説明

チタン−アルミニウム−バナジウム合金の加工及びそれによって製造した製品

重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタンから物品を形成する方法。本方法は、このα−βチタン合金を冷間加工することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム、バナジウム、鉄、及び酸素を含む特定のチタン合金を加工する新規な方法、このような加工方法を使用して製造した物品、及びこのような合金を含む新規な物品に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1950年代という初期から始まって、チタンは、これを小火器用弾丸に対して構造装甲として使用するために魅力的なものにする特性を有することが認められた。同じ目的で、チタン合金の調査がその後続いた。耐弾道装甲(ballistic armor)として使用されることで周知の一つのチタン合金はTi−6Al−4V合金であり、これは、名目上、チタン、6重量%のアルミニウム、4重量%のバナジウム、及び、典型的に、0.20重量%未満の酸素を含む。耐弾道装甲用途において使用される別のチタン合金は、6.0重量%のアルミニウム、2.0重量%の鉄、比較的に低い酸素含量として0.18重量%、0.1重量%未満のバナジウム、及び恐らく他の微量元素を含む。耐弾道装甲用途に適していることが示されたさらに別のチタン合金は、1999年11月9日にKosakaに発行された米国特許第5,980,655号のアルファ−ベータ(α−β)チタン合金である。本明細書において“Kosaka合金”と呼ぶ’655特許において請求する合金は、チタンに加えて、重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、0.2超〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.03の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含む。
【0003】
上記のチタン合金から形成した装甲板は、耐弾道性能を表すように軍によって確立された特定のV50標準を満たすことが示された。こうした標準は、例えば、MIL−DTL−96077F、“詳細仕様、装甲板、チタン合金、溶接可能”(MIL-DTL-96077F, "Detail Specification, Armor Plate, Ttitanium Alloy, Weldable")を含む。V50は、指定された寸法を有し、指定された仕方で弾丸の射撃位置に対して位置決めされた合金プレートを貫通するために必要とする指定された弾丸タイプの平均速度である。
【0004】
多くの弾丸タイプに対して評価した場合、チタン合金は、鋼またはアルミニウムよりも少ない質量を使用してより良好な耐弾道性能を提供するので、上記のチタン合金を使用して耐弾道装甲が製造されてきた。特定のチタン合金は、特定の弾道の脅威に対して鋼及びアルミニウムよりも“質量効果的”であるという事実にもかかわらず、周知のチタン合金の耐弾道性能をさらに改良することにはかなりの利点が存在する。さらに、上記のチタン合金からの耐弾道装甲板の製造方法は複雑で高価になり得る。例えば、’655特許は、多数の鍛造工程によって熱機械加工(thermomechanically processed)されて混合α+β微細組織になったKosaka合金を熱間圧延し、焼なましして、所望のゲージの耐弾道装甲板を製造する方法を説明している。熱間圧延プレートの表面は、高い加工温度でスケール及び酸化物を発達させ、1つ以上の表面処理工程の例えば研磨、機械加工、ショットブラスティング、酸洗い等によってコンディショニングしなければならない。これは製造プロセスを複雑にし、歩留まり損失をもたらし、完成耐弾道プレートのコストを増大させる。
【0005】
耐弾道装甲用途において使用される特定のチタン合金の有利な強度対重量特性を考えると、こうした合金から耐弾道プレート以外の物品を製造することは望ましいと思われる。しかしながら、一般に、簡易な熱間圧延以外の製造技術をこうした高強度チタン合金の多くに直ちに適用することは可能ではないと考えられている。例えば、プレート形態のTi−6Al−4Vは、冷間圧延には強度が高すぎるとみなされている。従って、合金は典型的に、中間の厚さを有するTi−6Al−4Vの2枚以上のプレートを積み重ね、鋼缶中に封入する複雑な“パックローリング”加工によってシート形態で製造される。缶及びその内容物を熱間圧延し、個々のプレートを次に除去し、研磨し、酸洗いし、トリミングする。個々のシートの表面を研磨し、酸洗いする必要性を考えると、この加工は高価であり、低い歩留まりを有することがある。同様に、従来、Kosaka合金は、α−β圧延温度範囲未満の温度での流れに対する比較的に高い抵抗を有すると考えられていた。従って、Kosaka合金から耐弾道プレート以外の物品を形成することは周知ではなく、一般に’655特許において説明されている熱間圧延技術を使用してこのようなプレートを形成することのみが周知である。熱間圧延は、比較的に初歩の製品形態を製造することにのみ適し、また比較的に高いエネルギー入力を必要とする。
【0006】
耐弾道装甲用途において使用されることで周知の特定のチタン合金を加工する従来の方法に関する前述の説明を検討すると、周知の高温加工プロセスの経費、複雑さ、歩留まり損失及びエネルギー入力要件無しに、このような合金を加工して、プレート以外の形態を含む所望の形態にする方法に対する必要が存在する。
【発明の開示】
【0007】
上記に説明した必要に取り組むために、本開示は、’655特許において説明し、請求するα−βチタン−アルミニウム−バナジウム合金を加工する新規な方法を提供し、またα−βチタン合金を含む新規な物品を説明する。
【0008】
本開示の1態様は、重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金から物品を形成する方法に関する。本方法は、本α−βチタン合金を冷間加工することを含む。特定の態様においては、冷間加工は、合金を用いて雰囲気温度〜最高約1250°F(約677℃)未満までの範囲内の温度で行ってよい。特定の他の態様においては、α−β合金を、雰囲気温度〜最高約1000°F(約538℃)までの範囲にわたる温度にある間に冷間加工する。冷間加工の前に、α−βチタン合金を所望により約1600°F(約871℃)を超える温度で加工して、冷間加工の最中の冷間変形に役立つ微細組織を有する合金を提供してよい。
【0009】
本開示はまた、本明細書において説明する新規な方法によって製造する物品に関する。特定の具体例においては、このような方法の態様によって形成された物品は、最高4インチまでの厚さを有し、少なくとも120KSIの引張強さ及び少なくとも130KSIの極限引張強さを含む室温特性を示す。また、特定の態様においては、このような方法の具体例によって形成された物品は、少なくとも10%の伸びを示す。
【0010】
本願発明者らは、任意の適切な冷間加工技術が、Kosaka合金を用いた使用に適合できることを確定した。特定の非限定的な態様においては、1つ以上の冷間圧延工程を使用して、合金の厚さを減少させる。このような態様によって製造してよい物品の例としては、シート、条片(strip)、箔及びプレートが挙げられる。少なくとも2つの冷間圧延工程を使用する場合に、本方法はまた、合金内部の応力を低減するように、逐次冷間圧延工程の間の位置で合金を焼なましすることを含んでよい。こうした態様の幾つかにおいては、逐次冷間圧延工程の間に位置する少なくとも1つの応力除去焼なましは、連続焼なまし炉ライン上で行ってよい。
【0011】
