説明

チューブ加工装置及びチューブフラット化物製造方法

【課題】切開かれたチューブを切断するための切断面を、なるべく揃えることができるようにすること。
【解決手段】チューブ10を切開いて切断するチューブ加工装置20であって、チューブ10をその長手方向に沿って切断可能な切断刃28を有するチューブ切開き機構24と、切開かれたチューブ10を、その幅方向に沿って切断するチューブ切断機構30とを備えている。チューブ切開き機構24とチューブ切断機構30との間に、切開かれたチューブ10を、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、チューブ切開き機構24からチューブ切断機構30に向けてガイドするガイド機構40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブを切開いた後所望の長さに切断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の合成樹脂によって形成されたチューブによってワイヤーハーネスを保護するような場合、当該チューブを縦に切開いた後、切開いたチューブをその幅方向に沿って切断する作業が必要となる。
【0003】
チューブにスリットを形成する装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0004】
特許文献1に開示のスリット形成装置では、チューブの内周面を案内する内ガイドの外周にカッターブレードが設けられている。これら内ガイド及びカッターブレードは、軸受手段によってチューブの周方向に変位自在に支持されている。そして、カッターブレードによりスリットを形成する際に、内ガイドによりチューブの凹みが矯正されるようになっている。また、チューブが捩れていても、軸受手段によってカッターブレードが追随しながらチューブにスリットを形成できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−155628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のスリット形成装置では、チューブにスリットを形成した後、チューブを所定長に切断する迄の間に、切開かれたチューブが大きく湾曲してしまったり、折れ曲ってしまったり、捩れてしまったりすることがある。これにより、切開かれたチューブを所定長に切断するための切断面が、意図せず切開いたチューブの長手方向に対して斜行してしまい、切開いたチューブの切断面が不揃いになるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、切開かれたチューブを切断するための切断面を、なるべく揃えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様は、チューブを切開いて切断するチューブ加工装置であって、チューブをその長手方向に沿って切断可能な切断刃を有するチューブ切開き機構と、切開かれた前記チューブを、その幅方向に沿って切断するチューブ切断機構と、切開かれた前記チューブを、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、前記チューブ切開き機構から前記チューブ切断機構に向けてガイドするガイド機構とを備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るチューブ加工装置であって、前記ガイド機構は、切開かれた前記チューブの側縁部を挿通可能で、かつ、それぞれの開口が対向するように配設された一対のU字状溝を有し、切開かれた前記チューブの両側縁部が前記一対のU字状溝内に挿通ガイドされることで、切開かれた前記チューブが扁平状態に広げられる共にその幅方向において一定範囲内に規制される。
【0010】
第3の態様は、第1の態様に係るチューブ加工装置であって、前記ガイド機構は、切開かれた前記チューブを押広げる少なくとも1つのローラと、切開かれた前記チューブの両側縁部に当接して切開かれた前記チューブをその幅方向において一定範囲内に規制する幅方向規制部と、を有する。
【0011】
上記課題を解決するため、第4の態様は、切開かれたチューブを切断するチューブ加工装置であって、切開かれた前記チューブを扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制しつつガイドするガイド機構と、切開かれた前記チューブを送るチューブ送り機構と、前記チューブ送り機構により送出された前記チューブを、扁平状態が維持されたままの状態で切断する、チューブ切断機構とを備える。
【0012】
上記課題を解決するため、第5の態様は、チューブを切開いて切断するチューブフラット化物製造方法であって、(a)チューブをその長手方向に沿って切開く工程と、(b)前記工程(a)によって切開かれた前記チューブを、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、ガイドする工程と、(c)前記工程(b)でガイドされつつ送られた、切開かれた前記チューブを、その幅方向に沿って切断する工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様によると、切開いたチューブは、扁平状態に広げられる共にその幅方向において一定範囲内に規制された状態で、チューブ切断機構に向けて案内される。このため、チューブ切断機構において、切開かれたチューブの湾曲、折れ曲り、捩れが抑制される。このため、チューブ切断機構において、切開かれたチューブを切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。
