説明

テトラヒドロフランの製造方法

【課題】原料1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフラ
ンを製造する方法において、反応速度の低下を低減し、安定的に高い生産性が得られる工業的に有利な方法を提供する。
【解決手段】pKaが4以下の酸を水分濃度が0.003〜20.0wt%の1,4−ブタンジオール又はテトラヒドロフランを用いて溶解して触媒液を調製し、該触媒液を保存した後、原料1,4−ブタンジオールと共に該触媒液を反応槽に供給し、該反応槽内で脱水環化反応を行うことにより生成物としてテトラヒドロフランを得ることを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテトラヒドロフランの製造方法に関して、より詳しくは、pKaが4以下の酸の存在下で、1,4−ブタンジオールの脱水環化反応によりテトラヒドロフランを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラヒドロフラン(以下、THFと略記することがある)は各種有機化合物の溶剤として使用される他に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールの原料モノマーとしても有用な化合物として知られている。
テトラヒドロフランなどの環状エーテルの工業的な製法としては、従来より様々な製法が知られているが、中でもジヒドロキシ化合物の脱水環化により製造されることが多い。このジヒドロキシ化合物の脱水環化反応用の触媒としては、高い転化率と選択性の観点から酸触媒が有効であることが知られており、例えば、特開平10−77277号公報には、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールを、コバルトを含有する触媒、有機スルホン酸及び高沸点アミンの存在下で、脱水素及び脱水してジヒドロフランなどのα,β−環状不飽和エーテルを製造する方法が記載されている。また、特表2006−503050号公報には、ヘテロポリ酸触媒上で1,4−ブタンジオールを含有する反応混合物の反応によってTHFを連続的に製造する方法が記載されており、更に、そのヘテロポリ酸触媒が水を含有しており、その水を含むヘテロポリ酸を反応にそのまま使用することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−77277号 公報
【特許文献2】特表2006−503050号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜2に記載の方法は、反応条件によって触媒の劣化や設備の腐食などが発生しうる懸念があり、運転条件の制約も多かった。更に脱水環化反応の触媒として使用される有機スルホン酸やヘテロポリ酸が強酸であることから、その取り扱いの困難性が高いことや触媒自体のコストが高いため、工業的に有利な方法とは言えなかった。
一般的に、ヘテロポリ酸、塩酸又は硫酸などの強酸を化学反応プロセスに適用するにあたり、安全性の観点から、反応系内では強酸を低濃度領域で使用するが、強酸を希釈する溶媒に最適な溶媒としては、通常、水が選定され、強酸を水で希釈して反応系に供給されることが多い。しかしながら、スルホン酸などの酸触媒を用いて1,4−ブタンジオール
を脱水環化反応によりTHFを生成する反応では、水存在下では反応が阻害され、THF生成速度が低下することが判明した。また、工業的に大規模な反応プロセスの場合は、使用する強酸の量も多いことから、希釈された強酸が直ちに反応系に供給されるのではなく、ある一定期間はタンクやドラムなどの容器中に保存された後に、反応系に供給される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、pKa(酸解離定数)が4以下の酸を触媒として用い、原料1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりTH
Fを製造する方法において、反応速度の低下を低減し、安定的に高い生産性が得られる工業的に有利なTHFの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、pKaが4以下の酸を反応系にそのまま供給するのではなく、特定の水分量を含有する1,4−ブタンジオール又はテトラヒドロフランで調製した触媒液を保存しておき、その保存された触媒液を反応系に供給することで、反応速度の低下を抑制できることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下の[1]〜[5]を要旨とする。
[1]pKaが4以下の酸を水分濃度が0.003〜20.0wt%の1,4−ブタンジオール又はテトラヒドロフランを用いて溶解して触媒液を調製し、該触媒液を保存した後、原料1,4−ブタンジオールと共に該触媒液を反応槽に供給し、該反応槽内で脱水環化反応を行うことにより生成物としてテトラヒドロフランを得ることを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。
[2]前記pKaが4以下の酸が有機スルホン酸であることを特徴とする[1]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[3]前記触媒液を保存する時間が、24時間以上60日以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[4]前記触媒液を保存する温度が20℃以上100℃以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[5]前記反応槽内で脱水環化反応を行うことにより生成するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器出口から得られる凝縮液の一部を前記反応槽の気相部に供給しながら、残りの凝縮液を反応槽外に抜き出すことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のテトラヒドロフランの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、原料1,4−ブタンジオールを脱水環化反応してTHFを生成する際の
