チャイルドシート
【課題】チャイルドシートを提供する。
【解決手段】チャイルドシートは、連続ウェブ材料から成るアンカーストラップとロックを有するシートシェルを含む。アンカーストラップは、2つの端部及び2つの端部の間に中間部を有する。2つの端部は、シートシェルの背面に配置され、車両のアンカー構造に取り付けることができる留め具をそれぞれ備え、中間部は折り重ねられてウェブ材料の2つのセグメントを画定する。ロックは、2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけることができ、中間部は、ロックから外に向かって延びてループタブを画定する。さらに、シートシェルの内部は、ウェブ材料用の通路が画定される2つの側壁を含むストラップ案内構造を有することができる。2つの側壁は、実質的に互いに近くウェブ材料のねじれを防止する。
【解決手段】チャイルドシートは、連続ウェブ材料から成るアンカーストラップとロックを有するシートシェルを含む。アンカーストラップは、2つの端部及び2つの端部の間に中間部を有する。2つの端部は、シートシェルの背面に配置され、車両のアンカー構造に取り付けることができる留め具をそれぞれ備え、中間部は折り重ねられてウェブ材料の2つのセグメントを画定する。ロックは、2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけることができ、中間部は、ロックから外に向かって延びてループタブを画定する。さらに、シートシェルの内部は、ウェブ材料用の通路が画定される2つの側壁を含むストラップ案内構造を有することができる。2つの側壁は、実質的に互いに近くウェブ材料のねじれを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助椅子などのチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車両は、フロント座席及び後部座席に設けられたシートベルトを有する。一般的にシートベルトは、車両のアンカーポイントに固定されて、車両の衝突や緊急停止時に乗員を拘束して保護するショルダーストラップ及びラップストラップを含む。しかしながら、車両シートベルトの使用は、体が小さくシートベルトにより加わる圧力を支えることができない幼い子供には適さない。その結果、安全法では、幼い子供を車両に座らせるための子供用安全シートの使用が要求されている。車両のシートベルトを用いて子供用安全シートを固定することができるため、幼い子供の保護により適している。
【0003】
しかしながら、車両のシートベルトを用いて子供用安全シートを設置することは面倒であり、不適切に設置してしまうことがある。子供用安全シートの設置を容易にするために、あるシート設計では、車両シートにしっかりと固定することができる内部ハーネスを提供している。しかしながら、内部ハーネスは通常、より複雑な構造の子供用安全シートにおいて実装されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作することが簡単な内部ハーネスを提供することができ、車両の乗員席にしっかりと保持することができる、補助椅子などのチャイルドシートを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、背面を有するシートシェルと、連続ウェブ材料から成るアンカーストラップと、ロックと、を含むチャイルドシートを説明するものである。実施形態によっては、前記アンカーストラップは、2つの端部及び当該2つの端部の間に中間部を有する。前記2つの端部は、前記シートシェルの前記背面に配置され、車両のアンカー構造に取り付けることができる2つの留め具をそれぞれ備え、前記中間部は、折り重ねられて前記ウェブ材料の2つのセグメントを画定する。前記ロックは、前記2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけ、前記中間部は、前記ロックから外に向かって延びて前記シートシェルの外側からアクセス可能なループタブを画定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、チャイルドシートの一実施形態を説明する斜視図である。
【図2】図2は、チャイルドシートに設けられた拘束システムの組立体を説明する概略図である。
【図3】図3は、ロックの例示的構造を説明する概略図である。
【図4】図4は、ロックがシートシェルに固定されていないチャイルドシートの他の実施形態を説明する斜視図である。
【図5】図5は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの中央縦軸から横にオフセットしているチャイルドシートの変形例を説明する斜視図である。
【図6】図6は、図5に示したチャイルドシートにおいて、アンカーストラップがどのように案内されるかを説明する概略図である。
【図7】図7は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの中央縦軸から横にオフセットしている一実施形態において、アンカーストラップのウェブ材料を案内するための他の可能な実施形態を説明する概略図である。
【図8】図8は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの背面に近接して配置されているチャイルドシートの他の変形例を説明する斜視図である。
【図9】図9は、図8に示したチャイルドシートにおいて、アンカーストラップがどのように案内されるかを説明する概略図である。
【図10】図10は、拘束システムを備えたチャイルドシートの他の実施形態を説明する概略図である。
【図11】図11は、図10に示したチャイルドシートの底面図である。
【図12】図12は、図10に示したチャイルドシートにおけるケーシングを有する拘束システムの設置を説明する概略図である。
【図13】図13は、図10に示したチャイルドシートのシートシェルにおける拘束システムの配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、チャイルドシート100の一実施形態を説明する斜視図である。
チャイルドシート100は、例えば、プラスチック成形によって形成されたシートシェル102を有する補助椅子などである。シートシェル102は、座部104、アームレスト106、コップ用キャビティ108を含むことができる。座部104は、子供がその上に座ることができる上面104A及び、車両の乗員席にシートシェル102を安定して配置するための支持面を画定することができる底部を含むことができる。アームレスト106は、座部104と一体的に形成しても着脱可能に組み立てられてもよい。コップ用キャビティ108は、座部104に座っている子供の手が届く位置で飲料用容器を受けるようになっていてもよい。
実施形態では、座部104の前面角部に設けられた1つのコップ用キャビティ108を示しているが、他の実施形態では、使用するのに便利な任意の場所に1つ以上のコップ用キャビティ108を配置してもよい。さらに、説明した実施形態には背もたれが含まれないが、他の実施形態では、座部104の背面に背もたれを含んでもよい。
【0008】
車両に設置しやすくするために、チャイルドシート100は、シートシェル102に実装された内部拘束システム110を含むことができる。チャイルドシート100を車両の乗員席に設置すると、拘束システム110が車両に設けられたアンカー構造に装着可能となり所定の場所にシートシェル102を保持することができる。
【0009】
図1に関連して、図2は、拘束システム110の組立体を説明する概略図である。
拘束システム110は、シートシェル102と組み立てられて保持され、アンカーストラップ112、2つの留め具114及びロック116を含むことができる。アンカーストラップ112は、2つの端部112Aと、その2つの端部112Aの間に中間部112Bを有する単一の連続ウェブ材料から成る。アンカーストラップ112は、2つの端部112Aがシートシェル102の背面に向かって延びることができ、中間部112Bがシートシェル102の前面に向かって延びることができるように、シートシェル102の中空内部に形成された案内構造118を介して可動的に案内されてもよい。シートシェル102の背面とは、シートシェル102に座る子供の背中に位置するシートシェル102の側面である。
