ダミー品の製造方法およびダミー品、見本帳ないし見本帳ファイル
【課題】艶および質感を有するのみならず、立体感に富み、より現物に近いダミー品の製造方法を提供すること。
【解決手段】合成樹脂製のシート２０上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物１１ａ〜１４ａのそれぞれの絵柄４０に即した絵柄印刷層３１を含む印刷層３０をそれぞれ印刷し、それらの印刷層３０が印刷された合成樹脂製のシート７０を真空成形機６０に装着して前記各印刷層１１ｃ〜１４ｃに各絵柄４０に即した凹凸部５１，５２を真空成形によって付加し、しかる後に、前記凹凸部５１，５２が付加された前記各印刷面１１ｃ〜１４ｃをプレス機で所定の形状に打ち抜いて意匠の異なる複数のダミー品１１〜１４を製造する。
【解決手段】合成樹脂製のシート２０上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物１１ａ〜１４ａのそれぞれの絵柄４０に即した絵柄印刷層３１を含む印刷層３０をそれぞれ印刷し、それらの印刷層３０が印刷された合成樹脂製のシート７０を真空成形機６０に装着して前記各印刷層１１ｃ〜１４ｃに各絵柄４０に即した凹凸部５１，５２を真空成形によって付加し、しかる後に、前記凹凸部５１，５２が付加された前記各印刷面１１ｃ〜１４ｃをプレス機で所定の形状に打ち抜いて意匠の異なる複数のダミー品１１〜１４を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、住設業界、内装業界、トイレ業界などで商談の際などに広く用いられている見本帳ファイルないし見本帳ファイルに綴じる見本帳に関し、さらに詳しくは、見本帳に掲載されている見本（ダミー品）およびダミー品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の住設業界、内装業界、トイレ業界などの商談などの際に用いる見本帳ファイルないし見本帳は、通常、現物（例えば、凹凸模様などの意匠を有する、からーとたん現物素材などの外壁材、壁紙など）の一部をそのまま台紙に貼り付けた構成となっている。これは、業者と購入者の双方にとって、現物の凹凸感、艶、色調、量感などの質感を見て触って確認できることから重宝されている。
【０００３】
しかし、見本帳ファイルないし見本帳を制作するには、次のような多くの問題があった。つまり、（１）生産ラインを停止してでも、全製品の現物を確保しなければならないという問題、（２）確保した現物を所定の形状および寸法にカットして一点ずつ台紙に貼り付けなければならないという問題、（３）現物の確保、カット、台紙貼りなどの制作時間が長期に亘るという問題、（４）これらの問題から高コストになっているという問題、（５）見本帳ファイルないし見本帳は重量があるため、持ち運びに不便であるという問題、（６）見本帳ファイルないし見本帳を廃棄する場合の環境負荷の問題などがあった。
【０００４】
したがって、上記（１）〜（６）の問題をクリアしつつ、現物と同等の触感、凹凸感、色調などを持つタミー品、その見本帳ファイルないし見本帳が熱望されている。このような要望から、従来、紙基材上にオフセット印刷により絵柄印刷層を形成し、該絵柄印刷層上全面にオフセット印刷によりオフセット印刷用無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層を形成し、該下地兼意匠層上にシルクスクリーン印刷によりシルクスクリーン印刷用無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層を形成した印刷物が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
しかしながら、上記印刷物は、下地兼意匠層による艶、および、表面兼意匠層による質感を有するが、現物が持っている凹凸がないために、立体感に欠けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００２−６７４６８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、艶および質感を有するのみならず、立体感に富み、より現物に近いダミー品の製造方法およびダミー品、見本帳ないし見本帳ファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係るダミー品の製造方法は、合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層をそれぞれ印刷し、それらの印刷層が印刷された合成樹脂製のシートを真空成形機に装着して、前記各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形によって付加し、意匠の異なる複数のダミー品を製造することを特徴とするものである。
【０００９】
ここで、前記各絵柄に即した凹凸部を有する型としては、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものであることが好ましい。
【００１０】
本発明に係るダミー品は、合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層が形成され、該印刷層の印刷面に前記絵柄に即した凹凸部が、各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形により付加されていることを特徴とするものである。
【００１１】
