説明

ダニアレルゲン除去剤および該除去剤を含有した噴霧剤

【課題】高いダニアレルゲン不活作用を有し、かつその作用が持続し(掃除、洗濯で作用が低下しない)、人体に害の少ないダニアレルゲン除去剤およびその噴霧剤を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化亜鉛と酸化アルミニウムの複合金属酸化物をダニアレルゲン不活剤として含むダニアレルゲン除去剤とその分散液を含有する噴霧剤による。該複合金属酸化物は、式(ZnO)1-x(Al23x (式中、xは0.005≦x<0.2である)で表され、固溶体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダニアレルゲン除去剤および該除去剤を含有した噴霧剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ダニアレルゲンの害が大きな問題になっている。ダニアレルゲンになりうるのは、ダニの生体、ダニの死骸、ダニの糞等であり、糞が一番量が多いので主要因と思われている。これらのダニアレルゲンは微小サイズのタンパク質で気管の奥まで入り喘息を発症させるため、サイズが大きい花粉よりも害が大きいと言われている。これらのアレルギー疾患においては、一旦感作状態となってしまうと微量の同種アレルゲンを吸入、接触等により再摂取した場合に、皮膚炎、鼻炎、くしゃみ、喘息等の著しいアレルギー反応を生じる。このようなアレルギー反応を抑制するには、原因物質となるアレルゲンを減少させるか接触を避けることが肝要である。
アレルゲンとの接触を避ける手段として、例えば掃除機や空気清浄機等により床面堆積塵や空中浮遊塵を物理的に除去しアレルゲンを減少させる方法があるが、微細な粒子状物質であるアレルゲンを除去することは困難であり、場合によっては再飛散させ、より問題を大きくする。また、衣服、カーテンや布団等の繊維製品に付着したアレルゲンを物理的に取り除くことは困難である。ダニの死骸、糞がアレルゲンになりうるため、ダニの増殖を防止するだけではダニアレルゲンを除去できないが、ダニの増殖防止も重要なダニアレルゲン除去法である。
室内の徹底した掃除が推奨されているが、家具の裏、カーペット上などを完璧に掃除できないため掃除による除去は困難である。また、死骸、糞を除去するため換気も求められているが、これも室内の温度制御の点、近隣の騒音等の問題で換気の徹底も困難である。
【0003】
ダニアレルゲン除去剤として種々の有機化合物が提案されている。例えば、ポリ−4−ビニルフェノール,タンニン酸、没食子酸(1水和物)、没食子酸プロピル等の化合物が提案されているが、ダニアレルゲン除去効果が持続せず除去効果が十分得られず、また人体への害も懸念されている。効果の持続性を向上させるため高分子化したポリ−4−ビニルフェノール等のフェノール系高分子が提案されているが、効果が低分子化合物より小さくなりダニアレルゲン除去効果が低分子化合物よりさらに不十分である。カテコール類似構造を有するタンニン酸ならびにポリフェノール類は変色しやすく、含有不純物による臭気の発生があり好ましくなく、水溶性であるため容易に脱離する問題がある。
酸化亜鉛等の無機化合物がダニ増殖防止剤として提案されているが、これも十分な効果がなかった。
アレルゲンの除去が困難な大きな要因はアレルゲンが微細なもので、繊維製品等の微細な凹凸を有するものに容易に付着し、その付着物を除去することが困難なことが挙げられる。室内には衣服、寝具、カーテン、カーペット等の繊維製品が多量にあり、これらに付着したアレルゲンを不活化する方法が求められていた。また、外出時に衣服にアレルゲンが付着し、衣服とともに室内に持ち込まれることも大きな問題である。特に着心地の良い天然系の繊維を用いた繊維製品は、天然繊維に凹凸が多いためアレルゲンが付着し易く、また除去し難かった。これらの繊維製品に付着したアレルゲンの不活化が求められていた。
また、住居内性ダニ類の多くは、寝具類や収納具類等の人体の接触する場所で繁殖することが多いため、人体に対する毒性の低いダニの増殖防止剤として、天然物由来の植物精油を用いたものや、両性界面活性剤のジメチルアルキルベタインが提案されている。しかしながら、これらのダニの増殖防止剤についても、植物精油を成分とするダニの増殖防止剤では、使用時に臭気を発生するという問題点があり、ジメチルアルキルベタインを成分とするダニの増殖防止剤では、ダニの増殖防止効果が不充分であるという問題点があった。
ダニアレルゲンが溜まりやすいカーペット、カーテン等の繊維製品、畳等にダニアレルゲン除去剤が付着した後で、掃除、洗濯等でダニアレルゲン除去剤が容易に脱落せず、長期間ダニアレルゲン除去作用が持続することも求められている。
【0004】
