説明

チェーンコンベアのための駆動クラウン

【課題】チェーンコンベアが横方向に確固としてずれないようにチェーンコンベアを動かないように、且つチェーンコンベアをより容易にきれいにするように設計する。
【解決手段】主な特徴は、クラウンの中心線に垂直を為す仮想面に関してオフセンタとなるクレスト部(9)を背後壁(10)のみに歯車(3)の各々に備え付け、該クレスト部(9)はチェーンを形成するリンクの突出部の間に挿入されるべきものである、ということである。このクレスト部(9)のレイアウトは台形で二等辺であり、歯車(3)に向かって収斂し、横方向面は凹状であり、これにより前記横方向面は歯車(3)の表面(10)の境界面に接合し鋭利な縁は無く、従って例えば水の噴射をスプレイするとクラウンを清掃することが容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンコンベア、特に、環状に繋がれる形態で構成されたタイプのチェーンコンベアを動かすのに用いられる種類の駆動クラウンに関し、該チェーンは互いに連結されて取り付けられており一連の歯車付きクラウンにより駆動されるものである。
【0002】
上記クラウンの機能は、チェーンコンベアを駆動することだけでなく側方にずれるのを防ぐことにもある。
【0003】
本発明の目的は、チェーンコンベアに横方向の安定を与える手段を上記駆動クラウンに備えることにあり、このことにより全体アセンブリを清掃する方法を相当に改良することができる。
【背景技術】
【0004】
プラスチックリンクを備えるチェーンコンベアを利用することは非常に一般的であり、このタイプのデバイスは多数存在する。
【0005】
かような実践の最も一般的な例の一つは次の様なものである。単一ピースであってもモジュラーであっても、個々のリンクが平坦なコア部を含み、その長手の縁から、一方若しくは他方の縁にて三葉状で構成されたシングルピースの突出部となり、該突出部によりリンクは二重の櫛状の外観となり、更にこれら突出部は、連結のシャフトがリンク間において貫通するように、穴が開けられている。
【0006】
チェーンは歯車付きクラウンにより駆動されるのであり、その歯車付きクラウンは、リンクの内側面に在り真っ直ぐに長い中央リブを受ける小窩を備えており、一方で別の例ではコア部にはリブが備わらず、駆動クラウンは小窩の代わりに歯車が備わり、その歯車はそれ自身リンク突出部に接して動作する。
【0007】
更に、チェーンと駆動クラウンとの間の連結ポイントでは、チェーンが傾いて動作しがちな可能性を回避するシステムを設けることが必要であり、そのためには上述の最初のグループに属する特許文献1で示されるのと同様なシステムを採用することが求められる。即ち、駆動クラウンがリンクの内側面に在り真っ直ぐに長い中央リブを受ける小窩を備えることが必要であり、該駆動クラウンでは、別の歯車が個々の小窩の夫々の側面に備わる。その目的は、隣接するリンクの間で隣接するリンクを収容するためであり、このことにより所望の保持効果を達成する。この解決策で生じる問題点は2点有り、一つは、上述の長手リブを得るために必要な材料の量のためにチェーンがより高価になることであり、もう一つは、その特別な“解剖学的構造”のために泥が容易に溜まってしまい、このことにより清掃の処理が難しくなることである。
【0008】
チェーンコンベアがチェーン自身のリンクを通過する、脂の沈積を生成する駆動生成物にさらされる場合、この問題の事情はより悪くなる。これら駆動生成物は駆動クラウンの外側に沈積し、更にこれらの駆動生成物がダストと共に徐々に乾燥するため、それらは糊状のとても厚い塊となってしまう。これは伝達プロセスの稼動に悪影響を与える。
【0009】
別の解決法は特許文献2に示されるものである。該文献では駆動クラウンはチェーンを駆動する歯車を備えており、個々の歯車は2つの独立の歯車に分割され、それら2つの歯車は、千鳥状効果がクラウンとチェーンの間で軸方向のあり継ぎを生じるように、軸方向及び角方向で千鳥状となる。このことによりチェーンコンベアがクラウンに対して横方向にずれることが無くなり、チェーンコンベアが完全な直線状で動作することを保証する。この解決策に関する基本的な問題点は、クラウン上の歯車とチェーン上のリンクとの間には非常に小さい接触領域しかなく、応力伝達は理想から掛け離れて為されることになり、クラウンの配置に対してチェーンが滑る高いリスクが在ること、である。
【特許文献1】欧州特許EP0380203 公報
