説明

チェーン

【課題】特殊な高強度材料を使用することなく、軽量でかつ高強度なチェーンを提供する。
【解決手段】リブ15を有する一対の外プレート3a、3bが互いにリブ15を外側へ向けて向かい合わせに設けられ、外プレート3a、3bの内側には、リブ19を有する内プレート5a、5bが、互いにリブ19を内側へ向けて向かい合わせに設けられる。内プレート5a、5bのブッシュ孔17には、ブッシュ7の両端が嵌合される。ブッシュ7と外プレート3a、3bのピン孔13には、ピン9が挿入され、ピン9を中心に、外プレート、内プレートが回転可能に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で強度を有するチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベア等に使用されるチェーンは、使用環境に応じて、強度や耐食性等が要求される。特に、強度不足はチェーンの破損につながるため重要な特性の一つである。一方で、チェーン自体の重量は、チェーンを駆動するモータ等へ負荷を与え、重いチェーンの駆動には、より大きなモータを必要とすることから、軽量なチェーンを用いることが望ましい。従って、チェーンは軽量であると共に高強度であることが望ましい。
【0003】
従来使用されているチェーンとしては、例えば、複数の外プレートと複数の内プレートとをピンによって回転可能に連結して設けられるチェーンがある(特許文献1)。また、外プレート部及び内プレート部が一枚のプレートによって形成され、一対のプレートの外プレート部と内プレート部とがピンによって回転可能に連結されるオフセット型のチェーンがある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−176615号公報
【特許文献2】特開2007−170602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような外プレートと内プレートからなるチェーンの強度を高めるためには、板厚全体を厚くするか、高強度材料を使用する必要があるが、板厚全体を厚くした場合は、重量増の問題があり、また、高強度材料の使用は、コストアップとなるという問題がある。
【0005】
特許文献2のようなオフセット型チェーンも特許文献1と同様に、強度アップのために板厚増や高強度材料を使用する必要があり、重量増やコストアップの問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、特殊な高強度材料を使用することなく、軽量でかつ高強度なチェーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、対向して設けられ、両端にピン孔を有する一対の外プレートと、前記外プレートの内側に配置され、両端にブッシュ孔を有する一対の内プレートと、前記内プレートの内側に設けられ、内部に貫通孔を有するブッシュと、前記外プレートの前記ピン孔、前記内プレートの前記ブッシュ孔及び前記ブッシュの前記貫通孔を貫通して、前記外プレート及び前記内プレートを回転可能に連結するピンと、を具備し、前記外プレート及び/又は前記内プレートにリブが設けられることを特徴とするチェーンである。
【0008】
前記外プレートに設けられた前記リブは、前記チェーンの外側に向けて設けられ、また、前記内プレートに設けられた前記リブは、前記チェーンの内側に向けて設けられてもよい。
【0009】
第1の発明によれば、チェーンを構成する外プレートと内プレートにリブが設けられるため、高い強度を得ることができると共に、強度を要しない部分の肉厚を厚くする必要が無く、また、外プレートのリブは外側に向けられ、内プレートのリブは内側に向けられて設けられるため、リブ同士の接触が無く、このため、リブの摩耗がない、高強度かつ軽量であるチェーンを提供することができる。
【0010】
第2の発明は、ピン孔が設けられた外プレート部と、ブッシュ孔が設けられた内プレート部とを有し、前記外プレート部と前記内プレート部との間に段差を有する一対のオフセットプレートと、前記内プレート部の内側に設けられ、内部に貫通孔を有するブッシュと、前記外プレート部の前記ピン孔と、隣接する前記オフセットプレートの前記内プレート部の前記ブッシュ孔と、前記ブッシュの前記貫通孔とを貫通して、前記外プレート部及び前記内プレート部を回転可能に連結するピンと、を具備し、前記オフセットプレートにはリブが設けられることを特徴とするチェーンである。
【0011】