一実施形態において、案内構造118は、アンカーストラップ112が座部104の上面104Aの下部に案内されるリブ同士の間に画定されたトラックを含むことができる。他の実施形態では、案内構造118は、ウェブ材料がその周りを包んでアンカーストラップ112の案内を容易にする、ローラ、ピン、滑車及び同様の部品を含むこともできる。
【0010】
例示した実施形態では、案内構造118は、例えば、互いに近接し向かい合って配置される側壁119の部分を含んで、アンカーストラップ112のウェブ材料用の狭い通路を画定することができる。
側壁119は、シートシェル102の上部及び下部の何れかから突出するものとして形成することができる。この場合、アンカーストラップ112のウェブ材料を、近接する側壁119の間の通路において直立位置(すなわち、ほぼ垂直方向に立ち上がった状態)で制約的に支持することができ、側壁119と背面開口部120との間の領域において概して水平位置にねじることができる。2つの側壁119は、実質的に互いに近接して(例えば、近接する側壁119の距離は、ウェブ材料の幅よりも実質的に狭くして)、ウェブ材料を制限してそのねじれを防止する狭い通路を画定することができるので、調節の際にシートシェル102を通るアンカーストラップ112のスムーズな移動を確実なものとすることができる。
【0011】
図2に示した例において、2組の側壁119を軸Xの両側に対称的に配置して、ウェブ材料の分岐部分をシートシェル102の背面へと案内することができる。しかしながら、側壁119は、ウェブ材料のシートシェル102を通る所望の移動通路に従って任意に配置してもよい。
【0012】
2つの端部112Aは、シートシェル102の2つの背面開口部120を通ってそれぞれ外に向かって延び、シートシェル102の背面で2つの留め具114としっかりと組み立てることができる。背面開口部120は、座部104の上面104Aの下の左右の側面に配置することができる。留め具114は、例えば、車両の乗員席に固定されたアンカー構造に対してロックしたりロック解除したりすることができるフックファスナであってもよい。
【0013】
例示した実施形態では、2つの端部112Aは、留め具114に設けられたスロットの周りに巻き付けて縫い目115を介して閉じられてもよい。それによって、各端部112Aは、シートシェル102に固定して締めることができる固定ピン121を通るループを形成することができる。各ピン121は、近接して又は水平面に位置することができ、ウェブ材料の通路に沿って背面開口部120と側壁119との間に配置することができる。
ループした端部112Aがねじれた場合、ピン121は、ねじれたウェブ材料が側壁119の間の通路へと伝わることを防止する。調節する際にも、各ピン121と縫い目115との間の相互作用によってアンカーストラップ112の延長をシートシェル102の背面で制限することができる。
【0014】
中間部112Bは、ロック116を通過することができるウェブ材料の2つのセグメントを画定するように折り重ねることができる。ロック116を介して配置された折り重なった中間部112Bは、シートシェル102の前面開口部124を通って外に向かって延びるループタブ122を画定することができる。
一実施形態において、前面開口部124は、シートシェル102の前領域において前面から背面に延びる中央縦軸Xに実質的に合わせて配置することができる。しかしながら、他の部分でも適切である。タブ122は、アンカーストラップ112の調節のためにシートシェル102の外側からアクセス可能である。保持部126をタブ122に取り付けてタブ122がシートシェル102の内部に向かって不用意にスリップして、ロック116から外れたりすることを防止してもよい。保持部126は、アンカーストラップ112を調節するためにタブ122の保持や操作を容易にすることもできる。一実施形態において、保持部126は、例えば、リング、ループ又は同様の部材であってもよい。
【0015】
図1及び図2に関連して、図3は、ロック116の例示的構造を説明する概略図である。
一実施形態において、ロック116は、シートシェル102の前面開口部124に近接して、シートシェル102によってしっかりと保持されてもよい。ロック116は、シートシェル102に固定されたベースプレート130、ベースプレート130に旋回可能に組み立てられたアクチュエータアーム132、アクチュエータアーム132に接続されたスプリング134を含むことができる。
中間部112Bの2つのセグメントSは、ベースプレート130とアクチュエータアーム132との間のロック116を通過することができる。スプリング134は、アクチュエータアーム132を、アクチュエータアーム132の歯状部分132Aが、アクチュエータアーム132とベースプレート130との間で互いに重なって接する2つのセグメントSの部分をしっかりと締めることができる締めつけ位置までバイアスをかけるように操作可能である。アクチュエータアーム132は、ロック116を介して中間部112Bを可動的に調節することができるように、ベースプレート130に対して回転させて歯状部分132Aのアンカーストラップ112の中間部112Bとの接触を離してもよい。ロック116が外れた状態のときに、アンカーストラップ112は、シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部の長さ及びシートシェル102の前面における中間部112Bの延在部の長さのどちらかを長くするように調節することができる。
【0016】
チャイルドシート100を車両の乗員席に設置すると、ロック116は、アクチュエータアーム132を回転させることでロック解除した状態に切り換えることができ、アンカーストラップ112を調節してシートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部を長くすることができる。
2つの端部112Aの延在部を長くすることで、留め具114の車両の乗員席のアンカー構造への取り付けが容易にすることができる。留め具114が一旦適切に取り付けられると、中間部112Bのタブ122が引っ張られてアンカーストラップ112に張力をかけることができ、車両の乗員席の背もたれに対して近く接するシートシェル102を含むことができる。そして、スプリング134からのバイアス作用によりロック116をロック状態に切り換えて、アンカーストラップ112をシートシェル102にしっかりと固定しロックすることができる。それによって、チャイルドシート100を車両の乗員席にしっかりと保持することができる。
【0017】
チャイルドシート100を車両の乗員席から取り外すために、ロック116を手動でロック解除の状態に回転させてアンカーストラップ112を外し、シートシェル102を、シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部を長くする方向(例えば、車両の乗員席の背もたれから離れる方向)に引っ張ることができる。そして、チャイルドシート100を取り外すために留め具114を車両の乗員席のアンカー構造からロック解除することができる。
【0018】
ロック116の具体的な組立体について上述したが、他の構成が適切であってもよい。図4は、ロック116がシートシェル102に固定されていないチャイルドシート100の他の実施形態を示す概略図である。
その代わりに、ロック116は、アンカーストラップ112と組み立てられて、シートシェル102の前面端部に対して離れるか近づくかのどちらかの方向で中間部112Bの2つのセグメントSに沿って動くことができる。シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部がさらに長くなければならない場合、ロック116をロック解除して、シートシェル102の前面開口部124から離れて中間部112Bの2つのセグメントSに沿って調節可能に動かすことができる。そして、2つの端部112Aを引っ張ってそれぞれのシートシェル102の外側の長さを長くしてもよい。
