説明

チャックテープ付き袋、および活魚介類の搬送方法

【課題】海水が漏れず確実に活魚を封入でき再利用できるチャックテープ付き袋を提供する。
【解決手段】重ね合う包材210の周縁を溶着した袋体200の一方の包材210の内面に雌取付基材311を面接着し、雄取付基材321を雌取付基材311に重なり合う状態で雌取付基材311に隣接する位置で一縁側を接着する。雌取付基材311と雄取付基材321との接着位置間の包材210にカットテープ400を設ける。チャックテープ300の収容空間201側に位置する第2嵌合凹部313および第2嵌合凸部323を互いに面接触にて嵌合する水密構造とする。いわゆるスローリークを生じず十分な密封性および耐圧強度により、再利用できる構成で確実な封入状態を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型ファスナー部および雌型ファスナー部を有するチャックテープが設けられたチャックテープ付き袋、およびこのチャックテープ付き袋を用いた活魚介類の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品、医薬品、電子部品、事務用品などの各種物品を密封包装するための包装材として、チャックテープを備えた袋(チャックテープ付き袋)が広く使用されている。このようなチャックテープ付き袋は、例えば、包材を重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして形成した袋において、この袋体の開口縁に沿って、一方の包材の内面に雄型ファスナー部をヒートシールし、他方の包材の内面に雌型ファスナー部をヒートシールした構成のものが知られている。
このようなチャックテープ付き袋として、内容物の密封性を向上するために、チャックテープの位置より内側で対向する包材に接着する部材を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、雄型ファスナー部に、雌型ファスナー部が取り付けられた包材の内面で雌型ファスナー部より内側に接着するシーラントの層が設けられたフランジを、切断可能に一連に設けている。
そして、物品を収容後にシーラントの層を対向する包材の内面に接着させるとともに、雄型ファスナー部および雌型ファスナー部とを嵌合して包装する。また、開封時は、互いに嵌合する雄型ファスナー部および雌型ファスナー部を外すとともに、雄型ファスナー部からフランジを切断し、フランジと雄型ファスナー部との間を介して内容物を取り出し可能としている。
【0004】
【特許文献1】WO2004/050487 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のようなチャックテープにシーラントの層が設けられたフランジを設けて対向する包材に接着させる構成では、開封時にフランジを切断するので、再利用ができない。また、シーラントが内容物を投入する側に面することとなり、シーラントに内容物が接着して接着性が損なわれて、十分な密封性が得られず、またシーラントに内容物が付着しないように内容物を包材内に投入する作業が困難で作業性の向上が得られない。さらに、チャックテープの両端部における包材との液密な処理が困難で製造性の向上が図れない。
また、密封する内容物が例えばスープなどの場合、シーラントと包材との接着部分から毛細管現象などのようないわゆるスローリークが生じるおそれがある。特に、輸送時における積載された状態など、内圧が加わる場合には内容物が染み出るなどのおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、水を含有する被包装物でも漏れなく封入でき再利用が可能なチャックテープ付き袋、およびこのチャックテープ付き袋を用いた活魚介類の搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に記載のチャックテープ付き袋は、包材が重ね合わされ周縁が貼り合わされてなる袋体の一方の内面に対して、互いに嵌合する雌型ファスナー部と雄型ファスナー部とを有するチャックテープが取り付けられたチャックテープ付き袋であって、前記雌型ファスナー部は、前記一方の包材に取り付けられる帯状の雌取付基材と、この雌取付基部の前記重なり合う他方の包材に対向する面に複数条で設けられた凹溝状の嵌合凹部と、を備え、前記雄型ファスナー部は、前記雌取付基材に重なり合い前記一方の包材に前記雌取付基材に隣接する位置で一縁側が取り付けられる帯状の雄取付基材と、この雄取付基部の前記雌取付基部に対向する面に前記嵌合凹部に対応して複数条で設けられ前記嵌合凹部に係脱可能に嵌合する嵌合凸部と、を備え、前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか一方は前記包材に面にて重なり合う状態に接着され、前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか他方は前記包材に面にて重なり合う状態に接着される前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか一方に並設される状態に一縁が前記包材に接着され、前記雌取付基材および前記雄取付基材の前記包材に接着される位置間の前記包材に設けられ、前記包材を引き裂いて前記袋体を開放するカットテープを備え、少なくとも前記カットテープから最遠に位置する前記雌型ファスナー部の嵌合凹部および前記雄型ファスナー部の嵌合凸部は、互いに水密に嵌合する水密構造であることを特徴とする。
この発明では、包材を重ね合わせて周縁を貼り合わせてなる袋体の一方の内面に対して取り付けられるチャックテープの雌型ファスナー部の雌取付基材と雄型ファスナー部の雄取付基材との包材に接着される位置間の包材に、包材を引き裂いて袋体を開封するカットテープを設ける。そして、チャックテープの互いに嵌合する複数条の雌型ファスナー部の嵌合凹部および雄型ファスナー部の嵌合凸部のうち、カットテープから最遠に位置する嵌合凹部および嵌合凸部を互いに水密に嵌合する水密構造としている。
