説明

テンサーゲージ調整具及びそれを備えたクレードル装置

【課題】テンサーゲージを簡便に変更することができるテンサーゲージ調整具およびそれを備えたクレードル装置を提供する。
【解決手段】トップローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーの先端部とボトムローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーバーとの間隔を所定の値に維持するためのテンサーゲージ調整具において、軸部3と、軸部3をその軸心まわりに回動可能に保持する軸保持部4aと、クレードルの先端部に装着するための取付部4b,4cとを有するホルダ4と、軸部3に鍔状に設けられるテンサーゲージ調整部2とを有し、テンサーゲージ調整部2は、その外周面に、テンサーバーと当接する複数の平坦部2d〜2hが、軸部3の軸中心から径方向において異なる距離で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機のドラフト装置に適用されるテンサーゲージ調整具およびそれを備えたクレードル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紡機のドラフト装置は、通常、粗糸の走行経路上側にバックローラ、ミドルローラ、フロントローラを配列したトップローラ群と、上記トップローラ群に対向して粗糸の走行経路下側に同じくバックローラ、ミドルローラ、フロントローラを配列したボトムローラ群とを有し、バックローラからフロントローラに向けてドラフトが行なわれるように構成されている。
【0003】
上記トップローラ群のミドルローラを周回するエプロンベルトはテンサーによってテンションが付与され、上記ボトムローラ群のミドルローラを周回するエプロンベルトはテンサーバーおよびエプロンテンション装置によってテンションが付与され、両エプロンベルトの間を粗糸が走行するようになっている。
【0004】
図8は、クレードル装置の構成を示したものである。
【0005】
同図において、ミドルローラ50,50(手前側のみ図示)の支軸51にはクレードル52のサドル部が掛けられ、そのクレードル52の前部(フロントローラ側)には、各ミドルローラ50,50に対応してテンサー53,53が設けられている。
【0006】
また、上記テンサー53,53の中間のクレードル52には、テンサー53,53について所定のテンサーゲージtを確保するためのテンサーゲージ調整具54が装着されている。
【0007】
上記ミドルローラ50と、そのミドルローラ50の支軸51に揺動自在に係合されたクレードル52と、ミドルローラ50とテンサー53とに張架されたエプロンベルト55によってクレードル装置56が構成されている。
【0008】
図9は上記クレードル装置56とボトムエプロン装置の配置を示したものである。
【0009】
ボトムエプロン装置は、ボトムローラ側のミドルローラ56、テンサーバー57、ミドルローラ56とテンサーバー57を周回するエプロンベルト58とから主として構成されている。
【0010】
テンサーゲージ調整具54の前端には脚部54aが下向きに垂下されており、上記テンサーバー57の上面と当接するようになっている。
【0011】
脚部54aの垂下長さの異なるテンサーゲージ調整具54を複数用意し、いずれかを選択してクレードル52の前部に装着すれば、紡出条件の番手に応じてテンサーゲージtを変更することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−226838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した従来のテンサーゲージ調整具54では、紡出条件の番手が変更されると、クレードル装置56を支持しているウエイティングアームを一旦、引き上げてボトムエプロン装置から引き離し、クレードル52からテンサーゲージ調整具54を取り外して別のテンサーゲージ調整具に交換しなければならず、多数のクレードル装置のすべてについて行なうテンサーゲージ調整具交換作業は繁雑であるという問題があった。
【0013】