チャイルドシート100をしっかりと装着するために(例えば、留め具114が車両の乗員席のアンカー構造と係合した後)、ロック116をロック解除し中間部112Bの2つのセグメントSに沿って動かして、シートシェル102の前面端部に対して接する位置とすることができる。一方、タブ122は、ロック116から引き出すことができるので、アンカーストラップ112が引っ張れてシートシェル102が車両の乗員席の背もたれに対して接するようになる。
【0019】
シートシェル102上のロック116とタブ122の位置は、設計の必要性によって変更することもできる。図5及び図6は、ロック116とタブ122の位置がシートシェル102の中央縦軸Xから横にオフセットしてもよい変形例を説明する概略図である。
例えば、ロック116及びタブ122は、シートシェル102の前面の左右角部に近接して配置されてもよい。図6により分かりやすく示したように、シートシェル102に設けられた案内構造118は、中間部112Bをシートシェル102の前面角部の1つに向かって案内し、2つの端部112Aをシートシェル102の背面に向かって案内することができるように、シートシェル102を通ってアンカーストラップ112の通路を案内するように構成することができる。案内構造118の構成例には、アンカーストラップ112を巻き付けて案内することができる、ピン、ローラ、滑車などの案内部品136を含むことができる。
【0020】
図7は、アンカーストラップ112のウェブ材料を案内するためにシートシェル102に設けられた案内構造の他の例を説明する概略図である。
案内構造は、中央軸Xから横にオフセットした位置に互いに近接して向かい合う第1の対の対向する側壁138、中央軸Xに対して同じ側面の側壁138の後方に配置された第2の対の対向する側壁140、中央軸Xの他面に配置されたリブ142、軸Xに対して対称的に背面開口部120に隣接して配置されたスロット144を含むことができる。
【0021】
アンカーストラップ112のウェブ材料を折り畳んで、シートシェル102の前面角部でロック116と組み立てられるループタブ122を形成することができる。折り畳んだウェブ材料は、立ち上がった状態で2つの側壁138の間の狭い通路を通過することができ、リブ142及び側壁140に向かってそれぞれ分岐する2つのセグメントを含むことができる。これら2つの分岐セグメントは、立ち上がった状態で側壁140の間の通路を通過しリブ142の周りに巻き付くことができ、端部112Aとしてスロット144を通って背面開口部120へ延びる前に水平位置にねじることができる。
上述したように、アンカーストラップ112の2つの端部112Aのそれぞれは、1つの留め具114に固定されるループ構造を形成することができる。固定されたピン121も、ループした端部112Aをそれぞれ通過することができ、縫い目115と相互作用して端部112Aの延長を制限する。
【0022】
車両の内部へは、通常横側からアクセスするので、図5〜図7おいて説明したようにシートシェル102の1つの角部に近接させてロック116とタブ122を配置することにより、操作時により簡単にアクセスすることができるようになる。
【0023】
図8及び図9は、ロック116とタブ122をシートシェル102の背面に近接させて配置してもよいチャイルドシートの他の変形例を説明する概略図である。
示したように、ロック116とタブ122を、座部104の上面104Aに近接させて、例えば、その窪んだポケット156に配置してもよい。ロック116とタブ122は、背面に近接し、中央縦軸Xからシートシェル102の側面へ横にオフセットして(例えば、シートシェル102の前面の左右角部の近くに)配置されてもよい。他の実施形態では、ロック116とタブ122は、シートシェル102の背面の近くでありかつ中央縦軸Xに実質的に一致させて配置されてもよい。
【0024】
図9により分かりやすく示したように、シートシェル102は、シートシェル102を通してアンカーストラップ112の通過を案内するように構成された案内構造158を備えることができる。
案内構造158は、横方向(すなわち、シートシェル102の幅に平行)において互いに離れている2つの案内部品162(例えば、ピン)を含むことができる。上述したように、アンカーストラップ112の中間部112Bは、ロック116を通過する2つの重なるセグメントSへ折り畳むことができる。
2つのセグメントSのうちの第1のセグメントは、タブ122に向かい合うロック116から延び、シートシェル102の左右の側面の一方(例えば、図9に示したように右側)において、背面に向かって中央縦軸Xに対してほぼ平行に移動し、1つの背面開口部120を通って外に向かって延びる1つの端部112Aを形成することができる。2つのセグメントSのうちの第2のセグメントは、タブ122に向かい合うロック116から延び、第1の案内部162の周りに巻き付き、シートシェル102の幅に沿って第1のセグメントSから離れて移動し、第2の案内部162の周りに巻き付き、シートシェル102の他の側面(例えば、図9に示したように左側)において後方へ延びることができる。
【0025】
図8及び図9に示したように、ロック116とタブ122をシートシェル102の背面近くに配置することも好都合である。
特に、ロック116とタブ122が留め具114に近くなるので、介護者は、ロック116とタブ122を容易に操作し、シートシェル102の背面から留め具114の延在部を調節することができる。
【0026】
図10は、拘束システムを備えたチャイルドシート200の他の実施形態を説明する概略図である。
チャイルドシート200は、例えば、プラスチック成形によって形成されたシートシェル202を有する補助椅子などである。シートシェル202は、座部204とアームレスト206を含むことができる。座部204は、子供がその上に座ることができる上面204A及び、車両の乗員席にシートシェル202を安定して配置するための支持面を画定することができる底部を含むことができる。アームレスト206は、座部204と一体的に形成されても着脱可能に組み立てられてもよい。
【0027】
図10と関連して、図11は、チャイルドシート200の底面図である。
拘束システム210は、チャイルドシート200の背面近くに位置し、シートシェル202の下面で開口するシートシェル202の内部キャビティ211の中に受けることができる。一実施形態において、拘束システム210は、ケーシング213と組み立てることができ、シートシェル202の内部キャビティ211の中に固定して設置することができる。この構成により、シートシェル202において拘束システム210の設置を容易にすることができる。しかしながら、当然のことながら、代替的な実施形態もシートシェル202の内部キャビティ211内に組み立てられる拘束システムを含むことができる。拘束システム210は、アンカーストラップ212、2つの留め具214、ロック216を含むことができる。アンカーストラップ212は、ケーシング213の内部を通って案内される単一の連続ウェブ材料から作られており、2つの端部212A,212B及びループタブ212Cを画定する。
アンカーストラップ212の端部212A,212Bはそれぞれ、シートシェル202の左右の側面及び背面近くに位置するケーシング213の2つのスリット218A,218Bを通ってシートシェル202の外へと延び、留め具214とそれぞれ接続することができる。ループタブ212Cは、同じ面(例えば、示したように右側面)でありスリット218Bの正面に位置するケーシング213のスリット218Cからシートシェル202の外へと延びることができる。
【0028】
図12は、ケーシング213を有する拘束システム210の設置を説明する概略図であり、図13は、シートシェル202の内部キャビティ211に拘束システム210を配置することを示すケーシング213を含まないシートシェル202の概略図である。
