説明

ツナギ服

【課題】着用したままでトイレをすることが出来るようにしたツナギ服を提供する。
【解決手段】上着部1とズボン部2とが切り離し不能につながれているツナギ服であり、ズボン部2の尻部分3が開閉可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着部とズボン部とが切り離し不能につながれているツナギ服に関するもので、食品工場や半導体組立工場等で作業着として使用されたり、スポーツや釣り、ピクニック等のレジャーの分野で使用されるツナギ服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のツナギ服、例えば食品工場等で作業着として使用されるツナギ服は、ズボン部が前明きとなっているため、男性の場合、トイレをしたい時に小便は可能であるが、ズボン部の後部が明いていないことから、着用したままでは大便ができず、また女性の場合には小便も大便をできず、従って男性が大便をする時はツナギ服の全体を脱ぎ、また、女性の場合はトイレをする時は必ずツナギ服全体を脱がなければならず、非常に面倒であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、着用したままでトイレをすることができるようにしたツナギ服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、上着部1とズボン部2とが切り離し不能につながれているツナギ服であって、ズボン部2の尻部分3が開閉可能に形成されていることを特徴とする。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載のツナギ服において、ズボン部2は、ウエストWの後ろ半分Wbが上着部から切り離され、その切り離し部5の両端から夫々下向きに切り込み6,6が形成されてその切り込み6にファスナー7が設けられることにより、尻部分3が開閉可能となっており、上着部1は、後身頃1bの裾部8がズボン部2のウエストW位置より下方へ長く突出して尻部分3の内側へ挿入されるようになっていることを特徴とする。
【0006】
請求項3は、請求項2に記載のツナギ服において、上着部1から切り離されたズボン部2のウエストWb部分に伸縮ベルト部9が形成され、その両端部の延長部片10,10がズボン部2のウエストWの前側所要部に係止布11を介して係止固定されるようになっていることを特徴とする。
【0007】
請求項4は、請求項1に記載のツナギ服において、ズボン部2は、尻部分3に所要形状の切り込みが形成されて、その切り込みにファスナーが設けられることにより、尻部分3が開閉可能となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項5は、ズボン部2の尻部分3には下向き略U字状の切り込み14が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のツナギ服。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、ズボン部2の尻部分3が開閉可能に形成されているから、ツナギ服を着用している状態で、男性がトイレで大便をしたい時や女性がトイレをしたい時には、ズボン部2の尻部分3を開放することによって、男性も女性もツナギ服を着たままで、自由にトイレをすることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ズボン部2は、ウエストWの後ろ半分Wbが上着部から切り離され、その切り離し部5の両端から夫々下向きに切り込み6,6が形成されて切り込み6にファスナー7が設けられることにより、尻部分3が開閉可能となっているから、トイレをしたい時には、ファスナー7を開閉操作することによって、尻部分3を簡単容易に開放することができる。また、上着部1は、後身頃1bの裾部8がズボン部2のウエストW位置よりも下方へ長く突出して尻部分3の内側へ挿入されるようになっているから、この裾部8によって、上着部1から切り離されたズボン部2のウエスト部分Wbと、上着部1との間の不都合な隙間を塞ぐことができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、上着部1から切り離されたズボン部2のウエストWb部分に伸縮ベルト部9が形成され、その両端部の延長部片10,10がズボン部2のウエストWの前側所要部に係止布11を介して係着固定されるようになっているから、伸縮ベルト部9の両端延長部片10,10を適宜に引っ張りながらウエストWの前側所要部に係止布11を介して係着固定することにより、上着部1から切り離されたズボン部2のウエスト部分Wbを上着部1外面側に対し隙間なく密着させることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、ズボン部2は尻部分3に所要形状の切り込み14が形成され、その切り込み14にファスナー15が設けてあって、その尻部分3が開閉可能となっているから、トイレをしたい時は、そのファスナー15を開閉操作することによって、尻部分3を簡単容易に開放することができる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、ズボン部2の尻部分には下向き略U字状の切り込み14が形成されているから、ファスナー7の開閉操作を容易迅速に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明すると、図1は本発明に係るツナギ服Aの使用状態を正面側から見た斜視図であり、図2は同ツナギ服Aをやや平面状に展開した状態での正面図、図3は同ツナギ服Aをやや平面状に展開した状態での背面図、図4は同ツナギ服Aの使用状態を示す背面図である。このツナギ服Aは、上着部1とズボン部2とが切り離し不能につながれていて、ズボン部2の尻部分3が開閉可能に形成されている。
【0015】
上記ツナギ服Aの構造について詳細に説明すれば、上着部1は、前身頃1a及び後身頃1bと両袖部1c,1cとからなり、首部1dにはフード4が一体的に取り付けられ、そしてズボン部2は、ウエストWの後ろ半分Wbが上着部1の後身頃1bから切り離され、その切り離し部5の両端から夫々下向きに切り込み6,6が形成されて、その各切り込み6にファスナー7が設けられ、それにより尻部分3が図3(閉鎖状態)及び図4(開放状態)で示すように開閉可能となっている。図3及び図4において、7oはファスナー7の開閉操作用ツマミを示す。尚、上着部1及びズボン部2は、夫々合成繊維からなる布地によって形成される。
【0016】
上着部1は、図4に示すように、後身頃1bの裾部8がズボン部2のウエストWの位置よりも下方へ長く突出して、尻部分3の内側へ挿入されるようになっている。
【0017】
また図3に示すように、上着部1から切り離されたズボン部2のウエストWの後ろ半分Wbには伸縮ベルト部9が形成され、その両端から延長された非伸縮性の延長部片10,10が夫々ズボン部2のウエストWの前半分Waの両端部に係止布11を介して固定されるようになっている。伸縮ベルト部9は、図示は省略するが、例えば上記のウエスト部分Wbを袋状に形成して、その袋に沿ってゴムベルトを挿入することによって形成される。係止布11は、マジックテープ(登録商標)からなるもので、伸縮ベルト9の両端延長部片10,10の夫々裏側(図3及び図4参照)と、ズボン部2のウエストWの前半分Waの両端部とに夫々装着されている。
【0018】
また、このツナギ服Aは、図1、図2及び図4に示すように、上着部1からズボン部2にかけて前明きになっており、その前明き部分12にファスナー13が取り付けられて、開閉できるようになっている。
【0019】
上記のような構成よりなるツナギ服Aを着用する時は、従来のツナギ服と同じ様にして前明き部分12のファスナー13を開放操作し、その開放した前明き部分12からズボン部2に後ろ向きになった状態で足を入れた後、上着部1を羽織るようにすればよい。尚、前明き部分12のファスナー13を閉じたままで、ズボン部2の尻部分3を下記のように開放し、その開放した尻部分3から下半身及び上半身を入れて着用することもできる。
【0020】
こうしてツナギ服Aを着用した状態において、男性がトイレで大便をしたい時や、女性がトイレをしたい時には、図4に示すように、ズボン部2の尻部分3を閉じているファスナー7を開放操作して、この尻部分3を開放することにより、男性も女性も、ツナギ服Aを着たままで、自由にトイレをすることができる。
【0021】
トイレを済ませたならば、ファスナー7を閉じ操作して尻部分3を閉鎖し、ズボン部2を元の状態に戻せばよい。この時、ズボン部2の後身頃1bの裾部8をズボン部2の尻部分3の内側へ挿入し、そしてズボン部2のウエストWの後ろ半分Wbに形成されている伸縮ベルト部9の両端延長部片10,10を適宜に引っ張りながらウエストWの前半分Waの両端部に係止布11を介して係着固定することにより、上着部1から切り離されたズボン部2のウエスト部分Wbを上着部1の後身頃1b外面側に対し隙間なく密着させることができる。
【0022】
この実施形態では、ズボン部2のウエストWの後ろ半分Wbに伸縮ベルト部9を形成して、その両端延長部片10,10をウエストWの前半分Waの両端部に係止布11を介して係着固定するようにしているが、このような伸縮ベルト部9を形成する代わりに、ズボン部2のウエストWに所要間隔おきにベルト通しを設け、これに一般に使用するベルトを通してウエストWを絞るようにすることで、略同様の効果を奏することができる。但し、実施形態の様な構成とすれば、ズボン部2のウエスト部分Wbを、上着部1の後身頃1b外面側に対し的確に且つ柔軟性を持って隙間なく密着させることができる。