【特許文献2】欧州特許EP1219550 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、チェーンコンベアに横方向の安定を与える手段を前記駆動クラウンに備えることにある。このことにより全体アセンブリを清掃する方法を相当に改良することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の2つのタイプのいずれにも属するのであり、即ち、一方はリンクの内側面の真っ直ぐに長い中央リブを受ける小窩を備えるものであり、他方はコア部にはリブが備わらず、駆動クラウン上の歯車はリンクから突き出る突出部で直接に動作するものである。その本発明の主題である駆動クラウンの主な特徴は以下のようになっている。チェーン内の個々のリンクの少なくとも2つの突出部で同時に動作するように備えられる、クラウン内の個々の歯車には、クレスト部も備わり、このクレスト部はクラウン自身の回転方向と向きが一致して背面に位置し、チェーン上の前述の突出部の中に突き出るように適切に展開されて設計される。リンクを横方向若しくは軸方向に押しとどめるという事実ゆえに、チェーンを軸方向に押しとどめる保持デバイスとして機能する。
【0012】
ガイドクレスト部をこのように背後に位置させることで、クラウン上の個々の歯車は、広い表面領域に渡ってチェーンのリンク上で動作することになり、このことにより、応力が最善の状況で伝達されることが保証され、2つの要素の間の滑動時の典型的問題が生じないことが確約される。
【0013】
前述のクレスト部は、歯車の前面上に存在するときでも、チェーンのリンクからの2つの突出部により作られるホール(ギャップ)の中にクレスト部の直後に歯車が挿入するように、クラウンの中心線に垂直を為す歯車平面に関してオフセンタに位置する。
【0014】
このクレスト部は、歯車の面の放射方向の高さに全体的に影響し、クラウンのボディ部に広く存在し、即ち、歯車の間で画定されるギャップの底部に存在し、長斜方形ラインによりレイアウトは二等辺の台形となり、水の噴射がこのゾーンに加えられたとき若しくはクリーニング作業が為されたときにクラウン上に蓄積される残留物を凹状面が完全に除去するように、凹状の斜め側面で、鋭利な縁無く歯車の夫々の面の境界ゾーンと総体的に連続する。
【0015】
前述の構造に加えて、オープンの頂点の近傍のクレスト部の部分は相当に低くされ、頂点に向かって顕著な収斂部が存在し、これにより、突出部が付属するリンクにおける突出部の間で歯車をより容易に進めることができる。
【0016】
前述のクレスト部は、側方に動こうとするチェーンの傾向に抗してリンクを安定化するように機能するだけでなく、リンクに接して動作し歯車自身がリンクを駆動するように手助けするプッシュデバイスとして機能するように、設計されるのが好ましい。
【0017】
クレスト部が歯車の前面に存在する場合に上記可能性が実際的であることは明白な事実であるが、クラウン上の歯車がリンクの突出部に直接に接して動作する場合だけでなく、リンクの一部を形成する中間リブに接して動作する小窩が歯車に備わる場合にも、利用性が高いことは明白である。
【0018】
本発明の特徴をより良く理解せしめる助けになるという観点から、本発明の実際例の好適な実施形態に従って、添付され説明の重要部分を形成する図面のセットが説明に備えられている。図面は例示でしかなく網羅的なものではない。
【発明の効果】
【0019】
本発明を利用することにより、チェーンコンベアに横方向の安定を与える手段を駆動クラウンに備えることができ、更に、全体アセンブリを清掃する方法を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面、特に、図1から、本発明に係るチェーンコンベアのための駆動クラウンは、駆動シャフトと連結するための従来の管状コア部(2)を伴い周りに複数の歯車(3)を備えるボディ部(1)から、どのように構成されるかが、よくわかる。歯車の目的は図2に示すようなリンクと接して作用することである。チェーンコンベアは一連のリンクで構成される。
【0021】
従来と同様に、歯車(3)は、リンクのコア部(6)と横方向突出部(7、7’)との間の、個々のリンク(4)の中心に形成されたギャップ(5)の中に嵌合するように設計される。リンク(4)はリンク間の接合シャフトが貫通できるホール(8)を伴う。
【0022】
従って、本発明において、クラウン(1)は歯車(3)の個々と合わせられるクレスト部(9)が備わり、このクレスト部(9)はクラウン(1)の中心線に垂直な平面に関してオフセンタであり、このクレスト部(9)は歯車の側面の一つ、この場合には背後面(10)に位置する。
【0023】