このことにより、カットテープにより包材を引き裂いて開封された袋体に、例えば活魚介類を水とともに封入したりスープなどの液状体を封入したりして複数条の嵌合凹部および嵌合凸部を嵌合して封止した状態では、袋体内に内圧が生じると、その内圧によりチャックテープに作用する引っ張る力が互いの嵌合により重なり合う状態の雌取付基材および雄取付基材の平面方向に沿った力、すなわち雌取付基材および雄取付基材の面に沿った互いの嵌合を剪断する方向に作用することとなり、チャックテープを開かせる方向となる嵌合凹部および嵌合凸部を離間させる方向への力として作用しにくくなる。また、開封時には、チャックテープにて引き裂かれて開口する側となる接着する一縁側から開封されることにより、開封時のチャックテープに作用する引っ張る力は、嵌合凹部および嵌合凸部を離間させる方向への力として作用し、開封時には比較的に小さい力で開封できる。このため、チャックテープの開封時に大きな力が必要なく、かつ開封後に再び封入する再利用の場合でも、十分な密封性およびチャックテープの嵌合における耐圧強度が得られる。さらに、袋体のもっとも内側に位置する嵌合凹部および嵌合凸部の嵌合構造が互いに水密構造であることから、十分な密封性およびチャックテープの嵌合における耐圧強度により、封入物が水を含む液状物で内圧が加わる状態でも毛細管現象のようないわゆるスローリークなどを生じることなく、水を含む液状物を封入するために再利用する場合でも確実な封入状態が得られる。
ここで、袋体としては、包材の貼り合わせる方法として、接着剤などにより貼り合わせる他、熱溶着などにより貼り合わせるなどが例示できる。また、包材を折り返して折返し方向に対する両側を貼り合わせたり、三方あるいは四方を貼り合わせたりしたいわゆる平袋、両側に織り込みが設けられたガセット袋、底部に折り込みを設けて自立機能を有するスタンディング袋の他、平面視で四角形に限らず、円形や多角形、キャラクターを模した形状など、各種袋体形状を対象とすることができる。
【0008】
そして、本発明では、前記水密構造は、前記雌型ファスナー部の嵌合凹部および前記雄型ファスナー部の嵌合凸部が面接触により嵌合する構造である構成とすることが好ましい。
この発明では、水密構造として、雌型ファスナー部の嵌合凹部および雄型ファスナー部の嵌合凸部が面接触により嵌合する構造としている。
このため、特別な構成を用いなくても十分な水密性が容易に得られ、いわゆるスローリークなどを生じやすい水を含む液状物でも嵌合部分から染み出るような漏れを生じることなく確実に封入できる。
【0009】
また、本発明では、前記雌型ファスナー部の嵌合凹部は、凹溝状の内面が凹曲面状に形成され、前記雄型ファスナー部の嵌合凸部は、前記嵌合凹部の曲率半径と略同一以上の曲率で凸曲面状に形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、水密構造として、雌型ファスナー部の凹溝状の嵌合凹部の内面を凹曲面状とし、雄型ファスナー部の嵌合凸部を嵌合凹部の曲率半径と略同一以上の曲率で凸曲面状に形成している。
このため、係脱可能でかつ互いに面で接触して嵌合する水密構造が容易に得られ、確実な封入状態が比較的に簡単な製造方法で容易に得られる。
【0010】
さらに、本発明では、水密構造は、雌型ファスナー部の嵌合凹部および雄型ファスナー部の嵌合凸部のうちの少なくともいずれか一方に、互いの嵌合により弾性変形し互いの嵌合接触面に密着する封止部材を備えた構成とすることが好ましい。
この発明では、水密構造として、雌型ファスナー部の嵌合凹部および雄型ファスナー部の嵌合凸部のうちの少なくともいずれか一方に、弾性変形する封止部材を設け、嵌合凹部および嵌合凸部の互いの嵌合時に弾性変形させて互いの嵌合接触面に密着させる。
このため、いわゆるスローリークなどを生じやすい水を含む液状物を内圧が加わる状態で封入しても嵌合部分から染み出るような漏れを確実に防止し、良好な封入状態が得られる。
【0011】
そして、本発明では、前記包材は、周縁に亘って貼り合わされた構成とすることが好ましい。
この発明では、包材の周縁に亘って貼り合わせた構成としているので、封入物を封入する際にはカットテープにより包材を切り裂いて開封してから投入後、雌型ファスナー部の嵌合凹部と雄型ファスナー部の嵌合凸部を嵌合させて封入する。封入物の取出に際しては、嵌合凹部および嵌合凸部の互いの嵌合を解除してすでにカットテープにて切り裂かれた開口から取り出す。
このため、水を含む液状物を封入する場合でも確実な封入状態が得られ、かつ再利用できる構成が容易に得られる。
【0012】
また、本発明では、前記包材は、被包装物を投入可能に一部が開口する状態で周縁が貼り合わされた構成とすることが好ましい。
この発明では、被包装物を投入可能に一部が開口する状態で包材の周縁を貼り合わせているので、包材が貼り合わされていない一部の開口から被包装物を投入後に未貼り合わせ部分を貼り合わせて封入することで、確実な封入状態が得られる。また、被包装物を取り出す場合には、カットテープにより包材を切り裂いて開封して取り出し、再利用の場合には切り裂かれた開口から被包装物を投入して嵌合凹部および嵌合凸部を嵌合させて密封すればよい。
このため、水を含む液状物を封入する場合でも確実な封入状態が得られ、かつ再利用できる構成が容易に得られる。
【0013】
そして、本発明では、水を含有する被包装物を封入する構成とすることが好ましい。
この発明では、いわゆるスローリークが生じやすい水を含有する被包装物を封入する場合に、特に有効で、嵌合部分から染み出るような漏れを確実に防止し、良好な封入状態が得られる。
ここで、水を含有する被包装物として、例えば、活魚介類とともに水を封入したり、スープなどのような水を含有する液状物を封入したりすることが例示できる。
【0014】
さらに、本発明では、活魚介類が封入される構成とすることが好ましい。
この発明では、活魚介類を封入する構成であることから、活魚介類を生きた状態で封入するために同封する水および空気などの酸素を含有する気体を封入することで袋体が膨れて内圧が掛かる状態となるので、封入時に内圧によるチャックテープの嵌合部分に作用する引っ張る力が嵌合凸部および嵌合凹部を離間させる方向へ作用せず、特に活魚介類とともに封入する水が染み出るなどの漏れを生じることなく確実に封入できる。
【0015】
また、本発明では、前記袋体は、逆止弁が設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、活魚介類を封入する構成として、逆止弁を設けているので、水とともに活魚介類を封入後、空気や酸素を含有する気体を逆止弁から袋体内に注入すればよく、活魚介類を生きた状態で長時間封入するための封入作業が容易となる。