人体への安全性が高く、ダニの増殖防止ができ、ダニの生体、死骸、糞等のダニアレルゲンを除去できるダニアレルゲン効果が高く、かつその効果が長期にわたり持続し、また容易にカーペット等の繊維製品からもダニアレルゲン除去できる、ダニアレルゲン除去剤が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人体への安全性が高く、ダニを除去し難いカーペット等の繊維製品からも簡単な操作で容易にダニの増殖防止ができ、ダニの生体、死骸、糞等のダニアレルゲンを除去できる効果が大きく、かつその効果が長期にわたり持続するダニアレルゲン除去剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明者は酸化亜鉛と酸化アルミニウムを含有する固溶体である複合金属酸化物が高いダニ増殖防止作用およびダニアレルゲン除去作用を有することを見出し、該複合金属酸化物を含有した噴霧剤により容易にカーペット、床材等に付着したダニアレルゲンを除去できることを見出した。本発明ではアレルゲン不活化とアレルゲン除去を同一の意味に用いた。
【0007】
(1)下記一般式(1)で表される複合金属酸化物を含有することを特徴とするダニアレルゲン除去剤。
(ZnO)1-x(Al23x (1)
(式中、xは0.005≦x<0.2である)
(2) 該複合金属酸化物が固溶体であることを特徴とする(1)項に記載のダニアレルゲン除去剤。
(3)該複合金属酸化物の一次粒子サイズが0.01〜0.2μmであることを特徴とする(1)項〜(2)項のいずれかに記載のダニアレルゲン除去剤。
(4)(1)項〜(3)項のいずれかに記載のダニアレルゲン除去剤を含有する液体組成物を、噴霧手段を具備する容器に充填した容器入りダニアレルゲン除去噴霧剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明のダニアレルゲン除去剤およびそれを含有する噴霧剤は、従来の方法では除去が困難であったカーペット、微細な凹凸を有する床材等のダニアレルゲンを容易に除去でき、かつその除去効果が長期にわたり持続し優れたダニアレルゲン除去効果を示した。また本発明のダニアレルゲン除去剤は人体の健康を害さない点でも好ましかった。同時にダニの生体の増殖も防止できダニアレルゲン除去剤としてこの面からも好ましかった。また、繊維製品に本発明のダニアレルゲン除去剤を付着させると、ダニアレルゲン除去効果が持続し、かつ該繊維製品を洗濯しても該除去効果を失わない点で好ましかった。また、着色、変色等の繊維製品の価値を落とす欠点も有せず好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の複合金属酸化物は下記式(1)で表される酸化亜鉛および酸化アルミニウムを含む複合金属酸化物であり、また固溶体であることが好ましい。
(ZnO)1-x(Al23x (1)
式中、xは0.005≦x<0.2であることが好ましく、0.02≦x<0.1であること
がより粉ましく、0.04≦x<0.08であることがさらに好ましい。
xが0.2以上であるとアレルゲン不活化能が低下する。これはアレルゲン不活作用は主として複合金属酸化物の中の酸化亜鉛に由来しているためと思われる。一方、xが0.0
05未満であるとアレルゲン不活化能が低下するが、これは複合金属酸化物の水分散液中
の分散性が低下し平均粒子系が大きくなり、その結果表面積が低下しアレルゲン不活作用
の反応イトが減るためと思われる。
本発明の複合金属酸化物は固溶体であることが好ましい。本発明において固溶体とはX線回折分析において酸化亜鉛および酸化アルミニウム各々の固有の回折線を実質上有しないもの(同一組成に計量され、同一条件でX線回折測定を行った場合、酸化亜鉛と酸化アルミニウムの混合物に比べ、酸化亜鉛および酸化アルミニウムの固有の回折線の強度が30%以下に低下したもの)を言う。すなわち、X線回折上は結晶内の原子(亜鉛イオンおよびアルミニウムイオン)が均一に混合された状態の化合物を示す。両金属イオンが均一に原子レベルで混合することで、少量の酸化アルミニウムにより水中での分散性向上が可能となり、かつ表面において両金属イオンの協奏的効果によりアレルゲンが速やかに不活化されると推測している。
【0011】
本発明の複合金属酸化物は粒子状であり、その一次粒子の平均粒子サイズが0.01〜0.2μmであることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましく、0.01〜0.06μmであることがさらに好ましい。一次粒子の平均粒子サイズは、複合金属酸化物粒子の走査型電子顕微鏡写真から不作為に50個以上の粒子を選びその各粒子の画像と同等の面積の円の直径を求め、その直径を粒子サイズとした。
本発明の複合金属酸化物の水分散液中の粒子サイズは、水分散液を採取し、その液を5分間以上超音波で処理した後に、レーザー散乱法で測定した。
【0012】
