説明

テーブルリフト

【課題】コストアップの少ない簡易な構成で、Xリンク機構の剛性を支持しつつ、テコ比の変動や最大テコ比を小さくしてテーブルの最低高さを小さくする。
【解決手段】テーブルリフト1の内リンク5と外リンク6とに、周縁にカム部18A,18Bを形成したテコリンク15A,15Bを夫々回転可能に連結すると共に、各テコリンク15A,15Bにおける回転中心との偏心位置にボールネジ32の両端を夫々連結して、ボールネジ32の伸縮に伴ってテコリンク15A,15Bを同調して回転可能とする一方、Xリンク機構4に、テコリンク15A,15Bの回転に伴ってカム部18A,18Bに沿って転動するカムローラ25A,25Bを設けて、ボールネジ32の伸縮に伴うテコリンク15A,15Bの回転により、カムローラ25A,25Bを介してXリンク機構4を上下方向へ伸縮動作させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Xリンク機構によって支持したテーブルをボールネジ等のアクチュエータを用いて昇降させるテーブルリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルリフトは、ベース上にXリンク機構を介してテーブルを水平に支持し、Xリンク機構をアクチュエータによって伸縮させることでテーブルを昇降させる。特にアクチュエータとして電動シリンダ(モータ及びボールネジ)を用いたテーブルリフトとして、特許文献1に開示のものが知られている。これは、Xリンク機構(パンタアーム)を構成する外側アームと内側アームとに、先端が他方のアームの端縁に摺接される中間アームを、パンタアームの連結支点に対して左右対称となるように連結し、左右の中間アーム間に電動シリンダを架設して、電動シリンダの作動によって中間アームの先端同士を互いに接離させることでアームの端縁を転動させてパンタアームを伸縮させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2820669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のテーブルリフトにおいては、Xリンク機構のアームに中間アームの先端を摺接させる構造、すなわち、本来は装置の剛性を担保するアームの端縁にカム形状を形成する構造であるため、剛性の確保を優先することでカム形状に制約を受けやすく、テコ比の変動や最大テコ比が大きくなってしまう。従って、テーブルの昇降速度にムラが生じる上、電動シリンダに掛かる負荷が大きくなって耐久性の低下に繋がる。かといってアームの剛性とテコ比の変動を抑えた理想のカム形状とを両立させようとすると、アームの幅が大きくなり、テーブルの最低高さを低くできなくなる。言い換えると、テーブルの最低高さを優先すると、下限位置で中間アームが水平姿勢に近くなる上、アームの幅も小さくなるため、テコ比の変動が大きくなってアームの剛性も低下することになる。
また、ここではテーブルの最大高さが中間アームの先端の最大高さ(両中間アームの先端間の距離)で決まることになり、このためボールネジに大きなストロークが必要となって実用的でなく、最大高さが制約されてしまう。
さらに、上記テーブルリフトでは、前後左右の偏荷重に対応するために左右一対のボールネジを用いて4本の中間アームを動作させている。よって、構造が複雑になってコストアップに繋がる上、テーブルの幅方向のサイズに制約を受けることにもなる。
加えて、電動シリンダでは、テーブルの上昇時にボールネジが電動シリンダを支持する連結ブロックから突出する構造となっているため、防塵のために伸縮式のカバーを設ける必要があり、これもコストアップに繋がってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、コストアップの少ない簡易な構成で、Xリンク機構の剛性を支持しつつ、テコ比の変動や最大テコ比を小さくしてテーブルの最低高さを小さくでき、而もボールネジ等のアクチュエータのストロークが小さくても十分なテーブル最大高さを得ることができるテーブルリフトを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一対の平行な内リンクと、その内リンクの外側で交差する一対の平行な外リンクとを互いの中間部同士で夫々軸着してなるXリンク機構によってテーブルを支持し、Xリンク機構をアクチュエータによって上下方向へ伸縮動作させることでテーブルを昇降させるテーブルリフトであって、