【0016】
そして、本発明では、前記逆止弁は、前記カットテープが設けられる前記一方の包材に重なり合う前記他方の包材に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、カットテープが設けられる一方の包材に重なり合う他方の包材に逆止弁を設けているので、逆止弁から空気や酸素を含有する気体を注入して袋体を膨れた状態とし、一方の包材側を鉛直方向で下側となる保持状態とすることで、チャックテープに活魚介類とともに封入する水を介して注入した空気や酸素を含有する気体の内圧が作用することとなり、チャックテープの水密構造の嵌合部分から気体の酸素分がリークすることを防止でき、生きた状態で長期間の活魚介類の封入が容易に得られる。
【0017】
本発明の活魚介類の搬送方法は、前記活魚介類とともに水を封入する請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を、前記カットテープが設けられた包材が鉛直方向で下側に位置する状態に保持して搬送することを特徴とする。
この発明では、活魚介類とともに水を封入する請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を、カットテープが設けられた一方の包材が鉛直方向で下側に位置する状態に保持する。このことにより、一方の包材に設けられるチャックテープの嵌合部分に封入する水による内圧が作用、特に活魚介類を長期間生きた状態で封入するための空気や酸素を含有する気体を注入して袋体が膨れた状態とすることによる内圧の作用により、嵌合凹部および嵌合凸部を離間する方向へ力が作用せず、水が染み出るなどの漏れを生じることなく確実な封入状態が得られる。さらには、空気や酸素を含む気体が合わせて封入されても酸素分が水密構造の嵌合部分から封入する水を介してリークすることが防止され、生きた状態で長期間の活魚介類の封入が容易に得られ、水槽などで搬送する必要が無く、活魚介類の効率的な良好な搬送が得られる。
【0018】
また、本発明では、前記請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を、前記活魚介類および前記水とともに空気または酸素含有気体を封入して膨張状態とする構成とすることが好ましい。
この発明では、活魚介類および水とともに空気または酸素含有気体を封入し、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を膨張状態として搬送する。
このことにより、空気や酸素を含有する酸素含有気体を合わせて封入して膨張状態としているので、特に内圧の作用が大きくなり、嵌合凹部および嵌合凸部を離間する方向へ力がより作用しなくなり、水が染み出るなどの漏れを生じることなく確実な封入状態が得られる。さらには、封入する空気や気体の緩衝作用により外部からの衝撃に対して封入する活魚介類が痛むことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のチャックテープ付き袋に係る一実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態では、活魚介類を封入する構成で特に漁船などで封入作業を実施する構成を例示するが、例えばスープやジュースなどの食品や液体洗剤などの水を含有する液状体の他、固形物の封入や、レトルト食品などの封入にも適用できる。また、平面視で長方形状のいわゆるスタンディング袋を例示するが、例えば平袋など、各種形状とすることができる。さらに、1枚の包材シートを折り返して重ね合わせ折り返し方向に対して両側を貼り合わせて袋体形状とした構成を例示するが、例えば2枚の包材を重ね合わせて周縁を貼り合わせるなどしてもよい。また、チャックテープとして嵌合位置が2箇所となる嵌合凹部および嵌合凸部を2条に設けた構成を例示するが、3つ以上の複数条としてもよく、内側に位置する嵌合凹部および嵌合凸部の嵌合状態を水密構造とするが各嵌合部分を水密構造としてもよい。
図1は、本実施の形態におけるチャックテープ付き袋を示す平面図である。図2は、チャックテープ付き袋を示す一部を切り欠いた断面図である。図3は、チャックテープ付き袋のチャックテープ部分を示す分解斜視図である。図4は、カットテープが除去され海水とともに活魚を封入した状態のチャックテープ付き袋を示す断面図である。なお、これら図1ないし図4は、説明の都合上、チャックテープの部分を誇張して示す。
【0020】
〔チャックテープ付き袋の構成〕
図1および図2において、100はチャックテープ付き袋で、このチャックテープ付き袋100は、例えば活魚介類を生きた状態で封入し搬送するための袋である。
このチャックテープ付き袋100は、袋体200と、チャックテープ300と、カットテープ400と、逆止弁500と、を備えている。
なお、図1および図2は、説明の都合上、図中の上部側の一縁が未封着状態で示す。
【0021】
袋体200は、内部に密封される収容空間201を区画形成する袋形状に構成されている。すなわち、袋体200は、長方形のシート状で互いに重ね合わされた2枚の包材210の長手方向の一端縁に適宜折り返された底部包材220の周縁が貼り合わされ、包材210が底部包材220を介して折り返される状態に一連に連結され構成となっている。さらに、袋体200は、重なり合う包材210の長手方向の両側および底部包材220が貼り合わされた側と反対側の他端縁が貼り合わされてサイドシール部202が形成され、袋形状に構成されている。この包材210同士および包材210と底部包材220との貼り合わせとしては、例えば接着剤などによる接着や本実施形態における熱溶着など、各種貼り合わせ方法が適用できる。
そして、包材210としては、単層または多層のフィルムによりなることが好ましく、例えば延伸したポリエチレンテレフタレート(Oriented Polyethylene Terephthalate:OPET)、延伸したポリプロピレン(Oriented Polypropylene:OPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene:LLDPE)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、キャストポリプロピレン(Cast Polypropylene:CPP)などの熱可塑性樹脂にて形成された単層または多層のフィルムを包材210として用いることができる。