本発明の複合金属酸化物においてBET比表面積は重要な指標である。一般にアレルゲン不活作用を高くするためにはBET比表面積が大きいことが好ましい。しかし、一方ではBET比表面積が大き過ぎると、繊維製品への付着、空中への散布等の使用の際に複合金属酸化物粒子が凝集し、かえって実用上の表面積が小さくなり、アレルゲン不活作用が低くなることがある。このため、BET表面積は1〜300m/gが好ましく、3〜150m/gがより好ましく、5〜80m/gがさらに好ましい。
これらの複合金属酸化物の製造方法としては、特開平8−291011号記載の方法を用いることができる。
粒子サイズが小さいと総表面積が大きくなる。アレルゲン不活作用は複合金属酸化物の表面で反応し失活すると思われるので、粒子サイズが小さいほどアレルゲン不活作用は大きくなる。しかし、ある程度以上一次粒子サイズが小さくなると、表面積が大きいゆえに粒子が凝集し易くなり、かえって実際の使用時の表面積が減少することが起こりやすい。
本発明の複合金属酸化物粒子のサイズに最適領域が存在するのはこのためと思われる。
【0013】
本発明の複合金属酸化物は表面処理されることが好ましい。 表面処理剤として好ましく用いられるものを例示すれば次の通りである。ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類;前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩;ステアリルアルコール、オレイルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤類;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノまたはジエステルまたは両者の混合物であって、それらの酸型またはアルカリ金属塩またはアミン塩等のリン酸エステル類;ビニルエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシーエトキシ)シラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ベーター(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の多価アルコールと脂肪酸のエステル類。
この中でも、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、カップリング剤(シラン系、チタネート系、アルミニウム系)および多価アルコールと脂肪酸のエステル類からなる群から選ばれた表面処理剤の内の少なくとも一種による表面処理が好ましく、さらにステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類および前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。
【0014】
本発明の複合金属酸化物を水その他の溶剤に分散するときに、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤のいずれをも用いることができる。また低分子型界面活性剤、高分子型界面活性剤のいずれも用いることができる。これらの界面活性剤を1種用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤の中では分散の安定性の観点でアニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。アニオン界面活性剤の中でもカルボン酸型アニオン界面活性剤が特に好ましい。
また、沈降防止のために本発明の複合金属化合物の分散液にメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールを1〜10重量%添加することが好ましい。また分散状態の向上のために通常の攪拌機以外に超音波分散機をもちいることも好ましい。
【0015】
本発明で用いることができるアニオン性界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、スルホン酸エステル型、リン酸エステル型界面活性剤がある。具体的には例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN−アシルグルタミン酸、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸、ジトリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸コラーゲン加水分解アルカリ塩等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いることができるカルボン酸型アニオン界面活性剤としては炭素数が5〜2個のものが好ましい。具体的にはカプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレステアリン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ヤシ脂肪酸等およびその塩が好ましい。塩としてはこれらのナトリウム塩、あるいはカリウム塩が好ましい。
