説明

ツインタイプの包装容器

【課題】2つの容器を組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に供すべく、各容器の連結構造を工夫するとともに、取り扱いに便利な包装容器を提供する。
【解決手段】互いに開口部を付き合わせた状態の第1容器100と第2容器200を、連結部材310を用いて分離可能に連結してなる包装容器。第1容器100と第2容器200は、それぞれ開口周縁にフランジ部101、201を有していて、連結部材310は、付き合わせられた両フランジ部101、201を保持する。連結部材310は、調理中や喫食時に第1または第2容器の周囲に位置して、断熱材として機能する。つまり、消費者が容器を手で持った場合でも、連結部材310が介在することで、熱さをあまり感じないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント食品を収容する包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカップ入り即席ラーメンに代表されるインスタント食品は、多種多様なものが知られている。それらの多くは、カップ状の容器にお湯を注いで調理するものである。
【0003】
熱湯を注いで調理する場合に、消費者がカップ状容器を手に持っても、熱さをあまり感じないようにするため、あるいは保温性を高めるために、断熱性に優れた容器が提案されている。特許文献1および特許文献2では、容器を2重壁構造とすることで断熱性を高めている。
【0004】
一方、多様な形態が種々提案されるインスタント食品の分野において、他の商品との差別化を図るべく、これまでにない新規な包装形態を模索する中で、カップ状容器を2つ組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に利用する形態に思い至った。
【0005】
【特許文献1】特開平11−321936号公報
【特許文献2】特開2004−315032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2つの容器を組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に供すべく、各容器の連結構造を工夫するとともに、取り扱いに便利な包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装容器は、第1および第2の2つの容器を備える。各容器は、それぞれ開口周縁にフランジ部を備えていて、互いのフランジ部を付き合わせた状態で、連結部材を用いて分離可能に連結している。
【0008】
ここで「フランジ部」とは、開口の周縁から外方へ突出した構造を意味する。一般に言われる平板状のフランジ部(鍔部)だけでなく、容器の開口周縁をカールさせて出っ張らせた構成等も含む。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本発明の包装容器においては、別個の独立した2つの容器を用いて、2種類の食材を調理できる(例えば、即席スパゲッティにおける麺とソース)。したがって、多様なインスタント食品を提供するのに極めて適している。
【0010】
また、2つの容器を連結するのに用いる連結部材は、特にこれを帯状体や箱状体として構成した場合に、断熱部材として利用できるので、消費者にとって好都合である。
すなわち、熱湯を用いて調理するインスタント食品の場合、調理時あるいは喫食時において、消費者が容器を手で持ったときでも、連結部材が介在することで、熱さをあまり感じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る包装容器を示している。
【0012】
≪第1実施形態(図1)≫
図1(a)、(b)に示した包装容器は、上方側に位置する第1容器100と、下方側に位置する第2容器200と、両者を連結する連結部材300と、で構成されている。
第1容器100は、開口周縁にカール状のフランジ部101を有する。同様に、第2容器200は、開口周縁にカール状のフランジ部201を有する。
第1容器100と第2容器200は、互いのフランジ部101、201を付き合わせた状態で重ねられ、連結部材300を用いて分離可能に連結されている。
【0013】
第1容器100はテーパ状の周壁102を備えており、連結部材300は、これに外嵌
するテーパ状の周壁301を備える。
連結部材300は、全体がテーパのついた帯状に構成されており、径の大きい側から突出する突出領域304を一体的に備えている。この突出領域304には、周方向に延在するスリット305が形成されていて、このスリット305の一側辺からは、テーパ状周壁301の小径部に向かって突片306(係合部)が突出している。
【0014】
図1(a)に示したように、連結部材300のスリット305内に、付き合わせ状態のフランジ部101、201を位置させて、突片306(係合部)が下方側からカール状のフランジ部201に係合し、これにより、第1容器100と第2容器200とが連結状態に保持される。
