説明

ティッシュペーパー用紙箱

【課題】折り線6、7と開封用切取線8、12とのみで取出口開設の際に一切ゴミを出さず、ティッシュペーパー取出し途中においては、ティッシュペーパー2を翼片9、13で前後方向から交互に支持し立った状態を長時間安定的に保持する。
【解決手段】紙箱1の上壁3に折り線6、7を設けている。折り線6の基端4と折り線7の基端5との間は切り目に形成されている。基端4と折り線7の外端は、折り線6の延長線に対し長辺方向に膨出する部分を有する開封用切取線8で接続されている。基端5と折り線6の外端は、折り線7の延長線に対し長辺方向に膨出する部分を有する開封用切取線12で接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出し可能に折り畳んで積み重ねたティッシュペーパーを収納するティッシュペーパー用紙箱に関し、更に詳しくはティッシュペーパーの取出口にプラスチックフィルムを設けていないフィルムレスティッシュペーパー用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来のフィルムレスのティシュペーパー用紙箱は取出口の開口幅が広く、取り出し途中で放置したティッシュペーパーが紙箱内に戻るという欠点を有していた。この欠点に鑑み、帯状切取部を除去し取り出したティッシュペーパーを前後に対設する第1フラップで上方から押さえ、ティッシュペーパーの落下や必要以上の取り出しを防止しようとしたもの(意匠文献1参照)や、帯状切取部を除去し、両端小翼片と前後大翼片を取出口に配設し、取り出すときに上方に持ち上がる小翼片と大翼片とでティッシュペーパーを内側に絞り込み、小翼片をティッシュペーパー端部に引っ掛けることにより、ポップアップ状態を保持して引出し途中のティッシュペーパーを紙箱内に落下するのを防止するようにしたもの(意匠文献2参照〉や、取出口をI型ミシン目を入れて形成し、紙箱内に埃が入らないようにしたもの(実用新案文献1参照)が提案されている。
しかしながら、上記従来例のプラスティックフィルムレスの紙箱であると、取り出したティッシュペーパーの高さ方向の一定位置を前後方向から押さえるため、取り出し途中のティッシュペーパーのうち前後対向翼片対応位置より上方に位置する部分は自重で前後何れか一方向に取出口を覆って倒れ、次回の使用の際にティッシュペーパーを掴みづらく不衛生であるという不具合を有していた。又、意匠文献1又は2の紙箱は、開口作業も複雑で、特に子供、高齢者若しくは手の不自由な人には取出口の開口が困難であるという問題点を有していた。
【意匠文献1】
意匠登録第1207294号の意匠公報
【意匠文献2】
意匠登録第1206103号の意匠公報
【実用新案文献1】
実開昭57−167080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は、上壁長手方向に沿って取出口の前後に交互に翼片を設けることにより、立った状態のティッシュペーパーに前後方向から交互に圧力を加え、ティッシュペーパーの立った状態を長時間安定的に保持するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、紙箱の上壁に開封用切取線を上壁の他の部分から切離することによりティッシュペーパーの取出口を開口形成するための開封用切取線と折り線とを設けてなるティッシュペーパー用紙箱において、前記上壁の長手方向中央位置に於いて縦方向に所定距離離隔した位置に前記折り線の基端を対向配設し、該基端から前記上壁長手方向に沿って夫々反対方向に延びる一定長の折り線を設け、この折り線の基端と外端は、対向する基端を経由する開封用切取線により接続され、この開封用切取線は対向基端近傍位置に於いて他方の折り線の延長線よりも上壁長辺方向に膨出し、開封用切取線と折り線とで囲まれる翼片が対向基端近傍位置で平視山部を有するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本願発明は取出口の長手方向を等分する位置の前後口端に翼片を交互に取り付けているため、取り出し途中のティシュペーパーを前後方向から交互に加圧し、ティッシュペーパーの立った状態を長時間安定的に保持し、箱内にティッシュペーパーが戻らないという効果がある。
折り目と開封用切取線とで取出口を開設するため、従来のように開封用の帯状切取部が存在せず、取出口開設時にゴミが一切出ないという効果がある。
紙以外の材料を用いないため、廃棄の際に紙箱の折り畳み作業のみでそのまま紙ゴミとして処分でき、手間を要せず、環境保護に寄与するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0006】
図1は本発明ティッシュペーパー用紙箱の実施例における平面図、図2はティッシュペーパーの取出口を開口した状態における平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4はティッシュペーパーの取出口を開口した状態における斜視図、図5は使用状態を示す斜視図である。
これらの図において、紙箱1は厚紙等を材料とし横方向に長い直方体状に形成され、内側にはティッシュペーパー2を収納可能な中空部を設けている。紙箱1の上壁3には、上壁3の長手方向の略中央位置に於いて縦方向に所定距離を有して離隔した位置を基端4、5とし、基端4、5より上壁3の長手方向に沿って互いに反対方向に延びる折り線6、7を平行な位置関係となるように設けている。折り線6、7は上面側が窪んだ谷折りに形成されている。基端4と基端5との間は切り目に形成されている。基端4から折り線7の外端に亘たり、折り線7と開封用切取線8で囲まれる翼片9が形成されている。基端5から基端4を通る切り目と接続する開封用切取線8は、基端4の近傍位置に於いて折り線6の延長線より上壁3の長辺10方向になだらかな曲線を描いて突き出し膨出し、さらに緩やかに下傾する曲線を描いて折り線7の外端と接続している。翼片9は、基端4の近傍位置に形成された開封用切取線8の膨出部の内側に平視山部11を有する。又、基端5から折り線6の外端に亘たり、折り線6と開封用切取線12とで囲まれる翼片13が形成されている。基端4から基端5を通る切り目と接続する開封用切取線12は、基端5の近傍位置に於いて折り線7の延長線よりも上壁3の長辺14方向になだらかな曲線を描いて突き出し膨出し、さらに緩やかに上傾する曲線を描いて折り線6の外端と接続している。