さらに、ボトムローラ群の各ローラをそれぞれ独立したモータによって駆動させる電子ドラフト装置では、紡出条件の番手に応じて、各モータの回転数を制御装置によって制御することができるものの、上記テンサーゲージ調整具については手動で交換しなければならないため、生産効率を高める場合に障害となっていた。
【0014】
本発明は以上のような従来のテンサーゲージ調整具における課題を考慮してなされたものであり、テンサーゲージを簡便に変更することができるテンサーゲージ調整具およびそれを備えたクレードル装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、トップローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーの下面先端部とボトムローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーバーの上面先端部との間隔を所定の値に維持するためのテンサーゲージ調整具において、
軸部と、
上記軸部をその軸心まわりに回動可能に保持する軸保持部とクレードルの先端部に装着するための取付部とを有するホルダと、
上記軸部に鍔状に設けられるテンサーゲージ調整部とを有し、
上記テンサーゲージ調整部の外周面に、上記テンサーバーと当接する複数の平坦部が、上記軸部の軸中心から径方向において異なる距離で形成されているテンサーゲージ調整具である。
【0016】
本発明において、上記テンサーゲージ調整部は、上記軸部の軸端に一対設けることが好ましい。
【0017】
本発明において、上記テンサーゲージ調整部に、そのテンサーゲージ調整部を上記軸部の軸心まわりに回転させるための工具装着部を設けることができる。
【0018】
本発明において、上記テンサーゲージ調整部の側面に、上記工具装着部として多角形からなる筒孔を設けることができ、また、上記テンサーゲージ調整部に、上記軸部の直径方向に沿って工具を装着するための溝部または孔部を、少なくとも1以上設けることもできる。
【0019】
本発明において、上記軸部の軸方向中央部を断面多角形からなる多面体に形成し、その多面体のいずれかの面に付勢力を付与することにより、上記テンサーゲージ調整部のいずれかの平坦部と上記テンサーバーとが当接状態で位置決めされるように構成することが好ましい。
【0020】
本発明は、トップローラと、
そのトップローラの支軸に揺動自在に係合されたクレードルと、
上記クレードルの先端に上記ホルダを介して装着された上記構成を有するテンサーゲージ調整具と、
上記トップローラとテンサーとに張架されたエプロンベルトとから構成されるクレードル装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のテンサーゲージ調整具およびそれを備えたクレードル装置によれば、テンサーゲージ調整具を交換することなく、紡出条件の番手に応じてテンサーゲージの設定を簡便に変更することができるという長所を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0023】
1 テンサーゲージ調整具の構成
図1は、本発明に係るテンサーゲージ調整具の実施形態を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)はその右側面図、同図(c)は図1(a)のA−A矢視断面図である。
【0024】
テンサーゲージ調整具1は、同軸上で離間配置された一対のゲージ調整部(テンサーゲージ調整部)2,2と、両ゲージ調整部2,2を接続する支軸部(軸部)3と、ホルダ4とから構成されている。
【0025】
1.1 テンサーゲージ調整部
テンサーゲージ調整部2,2は、支軸部3の径方向中心線Bを中心として左右対称に構成されている点を除いて基本的に同じ構成であるため、一方(図の右側)のテンサーゲージ調整部2を代表してその構成を説明する。
【0026】
テンサーゲージ調整部2は、内部に六角孔2aが貫通している筒部2bの一方端部に形成された鍔部2cから構成されている。
【0027】
鍔部2cの外周面は、インボリュート曲線に沿うようにして多角形に形成され、テンサーバーと当接する複数の平坦部は、径方向高さが段階的に増加していることにより、テンサーゲージ部2d,2e,2f,2g,2hとして機能するようになっている。
【0028】
なお、上記テンサーゲージとは、テンサー先端部とボトムローラ側のテンサーバーとの隙間寸法を意味する。
【0029】
