説明

チョコレートベース飲料を調製する装置

飲料調製工程は、液体担体を準備し、液体担体へ香料を供給し、液体担体を随意的に加熱し、液体担体を撹拌して液体担体内の香料の溶解および/または分散を促すことを含む。香料は、液体担体へ自立体(2)の形で供給され、自立体(2)が少なくとも1つの面(3)を有し、少なくとも1つの面から香料が液体担体内へ溶解および/または分散される。液体担体は、液体担体内への香料の制御された溶解および/または分散を達成するように、この少なくとも1つの面に沿って循環するように制御されて撹拌される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳および/または水などの液体担体とカカオベース原料などの香料とで飲料を調製する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートベース飲料を調製する様々な方法が知られている。このようなチョコレート飲料は、一般に2種類に区別されうる。一方では、工場で調製され、そのまま消費可能な形で消費者に供給されるチョコレートに係る所謂「すぐに飲用できる」チョコレート飲料がある。他方では、消費者により消費前に水および/または牛乳と混合される粒状のチョコレート香料の形で消費者に供給されるインスタント式のチョコレート飲料がある。
【0003】
例えば、米国特許第6,290,997号明細書と米国特許第6,838,110号明細書は、コーヒー、茶またはココアを含む粒状原料の形のインスタント飲料を開示している。飲料は、このような紛体と水および/または牛乳を混合して混合物を数秒間撹拌することによって使用者により調製される。後者の文献では、下位の実施形態として、消費用タブレットまたは他の固形状の凝集粉末原料の供給を考慮することが特筆されている。
【0004】
米国特許第6,796,705号明細書は、バッテリ駆動される電動式泡立て器を伴うマグを開示している。牛乳などの第1の液体がマグ内へ注がれて電動式泡立て器の作動により空気を混入される。その後、空気を混入された牛乳内へ第2の液体を注ぐことができ、空気を混入された牛乳が上部に浮揚する。マグ内へ注がれる第2の液体は、ホットコーヒーまたはホットチョコレートとすることができる。第2の液体自体の調製については、取り扱われていない。
【0005】
米国特許第6,318,247号明細書は、加熱要素と電動式混合要素を伴う容器を有する装置に関する。この装置は、ココアまたはチョコレートなどの香料添加剤を混合されたホットミルクを調製し、容器内の飲料の上部に一定量の泡を作り出すものである。
【0006】
また、例えば、欧州特許第1827188号明細書と国際公開第2008/142154号は、加熱器と電動式撹拌器を有する泡立てタンクを開示している。
【0007】
米国特許第4,435,084号明細書は、飲料と甘味料および/またはクリームとを撹拌するモータ駆動式ブレードアセンブリを伴うカップを開示している。
【0008】
欧州特許第1238608号明細書は、コーヒー、牛乳および/または砂糖などの飲料材料が適用される支持部材を有する飲料器具を開示している。使用者は、温水中に器具を保持して浸し、器具を手動で撹拌して飲料を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ココアベースの粉末材料と牛乳または水を混合することによりチョコレート飲料を調製する場合、粉末材料が牛乳に完全に溶解および/または分散しないという問題が生じる。この問題は、チョコレート材料を使用して牛乳または水に風味付けするときには、液体の上部にココア油脂の層が形成されるので、さらに悪化する。
【0010】
このため、本発明は、風味付けされた飲料、特にチョコレート飲料を調製するシステムを提案することにより、従来技術の欠点を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、液体担体(liquid carrier)を準備し、液体担体へ香料を供給し、液体担体を随意に加熱し、液体担体を撹拌して液体担体内の香料(flavouring ingredient)の溶解および/または分散を促す飲料調製工程によって概ね達成される。
【0012】
本発明によれば、香料は、液体担体へ自立体の形で供給される。自立体は、少なくとも1つの面を有し、面から香料が液体担体内へ溶解および/または分散される。液体担体は、液体担体内への香料の制御された溶解および/または分散を達成するように、少なくとも1つの面に沿って循環するように制御されて撹拌される。