図12を参照すると、ウェブ材料は、折り重ねてループタブ212Cを画定し、スリット218C及びロック216をそれぞれ通過する2つのストラップセグメントS1,S2を形成することができる。ループタブ212Cに向かい合うロック216の側面で、セグメントS2は、案内構造220Bの周りに巻き付き、スリット218Bを通って移動して端部212Bを形成することができるが、他のセグメントS1は、スリット218Aを通過する前に横方向に送られ他の案内構造220Aの周りに巻き付いて端部212Aを形成することができる。
一実施形態において、案内構造220A,220Bは、ケーシング213の内部側壁から突出する間隙を介した柱状部として形成することができる。案内構造220Bは、ロック216及びスリット218Bから離れるように横にオフセットしてストラップセグメントS2に対して適切に張力を加えることができる。
【0029】
図12及び図13を参照すると、ロック216は、ケーシング213にしっかりと保持されてもよく、上述したロックと同様の構造を有してもよく、シートシェル202に固定されたベース230、ベース230に旋回可能に組み立てられたアクチュエータアーム232、アクチュエータアーム232に接続されたスプリング234を含む。
2つのストラップセグメントS1,S2は、ベース230とアクチュエータアーム232との間のロック216を通過することができる。アクチュエータアーム232は、ベース230に対して2つのストラップセグメントS1,S2の位置をしっかりと締めつけることができる締めつけ位置に向けてスプリング234によってバイアスがかけられる。底面236は、操作を容易にするためにアクチュエータアーム232に接続されてもよい。
底面236は、スリット218Bと218Cとの間の位置でシートシェル202の側面からアクセス可能である。底面236にかかる圧力は、ベースプレート230に対するアクチュエータアーム232の回転を引き起こし、ストラップセグメントS1,S2の締めつけを解除するので、アンカーストラップ212は、2つの端部212A,212Bとループタブ212Cの延在部の長さを調節するように操作することができる。
【0030】
チャイルドシート200を車両の乗員席に設置する場合、底面236を押し下げることでロック216をロック解除の状態まで回転させることができ、アンカーストラップ212を調節してシートシェル202の背面における2つの端部212A,212Bの延在部を長くすることができる。
留め具214が一旦適切に取り付けられると、タブ212Cが引っ張られてアンカーストラップ212に張力をかけることができ、車両の乗員席の背もたれに対して近く接するシートシェル202を含むことができる。そして、底面236を解除することができるので、ロック216をロック状態に切り換えてアンカーストラップ212をしっかりと締めつけロックすることができる。
【0031】
チャイルドシート200を車両の乗員席から取り外すために、底面236を押し下げてロック216をロック解除の状態まで回転させてアンカーストラップ212を外し、シートシェル202を、2つの端部212A,212Bの延在部が長くなる方向(例えば、車両の乗員席の背もたれから離れる方向)に引っ張ることができる。そして、チャイルドシート200を取り外すために、留め具214を車両の乗員席のアンカー構造からロック解除することができる。
【0032】
本明細書に説明したチャイルドシートの少なくとも1つの利点は、構造がシンプルで操作しやすい内部拘束システムを提供することができることである。アンカーストラップに単一の連続ウェブ材料を用いることで、拘束システムの構造を簡潔化することができ、製造コストを削減することができる。本明細書に説明した拘束システムは、補助椅子などのよりシンプルな構造のチャイルドシートに適用することができる利点がある。
【0033】
チャイルドシートの実現について具体的な実施形態の文脈においてのみ説明してきた。これらの実施形態は、説明することを意味するものであり、制限することを意味するものではない。多くの変形例、修正、追加、改善が可能である。従って、本明細書に単一の例として説明した構成要素に対して、複数の例を提供してもよい。例示的な構成において別々の構成要素として表した構造及び機能を、組み合わせた構造又は構成要素として実施してもよい。これら及び他の変形例、修正、追加、改善を、以下の請求項において定義されるように本発明の範囲に含んでもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 チャイルドシート
102 シートシェル
104 座部
106 アームレスト
108 コップ用キャビティ
110 拘束システム
114 留め具
116 ロック
122 ループタブ
124 前面開口部
126 保持部
S セグメント
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助椅子などのチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車両は、フロント座席及び後部座席に設けられたシートベルトを有する。一般的にシートベルトは、車両のアンカーポイントに固定されて、車両の衝突や緊急停止時に乗員を拘束して保護するショルダーストラップ及びラップストラップを含む。しかしながら、車両シートベルトの使用は、体が小さくシートベルトにより加わる圧力を支えることができない幼い子供には適さない。その結果、安全法では、幼い子供を車両に座らせるための子供用安全シートの使用が要求されている。車両のシートベルトを用いて子供用安全シートを固定することができるため、幼い子供の保護により適している。
【0003】
しかしながら、車両のシートベルトを用いて子供用安全シートを設置することは面倒であり、不適切に設置してしまうことがある。子供用安全シートの設置を容易にするために、あるシート設計では、車両シートにしっかりと固定することができる内部ハーネスを提供している。しかしながら、内部ハーネスは通常、より複雑な構造の子供用安全シートにおいて実装されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作することが簡単な内部ハーネスを提供することができ、車両の乗員席にしっかりと保持することができる、補助椅子などのチャイルドシートを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、背面を有するシートシェルと、連続ウェブ材料から成るアンカーストラップと、ロックと、を含むチャイルドシートを説明するものである。実施形態によっては、前記アンカーストラップは、2つの端部及び当該2つの端部の間に中間部を有する。前記2つの端部は、前記シートシェルの前記背面に配置され、車両のアンカー構造に取り付けることができる2つの留め具をそれぞれ備え、前記中間部は、折り重ねられて前記ウェブ材料の2つのセグメントを画定する。前記ロックは、前記2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけ、前記中間部は、前記ロックから外に向かって延びて前記シートシェルの外側からアクセス可能なループタブを画定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、チャイルドシートの一実施形態を説明する斜視図である。
【図2】図2は、チャイルドシートに設けられた拘束システムの組立体を説明する概略図である。
【図3】図3は、ロックの例示的構造を説明する概略図である。
【図4】図4は、ロックがシートシェルに固定されていないチャイルドシートの他の実施形態を説明する斜視図である。
【図5】図5は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの中央縦軸から横にオフセットしているチャイルドシートの変形例を説明する斜視図である。
【図6】図6は、図5に示したチャイルドシートにおいて、アンカーストラップがどのように案内されるかを説明する概略図である。
【図7】図7は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの中央縦軸から横にオフセットしている一実施形態において、アンカーストラップのウェブ材料を案内するための他の可能な実施形態を説明する概略図である。