互いに軸着される内リンクと外リンクとに、周縁にカム部を形成したテコリンクを夫々回転可能に連結すると共に、各テコリンクにおける回転中心との偏心位置にアクチュエータの両端を夫々連結して、アクチュエータの伸縮に伴って一対のテコリンクを倒伏姿勢と起立姿勢との間で同調して回転可能とする一方、Xリンク機構に、テコリンクの倒伏姿勢と起立姿勢との間の回転に伴ってカム部に沿って転動するカムローラを設けて、アクチュエータの伸縮に伴うテコリンクの回転により、カムローラを介してXリンク機構を上下方向へ伸縮動作させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、テコリンクとXリンク機構との間に、テコリンクの起立姿勢によってカムローラがテコリンクから離脱すると同時にテコリンクの回転を規制する回転規制手段を設けて、テーブルの上昇時にテコリンクが回転規制手段によって回転規制されると、アクチュエータによってXリンク機構が直接伸長動作することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、回転規制手段を、テコリンクとアクチュエータとを連結する連結軸を、テコリンクが連結されるリンク側に形成された円弧状のスリットに貫通させて構成し、テコリンクの起立姿勢で連結軸がスリットの端部に到達するとテコリンクが回転規制されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、アクチュエータを、モータの駆動で伸縮動作するボールネジとして、ボールネジの一端を軸支するネジ側ハウジングを一方のテコリンクの連結軸へ連結する一方、ボールネジのナットをパイプ部材に保持させて、そのパイプ部材を、他方のテコリンクの連結軸に設けたナット側ハウジングへ上下方向のピンを介して連結することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、ナット側ハウジングに、ボールネジの全伸縮ストロークに亘ってパイプ部材を閉塞するカバー部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、テコリンクのカム部の形状を理想形状にできるので、テコ比の変動や最大テコ比を小さくしてアクチュエータやXリンク機構に作用する力を低下させることができ、耐久性が向上する。また、下限付近から下限、上限付近から上限までの昇降速度を遅くしつつ、それ以外では一定の速度で昇降できるので、上限と下限とにおいてショックの少ないリフトが得られるのに加え、アクチュエータに係る作用力が抑えられる。よって、アクチュエータをコンパクトにでき、コストアップが抑制される上、テーブルの最低高さを小さくできてXリンク機構の剛性も確保できる。
加えて、アクチュエータは例えばボールネジ等を一本採用すれば足り、テコリンクも大きな厚みを必要としないため、左右幅を狭くしてコンパクトなテーブルリフトとすることもできる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、回転規制手段の採用により、アクチュエータのストロークが小さくても十分なテーブル最大高さを得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、回転規制手段を連結軸とスリットとによって構成しているので、回転規制手段を簡単に構成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、テーブルの昇降中に前後の偏荷重が生じてもボールネジに曲げモーメントが発生せず、ボールネジの耐久性が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加えて、ボールネジの防塵性が向上して円滑な動作が確保され、塵埃等による寿命低下が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】テーブルリフトの平面説明図である。
【図2】テーブルリフトの側面説明図である(テーブルは下限位置)。
【図3】テーブルリフトの側面説明図である(テーブルは昇降動作中)。
【図4】テーブルリフトの側面説明図である(テーブルは昇降動作中)。
【図5】テーブルリフトの側面説明図である(テーブルは上限位置)。
【図6】テーブルストロークとテコ比との関係を示すグラフである。
【図7】テーブルリフトの変更例を示す側面説明図で、(A)が上限位置、(B)が下限位置を夫々示す。
【図8】テーブルリフトの変更例を示す側面説明図で、(A)が上限位置、(B)が下限位置を夫々示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜5に示すテーブルリフト1は、平面矩形状のベース2と、そのベース2よりも一回り大きい平面矩形状のテーブル3と、ベース2とテーブル3との間に設けられてテーブル3をベース2上で昇降可能に支持するXリンク機構4とを備える。Xリンク機構4は、一対の平行な内リンク5,5と、その内リンク5,5の外側で交差する一対の平行な外リンク6,6とを互いの中間部同士で夫々センタ軸7によって回転可能に軸着してなり、内リンク5,5の下端が軸8によってベース2の後端部(図1における右側を前方とする。以下同じ。)に、外リンク6,6の上端が軸9によってテーブル3の後端部に夫々回転可能に軸着されている。
