説明

テレビ電話装置、テレビ電話システム

【課題】テレビ電話装置の構成の活用を図ることで、テレビ電話装置の利用範囲を広げるとともに、ユーザ自身が行いたい運動を行うことで、手軽に運動量を知ることのできるテレビ電話装置及びテレビ電話システムの提供を目的としている。
【解決手段】 カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置であって、前記カメラで撮影した運動画像を前記表示部に表示するとともに、前記撮影した運動画像から運動量を算出することを特徴とするテレビ電話装置、又は、これらのテレビ電話装置とテレビ電話装置が接続されるネットワークとからなるテレビ電話システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP電話網等に接続されて音声及び映像の送受信を行うテレビ電話装置またはテレビ電話システムに関し、特に、テレビ電話装置に備わったカメラと表示部を使い、ユーザが自分の好みの運動を行った際の運動量を簡単に知ることができるテレビ電話装置またはテレビ電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話装置にカメラと表示部を追加し、双方で音声及び映像の送受信を行うことでテレビ電話装置として用いることのできるテレビ電話装置が知られている(特許文献1)。このテレビ電話装置は、電話としての機能だけでなく、テレビ電話としての機能も備えているため、電話装置よりも高機能なものになってしまう。このような高機能なものを単にテレビ電話装置として利用するのではなく、その構成を活かして他の用途にも使えるようにすることは、テレビ電話装置の利用範囲を広げることになる。
【0003】
一方、最近では健康の維持や増進の意識が高まっており、日常の健康管理の一つとして様々な運動が様々な方法により行われている。その中には例えば特許文献2に記載されているものが知られている。これはモニターに表示されたインストラクタの動きを真似し、その動きによって消費されるカロリーを知ることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−312130号公報
【特許文献2】特開2005−230068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2による運動方法は、インストラクタの動きを真似ることで手軽に運動量を知ることができるが、一方でユーザ自身が好みの運動を好みのペースで行えないという課題がある。
【0006】
特に、高齢者や運動の苦手なユーザにとって、インストラクタの動きを真似るということは現実には難しい。そして真似ているつもりであっても、違った動きになってしまうこともよくあることである。このような場合もあるので、広く知られた手軽な運動を、自分のペースで行いたいという要望が考えられる。
【0007】
そこで本発明は、テレビ電話装置の構成の活用を図ることで、テレビ電話装置の利用範囲を広げるとともに、その構成を利用し、ユーザ自身が行いたい運動を行うことで、手軽に運動量を知ることのできるテレビ電話装置及びテレビ電話システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置であって、前記カメラで撮影した運動画像を前記表示部に表示するとともに、前記撮影した運動画像から運動量を算出することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のテレビ電話装置において、複数の運動の中から特定の運動を選択できる運動メニュー選択手段と、運動ごとに運動の成否を判別する基準ラインを表示する基準ライン表示手段と、を備え、選択された運動による運動画像と、前記基準ラインとの比較により前記運動量が算出されることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載のテレビ電話装置において、運動量の目標値を入力できる目標値入力手段と、目標値に達したか否かを判別する目標達成判別手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれかに記載のテレビ電話装置において、運動量を記憶する運動量記憶手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また本願の請求項5にかかる発明は、カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置と、該テレビ電話装置が接続されるネットワークと、からなるテレビ電話システムであって、前記テレビ電話装置の前記カメラで撮影した運動画像が前記表示部に表示されるとともに、撮影した運動画像から運動量が算出され、前記運動量が前記ネットワークに接続される運動量保存サーバに保存されることを特徴とする。
【0013】
また本願の請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のテレビ電話システムにおいて、前記テレビ電話システムは、複数の運動の中から特定の運動を選択できる運動メニュー選択手段と、運動ごとに運動の成否判別する基準ラインを表示する基準ライン表示手段と、を備え、選択された運動による運動画像と、前記基準ラインとの比較により前記運動量が算出されることを特徴とする。