ここで、前記各絵柄に即した凹凸部を有する型としては、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものであることが好ましい。
【００１２】
本発明に係るダミー品は、前記印刷層が、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって形成された絵柄印刷層と、該絵柄印刷層の上にオフセット印刷によって形成された下地兼意匠層と、該下地兼意匠層の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって形成された表面兼意匠層からなり、かつ、前記下地兼意匠層の厚みが5〜7μｍであることが好ましい。
【００１３】
本発明に係るダミー品は、前記合成樹脂製のシートの印刷面の光沢度が、40〜60％であることが好ましい。
【００１４】
本発明に係る見本帳は、意匠の異なる複数のダミー品を台紙に貼り付けて形成したことを特徴とするものである。
【００１５】
本発明に係る見本帳ファイルは、見本帳を複数枚、綴じ合わせて形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のダミー品の製造方法によれば、合成樹脂製のシートに現物に即した意匠を印刷した後、印刷した意匠に即した凹凸を真空成形によって付与するために、生産ラインを停止しなくても、全製品のダミー品を容易に確保することができる。また、現物を一点ずつ所定の形状および寸法にカットする必要がないために、効率的に全製品のダミー品を製造することができる。
【００１７】
本発明のダミー品によれば、軽量でありながら、艶および質感を有し、その上、立体感に富み、より現物に近いダミー品となる。
【００１８】
本発明の見本帳ないし見本帳ファイルによれば、台紙に貼り付けられている製品のダミー品が主として合成樹脂で製造されているために、軽量で持ち運びに便利である。また、見本帳ファイルないし見本帳を廃棄する場合も、環境の負荷などが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るダミー品の平面図である。
【図２】図１のＸ−Ｘ断面図である。
【図３】本発明に係るダミー品を台紙に貼り付けた見本帳の平面図である。
【図４】現物を台紙に貼り付けた見本帳の平面図である。
【図５】真空成形機のめす型の平面図である。
【図６】印刷シートの平面図である。
【図７】図６のＹ−Ｙ断面図である。
【図８】真空成形装置に印刷シートをセットした状態を示す断面図である。
【図９】真空成形されたシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図１および図２に示すように、本発明のダミー品（見本品）１１は、合成樹脂製のシート２０の上に印刷層３０を有するとともに、印刷された絵柄４０に即した凹部５１および凸部５２が付加され、さらに、所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットすることで形成されている。
なお、本発明のダミー品１１は、カットされずに、図９のダミー品の配置にみられるように、異なる意匠のダミー品が４枚、あるいは、８枚といったように、複数枚が連通していてもよい。
【００２１】
印刷層３０は、合成樹脂製のシート２０の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層３１を形成し、この絵柄印刷層３１の上全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層３２を形成し、この下地兼意匠層３２の上全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層３３を形成することによって構成されている。
【００２２】
印刷層３０は、これに限らず、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷の印刷手法を組み合わせた印刷手法によって形成することもできる。合成樹脂材としては、ＰＣ（ポリカーボネート）、ＰＶＣ（塩化ビニル系樹脂）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などが望ましい。
【００２３】
また、下地兼意匠層３２の厚みは、5〜7μｍの範囲が望ましい。下地兼意匠層３２の厚みが5μｍよりも薄い場合は、艶、色調、触感にムラ（バラツキ）が発生する。一方、7μｍよりも厚い場合は、特に限定するものが、厚くなればなる程、コストが高くなる。
【００２４】
さらに、合成樹脂製のシート２０の印刷面の光沢度は、40〜60％の範囲が望ましい。この範囲であれば、色調変化を少なくすることができ、色再現をより現物に近いものとすることができる。なお、光沢度は、ＪＩＳ Ｚ８７４１の方法（入射角６０度、受光角６０度の鏡面光沢度）に準じたグロスメーター（スガ試験機（株）製、ハンディグロスメーター）で測定した数値である。
【００２５】
図３は、意匠の異なる複数のダミー品１１，１２，１３，１４を所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットし、これらのダミー品１１，１２，１３，１４を台紙１６に貼り付けて見本帳１８にしたものである。見本帳１８は、複数枚、綴じ合わせて見本帳ファイル（図示せず）にする。
【００２６】
次に、ダミー品の製造方法について説明する。