【0017】
本発明で用いることができるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド含有化合物、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アミドジエタノ−ル、アシルグルコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられるが、特に好ましくは、ポリエチレンオキシド含有化合物、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー類またはショ糖脂肪酸エステルである。
【0018】
本発明で用いることができる両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、グリシン型などが挙げられる。好ましくは、2ーアルキルーNーカルボキシメチルーNー ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインまたはヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインである。
これらのアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活
性剤は単独で、またはこれらを組み合わせて2種以上用いることができ、その配合量は界
面活性剤の総量としては、無機系複合金属酸化物を含有する分散液、溶液の全量の0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜2重量%、より好ましくは0.3〜1重量%である。
【0019】
本発明で用いられる複合金属酸化物を含有したダニアレルゲン除去剤をカーペット、や家財等の対象物に付与する方法は種々のものがある。複金属酸化物を水等の溶媒に分散した複合金属酸化物含有の分散液に対象物を浸漬させる方法(浸漬法)、複合金属酸化物を水等の溶媒に分散した複合金属酸化物含有の分散液を対象物に噴霧する方法(噴霧法)、複合金属酸化物を水等の溶媒に分散した複合金属酸化物含有の分散液を対象物に塗布する方法(塗布法)、該分散物を対象物にインクジェット法で付着させる方法、複合金属酸化物粒子を繊維の空隙に含浸させる方法(含浸法)等を用いることができる。
これらの内、上記の浸漬法、塗布法、噴霧方法が容易であるため好ましく、噴霧法が容易に使用できるので最も好ましい。
【0020】
噴霧法は対象物を裁断後にも容易にアレルゲン不活化処理ができるため、安価で、迅速に、簡便に繊維製品を製造する方法として好ましい。噴霧時の液滴のサイズが1〜500μmで噴霧することが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜20μmが特に好ましい。
【0021】
本発明のダニアレルゲン除去剤を噴霧法で用いる場合は、本発明の複合金属酸化物粒子を水等の溶媒に分散して用いることが好ましい。上記溶剤としては特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ノルマルパラフィン、ソルベントナフサ等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジクロロエタン、水等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
本発明のダニアレルゲン除去剤を噴霧法で用いる方法としては特に限定されず、例えば、本発明の複合金属酸化物粒子を水等の溶媒に分散した液をプラスチック、金属、ガラス等からなる、霧状に噴霧可能なノズルを有する容器に収納する方法等の従来公知の方法が挙げられる。
【0023】
また、噴射法で用いられる噴射ガスとしては特に限定されず、フロン11、フロン12、フロン21、フロン22、フロン113、フロン114、メチルクロライド、イソブタン、炭酸ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらの噴射ガスは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明のダニアレルゲン除去剤に高分子を含有させることはダニアレルゲン除去効果の持続性を向上させる点で好ましい。高分子としては種々のものが用いられるが、水溶性高分子が好ましく、ポリビニルアルコールが最も好ましい。
