説明

ダンボール箱

【課題】 下敷き片を折り出して上側内フラップ同士の先端縁間空隙を塞ぐことにより、粘着テープやカッターによる内容物への損傷を防止させ、かつ下敷き片を上側内フラップ自身の一部で形成させることで別途にダンボール紙片や厚紙片や薄いクラフト紙片等を用意する必要が無く、これにより紙資源の節減を図ると共に簡単な手間で敷設することができるようにしたダンボール箱の提供。
【解決手段】 箱組立状態で上側外フラップ14、34が上側内フラップ24、44の外側に重なると共にその先端縁同士が突き合わされるように形成されたダンボール箱において、上側内フラップの一部に下敷き片26、46が形成され、この下敷き片は箱組立状態で上側外フラップ同士の先端縁突合せ部9に重なる位置で上側内フラップ同士の先端縁間空隙Sを完全に塞ぐように折り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダンボール箱に関し、特に、箱組立状態で外フラップ同士の先端縁突合せ部を粘着テープ(ガムテープ等)により封鎖する際やその粘着テープをカッター等で切る際に内容物を損傷させることがないようにするための技術である。
【背景技術】
【0002】
従来のダンボール箱は、第1胴壁部と、第2胴壁部と、第3胴壁部と、第4胴壁部との4枚の胴壁部により四角筒状胴部が形成され、前記第1胴壁部と第3胴壁部の上縁及び下縁に上側内フラップ及び下側内フラップが連接され、前記第2胴壁部と第4胴壁部の上縁及び下縁に上側外フラップ及び下側外フラップが連接された構造になっている(特許文献1参照)。
【0003】
この場合、箱組立状態で上側内フラップ同士の先端縁間及び下側内フラップ同士の先端縁間に空隙が形成され、かつ上側外フラップ及び下側外フラップはそれぞれ上側内フラップ及び下側内フラップの外側に重なると共にその先端縁同士が突き合わされるように形成されている。
【0004】
そして、箱組立状態で箱内に内容物を収容させ、上側内フラップを閉じると共に、その外側に上側外フラップを閉じ、この上側外フラップ同士の先端縁突合せ部を粘着テープより封鎖することでダンボール箱による包装ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−263333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のダンボール箱は、上側内フラップ同士の先端縁間に空隙が形成されているため、包装に際し、上側外フラップを閉じてその先端縁突合せ部を粘着テープにより封鎖するときに、その先端縁突合せ部が開いていると、上側内フラップ同士の先端縁間空隙を通して粘着テープが内容物に粘着してしまい、内容物を汚損したり傷付けたりすることがある。
【0007】
また、開封に際し、上側外フラップ同士の先端縁突合せ部でカッターを走らせて粘着テープを切断していく場合、そのカッターの刃先が上側内フラップ同士の先端縁間空隙を通して内容物に接触していまい、内容物を切損させたり傷付けたりすることがある。
【0008】
このような粘着テープやカッターによる内容物への損傷対策として、前記上側内フラップ同士の先端縁間空隙を塞ぐようにダンボール紙片や厚紙片や薄いクラフト紙片等を敷設するものがあるが、このようなダンボール紙片や厚紙片を用いると、それだけ多く紙資源を消費することになるし、ダンボール紙片や厚紙片を用意する手間や敷設する手間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は前述のような粘着テープやカッターによる内容物への損傷対策としてなされたもので、上側内フラップに下敷き片を形成させ、この下敷き片を折り出して上側内フラップ同士の先端縁間空隙を塞ぐことにより、粘着テープやカッターによる内容物への損傷を防止させ、かつ下敷き片を上側内フラップ自身の一部で形成させることで別途にダンボール紙片や厚紙片や薄いクラフト紙片等を用意する必要が無く、これにより紙資源の節減を図ると共に簡単な手間で敷設することができるようにしたダンボール箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成した。