また本明細書において開示するのは、重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金からの装甲板の新規な製造方法である。本方法は、従来、装甲板を製造するために合金を熱間圧延するために使用した温度よりもかなり低い温度で合金を圧延することを含む。本方法の一つの具体例においては、本合金を、本合金のTβよりも400°F(約222℃)以下低い温度で圧延する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、α−βチタン合金の冷間加工した物品において、合金は、重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含む物品に関する。冷間加工した物品の非限定的な例としては、シート、条片、箔、プレート、棒、ロッド、ワイヤ、管状中空体、パイプ、管、クロス、メッシュ、構造部材、円錐体、円柱、ダクト、パイプ、ノズル、ハニカム構造、留め具、リベット及び座金から選択される物品が挙げられる。冷間加工した物品の幾つかは、断面で1インチを超える厚さ並びに少なくとも120KSIの引張強さ及び少なくとも130KSIの極限引張強さを含む室温特性を有してよい。冷間加工した物品の幾つかは、少なくとも10%の伸びを有してよい。
【0013】
本開示において説明する特定の方法は、冷間加工技術の使用を取り入れており、これは、これまでKosaka合金の加工に適しているとは考えられていなかった。特に、従来、α−β熱間圧延温度範囲よりもかなり低い温度での流れに対するKosaka合金の抵抗は、合金をこのような温度で成功裏に加工することを可能にするには大きすぎると考えられていた。Kosaka合金を従来の冷間加工技術によって約1250°F(約677℃)未満の温度で加工してよいという本願発明者らの予想外の発見によって、熱間圧延によって可能ではない及び/または熱間加工技術を使用して製造するにはかなりより高価な、無数の製品形態を実現することが可能になる。本明細書において説明する特定の方法は、例えば、Ti−6Al−4Vからシートを製造するための上記に説明した従来のパックローリング技術よりもかなり複雑ではない。また、本明細書において説明する特定の方法は、完成ゲージ及び/または形状にする高温加工を含む加工に固有の歩留まり損失度及び高いエネルギー入力要件を含まない。さらに追加の利点は、Kosaka合金の態様の機械的性質の幾つかは、Ti−6Al−4Vのものに近いかまたは超え、これは、Ti−6Al−4Vからの以前には入手可能ではなかった物品の製造に対処し、しかもなお同様の特性を有する。
【0014】
以下の本発明の具体例の説明を検討することによって、上述した利点及び他の利点は明白になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記に言及したように、Kosakaに発行された米国特許第5,980,655号は、アルファ−ベータ(α−β)チタン合金及び耐弾道装甲板としてのこの合金の使用を説明している。’655特許を、本明細書において参考のためにその全体を引用する。’655特許において説明し、請求する合金は、チタンに加えて、下記の表1における合金元素を含む。参照を容易にするために、表1における合金元素添加を含むチタン合金を、本明細書において“Kosaka合金”と呼ぶ。
【0016】
【表1】

【0017】
’655特許において説明されているように、Kosaka合金は所望により、表1に具体的に列記する以外の元素を含んでよい。このような他の元素及びその重量%は以下のもののうちの1つ以上を含んでよいが、必ずしもこれらに限定されるものではない:(a)最大0.1%、一般に約0.0001%〜約0.05%、好ましくは最高約0.03%までのクロム;(b)最大0.1%、一般に約0.001%〜約0.05%、好ましくは最高約0.02%までのニッケル;(c)最大0.1%、一般に約0.005%〜約0.03%、好ましくは最高約0.01%までの炭素;及び(d)最大0.1%、一般に約0.001%〜約0.02%、好ましくは最高約0.01%までの窒素。
【0018】
Kosaka合金の一つの特定の市販の具体例は、ワー・チャン、アレガニー・テクノロジーズ・インコーポレイテッド・カンパニー(Wah Chang, an Allegheny Technologies Incorporated Company)から入手可能であり、4重量%のアルミニウム、2.5重量%のバナジウム、1.5重量%の鉄、及び0.25重量%の酸素という名目組成を有する。このような名目組成を、本明細書において“Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2”と呼ぶ。
【0019】
’655特許は、Kosaka合金は、特定の他のα−βチタン合金と共に使用する従来の熱加工(“TMP”)と一致する仕方で加工されると説明している。特に、’655特許は、Kosaka合金を、ベータトランザス温度(Tβ)(Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2の場合、約1800°F(約982℃))を超える高温で鍛練変形にさらし、それに続いてTβ未満の追加の鍛練熱加工に供することを言及している。この加工は、α−β熱加工サイクルの間に位置するベータ(すなわち、温度>Tβ)再結晶の可能性に対処したものである。
【0020】
’655特許は特に、混合α+β微細組織を含む製品を提供するように、Kosaka合金から耐弾道装甲板を製造することに関する。この特許において説明されているα+β加工工程は一般に次の通り:(1)インゴットをTβを超えてβ鍛造して、中間スラブを形成;(2)Tβ未満の温度で中間スラブをα−β鍛造;(3)スラブをα−β圧延してプレートを形成;及び(4)プレートを焼なましする。’655特許は、インゴットをTβを超える温度に加熱する工程は、例えば、インゴットを約1900°F〜約2300°F(約1038℃〜約1260℃)の温度に加熱することを含んでよいことを教示している。中間ゲージスラブをTβ未満の温度でそれに続きα−β鍛造する工程は、例えば、スラブをα+β温度範囲内の温度で鍛造することを含んでよい。この特許は、より詳細には、スラブを、Tβよりも約50°F〜約200°F(約28℃〜約111℃)低い範囲内の温度、例えば約1550°F〜約1775°F(約843℃〜約968℃)でα−β鍛造することを説明している。スラブを次に同様のα−β温度範囲、例えば約1550°F〜約1775°F(約843℃〜約968℃)で熱間圧延して、所望の厚さを有し、好ましい耐弾道特性を有するプレートを形成する。’655特許は、α−β圧延工程に続く、約1300°F〜約1500°F(約704℃〜約816℃)で行う焼なまし工程を説明している。’655特許において具体的に説明されている実施例においては、合金をβ及びα−β鍛造に供することと、1600°F(約871℃)または1700°F(約927℃)でα−β熱間圧延することと、次に約1450°F(約788℃)で“ミル”焼なましすることとによってKosaka合金のプレートを形成した。従って、’655特許は、合金をα−β温度範囲内で所望の厚さに熱間圧延することを含む加工によって、Kosaka合金から耐弾道プレートを製造することを教示している。
【0021】
’655特許において説明されている加工方法に従ってKosaka合金から耐弾道装甲板を製造する間に、本願発明者らは予想外にまた驚くべきことに、Tβ未満の温度で行う鍛造及び圧延はかなりより少ない割れをもたらすことと、このような温度での圧延の最中に経験するミル負荷は、Ti−6Al−4V合金の同等のサイズのスラブの場合よりもかなり少ないことを発見した。すなわち、本願発明者らは予想外に、Kosaka合金は、高温での流れに対する減少した抵抗を示すことを観察した。オペレーションの任意の特定の理論に限定されることを意図するものではないが、この効果は、少なくとも部分的には、Kosaka合金における鉄及び酸素含量が原因となる高温での材料の強化の低下に帰すると考えられる。この効果を以下の表2に示し、これは、様々な高温でTi−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2合金の試料に関して測定した機械的性質を提供する。
【0022】
【表2】

【0023】