【0014】
第2の態様によると、切開かれた前記チューブの両側縁部を前記一対のU字状溝内に挿通ガイドさせることで、切開かれた前記チューブを扁平状態に広げる共にその幅方向において一定範囲内に規制することができる。また、切開かれたチューブをガイド機構にセットする作業が容易である。
【0015】
第3の態様に係るチューブ加工装置によると、ローラによって切開かれたチューブをより確実に扁平状態に広げつつ、切開かれたチューブをその幅方向において一定範囲内に規制することができる。
【0016】
第4の態様によると、切開かれた前記チューブは扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制しつつガイドされる。そして、チューブ送り機構により送出されたチューブが、扁平状態が維持されたままの状態で切断される。このため、チューブ切断機構における切断時において、切開かれたチューブの湾曲、折れ曲り、捩れが抑制される。これにより、切開かれたチューブを切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。
【0017】
第5の態様によると、切開かれたチューブを、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態でガイドし、このようにガイドされたチューブを、その幅方向に沿って切断する。このため、工程(c)においてチューブを切断する際に、切開かれたチューブの湾曲、折れ曲り、捩れが抑制され、切開かれたチューブを切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るチューブ加工装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】ガイド機構を示す概略斜視図である。
【図3】変形例に係るガイド機構を示す概略斜視図である。
【図4】変形例に係るガイド機構を示す概略斜視図である。
【図5】変形例に係るガイド機構を示す概略斜視図である。
【図6】ガイド機構によって切開かれたチューブをガイドしている状態を示す概略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線における概略断面図である。
【図8】変形例に係るガイド機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係るチューブ加工装置及びチューブフラット化物製造方法について説明する。
【0020】
図1はチューブ加工装置20の全体構成を示す概略図である。ここで、加工対象となるチューブ10は、ゴム等の合成樹脂によって断面円形でかつ柔軟な管状に形成されている。このチューブ10は、縦割するように切開かれた後、所望の長さに切断される。このようにチューブ10を切開いて所望の切断したものが、チューブフラット化物12である。かかるチューブフラット化物12は、例えば、ワイヤーハーネスを覆うようにして当該ワイヤーハーネスに取付けられ、粘着テープ等により巻付け固定される。本チューブ加工装置20及びチューブフラット化物製造方法は、チューブ10を切開いて所望の長さに切断するための装置及び方法である。
【0021】
チューブ加工装置20は、チューブ切開き機構24と、チューブ切断機構30と、ガイド機構40とを備えている。このチューブ加工装置20では、図示省略のリール等に巻回収容されたチューブ10が、チューブ送り機構22によって引出されつつ送られる。チューブ送り機構22としては、例えば、一対の送りローラ22aの間にチューブ10を挟込んだ状態で、一対の送りローラ22aのうち少なくとも一方をモータ等により回転駆動する構成等が採用される。チューブ送り機構22は、その他、チューブ10を把持部材等によって掴んで所定長ずつ引出す構成等であってもよい。チューブ10は、送られる途中で、チューブ切開き機構24によって縦割状に切開かれる。切開かれたチューブ10はガイド機構によってガイドされつつチューブ切断機構30に送られ、チューブ切断機構30によって所望の長さに切断されるようになっている。
【0022】
以下、各構成についてより具体的に説明する。
【0023】
チューブ切開き機構24は、チューブ10をその長手方向に沿って連続的に切断可能に構成されている。ここでは、チューブ切開き機構24は、棒状体26と、切断刃28とを有している。棒状体26は、チューブ10内に挿入可能な棒状、ここでは、チューブ10の内径よりも小さい外径を有する棒状に形成されている。チューブ10内に棒状体26を容易に配設することができるように、棒状体26の一端部(チューブ10の送り方向において上流側を向く端部)は、先端側に向けて徐々に縮径するテーパ状に形成されている。切断刃28は、金属等により形成された板状刃であり、棒状体26の外周部に設けられている。切断刃28は、棒状体26の外周部において棒状体26の軸方向に沿って配設されており、その一側縁部(チューブ10の送り方向において上流側を向く端部)がチューブ10を切断可能な刃先部28aに形成されている。そして、チューブ10内に棒状体26を挿入した状態で、チューブ10をその送り方向下流側に引出すと、刃先部28aがチューブ10に押し当てられて、当該チューブ10が連続的に縦割状に切開かれるようになっている。また、この刃先部28aは、棒状体26の中心軸に向けてチューブ10の送り方向下流側に向うように傾斜している。このため、チューブ10を刃先部28aによって切断する際、チューブ10は刃先部28aの基端部側に移動して、棒状体26の外周面に押付けられる。これにより、チューブ10をより確実に直線状に切開くことができるようになっている。