【0013】
自立体は、2または3cmより大きな体積、特に少なくとも15〜20cmなど少なくとも5または10cmの体積を有しうる。このような自立体は、従って、香料の緩んだ粉末状の粒子、顆粒または小片もしくは破片を含んでいない。
【0014】
例えば、液体は、液体担体と原料自立体の特性に合わせて定速または所定の可変速で作動される電動式推進器(impeller)により撹拌される。電動式推進器は、制御部を用いて制御されうる。
【0015】
よって、本発明の工程を適用することによって、液体担体へ香料を制御せずに追加することにより香料の沈殿を生じさせることが抑制される。また、チョコレートの円柱体を水内に混入するなど、混和性の低い香料、特にチョコレートを液体担体内に混入することを、例えば完全または部分的な乳化により十分に達成できる。
【0016】
ここで、疎水性の高いまたは完全に疎水性の自立原料を親水性の高いまたは完全に親水性の液体担体内に混入してもよく、親水性の高いまたは完全に親水性の自立原料を疎水性の高いまたは完全に疎水性の液体担体内に混入してもよい。このようにして、相分離の形成を抑制できる。飲料調製物は、親水相内への疎水相の分散またはその逆となりうる。
【0017】
液体担体内へのランダムで無秩序な原料の混入とは対照的に、制御され、特に、所定の撹拌に従った自動的な撹拌により緩やかに制御された溶解および/または分散は、飲料調製物内の望ましくない相分離を抑制する。
【0018】
液体担体は、水、コーヒーおよび/または牛乳ベースとすることができる。香料は、インスタントコーヒー、チョコレート、ココア、砂糖または蜂蜜とすることができる。例えば、チョコレート(溶解性および/または円柱状のココアベース固形物)は、撹拌された温かい水および/または牛乳内に配置され、飲料内にチョコレートの沈殿または顕著な相分離を伴わない液体担体内の最適なチョコレート分布を有する飲料の形でホットチョコレートを形成する。あるいは、このようなチョコレート自立体をホットコーヒーまたは加熱されたコーヒーに用いてモカコーヒーを形成してもよい。同様にして砂糖および/または蜂蜜などの甘味料を牛乳ベースおよび/または他の液体担体内へ混入してもよい。
【0019】
例えば、ホワイトチョコレート、ミルクチョコレートまたはダークチョコレートなどのチョコレート、例えば、15または20%を超える量、特に20または30%〜55または70%の量のココアバターまたは同等の脂肪を含むチョコレートなどは、インスタント飲料の原料ではない。チョコレートおよび同様の原料は、加熱された液体内で比較的緩やかな溶解および/または分散速度を有しており、このような液体内へ適当に混入することはかなり難しくなる。制御されて混入されないとき、チョコレートは、チョコレートが混合される液体の上部に脂肪の層を形成し易い。本発明は、電動式推進器と通常は加熱器により自動的に混入を制御することにより、この問題を解決するための信頼性の高い簡単な方法を提案する。電動式推進器と加熱器は、いずれもチョコレートと液体担体の特性に合わせて液体担体とチョコレート原料との混合を最適化する。このようにして、チョコレート原料と液体担体の適当な乳化を達成して従来技術の問題を解決できる。
【0020】
より一般的に、ここで用いられる用語「チョコレート」は、特にダーク、ミルクまたはホワイトチョコレートを含んでいる。チョコレートは、砂糖と、牛乳由来の成分と、ココア原料からの脂肪および固形物とを様々な比率で含んでおり、全脂肪量がチョコレート重量の25%または28%を超える。用語「チョコレート」は、世界中の様々な国で法律上チョコレートとして記載されうる材料に限定されない。加えて、チョコレートは、重量で25%を超える脂肪量を伴うチョコレートのレオロジー特性と同様または実質的に同等のレオロジー特性を有する製品または物質でもよい。このような製品は、ココアバターの直接置換物(direct cocoa butter replacements)、ステアリン、ココナッツ油、ヤシ油、バターまたはこれらの混合物を含むチョコレート代替物、非テンパリング脂(non tempering fat)により置換されたココアアバターを伴うチョコレート類似物、例えば他の栄養糖質甘味料により砂糖が部分的または完全に置換されたチョコレート製品、または非ココアバター脂、砂糖および牛乳を含みネスレ社により販売される「Caramac(登録商標)」を含みうる。加えて、例えば、欧州特許第1759591号明細書に記載されている水含有チョコレート成分など、50または60%未満、特に30または35%までの量など40または45%までの量、例えば5または10%〜20または25%の量の水を含むチョコレート製品もまた含まれる。