【0010】
また、内リンク5,5の上端にはローラ10,10が設けられて、テーブル3の下面に設けたガイドレール11,11の下縁に沿って前後へ転動可能となっている。一方、外リンク6,6の下端にもローラ12,12が設けられて、ベース2の上面に沿って前後へ転動可能となっている。13,13・・は、内リンク5,5の下端間及び上端間、外リンク6,6の下端間及び上端間に夫々架設されたステイで、このステイ13により、Xリンク機構4の剛性がアップしている。
さらに、各内リンク5の下端側には、上向きに三角形状の突出部14が形成されて、その突出部14の先端で内リンク5の内側に、テコリンク15Aが支点軸16Aによって回転可能に軸着されている。このテコリンク15Aは、支点軸16Aによる軸着部分を含む下端側に補強板17Aを固着した板状体で、自由端側で上側の周縁には、中間部が円弧状に膨出し先端へ行くに従って徐々に先細りとなるカム部18Aが形成されている。
【0011】
19Aは、テコリンク15A,15Aにおいて支点軸16Aから下方への偏心位置間を連結する連結軸で、連結軸19Aの両端は、テコリンク15Aを夫々貫通して内リンク5に支点軸16Aを中心に形成された円弧状のスリット20A内に遊挿している。これにより、テコリンク15A,15Aは、連結軸19Aがスリット20A内を移動する範囲、すなわち、先端が前方を向く倒伏姿勢(連結軸19Aはスリット20Aの後端)と、先端が上方を向く起立姿勢(連結軸19Aはスリット20Aの前端)との間で回転可能となる。21は、左右の補強板17A,17A間に架設されて連結軸19Aの上側及び後側を覆う横断面L字状のステイである。
【0012】
一方、各外リンク6の下端側には、上向き三角形状の支持板22が、平面視で内リンク5の内側に位置するようにスペーサ23を介して夫々平行に取り付けられ、この支持板22の先端で支持板22の内側に、テコリンク15Bが支持板22,22間に架設される支点軸16Bによって回転可能に設けられている。このテコリンク15Bも、支点軸16Bによる軸着部分を含む下端側に補強板17Bを固着した板状体で、自由端側で上側の周縁には、中間部が円弧状に膨出し先端へ行くに従って徐々に先細りとなるカム部18Bが形成されている。24は、支点軸16Bを囲んで補強板17B,17B間に架設される四角筒状の連結バーである。
【0013】
19B,19Bは、テコリンク15B,15Bにおいて支点軸16Bから下方への偏心位置に設けられる連結軸で、各連結軸19Bの外端は、テコリンク15Bを夫々貫通して支持板22に支点軸16Bを中心に形成された円弧状のスリット20B内に遊挿している。これにより、テコリンク15B,15Bも、各連結軸19Bがスリット20B内を移動する範囲、すなわち、先端が後方を向く倒伏姿勢(連結軸19Bはスリット20Bの前端)と、先端が上方を向く起立姿勢(連結軸19Bはスリット20Bの後端)との間で回転可能となる。これらの連結軸19A,19B及びスリット20A,20Bがテコリンク15A,15Bの回転規制手段となっている。
【0014】
そして、センタ軸7の上側で各内リンク5及び外リンク6には、カムローラ25A,25Bが夫々設けられている。まずカムローラ25Aは、外リンク6から内側に突設された突出軸26の先端で、平面視でテコリンク15Aの上方に位置するように設けられ、カムローラ25Bは、内リンク5から内側に突設された突出軸27の先端で、平面視でテコリンク15Bの上方に位置するように設けられている。
これらのテコリンク15A,15B、支点軸16A,16B、連結軸19A,19B、スリット20A,20B、カムローラ25A,25Bは、側面視においてセンタ軸7を中心とした左右対称に配置されている。
【0015】
一方、28は、後方のテコリンク15A,15A間において連結軸19Aへ回転可能に連結されたネジ側ハウジングとしての後ハウジングで、後ハウジング28の前面には、モータ29が後ろ向きに連結されて、後ハウジング28内に突出させたモータ軸30に、ギヤ31が設けられている。また、モータ29に隣接して後ハウジング28には、アクチュエータとしてのボールネジ32が設けられている。このボールネジ32は、後ハウジング28内に突出した端部がボールベアリング33,33によってモータ軸30と平行に軸支されて、当該端部に設けたギヤ34がモータ29側のギヤ31と噛合している。
【0016】
