説明

テーブル型フレーク製造装置

【課題】大きさの揃ったフレークを得ることができるとともに、固化した原料の膜強度が大きい場合であってもフレークの製造を可能とするテーブル型フレーク製造装置を提供する。
【解決手段】円盤状をなして水平回転されるとともに上面においてワークの処理が行われるテーブル1を備えたテーブル型フレーク製造装置10において、テーブル1上面に供給されたワークを一定の厚さに均す均し手段3のテーブル回転方向前方側かつワークをテーブル1上面から掻き取るスクレーパー5のテーブル回転方向後方側に配置されて、ワークをテーブル1の半径方向に複数に分断するワーク分断手段4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無機・有機物等の溶融原料液を、水平回転するテーブル面上に供給し、このテーブル面上で溶融原料液が冷却され固化したものを掻き取り、鱗片状のフレークを得るフレーク製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カプロラクタム、ナフタレン、ポリエチレングリコール、エポキシ樹脂、ワックス等の有機物や無機物等を製品として製造する工程においては、その梱包及び輸送を容易とするとともに再溶解等の作業を円滑に行うことができるように、製品を鱗片状にフレーク化することが行われている。
【0003】
このようなフレーク化を施すためのフレーク製造装置としては、ドラム型及びテーブル型のフレーク製造装置が知られている。
【0004】
ドラム型のフレーク製造装置においては、回転するドラムの表面に溶融液状の原料をワークとして供給して付着させ、ドラム内に冷媒を供給することで該ワークを冷却し、ドラム表面に固化したワークをスクレーパーで掻き取ることによってフレークを形成している(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、テーブル型のフレーク製造装置においては、水平回転するテーブルの表面に溶融液状の原料をワークとして供給するとともに該ワークをテーブル半径方向全域に行き渡るように一定の厚さに均し、テーブル裏面下から冷媒を吹きかけてワークを冷却固化する。
【0006】
そして、テーブル回転方向前方側にはスクレーパーがその刃先をテーブルに接触するように又はテーブルと微小な隙間を保つようにして配置されており、テーブルの回転により移動してきたワークが該スクレーパーの刃先に当たることによってテーブル上面から掻き取られてフレークが形成される。(例えば特許文献2参照)。
【0007】
ドラム型のフレーク製造装置においては、ドラム表面に固化したワークに落下しようとする重力がかかるため、剥離、脱落し易い原料の場合にはスクレーパーに到達する以前にドラム表面から剥がれてしまい鱗片状のフレークを得ることができない。したがって、固化すると剥離、脱落し易い原料をワークとして用いる場合にテーブル型フレーク製造装置の方が適している。
【特許文献1】特開平9−192404号公報
【特許文献2】特開2004−121903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のテーブル型フレーク製造装置においては、スクレーパーの刃先によりワークがテーブル上面から掻き取られる際に、該ワークが自壊することによって鱗片状に分断されフレークが形成されていた。このような場合には、各フレークはランダムに分断されるため、大きさの揃ったフレークを得ることが困難であった。
【0009】
また、ワークの原料自体の結合性が高い場合や、ワークを比較的厚く均した場合等には、固化したワークの膜強度が大きくなるため、スクレーパーの刃先によってテーブル上面から剥がすことはできるものの、剥がしたワークが分断されるには至らず粗大なシート状をなしてしまい、鱗片状のフレークを形成することができないという問題があった。このようなシート状のワークは製品として採用することができない他、テーブル上面から自動で排出することもできないため、取り除くには装置の稼動を停止する必要があり生産性を低下させてしまっていた。
【0010】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、固化した原料の膜強度が大きい場合であってもフレークの製造を可能とし、適用範囲を拡大することができるテーブル型フレーク製造装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、
大きさの揃ったフレークを得ることができるテーブル型フレーク製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係るテーブル型フレーク製造装置は、円盤状をなして水平回転するとともに裏面に冷媒が吹きかけられるテーブルと、前記テーブルの上面に溶融液状のワークを供給する原料供給手段と、前記原料供給手段のテーブル回転方向前方側に配置され、前記テーブル上面に供給されたワークを一定の厚さに均す均し手段と、前記均し手段のテーブル回転方向前方側に配置され、冷却固化した前記ワークを掻き取るスクレーパーとを備えるテーブル型フレーク製造装置において、前記均し手段のテーブル回転方向前方側かつ前記スクレーパーのテーブル回転方向後方側に配置されて、前記ワークを前記テーブルの半径方向に複数に分断するワーク分断手段が設けられたことを特徴としている。
【0012】
このような特徴のテーブル型フレーク製造装置によれば、一定の厚さに均されて固化したワークが、スクレーパーで掻き取られる手前においてワーク分断手段によってテーブル半径方向に複数に分断される。
