14−ヘプタデカトリエニルなどの2つまたは3つの二重結合を含有し、アルキニル基は三重結合を含有する。これらの異性体の全てが含まれるが直鎖基が好ましい。
【0095】
全てのトリグリセリド油は、異なる量の飽和、一不飽和、または多価不飽和特性を含有する。遺伝子改変植物油トリグリセリドは、低飽和および低多価不飽和特性を犠牲にして、高(60または70を超える、または80%をも超える)一不飽和特性で調製できる。
【0096】
油は、あらゆる量の飽和、一不飽和または多価不飽和特性で調製できる。すなわち合成トリグリセリド油は、100%飽和、または100%一不飽和、または100%多価不飽和特性を含有するように合成されてもよい。合成トリグリセリド油は、全てのあらゆる所望の一不飽和特性を有するように合成できる。
【0097】
普通の植物油トリグリセリド(非遺伝子改変)は、下の表に示すように多種多様な飽和、一不飽和、または多価不飽和特性を有する。
【0098】
特徴

【0099】
好ましい植物油トリグリセリドは、室温油が液体形態であることを確実にするように、30%未満の飽和特性を有する。好ましい植物油トリグリセリドは、落花生油、カノーラ油、アブラナ油、ダイズ油、オリーブ油、ヒマワリ油、およびコーン油である。カノーラ油は、1%未満のエルカ酸を含有するアブラナ油の変種である。最も好ましい植物油トリグリセリドはヒマワリ油である。
【0100】
合成トリグリセリドは、1モルのグリセロールと、3モルの脂肪酸または脂肪酸混合物との反応によって形成されるものである。
【0101】
遺伝子改変植物油トリグリセリドは、普通よりも高い一不飽和特性を生じるように遺伝子改変された油料種子から調製される。遺伝子改変植物油トリグリセリドでは、脂肪酸部分がこのようなので、トリグリセリド油は少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、および最も好ましくは少なくとも80%の一不飽和特性を有する。これらの遺伝子改変植物油トリグリセリドは、普通よりも高いオレイン酸含量を含有する植物によって生成される。普通のヒマワリ油は18〜40%のオレイン酸含量を有する。ヒマワリ種子を遺伝的改変することで、オレイン酸含量が約60%〜約92%のヒマワリ油を得ることができる。すなわちR1、R2、およびR3基はヘプタデセニル基であり、1,2,3−プロパントリイル基−CH2CHCH2−に付着するR1COO-−、R2COO-−、およびR3COO-−は、オレイン酸分子残基である。米国特許第4,627,192号明細書および米国特許第4,743,402号明細書をそれらの高オレイン酸ヒマワリ油の調製の開示のために、参照によってここに編入する。
【0102】
その供給源にかかわらず、オレイン酸部分を排他的に含んでなるトリグリセリド油は、100%のオレイン酸含量を有する結果として、一不飽和特性100%である。トリグリセリドが、70%のオレイン酸、10%のステアリン酸、13%のパルミチン酸、および7%のリノール酸の酸部分からできている場合、飽和特性は23%で、一不飽和特性は70%であり、多価不飽和特性は7%である。好ましい遺伝子改変植物油トリグリセリドは高オレイン酸(少なくとも60%)植物油トリグリセリドである。本発明内で用いられる典型的な遺伝子改変高オレイン酸植物油トリグリセリドは、高オレイン酸落花生油、高オレイン酸コーン油、高オレイン酸ヒマワリ油、および高オレイン酸ダイズ油である。好ましい遺伝子改変高オレイン酸植物油は、Helianthus種から得られる遺伝子改変高オレイン酸ヒマワリ油である。この製品は、テネシー州メンフィスのA.C.Humko CorporationからSunyl(登録商標)高オレイン酸ヒマワリ油として入手できる。Sunyl100油は遺伝子改変高オレイン酸植物油トリグリセリドであり、酸部分は少なくとも85%のオレイン酸を含んでなる。
【0103】
本発明における遺伝子改変植物油トリグリセリド(C)としては、オリーブ油およびアブラナ油が除外されることが顕著である。オレイン酸含量は、典型的にオリーブ油で65〜85%の範囲であり、アブラナ油で約63%である。しかしこれらの一不飽和含量は遺伝的改変を通じて達成されず、むしろ天然由来である。
【0104】
遺伝子改変植物油トリグリセリドが、ジ−およびトリ−不飽和酸を犠牲にして高オレイン酸含量を有することもまた顕著である。普通のヒマワリ油は、20〜40%のオレイン酸部分、および50〜70%のリノール酸部分を有する。これは90%のモノ−およびジ−不飽和酸部分(20+70)または(40+50)特性を与える。遺伝的改変植物油トリグリセリドは、低ジ−またはトリ−不飽和部分植物油トリグリセリドを生じさせる。本発明の遺伝子改変植物油トリグリセリドは、約2〜約90のオレイン酸部分:リノール酸部分比を有する。トリグリセリド油の60%のオレイン酸部分特性および30%のリノール酸部分特性は、2の比率を与える。80%のオレイン酸部分および10%のリノール酸部分からできたトリグリセリド油は、8の比率を与える。90%のオレイン酸部分および1%のリノール酸部分からできたトリグリセリド油は、90の比率を与える。普通のヒマワリ油の比率は約0.5である(30%のオレイン酸部分および60%のリノール酸部分)。