上記テンサーゲージ部2dは2.2mm、テンサーゲージ部2eは2.5mm、テンサーゲージ部2fは2.8mm、テンサーゲージ部2gは3.1mm、テンサーゲージ部2hは3.4mmにそれぞれ対応している。
【0030】
すなわち、鍔部2cを筒軸Cまわりに回動させることにより、テンサーゲージt(図4参照)を0.3mmピッチで2.2mmから3.4mmの範囲について5段階に調整することができるようになっている。
【0031】
また、鍔部2cの外側側面にはテンサーゲージ部2d〜2hの各辺に対応して着色部2d′〜2h′が形成されている。
【0032】
着色部2d′は黄色に、着色部2e′は紫色に、着色部2f′は白色に、着色部2g′は灰色に、着色部2h′は黒色にそれぞれ着色されており、各テンサーゲージ部2d〜2hを色で簡単に識別できるようになっている。
【0033】
なお、図中、2iは鍔部2cにおいてテンサーゲージ部が形成されていない円弧部である。また、上記鍔部2cの外側側面に開口する上記六角孔(多角形からなる筒孔)2aは六角レンチ(工具)を装着する工具装着部としても機能するようになっている。
【0034】
上記構成を有する一対のテンサーゲージ調整部2,2に上記支軸部3が接続される。
【0035】
1.2 支軸部
支軸部3は、軸方向中央部に多面体としての断面八角形の軸(以下、八角軸と呼ぶ)3aを有し、その八角軸3aの左右両側に断面六角形の軸(以下、六角軸と呼ぶ)3b,3cが反対向きに形成されている。
【0036】
右側のテンサーゲージ調整部2の六角孔2aには上記六角軸3cが圧入され、左側のテンサーゲージ調整部2の六角孔2aには上記六角軸3bが圧入され、それにより、テンサーゲージ調整部2,2と支軸部3とが一体化されている。
【0037】
また、図1(c)に示すように、八角軸3aと六角軸3cとは軸芯Oまわりに互いにθ°(本実施形態では15°)変位した状態で同軸上に形成されている。なお、変位させる理由については後述する。
【0038】
ただし、鍔部2cのテンサーゲージ部2dと六角軸3cにおける辺3dとが平行になるようにテンサーゲージ調整部2と支軸部3とが組み合わされているものとする。
【0039】
また、図中、符号4はテンサーゲージ調整具を保持してクレードルに装着できるようにするホルダを示している。
【0040】
1.3 ホルダの構成
図2は上記ホルダ4の構成を示したものであり、同図(a)は平面図、同図(b)はその側面図である。
【0041】
両図において、ホルダ4は、バネ鋼を側面から見て鍵穴状にプレス加工したものからなり、その折返し部分に湾曲した状態で形成される軸保持部4aに、上記テンサーゲージ調整具1の回転軸となる筒部2b,2bおよび八角軸3aを収容保持するようになっている。
【0042】
軸保持部4aから略平行に延設された挟持片(取付部)4bおよび4cは、可撓性を有する板バネとして機能し、後述するクレードルに装着されるようになっている。
【0043】
詳しくは、両挟持片4bおよび4cの間隔は、クレードルにおける取付部の厚みよりも若干狭く形成されており、両挟持片4bおよび4cの間にクレードル取付部を挿入することにより、そのクレードル取付部を両挟持片4bおよび4cで押圧した状態で挟持するようになっている。
【0044】
なお、挟持片4bに形成された嵌合孔4d,4dは、上記クレードルに突設されたピン(後述する)と嵌合するようになっている。
【0045】
2 クレードル装置の構成
図3は上記ホルダ4付きテンサーゲージ調整具1を、クレードル10に装着した場合の構成を示した平面図である。
【0046】
粗糸走行方向Eにおいて、トップローラ11および12に対応してそれぞれテンサー13,13が設けられている。
【0047】
各テンサー13は、その内部に格納されている巻きバネ14によって矢印E方向に付勢されており、テンサー13とトップローラ11(またはトップローラ12)とに張架されているエプロンベルト15にテンションを付与するようになっている。
【0048】
上記テンサー13,13の中間のクレードル10に上記ホルダ付きのテンサーゲージ調整具1が装着されている。
【0049】
トップローラ11および12の支軸16に沿ってクレードル10の前部からバー10aが延設されており、そのバー10aから突設された2本のピンに、ホルダ4の嵌合孔4d,4dを嵌合させることによって、テンサーゲージ調整具1がクレードル10に装着されるようになっている。