第2の発明によれば、外プレート部と内プレート部を有するオフセットプレートにリブが設けられるため、高い強度を得ることができと共に、強度を要しない部分の肉厚を厚くする必要が無く、また、外プレート部と内プレート部は一体であるため、部品点数の少ない高強度かつ軽量であるチェーンを提供することができる。
【0012】
第3の発明は、ピン孔が設けられた一対のリンクを有する複リンク部と、ピン孔が設けられた単一のリンクを有する単リンク部と、前記複リンク部と前記単リンク部とを連結するアーム部とを具備する本体部材と、前記複リンク部の前記ピン孔と、隣接する前記本体部材の前記単リンク部の前記ピン孔とを貫通し、前記複リンク部と前記単リンク部とを回転可能に連結するピンと、を具備し、前記本体部材にはリブが設けられることを特徴とするチェーンである。
【0013】
前記単リンク部に設けられる前記リブは、前記単リンク部の前記リンク部の外周部及び/又は前記ピン孔の外周部に沿って設けられ、前記複リンク部に設けられる前記リブは、前記複リンク部の前記リンク部の外周部及び/又は前記ピン孔の外周部に沿って設けられ、前記アーム部に設けられる前記リブは、前記アーム部の外周部に設けられてもよい。
【0014】
前記アーム部にアタッチメント取付部を更に具備してもよい。
【0015】
第3の発明によれば単リンク部および複リンク部にリブが設けられ、また、単リンクと部と複リンク部を連結するアーム部にリブが設けられるため、高い強度を得ることができると共に、強度を要しない部分の肉厚を厚くする必要が無いことから、高強度かつ軽量であるチェーンを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特殊な高強度材料を使用することなく、軽量でかつ高強度なチェーンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態に係るチェーン1の構成図であり、図2はチェーン1の概観図である。チェーン1は、主に外プレート3、内プレート5、ブッシュ7、ピン9等から構成される。
【0018】
外プレート3は、周囲にリブ15が設けられた板状部材であり、外プレート3の両端付近には、ピン孔13が設けられる。内プレート5は、周囲にリブ19が設けられた板状部材であり、内プレート5の両端付近には、ブッシュ孔17が設けられる。ブッシュ7は内部に孔8を有する円筒状の部材であり、ブッシュ7の外径はブッシュ孔17とほぼ同一である。また、孔8の径は、ピン9が挿入可能な径である。ピン9は棒状の部材であり、先端部には孔21が設けられる。
【0019】
一対の外プレート3a、3bが互いにリブ15を外側へ向けて向かい合わせに設けられ、外プレート3a、3bの内側には内プレート5a、5bが、互いにリブ17を内側へ向けて向かい合わせに設けられる。内プレート3a、3bのブッシュ孔17には、ブッシュ7の両端が嵌合される。ブッシュ7と外プレート3a、3bのピン孔13は直線状に配置され、ピン9が挿入される。
【0020】
ピン9は、外プレート3bのピン孔13、内プレート5bのブッシュ孔17、ブッシュ7の孔8、内プレート5aのブッシュ孔17、外プレート3aのピン孔13を貫通し、ピン9の挿入側とは反対側に突出した部分に設けられた孔21へ抜け止め11が挿入される。ピン孔13の径はピン9の外径よりも十分大きく、また、孔8の径は、ピン9の外径よりも十分大きいため、チェーン1は、ピン9を中心に、外プレート3、内プレート5が回転可能に連結される。なお、ブッシュ7はブッシュ孔17に嵌合されなくても良い。この場合、例えばブッシュ孔17の孔径を、ピン9が貫通できる程度の径として、ブッシュ7はブッシュ孔17内側に配置され、ブッシュ7と内プレート5とが回転可能に連結されても良い。
【0021】
図2(a)は、チェーン1の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のA―A断面図である。図2(b)に示すように、ピン9は、ピン孔13およびブッシュ7を貫通して設けられ、孔21には抜け止め11が挿入される。抜け止め11は、塑性変形が容易な金属製であり、挿入時には真直ぐであるが、挿入後容易に曲げることができる。抜け止め11が孔21へ挿入後に曲げられることで、ピン9はチェーン1から抜け落ちることが無い。
【0022】
また、図2(b)に示すように、チェーン1の外側に配置された外プレート3のリブ15は、チェーン1の外側に向けられ、内側に配置された内プレート5のリブ17は、チェーン1の内側に向けられるため、リブ15とリブ17とは接触しない。
【0023】
