説明

チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬前駆体の水素化

【課題】チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬の提供。
【解決手段】チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬、例えばピオグリタゾンを生成する方法におけるチアゾリジンジオン前駆体の環外二重結合を水素化する方法であって、純粋なチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を産生するワークアップ段階を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を生成する方法であって、チアゾリジンジオン最終前駆体(penultimate thiazolidinedione precursor)の触媒による水素化の段階を含む方法に関する。
【0002】
関連出願
本願は、2001年12月20日に出願された米国仮特許出願第60/342,437号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、膵臓がほとんど乃至全くインスリンを産生しないか、体細胞が産生されるインスリンに反応しない代謝障害である。I型糖尿病においては、膵臓は全くインスリンを産生しない。成人発症糖尿病としても知られているII型糖尿病においては、2つの潜在的な問題が存在しており、膵臓がほとんどインスリンを産生しないか、又は体細胞が産生されるインスリンに反応しない、ということである。いずれのシナリオにおいても、グルコースが効率的に血液から細胞に移動することができず、このことが血液中のグルコースの蓄積及び尿中へのオーバーフローを招く。その結果、身体はその主要な燃料源を失う。インスリン又は経口糖尿病治療薬の投与は、より効率的にグルコースを細胞内に侵入させ、燃料源を供給する。
【0004】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬(ベンジリデンチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬)は、II型糖尿病及びインスリン抵抗性に関連する他の障害を処置するのに有用な、5−(4−アルコキシフェニル)メチル−2,4−チアゾリジンジオン(I)ファルマコフォアを共有する薬物群である。
【化1】

【0005】
ピオグリタゾンは、主にインスリン抵抗性を低下させることによって作用する経口チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬である。薬理学的研究により、ピオグリタゾンが筋肉及び脂肪組織におけるインスリンに対する感受性を改善し、そして肝細胞の糖新生を阻害することが示唆されている。ピオグリタゾンは、グルコース抵抗性を改善し、同時に循環しているインスリンレベルを低下させる。
【0006】
塩酸塩としてのピオグリタゾンは、アクトス(商標)として現在市販されている。塩酸ピオグリタゾンは、化学名[(±)5−[[4−[2−(5−エチル−2−ピリジニル)エトキシ]フェニル]メチル]−2,4−]チアゾリジンジオン一塩酸塩を有する。(CAS登録番号111025−46−8)。ピオグリタゾンの化学構造を構造式IIとして示す。
【化2】

【0007】
引用によって本明細書に組み入れられる、米国特許第5,952,509号は、ピオグリタゾンの合成方法を開示している。
【0008】
ロシグリタゾン、5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メチル−2,4−チアゾリジンジオン、及びトログリタゾン、5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオンも、II型糖尿病及びインスリン抵抗性と関連する他の障害を処置するのに有用なチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬である。ロシグリタゾンは、商品名アバンディア(商標)のもと販売されている。トログリタゾンは、商品名Prelay(商標)のもと市販されてきた。
【0009】
ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、及びトログリタゾンの生成方法は、チアゾリジンジオン環の5位に環外炭素間二重結合を有するチアゾリジンジオン前駆体を介して行われ得る。U.S.5,952,509において開示されているピオグリタゾンの生成方法はそのような方法である。そのような方法においては、前記炭素間二重結合は、チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を形成するために、炭素間単結合へと水素化されなければならない。当業界で一般的に周知な方法である、担持型触媒上での触媒的水素化は、この目的を達成するために使用されてきた。
【0010】
チアゾリジンジオン前駆体を経由するロシグリタゾンの合成は、例えば米国特許第5,002,953号(第’953特許)において開示されている。チアゾリジンジオン前駆体を経由するトログリタゾンの合成は、J. Cossy et al., A Short Synthesis of Troglitazone : An Antidiabetic Drug for Treating Insuli71 Resistance, 9Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 3439-3440 (1999)に開示されている。
【0011】