また、これらの熱可塑性樹脂にて形成された単層または多層のフィルムに対して、アルミニウム蒸着層、アルミニウム箔などを蒸着ないし積層するようにしてもよく、このようにすることにより、フィルムに対してガスバリアー性や遮光性などの諸特性を付与することができる。
【0022】
チャックテープ300は、図2および図3に示すように、例えば互いに係脱可能に嵌合する雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320とを備えている。
そして、雌型ファスナー部310および雄型ファスナー部320は、例えば成形性や包材210との接着性となる熱溶着性を考慮して、例えば、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、あるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン系樹脂などにて形成することが好ましく、これらのポリオレフィン系樹脂を押出成形などの成形手段により連続的に成形することが好ましい。
【0023】
雌型ファスナー部310は、図2および図3に示すように、帯状の雌取付基材311と、この雌取付基材311の一面に長手方向に沿って設けられた第1嵌合凹部312と、雌取付基材311の一面に第1嵌合凹部312と略平行に設けられた第2嵌合凹部313と、を有している。このように、雌型ファスナー部310は、雌取付基材311に第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313の複数条である2条を設けている。
雌取付基材311は、帯状に形成され、一面側で長手方向の一縁側に位置して、第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313を設けている。そして、雌取付基材311は、第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313が設けられた一面で長手方向の他縁側が袋体200の一方の包材210に取り付けられている。すなわち、雌取付基材311は、長手方向が包材210の幅方向に略沿い、第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313を取り付ける包材210に対向する状態で、長手方向の一縁側が自由端となる状態に取り付けられている。この包材210への取り付けとしては、接着剤などによる接着や本実施形態のような熱溶着などが例示できるが、製造性の観点から熱溶着が好ましい。そして、雌取付基材311の厚さ寸法は、雌型ファスナー部310および雄型ファスナー部320の嵌合状態を確保しつつ、チャックテープ付き袋100の可撓性を良好にする厚さ寸法、例えば100μm以上200μm以下程度が好ましいが、利用形態により適宜設定すればよい。
第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313は、雌取付基材311の一面に対して垂直方向に沿った方向で嵌合開口312A,313Aをそれぞれ開口する凹溝状で、断面略円形の円弧状にそれぞれ一連に形成されている。すなわち、第1嵌合凹部312および第2嵌合凹部313は、内側の幅寸法より嵌合開口312A,313Aの幅寸法が幅狭で、内面が凹曲面状にそれぞれ形成されている。
また、第2嵌合凹部313の内面には、図2に示すように、例えば軟質ゴムなどの弾性変形可能なシート状の封止部材314が設けられている。
【0024】
雄型ファスナー部320は、図2および図3に示すように、帯状の雄取付基材321と、この雄取付基材321の一面に長手方向に沿って設けられた第1嵌合凸部322と、雄取付基材321の一面に第1嵌合凸部322と略平行に設けられた第2嵌合凹部323と、を有している。このように、雄型ファスナー部320は、雄取付基材321に第1嵌合凸部322および第2嵌合凸部323の複数条である2条を設けている。
雄取付基材321は、雌取付基材311より幅狭の帯状で、雌取付基材311と同様の厚さ寸法に形成されている。そして、雌取付基材321は、第1嵌合凸部322および第2嵌合凸部323が設けられた一面側に対して反対側の面となる他面側が、袋体200の一方の包材210に、雌取付基材311の取付位置に隣接する状態に取り付けられている。この取り付けられた状態は、第1嵌合凸部322が第1嵌合凹部312に対向し第2嵌合凸部323が第2嵌合凹部313に対向する状態となっている。なお、この取り付けについても、雌取付基材311と同様に、接着剤などによる接着や本実施形態のような熱溶着などが例示できる。
第1嵌合凸部322は、第1嵌合凹部312に係脱可能に嵌合する凸リブ状で、第1連結部322Aと、第1雄部322Bと、を有し、雄取付基材321に一連に形成されている。
第1連結部322Aは、雄取付基材321の長手方向に沿った壁状で幅寸法が第1嵌合凹部312の嵌合開口312Aの幅寸法と略同程度に、雄取付基材321の一面に一連に突設されている。第1雄部322Bは、第1連結部322Aの突出する先端部に、断面形状で例えば鏃状や矢印状、三角形状、キノコ状などのように、第1連結部322Aの幅寸法より幅広で第1嵌合凹部312の内側の幅広位置での幅寸法と略同程度で、先端部に従って幅狭となるように一連に形成されている。そして、第1嵌合凸部322は、第1雄部322Bが第1嵌合凹部312の嵌合開口312Aを弾性に抗して広げる状態に第1嵌合凹部312内に挿入され第1嵌合凹部312の復元力により第1嵌合凹部312内に収容される状態で嵌合される。
第2嵌合凸部323は、第2嵌合凹部313に係脱可能に嵌合する凸リブ状で、第2連結部323Aと、第2雄部323Bと、を有し、第1嵌合凸部322に略平行に雄取付基材321に一連で形成されている。