なお、外プレート3、内プレート5、ブッシュ7、ピン9の材質は特定しないが、樹脂製、金属製が使用でき、樹脂製であれば、例えば、ポリアセタール、ナイロン、超高分子ポリエチレン、金属製であれば、ステンレス、アルミニウム等が使用できる。ここで、外プレート3、内プレート5、ブッシュ7等の接触電位による腐食を防止するためには、外プレート3、内プレート5、ブッシュ7等を同じ材質の金属製とするか、又は樹脂製とすることが望ましい。
【0024】
このように、本実施の形態にかかるチェーン1によれば、外プレート3、内プレート5にそれぞれリブ15、リブ19を有するため、外プレート3、内プレート5の強度が高く、また、特に強度が必要なピン孔13及びブッシュ孔17の周辺を含む外プレート3及び内プレート5の外周部にのみリブ15、リブ19を配置したため、外プレート3及び内プレート5全体の肉厚を厚くすることなく強度を高めることができ、このため、高強度かつ軽量なチェーン1を得ることができる。
【0025】
また、リブ15とリブ19とは互いに反対方向を向いており、互いに接触することが無いため、チェーン1使用時に、リブ15及びリブ19が摩耗することが無く、高強度かつ軽量なチェーン1を得ることができる。
【0026】
次に、第2の実施の形態について説明する。図3は第2の実施の形態に係るチェーン30を示す図であり、図3(a)はチェーン30の斜視図、図3(b)は図3(a)のB―B断面図である。なお、以下の実施の形態において、図1に示すチェーン1と同一の機能、効果を果たす構成要素には、図1と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0027】
チェーン30は、主にオフセットプレート35、ブッシュ7、ピン9等から構成される。オフセットプレート35は、外周にリブ37が設けられた板状部材であり、一方の端部は外プレート部31、他方の端部が内プレート部33である。外プレート部31にはピン孔13が設けられる。内プレート部33にはブッシュ孔17が設けられる。外プレート部31と内プレート部33との間には、段差39が設けられる。外プレート部31と内プレート部33は段差39によって同一平面状にはないが、外プレート部31と内プレート部33は略平行な面である。
【0028】
一対のオフセットプレート35a、35bを、それぞれの外プレート部31a、31bが互いに外側に広がるように配置し、同様に配置された、隣接する一対のオフセットプレート35c、35dの内プレート部33c、33dが、外プレート部31a、31bの内側に来るようにオフセットプレート35a、35b、35c、35dを配置する。
【0029】
内プレート部33c、33dの内側には内部に孔8を有するブッシュ7が設けられ、ブッシュ7は、内プレート部33c、33dのそれぞれのブッシュ孔17へ嵌合される。外プレート部31a、31bのピン孔13とブッシュ7は略直線状に設けられ、ピン孔13へピン9が挿入される。
【0030】
ピン9は、外プレート部31bのピン孔13、内プレート部33dのブッシュ孔17、ブッシュ7の孔8、内プレート部33cのブッシュ孔17、外プレート部31aのピン孔13を貫通し、ピン9の挿入側とは反対側に突出した部分に設けられた孔21へ抜け止め11が挿入される。抜け止め11は挿入後に曲げられ、ピン9はチェーン30から抜け落ちることがない。ピン孔13の径はピン9の外径よりも十分大きく、また、孔8の径は、ピン9の外径よりも十分大きいため、チェーン30は、ピン9を中心に、外プレート部31、内プレート部33が回転可能に連結される。
【0031】
なお、オフセットプレート35、ブッシュ7、ピン9の材質は特定しないが、樹脂製、金属製が使用でき、樹脂製であれば、例えば、ポリアセタール、ナイロン、超高分子ポリエチレン、金属製であれば、ステンレス、アルミニウム等が使用できる。ここで、オフセットプレート35、ブッシュ7等の接触電位による腐食を防止するためには、オフセットプレート35、ブッシュ7等を同じ材質の金属製とするか、又は樹脂製とすることが望ましい。
【0032】
第2の実施形態にかかるチェーン30によれば、チェーン1と同様の効果を奏する。また、オフセットプレート35は、外プレート部31および内プレート部33を両端に有するため、外プレート3、内プレート5のように別部品とする必要が無いため部品点数が少なく、また、オフセットプレート35にリブ37が設けられるため、オフセットプレート35全体を厚肉にすることなく、高強度かつ軽量なチェーン30を得ることができる。
【0033】