用いられる合成高分子ポリビニルアルコールは、通常の酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルを鹸化させた水酸基を持ったビニル樹脂である。合成高分子ポリビニルアルコールであればいずれも好ましく用いることができる。合成高分子ポリビニルアルコールの重合度、けん化度は種々のものを用いることができる。対象物に付着させる工程に用いる合成高分子ポリビニルアルコールの水溶液の好ましい性質、すなわち合成高分子ポリビニルアルコールの濃度(溶解度)、溶液粘度が得られる重合度、けん化度を選ぶ必要がある。一般に重合度が上がると溶解性が低下し、また溶液粘度が高くなる。また、けん化度が上がると溶解性が低下し、また溶液粘度が高くなる傾向がある。また、対象物に付着後に本発明の複合金属酸化物を保持する能力を高めるためには、重合度は高めで、けん化度は中程度が好ましい。さらに、対象物に合成高分子ポリビニルアルコールを付着させる工程で、該合成高分子ポリビニルアルコールを含む水溶液のゲル化を防止することも考慮する必要がある。水溶液のゲル化が進むと対象物に付着する成高分子ポリビニルアルコールの量が変化する、あるいは水溶液のハンドリングが困難になる等の好ましくない点がある。該合成高分子ポリビニルアルコール水溶液のゲル化を防止する方法としては、該合成高分子ポリビニルアルコールの種類を適切に選択するのみでなく、その水溶液の該合成高分子ポリビニルアルコールの含有濃度、水溶液のpH(6以下の低めが好ましい)、水溶液の保存温度(30℃以下が好ましい)、水溶液にメチルアルコール(10%から30%含有させることが好ましい)等の有機系溶剤を混合する等種々の方法がある。
合成高分子ポリビニルアルコールはいずれも好ましく用いることができる。たとえば日本合成化学のゴーセノールの種々の品種が挙げられる。特に限定されないが、好ましい例としてたとえば、ゴーセノールKL−20,05,03、KP−08R、KH−17,11、H−17,14,14L,05が挙げられる。
【0025】
本発明のダニアレルゲン除去剤はカーペット、カーテン、衣類、布団、毛布等の繊維製品に容易に用いるころができる。しかも、該繊維製品を洗濯および漂白処理してもダニアレルゲン除去性能の低下が小さく好ましい。その理由は、一つは本発明の複合金属酸化物が酸化されにくい化学的に安定な性質のためであるが、これらの処理において本発明の複合金属酸化物が繊維から脱落し難いこともその理由である。本発明の複合金属酸化物がこれらの処理中に脱落し難い理由は明確ではない。しかし、この効果が綿、麻等のセルロース系繊維で顕著であることから、次のように推定している。酸化亜鉛に酸化アルミニウムが固溶化することで、表面の水酸基の性質が変化したこと、微粒子の物理的性質(硬度等)が変化したこと、粒子同士の凝集力が低下し分散液中の分散性が向上したことが考えられる。これらにより繊維との付着が強固になったと思われる。特に水酸基を有するセルロース系繊維(綿、麻、レーヨン)でこれが顕著である。
【0026】
本発明のダニアレルゲン除去剤が好ましく用いられる繊維製品の繊維は、綿、麻等のセルロース繊維、ウール、カシミヤ等のタンパク繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)、プロミックス等の半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン(ポリアセタール)繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維がある。より好ましいのは、綿、麻等のセルロース繊維、ウール、カシミヤ等のタンパク繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)、プロミックス等の半合成繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維である。さらに好ましいのは、綿、麻等のセルロース繊維、ウール、カシミヤ等のタンパク繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)等の半合成繊維である。さらに好ましいのは、綿、麻等のセルロース繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)等の半合成繊維からなるセルロース繊維である。もっとも好ましいものは綿、麻、レーヨンである。好ましい繊維は水酸基を有し、かつ表面に凹凸が多いものである。なお、綿、麻、レーヨンを含有する混紡も特に好ましい。混紡の相手は特に選ばないがポリエステルが好ましい。混紡率は綿、麻、レーヨンを15%以上含むことが好ましい。
【0027】