チアゾリジンジオン前駆体が固体である場合、このことは通例であるが、溶媒が水素化段階において使用されなければならない。溶媒、例えばジオキサン及び特にDMF中での、チアゾリジンジオン、ピオグリタゾン前駆体の水素化が報告されてきた。大量(最大20倍量)のそのような溶媒が必要とされる。これらの溶媒が使用されうる場合、より高圧(例えば、50〜100気圧(5066250〜10132500Pa)及び大量の触媒(触媒の重量対前駆体の重量の比率が1対3)が要求される。そのような大量の触媒をもってしても、長い反応時間、例えば場合によっては72時間以上が、ほんのわずかな収量、例えば35〜40%を得るのに要求される。
【0012】
本発明の要約
本発明は、チアゾリジンジオン前駆体からチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を生成する方法であって、チアゾリジンジオン環の5位に環外二重結合を有するチアゾリジンジオン前駆体を大容量中で触媒によって水素化する段階を含む方法を提供する。
【0013】
1つの側面において、本発明は、チアゾリジンジオン前駆体、特にピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又はトログリタゾンのためのチアゾリジンジオン前駆体を水素化する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸の、チアゾリジンジオン前駆体溶液を準備し、当該溶液と担持型金属製水素化触媒とを混合し、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し、そして水素化された前駆体を単離する段階を含む方法、に関する。
【0014】
別の側面において、本発明は、チアゾリジンジオン最終前駆体、特にピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又はトログリタゾンのためのチアゾリジンジオン前駆体を水素化する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸の、チアゾリジンジオン前駆体溶液であって、濃度が少なくとも約0.25g/mL、特に少なくとも約0.5g/mLの溶液を準備し;当該溶液と担持型金属製水素化触媒、特に当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択されるものとを混合し;そして溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに、又は水素ガス無しで曝露する段階を含む方法、に関する。
【0015】
更に別の側面において、本発明は、チアゾリジンジオン最終前駆体、特にピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又はトログリタゾンのためのチアゾリジンジオン前駆体を水素化する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸の、チアゾリジンジオン前駆体溶液であって、濃度が少なくとも約0.25g/mL、特に少なくとも約0.5g/mLの溶液を準備し;当該溶液と担持型金属製水素化触媒、特に当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択されるものとを混合し、金属の重量対前駆体の重量の比率が約0.03:1又はそれ未満、特に約0.02:1になるようにし;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃、特に75℃〜85℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し、そしてチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を単離する段階を含む方法、に関する。
【0016】
更に別の側面において、本発明は、ピオグリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃、特に75℃〜85℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し、そしてピオグリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0017】
更に別の側面において、本発明は、純粋なピオグリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて触媒で水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し;触媒による水素化生成物を単離し、そして単離された生成物を、アセトン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択されるスラリー溶媒中でスラリー化し;そして純粋なピオグリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0018】
更に別の側面において、本発明は、ロシグリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し、そしてロシグリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0019】
更に別の側面において、本発明は、純粋なロシグリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて触媒で水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し;触媒による水素化生成物を単離し、そして単離された生成物を、アセトン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択されるスラリー溶媒中でスラリー化し;そして純粋なロシグリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0020】
更に別の側面において、本発明は、トログリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し、そしてトログリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0021】