【0021】
香料は、沈殿のリスクを低減するために、少なくとも1つの面の全体から実質的に定率で十分に緩速で液体担体内へ溶解および/または分散されてもよい。よって、溶解および/または分散面は、香料を液体担体内へ供給することにより均等に擦り減ることになり、この面のいかなる領域も原料の沈澱をもたらす過剰の原料を供給しないことになる。
【0022】
香料は、溶解および/または分散の主要期間に亘って実質的に定速で、自立体の面から液体担体内へ溶解および/または分散されてもよい。自立体を全体的に液体担体と完全に混合してもよい場合またはよいときは、自立体の構造が端部に向けて崩壊してもよい。しかし、簡便なテーパ形状および/または自立体の持続的な支持構造は、このような崩壊を抑制し、または防止さえしうる。
【0023】
本発明の好適な実施形態では、飲料調製工程は、タンク内に収容される液体担体内へ香料を溶解および/または分散することにより、このようなタンク内のバッチの形で実施される。バッチは、典型的に、例えば、0.03〜0.4リットルまたは0.05〜0.2リットルなどの飲用カップまたはマグなどに小分けされる飲料に相当する。
【0024】
タンクは、典型的に、液体担体に接する加熱されたタンク壁および/または液体担体内の熱蒸気伝達口などの熱伝達域内で液体担体内へ熱を伝達する手段と関連付けられている。加熱された底部を伴うタンクの詳細は、欧州特許第1827188号明細書と国際公開第2008/142154号に開示されており、蒸気加熱を伴うタンクの詳細は、欧州特許出願公開第08163423.0号明細書と欧州特許出願公開第08163427.1号明細書に開示されている。これらの文献の内容は、ここで参照により組み込まれる。
【0025】
これらの従来技術文献の原理と本発明との組合せは、特に、牛乳などの適当な液体担体を泡立てることによる、タンク内での空気の供給または泡の形成という選択肢を提案する。空気の供給または泡の形成は、液体担体内への香料の溶解および/または分散の前、途中および/または後に行われてもよい。
【0026】
自立体は、液体担体内に保持され、かつ溶解または分散されていない香料が熱によって自立体から液体担体内へ供給されることを抑制するために熱伝達域から離間していることが好ましい。これは、チョコレートのような溶解性の原料自立体を用いる場合に特に重要となる。
【0027】
渦は、液体担体の制御された撹拌により、特に、タンクと関連付けられた撹拌器などの回転推進器を用いてタンク内で液体担体を動かすことにより、液体担体内に形成されてもよい。このような構成の例は、前述した欧州特許第1827188号明細書、国際公開第2008/142154号、欧州特許出願公開第08163423.0号明細書、欧州特許出願公開第08163427.1号明細書に開示されており、ここで参照により組み込まれる。ここで、液体担体を一般的な円状または螺旋状の流れの中で動かしてもよい。他の種類の流れ、線状の流れ、特に凡そ直線状の流れの中などに液体担体を晒すことも考慮される。原料自立体が晒される液体担体の流れを螺旋状または開放状にしてもよい。流れを層流または乱流にしてもよい。
【0028】
自立体は、典型的に、主面を有し、主面から香料が液体担体内へ支配的に溶解および/または分散される(「溶解および/または分散主面」)。この主面は、概ね等速度で撹拌される液体担体に対して実質的に至る所で晒されるように液体担体内に配置されている。よって、面は、そこからの香料の溶解および/または分散により、ほぼ均等に擦り減ることになる。
【0029】
本発明は、チョコレート飲料の調製工程にも関する。この工程は、牛乳および/または水などの液体担体をタンク内に準備し、液体担体内へチョコレート、特にチョコレートの自立体を供給し、液体担体を加熱し、液体担体を撹拌してチョコレートと液体担体を混合することを含んでいる。
【0030】
本発明によれば、タンクは、制御部により制御される電動式の推進器と関連付けられ、電動式推進器が、特に一定および/または均一に、タンク内の液体担体を制御可能に撹拌して液体担体内のチョコレートを実質的に均質に混合する。
【0031】
この工程は、もちろん前述したいかなる特徴を組み合わせてもよく、これらの特徴のいかなる組合せを組み込んでもよい。
【0032】