翼片13は、基端5の近傍位置に形成された開封用切取線12の膨出部の内側に平視山部15を有する。つまり、基端4、5間の中央位置を中心点とし、折り線6及び開封用切取線12と、折り線7及び開封用切取線8は点対称に形成されている。
【0007】
具体例として上壁3の長辺が約24.5cmで短辺が約11.5cmの中空直方体状ティッシュペーパー用紙箱に関しては、折り線6、7の外端間の直線距離が約15.0cm、開封用切取線8、12の最大膨出位置(頂部、谷部)間の前後距離差が約4.0cm、基端4、5間の直線距離が約1.6cmに形成され、開封用切取線8、12が約1cm間隔の切り目間に約1mmの接続部を有しているものが掲げられる。
実施例1の紙箱の各サイズは、上記数値に限定されない。開封用切取線8、12の膨出部が折り線6、7より長辺方向に突き出していれば各位置間の距離はいかなる数値も含む。
【0008】
次に作用について説明する。平視山部11、15を同時に下方に押し上げ、開封用切取線8、12を上壁3の他の部分から切離し、翼片9、13を指で引き上げる。翼片9、13は上壁3の上面に対し約45°の角度を有する傾斜状態で上壁3に取出口を開設するのが好適である。紙箱1内から取出す途中のティッシュペーパー2には翼片9が後方向に力を加え、ティッシュペーパー2のうち取出口より上方に出ている部分は後方に倒れようとするが、翼片13が前方向に力を加え、ティッシュペーパー2のうち取出口より上方に出ている部分は前方に倒れようとし、ティッシュペーパー2を前後方向から交互に翼片9、13で押さえ、ティッシュペーパー2は伏せることなく立った状態を保持し、紙箱1の内部へ戻らない。ティッシュペーパー2を1枚ずつ繰り出しても、図5に示すように常にティッシュペーパー2は立った状態で取出口で待機しているため、ティッシュペーパー2は衛生的で、また使用上便利である。
【実施例2】
【0009】
図6を参照にして実施例2を説明する。実施例1と異なる点は開封用切取線16、17の形状である。開封用切取線16、17は、折り線7、6の延長線位置よりも上壁3の長辺方向に膨出して第1の平視山部18、19を形成し、平視谷部20、21を介して第2の平視山部22、23を設けている。
【0010】
実施例2のティッシュペーパー用紙箱においては、第1の平視山部18、19を押し下げ、翼片24、25を摘んで上方に引き上げてティッシュペーパー取出口を開設する。ティッシュペーパーをティッシュペーパー取出口より取出すと、ティッシュペーパーは前後方向から第1の平視山部18、19及び第2の平視山部で押さえられ、立った状態を保持する。
【0011】
実施例1、2では、翼片が曲線状の切縁を有するものを例に説明したが本発明はこれに限定するものではなく、翼片が三角形状のものや段差を有して平視山部を設けたものや四角形状のものであるものも包含される。
【産業上の利用可能性】
【0012】
紙箱内に収納するものはティッシュペーパーに限定せず、繰り出し可能に畳まれているものを収納すればキッチンペーパーその他の衛生紙用収納箱として幅広い用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ティッシュペーパー用紙箱の平面図である。(実施例1)
【図2】ティッシュペーパーの取出口を開口した状態における平面図である。(実施例1)
【図3】図2のA−A線断面図である。(実施例1)
【図4】ティッシュペーパーの取出口を開口した状態における斜視図である。(実施例1)
【図5】使用状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図6】ティッシュペーパー用紙箱の平面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0014】
1 紙箱
2 ティッシュペーパー
3 上壁
4、5 基端
6、7 折り線
8、12、16、17 開封用切取線
9、13、24、25 翼片
10、14 長辺
11、15 平視山部
18、19 第1の平視山部
22、23 第2の平視山部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙箱の上壁に、開封用切取線を上壁の他の部分から切離することによりティッシュペーパーの取出口を開口形成するための開封用切取線と折り線とを設けてなるティッシュペーパー用紙箱において、
前記上壁の長手方向中央位置に於いて縦方向に所定距離離隔した位置に前記折り線の基端を対向配設し、該基端から前記上壁長手方向に沿って夫々反対方向に延びる一定長の折り線を設け、この折り線の基端と外端は、対向する基端を経由する開封用切取線により接続され、この開封用切取線は対向基端近傍位置に於いて他方の折り線の延長線よりも上壁長辺方向に膨出し、開封用切取線と折り線とで囲まれる翼片が対向基端近傍位置で平視山部を有するように形成されたことを特徴とするティッシュペーパー用紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−176206(P2006−176206A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382790(P2004−382790)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(500397983)セキ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】