次に、第3の実施の形態に係るチェーン60について説明する。チェーン60は、比較的大型の運搬装置等に使用される。このため、チェーン60は高い強度を要する。図4は、チェーン60を構成する本体部材40を示す図で、図4(a)は本体部材40を示す斜視図、図4(b)、図4(c)、図4(d)はそれぞれ図4(a)のC−C断面図、D−D断面図、E−E断面図である。本体部材40は主に、単一のリンク41を有する単リンク部43、一対のリンク42を有する複リンク部45、及び、単リンク部43と複リンク部45を連結するアーム47等から構成される。
【0034】
リンク41は中心にピン孔13が設けられる。ピン孔13の周囲にはリブ49aが設けられ、リンク41の外周部にはリブ49bが設けられる。またリンク42の中心にはピン孔13が設けられる。複リンク部45には、一対のリンク42がそれぞれのピン孔13の軸が一致するように対向して設けられる。リンク42に設けられたピン孔13の周囲にはリブ49dが設けられ、また、リンク42の外周部にはリブ49eが設けられる。
【0035】
リンク41が設けられる単リンク部43とリンク42が設けられる複リンク部45とはアーム47で連結される。即ち、単一のリンク41と一対のリンク42は、アーム47によって連結される。アーム47の外周部にはリブ49cが設けられる。なお、リブ49a、49b、49c、49d、49eは、本体部材40の両側に略対象に設けられる。また、本体部材40の材質は特定しないが、例えば鋼が使用でき、この場合、鋳造や鍛造等で製造することができる。
【0036】
図5は、チェーン60を構成する本体部材50を示す図で、図5(a)は本体部材50を示す斜視図、図5(b)、図5(c)、図5(d)はそれぞれ図5(a)のF−F断面図、G−G断面図、H−H断面図である。本体部材50は、本体部材40とほぼ同様の構造である。従って、本体部材40と同一の機能、効果を奏する構成要素には、本体部材40と同一の番号を付し、重複した説明を省略する。本体部材50は、主に、単一のリンク41を有する単リンク部43、一対のリンク42を有する複リンク部45、単リンク部43と複リンク部45を連結するアーム47、アタッチメント取付部51等から構成される。アタッチメント取付部51はアーム47上に設けられる。
【0037】
アタッチメント取付部51は、後述するアタッチメント69を取り付けるための部位であり、4隅に取付孔53を有し、中央がくびれた形状の板状部位材である。本体部材50は、アタッチメント取付部51を有する点で、本体部材40と異なるが、本体部材40と同様にリブ49a、49b、49c、49d、49eを有すなど、他の構成要素は同一である。なお、アタッチメント取付部51は、本体部材50と一体で形成されても良く、また、別々に加工して、溶接等によって接合されても良い。
【0038】
図6は、チェーン60を示す図であり、図6(a)はチェーン60の平面図、図6(b)はチェーン60の側面図である。チェーン60は主に、本体部材40、本体部材50、ピン61、抜け止め63等から構成される。
【0039】
本体部材40aの複リンク部45aには、隣接する本体部材40bの単リンク部43bが配置される。即ち、本体部材40bのリンク41bは、本体部材40aの一対のリンク42a間に挟まれるように配置される。リンク41b、42aのピン孔13には、ピン61が挿入され、ピン61はリンク41bのピン孔13、リンク42aのピン孔13を貫通する。ピン61の端部近傍の外周面には、ピン61の軸方向とは垂直方向に溝65が設けられる。溝65には、板状の抜け止め63が嵌まるように設けられる。抜け止め63は本体部材40へ溶接等により接合される。即ち、ピン61は溝65に嵌められた抜け止め63によって固定され、チェーン60よりピン61が抜け落ちることが無い。また、ピン孔13の径は、ピン61の外径よりも十分大きいため、本体部材40a、40bは回転可能に連結される。なお、ピン61、抜け止め63の材質は特定しないが、例えば鋼製でよい。
【0040】
同様にして、本体部材50の単リンク部43cと本体部材40bの複リンク部45bが、ピン61、抜け止め63によって回転可能に連結される。なお、本体部材50は、本体部材40の一定個数の連結ごとに設けられ、例えば、本体部材40を2つ連結させるごとに本体部材50を一つ連結させれば良い。なお、本体部材50のアタッチメント取付部51には、後述する串歯67を有するアタッチメント69が取り付けられる。
【0041】
図7は、チェーン60を使用した運搬装置70を示す図であり、図7(a)は運搬装置70の平面図、図7(b)は運搬装置70の側面図である。運搬装置70は主に、一対のチェーン60a、60bと、スプロケット71と、スプロケット71を駆動する図示を省略したモータと、チェーン60a、60bに一定間隔で設けられたアタッチメント69等から構成される。スプロケット71は、一本のチェーン60に対して一対設けられる。