【0105】
好ましいトリグリセリド油は、植物油トリグリセリドおよび遺伝子改変植物油トリグリセリドである。
【0106】
食品等級酸または酸性塩(iv)は、酢酸、塩酸、リン酸、および酢酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムのそれらの塩含んでなる。食品等級酸または酸性塩はpH調節剤として機能して、保水容量(WHC)を調節する。より低いpHはWHCがより小さい生成物を与え、それはダイズタンパク質食品のテクスチャーを変化させる。より低いpHはWHCがより小さい生成物を与え、したがって生成物をより堅くする。食品等級酸または酸性塩は、ダイズタンパク質含有食品が肉をさらに含んでなる際に特に有用である。この点で食品等級酸または酸性塩は、キュアリング剤として機能する。塩化ナトリウムおよびリン酸ナトリウムは、ダイズタンパク質含有食品中に混和されて、肉中の筋原線維タンパク質を抽出/可溶化する塩である。これらの塩は風味増強剤であるのに加えてまた、ダイズタンパク質含有食品内の肉タンパク質を結合するのも助ける。用いる場合これらの塩は、一般に無水ベースで0.1%〜4.0重量%、好ましくは0.5%〜2.0重量%、最も好ましくは無水ベースで0.2%〜0.5重量%で存在する。
【0107】
食品等級塩基または塩基性塩(v)は、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを含んでなる。食品等級塩基または塩基性塩はpH調節剤として機能し、保水容量(WHC)を調節する。より高いpHはWHCの増大した生成物を与え、それはダイズタンパク質食品のテクスチャーを変化させる。より高いpHはWHCがより大きい生成物を与え、したがって生成物の堅さが低下する。用いる場合食品等級塩基または塩基性塩は、一般に無水ベースで0.1%〜4.0重量%、好ましくは無水ベースで0.5%〜2.0重量%、最も好ましくは、無水ベースで0.2%〜0.5重量%存在する。
【0108】
食品等級エマルジョン(vi)は、脂肪または油と水との2つの異種液体の組み合わせである。乳化剤の使用は、コロイドの分散体の形成を引き起こす。油は、水中油安定エマルジョンを提供する。「水中油」エマルジョンという用語は、連続相内に不連続相が分散するエマルジョンを指す。油が不連続相であり、水が連続相である。乳化剤はダイズタンパク質材料である。
【0109】
繊維質材料(A)の水和に先だって、無水ベースの繊維質材料(A)と無水ベースの保湿剤(B)との重量比は、一般に1〜10:1、好ましくは1〜6:1、最も好ましくは1〜3:1である。水和した繊維質材料および保湿剤を混合装置内で合わせ、混合して均質なダイズタンパク質含有食品の前駆物質を得る。
【0110】
水(C)
水(C)として用いられるのは、水道水、蒸留水または脱イオン水である。水の目的は、ダイズタンパク質材料内に含有される繊維が分離するように、ダイズタンパク質材料(A)を水和することである。典型的に無水ベースでのダイズタンパク質材料(A)と水和水(C)との比率は、1:2〜10、好ましくは1:2〜7、最も好ましくは1:2〜5である。低水分ダイズタンパク質材料を利用する場合は、より多くの水和水が用いられる。高水分ダイズタンパク質材料を利用する場合は、より少ない水和水が用いられる。水の温度は、0℃〜100℃の範囲にわたってもよい。水和時間は、繊維質材料の水分含量、利用する水量、および水温次第で、10分から数時間までであってもよい。用いられる水の総量を一度に添加する必要はない。ダイズタンパク質材料は、少なくとも部分的に水和する必要がある。残りの成分が添加されるにつれて、追加的な水を用いてもよい。
【0111】
最低でも、ダイズタンパク含有食品は、
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質材料、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(iii)トリグリセリド、
(iv)食品等級酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、および
(vi)食品等級エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤、および
(C)水
を含んでなる。
【0112】
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質材料を水が吸収されるまで水和するステップと、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(iii)トリグリセリド、
(iv)食品等級酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、および
