説明

チップソー

【課題】 本発明は、使用中に芳香を放出して上記した不快臭をマスキングし、不快臭を緩和して作業環境の改善に寄与することができるチップソーを提供するものである。
【解決手段】 本発明のチップソーは、台金10の少なくとも片面に、芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層2が形成されているものであるから、被切断物の切断時に発生する不快臭を、チップソーの芳香性塗料層から放出される芳香によってマスキングすることができ、作業環境を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップソー、詳しくは、使用中に芳香を放出することができるチップソーに関する。
【背景技術】
【0002】
チップソーは、特許文献1にみられる通り、外周に超硬合金チップを備え、金属やプラスチック等の硬質な板材や管材を能率よく切断することができることから、種々な作業現場において広く使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−285722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、チップソーは高速で回転しながら硬質な被切断物を切断する工具であることから、切断中に被切断物との摩擦により不快臭が発生し、この不快臭が切断作業員はもとよりその周辺の作業員に不快感を与えるという作業環境上、好ましくない事態をもたらしていた。
【0005】
本発明は、上記した作業環境上の課題を解決することを目的としてなされてものであり、使用中に芳香を放出して上記した不快臭をマスキングし、不快臭を緩和して作業環境の改善に寄与することができるチップソーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のチップソーは、請求項1に記載したように、台金の少なくとも一面に、芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このように構成したチップソーにおいて、請求項2に係る発明は、芳香剤が、香料を含有するマイクロカプセルであることを特徴とし、請求項3に係る発明は、芳香性塗料層がマイナスイオンを発生させる成分を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチップソーによれば、台金の少なくとも片面に、芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層が形成されているものであるから、被切断物の切断時に発生する不快臭を、チップソーの芳香性塗料層から放出される芳香によってマスキングすることができ、作業環境を改善することができる。この際、上記芳香剤として、香料を含有するマイクロカプセルを使用することによって、被切断物の切断中に被切断物との摩擦によってマイクロカプセルが破壊し、内部の香料が放散して良好な作業環境を得ることができ、チップソーの使用時にのみ芳香を放出させることができ、芳香性塗料層の芳香性を長期間に亘って持続させることができる。
【0009】
また、芳香性塗料層がマイナスイオンを発生させる成分を含有する場合には、マイナスイオンと芳香との相乗効果により作業環境をより一層改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1及び図2に示しているように、チップソー1の台金10の少なくとも片面に、芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層2を設け、このチップソー1の塗料層2から芳香を放出させながら切断作業ができるようになしたものである。図中、10は台金、3は切断歯、4は超硬合金チップ、そして5はチップソー1の取付孔である。
【0011】
上記芳香性塗料層2の主成分となる塗料としては、金属に対して優れた接着性を示す市販の塗料や防錆剤、例えば、フェノールエポキシ樹脂系の塗料が好ましく適用できる。また、マイナスイオンを発生させる成分としてトルマリンを含有する塗料に、芳香剤を混入して使用すれば、マイナスイオンと芳香との効果によって作業環境を更に改善することができる。
【0012】
上記塗料に混入する芳香剤としては、特に限定を要するものではなく、市販の柑橘系塗料、ジャスミン、ローズ、ラベンダ等の粉末香料を用いるとよい。そして、これらの粉末香料を塗料に混入して芳香性塗料層2を形成した場合は、不使用時の芳香の放出防止のため、その塗料層2の表面に易剥離性のフィルムで被覆しておくとよい。
【0013】
不使用時の塗料層2からの芳香の放散防止と使用時の芳香効果を考えると、芳香剤としては、粉末香料を樹脂によって被覆してなるマイクロカプセル型の芳香剤が好適である。このようなマイクロカプセル型の芳香剤を含有する芳香性塗料層2は、チップソー1の不使用中には塗料層2からの芳香の放出が抑制され、使用中にのみ、チップソー1の台金10の一面或いは両面に形成された芳香性塗料層2と被切断物との摺接摩擦によって一部のマイクロカプセルが破壊されて顕著な芳香が放出され、また、この芳香放出作用が塗料層2が消えるまで持続されるという特性を発揮する。
【0014】
芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層2は、その塗料層の厚さが極小であり、また、一般的にチップソー1の台金10の厚さが歯幅よりも僅かに小さいことから、チップソー1の台金を加工しなくても、台金10の一面に芳香剤が混入された塗料を塗布して形成することができる。しかしながら、塗料層2の被切断物との摺接磨耗による早期の消失防止と芳香放出効果の持続性を考えると、図3に示しているように、チップソー1の台金10の一面に予め、深さが3〜5μm程度の僅かな凹部6を形成しておき、この凹部6に芳香剤が混入された塗料を塗布して芳香性塗料層2を設けてもよい。また、図においてはチップソー1の台金10の片面に芳香性塗料層2を形成した態様を示しているが、芳香性塗料層2を台金10の両面に形成することも本発明の好ましい実施の形態である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のチップソーの平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】側面に塗料層形成用の凹部を設けたチップソーの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 チップソー
10 台金
2 芳香性塗料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台金の少なくとも一面に、芳香剤が混入された塗料による芳香性塗料層が形成されていることを特徴とするチップソー。
【請求項2】
芳香剤が、香料を含有するマイクロカプセルであることを特徴とする請求項1に記載のチップソー。
【請求項3】
芳香性塗料層がマイナスイオンを発生させる成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチップソー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−55962(P2006−55962A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242101(P2004−242101)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(591156032)株式会社モトユキ (2)
【Fターム(参考)】