【0014】
また本願の請求項7にかかる発明は、請求項5または6に記載のテレビ電話システムにおいて、運動量の目標値を入力できる目標値入力手段と、目標値に達したか否かを判別する目標達成判別手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明においては、カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置であって、前記カメラで撮影した運動画像を前記表示部に表示するとともに、前記撮影した運動画像から運動量を算出するよう構成されている。
【0016】
このような構成にすることにより、ユーザは自分自身の運動する姿を確認しながら運動を行うことができ、また自分の好きな運動を行うことで簡単に運動量を知ることができる。更には、テレビ電話装置に備わる構成を利用することができるので、テレビ電話装置の利用範囲を広げることができる。
【0017】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、ユーザが運動を選択すると、その選択した運動に対応する基準ラインが表示されるので、ユーザ自身がその基準ラインをみながら、運動ができているかどうかを確認することができる。また基準ラインをもとに運動の成否を決めて運動量を計算するので、比較的正確な運動量を簡単に知ることができる。
【0018】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる発明において、ユーザが運動の目標を簡単に設定することができ、また目標値と実際の運動量との比較を簡単に行うことができる。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれかにかかる発明において、運動量を記憶しておくことができるので、日々の運動量の変化などを簡単に知ることができ、日常的な健康管理を手軽に行うことができる。
【0020】
請求項5にかかる発明においては、テレビ電話装置が接続されるネットワークと、からなるテレビ電話システムであって、前記テレビ電話装置の前記カメラで撮影した運動画像が前記表示部に表示されるとともに、撮影した運動画像から運動量が算出され、前記運動量が前記ネットワークに接続される運動量保存サーバに保存されるよう構成されている。
【0021】
このような構成にすることにより、ネットワークを介して運動量の情報などを共有化できるので、テレビ電話装置を利用して医者の問診などを手軽に行うことができる。
【0022】
請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる発明において、ユーザが運動を選択すると、その選択した運動に対応する基準ラインが表示されるので、ユーザ自身がその基準ラインをみながら、運動ができているかどうかを確認することができる。また基準ラインをもとに運動の成否を決めて運動量を計算するので、比較的正確な運動量を簡単に知ることができる。
【0023】
請求項7にかかる発明は、請求項5または6にかかる発明において、ユーザが運動の目標を簡単に設定することができ、また目標値と実際の運動量との比較を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用した実施例であるテレビ電話システムの全体図である。
【図2】本発明を適用した実施例であるテレビ電話装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施例における、表示部での表示の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施例で、テレビ電話装置の動作を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施例で、運動プログラムにおけるテレビ電話装置の動作を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施例における表示部で表示する基準ラインの一例を示した図である。
【図7】本発明における表示部で表示する基準ラインの他の実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するためのテレビ電話装置およびテレビ電話システムを例示するものであって、本発明をこの電話装置および電話システムに特定することを意図するものではなく、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められるものである。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明のテレビ電話装置を含むテレビ電話システム全体の構成を示すブロック図である。本実施例において、このシステムはテレビ電話装置100、有線LAN101、IP電話ルータ102、ブロードバンドルータ103、ゲートウェイ104、IP電話網105、インターネット106、PSTN網107(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置108を含むように構成されている。