第2連結部323Aは、第1連結部322Aと同様の壁状に、雄取付基材321の一面に一連に突設されている。第2雄部323Bは、第2連結部323Aの突出する先端部に、断面略円形状に幅方向に膨出する状態に形成されている。この第2雄部323Bは、第2嵌合凹部313の断面形状と略同形状で第2嵌合凹部313の凹曲面の曲率と略同程度の凸曲面状に形成されている。そして、第2嵌合凸部323は、第2雄部323Bが第2嵌合凹部313の嵌合開口313Aを弾性に抗して広げる状態に第2嵌合凹部313内に挿入され第2嵌合凹部313の復元力により第2嵌合凹部313内に面接触して収容される水密構造の状態で嵌合される。この嵌合状態で、封止部材314が潰されるように弾性変形し第2雄部323Bの外面と第2嵌合凹部313の内面との互いの嵌合接触面間に密着するより高い水密構造の状態となる。
【0025】
カットテープ400は、図1ないし図3に示すように、細長帯状に形成され、雌取付基材311および雄取付基材321における一方の包材210に隣接する状態で接着される位置間で包材210に、例えば接着や熱融着などにより設けられている。
このカットテープ400は、例えば延伸したポリエチレンテレフタレート(OPET)、延伸したポリプロピレン(OPP)、延伸した高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)などにて形成される。
また、カットテープ400の一端部には、袋体200のサイドシール部202で、包材210の外面側に臨み、利用者が把持可能に位置して設けられた把手部401が一連に設けられている。すなわち、図3に示すように、サイドシール部202の位置で、ツマミ状に切り欠かれて包材210および雌取付基材311にて積層構造となる把手部401が構成される。
そして、カットテープ400は、把手部401を把持して包材210の厚さ方向で引っ張る、すなわち袋体200に対して引っ張り上げるようにすることで、包材210を引き裂き、袋体200が開封される。
【0026】
逆止弁500は、図1および図4に示すように、袋体200のチャックテープ300と反対側に位置する状態に設けられ、袋体200の外部から空気や酸素を含有する気体あるいは酸素ガスが流入可能で、かつ袋体200内から空気や気体、酸素ガスが流出不可能に構成されている。具体的には、逆止弁500は、例えば互いに重なり合う2枚の細長状のシート部材501の長手方向の両側が貼り合わされた扁平筒形状に構成されている。なお、図4は、説明の都合上、カットテープが除去されて海水601とともに活魚602が投入され空気603が注入された利用状態でのチャックテープ付き袋の断面状態を示す。
そして、逆止弁500は、チャックテープ300が設けられた包材210と反対側の包材210と底部包材220との間に介在する状態に、長手方向の一端側が袋体200の収容空間201側に突出するとともに長手方向の他端側が袋体200の外部に延出する状態に設けられている。この逆止弁500は、例えば包材210と底部包材220との貼り合わせ時に、内周側が封止されない状態、すなわち袋体200の収容空間201が外部に連通する状態で設けられる。
この逆止弁500は、例えば細長筒状の図示しない注入ノズルが内周側に嵌挿され、袋体200の収容空間201内に空気や酸素を含有する気体あるいは酸素ガスを流入させて内圧が外気圧に対して高くなる状態とすることで、注入ノズルを引き抜いた後は収容空間201内に突出する端部側のシート部材501同士が圧着し、注入した空気や気体あるいは酸素ガスが流出しないようになっている。
【0027】
〔チャックテープ付き袋の動作〕
次に、上記チャックテープ付き袋100の動作について、活魚を封入し搬送して開封する利用動作について説明する。
【0028】
まず、漁船上で、あらかじめ形成されたチャックテープ付き袋100のカットテープ400の把手部401を持って引っ張り上げ、カットテープ400により雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320との間の包材210を引き裂いて、袋体200を開封させる。
この後、雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320とが互いに嵌合する状態では引き裂かれた包材210の開封縁を開く状態に引っ張り力を作用させる作業により、互いの嵌合状態を解除し、収容空間201が外部に連通する状態とする。この雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320との嵌合状態の解除は、開封縁を開く状態の作業により、雌取付基材311および雄取付基材321が開口縁に隣接する状態に包材210に接着されていることから、略重なり合う状態の雌取付基材311および雄取付基材321は互いに離間する方向に引っ張り力が作用することとなる。このことにより、第1嵌合凹部312および第1嵌合凸部322の嵌合力と、第2嵌合凹部313および第2嵌合凸部323の嵌合力との力に抗した引っ張り力で開封することとなる。
【0029】
そして、開封により形成された開口より、漁船上で海水601とともに水揚げされた活魚602を投入し、第1嵌合凹部312と第1嵌合凸部322とを嵌合させるとともに、第2嵌合凹部313と第2嵌合凸部323とを嵌合させ、開封により形成された開口をチャックテープにより収容空間201を水密封止する。
この後、逆止弁500を介して空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガスを収容空間201内に注入し、図4に示すように、袋体200が膨れ上がる状態とする。すなわち、外気圧に対して加圧状態とする。なお、酸素発生剤などを封入してもよい。
この図4は、複数の活魚602を封入する状態を示すが、活魚602を1匹ずつ封入してもよい。すなわち、ある程度大型の活魚602では、袋体200を例えば細長形状とし、封入された状態で動き回れないような構成とすることが、活魚602が傷付くことを防止できるので好ましい。
【0030】
この活魚602を海水601および空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガスとともに封止したチャックテープ付き袋100を、チャックテープ300が鉛直方向で下側に位置する状態に、長手方向を略水平方向となる状態で、例えば搬送用ボックス内に積載する。そして、活魚602を封入したチャックテープ付き袋100を収容する搬送用ボックスを漁船から搬送手段であるトラックや車両などに搭載し搬送する。この搬送用ボックスは、上面を開口する箱状など、膨れ上がったチャックテープ付き袋100を複数段で積み上げることも可能な各種構成が適用できる。さらに、搬送用ボックスとしては、搬送用ボックス上に他の搬送ボックスを積み上げることが可能な構成のものが好ましい。なお、搬送において、このような箱状の搬送用ボックスを用いる場合に限らずまとめて搬送可能な各種構成を利用でき、またそのような構成を用いなくてもよい。