更に別の側面において、本発明は、純粋なトログリタゾンを生成する方法であって、大容量溶媒、特にギ酸中で溶液の5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、担持型金属製水素化触媒であって、当該金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び特にパラジウムから選択され、且つ触媒量が、金属重量対前駆体重量の比率が約0.03:1未満、特に0.02:1又はそれ未満となるようなものとを用いて触媒で水素化し;1〜10気圧(101325〜1013250Pa)の圧力で、且つ約40℃〜約100℃、特に75℃〜85℃の温度で、溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露し;触媒による水素化生成物を単離し、そして単離された生成物を、アセトン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択されるスラリー溶媒中でスラリー化し;そして純粋なロシグリタゾンを単離する段階を含む方法、に関する。
【0022】
本発明の詳細な説明
本発明は、チアゾリジンジオン環の5位に環外二重結合を有するチアゾリジンジオン前駆体を経由する、チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を生成する方法であって、担持型金属触媒を用いる触媒による水素化段階を含み、ここで、ほとんど触媒が必要とされず(1グラムの前駆体につき0.2gほど)、且つ良好な収率(例えば85%以上)が30時間以下の反応時間で再現されうる方法を提供する。
【0023】
本発明は、各チアゾリジンジオン前駆体からピオグリタゾン、ロシグリタゾン、及びトログリタゾンを生成する方法であって、チアゾリジンジオン環の5位に環外炭素間二重結合を有するチアゾリジンジオン前駆体を触媒で水素化する段階を含み、当該水素化が大容量溶媒中で実施される、方法を提供する。
【0024】
チアゾリジンジオン前駆体は、チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を生成するための方法、例えば、引用によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,952,509号に開示されている方法における中間体であり、且つチアゾリジンジオン部分を有する化合物である。本発明の実施において有用なチアゾリジンジオンピオグリタゾン前駆体は、次に示すようにチアゾリジンジオン部分の5位に環外二重結合を有する。
【化3】

【0025】
好ましいチアゾリジンジオンピオグリタゾン前駆体は、チアゾリジンジオン最終前駆体である。チアゾリジンジオン最終前駆体は、チアゾリジンジオン部分の5位に環外二重結合を有する点でチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬自体と構造的に異なる。チアゾリジンジオン最終前駆体はまた、保護された官能基(すなわち、保護されたヒドロキシル基)を有することがある。この環外二重結合の水素化、そして、あるとすれば、保護基の除去は、反応混合物から単離されるチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を生成する。化合物5−[4−[2−[5−エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニルチアゾリジン−2,4−ジオン(以降「PIE」)は、ピオグリタゾンのためのチアゾリジンジオン最終前駆体の一例である。
【0026】
このように、チアゾリジンジオンピオグリタゾン最終前駆体PIEの環外二重結合の水素化は、以下の反応I(ここで、担持金属製水素化触媒は、パラジウム/カーボン(Pd/C)触媒である)で例示されるように、ピオグリタゾンを提供する。
【化4】

【0027】
PIEの合成は、例えば米国特許第5,952,509号において教示されている。
【0028】
チアゾリジンジオン最終前駆体5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンの水素化はロシグリタゾンを提供する。5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンの合成は、例えば’953特許において開示されている。同様に、チアゾリジンジオン最終前駆体5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオン、ヒドロキシ基が保護されているそれらの誘導体は、トログリタゾンを提供する。上記J. Cossy et al.,を参照のこと。
【0029】
本発明の水素化段階は、担持型金属製水素化触媒上での触媒による水素化である。担持型金属製水素化触媒は当業界で周知であり、そして固形担体上又はその上に蒸着され、吸収され、又はコーティングされた金属を有する。使用されうる金属の例には、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムが含まれる。多くの固形担体が当業界で知られている。微粒炭素は、周知の有用な固形担体である。担持型金属製水素化触媒は、例えば、Shigeo Nishimura, Handbook of Heterogeneous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis, Chpt.1, (2001)に記載されている。カーボン上に担持されているパラジウム触媒(Pd/C触媒)は、本発明の使用にとって好ましい担持型金属製水素化触媒である。本発明の実施において有用な好ましいPd/C触媒の一例は、Johnson Matthey, West Depford, New Jersey.から購入可能な87L粉末触媒(10重量%Pd)
【0030】