本発明のアレルゲン除去剤が好ましく用いられる繊維製品は事業所および家庭等のあらゆる場所で用いられる作業着、ユニホーム、帽子、手袋、靴下、スリッパ、ハンカチ、マスク、下着、寝巻き等の衣類、カーテン、カーペット、椅子のカバー、壁の内張り、タオル等の内装品、シーツ、布団、毛布、肌掛け、枕カバー等の寝具、マットレス、寝具、空調機の空気フィルター、浄水器の水用のフィルター、風呂の循環水のフィルター、各種の器具、用具の保管容器等に用いることができる。また畳、床材、壁紙等の壁材にも用いられる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)<複合金属酸化物の合成>
硝酸亜鉛と硝酸アルミニウムの混合水溶液(Zn+2=0.95mol/L、Al+3
0.05mol/L)2Lを、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液2Lと0.6mo
l/Lの炭酸ナトリウム水溶液0.5Lとの混合溶液に、撹拌下に約1分間(添加時間)
で全量加え、反応させた(反応温度約30℃)。得られた反応物スラリーを減圧濾過、水
洗し、乾燥した。乾燥物を粉砕して得られた粉末を400℃で1.5時間焼成し本発明の
複合金属酸化物A−3を得た。
上記の添加時間を2分間にし、反応温度を45℃にした以外はA−3と同様にして、複合
金属酸化物A−6を得た。
上記の添加時間を6分間にし、反応温度を60℃にした以外はA−3と同様にして、複合
金属酸化物A−7を得た。
また、硝酸亜鉛と硝酸アルミニウムの量比を変更した以外はA−3と同様にして本発明の
複合金属酸化物A−1,2,4,5、および比較例の複合金属酸化物C−1、2を得た。
複合金属酸化物A−1〜7、C−1,2を粉末X線回折法により測定した結果、酸化亜鉛
および酸化アルミニウム固有の回折線の強度が新規に発生した回折線の強度の10%以下
になっており、固溶体であることが確認できた。
複合金属酸化物の一次粒子の平均サイズを走査型電子顕微鏡写真より求めた。A−1〜7
の一次粒子の平均サイズは、それぞれ0.05、0.03、0.02、0.02、0.0
2、0.16、0.30μmであった。
【0030】
<本発明の複合金属酸化物>
A−1からA−7の複合金属酸化物は本発明の式(1)で表される化合物である。
化合物No. 式(1)中のxの値
A−1 0.01 本発明
A−2 0.03 本発明
A−3 0.05 本発明
A−4 0.10 本発明
A−5 0.16 本発明
A−6 0.05 本発明
A−7 0.05 本発明
【0031】
<比較例化合物>
化合物No. 式(1)中のxの値
C−1 0.22 比較例
C−2 0.001 比較例
C−3 酸化亜鉛 比較例
C−1およびC−2は本発明の複合金属酸化物の式(1)で表される化合物であるが、x
の値が本発明の規定を外れている。
【0032】
(実施例2)
<本発明の複合金属酸化物水分散液の調製>
容器にの精製水を入れ、それにカルボン酸型アニオン界面活性剤であるラウリン酸ナト
リウムを1重量%添加し、さらに複合金属酸化物A−1を添加し、0.5mm径のアルミ
ナ製のボールを投入し、この容器を回転ローラーに載せ、ボールミル機の常法に従い48
時間回転分散処理をし、本発明の複合金属酸化物A−1の水分散液Y−1を調製した。A
−1の濃度は1重量%であった。
本発明の複合金属酸化物A−1の代わりに各々A−2~7、C−1~3を用いた以外はY−1と同様にして本発明および比較例化合物の水分散液各々Y−2~7、CY−1~3を得た。
【0033】
(実施例3)
<洗濯方法>
ワッシャー洗濯機を用い、水量90L に「JAFET標準配合洗剤」(ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)120mlを添加
して洗濯液とし、洗濯液に浴比が1:30になるようサンプル布を投入し、40℃の温度で120分間洗濯をし、その後で家庭洗濯機を用いてすすぎを行いった。この温水での洗濯とすすぎ、乾燥の一連の工程1回を、SEKのマニュアルに従い洗濯10回相当とした。
下記に示す洗濯20回相当とはこの一連の工程を2回行ったことを示し、洗濯50回相当
とはこの工程を5回繰り返したことを示す。
【0034】
<Derf2アレルゲン試験液の調整およびダニアレルゲンの検出法>
ダニアレルゲンはアサヒフードアンドヘルスケア社製の精製ダニ抗原Derf2を使用
した。このダニ抗原を各1.0μg/10ml、1.5μg/10ml、2.0μg/10mlの濃度にリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈し、これを濃度の異なる3種類の試験液(以下ダニ試験液と称す)を得た。
ダニアレルゲンの検出には屋内塵性ダニ簡易検査キットである「マイティチェッカー(住
化エンビロサイエンス株式会社製)」を使用した。
<アレルゲン不活作用の試験>