したがって、スクレーパーでの掻き取り前に予めワークを細かく分断することが可能となるため、膜強度が大きいワークであっても確実に鱗片状のフレークを得ることができる。
【0013】
また、本発明に係るテーブル型フレーク製造装置においては、前記ワーク分断手段が、前記テーブルの半径方向に沿った軸線回りに回転可能な軸部の外周に複数のリング状切刃が前記軸線方向に等間隔で並設されてなるカッターロールを備えていることを特徴としている。複数のリング状切刃によって、ワークをテーブル半径方向に大きさをそろえて確実に複数に分断することができる。
【0014】
さらに、本発明に係るテーブル型フレーク製造装置においては、前記ワーク分断手段が、前記カッターロールを軸回転させる駆動機構を備えているものであってもよい。カッターロールの軸回転に伴いリング状切刃が回転してワークに接触することによって、より確実かつ容易にワークをテーブル半径方向に分断することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のテーブル型フレーク製造装置によれば、固化した原料がスクレーパーで掻き取られる手前でワーク分断手段によって分断されるため、固化した原料の膜強度が大きい場合であってもフレークを製造することが可能となるため、結合性の高い原料を用いた場合や厚いフレークを製造する場合等にも柔軟に対応し適用範囲を拡大することが可能となる。さらに、本発明のテーブル型フレーク製造装置によれば、同一の大きさのフレークを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のテーブル型フレーク製造装置の実施の形態について、図1から図3を用いて詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態を示すテーブル型フレーク製造装置の正面図、図2はこの発明の実施の形態を示すテーブル型フレーク製造装置の平面図、図3は図1及び図2におけるA―A断面図である。
【0017】
本実施形態のテーブル型フレーク製造装置10は、溶融液状のカプロラクタム、ナフタレン、ポリエチレングリコール、エポキシ樹脂、ワックス等の原料をワークとして、該ワークに処理を施すことによって鱗片状のフレークを得る装置である。
【0018】
このテーブル型フレーク製造装置10は、水平回転するテーブル1と、このテーブル1上面に溶融液状のワークを供給する原料供給手段2と、テーブル1上面に供給されたワークを一定の厚さに均す均し手段3と、固化したワークをテーブル1半径方向に複数に分断するワーク分断手段4と、ワークをテーブル1上面から掻き取るスクレーパー5と、掻き取ったワークを製品として排出するシュート6とから概略構成されている。
【0019】
テーブル1は、図1及ぶ図2に示すように、水平面上に設置される円盤形状をなしており、その中心下方には軸線Oに沿って鉛直方向に延びる回転シャフト(図示省略)が設けられている。そして、この回転シャフトが鉛直軸回りに回転することでテーブル1が軸線Oを中心として回転方向Tに水平回転するように構成されている。
【0020】
また、テーブル1の裏面下方には、このテーブル1の裏面に向けて冷媒を噴出可能な冷却手段(図示省略)が設けられており、装置稼動中にはこの冷却手段がテーブル1の裏面に絶えず冷媒を吹きかけることによって、テーブル1裏面のみならず該テーブル1自体の熱伝導によりテーブル1上面も冷却されるように構成されている。
【0021】
原料供給手段2は、前記テーブル1の上方に設けられた溶融原料液タンク(図示省略)に連結する原料フィード口2aと、該原料フィード口2aに配管される原料供給管2bと、原料供給管2bの下方においてテーブル1上面に臨むように配置された原料吐出口2cとから構成されている。そして、原料フィード口2aに供給された溶融液状のワークが原料供給管2bを介して原料吐出口2cからテーブル上面に局所的に供給されるようになっている。
【0022】
均し手段3は、テーブル1上面と所定の間隔を空けて該テーブル1上面と平行に配置されたブレード状の形状をしており、原料供給手段2によりテーブル1上面に供給された溶融液状のワークを一定の厚さに均すものである。この均し手段3は、原料供給手段2のテーブル回転方向T前方側に設置されており、テーブル1上面に供給されたワークは、テーブル1の水平回転に従ってブレード部分を通過することで一定厚に均される。なお、本実施形態のテーブル型フレーク製造装置10においては、均し手段3とテーブル1上面との間隔を調整することによってワークを所望の厚さに均すことができるようなっている。
【0023】
ワーク分断手段4は、カッターロール8と、駆動機構9とから構成されている。
カッターロール8は、均し手段3のテーブル回転方向T前方側かつスクレーパー5のテーブル回転方向T後方側に配置されており、テーブル1の半径方向に沿った軸線P回りに回転可能な軸部8aの外周に複数のリング状切刃8bが軸線P方向に等間隔で併設されて構成されている。
【0024】
また、駆動機構9は、カッターロール8をその軸線P回りに軸回転させるためのものであり、図1に示すように、テーブル1の上方に配置された電動機9aと、カッターロール8の軸部8aの一端側に固定された伝達車9bと、これら電動機9aと伝達車9bとに巻き掛けられた伝達ベルト9cとから構成されている。そして、電動機9aの回転が伝達ベルト9cを介して伝達車9bに伝わり、カッターロール8が、図3に示す回転方向Uに軸回転するようになっている。
【0025】
スクレーパー5は、テーブル1上面で冷却され固化したワークを掻き取るためのものであり、上記ワーク分断手段4のテーブル回転方向T後方側、即ちテーブル1の回転方向Tの最下流側に配置されている。したがって、テーブル1上面に供給されたワークには、テーブル1の回転に従って、均し手段3、ワーク分断手段4、スクレーパー5の順に処理が施されることになる。