また、ボールネジ32は、後ハウジング28の前面において、筒状のカバー35内でスラストベアリング36によって支持されている。37は、カバー35の後面に連結されてボールネジ32に外装されるスリーブカバーで、端部にはボールネジナット38の前端が軸方向へスライド可能に保持されている。
さらに、39は、テコリンク15Bの補強板17B,17B間において連結軸19B,19Bによって回転可能に支持されたナット側ハウジングとしての前ハウジングで、前ハウジング39の中間部には、ボールネジナット38の後部を支持してボールネジ32が遊挿するパイプ部材としてのナット支持パイプ40が、上下のピン41,41によって左右へ揺動可能に連結されている。前ハウジング39の前面には、ボールネジ32の端部が遊挿可能なカバー部材としての有底筒状のヘッドカバー42が設けられている。
【0017】
以上の如く構成されたテーブルリフト1において、まずテーブル3の下限位置では、図2に示すように、ボールネジ32は、ボールネジナット38が前端に位置してスリーブカバー37及びナット支持パイプ40を含む全長が最長となって略水平姿勢に保持されている。この状態で、テコリンク15A,15Bも先端同士が夫々互いに向き合う倒伏姿勢となっている。また、カムローラ25A,25Bはカム部18A,18Bの根元に当接して、連結軸19A,19Bはスリット20A,20Bの外側端部に位置している。
【0018】
ここからモータ29を駆動させると、ギヤ31,34を介してボールネジ32が回転し、ボールネジナット38に対してねじ込み方向へ回転する。すると、ボールネジナット38が後方へスライドしてスリーブカバー37及びナット支持パイプ40を含む全体が収縮し、後ハウジング28を介して連結される連結軸19Aと、ナット支持パイプ40及び前ハウジング39を介して連結される連結軸19Bとが互いの接近方向へ移動する。よって、テコリンク15A,15Bは支点軸16A,16Bを中心として夫々カムローラ25A,25Bを押し上げる方向へ回転する。これにより、図3,4に示すように、内リンク5及び外リンク6が夫々上方へ押し上げられてXリンク機構4が上方へ伸長し、テーブル3が上昇する。
【0019】
このとき、カムローラ25A,25Bがカム部18A,18Bを転動することでテーブル3は上昇を続ける。ここでは図6のグラフに示すように、カム部18A,18Bの形状は、下限から下限付近S1までは徐々にテコ比が大きくなり、その後カムローラ25A,25Bがカム部18A,18Bの終端に達する上限付近S2まで一定のテコ比となるように設定されているので、下限から下限付近S1までは上昇速度が徐々に大きくなり、その後上限付近S2までは同じ上昇速度でテーブル3を上昇させる。
【0020】
そして、テコリンク15A,15Bが起立姿勢となってカムローラ25A,25Bがテコリンク15A,15Bから離脱すると、同時に連結軸19A,19Bがスリット20A,20Bの内側端部に達してテコリンク15A,15Bの回転が規制される。すると、図5に示すように、ボールネジ32の収縮力が直接内リンク5及び外リンク6に伝わってXリンク機構4は伸長を継続し、テーブル3を上限位置まで上昇させる。
なお、カムローラ25A,25Bがテコリンク15A,15Bから離脱した後、上限位置までは、ボールネジ32の軸線L1とセンタ軸7との距離が徐々に大きくなるため、図6のように上限付近S2からテコ比は徐々に下がっていく。従って、カムローラ25A,25B離脱後は上昇速度が徐々に低下することになる。
【0021】
一方、上限位置からモータ29を逆転させると、ボールネジ32が逆回転して全体が伸長するため、上昇時とは逆の動作でテーブル3は下限位置まで下降する。このときもカムローラ25A,25Bがテコリンク15A,15Bに再び接触するS2までは徐々に下降速度が上昇し、上限付近S2からカムローラ25A,25Bがテコリンク15A,15Bに接触した後下限付近S1までは一定の速度で下降し、下限付近S1から下限位置まではカム部18A,18Bによって徐々に下降速度が低下する。よって、下限位置到達時でのショックが緩和されるようになっている。
【0022】
また、テーブル3の昇降中において、前後の偏荷重によってテコリンク15A,15Bがカムローラ25A,25Bを押し上げる角度にずれが生じ、連結軸19B,19Bの軸線L2がボールネジ32の軸線L1に対して傾く方向へ外力が発生することがあっても、ナット支持パイプ40がピン41,41を中心に左右方向へ揺動し、ボールネジ32の軸線L1に対する連結軸19B,19Bの軸線L2の傾きを許容するため、ボールネジ32に曲げモーメントが発生しない。但し、テコリンク15A,15B間には、偏荷重が作用しても剛性を保つようにステイ21が架設してある上、Xリンク機構4においても各リンクの上下端間にステイ13が架設しているため、偏荷重に対して強い構造にはなっている。