【0015】
図示の例では、カール状のフランジ部201の根元に突片306が食い込むように係合している。しかし、フランジ部を外方にさらに大きく突出するよう構成すれば、突片306を省略して、単なるスリットを係合部とすることも可能である。
【0016】
図示の例では、連結部材300に2つの突出領域304を設け、したがって、スリット305も2箇所に存在している。しかし、スリットは、必ずしも突出領域に付設する必要はないし、スリットの数についても、3つあるいはそれ以上とすることも可能である。
【0017】
≪即席スパゲッティに適用する場合≫
例えば、図1の包装容器を即席スパゲッティに適用する場合、次のような使用態様が考えられる。
第1容器100の周縁開口は、通常のカップ入り即席ラーメンに見られるような、シート状の蓋材(図示せず)で封止する。すなわち、第1容器100に乾燥麺を入れて、これに熱湯を注いで当該蓋材で封止する。所定時間経過後、蓋材を除去して、麺(パスタ)が出来上がる。
一方、第2容器200は、そのような蓋材を備えておらず、常時開口した状態にある。ソースを封入したレトルトパックを第2容器200に入れて熱湯を注ぐ。所定時間経過後、熱湯を捨てて、レトルトパックを開封して、ソースを第2容器200内に取り出す。
このようにして、麺(パスタ)とソースを別々に調理して喫食可能とした状態を図1(b)に概略的に示している。
乾燥麺や、ソースを封入したレトルトパック、その他の具材は、適宜個別に袋に入れる等して、第1容器100あるいは第2容器200内に収容する。そして、両容器100、200を連結部材300で連結した状態で、即席食品として販売する。このとき、必要であれば、図1に示したように、容器全体を透明フィルム130でシュリンクする。
【0018】
勿論、即席スパゲッティ以外にも種々の使用態様を採用することは可能である。第1容器および第2容器のいずれにシート状蓋を設けるかについては、当該包装容器をどのような即席食品に適用するのか、あるいは調理方法をどのように設定するのかに応じて、適宜選択することができる。
【0019】
連結部材300は全体が帯状であるため、図1(b)に示したように、喫食時あるいは調理時に、これを容器の周囲に配置して断熱材として使用することができる。すなわち、消費者が容器を直接手で持ったときでも、連結部材300が介在することで、熱さをあまり感じないようにできる。
【0020】
続いて、図2以降を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。基本的な構造および思想は、第1実施形態の場合と同じであるため、異なる部分に重点をおいて説明する。
【0021】
≪第2実施形態(図2)≫
連結部材310として、図2(a)、(b)に示したような、第1容器100を覆う箱状の枠体を使用している。この連結部材310は、底壁保持部311と、側壁部312a、312bと、連結係止部313a、313bと、を備える。
底壁保持部311は、第1容器100の底壁に沿って延在し、その両側から2つの側壁部312a、312bが対向して、第1容器100を挟み込むように延在している。連結係止部313a、313bは、それぞれ、2つの側壁部312a、312bにアーチを掛けるようにして、両者を連結している。
【0022】
喫食時には、図2(b)に示したように、連結部材310の上面において、連結係止部313aと313bの間に形成される開口315から、第1容器100の開口が外部に露出する。
また、第1容器100と第2容器200を連結する場合には、開口315内に第2容器のフランジ部201が入り込み、連結係止部313a、313bがカール状のフランジ部201に下方側から係合する。
【0023】
連結部材310も、第1実施形態の連結部材300と同様に、喫食時あるいは調理時に断熱材として利用することができる(図2(b))。
【0024】
≪第3実施形態(図3)≫
連結部材320として、図3(a)、(b)に示したような、帯状体を使用している。この帯状体(連結部材)320は、付き合わされた第1容器および第2容器のフランジ部101、201の外周に沿って延在する。
帯状体320には、周方向に延在するスリット325が形成されていて、このスリット325の上下の側辺からは、向かい合うように2つの突片326a、326bが突出している。
【0025】
図3(a)に示したように、連結部材320のスリット325内に、付き合わせ状態のフランジ部101、201を位置させる。その状態で、突片326a、326bが上下両側からカール状のフランジ部101、201に係合し、これにより、第1容器100と第2容器200とが連結状態に保持される。
【0026】
なお、図示の例では、スリット325内に上下2つの突片326a、326bを設けているが、このような突片が存在しなくても、スリット325だけである程度の連結・保持力が得られる。
したがって、突片326a、326bは省略可能であり、また、いずれか一方だけ設けることも可能である。特に、フランジ部101、201の突出量が図示のものよりも大きい場合には、突片326a、326bは必要ない。