【0042】
スプロケット71a、71bは両方又は一方が図示を省略したモータと接続されておりモータによって回転する。スプロケット71a、71bの外周には複数の歯73が設けられており、歯73はチェーン60を構成する本体部材40又は本体部材50と噛み合う。
【0043】
チェーン60を構成する本体部材50のアタッチメント取付部51には、板状のアタッチメント69が接合される。アタッチメント69はアタッチメント取付部51の取付孔53でボルト等によって接合される。アタッチメント69には、外方へ向けて板状の串歯67が複数設けられる。
【0044】
図7(b)に示すように、スプロケット71a又はスプロケット71bがモータによって矢印I方向へ回転すると、スプロケット71a、71bに設けられた歯73とチェーン60とが噛み合い、チェーン60はスプロケット71a、71bの回転動作に伴って、全体が回転動作する。
【0045】
図8は、チェーン60とスプロケット71との噛み合いを示した図で、図8(a)は平面図、図8(b)は側面図である。なお、図8(a)においてスプロケット71の図示は省略する。歯73は、スプロケット71の幅方向に並列して一対設けられ、さらにスプロケット71の周方向に複数対の歯73が一定間隔で設けられる。図8(b)に示すように、スプロケット71が矢印M方向へ回転すると、歯73は、チェーン60を構成する本体部材40又は本体部材50の複リンク部45と接触する。即ち、並列して設けられた歯73は、複リンク部45を構成する一対のリンク42のそれぞれの端部へ力を伝達する。
【0046】
スプロケット71に設けられた歯73の周方向のピッチは、チェーン60の本体部材40又は本体部材50の連結ピッチと一致するため、歯73はそれぞれ接触する本体部材40又は本体部材50の複リンク部45へ力を伝達する。なお、図8(a)の矢印K及び図8(b)の矢印Lは歯73からチェーン60への力の伝達方向を示す。
【0047】
運搬装置70は、スプロケット71の回転によりチェーン60を駆動し、図7(b)に示すように、運搬装置70下方に置かれた運搬物75をアタッチメント69及び串歯67によって掻きあげて、矢印J方向へ運搬する。運搬物75は、例えば農作物の中間加工物等であり、運搬装置70は、比較的大型で大規模な物の運搬に使用される。従って、運搬装置70には、高強度なチェーン60が使用される。
【0048】
このように、第3の実施形態にかかるチェーン60によれば、チェーン1と同様の効果を奏する。また、単リンク部43、複リンク部45、アーム47に、リブ49a、49b、49c、49d、49eがそれぞれ設けられるため、高強度なチェーン60を得ることができる。特に強度が要求されるピン孔13周囲には、リブ49a、49dが設けられ、リンク41又はリンク42の外周部にはリブ49b、49eが設けられ、アーム47階周部にはリブ49cが設けられる。このため、強度が必要な部位にのみリブ49aからリブ49eが設けられるため、全体の肉厚を厚くする必要が無く、重量増が最低限に抑えられ、高強度かつ軽量なチェーン60を得ることができる。
【0049】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0050】
例えば、チェーン1において、リブ15、リブ19は、それぞれ外プレート3、内プレート5の外周部に設けたが、リブは外プレート3又は内プレート5のいずれか一方のみに設けても良い。また、リブ15、リブ19は、外プレート3、内プレート5の外周部全周に設けなくても良い。例えば、ピン孔13周囲のみにリブ15を設けても良く、ブッシュ孔17周囲のみにリブ19を設けても良い。同様にチェーン30においてリブ37をピン孔13周囲のみ又はブッシュ孔17周囲にのみ設けても良く、また、リブ37はチェーン30の外方向、又は内方向のいずれに設けられても良い。また、チェーン60において、リブ49aからリブ49eはすべて設ける必要は無く、必要に応じて、リブ49aからリブ49eのいずれか一部のみを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施の形態に係るチェーン1の構成図。
【図2】チェーン1を示す図で、(a)はチェーン1の斜視図、(b)は(a)のA―A断面図。
【図3】第2の実施の形態に係るチェーン30を示す図で(a)はチェーン30の斜視図、(b)は(a)のB―B断面図。
【図4】(a)は本体部材40を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(a)のD−D断面図、(d)(a)のE−E断面図。