【0023】
図5は本発明の他の実施形態によるツナギ服Bを図2の場合と同様にやや平面状に展開した状態で示す正面図、図6は同ツナギ服Bの背面図、図7は同ツナギ服Bの使用状態を示す背面図である。このツナギ服Bの特徴は、ズボン部2の尻部分3に下向き略U字状の切り込み14を形成し、その切り込み14にファスナー15を取り付けることによって、尻部分3を開閉可能としたことである。
【0024】
このズボン部2の尻部分3には下向き略U字状の切り込み14を形成してファスナー7を取り付けているが、尻部分3に形成する切り込みは、下向き略コ字状であってもよい。しかし、この実施形態のように下向き略U字状の切り込み14とすれば、切り込み長さを極力短くすることができると共に、ファスナー7の開閉操作を容易且つ迅速に行なうことができる。
【0025】
このツナギ服Bの上着部1には、先の実施形態のツナギ服Aのようなフード4は付いていない。また上着部1には、前身頃1aの中央部の上半分に切り込み16が入れられて、ファスナー17が取り付けられている。従って、このツナギ服Bを着用する時は、ズボン部2の尻部分3のファスナー7を開放操作して、その開放した尻部分3から下半身及び上半身を入れて着用する。
【0026】
そして、このツナギ服Bを着用した状態において、男性がトイレで大便をしたい時や、女性がトイレをしたい時には、図7に示すように、ズボン部2の尻部分3を閉じているファスナー7を開放操作して、尻部分3を開放することにより、先の実施形態のツナギ服Aと同様に、男性も女性もツナギ服Aを着用したままの状態で、自由にトイレをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るツナギ服Aの使用状態を正面側から見た斜視図である。
【図2】同ツナギ服Aをやや平面状に展開した状態での正面図である。
【図3】同ツナギ服Aをやや平面状に展開した状態での背面図である。
【図4】同ツナギ服Aの使用状態を示す背面図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるツナギ服Bをやや平面状に展開した状態で示す正面図である。
【図6】同ツナギ服Bの背面図である。
【図7】同ツナギ服Bの使用状態を示す背面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 上着部
1a 上着部の前身頃
1b 上着部の後身頃
2 ズボン部
3 尻部分
5 切り離し部
6 切り込み
7 ファスナー
8 上着部の後身頃の裾部
9 伸縮ベルト部
10 伸縮ベルト部の両端部延長部片
11 係止布
14 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上着部とズボン部とが切り離し不能につながれているツナギ服であって、ズボン部の尻部分が開閉可能に形成されていることを特徴とするツナギ服。
【請求項2】
ズボン部は、ウエストの後ろ半分が上着部から切り離され、その切り離し部の両端から夫々下向きに切り込みが形成されてその切り込みにファスナーが設けられることにより、尻部分が開閉可能となっており、上着部は、後身頃の裾部がズボン部のウエスト位置より下方へ長く突出して尻部分の内側へ挿入されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のツナギ服。
【請求項3】
上着部から切り離されたズボン部のウエスト部分に伸縮ベルト部が形成され、その両端部の延長部片がズボン部のウエストの前側所要部に係止布を介して係止固定されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載のツナギ服。
【請求項4】
ズボン部は、尻部分に所要形状の切り込みが形成されて、その切り込みにファスナーが設けられることにより、尻部分が開閉可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のツナギ服。
【請求項5】
ズボン部の尻部分には下向き略U字状の切り込みが形成されていることを特徴とする請求項4に記載のツナギ服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−327144(P2007−327144A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156832(P2006−156832)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(591145483)原田産業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】