このような工程によれば、推進器、典型的には回転撹拌器または泡立て器により生じる撹拌を液体容積、チョコレート量、タンクの構成に合わせて、液体の上部にチョコレート脂肪の通常の層を形成することを防止しながら液体担体内に原料の適当な溶解および/または分散を形成できる。特に、このような方法は、滑らかな質感を伴う伝統的な偏りのないウォーターチョコレート飲料の調製を可能にする。
【0033】
本発明の他の態様は、前述したような飲料調製工程を実施する飲料調製装置に関する。この装置は、液体担体を収容するタンクと、タンク内の液体担体内へ熱を供給する随意的な加熱手段と、この液体担体へ制御された撹拌を加える、撹拌器などの電動式の推進器とを備えている。このような装置の特徴は、前述した欧州特許第1827188号明細書、国際公開第2008/142154号、欧州特許出願公開第08163423.0号明細書、欧州特許出願公開第08163427.1号明細書に開示されており、参照により組み込まれる。
【0034】
また、本発明の装置は、タンク内に収容されるこのような液体担体内に香料の自立体を支持して配置する支持手段を備えている。このような自立体は、少なくとも1つの面有しており、この飲料調製工程中に面からこの香料が液体担体へ溶解および/または分散される。電動式推進器と支持手段は、使用中に、液体担体内への香料の制御された溶解および/または分散を達成するように、液体担体が少なくとも1つの面に沿って循環するように制御されて推進器により撹拌されるように、タンク内に配置されている。
【0035】
自立体の溶解および/または分散面を通過する液体担体の速度は、溶解および/または分散の速度に従うべきである。
【0036】
タンクは、加熱されたタンク壁(欧州特許第1827188号明細書、国際公開第2008/142154号に開示されるような)および/またはタンク内への熱蒸気伝達口(欧州特許出願公開第08163423.0号明細書、欧州特許出願公開第08163427.1号明細書に開示されるような)などの熱伝達域内で液体担体内へ熱を伝達する手段と関連付けられてもよい。支持手段は、飲料調製工程中に自立体が液体担体内に保持されて熱伝達域から離間するように配置されている。
【0037】
推進器と支持手段は、溶解または分散されていない香料が自立体から液体担体内へ供給されることを抑制するために、自立体が推進器から離間するようにタンク内に配置されてもよい。
【0038】
タンクは、回転中心軸の周りに直立に延びる概ね円筒または円錐台形の形状を有し、電動式の推進器がタンク内に軸外(off axis)に配置され、支持手段が、推進器の正反対(diameterally opposite)に自立体を支持して配置するように配置され、支持手段が、特に、推進器に面する溶解および/または分散の主面を伴う自立体を支持するように配置されてもよい。
【0039】
偏心した推進器の備え付けにより、香料を混入される工程にある液体担体がより均質化され、沈殿なしに液体担体内へ溶解および/または分散することにより混入されうる香料の総量が増加する。タンクと推進器の適当な形状と構成により、撹拌される液体担体を均質化する仕組みは、ここで参照により組み込まれる欧州特許第1827188号明細書でより詳しく議論されている。
【0040】
支持手段は、主面を伴うこの自立体を支持するように配置され、主面から香料が液体担体内へ支配的に溶解および/または分散され、このような主面が推進器の周りにアーチ状に、例えば環状要素の稜部として延びうる。
【0041】
自立体は、主面を有し、主面から香料が液体担体内へ支配的に溶解および/または分散されてもよい。この主面は、概ね等速度(relative velocity)で撹拌される液体担体に対して実質的に至る所で晒されるように、液体担体内に配置されている。
【0042】
本発明について概念図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る飲料調製工程を実施する装置の一部を示す図である。
【図2】本発明に係る装置のために原料自立体を支持して配置する支持装置を示す図である。
【図3】図2の支持装置を原料自立体と組み合わせて示す図である。
【図4】本発明に係る飲料調製工程を実施する他の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明に係る飲料調製工程を実施する装置1の一部を示す斜視図である。装置1は、泡立てジャグ10と、香料の自立体2の支持要素20を有している。図2と図3は、支持要素20を単独で示しており、図3は、支持要素20内に保持された自立体2を示している。
