説明

ダウンライトを備えたドア設置構造

【課題】例えば、廊下に面する部屋の出入口に設けられるとともに、足元を明るく照らすことができるダウンライトを備え、安全で、かつデザイン性に優れたドア設置構造を提供することである。
【解決手段】LEDまたは有機ELからなる光源を天井面Aに埋め込み、ドア1の回動範囲内に上記光源を位置させるとともに、略床Fから天井面Aまでに至る高さのドア1を設けてなるダウンライト2を備えたドア設置構造。好ましくは、ダウンライト2が、上記光源を出入り口3の廊下側であって、上記ドア1の廊下側の開き角度がα鋭角の回動範囲内の天井面Aに設けられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はドアの設置構造に関するものであり、詳しくは、出入り口に設けられ、天井面にダウンライトを備えたドア設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井面に設置され、足元を照らすダウンライトとしては各種のものが知られている。上記公知のダウンライトは単なる照明としてのみならず、用いられる場所に応じてインテリアデザインとしての装飾性や絢爛性も求められ、種々のタイプのものが提案されている。
【0003】
上記ダウンライトとしては一般的に白熱灯が用いられているが、白熱灯は白熱球を光源とするため発光と同時に発熱する。そこで、白熱球を光源とするダウンライトを用いるとき、光が当たる部分について、その熱対策を講じる必要がある。
【0004】
例えば、実用新案登録第3137259号公報には、開閉可能に支持された扉本体と、熱反射率が高い材料で構成されて耐熱性を有するとともに、該扉本体の端面に配置される帯状耐熱部材とからなる耐熱扉が開示されている。
【0005】
上記帯状耐熱部材としては、熱反射率が高い金属製の薄膜、例えばアルミの薄膜が用いられる。そして、この帯状耐熱部材が扉上面全面に配置されていることが好ましいが、扉上面の一部、例えばダウンライトに近接する部分に配置されているものでもよいと記載されている。
【0006】
また、扉本体が開状態のときにその側面や下面に近接する位置に白熱灯がある場合には、上記帯状耐熱部材は扉本体の側面や下面に配置してもよいとも記載されている。
【0007】
その効果としては、上記帯状耐熱部材を用いた場合、扉が開閉される部分の天井にダウンライト(白熱灯)が配置され、該扉上面が加熱されても、白熱灯の光が当たる部分でも焦げないように白熱灯の熱から扉を保護することができる、と述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3137259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、特許文献1の図1に示されているように、扉の上端面に、例えばアルミ薄膜からなる帯状の耐熱部材を貼り付ける必要があり、製造工程に手間のかかる作業が加わるという問題がある。
【0010】
さらに、特許文献1の図3に符号12aで示されているように、帯状の耐熱部材を扉の側面に貼り付けたときは、手間のかかる作業が加わるという問題に加えて扉の目立つ側端面に帯状耐熱部材が貼着され、扉全体がデザイン性に劣ったものとなるという問題も生じる。
【0011】
本願発明は上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、例えば、アルミ薄膜を帯状に形成した耐熱部材を用いることなく、部屋の出入口に設けられ、足元を明るく照らすことができるダウンライトを備えるとともに、安全で、かつデザイン性に優れたドア設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造では、LEDまたは有機ELからなる光源を天井面に埋め込み、ドアの回動範囲内に上記光源を位置させるとともに、略床から天井面までに至る高さのドアを設けてなることを特徴としている。
【0013】
上記LEDは発光ダイオード素子を光源として用いるものであり、発光時には多少の電力を消費するが白熱灯に比較して非常に少なく、省エネ効果の高い照明手段であり、したがって発熱量も少ない。また、有機ELはガラス基板またはプラスチック基板に発光性の有機個体結晶を1μm以下の厚さで設層したものであり、LED同様に少ない消費電力で白熱灯と同じ程度の明るさを得ることができる。
【0014】
上記ドアとしては、住宅内の部屋と部屋とを仕切るもの、部屋と廊下とを仕切るもの、キッチンやパウダールーム、収納室用等各種のドアをあげることができる。さらに住宅内に限られず、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設等に用いられるドアにも適用することができる。
【0015】