【図5】(a)は本体部材50を示す斜視図、(b)は(a)のF−F断面図、(c)は(a)のG−G断面図、(d)(a)のH−H断面図。
【図6】チェーン60を示す図で、(a)はチェーン60の平面図、(b)はチェーン60の側面図。
【図7】チェーン60を使用した運搬装置70を示す図で、(a)は運搬装置70の平面図、(b)は運搬装置70の側面図。
【図8】チェーン60とスプロケット71の噛み合いを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図。
【符号の説明】
【0052】
1、30、60………チェーン
3………外プレート
5………内プレート
7………ブッシュ
8………孔
9………ピン
11………抜け止め
13………ピン孔
15………リブ
17………ブッシュ孔
19………リブ
21………孔
31………外プレート部
33………内プレート部
35………オフセットプレート
37………リブ
39………段差
40、50………本体部材
41、42………リンク
43………単リンク部
45………複リンク部
47………アーム
49………リブ
51………アタッチメント取付部
53………取付孔
61………ピン
63………抜け止め
65………溝
67………串歯
69………アタッチメント
71………スプロケット
73………運搬物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設けられ、両端にピン孔を有する一対の外プレートと、
前記外プレートの内側に配置され、両端にブッシュ孔を有する一対の内プレートと、
前記内プレートの内側に設けられ、内部に貫通孔を有するブッシュと、
前記外プレートの前記ピン孔、前記内プレートの前記ブッシュ孔及び前記ブッシュの前記貫通孔を貫通して、前記外プレート及び前記内プレートを回転可能に連結するピンと、
を具備し、前記外プレート及び/又は前記内プレートにリブが設けられることを特徴とするチェーン。
【請求項2】
前記外プレートに設けられた前記リブは、前記チェーンの外側に向けて設けられることを特徴とする請求項1記載のチェーン。
【請求項3】
前記内プレートに設けられた前記リブは、前記チェーンの内側に向けて設けられることを特徴する請求項1または請求項2記載のチェーン。
【請求項4】
ピン孔が設けられた外プレート部と、ブッシュ孔が設けられた内プレート部とを有し、前記外プレート部と前記内プレート部との間に段差を有する一対のオフセットプレートと、
前記内プレート部の内側に設けられ、内部に貫通孔を有するブッシュと、
前記外プレート部の前記ピン孔と、隣接する前記オフセットプレートの前記内プレート部の前記ブッシュ孔と、前記ブッシュの前記貫通孔とを貫通して、前記外プレート部及び前記内プレート部を回転可能に連結するピンと、
を具備し、前記オフセットプレートにはリブが設けられることを特徴とするチェーン。
【請求項5】
ピン孔が設けられた一対のリンクを有する複リンク部と、ピン孔が設けられた単一のリンクを有する単リンク部と、前記複リンク部と前記単リンク部とを連結するアーム部とを具備する本体部材と、
前記複リンク部の前記ピン孔と、隣接する前記本体部材の前記単リンク部の前記ピン孔とを貫通し、前記複リンク部と前記単リンク部とを回転可能に連結するピンと、
を具備し、前記本体部材にはリブが設けられることを特徴とするチェーン。
【請求項6】
前記単リンク部に設けられる前記リブは、前記単リンク部の前記リンク部の外周部及び/又は前記ピン孔の外周部に沿って設けられることを特徴とする請求項5記載のチェーン。
【請求項7】
前記複リンク部に設けられる前記リブは、前記複リンク部の前記リンク部の外周部及び/又は前記ピン孔の外周部に沿って設けられることを特徴とする請求項5または請求項6記載のチェーン。
【請求項8】
前記アーム部に設けられる前記リブは、前記アーム部の外周部に設けられることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載のチェーン。
【請求項9】
前記アーム部にアタッチメント取付部を更に具備することを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載のチェーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−85392(P2009−85392A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258489(P2007−258489)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】