【0045】
図1に例示する泡立てジャグ10は、液体担体(不図示)を収容する円筒状のタンク11を有している。タンク11は、底部12と側壁13を有している。タンク11は、底部12の下向きの面に対して取り付けられた厚膜ヒータなどの抵抗加熱器(不図示)と、底部12の下方に配置された電動機(不図示)と協働する撹拌器14とに関連付けられている。撹拌器14は、底部12を通じた磁気結合装置を介して電動機により駆動される。このような構造を有する泡立てジャグの詳細は、ここで参照により組み込まれる、欧州特許第1827188号明細書と国際公開2008/142154号に開示されている。あるいは、底部の抵抗加熱器を熱蒸気加熱器に置き換えてもよい。熱蒸気加熱器の詳細は、ここで参照により組み込まれる欧州特許出願公開第08163423.0号明細書または第08163427.1号明細書に開示されている。
【0046】
支持要素20は、タンク11内に支持要素20を適当に固定する固定要素21を有している。固定要素21は、タンク11の上リム11´に適合する溝24を平行内壁23とともに画定する下向きに突出する外壁22を有している。外壁22と内壁23は、固定台25を介して互いに固定されており、上リム11´を圧迫してタンク11内に支持要素20を安全に固定するように弾性的に構成されている。
【0047】
固定台5は、タンク11の口部の一部だけを覆っている。よって、使用者は、動作中にタンク11の内部を監視して内部にアクセスすることができる。変形例では、このような固定台は、タンクの口部全体を実際にまたは実質的に覆うことによりタンクの外側への液体の跳び出しを防止してもよい。このような台蓋を通常動作中にタンクの内側への視覚アクセスをもたらすために透明材料で作ることができる。
【0048】
直立ロッド22´などの形の接続部を介して、固定要素21は、原料バスケット26を保持している。バスケット26は、水平半環状のリム27と、開口部27から下方に延びる一連のU字状のハンガ28とを有している。バスケットは、1個から5個または10個、特に2個から4個、または図示するように3個のハンガなど、より多くまたはより少ない数のハンガを有してもよい。リム27とハンガ28は、タンク11内に原料の自立体2を強固に保持し、飲料調製工程中に開口部29を通して液体担体(不図示)へ自立体2を晒す大きな開口部29を画定するように配置されている。開口部29は、バスケット29の面、特に内面の少なくとも80、90、95または98%を形成してもよい。バスケット26の外面(または背面)も、このような開口部を有してもよく、有さなくてもよい。しかし、溶解および/または分散は、バスケット26の内側付近で支配的に生じうる。
【0049】
自立体2は、少なくとも1つの面、本実施形態ではアーチ状の内面3を有しており、行程中にその面から香料が液体担体内へ溶解および/または分散される。
【0050】
より一般には、自立体2は、自立体上を循環する液体担体の流れの経路とほぼ平行する大きな面を有してもよい。よって、液体の流れに対してほぼ接線方向をなす自立体の面を最大化して、液体担体の通過により優先して擦り減る面を最大化できる。典型的に、自立体は、液体の流れに対してほぼ接線方向に配置されたより大きな原料供給面を伴う板状の形状を有することができる。添付図に示す構成のように、液体を螺旋状に循環させる場合、自立体2を液体担体の流れに従って湾曲させたり反らせたりしてもよい。添付図に示す具体的な実施形態では、自立体2は、自立体2からの飲料の溶解および/または分散を最適化するために、板状であり、例えば半円状に反っており、僅かにテーパ付けされて液体の循環経路にほぼ適合している。
【0051】
電動撹拌器14と支持要素20は、液体担体内への香料の制御された溶解および/または分散を達成するために、使用中に、液体担体が自立体の溶解および/または分散面3上を循環するように制御されて撹拌器14により撹拌されるように、タンク11内に配置されている。撹拌器14と支持要素20は、少なくとも実質的に溶解および/または分散の全工程中に自立体2が撹拌器14から離間して保持されるように、タンク11内に配置され、または配置できる。よって、溶解または分散されていない香料が、自立体2に対する撹拌器14の機械的動作により自立体2から液体内へ供給されること、つまり制御されていない溶解および/または分散をもたらすことが防止される。
【0052】