【0050】
また、バー10aにはコ字状の切欠部10cが形成されており、この切欠部10cに凸形に形成された板バネ17が収納されている。
【0051】
この板バネ17の頂部17aはテンサーゲージ調整具1の八角軸3aのいずれかの面と当接し、その当接面を矢印E方向に付勢している。それにより、支軸部3の自由な回転が規制され、テンサーゲージ調整部2のテンサーゲージ部がボトムローラ側のテンサーバー(後述する)上面に対し、常に平行な姿勢で停止するようになっている。
【0052】
上記トップローラ11と、そのトップローラ11の支軸16に揺動自在に係合されたクレードル10と、トップローラ11とテンサー13とに張架されたエプロンベルト15によってクレードル装置が構成されている。
【0053】
図4は、図3のF−F矢視側面図である。
【0054】
六角孔2aの中心とトップローラ11の中心とを結ぶ線分Gは、トップローラ11の中心を通る水平軸Hに対し、角度θの傾きを有している。
【0055】
上記板バネ17は、上記線分G上に配置されてテンサーゲージ調整具1の支軸部3の自由な回転を規制する必要があるため、安定した付勢を得るためには八角軸3aの各面を板バネ17の付勢方向と直交させることが好ましい。
【0056】
このことから、図1(c)に示したように、八角軸3aは六角軸3cに対し軸芯Oまわりにθ°変位した状態で形成している。
【0057】
3 テンサーゲージ調整具1の動作
次に、テンサーゲージ調整具1の動作について説明する。
【0058】
六角孔2aに六角レンチ(図示しない)を差し込み、鍔部2cを矢印I方向に回転させていくと、テンサーバー19と当接するテンサーゲージ部が、2d→2e→2f→2g→2hと移動し、それにより、テンサーゲージtを2.2mmから3.4mmまで0.3mmピッチで増加する方向に調整することができる。
【0059】
また、テンサーバー19とテンサーゲージ部2hが当接している状態で、上記とは逆に、鍔部2cを矢印I方向とは逆方向に回転させていくと、テンサーバー19と当接するテンサーゲージ部が、2h→2g→2f→2e→2dと移動し、それにより、テンサーゲージtを3.4mmから2.2mmまで0.3mmピッチで減少する方向に調整することができる。
【0060】
このように、本発明のテンサーゲージ調整具1を使用すれば、従来のテンサーゲージ調整具の調整方法のように、クレードルを支持しているウエイティングアームを引き上げてボトムエプロン装置から引き離し、クレードルからテンサーゲージ調整具を外して別のテンサーゲージ調整具に交換するという繁雑な作業を必要とせず、簡便にテンサーゲージtを変更することができる。しかも紡機を停止させずにテンサーゲージtを変更することができるため、糸切れ等のトラブルを発生させる虞がないという利点もある。
【0061】
4 テンサーゲージ調整具の変形例
図5はテンサーゲージ調整具の変形例を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)はその右側面図、同図(c)は図5(a)のJ−J矢視断面図である。
【0062】
なお、以下の説明において、図1と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図5に示すテンサーゲージ調整具20と、図1に示したテンサーゲージ調整具1との相違点は、八角軸3aに代えて円柱軸20aを備えていることである。
【0064】
この円柱軸20aには、径方向に有底の孔部20bが形成されており、その孔部20b内に圧縮コイルバネ21とピン22が収納されている。
【0065】
一方、筒部2b,2bおよび円柱軸20aを保持するホルダ4′の折返し部4a′には、円周方向に5つの係合孔4e〜4iが形成されており、上記圧縮コイルバネ21によって付勢されるピン22の先端部が部分的にその係合孔4e〜4iのいずれかから突出するようになっている。ただし、係合孔4e〜4iの径は、上記ピン22の外径よりも若干小さく形成されている。
【0066】
上記構成を有するテンサーゲージ調整具20によれば、テンサーゲージ調整具20とホルダ4′に、テンサーゲージ調整部2の姿勢を保持するための機構が備えられているため、ホルダ取り付け側にその保持機構を設ける必要がないという利点がある。
【0067】