【図8】図8は、アンカーストラップのロック及びタブがシートシェルの背面に近接して配置されているチャイルドシートの他の変形例を説明する斜視図である。
【図9】図9は、図8に示したチャイルドシートにおいて、アンカーストラップがどのように案内されるかを説明する概略図である。
【図10】図10は、拘束システムを備えたチャイルドシートの他の実施形態を説明する概略図である。
【図11】図11は、図10に示したチャイルドシートの底面図である。
【図12】図12は、図10に示したチャイルドシートにおけるケーシングを有する拘束システムの設置を説明する概略図である。
【図13】図13は、図10に示したチャイルドシートのシートシェルにおける拘束システムの配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、チャイルドシート100の一実施形態を説明する斜視図である。
チャイルドシート100は、例えば、プラスチック成形によって形成されたシートシェル102を有する補助椅子などである。シートシェル102は、座部104、アームレスト106、コップ用キャビティ108を含むことができる。座部104は、子供がその上に座ることができる上面104A及び、車両の乗員席にシートシェル102を安定して配置するための支持面を画定することができる底部を含むことができる。アームレスト106は、座部104と一体的に形成しても着脱可能に組み立てられてもよい。コップ用キャビティ108は、座部104に座っている子供の手が届く位置で飲料用容器を受けるようになっていてもよい。
実施形態では、座部104の前面角部に設けられた1つのコップ用キャビティ108を示しているが、他の実施形態では、使用するのに便利な任意の場所に1つ以上のコップ用キャビティ108を配置してもよい。さらに、説明した実施形態には背もたれが含まれないが、他の実施形態では、座部104の背面に背もたれを含んでもよい。
【0008】
車両に設置しやすくするために、チャイルドシート100は、シートシェル102に実装された内部拘束システム110を含むことができる。チャイルドシート100を車両の乗員席に設置すると、拘束システム110が車両に設けられたアンカー構造に装着可能となり所定の場所にシートシェル102を保持することができる。
【0009】
図1に関連して、図2は、拘束システム110の組立体を説明する概略図である。
拘束システム110は、シートシェル102と組み立てられて保持され、アンカーストラップ112、2つの留め具114及びロック116を含むことができる。アンカーストラップ112は、2つの端部112Aと、その2つの端部112Aの間に中間部112Bを有する単一の連続ウェブ材料から成る。アンカーストラップ112は、2つの端部112Aがシートシェル102の背面に向かって延びることができ、中間部112Bがシートシェル102の前面に向かって延びることができるように、シートシェル102の中空内部に形成された案内構造118を介して可動的に案内されてもよい。シートシェル102の背面とは、シートシェル102に座る子供の背中に位置するシートシェル102の側面である。
一実施形態において、案内構造118は、アンカーストラップ112が座部104の上面104Aの下部に案内されるリブ同士の間に画定されたトラックを含むことができる。他の実施形態では、案内構造118は、ウェブ材料がその周りを包んでアンカーストラップ112の案内を容易にする、ローラ、ピン、滑車及び同様の部品を含むこともできる。
【0010】
例示した実施形態では、案内構造118は、例えば、互いに近接し向かい合って配置される側壁119の部分を含んで、アンカーストラップ112のウェブ材料用の狭い通路を画定することができる。
側壁119は、シートシェル102の上部及び下部の何れかから突出するものとして形成することができる。この場合、アンカーストラップ112のウェブ材料を、近接する側壁119の間の通路において直立位置(すなわち、ほぼ垂直方向に立ち上がった状態)で制約的に支持することができ、側壁119と背面開口部120との間の領域において概して水平位置にねじることができる。2つの側壁119は、実質的に互いに近接して(例えば、近接する側壁119の距離は、ウェブ材料の幅よりも実質的に狭くして)、ウェブ材料を制限してそのねじれを防止する狭い通路を画定することができるので、調節の際にシートシェル102を通るアンカーストラップ112のスムーズな移動を確実なものとすることができる。
【0011】
図2に示した例において、2組の側壁119を軸Xの両側に対称的に配置して、ウェブ材料の分岐部分をシートシェル102の背面へと案内することができる。しかしながら、側壁119は、ウェブ材料のシートシェル102を通る所望の移動通路に従って任意に配置してもよい。
【0012】
2つの端部112Aは、シートシェル102の2つの背面開口部120を通ってそれぞれ外に向かって延び、シートシェル102の背面で2つの留め具114としっかりと組み立てることができる。背面開口部120は、座部104の上面104Aの下の左右の側面に配置することができる。留め具114は、例えば、車両の乗員席に固定されたアンカー構造に対してロックしたりロック解除したりすることができるフックファスナであってもよい。
【0013】
例示した実施形態では、2つの端部112Aは、留め具114に設けられたスロットの周りに巻き付けて縫い目115を介して閉じられてもよい。それによって、各端部112Aは、シートシェル102に固定して締めることができる固定ピン121を通るループを形成することができる。各ピン121は、近接して又は水平面に位置することができ、ウェブ材料の通路に沿って背面開口部120と側壁119との間に配置することができる。
ループした端部112Aがねじれた場合、ピン121は、ねじれたウェブ材料が側壁119の間の通路へと伝わることを防止する。調節する際にも、各ピン121と縫い目115との間の相互作用によってアンカーストラップ112の延長をシートシェル102の背面で制限することができる。
【0014】
中間部112Bは、ロック116を通過することができるウェブ材料の2つのセグメントを画定するように折り重ねることができる。ロック116を介して配置された折り重なった中間部112Bは、シートシェル102の前面開口部124を通って外に向かって延びるループタブ122を画定することができる。
一実施形態において、前面開口部124は、シートシェル102の前領域において前面から背面に延びる中央縦軸Xに実質的に合わせて配置することができる。しかしながら、他の部分でも適切である。タブ122は、アンカーストラップ112の調節のためにシートシェル102の外側からアクセス可能である。保持部126をタブ122に取り付けてタブ122がシートシェル102の内部に向かって不用意にスリップして、ロック116から外れたりすることを防止してもよい。保持部126は、アンカーストラップ112を調節するためにタブ122の保持や操作を容易にすることもできる。一実施形態において、保持部126は、例えば、リング、ループ又は同様の部材であってもよい。
【0015】
図1及び図2に関連して、図3は、ロック116の例示的構造を説明する概略図である。
一実施形態において、ロック116は、シートシェル102の前面開口部124に近接して、シートシェル102によってしっかりと保持されてもよい。ロック116は、シートシェル102に固定されたベースプレート130、ベースプレート130に旋回可能に組み立てられたアクチュエータアーム132、アクチュエータアーム132に接続されたスプリング134を含むことができる。
中間部112Bの2つのセグメントSは、ベースプレート130とアクチュエータアーム132との間のロック116を通過することができる。スプリング134は、アクチュエータアーム132を、アクチュエータアーム132の歯状部分132Aが、アクチュエータアーム132とベースプレート130との間で互いに重なって接する2つのセグメントSの部分をしっかりと締めることができる締めつけ位置までバイアスをかけるように操作可能である。アクチュエータアーム132は、ロック116を介して中間部112Bを可動的に調節することができるように、ベースプレート130に対して回転させて歯状部分132Aのアンカーストラップ112の中間部112Bとの接触を離してもよい。ロック116が外れた状態のときに、アンカーストラップ112は、シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部の長さ及びシートシェル102の前面における中間部112Bの延在部の長さのどちらかを長くするように調節することができる。