図1に示すタンク11は、回転中心軸15の周りに直立に延びる円筒状の形状を有している。電動撹拌器14は、タンク11内に軸外に配置されて液体の混合を向上させる。支持要素20は、推進器の正反対に推進器の周りに自立体を支持して配置するように配置されている。支持要素20は、撹拌器14に面する溶解および/または分散主面3を伴う自立体2を支持するように配置されている。
【0053】
このようにして、撹拌器14の回転により液体担体内に形成された渦は、自立体2に亘って延びる高い面を伴うタンク11内の軸外に回転中心を有することになる。
【0054】
特に、自立体2の面3の傾きを撹拌器14を伴うタンク11の特有の形状に調節するとともに撹拌器14の回転速度に対して調節することにより、タンク11内を概ね等速度で回転する液体に対して実質的に至る所で面3を晒すことができる。もちろん、自立体2の上部で液体担体の速度を増加させることもできる。この場合、自立体2は、循環する液体担体が自立体2に沿って通過しながら溶解または分散する原料を取り込むことにより、その厚さ方向のみならずその高さ方向にも擦り減ることになる。
【0055】
好適な実施形態では、自立体2がチョコレート、特にダークチョコレートからなり、液体担体が水および/または牛乳からなる。
【0056】
図4と図5は、本発明に係る他の実施形態を開示しており、同一の参照符号が同一の要素を示している。
【0057】
飲料調製装置1は、装置のタンク11に固定された支持部材20を有してもよい。このような支持部材20は、タンク11と一体化されてもよく、タンク11に機械的に接続されてもよい。
【0058】
この特定の実施形態では、支持部材20は、長手方向に延びる開口部29を伴う管状の形状を有している。
【0059】
支持部材20は、円柱状のチョコレートなどの円筒状の原料の自立体2を配置し、その面3をタンク11内で撹拌される液体に対して晒すように配置されている。支持部材20は、タンクの底部12のスペーサ28と協働する。スペーサ28は、底部12の上方に自立体2を離隔するように配置されている。スペーサ28は、熱絶縁体または熱吸収体の役目を果たし、自立体12が加熱されたタンクの底部12に対して直接晒されることを妨げる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体担体を準備し、前記液体担体へ香料を供給し、前記液体担体を随意に加熱し、前記液体担体を撹拌して前記液体担体内の前記香料の溶解および/または分散を促す飲料調製工程において、
前記香料が前記液体担体へ自立体(2)の形で供給され、前記自立体(2)が少なくとも1つの面(3)を有し、前記少なくとも1つの面から前記香料が前記液体担体内へ溶解および/または分散され、
前記液体担体内への前記香料の制御された溶解および/または分散を達成するように、前記液体担体が前記少なくとも1つの面に沿って循環するように制御されて自動的に撹拌されることを特徴とする飲料調製工程。
【請求項2】
前記香料が、前記少なくとも1つの面(3)の全体から実質的に定率で、および/または前記少なくとも1つの面(3)から前記溶解および/または分散の主要期間に亘って実質的に定速で、前記液体担体内へ溶解および/または分散される、請求項1に記載の飲料調製工程。
【請求項3】
タンク(11)を準備し、前記タンク内に収容される前記液体担体内へ前記香料を溶解および/または分散することにより前記飲料のバッチを調製する、請求項1または2に記載の飲料調製工程。
【請求項4】
前記タンク(11)が、前記液体担体に接する加熱されたタンク壁(12)および/または前記液体担体内の熱蒸気伝達口などの熱伝達域内で前記液体担体内へ熱を伝達する手段と関連付けられている、請求項3に記載の飲料調製工程。
【請求項5】
前記自立体(2)が前記液体担体内に保持されて前記熱伝達域(12)から離間している、請求項4に記載の飲料調製工程。
【請求項6】
前記液体担体の制御された撹拌により、特に、前記タンク(11)と関連付けられた撹拌器(14)などの回転推進器を用いて前記タンク内で液体担体を動かすことにより、液体担体内に渦を形成する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の飲料調製工程。
【請求項7】
前記自立体(2)が主面(3)を有し、前記主面から前記香料が前記液体担体内へ支配的に溶解および/または分散され、前記主面が、概ね等速度で撹拌される前記液体担体に対して実質的に至る所で晒されるように前記液体担体内に配置されている、請求項6に記載の飲料調製工程。