反応速度の低下を抑制することができ、また、長期間にわたって触媒を保存する場合でも、触媒としての性能を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明で使用する原料の1,4−ブタンジオール(以下、「1,4BG」と略記することがある)は、公知の方法により得ることができる。例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得た1,4BGを使用することができる。或いは無水マレイン酸の水素化により得た1,4BG、レッペ法によりアセチレンから誘導した1,4BG、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4BG、発酵法により得た1,4BGなどが使用可能である。これら公知技術で製造した1,4BGが含む各種副生物、例えば2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランなどを本発明で使用する原料の1,4BGに含有していても差し支えない。
【0009】
本反応における反応槽は特に限定されるものではなく、原料に溶解可能な均一系酸触媒を用いた槽型を使用することができる。また、生成するTHF及び副生水を液として反応器から排出して蒸留塔などの後工程で精製することも可能であるが、反応槽の気相部から一部、あるいは全量の生成したTHF及び副生水を含むガスとして排出することも可能である。この場合には、ガスは熱交換器に導入し、該熱交換器で凝縮されて得られるTHFを含む凝縮液を熱交換器出口から得る。また、このガスを熱交換器に導入し、該熱交換器で凝縮されて得られるTHFを含む凝縮液の一部を還流として反応槽の気相部に循環供給し、残りの凝縮液は反応槽外に抜き出すことが好ましい。その際の還流比は0.001〜30の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜10の範囲であり、特に好ましくは0.1〜5の範囲である。尚、還流比が高すぎた場合には、加熱のための熱源コストが増大して経済性が悪化し、還流比が少なすぎた場合には、固形物析出低減の効果が得られず、且つ高沸点成分の分離悪化による留出凝縮液への混入が進行する。熱交換器に導入される
THF及び副生水を含むガスの導入時の温度は10℃〜200℃が好ましく、特に好ましくは60℃〜100℃の範囲である。凝縮した液の組成はTHFと副生水を任意の濃度で含有することが可能であるが、好ましくはTHFの濃度が30重量%〜95重量%であり、特に好ましくは50重量%〜85重量%の範囲である。また、本反応は量論的に副生水を生成する。そのため、該凝縮液中の水濃度は通常1重量%〜50重量%であり、好ましくは5重量%〜30重量%であり、特に好ましくは15重量%〜25重量%の範囲である。
【0010】
また、反応槽の気相部に充填塔、あるいは棚段塔を設置し、生成したTHF及び副生水を留出させる共に、未反応原料を分離して反応器液相に保持することも可能である。蒸留塔による生成したTHF及び副生水と未反応原料を分離し、未反応原料及び原料1,4BGの2量体などの高沸点成分を反応器に循環させる、あるいは気相部を介して生成したTHF及び副生水を反応器から排出するなどにより、反応槽内の液相部に高沸点副生物を蓄積することが可能である。これらの高沸点副生物のうち、1,4BGの脱水2量体であるジブチレングリコールなどはTHFへの変換が可能であり、これら高沸点副生物を一部、あるいは全量反応槽に蓄積することで、原料使用量を削減して経済性を改善することが可能である。そのため、反応槽の気相部から一部、あるいは全量の生成したTHF及び副生水を含むガスとして排出することが好ましい。
【0011】
反応槽外に抜き出した液を精製するために、充填塔、棚段塔など蒸留塔を有してもよい。充填塔、棚段塔などの段数は任意であるが、通常理論段として1段以上、100段以下が好ましく、特に好ましくは3段以上、20段以下である。これ以上の段数では塔が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化してしまう。
本発明における酸解離定数(pKa)が4以下の酸は、1,BGをTHFに脱水環化反応により変換可能な触媒としての能力を有し、且つ1,4BG又はTHFに溶解可能なものである。具体的には、スルホン酸、ヘテロポリ酸などが挙げられ、好ましくは有機スルホン酸である。具体的には、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、メタトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸誘導体、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸などの鎖状の炭化水素スルホン酸誘導体である。これらは混合物として用いても差し支えなく、また炭素骨格内にスルホン酸以外の官能基を有していても差し支えない。特に好ましくはパラトルエンスルホン酸である。
【0012】
有機スルホン酸を使用する場合、反応槽液相部での濃度は、0.01重量%〜20重量%であり、好ましくは0.05重量%〜10重量%、特に好ましくは0.2重量%〜5重量%である。
本発明では、pKaが4以下の酸を1,4BGの脱水環化反応用の反応槽で使用する前に、水分濃度が0.003〜20.0wt%の1,4BG又はTHFを用いて溶解して触媒液を調製するが、pKaが4以下の酸を溶解する溶媒としての1,4BGは、原料1,4BGと同じ組成が好ましく、原料と同様に公知の技術で得ることができる。具体的には、1,4BG濃度が10重量%以上、99.99重量%以下が好ましく、更に好ましくは1,4BG濃度が80重量%以上、99.99重量%以下であり、特に1,4BG濃度が90重量%以上、99.90重量%以下が好ましい。
【0013】
一方、溶媒としてのTHFは、本発明に記載の製法で得ることも可能であり、また公知の技術で得ることもできる。具体的には、THFの濃度が10重量%以上、99.99重量%以下が好ましく、更に好ましくはTHFの濃度が80重量%以上、99.99重量%以下であり、特にTHFの濃度が90重量%以上、99.90重量%以下が好ましい。
この際、1,4BG又はTHF中の水分濃度は20wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下、更に好ましくは1wt%以下であり、特に好ましくは0.02wt