【0027】
本発明のテレビ電話装置100は有線LAN101に接続され、有線LAN101は、IP電話ルータ102を介してIP電話網105に、ブロードバンドルータ103を介してインターネット106に、ゲートウェイ104を介してPSTN網107にそれぞれ接続されることにより、通信が可能である。なお、テレビ電話装置100の内部構造の詳細については後述する。
【0028】
有線LAN101を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0029】
IP電話ルータ102、及びブロードバンドルータ103は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。
【0030】
本実例では、IP電話ルータ102は有線LAN101とIP電話網105との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ103は、有線LAN101とインターネット106との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0031】
ゲートウェイ104は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ104は、例えば、有線LAN101とPSTN網107とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0032】
IP電話網105は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なお、IP電話網105にはテレビ電話装置100’が複数接続されているが、図1では簡単のため1台のみしか描写されていない。
【0033】
なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮した後にパケットに分割し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網105は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等が提供可能となる。
【0034】
インターネット106は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0035】
PSTN網107は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に加入者電話装置108を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置108は、電話加入者がPSTN網107を用いてPSTN網に接続された他の加入者電話装置や有線LAN101やIP電話網105に接続されたテレビ電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
【0036】
次に、図2を参照して本実施例のテレビ電話装置100について説明する。なお、図2は本実施例に係るテレビ電話装置100の構成を示す内部ブロック図である。テレビ電話装置100は、制御部110、マイク120、スピーカ130、カメラ140、表示部150、入力部160、メモリ170、LANインターフェース180を備えて構成される。
【0037】
制御部110は、CPU、RAM、ROMを備えて構成されるマイクロプロセッサであり、RAMやROMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、以下に説明する各手段の動作を制御・統括する。
【0038】
制御部110は、通信制御手段111、音声信号処理手段112、画像・映像信号処理手段113、表示制御手段114、データ制御手段115、時刻制御手段116、目標達成判別手段117、運動量計測手段118を備えて構成される。
【0039】
通信制御手段111は、テレビ電話装置100が他のテレビ電話装置100’と通信を行う際の通信制御を行うためのものである。これには、シグナリングとデータの送受信とに関わる制御が含まれる。シグナリングには通信セッションの生成、確立、切断が含まれる。具体的には、ユーザが入力部160を操作して電話番号等を入力した際に、IP電話網105に接続されたSIPサーバ(図示せず)等に接続して通話相手先のテレビ電話装置100’の位置情報を入手するとともに、通話相手先のテレビ電話装置100’を呼出し、通話相手先が応答した場合に通信経路を確立することと、通話が終了した際にセッションの終了処理を行うことが含まれる。
【0040】
データの送受信に関わる制御には、音声データ、映像データ、画像データをパケットに分割して送信するIPパケット処理と、有線LAN101を介して受信したパケットを、正しい順序に並べ替えるとともに実際のデータ部分を抽出して組立てる処理とが含まれる。
【0041】
データをパケットとして送信する際には、所定データ長に分割された各データに送信元、宛先、順序、送信時刻、用途(IP電話の音声データ、映像データ、画像データ)を示すヘッダを付加する。また、受信したパケットは、ヘッダ部分を参照することによって、音声、映像、画像ごとに正しい順序で組立てられてゆき、音声信号処理手段112、画像・映像信号処理手段113に出力される。