Kosaka合金は、材料から耐弾道プレートを製造する間に高温で低減された流体抵抗を有することが観察されたが、焼なまししたプレートの最終機械的性質は、Ti−6Al−4Vから製造される同様のプレート製品の一般的な範囲内であることが観察された。例えば、下の表3は、Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2合金の2つの8,000lb.インゴットから製造した26の熱間圧延した耐弾道装甲板の機械的性質を提供する。表3及び本願発明者らによる他の観察の結果は、本明細書において開示する加工によってKosaka合金から形成した例えば断面厚さ約2.5インチ未満の製品は、120KSIの最小降伏強さ、最小130KSIの極限引張強さ、及び最小12%伸びを有することができることを示す。しかしながら、こうした機械的性質及びはるかに大きな断面の例えば4インチ未満を有する物品が、特定の大規模ロッドミル上で冷間加工によって製造される可能性がある。こうした特性は、Ti−6Al−4Vのものにひけをとらない。例えば、Materials Properties Handbook, Titanium Alloys (ASM International, 2d printing, January 1998) page 526は、955℃(約1777°F)でクロスローリングし、ミル焼なまししたTi−6Al−4Vに関する室温引張特性として127KSIの降伏強さ、138KSIの極限引張強さ、及び12.7%の伸びを報告している。同じテキストの524ページに、典型的なTi−6Al−4V引張特性として134KSIの降伏強さ、144KSIの極限引張強さ、及び14%の伸びを列記している。引張特性は、製品形態、断面、測定方向、及び熱処理によって影響を受けるが、Ti−6Al−4Vに関する前述の報告された特性は、一般にKosaka合金の相対的引張特性を評価するための基礎を提供する。
【0024】
【表3】

【0025】
本願発明者らはまた、冷間圧延したTi−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2は一般に、Ti−6Al−4V材料よりも幾分良好な延性を示すことを観察した。例えば、下記に説明する一つの試験シーケンスにおいて、2回冷間圧延し、焼なまししたTi−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2材料は、長手方向及び横断方向の両方の2.5T曲げ半径の曲げにおいて生き残った。
【0026】
従って、高温での流れに対する観察された低減された抵抗は、以前にはKosaka合金またはTi−6Al−4と共に使用するのに適しているとはみなされなかった加工及び成形技術を使用してKosaka合金から物品を製造する機会を与え、同時に、典型的にTi−6Al−4Vに匹敵する機械的性質を実現する。例えば、下記に説明する加工は、Kosaka合金は、’655特許において提案されない加工技術でありチタン加工業界において一般に“適度の”とみなされる高温で容易に押出すことができることを示す。高温押出し実験の結果を考えると、Kosaka合金を加工するために使用してよいと考えられている他の高温形成方法としては、高温密閉鍛造、引抜き、及びスピニングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる可能性は、比較的に軽ゲージのプレートまたはシート、及び薄いゲージ(thin gauge)の条片を提供するための、適度の温度または他の高温での圧延である。こうした加工の可能性は、’655特許において説明されている熱間圧延技術をかなり越えて広がって、熱間圧延プレートを製造し、Ti−6Al−4Vから容易には製造できないが、にもかかわらずTi−6Al−4Vと同様の機械的性質を有すると思われる可能な製品形態を与える。
【0027】
本願発明者らはまた予想外にまた驚くべきことに、Kosaka合金はかなりの程度の冷間成形性を有することを発見した。例えば、下記に説明するTi−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2合金の切り取り試片の冷間圧延の試みは、縁部割れが最初に現れる前に約37%の厚さ減少を与えた。切り取り試片は最初に従来の装甲板加工と同様の加工によって製造され、幾分粗い微細組織を有した。向上したα−β加工及び選択的ひずみ取り焼なましによる切り取り試片の組織の微細化は、さらなる冷間圧下を可能にするために応力除去焼なましが必要となる前に、最高44%までの冷間圧下に対処した。本願発明者らの加工の間に、Kosaka合金をはるかに高い強度に冷間加工でき、依然としてある程度の延性を保持することも発見された。この以前に観察されなかった現象は、Kosaka合金からのコイル長の冷間圧延した製品の製造を可能にするが、しかしこれはTi−6Al−4Vの機械的性質を有する。
【0028】
比較的に高い酸素レベルを含むKosaka合金の冷間成形性は、反直感的である。例えば、比較的に高レベルである約0.4重量%の酸素を含む4CP等級(工業的に純粋な:Commercially Pure)チタンは、最小伸び約15%を示し、他のCP等級よりも成形可能ではないことで周知である。特定のCPチタン等級を除いて、かなりの工業的量で製造される単一の冷間加工可能なα−βチタン合金は、Ti−3Al−2.5V(名目上、重量%で、3のアルミニウム、2.5のバナジウム、最大0.25の鉄、最大0.05の炭素、及び最大0.02の窒素)である。本願発明者らは、Kosaka合金の具体例は、Ti−3Al−2.5Vと同程度に冷間成形可能であるがまたより好都合な機械的性質を示すことを観察した。容易に冷間成形可能な唯一の工業的に重要な非α−βチタン合金は、Ti−15V−3Al−3Cr−3Snであり、これは、Ti−6Al−4Vシートの冷間圧延可能な代替物として開発された。Ti−15V−3Al−3Cr−3Snは、管、条片、プレート及び他の形態として製造されたが、Ti−6Al−4Vの製造量に及ばない特製製品(specialty product)のままだった。Kosaka合金は、特製チタン合金の例えばTi−15V−3Al−3Cr−3Snよりも、融解し、製造するのにかなり低コストかもしれない。
【0029】
冷間加工技術(この幾つかを下記に提供する)を合金に適用した場合のKosaka合金の冷間加工性及び本願発明者らの観察を考えると、以前にKosaka合金に適さないと考えられていた多数の冷間加工技術を使用して、合金から物品を形成してよいと考えられている。一般に、“冷間加工”は、材料の流れ応力がかなり減少する温度未満の温度で合金を加工することを指す。本発明に関連して本明細書において使用する“冷間加工”、“冷間加工した”、“冷間成形”若しくは同様な用語、または特定の加工若しくは成形技術に関連して使用する“冷間”は、状況に応じて、約1250°F(約677℃)以下の温度で加工するかまたは加工された特性を指す。好ましくは、このような加工は、約1000°F(約538℃)以下で行われる。従って、例えば、Kosaka合金プレートに関して950°F(510℃)で行う圧延工程は、本明細書において冷間加工であるとみなされる。また、“加工”及び“成形”という用語は一般に本明細書において互換性があり、“加工性”及び“成形性”という用語並びに同様な用語も同様である。
【0030】
Kosaka合金と共に使用してよい冷間加工技術としては、例えば、冷間圧延、冷間引抜き、冷間押出し、冷間鍛造、揺動(揺動鍛造:rocking)/ピルガリング(pilgering)、冷間スエージング、スピニング、及びフローターニングが挙げられる。当分野において周知のように、冷間圧延は一般に、予め熱間圧延した物品の例えば棒、シート、プレート、または条片を、しばしば数回、所望のゲージが得られるまで1組のロールを通過させることからなる。熱間(α−β)圧延及び焼なましの後の出発組織に依存して、さらなる冷間圧延の前に何らかの焼なましを必要とする前に、少なくとも35〜40%の断面減少率(RA)が、Kosaka合金を冷間圧延することによって実現される可能性があると考えられる。製品の幅及びミル形状に依存して、それに続く少なくとも30〜60%の冷間圧下が可能であると考えられる。