さらに、ボールネジ32はスリーブカバー37及びナット支持パイプ40、ヘッドカバー42によって密封されているため、全伸縮ストロークに亘ってボールネジ32に塵埃等が侵入するおそれは低減される。
【0023】
このように、上記形態のテーブルリフト1によれば、互いに軸着される内リンク5と外リンク6とに、周縁にカム部18A,18Bを形成したテコリンク15A,15Bを夫々回転可能に連結すると共に、各テコリンク15A,15Bにおける回転中心との偏心位置にボールネジ32の両端を夫々連結して、ボールネジ32の伸縮に伴ってテコリンク15A,15Bを倒伏姿勢と起立姿勢との間で同調して回転可能とする一方、Xリンク機構4に、テコリンク15A,15Bの倒伏姿勢と起立姿勢との間の回転に伴ってカム部18A,18Bに沿って転動するカムローラ25A,25Bを設けて、ボールネジ32の伸縮に伴うテコリンク15A,15Bの回転により、カムローラ25A,25Bを介してXリンク機構4を上下方向へ伸縮動作させるようにしている。
【0024】
これにより、テコリンク15A,15Bのカム部18A,18Bの形状を理想形状にできるので、テコ比の変動や最大テコ比を小さくしてボールネジ32やXリンク機構4に作用する力を低下させることができ、耐久性が向上する。また、下限付近から下限、上限付近から上限までの昇降速度を遅くしつつ、それ以外では一定の速度で昇降できるので、上限と下限とにおいてショックの少ないリフトが得られるのに加え、ボールネジ32に係る作用力が抑えられる。よって、ボールネジ32をコンパクトにでき、コストアップが抑制される上、テーブル3の最低高さを小さくできてXリンク機構4の剛性も確保できる。
加えて、ボールネジ32は一本の採用で足り、テコリンク15A,15Bも大きな厚みを必要としないため、左右幅を狭くしてコンパクトなテーブルリフト1とすることもできる。
また、ここではテーブル3の中心に対して左右のXリンク機構4に固定した左右前後のカムローラ25A,25Bを左右前後のテコリンク15A,15Bで転動させるため、テーブル3の沈み込みが少なく、偏荷重に強い形態となっている。
【0025】
加えて、ここではテコリンク15A,15BとXリンク機構4との間に、テコリンク15A,15Bの起立姿勢によってカムローラ25A,25Bがテコリンク15A,15Bから離脱すると同時にテコリンク15A,15Bの回転を規制する回転規制手段を設けて、テーブル3の上昇時にテコリンク15A,15Bが回転規制手段によって回転規制されると、ボールネジ32によってXリンク機構4が直接伸長動作するようにしているので、ボールネジ32のストロークが小さくても十分なテーブル最大高さを得ることができる。
また、回転規制手段を、テコリンク15A,15Bとボールネジ32とを連結する連結軸19A,19Bを、テコリンク15A,15Bが連結されるリンク側に形成された円弧状のスリット20A,20Bに貫通させて構成し、テコリンク15A,15Bの起立姿勢で連結軸19A,19Bがスリット20A,20Bの端部に到達するとテコリンク15A,15Bが回転規制されるようにしたことで、回転規制手段を簡単に構成することができる。
【0026】
また、アクチュエータを、モータ29の駆動で伸縮動作するボールネジ32として、ボールネジ32の一端を軸支する後ハウジング28を一方のテコリンク15Aの連結軸19Aへ連結する一方、ボールネジナット38をナット支持パイプ40に保持させて、ナット支持パイプ40を、他方のテコリンク15Bの連結軸19Bに設けた前ハウジング39へ上下方向のピン41を介して連結しているので、テーブル3の昇降中に前後の偏荷重が生じてもボールネジ32に曲げモーメントが発生せず、ボールネジ32の耐久性が向上する。
さらに、前ハウジング39に、ボールネジ32の全伸縮ストロークに亘ってナット支持パイプ40を閉塞するヘッドカバー42を設けたことで、ボールネジ32の防塵性が向上して円滑な動作が確保され、塵埃等による寿命低下が生じない。
【0027】
なお、上記形態では、Xリンク機構のセンタ軸の下側にテコリンクを、上側にカムローラを夫々設けているが、これと逆に、センタ軸の上側にテコリンクを、下側にカムローラを夫々設けるようにしても差し支えない。
また、回転規制手段において、スリットを溝に代えたり、連結軸が当接する位置でのみ当接する突起をリンク側に設けたり等の変更が可能である。
さらに、ボールネジの前後の向きを上記形態と逆にしたり、ボールネジを覆うカバーに蛇腹を採用したり等、適宜設計変更可能である。その他、ベースに代えてXリンク機構を直接床面に設置したり、車両整備用リフトのドライブオンプレート上に設置したりする用途も考えられる。
【0028】
