説明

テーブル脚用カバー及びそれを備えたテーブル

【課題】テーブルの脚に被せるだけでテーブル全体のデザインに大きな変化をもたらしつつ、機能性も確保したテーブル脚用カバー及びそれを備えたテーブルを提供する。
【解決手段】テーブル脚用カバー1は、テーブルTの脚Fを個別に覆い隠す柔軟なカバー体2と、テーブルTの天板Bの底面に固定され、カバー体2を保持し且つカバー体2の上端部Uの位置決めをする保持部材3と、から構成される。カバー体2は、例えば、フェルト等の軟質の材料から形成され、全体形状が、上端部Uが幅広で、下端部Lが幅狭の逆台形状からなる。保持部材3は、テーブルTの天板Bに取り付けられる台座31と、この台座31に取り付けられたレール32とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの脚に被せるだけで、テーブルの機能性やデザイン性を大きく変化させるテーブルの脚用カバー及びそれを備えたテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスの会議室や応接室において用いられるミーティングテーブルやダイニングテーブルは、主として、天板の四隅に4本の脚を取り付けたシンプルな構造からなるものが多い。そのため、テーブルを構成する各構成要素の比重は高く、テーブルの脚の形状がテーブル全体のデザインや機能に与える影響は大きい。
【0003】
このような理由から、例えば、会議室用のテーブルには丸パイプの脚を用い、応接室やロビーのテーブルには三角形状の脚が用いるなど、テーブルの脚の形状を種々変化させてデザイン性を高め、さまざまなシチュエーションに合わせるように工夫している。
【0004】
また、ミーティングテーブルやダイニングテーブルは、同時に多くの人が使用するものである。そのため、着座領域を可能な限り増やす目的から、脚の機能性を重視し、デザイン的には非常にシンプルな角柱状や円筒状のパイプ部材を用いて構成することが多い。このようなパイプ部材の材料は、木材や、アルミニウム又はステンレス等の金属素材等からなり、塗装を施される場合もあれば、素材の色をそのままにして用いられることもある。
【0005】
いずれの場合においても、テーブルの脚は、天板の下方に固定して設けられているものであるから、使用者がデザインの変更や、機能の変更を望む場合でも、容易に交換ができるようなものではない。
【0006】
このような課題に対して、テーブルの脚の外周に装着する脚カバーが提案されている(特許文献1参照)。この脚カバーは、縦に2分割した半割り部材を互いにヒンジで開閉自在に結合した部材内部に、テーブルの脚を貫通状態に保持する中空部が形成され、閉じた状態の半割り部材を着脱自在に固定する係止部材が取り付けられてなるものである。この従来技術では、金属が露出した脚に対して、着脱容易なカバーという機能性を確保しつつ、外観上も金属性の脚を露出させず多少の高級感を持たせることで、デザイン性も高めようという試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−325809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来の技術は、折り畳み式のテーブルに用いることを想定し、着脱が容易に行えるという機能面を第一の考慮要素として提案されている。そのため、外観上は、角柱状の脚をそれよりも径の大きな円柱で覆ったに過ぎず、デザイン的な変化はわずかなものに留まっていた。
【0009】
また、上記従来の脚カバーは、折り畳み式のテーブルにおいて、天板にクロスを掛けて用いることを前提としている。そのため、カバーの覆う範囲は脚の下半分に留まり、着脱性を第一に考えているため蝶番が外部に露出した構成となっている。しかし、主として家庭での使用が予定されるダイニングテーブルは、乳幼児をはじめとする子供や、年配者が接する機会もあり、テーブル脚の素材が剥き出しになっている部分があると、不意に接触や衝突などした場合に適当ではない。