【0024】
もっとも、チューブ切開き機構24は、チューブ10をその長手方向に沿って切開くことができればよく、円形刃等によってチューブ10を切断する構成であってもよい。
【0025】
チューブ切断機構30は、切開かれたチューブ10をその幅方向に沿って切断可能に構成されている。ここでは、チューブ切断機構30は、一対の剪断刃32と、一対の剪断刃32を接近離隔駆動する刃駆動部34とを有している。一対の剪断刃32は、切開かれたチューブ10の幅寸法以上の長さ寸法を有する刃先部32aを有している。一対の剪断刃32は、切開かれたチューブ10が送られる経路の途中に、当該切開かれたチューブ10を両面側から挟込むように対向して配設されている。ここでは、一方の剪断刃32は切開かれたチューブ10の下面の下方に固定され、他方の剪断刃32は切開かれたチューブ10の上面の上方に配設されている。刃駆動部34は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータ等によって構成されており、他方の剪断刃32を一方の剪断刃32に対して接近及び離隔駆動するように構成されている。なお、一対の剪断刃32の両方を接近及び離隔駆動する構成であってもよい。そして、一対の剪断刃32間に切開かれたチューブ10を配設し、この後、他方の剪断刃32を一方の剪断刃32に向けて接近させると、一対の剪断刃32により切開かれたチューブ10がその幅方向に沿って剪断されるようになっている。
【0026】
なお、チューブ切断機構は、切開かれたチューブ10をその幅方向に沿って切断可能な構成であればよく、円形刃等で切断する構成であってもよい。また、チューブ切断機構は、切開かれたチューブ10をその長手方向に対して直交する方向に沿って直線状に切断することは必須ではない。チューブ切断機構は、切開かれたチューブ10の長手方向に対して斜め方向に切断してもよく、また、波状に切断してもよい。つまり、チューブ切断機構は、切開かれたチューブ10をその長方方向において分断するように切断可能であり、かつ、その切断の際に、可及的に一定の切断形態(切断面の形状、切断面の延在方向等)で切断可能に構成されていればよい。
【0027】
図2はガイド機構40を示す概略斜視図であり、図3は同ガイド機構40によって切開かれたチューブ10をガイドしている状態を示す概略斜視図であり、図7は図6のVII−VII線における概略断面図である。
【0028】
図1、図2,図6及び図7に示すように、ガイド機構40は、切開かれたチューブ10を、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、チューブ切開き機構24からチューブ切断機構30に向けてガイド可能に構成されている。
【0029】
より具体的には、ガイド機構40は、一対の規制部材42を有しており、基台46上に固定されている。
【0030】
各規制部材42は、樹脂或は金属等により構成されており、U字状溝43gを有している。より具体的には、規制部材42は、一対の押え片43の一側部が側片44によって連結されて、全体として断面視略U字状の形状に形成されている。一対の押え片43の間には、切開かれたチューブ10の厚み寸法よりも大きい隙間が設けられており、切開かれたチューブ10の側縁部が一対の押え片43間を通って挿通可能とされている。また、一対の押え片43間の側方に側片44の内面が設けられており、切開かれたチューブ10の側縁部が側片の内面に接触することで、その側片44側への移動が規制されるようになっている。
【0031】
一対の規制部材42は、それぞれのU字状溝43gの開口を対向させた状態で、基台46上に固定されている。ここでは、磁力を利用して一対の規制部材42を基台46に固定している。すなわち、規制部材42が磁石により吸着可能な材料(金属等)により形成され、基台46の表面に、マグネットシートが設けられている。そして、マグネットシートが規制部材42を磁力によって吸着する力によって、一対の規制部材42が基台46に固定されている。なお、規制部材42の全体が磁石により吸着可能な材料により形成されている必要はなく、一方側の押え片43だけ、或は、一方側の押え片43の外面側部分だけが磁石により吸着可能な材料により形成されていてもよい。また、上記とは逆に、規制部材42側に磁石が取付固定され、基台46側に磁力によって吸着可能な板(金属板等)が設けられていてもよい。また、規制部材42が基台46に対して、ねじ止、凹凸を利用したロック構造等によって固定される構成であってもよい。
【0032】
一対の規制部材42を基台46に固定する位置を調整可能な構成にすることによって、一対の規制部材42間の間隔寸法を調整できる。通常は、チューブ10のサイズによって一対の規制部材42の間隔寸法を調整する。すなわち、一対の側片44の内面の間隔寸法は、一対の側片44間を通って切開かれたチューブ10が挿通可能な寸法、より具体的には、切開かれたチューブ10の幅寸法と略同じ或は僅かに大きい程度の寸法に設定される。