即ち、本発明の請求項1記載のダンボール箱は、
対向する第1胴壁部(1)と第3胴壁部(3)と、対向する第2胴壁部(2)と第4胴壁部(4)とにより形成された四角筒状胴部(5)と、
前記第1胴壁部(1)と第3胴壁部(3)の上縁及び下縁に連接された上側外フラップ(14)、(34)及び下側外フラップ(12)、(32)と、
前記第2胴壁部(2)と第4胴壁部(4)の上縁及び下縁に連接された上側内フラップ(24)、(44)及び下側内フラップ(22)、(42)と、を備え、
箱組立状態で前記上側内フラップ(24)、(44)同士の先端縁間に空隙(S)が形成され、
かつ箱組立状態で前記上側外フラップ(14)、(34)が前記上側内フラップ(24)、(44)の外側に重なると共にその先端縁同士が突き合わされるように形成されたダンボール箱において、
前記両上側内フラップ(24)、(44)の一部に下敷き片(26)、(46)が形成され、
この下敷き片(26)、(46)は箱組立状態で上側外フラップ(14)、(34)同士の先端縁突合せ部(9)に重なる位置で前記上側内フラップ(24)、(44)同士の先端縁間空隙(S)を完全に塞ぐように折り出されるように形成されている。
【0011】
また、本発明の請求項2記載のダンボール箱は、請求項1記載のダンボール箱において、
前記下敷き片(26)、(46)は、上側内フラップ(24)、(44)の側縁からフラップ内部に切り込まれた切込み線(27)、(47)と、上側内フラップ(24)、(44)の先端縁から前記切込み線(27)、(47)の奥端まで形成された折り線(28)、(48)とで囲まれて形成され、前記折り線(28)、(48)から折り曲げることで上側内フラップ(24)、(44)の先端縁から突出する状態に折り出されるように形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のダンボール箱は、上側内フラップの一部に下敷き片を形成させ、この下敷き片を箱組立状態で上側外フラップ同士の先端縁突合せ部に重なる位置で前記上側内フラップ同士の先端縁間空隙を完全に塞ぐように折り出されるように形成させた構成に特徴がある。
【0013】
従って、包装に際しては四角筒状胴部の内部に必要な内容物を収容させたのち、上側内フラップ同士を内側に折り、次に上側外フラップ同士を内側に折ってその先端縁を突き合わせることになる。
このとき、上側内フラップから下敷き片を折り出しておくと、この下敷き片によって上側外フラップ同士の先端縁突合せ部に重なる位置で上側内フラップ同士の先端縁間空隙を完全に塞ぐことができる。
【0014】
以上のように、下敷き片によって上側外フラップ同士の先端縁突合せ部に重なる位置で上側内フラップ同士の先端縁間空隙を完全に塞ぐことができるため、粘着テープやカッターによる内容物への損傷を防止させることができる。
また、下敷き片を上側内フラップ自身の一部で形成させたので、別途にダンボール紙片や厚紙片や薄いクラフト紙片等を用意する必要が無くなり、これにより紙資源の節減を図ると共に簡単な手間で下敷き片を敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】上側内フラップ及び上側外フラップを開いた状態のダンボール箱を示す斜視図。
【図2】上側内フラップを閉じ、上側外フラップを開いた状態のダンボール箱を示す斜視図。
【図3】包装済みのダンボール箱を示す斜視図。
【図4】ダンボール箱の展開図。
【図5】上側内フラップ及び上側外フラップを開いた状態のダンボール箱を示す平面図。
【図6】上側内フラップを閉じ、上側外フラップを開いた状態のダンボール箱を示す平面図。
【図7】包装済みのダンボール箱を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施例のダンボール箱は、図4に示すように、第1胴壁部1、第2胴壁部2、第3胴壁部3、第4胴壁部4を備え、各胴壁部1、2、3、4は折り線20、30、40、を介して一体に連接されている。
前記第1胴壁部1の側端には糊代片11が折り線10を介して一体に連接され、前記各折り線10、20、30、40、から折り曲げて糊代片11を第4胴壁部4の側端に接合させることで、第1胴壁部1と第3胴壁部3が対向し、第2胴壁部2と第4胴壁部4が対向した四角筒状胴部5を形成させることができる。