(vi)食品等級エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤を添加するステップと、
水和したダイズタンパク質材料と保湿剤とを混合して、少なくとも約50%の水分含量を有する均質繊維質および組織化ダイズタンパク質含有食品を生成するステップと
を含んでなる方法によって、ダイズタンパク質含有食品を調製する。
【0113】
本発明の生成物および方法は、開示される(A):(B)および(A):(C)の比率で構成要素(A)、(B)、および(C)を合わせることで完成する。ダイズタンパク質材料(A)を最初に水(C)で水和する。水和が完了したら保湿剤(B)を添加して、ダイズタンパク質含有食品の均質な塊が得られるまで内容物を混合する。この時点で手または機械のいずれかによって、ダイズタンパク質含有食品をストリップ、ステーキ、カツレツまたはパティに形成してもよい。ダイズタンパク質含有食品はまた、透過性または不透過性ケーシングに詰めてもよい。
【0114】
上述のダイズタンパク質含有食品およびその調製方法は肉無しであり、したがって宗教上または健康上の理由から肉製品を避けることを選択する人々に価値がある。
【0115】
肉および肉製品を消費することを選択する人々には、ダイズタンパク質含有食品およびその調製方法はまた、肉および動物性脂肪をさらに含んでなってもよい。肉は、ビーフ、ポーク、ラム、七面鳥、およびチキンからなる群から選択される。「肉」という用語は、ここでの用法では動物組織(特にポーク肩肉、ビーフ肩肉、ビーフ脇腹肉および七面鳥もも肉などの骨格肉のように素人に「肉」として認識されるもの)だけでなく、肉副産物、チキン皮膚、ポーク頭、ポーク横隔膜、家禽ミール、魚裁ち屑、魚ミール、精製ミール、肉裁ち屑、動物レバー、肉ミール、肉およびボーンミールなどの食物加工産業によって「肉」として認識されるより広い種類の動物製品もまた含む。もちろんヒトのまたはペットの消費にさえ許容可能と見なされる動物の性質はその時々に変化し、そしてもちろん習慣、文化、および流行と共に変化するものと理解される。本発明の方法で用いてもよい典型的な肉源は、チキン、ポーク、ラム、羊、魚、タコ、イカ、蛇、犬、ビーフ、七面鳥、馬、カモ、シカ、ホロホロチョウ、具体的には上で言及されるもの以外の鳥(狩猟鳥を含む)、カニおよびロブスターの肉および副産物である。さらに「肉」とは、高品質全筋または天然のリーンな肉を意味する。ビーフおよびポークのリーンな筋肉は、少なくとも70%の高いリーンな肉含量を有し、残部は動物性脂肪である。このリーンな筋肉の命名は70/30である。ビーフおよびポークのリーンな筋肉は、少なくとも95%の高いリーンな肉含量を有し、残部は動物性脂肪である。このリーンな筋肉の命名は95/5である。七面鳥およびチキンのリーンな筋肉は、少なくとも78%のリーンな肉含量から96%のリーンな肉含量を含有する。
【0116】
ダイズタンパク質含有食品中で肉が用いられる場合、肉は無水ベースで50重量%以下、好ましくは無水ベースで25重量%以下、最も好ましくは無水ベースで15重量%以下に存在する。
【0117】
動物脂肪は高度に飽和したトリグリセリドであるため、室温で固体またはろう様固体である。動物脂肪は脂肪裁ち屑から調製される。これは非精製油であり、すなわち処理されていない。動物脂肪の目的はいくつかある。一例では動物脂肪は、ダイズタンパク質含有製品に追加的な肉様味を提供する。別の例では動物脂肪は、室温で固体であることによりダイズタンパク質含有製品にボディを提供する。さらにまた別の例では高脂肪含量は、柔らかいダイズタンパク質含有製品をもたらす。本発明で有用な動物脂肪は、ビーフ脂肪、ポーク脂肪またはチキン脂肪を含んでなる。動物脂肪は、無水ベースで30重量%以下でダイズタンパク質含有食品中に存在する。
【0118】
方法で肉が用いられる場合、ダイズタンパク質材料(A)の水和に先だって、無水ベースのダイズタンパク質材料(A)と無水ベースの保湿剤(B)との重量比は、一般に10〜50:1である。
【0119】
上で大まかに述べた本発明は、下で述べられる実施例を参照してより良く理解できるであろう。以下の実施例は、具体的であるが制限を意図しない本発明の実施態様を表す。
【0120】
実施例1および2は、肉無しダイズタンパク質含有食品に向けたものである。実施例3および4は、肉含有ダイズタンパク質含有食品に向けたものである。
【実施例1】
【0121】
カリフォルニア州アナハイムのColormakerから入手できる6gのColormakerレッドNo.5417着色剤および300gの水和水の第1の部分を容器に入れる。着色剤を撹拌しながら0.3時間水和させる。次に150gの乾燥低水分(7%〜12%)ダイズタンパク質材料(A)を添加する。ダイズタンパク質材料(A)を撹拌しながら0.3時間水和させる。撹拌を継続し、50gのビーフブイヨン、13.5gの卵アルブミン、13.5gのカノーラ油、4.5gのカラメル色、2.4gの天然風味増強剤、1.2gの椎茸抽出物、および100gの水和水の第2の部分を添加する。これらの成分を混合して、完全な混合物を得る。次に混合物を必要に応じてスラブ、ストリップ、カツレツ、パティまたはステーキに形成する。この形成は手または機械によって実施する。形成物を300℃で内部温度70℃にローストする。ローストした形成物を冷まして、調理ミディアムレアステーキの色外観を有する肉無しダイズタンパク質含有食品を得る。