サンプルを試験容器に筒状に丸めて入れ、上記のダニ試験液を滴下した後、オレフィンフイルムとアルミニウムホイルで密封し、60℃で24時間保存した後、「マイティチェッカー(住化エンビロサイエンス株式会社製)」を用いて試験容器中の液のダニアレルゲンの有無を確認した。
【0035】
(実施例4)
<ダニアレルゲン除去率の測定用サンプルの作製>
実施例2記載の水分散物Y−3を水で希釈し複合金属酸化物粒子A−3の含有量を0.1重量%とした液をスプレーガン用トリガーノズル(トラスコ中山(株)製、TTN−3AN)を用い、半年間家庭で使用された中古カーペット(( 株) サンゲツ製カーペット「サンビクトリア VT−51 」)に1mあたり0.02gの複合金属酸化物A−3が付着するように均一に散布した。室温で30 分間乾燥させた後、新品の紙パックを装着した吸引仕事率25 0W の掃除機で1 秒間吸引した。散布、乾燥、吸引からなるこれらの操作を2 0 回繰り返した。その後、該カーペットを5cmX10cmのサイズに裁断しサンプルH4−3を得た。
分散液Y−3の代わりに実施例2記載の分散液CY−1~3を各々用いた以外は、H4−3と同様にしてサンプルCH4−1~3を得た。
【0036】
<ダニアレルゲン除去作用の試験結果>
上記のサンプルH4−1、CH4−1~3、および分散液の噴霧をしなかったカーペットサンプル(未処理カーペット)に、実施例3記載のアレルゲン不活作用の試験を行った。ダニアレルゲン試験液は2種類用いた。判定は発色なし(ダニアレルゲン検出せず)を○、弱い発色(ダニアレルゲンが少量あり)を△、発色あり(ダニアレルゲンあり)をXとして表示した(以下の実施例も同様にこの表記を用いる)。
サンプルNo. 判定結果
ダニ試験液 1.0μg/10ml 1.5μg/10ml
H4−3 ○ ○ 本発明
CH4−1 △ X 比較例
CH4−2 △ X 比較例
CH4−3 △ X 比較例
未処理カーペット X X 比較例
本発明の複合金属酸化物の水分散液を噴霧したサンプルH4−3は、比較例のCH4−1〜3および未処理カーペットに比べダニアレルゲン除去作用が高く好ましかった。
【0037】
(実施例5)
実施例2記載の水分散物Y−3を水で希釈し複合金属酸化物粒子A−3の含有量を0.1重量%とし、その液を噴霧器で綿ブロードに0.015g/mの付着量になるよう均一に噴霧し、乾燥し、この噴霧、乾燥の工程を20回繰り返した。該綿ブロードを5X10cmの大きさに裁断してサンプルH5−3を得た。
分散液Y−3の代わりに実施例2記載の分散液各Y−6,7、CY−3を用いた以外はH5−3と同様にしてサンプルH5−6,7,CH5−3を得た。該サンプルを実施例3記載の洗濯を表示の回数行った後に、実施例3記載のアレルゲン不活作用の試験と同様にしてアレルゲン不活作用の試験を行った。
処理布サンプルNo. 判定結果
ダニ試験液 1.0μg/10ml 1.5μg/10ml
洗濯回数 0 10 0 10 回
H5−3 ○ ○ ○ ○ 本発明
H5−6 ○ ○ ○ ○ 本発明
H5−7 ○ △ ○ △ 本発明
CH5−3 X X X X 比較例
本発明の一般式(1)で表される複合金属酸化物において、一次粒子サイズが0.02
μmの複合金属酸化物を用いた処理布サンプルH5−3がアレルゲン不活作用の洗濯によ
る低下が見られず最も好ましく、一次粒子サイズが0.16μmの複合金属酸化物を用い
た処理布サンプルH5−6はアレルゲン不活作用の洗濯による低下がやや見られ、一次粒
子サイズが0.30μmの複合金属酸化物を用いた処理布サンプルH5−7はアレルゲン
不活作用の洗濯による低下が大きくやや好ましくなかった。また比較例の酸化亜鉛を用いたCH5−3はダニアレルゲン不活作用がみられず好ましくなかった。
【0038】
(実施例6)
実施例2記載の水分散物Y−1を水で希釈し複合金属酸化物粒子A−1の含有量を0.1重量%とし、その液を噴霧器でポリエステル80%/綿20%の織布に0.015g/mの付着量になるよう均一に噴霧し、乾燥し、この噴霧、乾燥の工程を20回繰り返した。該織布を5X10cmの大きさに裁断してサンプルH6−1を得た。
分散液Y−1の代わりに実施例2記載の分散液各Y−2,3,4,5、CY−1,2を用いた以外はH6−1と同様にしてサンプルH6−2,3,4,5,CH6−1.2を得た。該サンプルを実施例3記載の洗濯を表示の回数行った後に、実施例3記載のアレルゲン不活作用の試験と同様にしてアレルゲン不活作用の試験を行った。
処理布サンプルNo. 判定結果
ダニ試験液 1.0μg/10ml 1.5μg/10ml
洗濯回数 0 10 0 10 回
H6−1 ○ ○ ○ △ 本発明
H6−2 ○ ○ ○ ○ 本発明
H6−3 ○ ○ ○ ○ 本発明
H6−4 ○ ○ ○ ○ 本発明
H6−5 ○ ○ ○ ○ 本発明
CH6−1 ○ ○ ○ △ 比較例
CH6−2 ○ △ ○ X 比較例
本発明の一般式(1)で表される複合金属酸化物において、一般式(1)のxの値が0.