【0010】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、テーブルの脚に被せるだけでテーブル全体のデザインに大きな変化をもたらしつつ、機能性も確保したテーブル脚用カバー及びそれを備えたテーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、テーブルの脚を個別に覆い隠す柔軟なカバー体と、テーブルの天板の底面に固定され、前記カバー体を保持し且つ前記カバー体の上端部の位置決めをする保持部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
以上の態様では、柔らかい素材からなるカバー体により、テーブルの脚全体を覆い隠すことで、脚の素材が露出する部分をなくし、使用者の脚や身体の衝突をより考慮した脚用カバーを提供することができる。また、カバー体の保持部材をテーブルの天板の底面に設けることで、カバー体自体に必要以上の細工を施す必要がない。そのため、カバー体から、蝶番などの部材が露出することなく、デザイン的に優れたものになるとともに、使用者の脚や身体の衝突に対する配慮もされ機能的にも優れている。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記カバー体は、上端部の幅が、下端部の幅より広く構成されたことを特徴とする。
【0014】
以上の態様では、カバー体の上端部は幅広に、下端部の幅はこれよりも狭く構成することで、使用者がテーブルの天板下部において足下をすっきりさせつつ、テーブルの天板と接する上端部においては、奥行き感や重厚感あるカバー体とすることができる。すなわち、このようなデザインの変化に富んだカバー体を、テーブルの脚に装着することで、足下をすっきりさせる機能的効果を発揮させるとともに、テーブル全体のデザインを大きく変化させるデザイン的効果を発揮させることができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、前記下端部の幅は、テーブルの脚の径と、略同一に構成されることを特徴とする。
【0016】
以上の態様では、請求項2の態様の効果に加え、カバー体の上端部は幅広に、下端部の幅はこれよりも狭く、テーブルの脚の径と同等程度にすることで、足下をよりすっきりさせた印象を与えるとともに、カバー体が使用者の足下で邪魔にならず、デザイン的にも機能的にもより洗練されたものとなる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記カバー体の上端部は開口しており、前記保持部材は、前記上端部の前記開口に嵌合することで、前記カバー体を支持するものであることを特徴とする。
【0018】
以上の態様では、テーブルの天板に取り付けた保持部材を、カバー体の開口に嵌合させるという簡単な構成で、カバー体を保持し及び位置決めを行うことができる。また、テーブルの脚は、使用者の脚が触れる箇所であり、この箇所に、何らかの部材を設けることは使用上不便を伴うが、これに対してテーブルの天板の裏面はテーブルの構成要素のうちで最も邪魔にならない箇所である。したがって、この位置に保持部材を設ける機能上のメリットは非常に高い。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記カバー体は、テーブルの脚に当接する脚覆部分と、それ以外の疑似脚部分と、からなり、前記脚覆部分は、前記疑似脚部分よりも、テーブルの脚を包む中空部分を備える分、厚みがあることを特徴とする。
【0020】
以上の態様では、カバー体がテーブルの脚を覆う脚覆部分は、内側に脚を含むため、全体としての厚みが出るのはやむを得ないが、その他の部分を、これよりも薄く構成することで、全体として、薄型のカバー体を形成することが可能である。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5記載の発明において、前記脚覆部分は、前記カバー体の幅広方向の端部に形成されることを特徴とする。
【0022】
以上の態様では、脚を直接的に覆うために、他の部分に比較して厚みの出る脚覆部分を、カバー体の幅広方向の端に設けることで、この脚覆部分から他の部分を形成する疑似脚部分に向かって、カバー体全体の厚みを一方向に向かって除々薄くなる構成とすることができる。そのため、すっきりしたデザイン構成となるとともに、カバー体をテーブルの角方向に向かって、厚みの薄い疑似脚部分を向けて配置することで、使用者が天板下部に脚を入れる側の厚みを薄くできるので、使用者の邪魔にならず機能上の効果が高い。