【実施例2】
【0122】
300gの水和水、続いて150gの乾燥低水分(7%〜12%)ダイズタンパク質材料(A)を容器に入れる。ダイズタンパク質材料(A)を撹拌しながら0.3時間水和させる。撹拌を継続し、50gのビーフブイヨン、13.5gの卵アルブミン、13.5gのカノーラ油、4.5gのカラメル色、2.4gの天然風味増強剤、および1.2gの椎茸抽出物を添加する。これらの成分を混合して、完全な混合物を得る。次に混合物を必要に応じてスラブ、ストリップ、カツレツ、パティまたはステーキに形成する。この形成は手または機械によって実施する。形成物を300℃で内部温度70℃にローストする。ローストした形成物を冷まして、調理ミディアムレアステーキの色外観を有する肉無しダイズタンパク質含有食品を得る。
【実施例3】
【0123】
カリフォルニア州アナハイムのColormakerから入手できる10gのColormakerレッドNo.5417着色剤、および450gの水和水の第1の部分を第1の容器に入れる。着色剤を撹拌しながら0.3時間水和させる。次に225gの乾燥低水分(7%〜12%)ダイズタンパク質材料(A)を添加する。ダイズタンパク質材料(A)を撹拌しながら0.3時間水和させる。250gのビーフ90の3mm粉砕物、10gの塩化ナトリウム、0.1gの亜硝酸ナトリウム、0.25gのエリソルビン酸ナトリウム、3gのトリポリ燐酸ナトリウム、および50gの水和水の第2の部分を第2の容器に入れる。双方の容器の内容物を完全に合わせた後、第1の容器の内容物を第2の容器の内容物に添加する。内容物を混合して、完全な混合物を得る。次に混合物を必要に応じてスラブ、ストリップ、カツレツ、パティまたはステーキに形成する。この形成は手または機械によって実施する。次に2gの黒コショウおよび必要に応じて追加的塩化ナトリウムと共に、50gのビーフ20の3mm粉砕物のビーフ脂肪を形成物表面にまぶす。形成物を300℃で内部温度70℃にローストする。ローストした形成物を冷まして、調理ミディアムウェルダンビーフ製品の色外観を有する肉含有ダイズタンパク質含有食品を得る。
【実施例4】
【0124】
450gの水和水の第1の部分、続いて225gの乾燥低水分(7%〜12%)ダイズタンパク質材料(A)を第1の容器に入れる。ダイズタンパク質材料(A)を撹拌しながら0.3時間水和させる。250gのビーフ90の3mm粉砕物、10gの塩化ナトリウム、3gのカラメル色、3gのトリポリ燐酸ナトリウム、および50gの水和水の第2の部分を第2の容器に入れる。双方の容器の内容物を完全に合わせた後、第1の容器の内容物を第2の容器の内容物に添加する。内容物を混合して、完全な混合物を得る。次に混合物を必要に応じてスラブ、ストリップ、カツレツ、パティまたはステーキに形成する。この形成は手または機械によって実施する。次に2gの黒コショウおよび必要に応じて追加的塩化ナトリウムと共に、50gのビーフ20の3mm粉砕物のビーフ脂肪を形成物表面にまぶす。形成物を300℃で内部温度70℃にローストする。ローストした形成物を冷まして、調理ミディアムウェルダンビーフ製品の色外観を有する肉含有ダイズタンパク質含有食品を得る。
【0125】
本発明をその好ましい実施態様に関連して説明したが、その様々な修正は説明を読めば当業者には明らかであるものと理解される。したがってここで開示される本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る修正をカバーすることを意図するものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、ダイズタンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるダイズタンパク質材料、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(iii)トリグリセリド、
(iv)食品等級酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、および
(vi)食品等級エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤、および
(C)水
を含んでなるダイズタンパク質含有食品。
【請求項2】
(A)が無水ベースで約1%〜約20重量%のダイズ子葉繊維をさらに含んでなる、請求項1に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項3】
(A)が小麦粉および小麦グルテンからなる群から選択される、無水ベースで約10%〜約50重量%の少なくとも1つをさらに含んでなる、請求項2に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項4】