【0031】
Kosaka合金から薄いゲージコイル及びシートを製造する能力はかなりの改良である。Kosaka合金は、Ti−6Al−4Vの特性と同様であり、比較してある点で改良された特性を有する。特に、本願発明者らが行った調査は、Kosaka合金は、伸び及び曲げ特性によって証明されるように、Ti−6Al−4Vと比較して改良された延性を有することを示す。Ti−6Al−4Vは、30年をかなり超えて使用されている主要なチタン合金である。しかしながら、上記に言及したように、シートは従来、複雑で高価な加工によってTi−6Al−4Vから及び多くの他のチタン合金から製造されている。Ti−6Al−4Vの強度は冷間圧延には高すぎ、材料は優先的に集合組織を強化し、事実上延性の無い横断特性をもたらすので、Ti−6Al−4Vシートは一般にパックローリングによって単一のシートとして製造される。Ti−6Al−4Vの単一のシートは、大部分の圧延機が行うことができるよりも大きなミル力を必要とすると思われ、材料は依然として高温で圧延しなければならない。単一のシートは熱を急速に失い、各パス後に再加熱を必要とすると思われる。従って、中間ゲージTi−6Al−4Vシート/プレートを2枚以上高く積み重ね、鋼缶中に封入し、全体を圧延する。しかしながら、缶成形(canning)のための工業様式は減圧造型を利用しないので、熱間圧延後に各シートをベルト研削及び研磨して、脆い酸化物層を除去しなければならず、これは延性製造を大きく阻害する。研磨プロセスは、この切欠感受性材料のための割れ開始部位として働く打撃印をグリットによって導入する。従って、シートを酸洗いもして打撃印を除去しなければならない。その上、各シートを全ての面でトリミングし、シートをピンチロール研削盤において研磨する間の把握用に、2〜4インチのトリムを典型的に一端に残す。典型的に、一つの表面につき少なくとも約0.003インチを研磨除去し、一つの表面につき少なくとも約0.001インチを酸洗い除去し、典型的に少なくとも約0.008インチ/シートの損失をもたらす。最終厚さ0.025インチのシートの場合、例えば、トリミング損失と無関係に、研磨及び酸洗いによる損失約24%の場合、サイズに合わせて圧延するシート(rolled-to-size sheet)は0.033インチでなければならない。缶のための鋼のコスト、研削ベルトのコスト、及びパックローリング後の個々のシートの取り扱いに関連する人件費は、厚さ0.040インチ以下を有するシートをかなり高価にする。
【0032】
従って、Ti−6Al−4Vと同様のまたはより良好な機械的性質を有する連続コイル形態(Ti−6Al−4Vは典型的に、36×96インチ及び48×120インチの標準的なシートサイズで製造される)の冷間圧延したα−βチタン合金を提供する能力は、かなりの改良であることは理解できよう。
【0033】
本願発明者らの観察に基づいて、コッチタイプミル(Koch's-type mill)を含む様々なロッドタイプミル上での棒、ロッド、及びワイヤの冷間圧延も、Kosaka合金に関して成し遂げることができる。Kosaka合金から物品を形成するために使用してよい冷間加工技術のさらなる例としては、シームレスパイプ、管及びダクティングの製造のための押出し管状中空体のピルガリング(揺動:rocking)が挙げられる。Kosaka合金の観察された特性に基づいて、板状圧延を用いるよりも大きな断面減少率(RA)を圧縮タイプ成形において実現できると考えられる。ロッド、ワイヤ、棒及び管状中空体の引抜きもまた成し遂げることができる。Kosaka合金の特に魅力的な用途は、シームレス管類の製造のための管状中空体にする引抜きまたはピルガリングであり、これは、Ti−6Al−4V合金を用いて実現するのが特に困難である。フローターニング(また当分野において、剪断スピニングと呼ぶ)をKosaka合金を使用して成し遂げて、円錐体、円柱、航空機ダクティング、ノズル、及び他の“流れ指向”タイプ構成要素を含む軸対称中空形態を製造してよい。様々な液体または気体タイプ圧縮、膨張タイプの成形作業の例えばハイドロホーミングまたはバルジ成形を使用してよい。連続タイプ素材のロール成形を成し遂げて、“山形鋼(angle iron)”または“単支柱(uni-strut)”一般構造部材の構造的変形物を形成してよい。加えて、本願発明者らの発見に基づいて、典型的に板金加工に関連する作業の例えば打抜き、精密打抜き、ダイプレッシング、深絞り、圧印加工をKosaka合金に適用してよい。
【0034】
上記の冷間成形技術に加えて、Kosaka合金から物品を形成するために使用してよい他の“冷間”技術としては、鍛造、押出し、フローターニング、ハイドロホーミング、バルジ成形、ロール成形、スエージング、衝撃押出し、爆薬成形、ゴム成形、後部押出し(back extrusion)、穿孔、スピニング、引張り成形、プレス曲げ、電磁成形、及び冷間ヘッディングが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではないと考えられる。当業者であれば、本願発明者らの観察及び結論並びに本発明の本説明において提供する他の詳細を検討することによって、Kosaka合金に適用してよい追加の冷間加工/成形技術を容易に理解できよう。また、当業者であれば、過度の実験なしにこのような技術を合金に直ちに適用できる。従って、合金の冷間加工の特定の例のみを本明細書において説明する。このような冷間加工及び成形技術の適用は、様々な物品を提供できる。このような物品としては以下のものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない:シート、条片、箔、プレート、棒、ロッド、ワイヤ、管状中空体、パイプ、管、クロス、メッシュ、構造部材、円錐体、円柱、ダクト、パイプ、ノズル、ハニカム構造、留め具、リベット及び座金。
【0035】
合金を後に冷間加工するという予想外の能力と組み合わせた高い加工温度でのKosaka合金の予想外に低い流体抵抗の組合せは、多くの場合、同じ製品を製造するために従来のTi−6Al−4V合金を使用するよりも低コストの製品形態を可能にするはずである。例えば、2つの合金の典型的なα+β加工の最中、Kosaka合金の場合にはより少ない表面及び縁部検査を受けるので、Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2という名目組成を有するKosaka合金の態様は、Ti−6Al−4V合金よりも大きな歩留まりで特定の製品形態で製造されることができると考えられる。従って、より少ない表面研磨及び他の表面コンディショニングを必要とするTi−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2は、材料の損失をもたらし得るということが言えた。多くの場合、歩留まりの差は、2つの合金から完成品を製造した場合にさらに実証されるだろうと考えられている。加えて、α−β熱間加工温度でのKosaka合金の予想外に低い流体抵抗は必要な再加熱の頻度をより少なくすると思われ、また、工具類の表面により少ない応力を生じ、この両方はさらに加工コストを低減するはずであると考えられる。さらに、Kosaka合金のこうした特性をその予想外の程度の冷間加工性と組み合わせた場合、Ti−6Al−4Vシートを熱間パックローリング及び研磨するための従来の要件を考えると、Ti−4Al−6と比較してかなりのコストの利点を得ることができる。高温での流れに対する抵抗及び冷間加工性を組み合わせることで、Kosaka合金を、ステンレス鋼からのコイルの製造において使用するものと同様の加工技術を使用してコイルの形態へと加工することに特に適用できるものにするはずである。
【0036】