【0023】
請求項7の発明は、請求項6記載の発明において、前記カバー体は、前記疑似脚部分の長手方向全体に渡って、カバー体を開閉させる留め具を備えることを特徴とする。
【0024】
以上の態様では、カバー体の薄い部分である疑似脚部分に、カバー体を開閉させる例えばファスナー等の留め具を設ける。これにより、脚全体を覆い隠すカバー体の構成であっても、カバー体をテーブルの脚に対して横方向から着脱が可能となり、着脱容易な構成となる。なお、ファスナーは、樹脂製のものを用いたり、疑似脚部分の端部でファスナーの左右部分をカバーして内側に隠すことにより、使用者がテーブルの脚に衝突することに対する配慮も可能である。
【0025】
請求項8の発明は、天板と、前記天板の四隅にそれぞれ脚を備え、前記脚に個別に、請求項5〜7のいずれか1項に記載のテーブル脚用カバーを備えたテーブルであって、前記保持部材は、前記脚から前記天板の隅方向へ前記疑似脚部分が向くように、前記天板の底面に固定されたことを特徴とする。
【0026】
以上の態様では、請求項5〜7のテーブル脚用カバーを、テーブルの脚から天板の隅方向へ疑似脚部分が向くように配置することで、幅広のテーブル脚用カバーの広い幅を構成する面の方向が、テーブルの中心方向に向かって配置されることとなる。また、テーブル脚用カバーの薄い部分は、天板の角方向に向かい、テーブルの脚を覆った脚覆部分は、内側に配置される。そのため、使用者がテーブル下部において脚を挿入する領域は広く確保される。また、テーブルの脚に脚用カバーを装着するだけで、テーブルの脚を奥行き感ある重厚なものに見せることができ、テーブルのデザインを大きく変化させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上の本発明によれば、テーブルの脚に被せるだけでテーブル全体のデザインに大きな変化をもたらしつつ、機能性も確保したテーブル脚用カバー及びそれを備えたテーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーの構成を示す側面図(a)及び平面図(b)。
【図2】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーのカバー体の構成を示す展開図(a)、斜視図(b)及び(c)。
【図3】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーの保持部材の構成を示す底面図(a)及び側面図(b)。
【図4】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーの保持部材の他の構成を示す底面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーのテーブルへの装着手順を示すイメージ図。
【図6】本発明の実施の形態に係るテーブル脚用カバーを着用したテーブルの着用前後の構成を示すイメージ図。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るテーブル脚用カバーを着用したテーブルの構成を示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同様の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
【0030】
[1.本実施形態]
[1−1.構成]
(1)全体構成
本実施形態のテーブル脚用カバー(以下、単に「脚用カバー」という)1は、図1(a)に示すように、テーブルTの脚Fを個別に覆い隠す柔軟なカバー体2と、テーブルTの天板Bの底面に固定され、カバー体2を保持し且つカバー体2の上端部Uの位置決めをする保持部材3と、から構成される。
【0031】
(2)カバー体の構成