先ず、図４に示すように、意匠の異なる複数の現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａを所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットし、これらの現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａを台紙１６ａに貼り付けて現物による見本帳１８ａを用意する。
次に、図５に示すように、上記見本帳１８ａを石膏で型取りして真空成形用のめす型６１を成形する。この真空成形用のめす型６１は、見本帳１８ａの現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに対して各めす型部１１ｂ，１２ｂ，１３ｂ，１４ｂの位置および凹凸模様が反転している。めす型材としては、例えば、アルミニウム、或いは、アルミニウム合金などが望ましい。
【００２７】
他方、図６に示すように、上記見本帳１８ａに基づいて合成樹脂製のシート２０上に現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに即した絵柄を印刷した印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃを有する印刷シート７０を形成する。この印刷シート７０は、図７に示すように、合成樹脂製のシート２０の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層３１を印刷し、この絵柄印刷層３１の上の全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層３２を形成し、この下地兼意匠層３２の上の全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層３３を形成している。既に説明したように、絵柄印刷層３１、下地兼意匠層３２、表面兼意匠層３３によって印刷物３０が構成されている。
【００２８】
次に、図８に示すように、上記印刷シート７０の周縁をクランプ６２で真空成形機６０のめす型６１に押さえ付けておき、ヒーター６３で印刷シート７０が十分に軟化したところで、めす型６１内の空気を抜いて印刷シート７０を真空成形機６０のめす型６１に押し付ける。所定時間経過後、ヒーター６３を切り、印刷シート７０が冷えたところでめす型６１から真空成形されたシート８０を取り出す。
【００２９】
この真空成形されたシート８０は、図９に示すように、印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃに絵柄４０に即した凹部５１および凸部５２がプレスされ、より現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに近いものになっている。
【００３０】
真空成形されたシート８０の印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃをプレス機（図示せず）で所定の形状（例えば、長方形、或いは正方形）にカットして、ダミー品１１，１２，１３，１４を形成する。絵柄の異なるダミー品１１，１２，１３，１４を台紙１６に貼り付けると、図３に示すような見本帳１８ができる。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明により得られるダミー品は、住設業界、内装業界、トイレ業界などで商談の際などに広く用いられている見本帳ファイルないし見本帳ファイルに綴じる見本帳用のサンプルとして有用である
【符号の説明】
【００３２】
１１〜１４：ダミー品
１１ａ〜１４ａ：現物
１１ｃ〜１４ｃ：各印刷層
２０：合成樹脂製のシート
３０：印刷層
３１：絵柄印刷層
４０：絵柄
５１，５２：凹凸部
６０：真空成形機
７０：印刷層が印刷された合成樹脂製のシート
８０：真空成形されたシート
【技術分野】
【０００１】
本発明は、住設業界、内装業界、トイレ業界などで商談の際などに広く用いられている見本帳ファイルないし見本帳ファイルに綴じる見本帳に関し、さらに詳しくは、見本帳に掲載されている見本（ダミー品）およびダミー品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の住設業界、内装業界、トイレ業界などの商談などの際に用いる見本帳ファイルないし見本帳は、通常、現物（例えば、凹凸模様などの意匠を有する、からーとたん現物素材などの外壁材、壁紙など）の一部をそのまま台紙に貼り付けた構成となっている。これは、業者と購入者の双方にとって、現物の凹凸感、艶、色調、量感などの質感を見て触って確認できることから重宝されている。
【０００３】
しかし、見本帳ファイルないし見本帳を制作するには、次のような多くの問題があった。つまり、（１）生産ラインを停止してでも、全製品の現物を確保しなければならないという問題、（２）確保した現物を所定の形状および寸法にカットして一点ずつ台紙に貼り付けなければならないという問題、（３）現物の確保、カット、台紙貼りなどの制作時間が長期に亘るという問題、（４）これらの問題から高コストになっているという問題、（５）見本帳ファイルないし見本帳は重量があるため、持ち運びに不便であるという問題、（６）見本帳ファイルないし見本帳を廃棄する場合の環境負荷の問題などがあった。
【０００４】