【0042】
音声信号処理手段112は、マイク120から入力された音声をA/D変換し、次いで音声コーデックによって圧縮処理し、圧縮されたデータを通信制御手段111に出力する。また、通信制御手段111において組立てられた音声データを音声コーデックによって伸張処理し、次いでD/A変換してスピーカ130から出力する。
【0043】
画像・映像信号処理手段113は、映像コーデックを備えており、カメラ140において撮影された映像を圧縮処理し、圧縮されたデータを通信制御手段111に出力する。また、通信制御手段111において組立てられた映像データを伸張処理し、表示制御手段114に出力する。また、画像・映像信号処理手段113は、画像コーデックを備えており、通信制御手段111において組立てられた画像データを伸張処理し、メモリ(制御部110のRAM)に展開する。
【0044】
表示制御手段114は、カメラ140及び画像・映像信号処理手段113から出力された映像データ及びメモリ(制御部110のRAM)に展開された画像データを表示部150に表示可能な所定の態様に処理し、表示部150に表示させるものである。
【0045】
データ制御手段115は、通信制御手段111の受信データを監視することによって通話相手先のテレビ電話装置100’から画像を受信したことを判定し、画像データを受信した場合には、その画像データをメモリ(制御部110のRAM)に展開したり、メモリ170から画像データを取込んでメモリ(制御部110のRAM)に展開したり、メモリ(制御部110のRAM)に展開されている画像データを、通話相手先へ送信する送信指示を行ったり、テレビ電話装置100にプリンタが接続されている場合にはプリンタへの出力指示を行ったり、メモリ170への保存を行ったりする。
【0046】
時刻制御手段116は、通信制御手段111において各データをパケットに分割する際に、各データを例えば20mS〜60mSずつ分割するタイミングを調整したり、受信したパケットを組立てる際に所定の時刻に各パケットが再生処理されるようにタイミング調整を行ったりするためのものである。
【0047】
目標達成判別手段117は、ユーザが行う運動について、運動量の目標設定を行った場合に、運動量が目標に達したか否かを判別する。
【0048】
運動量計測手段118は、後述するようにユーザの性別、年齢、体重や、ユーザの選択した運動の種類や運動時間などの情報をもとにして、ユーザが行った運動の運動量を計算する。
【0049】
マイク120において集音された音声は、音声信号に変換され、音声信号処理手段112に出力される。また、音声信号処理手段112から出力された音声信号はスピーカ130において音声に変換され出力される。マイク120とスピーカ130は、テレビ電話装置100に固定的に設けられていてもよいが、ヘッドセットであってもよい。
【0050】
カメラ140は、テレビ電話装置100の通話中にその前にある被写体を撮影するためのものである。通常、テレビ電話装置100の正面にはユーザが位置することになるので、カメラ140においてはユーザが被写体として撮影される。またカメラ140はデジタル式のカメラからなり、撮影した静止画や動画はデジタル画像として扱われことになる。撮影された映像は、画像・映像信号処理手段113に出力され、制御部110で画像処理等が行われる。また本実施例においては、テレビ電話装置100の前で運動を行うユーザを撮影するためのものでもある。
【0051】
表示部150は液晶ディスプレイユニットなどの表示体であり、表示制御手段114において処理された映像や画像を表示する。そしてテレビ電話装置100に用いられるこの表示部150の画面サイズは、一般的な電話装置に用いられる表示部に比べると比較的大きなサイズで、7インチ程度のものが用いられる。一般的な電話装置であれば、相手方の電話番号や、電話装置に備わった機能を表示するメニュー画面などの文字情報の表示が主なものとなる。これに対し、テレビ電話装置の場合、画像情報を扱う必要があるので、できるだけ大きな画面サイズで、かつ高精細なものが好ましい。
【0052】
入力部160は、テレビ電話装置100を構成する筐体の一部分に形成されたキーやボタンであるとともに、表示部150に一体に形成されたタッチパネルでも構成されている。ユーザは筐体に形成されたテンキーを直接押して入力操作を行ったり、表示部150に表示された入力用のアイコンの部位に接触することで入力操作を行ったりすることになる。
【0053】
メモリ170は、フラッシュメモリ等であり、データ制御手段116はメモリ170に記録されている画像データを読込んでメモリ(制御部110のRAM)に展開し、編集して通話相手先に送信したり、通話相手先から受信した画像データをメモリ170に保存したりする。また後述するユーザが行う運動に関する情報などにつても保存を行う。
【0054】
LANインターフェース180は、テレビ電話装置100を有線LAN101へ接続するものであり、インターフェース180を介して有線LAN101と制御部110との間でパケットの送受信が行われる。
【0055】