本発明の実施において、チアゾリジンジオン前駆体の環外二重結合の触媒による水素化は、大容量溶媒中で実施される。大容量溶媒とは、1グラム(1g)のチアゾリジンジオンピオグリタゾン前駆体が約5ミリリットル(5mL)以下の溶媒中に溶解するものである。好ましい大容量溶媒は、1gの前駆体が約25℃〜45℃の温度で4mL以下の溶媒に溶解するものである。ギ酸は、本発明の実施において特に好ましい大容量溶媒である。大容量溶媒として使用する場合、ギ酸は最大約15重量%の水を含むことがある。
【0031】
本発明の実施において、使用される担持型金属製水素化触媒の重量は、好ましくは金属重量対水素化される前駆体重量の比率が約0.05:1又はそれ未満、好ましくは0.03:1又はそれ未満となるようなものである。最も好ましくは、触媒の量は、金属重量対前駆体重量の比率が約0.02:1又はそれ未満となるようなものである。金属重量は、担持型金属触媒の重量と、小数で表した触媒の充填率とをかけることで算出される。従って、10%充填された担持型金属触媒対前駆体の重量比が0.2:1である場合、金属の重量対前駆体の重量の比率は0.02:1である。
【0032】
チアゾリジンジオンピオグリタゾン前駆体の触媒による水素化は、当業界で周知の常用の装置において実施される。例えば、オートクレーブにおいてである。オートクレーブはスターラーを備えていることがあり、あるいは、それはシェーカー型のものであってもよい。水素化の間溶液が曝露される水素圧は、本発明の利益を現実化するのに重要ではない。特定の態様において、水素ガスは使用されない。典型的には、溶液が、約1〜約10気圧(約101325〜約1013250Pa)、好ましくは約2〜約5気圧(約202650〜約506625Pa)の水素圧に曝露される。
【0033】
ギ酸が大容量溶媒であるという特定の態様において、水素化は、チアゾリジンジオン前駆体、好ましくは最終前駆体を水素ガスに曝露することなく達成される。この態様において、チアゾリジンジオン前駆体のギ酸溶液は、担持型金属製水素化触媒と混合され、そして約40℃〜約100℃に加熱される。溶媒と触媒の量は、他の態様のものと同じである。
【0034】
好ましい態様において、水素化反応装置(例えばオートクレーブ)は、少なくとも1回、好ましくは一定間隔で(例えば30分)、水素化反応の間パージされる。パージ段階において、反応装置へのガスの供給は遮断され、反応装置は通気され、そしてガス供給が再確立され、水素ガスで反応装置が再加圧される。
【0035】
当業者であれば、反応装置内の換気を可能にするあらゆる作業又は手順がパージ段階である、そして反応装置内での換気を可能にするそのような作業が本発明の範囲内であることを認識するだろう。
【0036】
本発明の大容量溶媒中での触媒による水素化が実施される温度は重要ではなく、そして、とりわけ実施の際の検討事項、例えば反応装置の処理量及び作業の安全性によって影響を受けるであろう。典型的には、前記温度は約40℃〜100℃、好ましくは約70℃〜約90℃であるが、100℃以上の温度は、本発明の利益を犠牲にすることなく使用されうる。
【0037】
水素化の時間は重要ではない。しかしながら、H2圧、触媒量(前駆体1g当たりの触媒のg)、触媒の充填率(炭素又は他の担体を除く触媒のパーセント)、及び触媒の表面積(例えば、窒素吸収によって測定されうるもの)のようなパラメーターが同じ場合、本発明は、変換、収率、又は純度を犠牲にすることなく、より短い水素化の時間(反応の完了までの時間)を可能にする点が、従来技術の方法を超える本発明の利点である。従来技術の方法を実施して得られる結果と比較して、より高度な反応の完了の程度及びより高収率のピオグリタゾンが、本発明の方法を実施した場合、より少ない水素化時間で得られる。当業者は、例えば、水素の取り込みの終了に注意し、又は既知の技術を用いて反応装置の中身をサンプリングし、そして、例えばガスクロマトグラフィーを用いて試料を解析することによって、反応の完了を判断することを理解するであろう。
【0038】
大容量溶媒中での触媒による水素化の好ましい態様の実施において、スラリーが得られ、ここで、水素化生成物は、水素化完了時には大容量溶媒の溶液中にある。当該生成物は、例えば、非溶媒を当該溶液に添加するか、又は当該溶液を、特に減圧下で濃縮することによって回収することができ、これによって懸濁液又はスラリーが形成し、これから当該生成物単離されうる。本発明のこの態様及び他の態様において、単離は、当業界で知られている任意の手段、例えば、2つ例を挙げると、ろ過(重力又はサクション)又は遠心、によって行われ得る。
【0039】
本発明の方法において実現される変換は、少なくとも約99%であり、そしてその水素化生成物は、0.25%未満の残留チアゾリジンジオン前駆体を含むことがある。
【0040】
別の態様において、本発明は、純粋なチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を提供するための、チアゾリジンジオン最終前駆体の水素化のチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬生成物の残渣についての回収方法を提供する。当該回収方法は、水素化の完了時に触媒を溶液から分離し、触媒を分離した溶液に対し結晶化溶媒を添加し、当該混合物を冷却し、それによってチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬の固形沈殿物が形成し、そしてチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を単離する段階を含む。
【0041】
好ましい態様において、触媒が分離された溶液は、結晶化溶媒と混合される前に濃縮される。どんな濃縮の程度でも回収率が改善しうる。典型的には、溶液は、その初期重量の約60%〜約40%にまで濃縮される。
【0042】
