説明

ツインダックビルバルブアセンブリ

ダックビルバルブアセンブリは、少なくとも2つのダックビルバルブ部材(12,14)と、これらの2つのダックビルバルブ部材(12,14)を一緒に接合する可撓性の平坦なフランジ部材(16)とを具備する。このフランジ(16)は、ダックビルバルブ部材(12,14)をそれぞれの基部で一緒に接続し、それによって、これらの2つのダックビルバルブ部材(12,14)を互いに対して特定の向き及び構成において維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ダックビルバルブ(duckbill valve)の分野に関し、より具体的には、新たなダックビルバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダックビルバルブは、一般的によく知られている。ダックビルバルブは、該バルブの前(上)端にスリットを具備し、このスリットは、正差圧下でそのスリットを通して流体の送出を可能にするために開く。そうでない場合は、このスリットは閉じられ、負圧下での逆流を妨げる。種々の形状及びサイズのダックビルバルブが、特定の用途のために使用される。ある実施例は、流体供給(liquid-dispensing)歯ブラシにおいてダックビルバルブを使用する例である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、歯ブラシに用いられる現在利用可能なダックビルバルブは、歯ブラシの刷毛(bristle,ブリッスル)プレートから抜け落ちることが知られており、又はこれらのダックビルバルブが取り付けられている刷毛プレートから簡単に引き抜かれることもあり得る。更に、一般には、自動化された製造機器を使用して刷毛プレートにダックビルバルブを正確に配向するための簡単で信頼のおけるやり方がない。それゆえ、ダックビルバルブが、刷毛プレートにおいて様々な方向を向くスリットをもつ結果になるかもしれない。
【0004】
また、通常のダックビルバルブが詰まったり、又は送出流体が既存のダックビルバルブ構成における制限のために所望の領域をカバーすることができない可能性もある。更に、特に歯ブラシの場合は、2つ以上の流体を供給する必要があるかもしれず、このことは、ダックビルバルブに対する流体経路の複雑さをもたらす。
【0005】
上述された一つ又は複数の欠点を克服するダックビルバルブをもつことは好ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、ダックビルバルブアセンブリであって、少なくとも2つのダックビルバルブ部材と、これらのバルブ部材の間に延在し、特定の向きにダックビルバルブ部材を接合(join,結合)するフランジ部材とを有するダックビルバルブアセンブリを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ここで図2を参照すると、全体として10で示される本発明のツイン(twin,対の)ダックビルバルブアセンブリは、そのバルブ部材のそれぞれの基部においてフランジ16によって接合された2つの個別のダックビルバルブ部材12及び14を具備している。ダックビルバルブ部材12及び14は、環状の下部18と、矩形の上面21をもつ先細の上部20とを備えているという点で、通常のダックビルバルブと類似している。各々のダックビルバルブ部材12及び14は、中空であり、流体を受け入れる開口基部(下端)と、上面21の長さの大部分にわたって延在する上面21のスリット22とを備えており、このスリットを介して流体がバルブを流れ出る。ダックビルバルブ部材12及び14は、ゴムのような可撓性材料から作製される。
【0008】
正差圧下で、スリット22は、バルブを通して流体の自由な流れを可能にするために開く。負圧下では、スリット22が堅く閉じたままなので、バルブを通る逆流が防止される。ここでも、ダックビルバルブの基本構造はよく知られ、多種多様なダックビルバルブのサイズ及び構造が、種々の異なる用途向けの様々な製品から利用できる。
【0009】
本出願人の発明では、フランジ16が2つのダックビルバルブ部材の基部を接合し、それによって、一体的な構造品(unitary article)を生成し、別個のバルブ部材を固定空間関係に維持する。
【0010】
図示される実施形態では、フランジ16も可撓性材料から作製され、約0.5mmの厚さである。フランジ16は様々な構造をもつことができるけれども、図2に示される構造、即ち、2つのまっすぐに平行する長手側部28及び30を具備し、湾曲端部32及び34がこれらの長手側部を接合すると共に、ダックビルバルブ部材のエッジを僅かに越えて延在する構造、が製造の簡易さのために好ましい。図示される実施形態では、フランジ16が、13.8mmの長さ及び約4.2mmの幅であり、ここで、2つのダックビル部材の中心線が10.5mmだけ離れている。こうした寸法は、種々の異なる用途に対して可変されることができる。
【0011】
図1は、歯ブラシの用途におけるツインダックビルバルブアセンブリ10の分解組立図を示す。図3及び図4は、アセンブルされた組み合わせの図を示す。ダックビルバルブアセンブリ10は、刷毛プレート44のキャビティ空間42に挿入され、ここで、2つの個別のダックビルバルブ部材12及び14が、刷毛プレートの残りの厚み部分48の離間した開口を貫通し、それにより、これらのダックビルバルブ部材は、刷毛プレート44に取り付けられた刷毛領域50内に達する。次いで、保持部材55が、キャビティ空間42のダックビルバルブアセンブリ10上に位置付けられ、このアセンブリをその空間内の所定位置で刷毛プレートの残りの厚み部分48に押し付けている。この挿入された保持部材は、柄の部分58を介してリザーバから流体を受け入れる刷毛プレートの溝(channel,チャネル)又はキャビティ空間57を規定するように構成される。ダックビル部材の開口基部は、フランジ16の開口52及び54を介して刷毛プレートのキャビティ空間と流体連通(in fluid communication with)している。この装置によって、正圧下で流体が個別のダックビルバルブ部材12及び14に流れ込み、更に、そのスリットを設けられた上端を流れ出て刷毛領域50に流れ込むことができる。