したがって、上記（１）〜（６）の問題をクリアしつつ、現物と同等の触感、凹凸感、色調などを持つタミー品、その見本帳ファイルないし見本帳が熱望されている。このような要望から、従来、紙基材上にオフセット印刷により絵柄印刷層を形成し、該絵柄印刷層上全面にオフセット印刷によりオフセット印刷用無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層を形成し、該下地兼意匠層上にシルクスクリーン印刷によりシルクスクリーン印刷用無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層を形成した印刷物が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
しかしながら、上記印刷物は、下地兼意匠層による艶、および、表面兼意匠層による質感を有するが、現物が持っている凹凸がないために、立体感に欠けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００２−６７４６８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、艶および質感を有するのみならず、立体感に富み、より現物に近いダミー品の製造方法およびダミー品、見本帳ないし見本帳ファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係るダミー品の製造方法は、合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層をそれぞれ印刷し、それらの印刷層が印刷された合成樹脂製のシートを真空成形機に装着して、前記各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形によって付加し、意匠の異なる複数のダミー品を製造することを特徴とするものである。
【０００９】
ここで、前記各絵柄に即した凹凸部を有する型としては、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものであることが好ましい。
【００１０】
本発明に係るダミー品は、合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層が形成され、該印刷層の印刷面に前記絵柄に即した凹凸部が、各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形により付加されていることを特徴とするものである。
【００１１】
ここで、前記各絵柄に即した凹凸部を有する型としては、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものであることが好ましい。
【００１２】
本発明に係るダミー品は、前記印刷層が、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって形成された絵柄印刷層と、該絵柄印刷層の上にオフセット印刷によって形成された下地兼意匠層と、該下地兼意匠層の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって形成された表面兼意匠層からなり、かつ、前記下地兼意匠層の厚みが5〜7μｍであることが好ましい。
【００１３】
本発明に係るダミー品は、前記合成樹脂製のシートの印刷面の光沢度が、40〜60％であることが好ましい。
【００１４】
本発明に係る見本帳は、意匠の異なる複数のダミー品を台紙に貼り付けて形成したことを特徴とするものである。
【００１５】
本発明に係る見本帳ファイルは、見本帳を複数枚、綴じ合わせて形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のダミー品の製造方法によれば、合成樹脂製のシートに現物に即した意匠を印刷した後、印刷した意匠に即した凹凸を真空成形によって付与するために、生産ラインを停止しなくても、全製品のダミー品を容易に確保することができる。また、現物を一点ずつ所定の形状および寸法にカットする必要がないために、効率的に全製品のダミー品を製造することができる。
【００１７】
本発明のダミー品によれば、軽量でありながら、艶および質感を有し、その上、立体感に富み、より現物に近いダミー品となる。
【００１８】
本発明の見本帳ないし見本帳ファイルによれば、台紙に貼り付けられている製品のダミー品が主として合成樹脂で製造されているために、軽量で持ち運びに便利である。また、見本帳ファイルないし見本帳を廃棄する場合も、環境の負荷などが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るダミー品の平面図である。
【図２】図１のＸ−Ｘ断面図である。
【図３】本発明に係るダミー品を台紙に貼り付けた見本帳の平面図である。
【図４】現物を台紙に貼り付けた見本帳の平面図である。
【図５】真空成形機のめす型の平面図である。
【図６】印刷シートの平面図である。
【図７】図６のＹ−Ｙ断面図である。
【図８】真空成形装置に印刷シートをセットした状態を示す断面図である。
【図９】真空成形されたシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図１および図２に示すように、本発明のダミー品（見本品）１１は、合成樹脂製のシート２０の上に印刷層３０を有するとともに、印刷された絵柄４０に即した凹部５１および凸部５２が付加され、さらに、所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットすることで形成されている。
なお、本発明のダミー品１１は、カットされずに、図９のダミー品の配置にみられるように、異なる意匠のダミー品が４枚、あるいは、８枚といったように、複数枚が連通していてもよい。
【００２１】