この状態では、チャックテープ300の部分は封入した海水601で覆われた状態となっており、水密構造のチャックテープ300でも酸素分のスローリークが生じるおそれがあるが、海水601により封入した酸素分がチャックテープ300の嵌合部分を介してリークしない。このため、封入される酸素分が有効に活魚602に利用され、活魚602を生きた状態で長期間封入することができる。
さらに、袋体200の収容空間201内には、加圧状態で注入した空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガスの内圧とともに、搬送用ボックスに積載することにより外部から加わる荷重などの外圧により、内圧が生じる状態となっている。そして、チャックテープ300は雌取付基材311および雄取付基材321が重なり合う状態となっているので、逆止弁500の作用と同様に、収容空間201の内圧により雌取付基材311および雄取付基材321が密着する状態となる。このため、互いの嵌合力がより増大し、密止状態が向上する。
さらに、収容空間201の内圧による包材210に作用する張力となるチャックテープ300を引っ張る力は、包材210に一縁が接着された雌取付基材311の一縁側と包材210に面接着された雄取付基材321に互いに重なり合う嵌合方向に対して交差する雌取付基材311および雄取付基材321の平面方向に沿った互いの嵌合を剪断する方向に作用することとなり、チャックテープ300を開かせる方向となる嵌合状態を離間させる方向への力として作用しにくくなる。そして、収容空間201側となる第2嵌合凹部313および第2嵌合凸部323が水密構造であることから、いわゆるスローリークである海水601が毛細管現象のように嵌合部分を染み出るような漏れを生じることなく、確実に封入される。
【0031】
そして、活魚602を封入するチャックテープ付き袋100を開封して活魚602を取り出す際には、あらかじめカットテープ400により引き裂かれて形成された包材210の開封縁を開く状態に引っ張り力を作用させる作業により、雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320との嵌合状態を解除し、収容空間201が外部に連通する状態とし、取り出せばよい。
活魚602が取り出されたチャックテープ付き袋100は、例えば洗浄され、再び再利用される。すなわち、既にカットテープ400にて包材210が引き裂かれて活魚602を投入できる袋状態として利用される。なお、新たなチャックテープ付き袋100を製造するための原料に再利用できることは言うまでもない。
【0032】
〔実施の形態の作用効果〕
上述したチャックテープ付き袋100によれば、包材210を重ね合わせて周縁を貼り合わせてなる袋体200の一方の包材210の内面に、チャックテープ300の雄型ファスナー部320の雄取付基材321を積層する状態に面接着するとともに、雌型ファスナー部310の雌取付基材311を雄取付基材321に重なり合う状態で雄取付基材321に隣接する位置で一縁側を接着する。さらに、雌取付基材311と雄取付基材321との一方の包材210に接着される位置間の包材210に、包材210を引き裂いて袋体200を開封するカットテープ400を設ける。そして、チャックテープ300の互いに嵌合しカットテープ400から最遠に位置、すなわち収容空間201側に位置する第2嵌合凹部313および第2嵌合凸部323を互いに水密に嵌合する水密構造としている。
このため、空気603などが封入されたり外部から力が作用したりして袋体200内の収容空間201の内圧が生じるような場合でも、包材210に作用する張力となるチャックテープ300を引っ張る力は、雌取付基材311および雄取付基材321の平面方向に沿った互いの嵌合を剪断する方向に作用することとなり、チャックテープ300を開かせる方向となる嵌合状態を離間させる方向への力として作用せず、十分な密封性およびチャックテープ300の嵌合における耐圧強度が得られる。したがって、海水601が染み出るようないわゆるスローリークを生じず、チャックテープ300により再利用ができる構成でも、確実な封入状態が得られる。さらに、開封時には、包材210の切り裂きにより形成される開口縁を開く状態に作業することで、この開口縁を開く力がチャックテープ300の嵌合を解除する方向への力にそのまま作用することとなり、開封時に大きな力が必要なく、容易に開封でき、作業性を向上できる。
【0033】
そして、水を含有する被包装物、すなわち海水601とともに活魚602を封入する用途に利用するので、活魚602を長期間生きた状態で封入するために空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガス自体を封入して袋体200が膨れ上がった内圧が生じる状態としている。
このため、確実に嵌合に対する剪断する方向に内圧が作用するとともに、雌取付基材311および雄取付基材321が密着する状態となってより強い嵌合状態が得られ、より確実な封入状態が得られる。
【0034】
また、第2嵌合凹部313および第2嵌合凸部323を、断面同形状すなわち断面略円形状として面接触により嵌合する形状に形成している。このため、簡単な構造で水密構造が得られ、いわゆるスローリークを生じずに海水601を確実に封入できる再利用可能なチャックテープ付き袋100が容易に得られる。
特に、断面略円形状に形成しているため、面接触による嵌合状態が容易に得られるとともに、従来の一般的な押出成形などを利用してチャックテープ300を容易に製造でき、製造性および製造コストの低減が容易に得られる。
さらには、封止部材314を設けているため、より水密性の向上が得られる。そして、この封止部材314としては例えばゴムなどの部材を設ける簡単な構成とすることで、容易に高い水密性が容易に得られる。
【0035】
そして、重なり合う包材210を周縁に亘って貼り合わせて袋形状の袋体200を形成している。
このため、利用時にはカットテープ400により包材210を切り裂いて形成した開口から活魚を投入してチャックテープ300にて封止すればよく、例えば漁船上などの比較的に狭い場所で水が飛散して溶着機を利用できないような利用形態でも、確実な封入状態での封入および容易な開封が得られ、使い勝手がよい。