【0017】
実施例では、第1胴壁部1及び第3胴壁部3の横幅L1を、第2胴壁部及び第4胴壁部4の横幅L2よりも広幅に形成させることにより平面視で長方形の四角筒状胴部5を形成させている。
【0018】
前記第1胴壁部1と第3胴壁部3の下縁にはそれぞれ下側外フラップ12、32が折り線13、33を介して一体に連接され、上縁にはそれぞれ上側外フラップ14、34が折り線15、35を介して一体に連接されている。
前記第2胴壁部2と第4胴壁部4の下縁にはそれぞれ下側内フラップ22、42が折り線23、43を介して一体に連接され、上縁にはそれぞれ上側内フラップ24、44が折り線25、45を介して一体に連接されている。
【0019】
前記下側外フラップ12、32及び上側外フラップ14、34の高さH1は前記第2胴壁部2及び第4胴壁部4の横幅L2の半分(1/2)に形成され、前記下側内フラップ22、42及び上側内フラップ24、44の高さH2は下側外フラップ12、32及び上側外フラップ14、34の高さH1と同一に形成されている。
【0020】
従って、前記下側内フラップ22、42及び上側内フラップ24、44を内側に折ると、この下側内フラップ22、42同士の先端縁間及び上側内フラップ24、44同士の先端縁間に空隙Sが形成される。
一方、前記下側外フラップ12、32及び上側外フラップ14、34を内側に折ると、この下側外フラップ12、32及び上側外フラップ14、34はそれぞれ前記下側内フラップ22、42及び上側内フラップ24、44の外側に重なると共にその先端縁同士が突き合わされる。
【0021】
尚、前記四角筒状胴部5は平面視で正方形に形成されたものでも良く、この場合は、下側内フラップ22、42及び上側内フラップ24、44の高さH2が下側外フラップ12、32及び上側外フラップ14、34の高さH1よりも低く形成されて先端縁間に空隙Sが生じているものに対して本発明を適用できる。
【0022】
前記両上側内フラップ24、44には、その一部に下敷き片26、46が形成されている。
この下敷き片26、46は箱組立状態で上側外フラップ14、34同士の先端縁突合せ部9に重なる位置で前記上側内フラップ24、44同士の先端縁間空隙Sを完全に塞ぐように折り出されるように形成されている。
【0023】
実施例の下敷き片26、46は、上側内フラップ24、44の側縁からフラップ内部に切り込まれた切込み線27、47と、上側内フラップ24、44の先端縁から前記切込み線27、47の奥端まで形成された折り線28、48とで囲まれて形成されている。
そして、前記折り線28、48から折り曲げることで上側内フラップ24、44の先端縁から突出する状態に折り出されると共に、下敷き片26、46同士が互いに重なるように形成されている。
この場合、下敷き片26、46の折り曲げ方向は、上側内フラップ24、44の上面に重なるように折り曲げても良いし、上側内フラップ24、44の裏面に重なるように折り曲げても良い。
【0024】
尚、前記切込み線27、47は上側内フラップ24、44を厚み方向に完全に切断するように形成されるものであるが、上側内フラップ24、44の側縁部分に若干の非切断部を残したり、ミシン目線等で形成したりすることにより製造途中等で下敷き片26、46が捲れるのを防止できるもので、このようなものも本発明の切込み線に含まれる。
【0025】
前記折り線28、48は、上側内フラップ24、44を厚み方向に半分程度切り込んで折り曲げ易くさせたものでも良いし、ミシン目線等で形成させても良いし、切り込みではなく折り癖を付けたものでも良い。
【0026】
また、実施例は上側内フラップ24、44に下敷き片26、46を形成させた例であるが、下側内フラップ22、42にも同様の下敷き片を形成させても良い。
【0027】
従って、ダンボール箱を包装する場合、第1胴壁部1、第2胴壁部2、第3胴壁部3、第4胴壁部4で四角筒状胴部5を形成させると共に、下側内フラップ22、42と、下側外フラップ12、32で四角筒状胴部5の底面を閉鎖させ、下側外フラップ12、32同士の先端縁突合せ部に粘着テープ60を貼ることで上面を開放させたボックスに形成させる。