%以下である。尚、この溶媒の1,4BGには、水以外に、たとえば1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン、ジブチレングリコールおよびジブチレングリコールの酢酸エステル、テトラヒドロフラン、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランなどが含まれていても良い。また、溶媒のTHFには、水以外に1,4BG、ブタノール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランなどが含まれていても良い。pKaが4以下の酸の該1,4BGあるいは該THFへの溶解濃度は、pKaが4以下の酸の濃度が0.1重量%以上、99重量%以下であり、好ましくは0.2重量%以上、90重量%以下であり、更に好ましくは0.5重量%以上、50重量%以下である。特に好ましくは1重量%以上、20重量%以下である。なお、触媒液を調製する際の温度は200℃以下が好ましく、更に好ましくは100℃以下であり、特に好ましくは60℃以下である。
【0014】
なお、上述のようにして得られる触媒液を、反応槽に供給するまで、予め保存することを必要とするが、本発明において、触媒が保存された状態は、上述のように調製された触媒液が、反応槽に供給される前に、ある箇所に720分以上は留まっている状態のことをいう。例えば、触媒液を容器内に保存する場合は、調製された触媒が容器内に溜まっている状態のことであり、容器としては、触媒液を溜めておくものであれば、特に限定されないが、例えば、貯槽タンク、ガラス容器、蒸留塔の底部などが挙げられる。また、保存する際に容器を使用した場合、容器に溜められた触媒液を、配管などを用いて反応槽へ供給する場合は、その配管内に触媒液を溜めておいてもよい。更に、触媒液の保存中は、攪拌していてもよく、本発明の効果に影響が出ない範囲で、他の化合物と混合してもよい。
【0015】
なお、経済的な面から、触媒液を保存する形態としては、上述の触媒液を調製する際に容器を使用する場合は、その容器内で保存することが好ましい。保存される容器内の気相部は、ヘリウム、アルゴンや窒素等の不活性ガスで形成されていることが望ましい。特に空気の漏れ込み等による酸素の混入を抑制できるような構造とすることが好ましい。
なお、保存温度は100℃以下、0℃以上が好ましく、更に好ましくは80℃以下、10℃以上であり、特に好ましくは60℃以下、20℃以上である。保存温度が低くなるほど冷却コストが必要となること、また1,4BGが固化してしまう恐れがある。また保存温度が高くなるほど、圧力が上昇して高価な保存容器が必要となる傾向にある。該触媒液の保存日数は特に限定されるものではないが、60日以下、12時間以上であり、より好ましくは30日以下、1日以上であり、更に好ましくは21日以下、2日以上であり、特に好ましくは14日以下、3日以上である。保存日数が短すぎた場合には、触媒調製頻度が高くなりすぎて、作業負荷が増大する傾向にある。一方、保存日数が長すぎた場合には、微量の溶存酸素による溶媒及び触媒の劣化が進行し、不純物や過酸化物濃度が増加する傾向にある。この保存中にTHFが生成することが考えられ、その際副生水が生成する可能性がある。保存期間中の触媒液中の水分濃度は20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下とすることが好ましい。
【0016】
本発明では、触媒液を原料1,4BGと共に反応槽に供給するが、触媒劣化による反応収率低下を抑制するという観点から、逐次的に触媒液を反応槽に投入することがより効果的である。例えば、原料1,4BGに触媒液を混合し溶解させ反応槽に間欠的或いは連続的に供給することが好ましい。なお、その際に、反応槽内の液相部を反応槽外に間欠的或いは連続的に抜き出してもよい。その際に供給する触媒液の量としては1,4BGの経時投入量に対する濃度として1〜1000wtppmが好ましく、特に好ましくは5〜50wtppmである。触媒劣化とともに該触媒液を逐次的に投入する際、1,4−ブタンジオールの経時投入量に対する濃度として1ppm〜1000ppmが好ましいため、少量の触媒経時投入量が求められる。少量の触媒液を高濃度で反応器に供給することは、反応器内の触媒濃度の安定推移の面でも運転が困難となり、比較的低濃度の触媒液をある程度
の量で連続的に反応器内に供給することが好ましい。
【0017】
反応槽内の液相部の内温である反応温度は、80℃〜250℃が好ましく、より好ましくは、100℃〜200℃であり、特に好ましくは120℃〜180℃の範囲である。これ以上低い温度ではTHFの生産性が著しく低下してしまい、これ以上の高温度では微量副生物の増加、あるいは強酸であるスルホン酸を使用するために高価材質の使用が必須となってしまう。
【0018】
反応圧力は任意の圧力を採用可能であるが、絶対圧として10kPa〜1000kPaであり、特に好ましくは100kPa〜500kPaである。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法を用いて行った。テトラヒドロフランの分析はトリデカンを内部標準として使用し、ガスクロマトグラフィーにより算出した。尚、使用した1,4−ブタンジオール、パラトルエンスルホン酸は市販のものを用いた。
【0020】
<参考例1>
7ccのガラス製フラスコに1,4−ブタンジオール3.8g、水分を0.01重量%含む1,4−ブタンジオール0.19gにパラトルエンスルホン酸29mg(0.63重量%)を溶解した溶液を導入し、80℃で7時間加熱を行った。その後、ガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、液中のテトラヒドロフラン濃度は7.07重量%であった。テトラヒドロフラン収率は8.8モル%であった。
【0021】
<実施例1>
窒素雰囲気下でステンレス製の100ccオートクレーブに水分を0.01wt%含む1,4−ブタンジオール43.75gにパラトルエンスルホン酸6.25g(12.5重量%)を溶解して触媒液を調製し、そのまま密閉して60℃に加熱したオーブン内で8日間保存した。
【0022】
