説明

チューブ式藻類培養装置

【課題】フレキシブルな設置が可能なチューブ式藻類培養装置を提供する。
【解決手段】藻類2を培養する藻類培養装置10であって、内部に藻類2と培養液4と気泡6とが封入されたチューブ状の培養管12と、培養管12のチューブ軸方向に沿って近接配置され、培養管12の内部に光を照射するチューブ状のLED光源14とを備えるようにする。この場合、培養管12内にLED光源14を配置してもよいし、LED光源14の周囲に透光性の培養管12を配置してもよい。こうしてLED光源14と一体化した培養管12は、設置したいスペースに合わせてフレキシブルに設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ式藻類培養装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、藻類を培養する装置として、培養槽の形状を工夫した装置や効率的に光を当てる装置等、多くの技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−113558号公報
【特許文献2】特開2009−195163号公報
【特許文献3】特開平1−153080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、培養リアクターや培養装置自体は、容器状の形態であり、設置場所にある程度の大きさのスペースを要することから、所望の場所に物理的に設置できないおそれがあった。また、培養装置に付帯する通気装置においても、撹拌、通気(散気)、振蕩等の諸設備を設置するスペースに制約があった。このため、設置したいスペースに合わせてフレキシブルな設置が可能な藻類培養装置の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フレキシブルな設置が可能なチューブ式藻類培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るチューブ式藻類培養装置は、藻類を培養する藻類培養装置であって、内部に藻類と培養液と気泡とが封入されたチューブ状の培養管と、前記培養管のチューブ軸方向に沿って近接配置され、前記培養管の内部に光を照射するチューブ状のLED光源とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るチューブ式藻類培養装置は、上述した請求項1において、前記培養管内に前記LED光源を配置したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係るチューブ式藻類培養装置は、上述した請求項1において、前記LED光源の周囲に透光性の前記培養管を配置したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係るチューブ式藻類培養装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記LED光源および前記培養管を可撓性チューブで構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係るチューブ式藻類培養装置は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記LED光源および前記培養管をジグザグ状に配置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係るチューブ式藻類培養装置は、上述した請求項1〜5のいずれか一つにおいて、前記培養管内に気泡を添加する通気手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、藻類を培養する藻類培養装置であって、内部に藻類と培養液と気泡とが封入されたチューブ状の培養管と、前記培養管のチューブ軸方向に沿って近接配置され、前記培養管の内部に光を照射するチューブ状のLED光源とを備えるので、設置したいスペースに適合するようにLED光源と一体化した培養管をレイアウトすることで、培養装置をフレキシブルに設置することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係るチューブ式藻類培養装置の実施例を示す培養管の断面斜視図である。
【図2】図2は、図1の側面断面図である。
【図3】図3は、本発明に係るチューブ式藻類培養装置の他の実施例を示す培養管の断面斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係るチューブ式藻類培養装置の実施例を示す回路図である。
【図5】図5は、チューブポンプの動作を示す説明図である。
【図6】図6は、図4の回路の部分拡大図である。
【図7】図7は、すだれ式に配置した培養管の一例を示す斜視図である。
【図8】図8は、ござ式に配置した培養管の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るチューブ式藻類培養装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1および図2に示すように、本発明に係るチューブ式藻類培養装置10は、藻類を培養する藻類培養装置であって、内部に藻類2と培養液4と気泡6とが封入されたチューブ状の培養管12と、培養管12のチューブ軸方向に沿って近接配置され、培養管12の内部に光を照射するチューブ状のLEDチューブライト14(LED光源)とを備える。図1の構成では、耐水性のLEDチューブライト14を培養管12内に配置してある。
【0016】
また、このような構成とする代わりに、図3に示すように、LEDチューブライト14の周囲を複数の透明(透光性)な培養管12で囲んだ構成としてもよい。
【0017】
このように、藻類2の培養スペースは、LEDチューブライト14と一体化した培養管12内とされ、この培養管12は、任意に延在方向を変えられる管状であることから、設置したいスペースに合わせチューブ軸方向をフレキシブルに変えて配置することができる。例えば、容器型の培養装置が設置しづらいような狭隘なスペースであっても、培養管12の配管レイアウトをスペースに合わせることでフレキシブルに設置することができる。