【0028】
次に、四角筒状胴部5の内部に必要な内容物を収容させたのち、上側内フラップ24、44を内側に折ったのち、上側外フラップ14、34を内側に折ってその先端縁を突き合わせ、最後に上側外フラップ14、34同士の先端縁突合せ部9に粘着テープ61を貼って封鎖させることになる。
このとき、上側内フラップ24、44を内側に折る際に、予め或いは折った後に、下敷き片26、46を折り出しておくもので、この折り出した下敷き片26、46によって上側外フラップ14、34同士の先端縁突合せ部9に重なる位置で上側内フラップ24、44同士の先端縁間空隙Sを完全に塞ぐことができる。
このため、上側外フラップ14、34同士の先端縁突合せ部9は、その両側部分が両上側内フラップ24、44によって塞がれ、前記先端縁間空隙S部分は両下敷き片26、46で塞がれる。
特に、両下敷き片26、46同士が互いに重なっているため、先端縁間空隙Sを完全に塞ぐことができる。
【0029】
以上のように、上側外フラップ14、34同士の先端縁突合せ部9は、その全長に亘って上側内フラップ24、44と下敷き片26、46とで塞がれた状態になるため、粘着テープやカッターによる内容物への損傷を防止させることができるし、かつ下敷き片26、46を上側内フラップ24、44自身の一部で形成させたので、別途にダンボール紙片や厚紙片や薄いクラフト紙片等を用意する必要が無くなり、これにより紙資源の節減を図ると共に簡単な手間で下敷き片を敷設することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 第1胴壁部
12 下側外フラップ
14 上側外フラップ
2 第2胴壁部
22 下側内フラップ
24 上側内フラップ
26 下敷き片
27 切込み線
28 折り線
3 第3胴壁部
32 下側外フラップ
34 上側外フラップ
4 第4胴壁部
42 下側内フラップ
44 上側内フラップ
46 下敷き片
47 切込み線
48 折り線
5 四角筒状胴部
9 先端縁突合せ部
S 空隙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1胴壁部(1)と第3胴壁部(3)と、対向する第2胴壁部(2)と第4胴壁部(4)とにより形成された四角筒状胴部(5)と、
前記第1胴壁部(1)と第3胴壁部(3)の上縁及び下縁に連接された上側外フラップ(14)、(34)及び下側外フラップ(12)、(32)と、
前記第2胴壁部(2)と第4胴壁部(4)の上縁及び下縁に連接された上側内フラップ(24)、(44)及び下側内フラップ(22)、(42)と、を備え、
箱組立状態で前記上側内フラップ(24)、(44)同士の先端縁間に空隙(S)が形成され、
かつ箱組立状態で前記上側外フラップ(14)、(34)が前記上側内フラップ(24)、(44)の外側に重なると共にその先端縁同士が突き合わされるように形成されたダンボール箱において、
前記両上側内フラップ(24)、(44)の一部に下敷き片(26)、(46)が形成され、
この下敷き片(26)、(46)は箱組立状態で上側外フラップ(14)、(34)同士の先端縁突合せ部(9)に重なる位置で前記上側内フラップ(24)、(44)同士の先端縁間空隙(S)を完全に塞ぐように折り出されるように形成されていることを特徴とするダンボール箱。
【請求項2】
請求項1記載のダンボール箱において、
前記下敷き片(26)、(46)は、上側内フラップ(24)、(44)の側縁からフラップ内部に切り込まれた切込み線(27)、(47)と、上側内フラップ(24)、(44)の先端縁から前記切込み線(27)、(47)の奥端まで形成された折り線(28)、(48)とで囲まれて形成され、前記折り線(28)、(48)から折り曲げることで上側内フラップ(24)、(44)の先端縁から突出する状態に折り出されるように形成されているダンボール箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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