(A)が無水ベースで約1%〜約15重量%のデンプンをさらに含んでなる、請求項3に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項5】
(A)が米粉および無グルテンデンプンからなる群から選択される、無水ベースで約2%〜約20重量%の少なくとも1つをさらに含んでなる、請求項1に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項6】
(A)が無水ベースで約2%〜約20重量%のデンプンと、小麦粉および小麦グルテンからなる群から選択される無水ベースで約2%〜約20重量%の少なくとも1つとをさらに含んでなる、請求項1に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項7】
(A)が無水ベースで約30%〜約90重量%のダイズタンパク質を含有する、請求項4に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項8】
(A)が約4%〜約80重量%の水分含量を有する押し出し物である、請求項1に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項9】
ビーフ、ポーク、七面鳥、およびチキンからなる群から選択される、無水ベースで約50重量%までの肉をさらに含んでなる、請求項1に記載のダイズタンパク質含有食品。
【請求項10】
(A)ダイズタンパク質粉、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズタンパク質単離物の少なくとも1つからなる群から選択されるダイズタンパク質材料を水和するステップと、
(B)(i)着色剤と、
(ii)着香剤、
(iii)トリグリセリド、
(iv)食品等級酸または酸性塩、
(v)食品等級塩基または塩基性塩、または
(vi)食品等級エマルジョンの少なくとも1つと、
を含んでなる保湿剤を添加するステップと、
水和したダイズタンパク質含有材料および保湿剤を混合して、少なくとも約50重量%の水分含量を有するダイズタンパク質含有食品を生成するステップ
を含んでなる、ダイズタンパク質含有食品の調製方法。
【請求項11】
ダイズタンパク質材料(A)が、約4%〜約80重量%の水分含量を有する押し出し物である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ダイズタンパク質材料(A)が、無水ベースで約1%〜約20重量%のダイズ子葉繊維をさらに含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ダイズタンパク質材料(A)が、無水ベースで約10%〜約50重量%の小麦グルテンをさらに含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ダイズタンパク質材料(A)が、無水ベースで約1%〜約15重量%のデンプンをさらに含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ダイズタンパク質材料(A)が、無水ベースで約30%〜約90重量%のダイズタンパク質をさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ビーフ、ポーク、七面鳥、およびチキンからなる群から選択される肉をさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
無水ベースのダイズタンパク質材料(A)と無水ベースの保湿剤との重量比が約1〜50:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
無水ベースのダイズタンパク質材料(A)と水和水との重量比が約1〜2:10である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
ダイズタンパク質含有食品が、ストリップ、ステーキ、カツレツまたはパティに形成され、ケーシングに詰められ、または細断される、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2008−515431(P2008−515431A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535790(P2007−535790)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035904
【国際公開番号】WO2006/041966
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(504140299)ソレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)