アセトン及び低級アルキルアルコールは、結晶化溶媒として使用されうる。本発明の実施において有用な低級アルキルアルコールは、式ROH(ここで、Rは、6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基である)を有する。メタノール、エタノール、及びイソプロパノールが好ましい低級アルキルアルコールである。当業者は、例えば、結晶化溶媒が混合される溶液の濃度により、結晶化溶媒の量を調整することを知るであろう。溶液が濃縮されない場合、結晶化溶媒の量は、典型的には、溶液の約7〜約12倍量であろう。
【0043】
当該回収方法から単離されるチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬は、純粋なチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬である。純粋とは、糖尿病治療薬が、後述する方法に従い高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定した場合に、表面積のパーセントで表して、少なくとも約99.7%の純度を有することを表す。
【0044】
純度(表面積の%の純度)は、YMC ODS AQ(5μ)を充填した250×4.6mmカラムを用いるHPLCによって、40℃で且つ1.0ml/分の溶出液の流速で決定される。検出は、220nmで作動しているUV検出器で行う。溶出は、以下のプログラムに従い、直線勾配の溶出による。
【0045】
溶出時間 溶出液A(%) 溶出液B(%)
(分)
0 100 0
3 100 0
33 20 80
ここで、溶出液Aは、60%の0.01Mの水性トリフルオロ酢酸(1NのKOH水溶液でpH2.5に調整済み)及び40%のメタノールであり、そして溶出液Bは、30%の0.01M水性トリフルオロ酢酸(1NのKOH水溶液でpH2.5に調整済み)である。名目上のインジェクション量は20μLである。
【0046】
本発明は更に、以下の何ら限定するものでない実施例1〜4によって例示される。実施例5及び6は比較例であり、大容量溶媒を使用しない従来技術由来の方法に従う場合に得られる結果を示す。
【0047】
実施例1:1gのPIEを試験管に充填する。1mlのギ酸を試験管に添加する。試験管を、45℃で維持された湯浴中で、手で振とうさせる。透明な溶液が形成し、これはギ酸が大容量溶媒であることを示している。
【0048】
実施例2:10gのPd/C触媒(Johnson Matthey 87L, 10% Pd)、200mLのギ酸、及び50gのPIEを、研究用オートクレーブに装填した。オートクレーブを閉じ、H2を充填し、そして60℃に加熱した。H2圧を2気圧(202650Pa)に調整した。オートクレーブの中身を、60℃で2気圧(202650Pa)のH2圧のもと30時間維持した。
【0049】
加熱を停止し、圧を開放し、そして中身のスラリーがまだ温かかい状態でオートクレーブを開いた。スラリーを温かい状態でろ過し、そして2×20mlのアリコートのギ酸で洗浄した。解析により、99%以上のPIEがピオグリタゾンに変換し、わずかに0.24%の出発材料PIEが未反応のままであったことが証明された。
【0050】
1と8/10Lのアセトンを回収した溶液に添加し、そして生じた溶液を5時間放置し、この時間の間に生成物が溶液から結晶化した。スラリーをろ過し、そして20mLのアセトンとギ酸の9:1混合物で洗浄した。回収した生成物を乾燥させた結果、99.7%以上の純度(HPLC)を有する42g(収率84%)のピオグリタゾンが得られた。
【0051】
実施例3:10gのPd/C触媒(Johnson Matthey 87L, 10% Pd)、200mLのギ酸、及び50gのPIEを、研究用オートクレーブに装填した。オートクレーブを閉じ、H2を充填し、そして60℃に加熱した。H2圧を2気圧(202650Pa)に調整した。オートクレーブの中身を、60℃で2気圧(202650Pa)のH2圧のもと30時間維持した。
【0052】
加熱を停止し、圧を開放し、そして中身のスラリーがまだ温かかい状態でオートクレーブを開いた。スラリーを温かい状態でろ過し、そして2×20mlのアリコートのギ酸で洗浄した。解析により、99%以上のPIEがピオグリタゾンに変換し、わずかに0.24%の出発材料PIEが未反応のままであったことが証明された。
【0053】
1と8/10Lのアセトンを回収した溶液に添加し、そして生じた溶液を5時間放置し、この時間の間に生成物が溶液から結晶化した。スラリーをろ過し、そして20mLのアセトンとギ酸の9:1混合物で洗浄した。回収した生成物を乾燥させた結果、99.7%以上の純度(HPLC)を有する42g(収率84%)のピオグリタゾンが得られた。
【0054】
実施例4:PIE(50kg)をギ酸(500kg)中で溶解した。担持型資金族触媒(40kgの10%Pd/C、KF=50%)を添加し、そして懸濁液を80℃に加熱し、そして水素で2気圧(202650Pa)に加圧した。反応装置を水素化の間30分間隔でパージした。
【0055】
20時間後、懸濁液を室温に冷却し、そして触媒をろ過によって分離した。溶液を80kgに濃縮した。エタノール(632kg)を75℃で前記溶液に添加し、そして生じた混合物を徐々に13℃未満に冷却した。形成した沈殿をろ過によって単離し、そしてエタノールで洗浄した。収量:乾燥後30kg。
【0056】
実施例5:1gのPIE及び1mlのジメチルホルムアミド(DMF)を試験管に充填する。試験管を、45℃で維持された湯浴中で、手で振とうさせる。PIEは、全部は溶解しない。3×1mlのアリコートのDMFを試験管に添加する(合計4ml)。PIEの全てが溶解しないことは、DMFが大容量溶媒でないことを示している。
【0057】
実施例4:50gのPIE、250mlのDMF、及び50gのPd/C触媒(Johnson Matthey 87L)を、研究用オートクレーブに装填した。H2を充填し、そして50℃に加熱した。H2圧を3気圧(303975Pa)に調整した。オートクレーブの中身を、60℃で3気圧(303975Pa)のH2圧のもと72時間維持した。
【0058】