カバー体2は、例えば、フェルト等の軟質の材料から形成され、全体形状が、上端部Uが幅広で、下端部Lが幅狭の逆台形状からなる。カバー体2は、図2(a)に示すように、1枚の台形状のシートを、2つ折りにして、テーブルTの脚Fに巻き付けて用いるものである。したがって、カバー体2の上下端部には、それぞれ開口した上部開口O1と、下部開口O2とが設けられ、テーブルTの脚Fが挿入できるように構成される。また、2つ折りの端部に当たる斜辺部分は、図2(b)に示すように、縫製、接着又は熱圧着等によりシール部Sとして留め、カバー体2全体を筒状体としても良いし、同図(c)に示すように、この斜辺部分にファスナーなどの留め具Cを設け、斜辺部分において開閉自在に構成してもよい。なお、ファスナーなどの留め具Cは、樹脂製の柔軟な素材により構成するか、疑似脚部分の端部でファスナーの左右部分をカバーして内側に隠すか(図2(c)に図示するパターン)により、衝突への配慮も可能である。
【0032】
カバー体2は、テーブルの脚Fを直接的に被覆する脚覆部分21と、脚Fには当接しない疑似脚部分22とを有する。この脚覆部分21は、図1(a)に示すように、脚Fを被覆した状態では長方形状に区画され、疑似脚部分22は略直角三角形状に区画される。なお、疑似脚部分との用語は、本願における造語であって、カバー体2をテーブルTの脚Fに取り付けた場合に、脚Fの支持機能は果たさないが、テーブルの脚のような外見を呈することからそのように呼ぶものである。
【0033】
カバー体2の下端部Lの幅は、図1(a)又は図2(a)に示すように、テーブルの脚Fの径とほぼ同等であり、これに対して、上端部Uの幅は、下端部Lの幅に対して、3倍程度の幅を有する。
【0034】
次に、図1(b)の平面図を参考に、カバー体2の平面形状について説明する。カバー体2は、同図(b)に示すように、脚覆部分21が、テーブルの脚Fの外周を180°から200°程度被覆し、この脚覆部分21が、カバー体2の平面奥行き方向に向かって最大の径となるように構成される。一方、疑似脚部分22は、脚覆部分21との境界部分から、端部のシール部S方向に向かって、徐々に奥行き方向の長さが縮まり、疑似脚部22の端部での厚みは、カバー体2を構成するシートの2枚分の生地を貼り合わせた程度の厚みになる。すなわち、カバー体2は、その平面ないし断面形状が、略楔形状又はV字形状で、楔形状又はV字形状の開口端に脚覆部分22を有するように形成されている。
【0035】
参考までに、最良の実施形態として想定するカバー体2の寸法を説明すると、カバー体2の長手方向である、上端部Uから下端部Lまでの距離は、テーブルTの高さに依拠するものの、テーブルTの天板Bの底面までの高さが、規格等にもより、おおよそ700mm程度であるとすると、それより10mm程度低い690mm程度で形成される。また、上端部Uの横方向の長さは200mm程度である。また、下端部Lの横方向の長さは、50〜60mmである。
【0036】
(3)保持部材の構成
保持部材3は、上述の通り、テーブルTの天板Bの底面に取り付けられ、カバー体2を保持し且つカバー体2の上端部Uを位置決めするものである。
保持部材3は、図3の底面図(a)及び側面図(b)に示すように、テーブルTの天板Bに取り付けられる台座31と、この台座31に取り付けられたレール32とから構成される。
【0037】
台座31は、天板Bの底面に取り付けられる機能以外の構成は任意である。すなわち、専ら、テーブルTの脚Fと、後述するレール32の形状に基づいて形成されるものである。本実施形態では、図3(a)に示すように、二等辺三角形の各頂点をR状に形成した全体形状を有し、適当な間隔(ここでは5カ所)で天板Bにビス止めされるようになっている。
【0038】
なお、本実施形態においては、台座31及びレール32の天板B底面における位置決め精度を上げるため、台座31に、テーブルTの脚Fを貫通させる貫通孔33を設けている。すなわち、保持部材3を、天板Bに取り付けるに当たり、脚Fをまず貫通孔33に通過させ、又は一端脚Fを天板Bから外し台座31を天板Bの底面に取り付けた上で、脚Fを貫通孔33に通過させることで、台座31の取り付け位置の精度を高めることができる。ただし、このように脚Fを貫通孔33に通過させ、または脚Fの取り外しを行う必要があると、設置の際に手間となる場合もある。そのため、図4に示すようにこの貫通孔33は設けず脚Fに当接する円弧状のガイド34を設けて、台座31の取り付け位置の誘導部として用いることも可能である。