【0033】
なお、ガイド機構40は、必ずしも上記した一対の規制部材42を有する構成である必要はなく、図3のガイド機構40Bのように、単一の部材43Bに一対のU字状溝43Bgが形成された構成であってもよい。また、図4のガイド機構40Cのように、基台46に対してねじ止等によって略L字状のガイド側部41Cが固定され、基台46の上面とガイド側部41Cの内面とによってU字状溝43Cgが一対形成される構成であってもよい。さらに、図5のガイド機構40Dのように、下方に開口する溝41Dgが形成されたガイド本体部41Dが基台46上に固定され、基台46の上面とガイド本体部41Dの溝41Dgの両側面とによってU字状溝43Dgが一対形成された構成であってもよい。すなわち、切開かれたチューブ10の両側縁部をガイド可能な溝が形成された構成であればよい。
【0034】
そして、チューブ切開き機構24によって切開かれたチューブ10の両側縁部が一対のU字状溝43g内を通ってチューブ送り機構22によって連続的に引出されてチューブ切断機構30に送出されるようにする(図6参照)。すると、チューブ切開き機構24によって切開かれたチューブ10の両側縁部が一対のU字状溝43g内を通るように案内されることによって、切開かれたチューブ10が扁平状態となるように広げられる。また、一対のU字状溝43g内を通る際に、チューブ10の両側縁部が側片44の内面に接触することによってその幅方向において一対の側片44の内面間に位置するように規制される。そして、切開かれたチューブ10は、扁平状態に広げられかつ幅方向において一定の範囲内に規制された状態で、チューブ切断機構30に向けて送出されてその幅方向に沿って切断されることになる。
【0035】
なお、ガイド機構40は、チューブ切開き機構24及びチューブ切断機構30のなるべく近くに設けられていることが好ましい。すなわち、切開かれたチューブ10の側縁部に捻れ等を生じさせることなくそのままガイドできる範囲内で、ガイド機構40がチューブ切開き機構24の近くに設けられていることが好ましい。また、切開かれたチューブ10を扁平状態に広げた作用が影響している状態でチューブ10を切断可能な範囲内で、ガイド機構40がチューブ切断機構30の近くに設けられていることが好ましい。
【0036】
このように構成されたチューブ加工装置20及びチューブフラット化物製造方法によると、チューブ切開き機構24によってチューブ10をその長手方向に沿って切開き、これによって切開かれたチューブ10を、ガイド機構40によって扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態でガイドする。そして、そのように扁平状態に広げかつ一定範囲内に規制したチューブ10を、チューブ切断機構30によってその幅方向に切断する。このため、切開かれたチューブ10において湾曲、折れ曲り、捻れ等を抑制した状態で、チューブ切断機構30によってチューブ10を切断してチューブフラット化物12を製造することができる。このため、切開かれたチューブ10を切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。例えば、チューブ10の長手方向に対して直交する切断面となるように揃えることもできる。
【0037】
また、チューブ10が扁平状態でかつ一定の範囲内に規制された状態で円滑に送込まれるため、加工途中でのチューブ10の引っかかり等が抑制され、チューブ10の加工作業停止を抑制して、その加工作業を円滑に行える。
【0038】
また、切開かれたチューブ10の両側縁部を一対のU字状溝43g内に挿通ガイドさせることによって、切開かれたチューブ10を扁平状態に広げると共にその幅方向に一定範囲内で規制しているため、切開かれたチューブ10の両側縁部を一対のU字状溝43gにセットする作業が容易となる。
【0039】
また、一対のU字状溝43gの間隔を調整することで、チューブ10のサイズ変更への対応を容易に行える。
【0040】
図8は変形例に係るガイド機構140を示す斜視図である。
【0041】
このガイド機構140は、ローラ142と、幅方向規制部146とを有している。
【0042】
ローラ142は、対向部材である基台144との間で切開かれたチューブ10を押広げるように構成されている。より具体的には、チューブ切開き機構24とチューブ切断機構30との間にある基台144上に1つのローラ142が回転自在に設けられている。基台144とローラ142との間には、切開かれたチューブ10を押広げつつ挿通させることが可能な隙間が設けられている。隙間の寸法は、チューブ10の厚み寸法と同程度であることが好ましいが、チューブ10を扁平状態に広げることが可能な範囲でチューブ10の厚み寸法よりも大きく或は小さくてもよい。なお、一対のローラによって挟込んで、チューブ10を扁平状態に広げるようにしてもよい。また、チューブ10の送り方向に沿って複数箇所にローラを設け、複数箇所でチューブ10を広げるようにしてもよい。
【0043】
幅方向規制部146は、ローラ142よりも下流側に、切開かれたチューブ10の両側部外方に位置するように立設された一対の規制部材146aを有している。一対の規制部材146aの間隔寸法は、当該一対の規制部材146a間を通って切開かれたチューブ10が挿通可能な寸法、より具体的には、切開かれたチューブ10の幅寸法と略同じ或は僅かに大きい程度の寸法に設定されている。