加熱を終了させ、圧を開放し、そして生成物を実施例2で使用したものと同様の手順でワークアップした。解析により、68.5%未満のPIEが、約3.5%の不純物(HHPLC)を含むピオグリタゾンに変換されていたことが証明された。約26.5%のPIEが未反応のままであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チアゾリジンジオン最終前駆体の環外二重結合を触媒で水素化する方法であって、
a)チアゾリジンジオン最終前駆体/大容量溶媒の溶液を準備し、
b)当該溶液と担持型金属製水素化触媒とを反応装置内で混合し、そして
c)溶液と水素化触媒の前記混合物を水素ガスに曝露する、
段階を含んで成る方法。
【請求項2】
大容量溶媒がギ酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液中のチアゾリジンジオン最終前駆体の濃度が少なくとも約0.25g/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液中のチアゾリジンジオン最終前駆体の濃度が少なくとも約0.5g/mLである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
担持型金属製水素化触媒が、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムから成る群から選択される金属を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
使用する担持型金属製水素化触媒の量が、金属の重量対前駆体の重量の比率が約0.05:1未満であるような、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
担持型金属製水素化触媒がパラジウムを含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
担持型金属製水素化触媒が木炭上に担持されているパラジウム(10%)であり、そして使用する担持型触媒の量が、パラジウムの重量対前駆体の重量の比率が約0.02:1であるような、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水素化が実施される反応装置を、水素化終了前に少なくとも1回パージする段階を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
チアゾリジンジオン最終前駆体が、5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
チアゾリジンジオン最終前駆体が、5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
チアゾリジンジオン最終前駆体が、5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
チアゾリジンジオン最終前駆体の環外二重結合を触媒で水素化する方法であって、
a)チアゾリジンジオン最終前駆体/ギ酸溶媒の溶液を準備し、
b)当該溶液と、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムから成る群から選択される金属を含んで成る担持型金属製水素化触媒とを反応装置内で混合し、そして
c)混合物を約40℃〜約100℃の温度に加熱する段階、
を含んで成る方法。
【請求項14】
金属がパラジウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
担持型金属製水素化触媒がPd/Cであり、そして触媒の量が、パラジウムの重量対チアゾリジンジオン最終前駆体の重量の比率が約0.05:1又はそれ未満であるような、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶液と担持型金属製水素化触媒の混合物が水素ガスに曝露される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
水素化が実施される反応装置が、水素化の終了前に少なくとも1回パージされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬の生成方法であって、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属を含んで成る担持型金属製水素化触媒を用いて、大容量溶媒の溶液中の、チアゾリジンジオン最終前駆体を触媒的に水素化する段階を含んで成り、水素化産物の本質的に全てが、水素化が完了した場合に大容量溶媒の溶液中に存在する、方法。
【請求項19】
大容量溶媒がギ酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
溶液中のチアゾリジンジオン最終前駆体の濃度が少なくとも約0.25mg/mLである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
使用する触媒の量が、金属の重量対チアゾリジンジオン最終前駆体の量の比率が約0.05:1未満となるような量である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
使用する触媒の量が、金属の重量対チアゾリジンジオン最終前駆体の量の比率が約0.03:1又はそれ未満となるような量である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
使用する触媒の量が、金属の重量対チアゾリジンジオン最終前駆体の量の比率が約0.02:1又はそれ未満となるような、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
金属が白金であり、そして大容量溶媒がギ酸である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
触媒による水素化が、約40℃〜約100℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
溶液から担持型金属触媒を分離し、