【0016】
チャイルドシート100を車両の乗員席に設置すると、ロック116は、アクチュエータアーム132を回転させることでロック解除した状態に切り換えることができ、アンカーストラップ112を調節してシートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部を長くすることができる。
2つの端部112Aの延在部を長くすることで、留め具114の車両の乗員席のアンカー構造への取り付けが容易にすることができる。留め具114が一旦適切に取り付けられると、中間部112Bのタブ122が引っ張られてアンカーストラップ112に張力をかけることができ、車両の乗員席の背もたれに対して近く接するシートシェル102を含むことができる。そして、スプリング134からのバイアス作用によりロック116をロック状態に切り換えて、アンカーストラップ112をシートシェル102にしっかりと固定しロックすることができる。それによって、チャイルドシート100を車両の乗員席にしっかりと保持することができる。
【0017】
チャイルドシート100を車両の乗員席から取り外すために、ロック116を手動でロック解除の状態に回転させてアンカーストラップ112を外し、シートシェル102を、シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部を長くする方向(例えば、車両の乗員席の背もたれから離れる方向)に引っ張ることができる。そして、チャイルドシート100を取り外すために留め具114を車両の乗員席のアンカー構造からロック解除することができる。
【0018】
ロック116の具体的な組立体について上述したが、他の構成が適切であってもよい。図4は、ロック116がシートシェル102に固定されていないチャイルドシート100の他の実施形態を示す概略図である。
その代わりに、ロック116は、アンカーストラップ112と組み立てられて、シートシェル102の前面端部に対して離れるか近づくかのどちらかの方向で中間部112Bの2つのセグメントSに沿って動くことができる。シートシェル102の背面における2つの端部112Aの延在部がさらに長くなければならない場合、ロック116をロック解除して、シートシェル102の前面開口部124から離れて中間部112Bの2つのセグメントSに沿って調節可能に動かすことができる。そして、2つの端部112Aを引っ張ってそれぞれのシートシェル102の外側の長さを長くしてもよい。
チャイルドシート100をしっかりと装着するために(例えば、留め具114が車両の乗員席のアンカー構造と係合した後)、ロック116をロック解除し中間部112Bの2つのセグメントSに沿って動かして、シートシェル102の前面端部に対して接する位置とすることができる。一方、タブ122は、ロック116から引き出すことができるので、アンカーストラップ112が引っ張れてシートシェル102が車両の乗員席の背もたれに対して接するようになる。
【0019】
シートシェル102上のロック116とタブ122の位置は、設計の必要性によって変更することもできる。図5及び図6は、ロック116とタブ122の位置がシートシェル102の中央縦軸Xから横にオフセットしてもよい変形例を説明する概略図である。
例えば、ロック116及びタブ122は、シートシェル102の前面の左右角部に近接して配置されてもよい。図6により分かりやすく示したように、シートシェル102に設けられた案内構造118は、中間部112Bをシートシェル102の前面角部の1つに向かって案内し、2つの端部112Aをシートシェル102の背面に向かって案内することができるように、シートシェル102を通ってアンカーストラップ112の通路を案内するように構成することができる。案内構造118の構成例には、アンカーストラップ112を巻き付けて案内することができる、ピン、ローラ、滑車などの案内部品136を含むことができる。
【0020】
図7は、アンカーストラップ112のウェブ材料を案内するためにシートシェル102に設けられた案内構造の他の例を説明する概略図である。
案内構造は、中央軸Xから横にオフセットした位置に互いに近接して向かい合う第1の対の対向する側壁138、中央軸Xに対して同じ側面の側壁138の後方に配置された第2の対の対向する側壁140、中央軸Xの他面に配置されたリブ142、軸Xに対して対称的に背面開口部120に隣接して配置されたスロット144を含むことができる。
【0021】
アンカーストラップ112のウェブ材料を折り畳んで、シートシェル102の前面角部でロック116と組み立てられるループタブ122を形成することができる。折り畳んだウェブ材料は、立ち上がった状態で2つの側壁138の間の狭い通路を通過することができ、リブ142及び側壁140に向かってそれぞれ分岐する2つのセグメントを含むことができる。これら2つの分岐セグメントは、立ち上がった状態で側壁140の間の通路を通過しリブ142の周りに巻き付くことができ、端部112Aとしてスロット144を通って背面開口部120へ延びる前に水平位置にねじることができる。
上述したように、アンカーストラップ112の2つの端部112Aのそれぞれは、1つの留め具114に固定されるループ構造を形成することができる。固定されたピン121も、ループした端部112Aをそれぞれ通過することができ、縫い目115と相互作用して端部112Aの延長を制限する。
【0022】
車両の内部へは、通常横側からアクセスするので、図5〜図7おいて説明したようにシートシェル102の1つの角部に近接させてロック116とタブ122を配置することにより、操作時により簡単にアクセスすることができるようになる。
【0023】
図8及び図9は、ロック116とタブ122をシートシェル102の背面に近接させて配置してもよいチャイルドシートの他の変形例を説明する概略図である。
示したように、ロック116とタブ122を、座部104の上面104Aに近接させて、例えば、その窪んだポケット156に配置してもよい。ロック116とタブ122は、背面に近接し、中央縦軸Xからシートシェル102の側面へ横にオフセットして(例えば、シートシェル102の前面の左右角部の近くに)配置されてもよい。他の実施形態では、ロック116とタブ122は、シートシェル102の背面の近くでありかつ中央縦軸Xに実質的に一致させて配置されてもよい。
【0024】
図9により分かりやすく示したように、シートシェル102は、シートシェル102を通してアンカーストラップ112の通過を案内するように構成された案内構造158を備えることができる。
案内構造158は、横方向(すなわち、シートシェル102の幅に平行)において互いに離れている2つの案内部品162(例えば、ピン)を含むことができる。上述したように、アンカーストラップ112の中間部112Bは、ロック116を通過する2つの重なるセグメントSへ折り畳むことができる。
2つのセグメントSのうちの第1のセグメントは、タブ122に向かい合うロック116から延び、シートシェル102の左右の側面の一方(例えば、図9に示したように右側)において、背面に向かって中央縦軸Xに対してほぼ平行に移動し、1つの背面開口部120を通って外に向かって延びる1つの端部112Aを形成することができる。2つのセグメントSのうちの第2のセグメントは、タブ122に向かい合うロック116から延び、第1の案内部162の周りに巻き付き、シートシェル102の幅に沿って第1のセグメントSから離れて移動し、第2の案内部162の周りに巻き付き、シートシェル102の他の側面(例えば、図9に示したように左側)において後方へ延びることができる。
【0025】
図8及び図9に示したように、ロック116とタブ122をシートシェル102の背面近くに配置することも好都合である。
特に、ロック116とタブ122が留め具114に近くなるので、介護者は、ロック116とタブ122を容易に操作し、シートシェル102の背面から留め具114の延在部を調節することができる。