【0044】
なお、規制部材は、ローラの外周囲に設けられていてもよい。
【0045】
そして、切開かれたチューブ10が、ローラ142と基台144を通って引出される際に、ローラ142と基台144との間で扁平状態に押広げられるようになっている。また、扁平状態に押広げられたチューブ10は、一対の規制部材146aによって幅方向において一定範囲内に位置するように規制される。そして、このように扁平状態に押広げかつその幅方向において一定範囲内に規制されたチューブ10を、チューブ切断機構30によって切断することができる。
【0046】
このため、上記実施形態と同様に、切開かれたチューブ10を切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。
【0047】
また、基台144とローラ142との間で切開かれたチューブ10を扁平状態にガイドする際に、ローラ142はチューブ10の通過に伴って従動回転するので、チューブ10を円滑に引出すことができる。特に、ローラ142と基台46との間隔寸法を小さくしてもチューブ10を円滑に引出すことができるので、ローラ142と基台46との間隔寸法を小さくすることによってチューブ10をより扁平な状態に広げることができる。
【0048】
また、上記実施形態におけるチューブ加工装置20において、チューブ切開き機構24が省略されていてもよい。この場合、チューブ10を予め別箇所で縦割状に切開いて、巻回収容等しておき、本チューブ10を切断する際に、予め切開かれて巻回収容等されたチューブ10を引出し、ガイド機構40、チューブ送り機構22及びチューブ切断機構30を経由して切断加工を行うことになる。
【0049】
この場合でも、ガイド機構40によって扁平状態に広げられたチューブ10が、チューブ送り機構22により送出され、扁平状態が維持された状態のままチューブ切断機構30によって切断される。このため、上記と同様に、チューブ切断機構30における切断時において、チューブ10の湾曲、折れ曲り、捩れが抑制され、切開かれたチューブ10を切断するための切断面を、なるべく揃えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 チューブ
12 チューブフラット化物
20 チューブ加工装置
24 チューブ切開き機構
28 切断刃
30 チューブ切断機構
40 ガイド機構
42 規制部材
43g U字状溝
140 ガイド機構
142 ローラ
144 基台
146 幅方向規制部
146a 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブを切開いて切断するチューブ加工装置であって、
チューブをその長手方向に沿って切断可能な切断刃を有するチューブ切開き機構と、
切開かれた前記チューブを、その幅方向に沿って切断するチューブ切断機構と、
切開かれた前記チューブを、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、前記チューブ切開き機構から前記チューブ切断機構に向けてガイドするガイド機構と、
を備えるチューブ加工装置。
【請求項2】
請求項1記載のチューブ加工装置であって、
前記ガイド機構は、切開かれた前記チューブの側縁部を挿通可能で、かつ、それぞれの開口が対向するように配設された一対のU字状溝を有し、切開かれた前記チューブの両側縁部が前記一対のU字状溝内に挿通ガイドされることで、切開かれた前記チューブが扁平状態に広げられる共にその幅方向において一定範囲内に規制される、チューブ加工装置。
【請求項3】
請求項1記載のチューブ加工装置であって、
前記ガイド機構は、切開かれた前記チューブを押広げる少なくとも1つのローラと、切開かれた前記チューブの両側縁部に当接して切開かれた前記チューブをその幅方向において一定範囲内に規制する幅方向規制部と、を有する、チューブ加工装置。
【請求項4】
切開かれたチューブを切断するチューブ加工装置であって、
切開かれた前記チューブを扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制しつつガイドするガイド機構と、
切開かれた前記チューブを送るチューブ送り機構と、
前記チューブ送り機構により送出された前記チューブを、扁平状態が維持されたままの状態で切断する、チューブ切断機構と、
を備えるチューブ加工装置。
【請求項5】
チューブを切開いて切断するチューブフラット化物製造方法であって、
(a)チューブをその長手方向に沿って切開く工程と、
(b)前記工程(a)によって切開かれた前記チューブを、扁平状態に広げると共にその幅方向において一定範囲内に規制した状態で、ガイドする工程と、
(c)前記工程(b)でガイドされつつ送られた、切開かれた前記チューブを、その幅方向に沿って切断する工程と、
を備えるチューブフラット化物製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−16798(P2012−16798A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156782(P2010−156782)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】