5 テンサーゲージ調整部の変形例
図6はテンサーゲージ調整部の変形例を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)はその右側面図、同図(c)は図6(a)のK−K矢視断面図である。
【0068】
図1に示したテンサーゲージ調整具1では、その側面に形成されている六角孔2aに六角レンチを差し込み、鍔部2cを矢印I方向に回転させるよう構成したが、図6に示すテンサーゲージ調整具30では、鍔部2cに形成した凹溝(溝部)に対し、支軸部3の直径方向に沿って、すわなち、テンサーゲージ調整具30の正面側から専用の操作アーム(工具)31を装着することによってテンサーゲージ調整部2を矢印I方向に回転させるようになっている。
【0069】
詳しくは、テンサーゲージ調整部2の外周面に平坦部として形成されているテンサーゲージ部2dおよび2hには、凹溝2jおよび2kがそれぞれ形成されており、円弧部2iには凹溝2lおよび2mが形成されている。
【0070】
これらの凹溝2j〜2mのいずれか一つに操作アーム31の先端部を装着し、矢印I方向に回転させることにより、テンサーゲージtを2.2mmから3.4mmまで0.3mmピッチで増加する方向に調整することができる。
【0071】
なお、操作アーム31の先端寄りを外側に向けて折れ曲がった形状としているのは、ウエイティングアームと干渉しないようにするためである。また、複数の凹溝2j〜2mを形成しているのは、操作アーム31の操作角を小さくして周辺の装置と接触しないようにするためである。
【0072】
また、操作アーム31の先端部31aの断面(側面から見た断面)は、先細の凸状に形成されており、例えば凹溝2kに装着した場合、上記先端部31aから鉤状に折れ曲がる裾部31bが凹溝2kの両側溝縁と当接するようになっており、操作アーム31を安定して凹溝2kに装着することができるとともに、テンサーゲージ調整部2の回転操作を確実に行えるようになっている。
【0073】
上記構成を有するテンサーゲージ調整具30によれば、テンサーゲージtの調整を、テンサーゲージ調整具30の正面側から簡便に行うことができる。
【0074】
また、テンサーゲージ部2d〜2hのうちの例えば2d、2f、2hの側面に浅く削った面2n、2o、2pを形成して異なる色を着色すれば、テンサーゲージtの設定状態を色で識別することができる。もちろん、各テンサーゲージ部2d〜2hに対応してそれらの側面に着色を施すこともできる。
【0075】
図7はテンサーゲージ調整部のさらに別の変形例を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)はその右側面図、同図(c)は図7(a)のL−L矢視断面図である。
【0076】
図7に示すテンサーゲージ調整具40もまた、その正面側から専用の操作アーム(工具)41を使用することによってテンサーゲージ調整部2を矢印I方向に回転させることができるようになっている。
【0077】
詳しくは、テンサーゲージ調整部2のテンサーゲージ部2dおよび2hには、孔部としての筒孔2qおよび2rがそれぞれ穿設されており、円弧部2iには同じく孔部としての筒孔2sおよび2tが穿設されている。
【0078】
これらの筒孔2q〜2tのいずれか一つに操作アーム41の先端部を挿入し、矢印I方向に回転させれば、テンサーゲージtを2.2mmから3.4mmまで0.3mmピッチで増加する方向に調整することができる。
【0079】
なお、操作アーム41の先端部には、筒孔2q〜2tに係合し得る円柱状のピン部41aが形成されており、ピン部41aの先端41bは挿入を円滑にする目的で半球状に形成されている。
【0080】
上記ピン部41aを上記筒孔2q〜2tのいずれか一つに挿入すれば、テンサーゲージ調整部2の回転操作を確実に行えるようになっている。
【0081】
また、上記テンサーゲージ調整具40によれば、テンサーゲージtの調整を、テンサーゲージ調整具40の正面側から簡便に行うことができる。
【0082】
