説明

ティッシュペーパー箱

【課題】開口部にフィルムを有しなくてもスムーズな取り出しを可能とするティッシュペーパー箱を提供する。
【解決手段】ティッシュペーパーを収納したティッシュペーパー箱の上面適所に、任意形状の間欠切り込み部(通称ミシン目)を設けた。また間欠切り込み部により囲まれる部分の面積をティッシュペーパー箱上面の面積に対し6%〜25%の範囲とし、間欠切り込み部に接して外方に向かう複数個の切り込み線を設けるとともに、切り込み線端を結ぶ線状凹部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ティッシュペーパーの取り出し口にフィルムを有しないティッシュペーパー箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ティッシュペーパー箱は生活必需品として多用されているが、その大半はティッシュペーパー取り出し口裏面に透明フィルムを有しており、本発明にて示すように、この取り出し口にフィルムを有さないものは見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のティッシュペーパー箱はその取り出し口に透明フィルムを有している。
このフィルムは、ティッシュペーパーの落ち込み防止、形状保持、取りだし時の摩擦抵抗減などの効果を有しているが、取り出し口裏面に所定サイズのフィルムを貼着するので製造コストの上昇と使用後廃棄時の分別手間を有するものであった。本発明は以上のような従来からのティッシュペーパー箱に関わる課題を解決するために発明されたもので、取り出し口にフィルムを有さずともスムースな取り出しを可能とする新規なティッシュペーパー箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は、ティッシュペーパー箱上面に間欠切り込み部を設けてその主要部を構成した。すなわち、ティッシュペーパーを収納したティッシュペーパー箱の上面適所に、任意形状の間欠切り込み部を設ける。本発明は以上の構成よりなるティッシュペーパー箱である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.取り出し口にフィルムがないので、製造コストを下げることができ、環境保護的にも 優れている。
2.取り出し口が箱上面中央に適宜形状・サイズにて位置するので、ティッシュペーパー は略U形に突出し、つまみやすい。
3.U形突出により、ティッシュペーパーが箱内に落ち込むことなく、最後まで使いきる ことができる。
4.従来の縦長の取り出し口と異なる開口形状のため、全方向に取り出し可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は第一の実施形態である。図において、1はティッシュペーパー箱上面中央に位置する円形の間欠切り込み部(通称ミシン目)、2はU形切り込み部、3は非切り込み部である。
本例を使用するには、まずU形切り込み部に指を押し当てると非切り込み部が破断してU形部分が舌片状となって対応する間欠切り込み部を残して下方に移動する。
次ぎに、表出したU形部分に指を当てて上方へ引くと間欠切り込み部が徐々に破断してティッシュペーパー箱から離脱する。残った舌片部分を指でつまんで除去するとティッシュペーパー箱上面中央に円形孔が現れるので、ここから指を挿入して最上に位置するティッシュペーパーをつまんで引き出し、使用する。その後は、ティッシュペーパーを引き出す毎に次のティッシュペーパーが次々と引き出され、一般のティッシュペーパー箱同様に使用することができる。つまり、収納されているティッシュペーパーは互い違いに折り重なって位置するので、取り出し時の互いのティッシュペーパーの摩擦にて引き出される。
従来品はこの取り出し口が細長長方形であるため、フィルムがないと引き出したティッシュペーパーの形状保持ができずに倒れ込む。これを防止するためにこのフィルムが必要であるが、本例では円形孔内周に沿って略U形にティッシュペーパーが立ち上がるために、フィルムがなくてもその形状保持ができ、かつティッシュペーパーが残り少なくなってもティッシュペーパーの箱内への落ち込みを防止することができる。
なお、図2〜図5は間欠切り込み部の変化例であり、前例同様に使用することができる。
【0007】
以上の例において、間欠切り込み部により囲まれる部分の面積は、ティッシュペーパー取り出し時の抵抗、ティッシュペーパーが残り少なくなったときのティッシュペーパーの箱内への落ち込みなどに関わってくる。この面積の適当値を算出するため、実験を行い、次の結果を得た。
aはAの26%を越え69%以下
bはBより小
sはSの6%を越え25%以下、好ましくは10%を越え18%以下
但し、
A:ティッシュペーパー箱短辺方向寸法
B:ティッシュペーパー箱長辺方向寸法
S:ティッシュペーパー箱上面面積
a:間欠切り込み部の形状におけるティッシュペーパー箱短辺方向寸法
b:間欠切り込み部の形状におけるティッシュペーパー箱長辺方向寸法
s:間欠切り込み部により囲まれる部分の面積
以上の条件内であれば、ティッシュペーパー取り出し時の抵抗が適切であり、収納ティッシュペーパーが残り少ない場合の箱内への落ち込み、万が一落ち込んだときのティッシュペーパーのつまみだしに支障がない。
【0008】
図6は実施形態の他例を示すものである。
本例は間欠切り込み部の周囲に小舌片が形成できるよう、切り込み部と線状凹部を設けたものである。図において、10は円形の間欠切り込み部、11はU形切り込み部、12は非切り込み部、13は間欠切り込み部11から放射状に設けられる切り込み部、14はエンボス加工による線状凹部である。