【0026】
図10は、拘束システムを備えたチャイルドシート200の他の実施形態を説明する概略図である。
チャイルドシート200は、例えば、プラスチック成形によって形成されたシートシェル202を有する補助椅子などである。シートシェル202は、座部204とアームレスト206を含むことができる。座部204は、子供がその上に座ることができる上面204A及び、車両の乗員席にシートシェル202を安定して配置するための支持面を画定することができる底部を含むことができる。アームレスト206は、座部204と一体的に形成されても着脱可能に組み立てられてもよい。
【0027】
図10と関連して、図11は、チャイルドシート200の底面図である。
拘束システム210は、チャイルドシート200の背面近くに位置し、シートシェル202の下面で開口するシートシェル202の内部キャビティ211の中に受けることができる。一実施形態において、拘束システム210は、ケーシング213と組み立てることができ、シートシェル202の内部キャビティ211の中に固定して設置することができる。この構成により、シートシェル202において拘束システム210の設置を容易にすることができる。しかしながら、当然のことながら、代替的な実施形態もシートシェル202の内部キャビティ211内に組み立てられる拘束システムを含むことができる。拘束システム210は、アンカーストラップ212、2つの留め具214、ロック216を含むことができる。アンカーストラップ212は、ケーシング213の内部を通って案内される単一の連続ウェブ材料から作られており、2つの端部212A,212B及びループタブ212Cを画定する。
アンカーストラップ212の端部212A,212Bはそれぞれ、シートシェル202の左右の側面及び背面近くに位置するケーシング213の2つのスリット218A,218Bを通ってシートシェル202の外へと延び、留め具214とそれぞれ接続することができる。ループタブ212Cは、同じ面(例えば、示したように右側面)でありスリット218Bの正面に位置するケーシング213のスリット218Cからシートシェル202の外へと延びることができる。
【0028】
図12は、ケーシング213を有する拘束システム210の設置を説明する概略図であり、図13は、シートシェル202の内部キャビティ211に拘束システム210を配置することを示すケーシング213を含まないシートシェル202の概略図である。
図12を参照すると、ウェブ材料は、折り重ねてループタブ212Cを画定し、スリット218C及びロック216をそれぞれ通過する2つのストラップセグメントS1,S2を形成することができる。ループタブ212Cに向かい合うロック216の側面で、セグメントS2は、案内構造220Bの周りに巻き付き、スリット218Bを通って移動して端部212Bを形成することができるが、他のセグメントS1は、スリット218Aを通過する前に横方向に送られ他の案内構造220Aの周りに巻き付いて端部212Aを形成することができる。
一実施形態において、案内構造220A,220Bは、ケーシング213の内部側壁から突出する間隙を介した柱状部として形成することができる。案内構造220Bは、ロック216及びスリット218Bから離れるように横にオフセットしてストラップセグメントS2に対して適切に張力を加えることができる。
【0029】
図12及び図13を参照すると、ロック216は、ケーシング213にしっかりと保持されてもよく、上述したロックと同様の構造を有してもよく、シートシェル202に固定されたベース230、ベース230に旋回可能に組み立てられたアクチュエータアーム232、アクチュエータアーム232に接続されたスプリング234を含む。
2つのストラップセグメントS1,S2は、ベース230とアクチュエータアーム232との間のロック216を通過することができる。アクチュエータアーム232は、ベース230に対して2つのストラップセグメントS1,S2の位置をしっかりと締めつけることができる締めつけ位置に向けてスプリング234によってバイアスがかけられる。底面236は、操作を容易にするためにアクチュエータアーム232に接続されてもよい。
底面236は、スリット218Bと218Cとの間の位置でシートシェル202の側面からアクセス可能である。底面236にかかる圧力は、ベースプレート230に対するアクチュエータアーム232の回転を引き起こし、ストラップセグメントS1,S2の締めつけを解除するので、アンカーストラップ212は、2つの端部212A,212Bとループタブ212Cの延在部の長さを調節するように操作することができる。
【0030】
チャイルドシート200を車両の乗員席に設置する場合、底面236を押し下げることでロック216をロック解除の状態まで回転させることができ、アンカーストラップ212を調節してシートシェル202の背面における2つの端部212A,212Bの延在部を長くすることができる。
留め具214が一旦適切に取り付けられると、タブ212Cが引っ張られてアンカーストラップ212に張力をかけることができ、車両の乗員席の背もたれに対して近く接するシートシェル202を含むことができる。そして、底面236を解除することができるので、ロック216をロック状態に切り換えてアンカーストラップ212をしっかりと締めつけロックすることができる。
【0031】
チャイルドシート200を車両の乗員席から取り外すために、底面236を押し下げてロック216をロック解除の状態まで回転させてアンカーストラップ212を外し、シートシェル202を、2つの端部212A,212Bの延在部が長くなる方向(例えば、車両の乗員席の背もたれから離れる方向)に引っ張ることができる。そして、チャイルドシート200を取り外すために、留め具214を車両の乗員席のアンカー構造からロック解除することができる。
【0032】
本明細書に説明したチャイルドシートの少なくとも1つの利点は、構造がシンプルで操作しやすい内部拘束システムを提供することができることである。アンカーストラップに単一の連続ウェブ材料を用いることで、拘束システムの構造を簡潔化することができ、製造コストを削減することができる。本明細書に説明した拘束システムは、補助椅子などのよりシンプルな構造のチャイルドシートに適用することができる利点がある。
【0033】
チャイルドシートの実現について具体的な実施形態の文脈においてのみ説明してきた。これらの実施形態は、説明することを意味するものであり、制限することを意味するものではない。多くの変形例、修正、追加、改善が可能である。従って、本明細書に単一の例として説明した構成要素に対して、複数の例を提供してもよい。例示的な構成において別々の構成要素として表した構造及び機能を、組み合わせた構造又は構成要素として実施してもよい。これら及び他の変形例、修正、追加、改善を、以下の請求項において定義されるように本発明の範囲に含んでもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 チャイルドシート
102 シートシェル
104 座部
106 アームレスト
108 コップ用キャビティ
110 拘束システム
114 留め具
116 ロック
122 ループタブ
124 前面開口部
126 保持部
S セグメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面を有するシートシェルと、
前記シートシェルの前記背面に位置するとともに車両のアンカー構造に取り付けることができる2つの留め具をそれぞれ備える2つの端部及び、当該2つの端部の間に折り重ねられてその2つのセグメントを画定する中間部を有する連続ウェブ材料から成るアンカーストラップと、