触媒が分離された溶液と、アセトン、又は低級脂肪族アルコールである結晶化溶媒とを混合し、
混合物を冷却し、そして
形成した固体のチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を単離する段階、
を更に含んで成る、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
冷却が約15℃以下の温度までである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
触媒が分離された溶液を、当該溶液と結晶化溶媒とを混合する前に濃縮する段階を更に含んで成る、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
低級脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールから成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がピオグリタゾンである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がトログリタゾンである、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がロシグリタゾンである、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
純粋なチアゾリジンジオンを生成する方法であって、大容量溶媒の溶液中のチアゾリジンジオン最終前駆体を、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属を含んで成る担持型金属製水素化触媒を用いて触媒で水素化し、ここで、本質的に全ての水素化産物は、水素化完了時に大容量溶媒の溶液中に存在する、
b)担持型金属触媒を溶液から分離し、
c)触媒が分離された溶液を、アセトン又は低級脂肪族アルコールである結晶化溶媒と混合し、
d)混合物を冷却し、そして
e)形成した固体の純粋なチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬を単離する段階、
を含んで成る方法。
【請求項34】
大容量溶媒がギ酸である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
低級脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
冷却が約15℃以下の温度までである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がピオグリタゾンである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がロシグリタゾンである、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
チアゾリジンジオン系糖尿病治療薬がトログリタゾンである、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
HPLCで決定した場合に、99.7%の表面積の純度を有するピオグリタゾン。
【請求項41】
HPLCで決定した場合に、99.7%の表面積の純度を有するロシグリタゾン。
【請求項42】
HPLCで決定した場合に、99.7%の表面積の純度を有するトログリタゾン。
【請求項43】
ピオグリタゾンを生成する方法であって、ギ酸溶液中の5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、Pd/C担持型水素化触媒を用いて触媒的に水素化する段階を含んで成り、前記溶液中の前駆体の濃度が少なくとも約0.2g/mLであり、且つ使用する担持型触媒の量が、パラジウムの重量対5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンの重量の比率が約0.02:1又はそれ未満となるようなものである、方法。
【請求項44】
ロシグリタゾンを生成する方法であって、ギ酸溶液中の5−[4−[2−[N−メチル−N−(ピリジン−2−イル)アミノエトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、Pd/C担持型水素化触媒を用いて触媒的に水素化する段階を含んで成り、前記溶液中の前駆体の濃度が少なくとも約0.2g/mLであり、且つ使用する担持型触媒の量が、パラジウムの重量対5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンの重量の比率が約0.02:1又はそれ未満となるようなものである、方法。
【請求項45】
トログリタゾンを生成する方法であって、ギ酸溶液中の5−[4−[(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)メトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンを、Pd/C担持型水素化触媒を用いて触媒的に水素化する段階を含んで成り、前記溶液中の前駆体の濃度が少なくとも約0.2g/mLであり、且つ使用する担持型触媒の量が、パラジウムの重量対5−[4−[2−[5エチルピリジン−2−イル]エトキシ]フェニル]メテニル−2,4−チアゾリジンジオンの重量の比率が約0.02:1又はそれ未満となるようなものである、方法。

【公開番号】特開2007−106770(P2007−106770A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322175(P2006−322175)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【分割の表示】特願2003−554127(P2003−554127)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】