本例使用時は、既述の手段にて円形孔を形成した後、その外周を指で立ち上げることにより、円形孔の周囲に多数の小舌片が立ち上がる状態となる。この小舌片は折曲にて立ち上がるため、この折曲部下面には小さな曲面が形成され、ティッシュペーパー取り出し時の摩擦抵抗を小さくする効果がある。また、線状凹部により舌片の折曲が容易である。
なお、図7〜図9にて示すように、他の形状の取り出し口としてもよい。
この小舌片には他の効果もある。小舌片がない開口のとき、ティッシュペーパーを箱上面に対し斜方に引くと、ティッシュペーパーは開口部を境として鋭角に折曲されて引き出されるために、引き出し抵抗が大となり、ときには破れることとなる。しかし、この小舌片があると箱上面と小舌片上端との距離のためにこの角度は緩やかとなり、スムースな取り出しが可能となる。
この小舌片は開口部外周に沿って複数枚が隣接して直立するが、小舌片上端は互いに少し離れて位置し、小舌片の上下距離が大になるほど離れることとなる。そのため、引き出し時にティッシュペーパーが小舌片間の間隙にさしかかるとはさまれてやはり引き出し抵抗が大となり、破れる場合も起こる。これを防ぐため、小舌片の上下の距離を制限することが必要で、実験の結果、4mm〜8mmが適当との結果を得た。
【0009】
図10〜図11は実施形態の別例である。
本例は、小舌片の両端より中央を巾狭に形成したもので、これによって曲線を有する舌片となり、指で立ち上げるときに指の腹にフィットしてその作業を容易とすることができる。なお、以上の他例別例ともに、初例にて示した寸法条件の範囲内にて作成することが肝要である。なお、間欠切り込み部により囲まれる部分(開口部となる部分)が縦(a)と横(b)の寸法差がある場合、90度回転させた位置としてもよい。
例えば、図8においてaをティッシュペーパー箱の長辺方向寸法とし、bを短辺方向寸法としてもよい。
以上、本発明について記したが、本発明は従来の細長開口部と異なってティッシュペーパー箱上面中央に所定寸法の開口部を有するところにその特徴があり、引き出したティッシュペーパーは開口部内周に沿って略U形に突出するものである。これにより、引き出したティッシュペーパーの形状保持、箱内への落ち込み防止、連続したスムースな取り出しが可能となり、またティッシュペーパーの視覚面でもスッキリとした使いよいものとなったのである。なお、既述の例は実施の代表的パターンであり、近似の他の間欠切り込み形状としてもよい。なお、間欠切り込み部は、切断部分長さに対し非切断部分長さを同一とする、あるいは非切断部分長さに対して切断部分長さを長くする、のいずれでもよい。
以上のごとく、本発明にて安価に製造できるとともに地球環境保護面にても有益なるティッシュペーパー箱を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明の平面図
【図2】 本発明の変化例の平面図
【図3】 本発明の変化例の平面図
【図4】 本発明の変化例の平面図
【図5】 本発明の変化例の平面図
【図6】 本発明の他例の平面図
【図7】 本発明他例における変化例の平面図
【図8】 本発明他例における変化例の平面図
【図9】 本発明他例における変化例の拡大平面図
【図10】 本発明別例の拡大平面図
【図11】 本発明の別例における変化例の拡大平面図
【図12】 従来例の斜視図(開口前)
【図13】 従来例の斜視図(開口後)
【図14】 本発明の別例の斜視図(開口後・ティッシュペーパー引き出し前)
【図15】 本発明の別例の斜視図(開口後・ティッシュペーパー引き出し後)
【符号の説明】
【0011】
1 間欠切り込み部
2 U形切り込み部
3 非切り込み部
10 間欠切り込み部
11 U形切り込み部
12 非切り込み部
13 切り込み部
14 線状凹部
15 小舌片
16 ティッシュペーパー
17 間欠切り込み部
18 フィルム
19 切断部
A ティッシュペーパー箱上面の短辺方向寸法
B ティッシュペーパー箱上面の長辺方向寸法
S ティッシュペーパー箱上面面積
a 間欠切り込み部の形状におけるティッシュペーパー箱短辺方向寸法
b 間欠切り込み部の形状におけるティッシュペーパー箱長辺方向寸法
s 間欠切り込み部により囲まれる部分の面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシュペーパーを収納したティッシュペーパー箱の上面適所に、任意形状の間欠切り込み部を設けたことを特徴とするティッシュペーパー箱。
【請求項2】
間欠切り込み部により囲まれる部分の面積が、ティッシュペーパー箱上面の面積に対し、6%〜25%の範囲とした請求項1記載のティッシュペーパー箱。
【請求項3】
間欠切り込み部に接して外方に向かう複数個の切り込み線を設けるとともに、該切り込み線端を結ぶ線状凹部を設けてなる請求項1または2記載のティッシュペーパー箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−335474(P2006−335474A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194348(P2005−194348)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(592169024)
【出願人】(593013672)
【Fターム(参考)】