【0027】
また、図示の例では、連結部材320の周方向に沿ってスリット325を2つ形成しているが、3つあるいはそれ以上のスリットを設けてもよい。
【0028】
連結部材320も、第1実施形態の連結部材300と同様に、喫食時あるいは調理時に断熱材として利用することができる(図3(b))。
【0029】
≪第4実施形態(図4)≫
連結部材330として、図4(a)、(b)に示したような箱状体を使用している。この箱状体は、対向する第1および第2の保持板331、332を含む。第1保持板331は中央に開口331aを備え、同様に、第2保持板332は中央に開口332aを備える。両保持板331、332は、その周辺部において互いに連結されて、平行に位置している。
【0030】
第1容器100および第2容器200は、それぞれ、開口部に向かって大径となるテーパ状の周壁102、202を備えている。そして、第1、第2保持板331、332の中央開口331a、332aはその最大径が、それぞれ、第1容器100および第2容器200の最大径よりも小さく設定されている。
すなわち、テーパ状の容器100、200の下方側の小径部は、開口331a、332aを通過できるが、テーパ上方の大径分は、同開口を通過することはできない。これにより、図4(a)に示したように、第1容器100および第2容器200を付き合わせた状態で保持することができる。
【0031】
連結部材330も、第1実施形態の連結部材300と同様に、喫食時あるいは調理時に断熱材として利用することができる(図4(b))。
【0032】
≪第5実施形態(図5)≫
第5実施形態では、第1容器100と第2容器200は、連結部150によって、相対的に回動可能に連結されている。第1容器100、連結部150、第2容器200は、型成形により一体的に構成されていて、連結部150は、第1容器のフランジ部101と第2容器のフランジ部201にアーチをかけるように両者を連結している(図5(b))。
【0033】
第1容器のフランジ部101には凹部105が形成され、これに対応する凸部205が第2容器のフランジ部201に形成されている。両容器100、200を付き合わせた場合に、これら凹部105と凸部205が係合して、両容器100、200は位置決めされる。
【0034】
なお、凹部105を第2容器のフランジ部201に設け、凸部205を第1容器のフランジ部101に設けることとしてもよい。また、凹部105および凸部205の具体的形態は、図示のものには限られない。
【0035】
以上のようにして両容器100、200を付き合わせた状態で、帯状の連結部材340で固定する(図5(a))。
連結部材340は、第1容器100の底壁に沿って延在する第1底壁保持部341と、第2容器200の底壁に沿って延在する第2底壁保持部342と、これら両保持部341、342の両側をそれぞれ連結する2つの側壁部343、344と、を備える。
【0036】
図示はしていないが、第5実施形態における連結部材340も帯状であるため、これを容器100または200の周囲に巻き付ければ、第1実施形態の連結部材300と同様に、喫食時あるいは調理時における断熱材として利用できる。
≪第6実施形態(図6)≫
上記の第5実施形態では、第1容器100と第2容器200を連結部150にて連結し、凹部105と凸部205を利用して、両容器の位置決めを行っていた。
しかし、両容器の連結態様は、上記のものに限られず、位置決め手段についても、適宜他の構成を採用できる。第6実施形態は、これらについての変形例にあたる。
【0037】
第1容器100と第2容器200は、フランジ部101、201において、破断線160を介して直接連結されている(図6(b))。
【0038】
第1容器のフランジ部101は、その一部が突出して差込み突片107を構成している。この差込み突片107が挿入されるスリット207を第2容器のフランジ部201に設けている。
第2容器のフランジ部201はその一部が突出していて、この領域にスリット207を設けている。
【0039】
差込み突片107をスリット207に差し込むことにより、両容器100、200は位置決めされる。このようにして両容器100、200を付き合わせた状態で、帯状の連結部材340で固定する(図6(a))。
【0040】
なお、差込み突片107を第2容器のフランジ部201に設け、スリット207を第1容器のフランジ部101に設けることとしてもよい。また、差込み突片107やスリット207の具体的形態は、図示のものには限られない。
【0041】
帯状の連結部材340の構成および効果は、第5実施形態の場合と同じであるので、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【図6】本発明の第6実施形態に係る包装容器を示す斜視図。
【符号の説明】
【0043】
100 第1容器
101 フランジ部
102 テーパ状周壁
105 凹部
107 差込み突片
130 透明フィルム(シュリンクフィルム)