本願請求項2に記載の発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造では、本願請求項1に記載のダウンライトを備えたドア設置構造において、上記光源が出入り口の廊下側であって、上記ドアの廊下側の開き角度が鋭角の回動範囲内の天井面に設けられてなることを特徴としている。
【0016】
上記鋭角としては好ましくは約60°以下、さらに好ましくは45°以下の鋭角であり、その範囲内の廊下側の天井面に埋め込んで設けられる。
【0017】
また、上記ダウンライトを備えたドア設置構造では、上記光源が上記ドアを回動自在に軸支する支点からドアの幅に相当する長さの半分までの長さ位置の天井面に埋設されたことを特徴としている。
【0018】
上記支点として用いられるものは、公知の蝶番ないしはヒンジ、ピポットヒンジ等をあげることができる。
【発明の効果】
【0019】
本願請求項1記載の発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造においては、ダウンライトとしてLEDまたは有機ELからなる光源を天井面に埋め込んで用いるため、発光に伴う発熱が非常に少なく、白熱灯を使用する場合より遙かに少ない消費電力で足元を明るく照らすことができる。したがって、低コスト化を図ることができ、省エネ効果も得ることができる。
【0020】
そして、明るい照明によって足元や室内の小家具も十分に視認可能となり、例えば廊下から部屋に入ったとき、ダストボックス等の小家具に蹴つまずいて転倒するといった事故を防ぐことができる。
【0021】
また、ドアを回動させてドアの上端面がダウンライトの直下に近接した位置にあっても、熱によって上端面が変質して色変りする、あるいは焦げる、最悪の場合は発火するという事故をなくすことができる。
【0022】
さらに、ダウンライトに近接してドアの上端面を天井面近くに配設することができるため、床から天井面まで延出する丈の高いデザイン性に優れたドアを設けることが可能となる。また、ドアを開けたとき、出入り口の上方を開放感あるものとし、ゴージャスな感じを与えることができる。さらに物を持って出入りするとき、背の高い物品を横に寝かすことなく、そのまま容易に搬入することができる。
【0023】
本願請求項2記載の発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造においては、上記光源を例えば、応接室の出入り口の廊下側であって、上記ドアの廊下側の開き角度が鋭角の回動範囲内の天井面に設けることにより、入室時に足元が照明されるとともに、ドアを少し開けただけで廊下側の天井面に埋設されたダウンライトの光が室内へも射し込んで明るくなるため、安心して部屋に入ることができる。
【0024】
また、LEDまたは有機ELからなる光源が上記ドアを閉じた位置から鋭角の範囲内でかつ、上記ドアを回動自在に軸支する支点からドアの上端部の幅の半分までの長さ位置の出入り口に近い天井面に埋設した場合、さらに明るく、強力に足元および、室内を照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造を示す説明図。
【図2】ドアが閉じられているときの図1におけるX−X線に沿う縦断面図。
【図3】ダウンライトがドアを軸支する支点からドアの幅に相当する長さの半分までの長さ位置の廊下側の天井面に埋設された形態を示す横断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願発明に係るダウンライトを備えたドア設置構造の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態においては、ダウンライトとしてLEDを光源とするLED灯を用いた場合について説明する。
【0027】
図1は、上記ダウンライトを備えたドア設置構造を示す説明図である。図2は、図1におけるX−X線に沿う縦断面図である。図1において、ドア1は建物の内部における廊下に面した部屋の出入り口3に設置され、部屋と廊下とは壁Wで仕切られている。
【0028】
上記LED灯は、複数のLEDとこれらを実装する光源基板、リフレクタ、蛍光体入りの透光性封止樹脂、バッフル等を含む多数の構成要素からなり、円形の光源基板は、そのLEDが実装されていない裏面を本体主部の底壁の下面に密に面接触して光源収容部に配置されている。
【0029】
上記複数のLEDは、光源基板の中心部の周りに一定間隔で設けられ、電源からの電力によって発光する。これらのLEDは、例えば、青色発光をするLEDチップ、このチップを囲むリフレクタと、このリフレクタ内に充填され、LEDチップを封止した蛍光体入りの透光性封止樹脂とを有して形成されている。
【0030】