前記2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけることができるロックと、を備え、前記中間部は、前記ロックから外に向かって延びて前記シートシェルの外側からアクセス可能なループタブを画定することを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記ロックは、前記シートシェルの中央縦軸に実質的に位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記ロックは、前記シートシェルの中央縦軸から横にオフセットしていることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記ロックは、前記シートシェルの左右の前面角部の一方に近接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記シートシェルは、上面を有する座部を画定し、前記ロックは、前記シートシェルの前記背面に近接した前記上面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記ロックは、前記シートシェルの2つの側面端部の一方近くにさらに配置されることを特徴とする請求項5に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記ロックは、前記シートシェルとしっかりと組み立てられることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記ロックは、前記シートシェルから離れて前記アンカーストラップの前記2つのセグメントに沿って可動的であることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記ウェブ材料の前記2つのセグメントは、第1のセグメントと第2のセグメントを含み、前記シートシェルは、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの前記ロックから前記シートシェルの前記背面への通過を案内するように構成された案内構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
前記シートシェルは、左右の側面を有し、前記第1のセグメントが前記シートシェルの前面から前記背面へ延びる縦軸に実質的に平行して前記左右の側面のうちの一方において延び、前記第2のセグメントが前記第1のセグメントから前記左右の側面の他方に向かって前記シートシェルの幅に沿って離れるように延びることを特徴とする請求項9に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記案内構造は、ピン、ローラ、滑車などを含むことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
前記2つの端部はそれぞれ前記2つの留め具の周りをループすることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項13】
補助椅子として実施されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項14】
前記シートシェルは、上面を有する座部と、前記座部の背面かつ前記上面の下部に位置する2つの開口部と、前記シートシェルにおいて前記上面の下部に位置する前記アンカーストラップと、前記2つの開口部を介して前記背面から外に向かって延びる前記2つの端部を画定することを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項1】
背面を有するシートシェルと、
前記シートシェルの前記背面に位置するとともに車両のアンカー構造に取り付けることができる2つの留め具をそれぞれ備える2つの端部及び、当該2つの端部の間に折り重ねられてその2つのセグメントを画定する中間部を有する連続ウェブ材料から成るアンカーストラップと、
前記2つのセグメントの一部を解除可能に締めつけることができるロックと、を備え、前記中間部は、前記ロックから外に向かって延びて前記シートシェルの外側からアクセス可能なループタブを画定することを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記ロックは、前記シートシェルの中央縦軸に実質的に位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記ロックは、前記シートシェルの中央縦軸から横にオフセットしていることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記ロックは、前記シートシェルの左右の前面角部の一方に近接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記シートシェルは、上面を有する座部を画定し、前記ロックは、前記シートシェルの前記背面に近接した前記上面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記ロックは、前記シートシェルの2つの側面端部の一方近くにさらに配置されることを特徴とする請求項5に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記ロックは、前記シートシェルとしっかりと組み立てられることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記ロックは、前記シートシェルから離れて前記アンカーストラップの前記2つのセグメントに沿って可動的であることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記ウェブ材料の前記2つのセグメントは、第1のセグメントと第2のセグメントを含み、前記シートシェルは、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの前記ロックから前記シートシェルの前記背面への通過を案内するように構成された案内構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
前記シートシェルは、左右の側面を有し、前記第1のセグメントが前記シートシェルの前面から前記背面へ延びる縦軸に実質的に平行して前記左右の側面のうちの一方において延び、前記第2のセグメントが前記第1のセグメントから前記左右の側面の他方に向かって前記シートシェルの幅に沿って離れるように延びることを特徴とする請求項9に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記案内構造は、ピン、ローラ、滑車などを含むことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
前記2つの端部はそれぞれ前記2つの留め具の周りをループすることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項13】
補助椅子として実施されることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項14】
前記シートシェルは、上面を有する座部と、前記座部の背面かつ前記上面の下部に位置する2つの開口部と、前記シートシェルにおいて前記上面の下部に位置する前記アンカーストラップと、前記2つの開口部を介して前記背面から外に向かって延びる前記2つの端部を画定することを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−14321(P2013−14321A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145415(P2012−145415)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(509046262)明門香港股▲フェン▼有限公司 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145415(P2012−145415)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(509046262)明門香港股▲フェン▼有限公司 (27)
【Fターム(参考)】
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