次に、本実施例のテレビ電話装置100を用いた、ユーザの運動について説明する。まず、テレビ電話装置100は本来的な機能として、電話装置としての機能や、テレビ電話装置としての機能を有している。そこで、このテレビ電話装置100を他の用途に使う場合、例えば入力部160に設けられたメニューボタンを押すことによって、テレビ電話装置100を他の用途に用いることが可能となる。そしてこの入力部160の操作によって、図3に示すような健康管理メニューの画面が、表示部150に表示されることになる。
【0056】
健康管理メニューの画面に表示されるのは、詳細を後述するユーザの運動を支援するエクササイズのメニューの他に、健康管理に関する様々なメニューが表示されることになる。なお、この画面に表示されるものは、いずれもテレビ電話装置100を用いてユーザが利用できるメニューであり、例えばテレビ電話装置100を用いて健康測定を行うことができる場合には、図3に示しているような健康測定のメニューが表示される。
【0057】
つぎにユーザが健康管理メニューでエクササイズのメニューを選択した場合について、図4から図6を用いて具体的に説明していく。
【0058】
まず、エクササイズメニューが選択されると図4に示すフローチャートのような処理がテレビ電話装置100で開始される。
【0059】
最初に、ユーザの基礎データに関する設定を行う。具体的には表示制御手段114によって、表示部150にユーザの基礎データを入力させるための画面を表示し、この画面を見ながらユーザが入力した基礎データを制御部110内へいったん保存する(ステップ201)。この基礎データは、ユーザの性別、年齢、体重などの情報であり、後述する消費カロリーの計算などに用いられる。本実施例においては、ユーザの性別は女性、年齢は32歳、体重は56kgということで説明を行う。またこの他にユーザの名前などを入力させても構わない。
【0060】
つぎに、表示制御手段114によって、表示部150に運動メニューの画面を表示させる(ステップ202)。運動メニューの画面には家庭で簡単に行うことのできる様々な運動が表示されることになる。具体的には、腹筋や腕立て、縄跳びなどの運動が表示される。
【0061】
つぎに、ステップ202で表示された運動メニューの中からユーザが入力部160を介して選択したメニューを表示部150へ表示する(ステップ203)。本実施例においては、ユーザが縄跳びを選択したものとして説明を行う。なお、特許請求の範囲で用いている運動メニュー選択手段は、本実施例において表示制御手段114、表示部150、入力部160から構成される。
【0062】
つぎに、ユーザが今回の運動を行う上での運動量の目標値について設定を行う(ステップ204)。具体的にはユーザが今回の運動を行う上での運動量の目標値が入力できるよう、表示部150へ目標値の入力画面を表示する。この運動量の目標値は、本実施例のように縄跳びを選択したのであれば、200kcalというように消費カロリーが入力できるようになっている。また、腹筋であれば50回というように、腹筋の回数が入力できるようになっており、それぞれの運動に適した目標値が入力できるようにしておくとよい。なお、ユーザが毎回の運動の目安にできるので運動量の目標値を設定できるようしておく方が好ましいが、目標値は必ずしも入力しなければならないということではない。目標を設定しないで、運動を行った結果の運動量をユーザに知らせるという構成でも構わない。また、特許請求の範囲で用いている目標値入力手段は、本実施例において表示制御手段114、表示部150、入力部160から構成される。
【0063】
つぎに、ユーザが目標値の入力を終え、目標値の設定が終了すると、制御部110内に保存されている運動プログラムを起動させて(ステップ205)、これらの終了することになる。
【0064】
つぎに運動プログラムについて説明していく。運動プログラムが起動されると、図5に示すフローチャートのような処理がテレビ電話装置100で開始される。
【0065】
まず、カメラ140を始動させ、テレビ電話装置100の前方にいるユーザの撮影を開始する(301)。そしてテレビ電話装置100の前方で運動を行っているユーザの画像がユーザの運動画像ということになる。なおユーザの画像については、ユーザの実際の画像を撮影し、画像処理を加えることによりユーザをデフォルメして表示しても構わない。
【0066】
つぎに、十分な運動が行えているか否かを判別するための基準ライン20を表示部150に表示する(ステップ302)。具体的には図6に示す表示部150の画面に破線で示したような線である。例えば今回選択された縄跳びであれば、この基準ライン20より下にユーザの頭が位置するように指示を表示し、ユーザの頭が基準ライン20を越えたか否かで、縄跳びができたかどうかを判定する。ユーザの頭が基準ライン20を越えたことにより、跳んだ回数を1回としてカウントしていく。ユーザの頭が基準ライン20を越えていなければ、跳んでいないとして回数のカウントを行わない。なお、表示部150に基準ライン20を表示することにより、ユーザ自身も表示部150を見ながら、自分自身の運動を客観的に確認することができる。
【0067】