Kosaka合金の予想外の冷間加工性は、よりきめ細かな表面仕上げ及び典型的にTi−6Al−4Vパックローリング済みシートの表面に生じる重質表面スケール及び拡散済み酸化物層を除去するための表面コンディショニングに対する低減された必要をもたらす。本願発明者らが観察した冷間加工性のレベルを考えると、コイル長の箔厚さ製品を、Ti−6Al−4Vのものと同様の特性を有するKosaka合金から製造できると考えられる。
【0037】
Kosaka合金を加工する本願発明者らの様々な方法の例を下記に示す。
【実施例】
【0038】
特に断らない限り、本開示において、成分の量、組成、時間、温度等を表す全ての数値は、全ての場合に“約”という用語によって修正されることは理解できるはずである。従って、特に断らない限り、本明細書及び請求の範囲において述べる数値パラメータは、本発明によって得ようと試みた所望の特性に依存して変化することがある近似である。少なくとも、また、請求の範囲に対する均等論の適用を限定しようとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮し、通常の四捨五入の技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0039】
本発明の広い範囲を述べる数値の範囲及びパラメータは近似であるにもかかわらず、具体的な例において述べる数値をできる限り正確に報告する。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、それらのそれぞれの試験測定において見い出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含むことがある。
【0040】
実施例1
シームレスパイプを、Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2という名目組成を有するKosaka合金のヒートから管状中空体を押出すことによって製造した。合金の実際の測定された化学的組成を下記の表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】
合金を1700°F(約927℃)で鍛造し、次に約1600°F(約871℃)で回転鍛造した。合金の計算されたTβは約1790°F(約977℃)だった。各々外径6インチ及び内径2.25インチを有する熱間鍛造した合金の2つのビレットを押出して、外径3.1インチ及び内径2.2インチを有する管状中空体にした。第1のビレット(ビレット#1)を約788℃(約1476°F)で押出し、シームレスパイプを形成するための揺動のために満足な約4フィートの材料を与えた。第2のビレット(ビレット#2)を約843℃(約1575°F)で押出し、その全長に沿って満足な押出し管状中空体を製造した。各場合に、押出材の形状、寸法及び表面仕上げは、焼なまし及びコンディショニング後のピルガリングまたは揺動(rocking)によって、材料は成功裏に冷間加工できたことを示した。
【0043】
様々な熱処理に供した後の押出材の引張特性を決定するための研究を行った。研究の結果を下記の表5に提供する。表5の最初の2行は、“押出したまま”の形態の押出品に関して測定した特性を列記する。残りの行は、追加の熱処理及び、場合によっては、水焼入れ(“WQ”)または空冷(“AC”)に供した各押出品から得た試料に関する。最後の4行は、用いた各熱処理工程の温度を逐次列記する。
【0044】
【表5】

【0045】
表5の結果は、熱間圧延し、焼なまししたプレート並びにそれに続いて冷間圧延した前駆体平坦素材と同等の強度を示す。1350°F(約732℃)〜1450°F(約788℃)での列記した時間の焼なまし(本明細書において、“ミル焼なまし”と呼ぶ)に関する表5の結果の全ては、押出品は、揺動またはピルガリングまたは引抜きによって容易に冷間圧下されて管にすることができたことを示す。例えば、こうした引張結果は、Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2を冷間圧延及び焼なましすることから本願発明者らが得た結果、及びまた従来のように押出して管類にしたTi−3Al−2.5V合金を用いた本願発明者らの前の加工にひけをとらない。
【0046】
水焼入れし、時効した標本(“溶体化処理し、時効した”場合として“STA”と呼ぶ)に関する表5の結果は、押出品から製造された冷間揺動し/ピルガリングした管は、それに続いて熱処理してはるかに高い強度を得る可能性があり、同時に若干の残留延性を維持することを示す。こうしたSTA特性は、Ti−6Ai−4V及び亜等級変形例のものと比較した場合好都合である。
【0047】
実施例2
上記に説明した表5の熱間鍛造したKosaka合金の追加のビレットを製造し、成功裏に押出して管状中空体にした。2つのサイズの入力ビレット(input billet)を利用して、2つのサイズの押出し管を得た。機械加工して外径6.69インチ及び内径2.55インチにしたビレットを押出して、名目外径3.4インチ及び内径2.488インチにした。機械加工して外径6.04インチ及び内径2.25インチにした2つのビレットを押出して、名目外径3.1インチ及び内径2.25インチにした。押出しを、目標1450°F(約788℃)、最大1550°F(約843℃)で行った。押出しは計算されたTβ(約1790°F)未満の温度で実施するだろうがまた塑性流れを実現するのにも十分であるように、この温度範囲を選択した。
【0048】
好都合な表面品質及び表面仕上げを示す押出し管は、目に見える表面の傷を含まず、円形の形状及び一般に均一な壁厚さ並びにその長手方向に均一な寸法を有した。こうした観察を、表5の引張結果及び同じ材料を冷間圧延した場合の本願発明者らの経験と組み合わせて解釈すると、管状押出品を冷間加工によってさらに加工して、工業的要件を満たす管類にできることが示される。
【0049】
実施例3
上記の実施例1において説明したように熱間鍛造した表5のα−βチタン合金の幾つかの切り取り試片(coupon)を、α−β範囲で、計算されたTβ未満よりも50〜150°F(約28℃〜約83℃)低い温度で約0.225インチ厚さに圧延した。合金を用いた実験は、α−β範囲での圧延、続いてミル焼なましは、最良の冷間圧延の結果をもたらしたことを示した。しかしながら、希望する結果に依存して、圧延温度はTβ未満の温度〜ミル焼なまし範囲までの範囲内であり得ることは予想される。
【0050】
冷間圧延の前に、切り取り試片をミル焼なましし、次にブラスティングし、酸洗いして、αケース及び酸素富化または安定化済み表面を含まないようにした。外部加熱を適用せずに、切り取り試片を雰囲気温度で冷間圧延した。(試料を断熱加工によって約200〜300°F(約93℃〜約149℃)に温め、これは冶金学的に重要とみなされない。)冷間圧延した試料をそれに続いて焼なましした。焼なましした0.225インチ厚さの切り取り試片の幾つかを冷間圧延して約0.143インチ厚さにし、これは幾つかの圧延パスによる約36%の減少だった。0.143インチの切り取り試片のうちの2つを1時間1400°F(760℃)で焼なましし、次に外部加熱を適用せずに雰囲気温度で冷間圧延して約0.0765インチにし、これは約46%の減少だった。
【0051】
より厚い試料の冷間圧延の最中、0.001〜0.003インチの減少/パスを観察した。より薄いゲージで並びに焼なましが必要になる前の冷間圧下のほぼ限界近くで、0.001インチもの小ささの減少を実現する前に幾つかのパスを必要としたことを観察した。当業者には明らかなように、1パス当たりに達成できる厚さ減少は、部分的にはミルタイプ、ミル形状、ワークロール直径、並びに他のファクターに依存しよう。材料の冷間圧延の観察は、焼なましを必要とする前に少なくとも約35〜45%の極限減少を容易に実現する可能性があることを示す。材料の実際の延性の限界で起きたわずかな縁部割れを別にすれば、観察可能な傷または欠陥無しに、試料を冷間圧延した。こうした観察は、α−βKosaka合金の冷間圧延に対する適性を示した。
【0052】