【0012】
図示される装置は2つの個別のダックビルバルブ部材を具備し、該ダックビルバルブ部材は、それぞれのスリット22及び22がフランジ16の両端で互いに横向きに平行であるように配向されているけれども、これらの2つのダックビルバルブ部材は、各スリットが歯ブラシに沿って単一のラインに(単一の垂直平面に)あるように配向されることも可能である。
【0013】
更に、特定のアセンブリにおいては、3つ以上のダックビルバルブアセンブリがあってもよいことを理解されたい。また更に、個別のダックビルバルブ部材は、それぞれ、2つの異なる液体を収容するために、互いに異なる種々のサイズ及び/又は形状をもつこともできる。但し、2つのダックビルバルブ部材が、同じ流体経路に接続される場合、これらの2つのダックビルバルブ部材は、同じサイズ、形状及び向きであることが有利である。なお更に、歯ブラシの用途では、図1で詳細に示されるように、刷毛領域の間に刷毛を収容するために、ダックビルバルブ部材が、ある間隔だけ離されることが有利である。
【0014】
本発明の複数のダックビルバルブアセンブリには幾つかの利点がある。まず、ダックビルバルブアセンブリが、ただ1つの向きでのみ刷毛プレートに嵌め込まれることができるので、正確なダックビルの向きをもつ簡単な自動アセンブリが可能になる。なお更に、フランジ16が刷毛プレートの残りの厚み部分48の内側表面に隣接するので、ダックビルを刷毛プレートから引き抜くことは非常に難しい。また、上述されたように、このダックビルアセンブリ構造体は、2つの異なる流体用に歯ブラシの柄を通る2つの別個の流体経路を収容することもできる。従って、本発明の複数のダックビルバルブアセンブリは、単一のダックビルアセンブリの欠点を克服し、他の利点も有する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態が説明のために開示されているけれども、請求項によって規定される本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変更、改良形態及び代替例が実施形態に組み込まれてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】歯ブラシの柄/ブラシヘッド部分における本発明のダックビルバルブを示す分解組立図である。
【図2】図1に示されるダックビルバルブの斜視図である。
【図3】図1及び図2のダックビルバルブを備える歯ブラシの柄/ブラシヘッドの正面図である。
【図4】図1及び図2のダックビルバルブを備える歯ブラシのブラシヘッドの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ空間を含む刷毛プレートと、
前記キャビティ空間に配置されるダックビルバルブアセンブリと、
を有する歯ブラシ。
【請求項2】
前記ダックビルバルブアセンブリが、
少なくとも2つのダックビルバルブ部材と、
前記ダックビルバルブ部材の間に延在し、特定の向きに前記ダックビルバルブ部材を接合するフランジ部材と、
を具備する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記フランジ部材が、前記2つのダックビルバルブ部材を該バルブ部材の個々の基部で接合し、前記フランジ部材が実質的に平坦である、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記ダックビルバルブ部材は、その中を流体が移動するスリット開口を備え、互いに離間され、前記ダックビルバルブ部材の個々の前記スリット開口が平行になるように設けられる、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記ダックビルバルブ部材は、その中を流体が移動するスリット開口を備え、前記ダックビルバルブ部材の個々の前記スリット開口が単一のラインにあるように配向される、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記ダックビルバルブ部材が、実質的に同一である、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記2つのダックビルバルブ部材は、複数の刷毛が前記刷毛プレートに取り付けられることができるように十分に隔てられる、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記ダックビルバルブアセンブリが、ただ2つのダックビルバルブ部材を具備する、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
前記ダックビルバルブアセンブリが、3つ以上のダックビルバルブ部材を具備する、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
前記ダックビルバルブ部材は、種々の異なるサイズをもち、種々の異なる流体が前記ダックビルバルブ部材を通して流れるように構成される、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
保持部材が、前記キャビティ空間の前記ダックビルバルブアセンブリ上に配置される、請求項1に記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515214(P2007−515214A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543704(P2006−543704)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052738
【国際公開番号】WO2005/058186
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】