また、テンサーゲージ部2d〜2hのうちの例えば2d、2f、2hの側面に浅く削った面2u、2v、2wを形成して異なる色を着色すれば、テンサーゲージtの設定状態を色で識別することができる。もちろん、各テンサーゲージ部2d〜2hに対応してそれらの側面に着色を施すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(a)は本発明に係るテンサーゲージ調整具の構成を一部切り欠いた状態で示す正面図、(b)はその右側面図、(c)は図1(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】(a)はホルダの構成を示す平面図、(b)はその側面図である。
【図3】本発明に係るクレードル装置の構成を示す平面図である。
【図4】図3のF−F矢視側面図である。
【図5】(a)は本発明に係るテンサーゲージ調整具の変形例を示す正面図、(b)はその右側面図、(c)は図5(a)のJ−J矢視断面図である。
【図6】(a)はテンサーゲージ調整部の変形例を示した正面図、(b)はその右側面図、(c)は図6(a)のK−K矢視断面図である。
【図7】(a)はテンサーゲージ調整部のさらに別の変形例を示した正面図、(b)はその右側面図、(c)は図7(a)のL−L矢視断面図である。
【図8】従来のクレードル装置の構成を示す側面図である。
【図9】図8のクレードル装置とボトムエプロン装置の配置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 テンサーゲージ調整具
2 テンサーゲージ調整部
2a 六角孔
2b 筒部
2c 鍔部
2d〜2h テンサーゲージ部(平坦部)
2i 円弧部
3 支軸部(軸部)
3a 八角軸
3b,3c 六角軸
4 ホルダ
4a 軸保持部
4b 挟持片(取付部)
10 クレードル
11,12 トップローラ
13 テンサー
14 巻きバネ
15 エプロンベルト
16 支軸
17 板バネ
18 ボトムローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーの下面先端部とボトムローラを周回するエプロンベルトにテンションを付与するテンサーバーの上面先端部との間隔を所定の値に維持するためのテンサーゲージ調整具において、
軸部と、
上記軸部をその軸心まわりに回動可能に保持する軸保持部とクレードルの先端部に装着するための取付部とを有するホルダと、
上記軸部に鍔状に設けられるテンサーゲージ調整部とを有し、
上記テンサーゲージ調整部の外周面に、上記テンサーバーと当接する複数の平坦部が、上記軸部の軸中心から径方向において異なる距離で形成されていることを特徴とするテンサーゲージ調整具。
【請求項2】
上記テンサーゲージ調整部は、上記軸部の軸端に一対設けられている請求項1記載のテンサーゲージ調整具。
【請求項3】
上記テンサーゲージ調整部に、そのテンサーゲージ調整部を上記軸部の軸心まわりに回転させるための工具装着部が設けられている請求項2記載のテンサーゲージ調整具。
【請求項4】
上記テンサーゲージ調整部の側面に、上記工具装着部として多角形からなる筒孔が設けられている請求項3記載のテンサーゲージ調整具。
【請求項5】
上記テンサーゲージ調整部に、上記軸部の直径方向に沿って工具を装着するための溝部または孔部が、少なくとも1以上設けられている請求項3記載のテンサーゲージ調整具。
【請求項6】
上記軸部の軸方向中央部が断面多角形からなる多面体に形成され、その多面体のいずれかの面に付勢力が付与されることにより、上記テンサーゲージ調整部のいずれかの平坦部と上記テンサーバーとが当接状態で位置決めされるように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のテンサーゲージ調整具。
【請求項7】
トップローラと、
そのトップローラの支軸に揺動自在に係合されたクレードルと、
上記クレードルの先端に上記ホルダを介して装着された請求項1〜6のいずれか1項に記載のテンサーゲージ調整具と、
上記トップローラとテンサーとに張架されたエプロンベルトとから構成されることを特徴とするクレードル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−24606(P2010−24606A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284622(P2008−284622)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(591090873)
【Fターム(参考)】