上記透光性封止樹脂に混入された蛍光体には、LEDチップが発した青色の光によって励起されて、青色の光に対して補色の関係にある黄色の光を主として放射する黄色の蛍光体が用いられている。したがって、各LEDは白色の光を投射する。
【0031】
投射された白色の光は白色の合成樹脂からなるバッフルおよびこの内側に位置する透光板等を透過してダウンライト2から下方に照射される。
【0032】
図1に示されているように、上記ダウンライト2は天井面Aに埋設されている。更に、該ダウンライト2は出入り口3の廊下側で、かつ、上記ドア1の廊下側の開き角度αが鋭角の回動範囲内の位置の天井面Aに設置される。同図においてはドア位置Bの半開きのドア(開き角度α)を点線で示している。
【0033】
図2はドアが閉じられているときの縦断面図を示し、ドア1は略床Fから天井面Aまでに至る高さとなっている。図2においてもドア位置Bの半開きのドア(開き角度α)を点線で示している。
【0034】
図1、図2に示すように、ドア1は略床Fから天井面Aまでに至る高さとなっているので、背の高い洗練されたデザイン性のよいドアとすることができる。
【0035】
加えてドア1を開けたとき、上方への開放感があり、ダウンライト2の下で部屋と廊下とが一体となって部屋全体にゴージャスな感じを与え、快適空間を演出することができる。さらに物を持って出入りするとき、背の高い物品を横にせずそのまま、容易に搬入したり、収納したりすることができる。
【0036】
また、図1において、点線で示す位置Bにドア1を回動させたとき、ドア1の上端面11はダウンライト2の直下に近接する。しかしながら、ダウンライト2はLEDを光源としているため、発光に伴う発熱が非常に少なく、従来白熱灯を光源としていた場合のようにドア1の上端面11が変質する、あるいは焦げるという熱による悪影響を避けることができる。
【0037】
上記したように、ダウンライト2はドア1を閉じた位置から開き角度αが鋭角の回動範囲内の天井面Aに設置されているため、ダウンライト2が足元を照明するとともに、ドア1を少し開けただけで廊下側の天井面Aから下方へ照射される光が部屋の内部まで射し込み、室内が照明される。そして、例えばダストボックス等の小家具が入室者の障害となり、蹴つまずいて転倒するといった事故を防ぐことができる。
【0038】
図3は、上記LEDを光源とするダウンライト2をドア1を軸支する支点4からドアの幅dに相当する長さの半分の長さ位置の廊下側の天井面に埋設した形態を示す横断面説明図である。図3に示すように、ダウンライト2が上記ドアを閉じた位置からその開き角度αが鋭角の回動範囲内の位置でかつ、部屋に近い天井面Aに埋設されているため、さらに明るく、強力に足元および、室内を照明することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、光源としてLEDを用いた場合について説明したが、光源として有機ELを用いた場合にも同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
また、上記実施形態においては、ドアは建物の内部における廊下に面した部屋、例えば応接室の出入り口に設けた場合ついて説明したが建物内に限られず、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設への出入り口にも適用できる。このように本願発明は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本願発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
A 天井面
F 床面
W 部屋と廊下とを仕切る壁
B ドアの回動位置
d ドアの幅
α ドアの開き角度
1 ドア
11 上端面
2 ダウンライト
3 出入り口
4 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDまたは有機ELからなる光源を天井面に埋め込み、ドアの回動範囲内に上記光源を位置させるとともに、略床から天井面までに至る高さのドアを設けてなるダウンライトを備えたドア設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載のダウンライトを備えたドア設置構造において、上記光源が出入り口の廊下側であって、上記ドアの廊下側の開き角度が鋭角の回動範囲内の天井面に設けられてなるダウンライトを備えたドア設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−132210(P2012−132210A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285337(P2010−285337)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】