中間及び最終ゲージ切り取り試片の引張特性を下記の表6に提供する。こうした特性は、標準的な業界仕様書の例えば:AMS 4911H(米国航空宇宙材料仕様書、チタン合金、シート、条片、及びプレート、6Al−4V、焼なましした);MIL−T−9046J(表III);及びDMS 1592Cにおいて述べるTi−6Al−4V材料に関する必要な引張特性にひけをとらない。
【0053】
【表6】

【0054】
焼なましした切り取り試片の曲げ特性をASTM E 290に従って評価した。このような試験は、平坦な切り取り試片を2つの固定ローラー表面に置き、次に材料厚さに基づく半径のマンドレルを有するローラー間で曲げ角度105°を得るまで切り取り試片を押すことからなった。標本を次に割れに関して調べた。冷間圧延した標本は、Ti−6Al−4V材料の場合に典型的なものよりもきつい半径(典型的には実現された曲げ半径3T、または場合によっては2Tであり、ここで“T”は標本厚さである)へと曲がる能力を示したが、同時にまたTi−6Al−4Vと同等の強度レベルを示した。上述の及び他の曲げ試験の本願発明者らの観察に基づいて、Kosaka合金で形成される多くの冷間圧延した物品は、物品の破損無しに物品の厚さの4倍以下の半径の周りに曲がることができると考えられている。
【0055】
この実施例における冷間圧延の観察並びに強度及び曲げ特性試験は、Kosaka合金を加工して冷間圧延した条片にしてよく、またさらに減少させて非常に薄いゲージの製品にしてよく、例えば箔にしてよいことを示す。これは、本願発明者らによって追加の試験において確認され、ここで、本実施例における化学的組成を有するKosaka合金はゼンジミアミル上で成功裏に冷間圧延されて厚さ0.011インチ以下になった。
【0056】
実施例4
上記の表4における化学的組成を有するα−β加工済みKosaka合金のプレートを、プレートを約1735°F(約946℃)(これはTβよりも50〜150°F(約28℃〜約83℃)低い範囲内だった)でクロスローリングすることによって製造した。プレートを1715°F(約935℃)で名目0.980インチ厚さから名目0.220インチ厚さに熱間圧延した。中間焼なましパラメータがそれに続く冷間圧下に適した条件を提供するかを調べるために、プレートを切断して4つの個々のセクション(#1〜#4)にし、表7に示すようにセクションを加工した。各セクションをまず約1時間焼なましし、次に2つの冷間圧延(CR)工程にさらし、中間焼なましは約1時間継続した。
【0057】
【表7】

【0058】
冷間圧延工程の最中、材料が実際の加工性の限界に近づいていることを早期に示す最初の観察可能な縁部検査まで、圧延パスを行った。本願発明者らによるKosaka合金を用いた他の冷間圧延の試みで分かるように、表7の試みにおける最初の冷間圧下は約30〜40%であり、より典型的に33〜37%だった。冷間圧下前の焼なまし及び中間焼なましの両方の場合のパラメータとして、1400°F(760℃)で1時間を使用して適切な結果を提供したが、表7における他のセクションに適用した加工もまた申し分なく機能した。
【0059】
本願発明者らはまた、4時間1400°F(760℃)で、または1350°F(約732℃)または1450°F(約787℃)で同等の時間焼なましすることは、それに続く冷間圧下のための材料における実質的に同じ能力並びに有利な機械的性質の例えば引張及び曲げの結果を与えることを確定した。さらに高い温度(例えばTβよりも50〜150°F(約28℃〜約83℃)低い“溶体範囲(solution range)”)は、材料を強靱化し、それに続く冷間圧下をより困難にするようであることを観察した。β領域(T>Tβ)で焼なましすることは、それに続く冷間圧下に関して利点を生じなかった。
【0060】
実施例5
以下の組成を有するKosaka合金を製造した:4.07重量%のアルミニウム;229ppmの炭素;1.69重量%の鉄;86ppmの水素;99ppmの窒素;2100ppmの酸素;及び2.60重量%のバナジウム。合金を、直径30インチの合金のVARインゴットを2100°F(約1149℃)で名目20インチ厚さ×29インチ幅の断面に最初に鍛造し、次に1950°F(約1066℃)で名目10インチ厚さ×29インチ幅の断面に鍛造することによって加工した。研磨/コンディショニングの後に、材料を1835°F(約1002℃)(依然としてTβである約1790°F(約977℃)を超える)で名目4.5インチ厚さのスラブに鍛造し、それに続いて研磨及び酸洗いによってコンディショニングした。スラブのセクションを、1725°F(約941℃)(Tβよりも約65°F(約36℃)低い)で約2.1インチ厚さに圧延し、焼なましした。2.1インチのプレートの12×15インチの部片を次に熱間圧延して、名目0.2インチ厚さの高温の帯(band)にした。1400°F(760℃)で1時間焼なましした後に、部片をブラスティングし、酸洗いし、冷間圧延して約0.143インチ厚さにし、1400°F(760℃)で1時間空気なましし、コンディショニングした。当分野において周知のように、コンディショニングは、表面スケール、酸化物及び欠陥を除去するための1つ以上の表面処理の例えばブラスティング、酸洗い及び研磨を含んでよい。帯を再度冷間圧延し、今度は約0.078インチ厚さにし、同様に焼なましし、コンディショニングし、約0.045インチ厚さに再圧延した。
【0061】
0.078インチ厚さに圧延した後に、取り扱いを容易にするために、得られたシートを切断して2つの部片にした。しかしながら、さらなる試験をコイルを必要とする装置上で実行するために、2つの部片を一緒に溶接し、尾部を条片に取り付けた。溶接金属の化学的組成は、ベースの金属と実質的に同じだった。チタン合金のための従来の手段を使用して合金を溶接でき、延性溶着物(ductile weld deposit)を提供した。条片を次に冷間圧延して(溶接部は圧延しなかった)名目0.045インチ厚さの条片を提供し、連続焼なまし炉中、1425°F(約774℃)、供給速度1フィート/分で焼なましした。周知のように、連続焼なましを、アルゴン、ヘリウム、窒素、または焼なまし温度で限定された反応性を有する何らかの他の気体を含む半保護雰囲気内部の高温帯域を通って条片を移動させることによって成し遂げた。半保護雰囲気は、焼なましした条片をブラスティングし、次に強く酸洗いして深酸化物(deep oxide)を除去する必要性を無くすことを意図している。連続焼なまし炉は従来、工業規模の加工において使用されており、従って、工業的製造環境においてKosaka合金からコイル条片を製造することをシミュレートするために試験を実行した。
【0062】
条片の焼なましした結合セクションのうちの1つの試料を引張特性の評価のために集め、条片を次に冷間圧延した。結合セクションのうちの1つを厚さ約0.041インチ〜約0.022インチに冷間圧延して、46%減少させた。残りのセクションを厚さ約0.042インチ〜約0.024インチに冷間圧延して、43%減少させた。各結合セクション中に突然の縁部割れが現れた時に、圧延を中止した。
【0063】
冷間圧延後に、条片を溶接線で2つの個々の条片に再分割した。条片の第1のセクションを次に連続焼なましライン上1425°F(約774℃)、供給速度1フィート/分で焼なましした。条片の焼なましした第1のセクションの引張特性を下記の表8に提供し、各試験は2回重複して行った。表8の引張特性は、最初の連続焼なまし後でかつ最初の冷間圧下の前に条片の第1のセクションから集めた試料のものと実質的に同じだった。全ての試料が同様の好都合な引張特性を有したことは、合金を有効に連続焼なまししてよいことを示す。
【0064】
【表8】

【0065】
この実施例において実現された冷間圧延の結果は非常に好都合だった。連続焼なましは、薄いゲージにする追加の冷間圧下のために材料を適切に軟化した。工作物の幅の端から端までより均一に圧力を加えるゼンジミアミルの使用は、焼なましが必要となる前に可能な冷間圧延を向上させることができる。
【0066】
実施例6