印刷層３０は、合成樹脂製のシート２０の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層３１を形成し、この絵柄印刷層３１の上全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層３２を形成し、この下地兼意匠層３２の上全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層３３を形成することによって構成されている。
【００２２】
印刷層３０は、これに限らず、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷の印刷手法を組み合わせた印刷手法によって形成することもできる。合成樹脂材としては、ＰＣ（ポリカーボネート）、ＰＶＣ（塩化ビニル系樹脂）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などが望ましい。
【００２３】
また、下地兼意匠層３２の厚みは、5〜7μｍの範囲が望ましい。下地兼意匠層３２の厚みが5μｍよりも薄い場合は、艶、色調、触感にムラ（バラツキ）が発生する。一方、7μｍよりも厚い場合は、特に限定するものが、厚くなればなる程、コストが高くなる。
【００２４】
さらに、合成樹脂製のシート２０の印刷面の光沢度は、40〜60％の範囲が望ましい。この範囲であれば、色調変化を少なくすることができ、色再現をより現物に近いものとすることができる。なお、光沢度は、ＪＩＳ Ｚ８７４１の方法（入射角６０度、受光角６０度の鏡面光沢度）に準じたグロスメーター（スガ試験機（株）製、ハンディグロスメーター）で測定した数値である。
【００２５】
図３は、意匠の異なる複数のダミー品１１，１２，１３，１４を所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットし、これらのダミー品１１，１２，１３，１４を台紙１６に貼り付けて見本帳１８にしたものである。見本帳１８は、複数枚、綴じ合わせて見本帳ファイル（図示せず）にする。
【００２６】
次に、ダミー品の製造方法について説明する。
先ず、図４に示すように、意匠の異なる複数の現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａを所定の形状（例えば、長方形、或いは、正方形）にカットし、これらの現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａを台紙１６ａに貼り付けて現物による見本帳１８ａを用意する。
次に、図５に示すように、上記見本帳１８ａを石膏で型取りして真空成形用のめす型６１を成形する。この真空成形用のめす型６１は、見本帳１８ａの現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに対して各めす型部１１ｂ，１２ｂ，１３ｂ，１４ｂの位置および凹凸模様が反転している。めす型材としては、例えば、アルミニウム、或いは、アルミニウム合金などが望ましい。
【００２７】
他方、図６に示すように、上記見本帳１８ａに基づいて合成樹脂製のシート２０上に現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに即した絵柄を印刷した印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃを有する印刷シート７０を形成する。この印刷シート７０は、図７に示すように、合成樹脂製のシート２０の上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層３１を印刷し、この絵柄印刷層３１の上の全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して艶を主体に表現する下地兼意匠層３２を形成し、この下地兼意匠層３２の上の全面にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷によって無着色インキを印刷して質感を表現する表面兼意匠層３３を形成している。既に説明したように、絵柄印刷層３１、下地兼意匠層３２、表面兼意匠層３３によって印刷物３０が構成されている。
【００２８】
次に、図８に示すように、上記印刷シート７０の周縁をクランプ６２で真空成形機６０のめす型６１に押さえ付けておき、ヒーター６３で印刷シート７０が十分に軟化したところで、めす型６１内の空気を抜いて印刷シート７０を真空成形機６０のめす型６１に押し付ける。所定時間経過後、ヒーター６３を切り、印刷シート７０が冷えたところでめす型６１から真空成形されたシート８０を取り出す。
【００２９】
この真空成形されたシート８０は、図９に示すように、印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃに絵柄４０に即した凹部５１および凸部５２がプレスされ、より現物１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａに近いものになっている。
【００３０】
真空成形されたシート８０の印刷化粧部１１ｃ，１２ｃ，１３ｃ，１４ｃをプレス機（図示せず）で所定の形状（例えば、長方形、或いは正方形）にカットして、ダミー品１１，１２，１３，１４を形成する。絵柄の異なるダミー品１１，１２，１３，１４を台紙１６に貼り付けると、図３に示すような見本帳１８ができる。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明により得られるダミー品は、住設業界、内装業界、トイレ業界などで商談の際などに広く用いられている見本帳ファイルないし見本帳ファイルに綴じる見本帳用のサンプルとして有用である