【0036】
さらに、逆止弁500を設けている。
このため、活魚602を海水601とともに封入後に酸素分を逆止弁500から空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガス自体を封入すればよく、チャックテープ300の封止後でも十分な酸素分の供給ができ、活魚602を生きた状態で長時間封入するための封入作業が容易にでき、作業性を向上できる。
特に、逆止弁500として、シート部材を扁平筒形状に形成した簡単な構成としているので、チャックテープ付き袋100の構成が簡略化し、製造性の向上やコストの低減が容易に得られる。
【0037】
また、逆止弁500をチャックテープ300と反対側となるカットテープ400が設けられ包材210と反対側の包材210側に設けている。
このため、逆止弁500から空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガス自体を注入して袋体200を膨れた状態とし、一方の包材210側を鉛直方向で下側となる状態で積載させることで、注入した空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガス自体の内圧が活魚602とともに封入する海水601を介してチャックテープ300に作用することとなり、チャックテープ300の水密構造の嵌合部分から酸素分がリークすることを防止でき、生きた状態で長期間の活魚602の封入が容易に得られる。
特に、袋体200が膨れた状態とすることで、内圧が作用して嵌合に対して内圧が作用しない状態となり、確実な封入状態が得られるとともに、封入する空気603や酸素を含有する気体あるいは酸素ガス自体の緩衝作用により外部からの衝撃に対して活魚602が保護される状態となり、安定した活魚602の搬送が得られる。
【0038】
〔実施の形態の変形例〕
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0039】
すなわち、本発明のチャックテープ付き袋としては、上記実施形態であるいわゆるスタンディング袋の形態に限らず、各種袋形状に適用できる。
また、スタンディング袋として、底部包材220を互いに重なり合う包材210の一縁に貼り合わせて形成する構成を例示したが、例えば一枚の包材シートを折り返し、折り返し部分をガセット袋の折り込み部のように形成して重なり合う包材210の周縁を貼り合わせるなど、各種方法が利用できる。
【0040】
また、包材210の周縁を内部に収容空間201が密封される状態に貼り合わされて周縁に開口を有しない袋形状を例示したが、この構成に限られない。例えば、料亭やペットショップなどの封入作業環境で水滴などが掛かり難い場合などでは、図1および図2に示すような図中の上縁部分となる包材210の折り返し側の縁を貼り合わせずに投入孔を開口する袋形状に形成する。そして、この投入孔から被包装物を投入した後に投入孔を溶着機などで熱溶着して封止し、被包装物を取り出す場合にはカットテープ400にて包材210を引き裂いて開封する利用形態としてもよい。
すなわち、電気機器であり熱を発生する溶着機などが海水601などにて損傷せず、また熱溶着の際に付着する水滴にて発泡してしまうなどの不完全な溶着状態とならない環境で、さらには溶着機などを設置できる作業環境である場合には、投入孔を開口する袋形状で袋体200を形成することで、チャックテープ付き袋100の製造性が向上するとともに、封入後は収容空間201は周縁が溶着にて封止された状態であり、いわゆるスローリークや酸素分のリークなども生じない確実な密封状態が容易に得られるとともに、再利用する場合には、上述した実施の形態と同様に封入・開封すればよく、再利用もできる。
【0041】
そして、活魚602を封入するために逆止弁500を設けて説明したが、逆止弁500を設けなくてもよい。例えば、ペットショップなどの比較的に短時間の封入期間であれば、酸素発生剤などとともに封入すればよい。
さらには、スープやレトルト食品などの空気603などを導入しないような利用形態では逆止弁500を有しないチャックテープ付き袋100を利用すればよい。
また、逆止弁500をカットテープ400と同一側に設けてもよく、カットテープ400が設けられた端部側に近接する位置に設けてもよい。
【0042】
また、チャックテープ300として、嵌合位置が2条となる構成で説明したが、3条以上の複数でもよい。さらに、収容空間201側を水密構造として説明したが、2条とも水密構造としてもよい。
そして、チャックテープ300の包材210への取付状態としては、雌型ファスナー部310と雄型ファスナー部320とが逆の構成としてもよい。
さらに、チャックテープ300として、直線上で嵌合する構成について説明したが、例えば波形状など、直線形状で嵌合する形態に限られない。
また、水密構造としては、断面略円形状に形成した場合に限らず、例えば封止部材314により嵌合間に密着させることで、断面同一形状、特に断面略円形に形成しなくてもよい。例えば、第1嵌合凹部312および第1嵌合凸部322の少なくともいずれか一方に封止部材314を設けて密着させるようにしてもよい。
さらに、水密構造として、断面略同一形状で面接触により嵌合する構成であれば、封止部材314を設けなくてもよい。そして、封止部材314を設ける場合には、いずれか一方のみあるいは双方に設けてもよい。この封止部材314は、ゴムなどの構成に限られるものではない。
【0043】
そして、活魚602を搬送する構成としてチャックテープ300が鉛直方向で下側となるように積載する構成としたが、例えばレトルト食品や固形物を封入する場合など、チャックテープ300側が鉛直方向で上方に位置する状態としたり、自立状態で積載したりしてもよい。
なお、酸素分のリークを防止する目的では、自立状態で保持する場合でも海水601などの封入する液状物にてチャックテープ300が覆われる状態とすることが好ましい。
【0044】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のチャックテープ付き袋は、粉体、食料品、医薬品、電子部品、事務用品などの各種物品を密封包装するための包装材料として、ガゼット袋、ピロー袋など袋の形状を問わず広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る実施の一形態のチャックテープ付き袋を示す平面図である。