表4に示す化学的組成を有するKosaka合金のビレットのセクションを提供し、ワイヤの製造の終わりに向かって次の通り加工した。ビレットを鍛造プレス上約1725°F(約941℃)で鍛造して直径約2.75インチの丸棒にし、次に回転鍛造上で鍛造して引張った。棒を次に小さなロータリースエージング上で2段階で鍛造/スエージングし、各々1625°F(885℃)でまず直径1.25インチにし、次に直径0.75インチにした。ブラスティング及び酸洗い後に、ロッドを二等分し、二分の一を赤熱未満の温度でスエージングして約0.5インチにした。0.5インチのロッドを1時間1400°F(760℃)で焼なましした。
【0067】
材料はスエージングの最中非常に申し分なく流れ、表面の傷はなかった。微細組織試験は健全な組織を示し、ボイド、ザク巣、または他の欠陥は無かった。焼なましした材料の第1の試料を引張特性に関して試験し、126.4KSIの降伏強さ、147.4KSIの極限引張強さ、及び18%の全伸びを示した。第2の焼なましした棒試料は、125.5KSIの降伏強さ、146.8KSIの極限引張強さ、及び18%の全伸びを示した。従って、試料は、Ti−6Al−4Vと同様の歩留まり及び極限引張強さを示したが、改良された延性を有した。同様の強度の他のチタン合金、すなわち熱加工の傷から生じた表面欠陥を除去するための増大した数の中間加熱及び加工工程並びに追加の研磨を必要とする合金と比較してKosaka合金によって示された増大した加工性は、かなりの利点を表す。
【0068】
実施例7
上記に検討したように、Kosaka合金は最初、耐弾道装甲板として使用するために開発された。合金は容易に冷間加工でき、冷間加工した状態でより高い強度レベルでかなりの延性を示すという予想外の観察によって、本願発明者らは、冷間加工が耐弾道性能に影響するかどうかを調べることを決定した。
【0069】
表4に示す化学的性質を有するα−β加工済みKosaka合金の2.1インチ(約50mm)厚さのプレートを、実施例5において説明したように製造した。プレートを1715°F(935℃)で熱間圧延して、厚さ約1.090インチにした。圧延方向は前の圧延方向に対して垂直だった。プレートを、空気中、約1400°F(760℃)で約1時間焼なましし、次にブラスティングし、酸洗いした。試料を次に約1000°F(約538℃)で0.840インチ厚さに圧延し、切断して半分にした。1つのセクションを圧延したままの状態で保持した。残りのセクションを1690°F(約921℃)で約1時間焼なましし、空冷した。(材料の計算されたTβは1790°F(約977℃)だった。)両方のセクションをブラスティングし、酸洗いし、弾道試験のために送った。同じインゴットの同等の厚さの材料の“残り”もまた弾道試験のために送った。残りは、熱間圧延、溶体化焼なまし、約1400°F(760℃)での少なくとも1時間のミル焼なましによって、従来耐弾道装甲板の製造のために使用する仕方で加工されていた。溶体化焼なましを典型的にTβよりも50〜150°F(約28℃〜約83℃)低い温度で実行する。
【0070】
試験研究室において、MIL−DTL−96077Fに準拠して20mm断片模擬弾丸(fragment simulating projectile)(FSP)及び14.5mmAPI B32弾に対して試料を評価した。試料の各々に14.5mm弾が及ぼす影響には識別できる差が認められず、全ての試験片は速度2990〜3018フィート/秒(fps)で14.5mm弾によって完全に貫通された。20mmFSP弾の場合の結果を表9に示す(MIL−DTL−96077F、必要なV50は2529fpsである)。
【0071】
【表9】

【0072】
表9に示すように、1000°F(約538℃)で圧延し、続いて“溶体範囲”焼なまし(名目1690°F(約921℃)で1時間及び空冷した)材料は、1000°F(約538℃)で圧延し、それに続いて焼なまししなかった材料よりも、及び、Kosaka合金から形成した耐弾道装甲のための従来の仕方で熱間圧延し、焼なましした材料と比較して、FSP弾に対してかなり良好に機能した。従って、表9の結果は、Kosaka合金からの耐弾道装甲板の製造の最中に従来の圧延温度よりもかなり低い圧延温度を利用することは、改良されたFSP耐弾道性能を生じることができることを示す。
【0073】
従って、20mmFSP弾の場合の、Ti−4Al−2.5V−1.5Fe−.25O2という名目組成を有するKosaka合金プレートのV50耐弾道性能は、新規な熱加工を適用することによって約50〜100fps改良されたことが確定した。一つの形式においては、新規な熱加工は、まず比較的に通常の熱間圧延をTβ未満の従来のα−β熱間加工温度(典型的に、Tβよりも50〜150°F(約28℃〜約83℃)低い)で用い、その結果、プレートの長手方向及び長横断方向(long transverse orientation)にほぼ等しい歪みを実現するようにすることを含んだ。約1400°F(760℃)で約1時間の中間ミル焼なましを次に適用した。プレートを次に、従来Kosaka合金から装甲板を熱間圧延するために使用した温度よりもかなり低い温度で圧延した。例えば、プレートをTβよりも400〜700°F(222℃〜約389℃)低い温度で、またはより低い温度、すなわちKosaka合金と共に使用するために以前に可能と考えられていたよりもはるかに低い温度で圧延してよいと考えられている。圧延を使用して、例えば、15〜30%プレート厚さの減少を実現してよい。このような圧延に続いて、プレートを溶体温度範囲内で(典型的にTβよりも50〜100°F(約28℃〜約83℃)低い)適切な時間(例えば、50〜240分間の範囲内としてよい)焼なまししてよい。得られた焼なまししたプレートを、アルファ(α)材料のケースを除去するための典型的な金属プレート仕上げ作業の組合せによって仕上げてよい。このような仕上げ作業としては、平滑表面仕上げが行われて耐弾道性能を最適化するブラスティング、酸洗い、研削(grinding)、機械加工、研磨(polishing)、及びサンディング(sanding)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本説明が、本発明の明確な理解に適した本発明の態様を示すことは理解できるはずである。当業者には明白であり、従って本発明のより良い理解を促進しないような本発明の特定の態様は、本説明を簡略化するために提出していない。本発明の具体例を説明してきたが、当業者であれば、前述の説明を検討することにより、本発明の多くの修正及び変形例を用いることができることを認識できよう。このような本発明の全ての変形例及び修正は、前述の説明及び請求の範囲によって包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金から物品を形成する方法であって:
前記α−βチタン合金を冷間加工することを含む方法。
【請求項2】
前記α−βチタン合金を冷間加工する前に、前記α−βチタン合金は1600°Fを超える温度で加工されて、それに続く冷間変形に役立つ微細組織を有する合金を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、雰囲気温度〜最高1250°F未満までの範囲内の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、雰囲気温度〜最高1000°Fまでの範囲内の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、圧延、鍛造、押出しピルガリング、揺動、引抜き、フローターニング、液体圧縮成形、気体圧縮成形、ハイドロホーミング、バルジ成形、ロール成形、打抜き、精密打抜き、ダイプレッシング、深絞り、圧印加工、スピニング、スエージング、衝撃押出し、爆薬成形、ゴム成形、後部押出し、穿孔、スピニング、引張り成形、プレス曲げ、スエージング、電磁成形、及び冷間ヘッディングからなる群から選択される少なくとも1つの技術によって前記α−βチタン合金を1250°F未満で加工することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物品は、コイル、シート、条片、箔、プレート、棒、ロッド、ワイヤ、管状中空体、パイプ、管、クロス、メッシュ、構造部材、円錐体、円柱、ダクト、パイプ、ノズル、ハニカム構造、留め具、リベット及び座金からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記α−βチタン合金は、Ti−6Al−4V合金よりも低い流れ応力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、前記α−βチタン合金を冷間圧延することを含み、前記物品は、一般に、シート、条片、箔及びプレートからなる群から選択される板状圧延した物品である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記α−βチタン合金を冷間圧延することは、前記α−βチタン合金を焼なましする前に前記α−βチタン合金の厚さを約30%〜約60%減少する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、少なくとも2つの冷間圧延工程によって前記α−βチタン合金の厚さを減少することを含み、前記方法は:
逐次の冷間圧延工程の間の位置で前記α−βチタン合金を焼なましすることをさらに含み、前記α−βチタン合金を焼なましすることによって前記α−βチタン合金内部の応力を低減する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
逐次の冷間圧延工程の間に位置する少なくとも1つの焼なましは、連続焼なまし炉ライン上で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷間圧延工程のうちの少なくとも1つにおいて、前記α−βチタン合金の厚さは30%〜60%減少される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、前記α−βチタン合金を圧延することを含み、前記物品は、棒、ロッド、及びワイヤからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、前記α−βチタン合金をピルガリングすること及び揺動することのうちの少なくとも1つを含み、前記物品は、管及びパイプのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、前記α−βチタン合金を引抜くことを含み、前記物品は、ロッド、ワイヤ、棒及び管状中空体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記α−βチタン合金を冷間加工することは、前記α−βチタン合金をフローターニング、剪断スピニング及びスピニングすることのうちの少なくとも1つを含み、前記物品は軸対称のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記物品は最高4インチまでの厚さを有し、前記物品の室温特性は、少なくとも120KSIの引張強さ、少なくとも130KSIの極限引張強さ及び少なくとも10%の伸びを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記物品は少なくとも10%の伸びを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物品の降伏強さ、極限引張強さ及び伸び特性は各々少なくともTi−6Al−4Vの場合と同程度に大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記物品は、前記物品の破損無しにその厚さの4倍の半径の周りに曲がることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
物品の製造方法であって:
重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金を用意することと;
前記合金を1250°F未満の温度で加工することと;
を含む方法。
【請求項22】
重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金から物品を形成する方法であって:
少なくとも2つの冷間圧延工程によって前記α−βチタン合金の厚さを減少させ、少なくとも1つの冷間圧延工程において、前記α−βチタン合金の厚さを30%〜60%減少させることと;
逐次の冷間圧延工程の間の位置で前記α−βチタン合金を焼なましし、それによって前記α−βチタン合金内部の応力を低減することと;
を含む方法。
【請求項23】
前記物品は、シート、条片、箔及びプレートからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
逐次の冷間圧延工程の間に位置する少なくとも1つの焼なましは、連続焼なまし炉ライン上で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金からなる冷間加工した物品。
【請求項26】
前記物品は、コイル、シート、条片、箔、プレート、棒、ロッド、ワイヤ、管状中空体、パイプ、管、クロス、メッシュ、構造部材、円錐体、円柱、ダクト、パイプ、ノズル、ハニカム構造、留め具、リベット及び座金からなる群から選択される、請求項25に記載の冷間加工した物品。
【請求項27】
前記物品は最高4インチまでの厚さを有し、前記物品の室温特性は、少なくとも120KSIの引張強さ及び少なくとも130KSIの極限引張強さを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記物品は少なくとも10%の伸びを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記物品は、前記物品の破損無しにその厚さの4倍の半径の周りに曲がることができる、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記物品は、冷間圧延した物品、冷間鍛造した物品、冷間ピルガリングした物品、冷間押出し物品、冷間引抜きした物品、フローターニングした物品、圧縮成形した物品、ハイドロホーミングした物品、冷間ロール成形した物品、冷間打抜きした物品、精密打抜きした物品、冷間ダイプレッシングした物品、冷間深絞りした物品、圧印加工した物品、冷間スピニングした物品、冷間スエージングした物品、衝撃押出し物品、及び爆薬成形した物品、ゴム成形した物品、後部押出し物品、穿孔した物品、引張り成形した物品、プレス曲げした物品、電磁成形した物品、及び冷間ヘッディングした物品からなる群から選択される、請求項25に記載の物品。
【請求項31】
重量%で、約2.9〜約5.0のアルミニウム、約2.0〜約3.0のバナジウム、約0.4〜約2.0の鉄、約0.2〜約0.3の酸素、約0.005〜約0.3の炭素、約0.001〜約0.02の窒素、及び約0.5未満の他の元素を含むα−βチタン合金から装甲板を製造する方法であって:
前記合金を前記合金のTβよりも400°F以下低い温度で圧延することを含む方法。
【請求項32】
前記合金を1250°F未満の温度で圧延することは、前記合金を前記合金のTβよりも400°F〜700°F低い範囲内の温度で圧延することを含む、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2007−501903(P2007−501903A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532575(P2006−532575)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/013947
【国際公開番号】WO2004/101838
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501187033)エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド (39)