【請求項8】
前記液体担体が水、牛乳、コーヒーの少なくとも1つからなり、および/または前記香料がコーヒー、チョコレート、ココア、砂糖、蜂蜜の少なくとも1つからなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料調製工程。
【請求項9】
牛乳および/または水などの液体担体をタンク(11)内に準備し、前記液体担体内へチョコレート、特にチョコレートの自立体(12)を供給し、前記液体担体を加熱し、前記液体担体を撹拌して前記チョコレートと前記液体担体を混合する、チョコレートベース飲料を調製する、請求項1〜8のいずれか一項に特に定義された飲料調製工程において、
前記タンクが、制御部により制御される電動式の推進器(14)と関連付けられ、前記電動式推進器が、特に一定および/または均一に、前記タンク内の前記液体担体を制御可能に撹拌して前記液体担体内の前記チョコレートを実質的に均質に混合することを特徴とする飲料調製工程。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に定義された飲料調製工程を実施する飲料調製装置(1)であって、
液体担体を収容するタンク(11)と、
前記タンク内の前記液体担体内へ熱を供給する随意的な加熱手段と、
前記液体担体へ制御された撹拌を加える、撹拌器(14)などの電動式の推進器と、
少なくとも1つの面(3)を有する香料の自立体(2)であり、前記飲料調製工程中に前記少なくとも1つの面から前記香料が前記液体担体へ溶解および/または分散される前記自立体を、前記タンク内に収容される前記液体担体内に支持して配置する支持手段(20)とを備え、
前記電動式推進器と前記支持手段が、使用中に、前記液体担体内への前記香料の制御された溶解および/または分散を達成するように、前記液体担体が前記少なくとも1つの面に沿って循環するように制御されて前記推進器により撹拌されるように、前記タンク内に配置されている飲料調製装置。
【請求項11】
前記タンク(11)が、加熱されたタンク壁(12)および/または前記タンク内への熱蒸気伝達口などの熱伝達域内で前記液体担体内へ熱を伝達する手段と関連付けられ、前記支持手段(20)が、前記飲料調製工程中に前記自立体(12)が前記液体担体内に保持されて前記熱伝達域から離間するように配置されている、請求項10に記載の飲料調製装置。
【請求項12】
前記推進器(14)と前記支持手段(20)が、前記自立体(2)が前記推進器から離間するように前記タンク(11)内に配置されている、請求項10または11に記載の飲料調製装置。
【請求項13】
前記タンクが、回転中心軸(15)の周りに直立に延びる概ね円筒または円錐台形の形状を有し、電動式の前記推進器(14)が前記タンク(11)内に軸外に配置され、前記支持手段(20)が、前記推進器(14)の正反対に前記自立体(2)を支持して配置するように配置され、前記支持手段が、特に、前記推進器に面する溶解および/または分散の主面(3)を伴う前記自立体を支持するように配置されている、請求項12に記載の飲料調製装置。
【請求項14】
前記支持手段(20)が、前記主面を伴う前記自立体(2)を支持するように配置され、前記主面から前記香料が前記液体担体内へ支配的に溶解および/または分散され、前記主面が概ね前記推進器の周りにアーチ状に延びている、請求項12または13に記載の飲料調製装置。
【請求項15】
前記自立体(2)が主面(3)を有し、前記主面から前記香料が前記液体担体内へ支配的に溶解および/または分散され、前記主面が、概ね等速度で撹拌される前記液体担体に対して実質的に至る所で晒されるように、前記液体担体内に配置されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載の飲料調製装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505758(P2013−505758A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530293(P2012−530293)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064414
【国際公開番号】WO2011/039222
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】