【0026】
このスクレーパー5はその刃先5aが、テーブル1上面に接触するように又はテーブル1上面と微小な隙間を保つようにして、かつ、図2に示すようにテーブル1の中央から半径方向外側に向かうに従って半径方向に対してテーブル回転方向T前方側に傾斜して延びている。
そして、テーブル1の回転によって移動してきたワークがこのスクレーパー5の刃先5aに接触することによってテーブル1上面から掻き取られ、該刃先5aに沿ってテーブル1半径方向外側に移動されるようになっている。
【0027】
シュート6は、図2に示すように、スクレーパー5の直ぐテーブル1外周側に配置されており、スクレーパー5によりテーブル1上面から掻き取られテーブル1半径方向外側に移動されたワークを回収、排出するように構成されている。
【0028】
以下、本発明の実施の形態であるテーブル型フレーク製造装置10を用いたフレークの製造過程について説明する。まず、原料供給手段2によりテーブル1上に溶融液状のワークが局所的に供給される。そして、回転シャフトの回転によってテーブル1が回転方向Tに回転することでワークが移動されて均し手段3によって一定厚に均される。ワークはテーブル1の回転によってさらに移動し、同時にテーブル1裏面に冷媒が吹きかけられることで冷却固化される。固化したワークは、回転方向Tにさらに移動し、ワーク分断手段4によってテーブル1半径方向に等間隔に複数に分断された後にスクレーパー5によって掻きとられてシュート6に送られ、製品としてのフレークが完成する。
【0029】
本実施形態のテーブル型フレーク製造装置10によれば、一定厚に均された状態で固化したワークは、スクレーパー5で掻き取られる手前でワーク分断手段4のカッターロール8のリング状切刃8bによってテーブル1半径方向に大きさを揃えて複数に分断される。
これにより、スクレーパー5で掻き取られて形成されるフレークの大きさを一定に揃えることが可能となるとともに、スクレーパー5での掻き取り前に予めワークを細かく分断することが可能となるため、膜強度が大きいワークであっても確実に鱗片状のフレークとして得ることが可能となる。
【0030】
また、カッターロール8が駆動機構9によって図3に示す回転方向Uに軸回転されることに伴いリング状切刃8bが回転してワークに接触することになるので、より容易かつ確実にワークをテーブル1半径方向に分断することが可能となる。
【0031】
以上、本発明における実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更も含まれる。例えば、本実施形態においては、リング状切刃8bが軸線P方向に等間隔で併設されて構成されているが、必ずしも等間隔である必要はない。
【0032】
また、本実施形態においては、ワーク分断手段4がカッターロール8と駆動機構9とを備えているが、駆動機構9を備えずにカッターロール8が駆動されない構成のものであってもよい。また、ワークを分断する機構はリング状切刃8bを備えたカッターロール8に限定されず、ワークをテーブル1半径方向に複数に分断することができる限り他の構成のもの、例えば平刃状のものを複数併設したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態を示すテーブル型フレーク製造装置の正面図である。
【図2】この発明の実施の形態を示すテーブル型フレーク製造装置の平面図である。
【図3】図2におけるA―A断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 テーブル
2 原料供給手段
3 均し手段
4 ワーク分断手段
5 スクレーパー
8 カッターロール
8a 軸部
8b リング状切刃
9 駆動機構
10 テーブル型フレーク製造装置
T テーブル回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状をなして水平回転するとともに裏面に冷媒が吹きかけられるテーブルと、
前記テーブルの上面に溶融液状のワークを供給する原料供給手段と、
前記原料供給手段のテーブル回転方向前方側に配置され、前記テーブル上面に供給されたワークを一定の厚さに均す均し手段と、
前記均し手段のテーブル回転方向前方側に配置され、冷却固化した前記ワークを掻き取るスクレーパーとを備えるテーブル型フレーク製造装置において、
前記均し手段のテーブル回転方向前方側かつ前記スクレーパーのテーブル回転方向後方側に配置されて、前記ワークを前記テーブルの半径方向に複数に分断するワーク分断手段が設けられたことを特徴とするテーブル型フレーク製造装置。
【請求項2】
前記ワーク分断手段が、前記テーブルの半径方向に沿った軸線回りに回転可能な軸部の外周に複数のリング状切刃が前記軸線方向に等間隔で並設されてなるカッターロールを備えていることを特徴とする請求項1に記載のテーブル型フレーク製造装置。
【請求項3】
前記ワーク分断手段が、前記カッターロールを軸回転させる駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のテーブル型フレーク製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−208054(P2009−208054A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56859(P2008−56859)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)