また、基準ライン20は縄跳びであれば図6のようなラインとなり、例えば腹筋であれば図7(a)に示すようなラインとなり、腕立てであれば図7(b)に示すようなラインとなる。また、基準ライン20は図示したような直線で表すものだけでなく、曲線であっても構わない。また運動の種類によっては、複数の基準ラインを用いても構わない。そして、基準ライン20に関するデータは、各運動に対応付けて制御部110内に保存されており、ステップ203で選択された運動に対応した基準ライン20を読み込んで表示部150へ表示する。なお、特許請求の範囲で用いている基準ライン表示手段は、本実施例において制御部110、表示部150から構成される。
【0068】
つぎに、カメラ140で撮影したユーザの運動画像からユーザが動いたか否かを判別する(ステップ303)。テレビ電話装置100は通常家庭内の特定の場所に配置されているので、ユーザ以外の画像についてはほぼ静止画と考えることができる。そこでこの判別は、例えば運動画像に関して前後のフレーム間で変化の量が一定量を越えたら動作があったと判別してもよい。また画像認識技術によりユーザの認識を行って前後のフレーム間でのユーザに動きがあったか否かで判別してもよく、またユーザにセンサを取り付けさせておき、そのセンサの動きによってユーザの動作を判別してもよい。
【0069】
そして、ユーザの動作あり、と判別されるとステップ304に進み、テレビ電話装置100内にある計測手段を用いてタイマーを開始する。テレビ電話装置100の計測手段については特に図示等おこなっていないが、例えば通話時間を計測するために用いている計測手段などを利用してもよい。そしてユーザの動作がなければ、動作があるまでこの処理を繰り返す。
【0070】
つぎに、先に述べたように縄跳びの場合は、ユーザの頭が基準ライン20を越えた否かについての判別を行う(ステップ305)。この判別の方法もどのようなものでもよく、例えば画像認識によりユーザの頭を認識し、ユーザの頭と基準ライン20との座標を比較して、基準ライン20を越えたかどうかで判別すればよい。またユーザの輪郭を抽出し、ユーザの輪郭に基づいて基準ライン20を越えたかどうかを判別してもよい。また、図7(a)に示す腹筋であれば、ユーザの上半身が基準ラインを越えたかどうかで判別を行えばよいし、図7(b)に示す腕立てであれば、ユーザの上半身が基準ラインよりも下に下がったかどうかで判別すればよい。なお、基準ライン20を用いないでユーザの動作を判別する手段としては、例えば図示していないがテレビ電話装置100に付属する子機をユーザが持ち、子機に加速度センサを取り付けておき、センサの値をもとにユーザの動作を判別してもよい。またテレビ電話装置100から赤外線を出射し、ユーザからの反射光の受光の有無でユーザの位置を特定し、動作を判別してもよい。
【0071】
ユーザの頭が基準ライン20を越えていなければ、縄跳びの運動として不十分な運動であると判断し、ステップ306に進んでユーザに不十分な運動であるとの警告を行い、タイマーをリセットしてステップ303の処理に戻る。
【0072】
ユーザの頭が基準ライン20を越えていれば、縄跳びができていると判断し、ステップ307に進み1回の縄跳びにかかった時間を計測していくとともにその時間を累積していく。このように縄跳びの時間を累積していくことで、縄跳びの運動をどのくらいの時間行っているのかを知ることができる。そして運動時間の計測を行うことで、後述の運動量の算出に役立てることができる。なお、縄跳びの回数についてもカウントし、縄跳びの回数を表示部150に表示する構成としても構わない。
【0073】
つぎに、制御部110の運動量算出手段118により、ユーザの行った運動量の算出を行う(ステップ308)。運動量の算出方法は既にいろいろな方法があるので、既知の方法により算出を行えばよい。例えば、縄跳びによる消費カロリーは、体重1kgでは1分間に0.1532kcalと言われており、この値と、性別や年齢による補正計数を考慮して計算する方法が知られている。この方法によると、本実施例の30代の女性で体重56kgであれば補正計数が0.87となるので、例えば30分間縄跳びを行ったとすると、56(kg)×0.1532×30(分)×0.87(補正計数)≒224kcalということになる。
【0074】
運動量の算出が終わると、制御部110の目標達成判別手段117によりステップ204で設定された目標値との比較を行い目標が達成できたかどうかの判別を行う(ステップ309)。目標値に達していないのであれば、ステップ303に戻り、縄跳びの運動を繰り返すことになる。その際まだ目標値に達していないことを、例えばスピーカ130や表示部150を介してユーザに伝える構成とすればよい。
【0075】
そして目標値に達した場合、今回の目標が達成されたことを例えばスピーカ130や表示部150を介してユーザに伝える。そしてステップ310に進み、再度ユーザの動作があるか否かの判別を行う。ここで動作の判別を行うのは、ユーザが目標を達成してもそのまま運動を続けることも考えられるためである。そこでユーザの動作ありと判別されるとステップ304に戻り引き続き運動量の算出を行っていく。
【0076】
ユーザの動作がなければ、ユーザは目標を達成したことにより縄跳びを止めたと判断し、ステップ311に進んで、今回の運動量をメモリ170へ保存し、運動プログラムを終了する。
【0077】