歯車(3)の前面(10’)は、個々のチェーンの一部であるリンク(4)の2つの近接する突出部(7’)の表面(11)に圧力を働かせるように設計され、一方で背後面のクレスト部(9)は同じリンク(4)の突出部(7)間に挿入されている。
【0024】
歯車の面(10)と歯車の間で画定されるギャップの底面(12)との間にて長斜方形をなすクレスト部(9)のレイアウトは、二等辺の台形であり、前述のクレスト部が鋭利な縁無く歯車の面(10)と接合するように曲線が凹状である側部傾斜面(13)を伴い、先に指摘したクリーニング操作の際に泥を容易に取り除く傾斜面及び曲線を形成する。
【0025】
更に、オープンの頂点に近いクレスト部(9)の部分は、歯車がリンク(4)の突出部(7)の間に容易に挿入され得るように、斜め横面によって相当に狭くされている。
【0026】
前に指摘したことであるが、以下のことが確約され得る。つまり、通常と対照してみると、即ちガイドが前面及び背後で為される場合と対照してみると、チェーンコンベアは確実に駆動チェーンの歯車の背後でのみガイドされるのであり、ガイドが背後でのみ生じる事実によって、チェーンを形成するリンクへの個々の歯車の前面(10’)のための支持がより良くなり、結果として、機能が改良され、アセンブリ全体の有用稼動寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この図は、クラウン上の歯車がチェーンを形成するリンク上で突出部に直接作用する第1の実施形態において、本発明の目的と調和すべく実現化されたチェーンコンベアのための駆動クラウンの部分斜視図を示す。
【図2】この図は、図1に示す駆動クラウンに適応するチェーン上のリンクのプロファイルを示す。
【図3】この図は、クラウン全体の軸方向からの図を示し、更にチェーンが一部連結している。
【図4】この図は、前図に示すアセンブリ全体の斜視図を示す。
【符号の説明】
【0028】
1・・・ボディ部、2・・・コア部、3・・・歯車、4・・・リンク、5・・・ギャップ、7、7’・・・突出部、9・・・クレスト部、10・・・歯車の面、10’・・・歯車の前面、12・・・底面、13・・・側部傾斜面、14・・・頂点。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンのリンク(4)の突出部(7、7’)に接して直接に作用するための一連の歯車(3)を含む、チェーンコンベアのための駆動クラウンであって、
チェーンが駆動される方向において、背後の面に限定的に歯車(3)に対して、クラウンの中心線と垂直を為す歯車(3)の仮想平面に関してオフセットとなるクレスト部(9)が設けられ、このことにより前記クレスト(9)は、リンク(4)からの2つの近接の突出部(7)間で収容されるのであり、ギアシステムをチェーンコンベアに関して横方向に動かないようにし、
更に前面壁(10’)は同じリンクの2つの近接の突出部(7’)の面(11)で作動しうることを特徴とする駆動クラウン。
【請求項2】
長斜方形の形状の前記クレスト部(9)が、歯車(3)の表面(10)の全体高さに影響するものであり、歯車の間のギャップの底部(12)に到達するように、延在することを特徴とする請求項1に記載の駆動クラウン。
【請求項3】
クレスト部(9)のレイアウト面が二等辺の台形であり、クレスト部(9)の横方向面は歯車(3)に向かって収斂するのであり、クレスト部(9)の横方向面は凹状であり、これによりクレスト部(9)は、鋭利な縁を作らずに歯車(3)の境界ゾーン(10)に丸くされて接合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駆動クラウン。
【請求項4】
クレスト部(9)のオープンの頂点(14)に近接するゾーンは、頂点に向かうにつれてより狭くなり、これによりリンク(4)の突出部(7)の中にクレスト部がより容易に挿入され得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか一に記載の駆動クラウン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−213520(P2006−213520A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22505(P2006−22505)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(506034857)アフエル・エウロベルト・ソシエダッド・アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】AFHER EUROBELT, S.A.
【Fターム(参考)】