一方、アクチュエータとしてはボールネジに限らず、油圧シリンダやエアシリンダを用いることもできる。図7は、油圧シリンダを用いた変更例を示すもので、このテーブルリフト1aにおいては、左右の内外リンク間に架設されたセンタ軸7と、前後の連結軸19A,19Bとの間に一対の油圧シリンダ50A,50Bを夫々架設して、両油圧シリンダ50A,50Bの同調した伸縮動作により、テコリンク15A,15Bを回転させてカムローラ25A,25Bを転動させるようになっている。この場合もボールネジを用いた上記形態と同様の作用効果が得られる。但し、このように一対設ける場合に限らず、油圧シリンダやエアシリンダを上記形態のように一本だけ用いて連結軸間に架設することもできる。
【0029】
また、回転規制手段の省略も可能である。例えば図8に示すテーブルリフト1bにおいては、Xリンク機構4のセンタ軸7に、支持プレート51の中央を連結して水平に支持させ、その支持プレート51の両端に夫々カムローラ25A,25Bを設けてテコリンク15A,15Bに転動させるようにしている。この場合、カムローラ25A,25Bをテコリンク15A,15Bから離脱させなくてもテーブル3の昇降動作が可能となり、リンク側にスリットを設けて連結軸19A,19Bを貫通させる必要がなくなる。
【符号の説明】
【0030】
1,1a,1b・・テーブルリフト、2・・ベース、3・・テーブル、4・・Xリンク機構、5・・内リンク、6・・外リンク、7・・センタ軸、15A,15B・・テコリンク、16A,16B・・支点軸、18A,18B・・カム部、19A,19B・・連結軸、20A,20B・・スリット、22・・支持板、25A,25B・・カムローラ、28・・後ハウジング、29・・モータ、30・・モータ軸、32・・ボールネジ、37・・スリーブカバー、38・・ボールネジナット、39・・前ハウジング、40・・ナット支持パイプ、41・・ピン、42・・ヘッドカバー、50A,50B・・油圧シリンダ、51・・支持プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の平行な内リンクと、その内リンクの外側で交差する一対の平行な外リンクとを互いの中間部同士で夫々軸着してなるXリンク機構によってテーブルを支持し、前記Xリンク機構をアクチュエータによって上下方向へ伸縮動作させることで前記テーブルを昇降させるテーブルリフトであって、
互いに軸着される前記内リンクと外リンクとに、周縁にカム部を形成したテコリンクを夫々回転可能に連結すると共に、各前記テコリンクにおける回転中心との偏心位置に前記アクチュエータの両端を夫々連結して、前記アクチュエータの伸縮に伴って一対の前記テコリンクを倒伏姿勢と起立姿勢との間で同調して回転可能とする一方、
前記Xリンク機構に、前記テコリンクの倒伏姿勢と起立姿勢との間の回転に伴って前記カム部に沿って転動するカムローラを設けて、
前記アクチュエータの伸縮に伴う前記テコリンクの回転により、前記カムローラを介して前記Xリンク機構を上下方向へ伸縮動作させることを特徴とするテーブルリフト。
【請求項2】
前記テコリンクとXリンク機構との間に、前記テコリンクの起立姿勢によって前記カムローラが前記テコリンクから離脱すると同時に前記テコリンクの回転を規制する回転規制手段を設けて、
前記テーブルの上昇時に前記テコリンクが前記回転規制手段によって回転規制されると、前記アクチュエータによって前記Xリンク機構が直接伸長動作することを特徴とする請求項1に記載のテーブルリフト。
【請求項3】
前記回転規制手段を、前記テコリンクとアクチュエータとを連結する連結軸を、前記テコリンクが連結されるリンク側に形成された円弧状のスリットに貫通させて構成し、前記テコリンクの起立姿勢で前記連結軸が前記スリットの端部に到達すると前記テコリンクが回転規制されることを特徴とする請求項2に記載のテーブルリフト。
【請求項4】
前記アクチュエータを、モータの駆動で伸縮動作するボールネジとして、前記ボールネジの一端を軸支するネジ側ハウジングを一方の前記テコリンクの前記連結軸へ連結する一方、前記ボールネジのナットをパイプ部材に保持させて、前記パイプ部材を、他方の前記テコリンクの前記連結軸に設けたナット側ハウジングへ上下方向のピンを介して連結することを特徴とする請求項3に記載のテーブルリフト。
【請求項5】
前記ナット側ハウジングに、前記ボールネジの全伸縮ストロークに亘って前記パイプ部材を閉塞するカバー部材を設けたことを特徴とする請求項4に記載のテーブルリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−79641(P2011−79641A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233718(P2009−233718)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)