【0018】
また、LEDチューブライト14は、培養管12のチューブ軸方向に沿って近接配置されて培養管12内に光を照射するので、培地内の藻類2に均一に光を当てることができる。これにより、培地が培養管12内を移動する間に、LEDチューブライト14を光源として藻類2が増殖する。
【0019】
なお、LEDチューブライト14および培養管12は、塩化ビニル管やアクリル管を用いてもよいし、菅軸を自在に曲げられる可撓性のフレキシブルチューブを用いてもよい。
【0020】
図4に示すように、培養管12は、ジグザグ状に蛇行してなる循環回路16を形成しており、この循環回路16には、培養液4および気泡6を各別に貯蔵する第1気液槽18と第2気液槽20とが接続してある。また、この循環回路16には、培養管12内の液相を送り出す液相用チューブポンプLPと、培養管12内に気泡6を添加する通気手段としての気相用チューブポンプAPとが接続してある。
【0021】
ここで、チューブポンプLP、APは、例えば、図5(1)〜(3)の動作過程図に示すように、本体22内に通されたチューブ24と、チューブ24と隣接した駆動部26とからなる一般的なチューブポンプを用いることができる。駆動部26は、駆動ローラ28と、この周りに配置された従動ローラ30とからなり、駆動ローラ28の回転で従動ローラ30を回してチューブ24を扱くことにより、チューブ24内の液相または気相を送り出すことができる。
【0022】
また、気相用チューブポンプAPによる通気は、図6に示すように、循環している培養液4中に、CO(二酸化炭素)や空気等の気泡6を適量ずつ添加することにより行う。添加された気泡中のCOは、循環している培養液4とともに循環し、移動している間に藻類2の増殖に利用される。
【0023】
また、図には示してないが、必要に応じて、循環回路16の途中にガス溜まりを設けて気泡を循環させてもよい。さらに、図6に示すように、気相用チューブポンプAPの出口にマスフローコントローラMFCを接続して、気泡の添加量を適正に制御することもできる。
【0024】
このように、本発明では、培地を移動させるためのポンプとしてチューブポンプを用いることができる。このため、撹拌モータや循環ポンプを用いる場合に比べて使用電力を低減することができる。また、通気手段として、同様のチューブポンプを用いることができる。このため、散気ブロアや撹拌モータを用いる場合に比べて使用電力を低減することができる。
【0025】
なお、一般に、散気は培地に接触している時間が短いために、そのCO利用効率は低いものとなる。しかしながら、本発明のチューブ式藻類培養装置10では、散気ではなく通気を用いており、培養過程にある藻類2と気泡6が培養管12内で常時接しているために、COを効率的に利用することができる。
【0026】
上記の実施の形態において、LEDチューブライト14と一体化した培養管12の設置レイアウトとしては、例えば、図7に示すように、この培養管12を蛇行状(ジグザグ状)に編んで簾状に縦に配置した簾方式としてもよい。こうすることで、鉛直のスペースを有効に使用することができる。また、図8に示すように、ござのように編んで横に配置したござ方式としてもよい。ござを上下に多段重ねて行くことにより、水平のスペースを有効に使用することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、藻類を培養する藻類培養装置であって、内部に藻類と培養液と気泡とが封入されたチューブ状の培養管と、前記培養管のチューブ軸方向に沿って近接配置され、前記培養管の内部に光を照射するチューブ状のLED光源とを備えるので、設置したいスペースに適合するようにLED光源と一体化した培養管をレイアウトすることで、培養装置をフレキシブルに設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明に係るチューブ式藻類培養装置は、培養装置を設置したいスペースに合わせてフレキシブルに設置するのに有用であり、特に、容器型の培養装置が設置しづらいような狭隘なスペースにフレキシブルに設置するのに適している。
【符号の説明】
【0029】
2 藻類
4 培養液
6 気泡
10 チューブ式藻類培養装置
12 培養管
14 LEDチューブライト(LED光源)
16 循環回路
18 第1気液槽
20 第2気液槽
LP 液相用チューブポンプ
AP 気相用チューブポンプ(通気手段)
MFC マスフローコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を培養する藻類培養装置であって、
内部に藻類と培養液と気泡とが封入されたチューブ状の培養管と、
前記培養管のチューブ軸方向に沿って近接配置され、前記培養管の内部に光を照射するチューブ状のLED光源とを備えることを特徴とするチューブ式藻類培養装置。
【請求項2】
前記培養管内に前記LED光源を配置したことを特徴とする請求項1に記載のチューブ式藻類培養装置。
【請求項3】
前記LED光源の周囲に透光性の前記培養管を配置したことを特徴とする請求項1に記載のチューブ式藻類培養装置。
【請求項4】
前記LED光源および前記培養管を可撓性チューブで構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のチューブ式藻類培養装置。
【請求項5】
前記LED光源および前記培養管をジグザグ状に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のチューブ式藻類培養装置。
【請求項6】
前記培養管内に気泡を添加する通気手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のチューブ式藻類培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−34609(P2012−34609A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176695(P2010−176695)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】