【図2】前記実施の一形態におけるチャックテープ付き袋を示す一部を切り欠いた断面図である。
【図3】前記実施の一形態におけるチャックテープ付き袋のチャックテープ部分を示す分解斜視図である。
【図4】前記実施の一形態における海水とともに活魚を封入した状態のチャックテープ付き袋を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
100…チャックテープ付き袋
200…袋体
210…包材
300…チャックテープ
310…雌型ファスナー部
311…雌取付基材
312…嵌合凹部としての第1嵌合凹部
313…嵌合凹部としての第2嵌合凹部
320…雄型ファスナー部
321…雄取付基材
322…嵌合凸部としての第1嵌合凸部
323…嵌合凸部としての第2嵌合凸部
400…カットテープ
500…逆止弁
601…被包装物である水である海水
602…被包装物である活魚介類である活魚
603…被包装物となる空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材が重ね合わされ周縁が貼り合わされてなる袋体の一方の内面に対して、互いに嵌合する雌型ファスナー部と雄型ファスナー部とを有するチャックテープが取り付けられたチャックテープ付き袋であって、
前記雌型ファスナー部は、前記一方の包材に取り付けられる帯状の雌取付基材と、この雌取付基部の前記重なり合う他方の包材に対向する面に複数条で設けられた凹溝状の嵌合凹部と、を備え、
前記雄型ファスナー部は、前記雌取付基材に重なり合い前記一方の包材に前記雌取付基材に隣接する位置で一縁側が取り付けられる帯状の雄取付基材と、この雄取付基部の前記雌取付基部に対向する面に前記嵌合凹部に対応して複数条で設けられ前記嵌合凹部に係脱可能に嵌合する嵌合凸部と、を備え、
前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか一方は前記包材に面にて重なり合う状態に接着され、前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか他方は前記包材に面にて重なり合う状態に接着される前記雌取付基材および前記雄取付基材のいずれか一方に並設される状態に一縁が前記包材に接着され、
前記雌取付基材および前記雄取付基材の前記包材に接着される位置間の前記包材に設けられ、前記包材を引き裂いて前記袋体を開封するカットテープを備え、
少なくとも前記カットテープから最遠に位置する前記雌型ファスナー部の嵌合凹部および前記雄型ファスナー部の嵌合凸部は、互いに水密に嵌合する水密構造である
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項2】
請求項1に記載のチャックテープ付き袋であって、
前記水密構造は、
前記雌型ファスナー部の嵌合凹部および前記雄型ファスナー部の嵌合凸部が面接触により嵌合する構造である
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項3】
請求項2に記載のチャックテープ付き袋であって、
前記雌型ファスナー部の嵌合凹部は、凹溝状の内面が凹曲面状に形成され、
前記雄型ファスナー部の嵌合凸部は、前記嵌合凹部の曲率半径と略同一以上の曲率で凸曲面状に形成された
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のチャックテープ付き袋であって、
前記水密構造は、
前記雌型ファスナー部の嵌合凹部および前記雄型ファスナー部の嵌合凸部のうちの少なくともいずれか一方に、互いの嵌合により弾性変形し互いの嵌合接触面に密着する封止部材を備えた
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のチャックテープ付き袋であって、
前記包材は、周縁に亘って貼り合わされた
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のチャックテープ付き袋であって、
前記包材は、被包装物を投入可能に一部が開口する状態で周縁が貼り合わされた
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のチャックテープ付き袋であって、
水を含有する被包装物が封入される
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項8】
請求項7に記載のチャックテープ付き袋であって、
活魚介類が封入される
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項9】
請求項8に記載のチャックテープ付き袋であって、
前記袋体は、逆止弁が設けられた
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項10】
請求項9に記載のチャックテープ付き袋であって、
前記逆止弁は、前記カットテープが設けられる前記一方の前記包材に重なり合う前記他方の包材に設けられた
ことを特徴としたチャックテープ付き袋。
【請求項11】
前記活魚介類とともに水を封入する請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を、前記カットテープが設けられた包材が鉛直方向で下側に位置する状態に保持して搬送する
ことを特徴とする活魚介類の搬送方法。
【請求項12】
請求項11に記載の活魚介類の搬送方法であって、
前記請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のチャックテープ付き袋を、前記活魚介類および前記水とともに空気または酸素含有気体を封入して膨張状態とする
ことを特徴とする活魚介類の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−276868(P2007−276868A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109315(P2006−109315)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】