150 連結部
160 破断線
200 第2容器
201 フランジ部
202 テーパ状周壁
205 凸部
207 スリット
300 連結部材
301 テーパ状周壁
304 突出領域
305 スリット
306 突片
310 連結部材
311 底壁保持部
312a、b 側壁部
313a、b 連結係止部
315 開口
320 連結部材
325 スリット
326a、b 突片
330 連結部材
331 第1保持板
331a 開口
332 第2保持板
332a 開口
340 連結部材
341 第1底壁保持部
342 第2底壁保持部
343 側壁部
344 側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが開口周縁にフランジ部(101、201)を備えた第1容器(100)および第2容器(200)を、互いのフランジ部(101、201)を付き合わせた状態で、連結部材(310)を用いて分離可能に連結しており、
上記連結部材(310)は、第1容器の底壁に沿って延在する底壁保持部(311)と、底壁保持部の両側から延在する2つの側壁部(312a、312b)と、対向する当該2つの側壁部(312a、312b)を連結するとともに、第2容器のフランジ部(201)に係合する連結係止部(313a、313b)と、を備えることを特徴とする、包装容器。
【請求項2】
それぞれが開口周縁にフランジ部(101、201)を備えた第1容器(100)および第2容器(200)を、互いのフランジ部(101、201)を付き合わせた状態で、連結部材(320)を用いて分離可能に連結しており、
上記連結部材(320)は、付き合わされた第1および第2容器のフランジ部(101、201)の外周に沿って延在する帯体で構成されていて、
当該帯体に周方向に延在して形成されたスリット(325)が上記フランジ部(101、201)を挟持していることを特徴とする、包装容器。
【請求項3】
上記スリット(325)の両側辺の少なくとも一方には、内方に突出する突片(326a、326b)が設けられていることを特徴とする、請求項2記載の包装容器。
【請求項4】
それぞれが開口周縁にフランジ部(101、201)を備えた第1容器(100)および第2容器(200)を、互いのフランジ部(101、201)を付き合わせた状態で、連結部材(330)を用いて分離可能に連結しており、
上記第1容器(100)および第2容器(200)がともにテーパ状周壁(102、202)を備え、
上記連結部材(330)は、互いに連結された第1および第2の保持板(331、332)を有していて、
第1保持板(331)は、テーパ状の第1容器(100)の最大径よりも小さく同第1容器が通過できない第1容器保持開口(331a)を備え、
第2保持板(332)は、テーパ状の第2容器(200)の最大径よりも小さく同第2容器が通過できない第2容器保持開口(332a)を備えたことを特徴とする、包装容器。
【請求項5】
それぞれが開口周縁にフランジ部(101、201)を備えた第1容器(100)および第2容器(200)を、互いのフランジ部(101、201)を付き合わせた状態で、連結部材(340)を用いて分離可能に連結しており、
上記第1容器(100)および第2容器(200)が相対的に回動可能にフランジ部(101、201)において連結されるとともに、
互いに係合して両フランジ部(101、201)を付き合わせ状態に位置決めする位置決め手段が両フランジ部(101、201)に形成されていて、
上記連結部材(340)は、第1容器(100)の底壁に沿って延在する第1底壁保持部(341)と、第2容器(200)の底壁に沿って延在する第2底壁保持部(342)と、両底壁保持部の両側をそれぞれ連結する2つの側壁部(343、344)と、を備えることを特徴とする、包装容器。
【請求項6】
上記位置決め手段は、第1容器および第2容器のフランジ部(101、201)に形成された凹部(105)および凸部(205)であることを特徴とする、請求項5記載の包装容器。
【請求項7】
上記位置決め手段は、第1容器および第2容器のフランジ部(101、201)に形成された差込み突片(107)およびスリット(207)であることを特徴とする、請求項5記載の包装容器。
【請求項8】
上記連結部材(310、320、330、340)は、調理時または喫食時に第1容器(100)および第2容器(200)のいずれか一方の周囲に配置して使用する断熱材で構成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−224401(P2012−224401A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151136(P2012−151136)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2007−68834(P2007−68834)の分割
【原出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】