7ccのガラス製フラスコに1,4−ブタンジオール3.8g、保存後の触媒液0.19gを導入し、90℃で7時間加熱しながら脱水環化反応を行い、THFを生成させた。フラスコ内の反応液中のパラトルエンスルホン酸の濃度は0.63重量%であった。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、THF濃度は1.28重量%であった。反応終了後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたTHFは、7.70重量%であった(テトラヒドロフランの収率:8.1モル%)。結果を表−1に示す。
【0023】
<実施例2>
実施例1において、調製した触媒液を40℃に加熱したオーブン内で25日間保存した以外は、同様に方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、0.48重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、5.67重量%であった(テトラヒドロフランの収率:6.5モル%)。結果を表−1に示す。
【0024】
<実施例3>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を水分濃度が5.0wt%である1,4−ブタンジオールとした以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応
開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、0.59重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、5.28重量%であった(テトラヒドロフランの収率:5.9モル%)。結果を表−1に示す。
【0025】
<実施例4>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を水分濃度が10.0wt%である1,4−ブタンジオールとした以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、0.37重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、5.27重量%であった(テトラヒドロフランの収率:6.2モル%)。結果を表−1に示す。
【0026】
<実施例5>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を水分濃度が0.01wt%のテトラヒドロフランとした以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、4.49重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、13.94重量%であった(テトラヒドロフランの収率:11.8モル%)。結果を表−1に示す。
【0027】
<比較例1>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を脱塩水とし、調製した触媒液を40℃に加熱したオーブン内で25日間保存した以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、0.06重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、2.28重量%であった(テトラヒドロフランの収率:2.9モル%)。結果を表−1に示す。
【0028】
<比較例2>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を水分濃度が25wt%の1,4−ブタンジオールとした以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、0.20重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、4.01重量%であった(テトラヒドロフランの収率:4.8モル%)。結果を表−1に示す。
【0029】
<比較例3>
実施例1において、触媒液を調製する際に用いる溶媒を水分濃度が25.0wt%のテトラヒドロフランとした以外は、同様の方法でTHFの生成を行った。なお、反応開始前に反応液中のTHF濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3.10重量%であった。反応後、フラスコ内の反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、反応によって得られたテトラヒドロフランは、6.76重量%であった(テトラヒドロフランの収率:4.6モル%)。結果を表−1に示す。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
pKaが4以下の酸を水分濃度が0.003〜20.0wt%の1,4−ブタンジオール又はテトラヒドロフランを用いて溶解して触媒液を調製し、該触媒液を保存した後、原料1,4−ブタンジオールと共に該触媒液を反応槽に供給し、該反応槽内で脱水環化反応を行うことにより生成物としてテトラヒドロフランを得ることを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。
【請求項2】
前記pKaが4以下の酸が有機スルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
【請求項3】
前記触媒液を保存する時間が、24時間以上60日以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
【請求項4】
前記触媒液を保存する温度が20℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
【請求項5】
前記反応槽内で脱水環化反応を行うことにより生成するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器出口から得られる凝縮液の一部を前記反応槽の気相部に供給しながら、残りの凝縮液を反応槽外に抜き出すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。