【符号の説明】
【００３２】
１１〜１４：ダミー品
１１ａ〜１４ａ：現物
１１ｃ〜１４ｃ：各印刷層
２０：合成樹脂製のシート
３０：印刷層
３１：絵柄印刷層
４０：絵柄
５１，５２：凹凸部
６０：真空成形機
７０：印刷層が印刷された合成樹脂製のシート
８０：真空成形されたシート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層をそれぞれ印刷し、それらの印刷層が印刷された合成樹脂製のシートを真空成形機に装着して、前記各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形によって付加し、意匠の異なる複数のダミー品を製造することを特徴とするダミー品の製造方法。
【請求項２】
各絵柄に即した凹凸部を有する型が、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものである、請求項１記載のダミー品の製造方法。
【請求項３】
合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層が形成され、該印刷層の印刷面に前記絵柄に即した凹凸部が、各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形により付加されていることを特徴とするダミー品。
【請求項４】
各絵柄に即した凹凸部を有する型が、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものである、請求項３記載のダミー品。
【請求項５】
前記印刷層が、オフセット印刷によって形成された絵柄印刷層と、該絵柄印刷層の上にオフセット印刷によって形成された下地兼意匠層と、該下地兼意匠層の上にシルクスクリーン印刷によって形成された表面兼意匠層からなり、かつ、前記下地兼意匠層の厚みが5〜7μｍであることを特徴とする請求項３または４記載のダミー品。
【請求項６】
前記合成樹脂製のシートの印刷面の光沢度が、40〜60％であることを特徴とする請求項３または４記載のダミー品。
【請求項７】
請求項３〜６いずれかに記載の意匠の異なる複数のダミー品を台紙に貼り付けて形成したことを特徴とする見本帳。
【請求項８】
請求項７記載の見本帳を複数枚、綴じ合わせて形成したことを特徴とする見本帳ファイル。
【請求項１】
合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって意匠の異なる複数の現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層をそれぞれ印刷し、それらの印刷層が印刷された合成樹脂製のシートを真空成形機に装着して、前記各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形によって付加し、意匠の異なる複数のダミー品を製造することを特徴とするダミー品の製造方法。
【請求項２】
各絵柄に即した凹凸部を有する型が、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものである、請求項１記載のダミー品の製造方法。
【請求項３】
合成樹脂製のシート上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれかの印刷手法、もしくはこれらの印刷手法を組み合わせた印刷手法によって現物のそれぞれの絵柄に即した絵柄印刷層を含む印刷層が形成され、該印刷層の印刷面に前記絵柄に即した凹凸部が、各印刷層に各絵柄に即した凹凸部を有する型を用いて真空成形により付加されていることを特徴とするダミー品。
【請求項４】
各絵柄に即した凹凸部を有する型が、各現物の製品を石膏で型取りし、この型取りした個所にアルミニウム、或いはアルミニウム合金を流し込んで作成されたものである、請求項３記載のダミー品。
【請求項５】
前記印刷層が、オフセット印刷によって形成された絵柄印刷層と、該絵柄印刷層の上にオフセット印刷によって形成された下地兼意匠層と、該下地兼意匠層の上にシルクスクリーン印刷によって形成された表面兼意匠層からなり、かつ、前記下地兼意匠層の厚みが5〜7μｍであることを特徴とする請求項３または４記載のダミー品。
【請求項６】
前記合成樹脂製のシートの印刷面の光沢度が、40〜60％であることを特徴とする請求項３または４記載のダミー品。
【請求項７】
請求項３〜６いずれかに記載の意匠の異なる複数のダミー品を台紙に貼り付けて形成したことを特徴とする見本帳。
【請求項８】
請求項７記載の見本帳を複数枚、綴じ合わせて形成したことを特徴とする見本帳ファイル。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１０−２４３７５６（Ｐ２０１０−２４３７５６Ａ）
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−９１８８２（Ｐ２００９−９１８８２）
【出願日】平成２１年４月６日（２００９．４．６）
【出願人】（５０９０９８３３１）株式会社 常陽産業 (2)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月６日（２００９．４．６）
【出願人】（５０９０９８３３１）株式会社 常陽産業 (2)
【Ｆターム（参考）】
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