005≦x<0.2の範囲内の本発明の複合金属酸化物を用いた処理布サンプルH6−1
〜5は、xの値が範囲外の比較例の複合金属酸化物を用いた処理布サンプルCH6−1,
2に比べ洗濯によるアレルゲン不活化作用の低下が小さく好ましかった。
【0039】
(実施例7)
<合成高分子ポリビニルアルコールの効果>
実施例2記載の水分散物Y−3を水で希釈し複合金属酸化物粒子A−3の含有量を0.1重量%とし、その液を噴霧器でポリエステル100%の織布に0.01g/mの付着量になるよう均一に噴霧、乾燥させ、この噴霧、乾燥の工程を10回繰り返した。該織布を5X10cmの大きさに裁断してサンプルH7−3を得た。
合成高分子ポリビニルアルコールである日本合成化学製のゴーセノールKH−17(以下PVA−17と称する)を0.13重量%含有し、本発明の複合金属化合物A−3を0.5重量%含有する水分散液使用した以外は、サンプルH7−3と同様にしてサンプルH7−3Pを得た。サンプルH7−3、H7−3Pに実施例3記載の洗濯を表示の回数行った後に、実施例3記載のアレルゲン不活作用の試験と同様にしてアレルゲン不活作用の試験を行った。なおダニ試験液は2.0μg/10mlの濃度のものを用いた。
サンプルNo. 判定結果
洗濯回数 0 20 50 回
H7−3 ○ △ X 本発明
H7−3P ○ ○ △ 本発明
本発明のサンプルH7−3、H7−3P共に良好なアレルゲン不活作用を示したが、ポリビニルアルコールを含有したサンプルH7−3Pの方がより洗濯によるアレルゲン不活作用の低下が小さく好ましかった。
【0040】
(実施例8)
<フェノール化合物との比較>
実施例2記載の水分散物Y−3を水で希釈し複合金属酸化物粒子A−3の含有量を0.1重量%とし、その液を噴霧器でポリエステル80%/綿20%の織布に0.01g/mの付着量になるよう均一に噴霧、乾燥させ、この噴霧、乾燥の工程を20回繰り返した。該織布を5X10cmの大きさに裁断してサンプルH8−3を得た。
またポリ− 4− ビニルフェノール( 分子量8 0 0 0 : アルドリッチ社製)を含水イソプロピルアルコール(イソプロプルアルコールと水の混合比率は体積比率で7: 3 ) に溶解させてた溶液を噴霧器でポリエステル80%/綿20%の織布に該ポリ−4 − ビニルフェノールが0.01g/mの付着量になるよう均一に噴霧し、乾燥し、この噴霧、乾燥の工程を20回繰り返した。該織布を5X10cmの大きさに裁断してサンプルCH8−1を得た。サンプルH8−1およびCH8−1に、実施例3記載の洗濯を表示の回数行った後に、実施例3記載のアレルゲン不活作用の試験と同様にしてアレルゲン不活作用の試験を行った。なおダニ試験液は2.0μg/10mlの濃度のものを用いた。
サンプルNo. 判定結果
洗濯回数 0 10 20 回
H8−3 ○ ○ △ 本発明
CH8−1 △ X X 比較例
本発明の複合金属化合物を付着させたサンプルH8−3は、有機系のダニアレルゲン除去剤として提案されているポリ−4 − ビニルフェノール( 分子量8 00 0 : アルドリッチ社製)を付着させた比較例サンプルCH8−1に比べ、ダニアレルゲン除去効果が優り、特に洗濯耐性がより優り好ましかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される複合金属酸化物粒子を含有することを特徴とするダニアレルゲン除去剤。
(ZnO)1-x(Al23x (1)
(式中、xは0.005≦x<0.2である)
【請求項2】
該複合金属酸化物粒子が固溶体であることを特徴とする請求項1に記載のダニアレルゲン除去剤。
【請求項3】
該複合金属酸化物粒子の一次粒子サイズが0.01〜0.2μmであることを特徴とする求項1〜2のいずれかに記載のダニアレルゲン除去剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のダニアレルゲン除去剤を含有する液体組成物を、噴霧手段を具備する容器に充填した容器入りダニアレルゲン除去噴霧剤。


【公開番号】特開2013−82769(P2013−82769A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221942(P2011−221942)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(501011875)
【Fターム(参考)】