このように、本発明のテレビ電話装置100によれば、テレビ電話装置としてもともと備わっているカメラと表示部を活用し、ユーザ自身が好みの運動を行うことで、手軽に運動量を知ることができる。とくにテレビ電話装置であれば、カメラと表示部とが一体になっているものなので、別々の装置をそれぞれ接続したりする必要がなく、高齢者や機械の扱いに苦手な人にとっては非常に扱いやすい。またユーザは自分の行いたい運動を、自分のペースで行うことができるので、特に高齢者や運動の苦手な人にとっては、誰かの運動を真似たりする必要もないので手軽に運動を行うことができる。
【0078】
つぎにテレビ電話装置100を含めたテレビ電話システムにおける本発明の実施例について説明する。図1に示したように、テレビ電話システム10はカメラと表示部とを備えた複数のテレビ電話装置がIPネットワークを介して互いに接続されている構成となっている。そしてIPネットワーク上には図示しない健康管理サーバが接続されている。
【0079】
この健康管理サーバは、テレビ電話装置のユーザ毎に所定の記憶領域が割り当てられており、テレビ電話装置を介して該当するユーザの運動量が、ユーザ名、日付、性別、年齢、体重などのデータとともに蓄積していく。テレビ電話装置から健康管理サーバへのデータの転送は、日々定刻にテレビ電話装置から自動的に健康管理サーバへ転送するようにしてもよいし、ユーザがテレビ電話装置から健康管理サーバへデータをその都度転送するようにしてもよい。
【0080】
そしてこのようにIPネットワークを介して接続されるテレビ電話装置および健康管理サーバを用いることで、例えば、ユーザである患者を担当する医者が、自宅あるいは病院から患者の日々の運動量などを簡単に確認することができる。また患者の運動量に疑問が生じたら、テレビ電話装置を使って医者と患者が直接テレビ電話装置を介して診断を受けることもできる。
【0081】
なお、テレビ電話システム10において、運動メニュー選択手段は、すべてテレビ電話装置100の内部で構成される必要はなく、たとえば具体的な運動メニューの情報についてはIPネットワーク上の他の記憶手段に記憶しておき、複数のテレビ電話装置で共有に用いてもよい。また同様に基準ライン表示手段についても、すべてテレビ電話装置100の内部で構成される必要はなく、基準ラインに関するデータをIPネットワーク上の他の記憶手段に記憶しておいてもよい。目標達成判別手段についても、設定された目標値や、運動量のデータをテレビ電話装置100から送信し、IPネットワーク上の別の処理手段によって判別を行い、その結果をテレビ電話装置100へ送る構成としてもよい。運動量算出手段についても、運動量を算出するための種々のデータをテレビ電話装置100から送信し、IPネットワーク上の別の処理手段により算出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 テレビ電話システム
20 基準ライン
100 テレビ電話装置
110 制御部
118 運動量計測手段
150 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置であって、
前記カメラで撮影した運動画像を前記表示部に表示するとともに、
前記撮影した運動画像から運動量を算出することを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項2】
複数の運動の中から特定の運動を選択できる運動メニュー選択手段と、
運動ごとに運動の成否を判別する基準ラインを表示する基準ライン表示手段と、を備え、
選択された運動による運動画像と、前記基準ラインとの比較により前記運動量が算出されることを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。
【請求項3】
運動量の目標値を入力できる目標値入力手段と、
目標値に達したか否かを判別する目標達成判別手段と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のテレビ電話装置。
【請求項4】
運動量を記憶する運動量記憶手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のテレビ電話装置。
【請求項5】
カメラと、該カメラで撮影した画像を表示可能な表示部と、を備えたテレビ電話装置と、
該テレビ電話装置が接続されるネットワークと、からなるテレビ電話システムであって、
前記テレビ電話装置の前記カメラで撮影した運動画像が前記表示部に表示されるとともに、
撮影した運動画像から運動量が算出され、
前記運動量が前記ネットワークに接続される運動量保存サーバに保存されることを特徴とするテレビ電話システム。
【請求項6】
前記テレビ電話システムは、
複数の運動の中から特定の運動を選択できる運動メニュー選択手段と、
運動ごとに運動の成否判別する基準ラインを表示する基準ライン表示手段と、を備え、
選択された運動による運動画像と、前記基準ラインとの比較により前記運動量が算出されることを特徴とする請求項5に記載のテレビ電話システム。
【請求項7】
運動量の目標値を入力できる目標値入力手段と、
目標値に達したか否かを判別する目標達成判別手段と、を備えていることを特徴とする請求項5または6に記載のテレビ電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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