【0039】
レール32は、カバー体2の上端部U(図1(a)参照)に形成される上部開口O1の内周面の形状に合わせて、方形状の2枚の板状体からなるレール32a及び32bを楔状に配置し、この2枚のレール32a,32bを、台座31に対して垂直方向に取り付けてなる。このレール32の楔又はV字の2辺の拡がった側の端部は、テーブルTの脚Fの外周面の形状に合わせ、その拡がり具合を調整する。
【0040】
参考に、最良の実施形態として想定する保持部材3の寸法を説明すると、台座31の長辺方向の幅は、250mm程度、奥行きが90mm程度である。また、レール32の長辺方向の幅は、160mm程度、レール32aとレール32bとの楔形の開口端部が30mm程度で形成される。
【0041】
(4)テーブルへの取り付け構成
本実施形態のテーブル脚用カバー1は、テーブルTへの取り付け構成にも特徴を有する。図1(b)又は図3(a)及び(b)に示すように、本実施形態のテーブル脚用カバー1は、テーブルTに取り付けられた既存の脚Fの位置と、天板Bの角との位置関係により、その配置が決定する。すなわち、脚Fの中心と、角R1の頂点を結んだラインL1に、台座31の中心軸並びにレール32a及び32bの成す角の中心が位置するように、取り付けられる。
テーブルTの他の3つの角についても同様に取り付け作業を行い、テーブル脚用カバー1が全体として脚F側から天板Bの角に向かって配置されるように構成する。
【0042】
[1−2.作用効果]
以上のような本実施形態の構成に基づいて、テーブル脚用カバー1の作用について説明する。
【0043】
(1)保持部材の取り付け
本実施形態のテーブル脚用カバー1では、テーブルTの天板B底面に、カバー体2を保持しつつ、上端部Uの位置決めを行う保持部材3を取り付ける。この保持部材3は、台座31とレール32とが予め結合して構成されており、これらを一括して天板Bに取り付ける。
【0044】
図3(a)に示すように、台座31の天板B上における位置決め精度を上げるため、台座31にテーブルTの脚Fを貫通させる貫通孔33を設けている。そのため、この際の取り付け手順は、脚Fをまず貫通孔33を通過させ、又は脚Fを天板Bから外し台座31を天板Bの底面に取り付けた上で、脚Fを貫通孔33に通過させて取り付ける。
【0045】
テーブル脚用カバー1のテーブルTへの取り付けに当たっては、図3(a)に示すように、脚Fの中心と、角R1の頂点を結んだラインL1に、台座31の中心軸並びにレール32a及び32bの成す角の中心が位置するように、取り付ける。
【0046】
(2)カバー体の取り付け
保持部材3が天板Bに固定された段階で、カバー体2の取り付け作業に入る。
カバー体2は、1枚の台形状のシートを2つ折りにしてなるものであり、シール部Sを設け筒状体となっているか、又は留め具Cを設け斜辺部分を開閉自在にしたものである。
【0047】
カバー体2が筒状体で形成される場合には、図5(a)に示すように、テーブルTの脚Fの下端に設けられたアタッチメントAを外し、脚FのポールP下端より、カバー体2を上部開口O1より取り付ける。このとき、脚覆部分21に沿って、ポールPをカバー体2内に挿入していく。
【0048】
カバー体2を上部開口O1からポールPに被せ、カバー体2の上端部Uが、保持部材3のレール32に当接する程度まで上がったところで、カバー体2の疑似脚部分22の上部開口O1からレール32a及び32bに被せるようにする。これにより、カバー体2の上端部Uが、レール32に嵌合され、カバー体2の位置決めがなされる。
【0049】
最後に、外しておいたポールP下端のアタッチメントを取り付け、カバー体2の取り付け作業及びテーブル脚用カバー1の取り付け作業が完了する。
【0050】
一方、カバー体2が、斜辺部分に留め具Cを設けて開閉自在にした構成よりなるものである場合には、図5(b)に示すように、留め具Cを開け、横方向から脚FのポールPにカバー体2を被せることにより、カバー体2の取り付けが可能である。
【0051】
この場合も、上記同様、カバー体2の上端部Uが、保持部材3のレール32に当接するところで、カバー体2の疑似脚部分22を、レール32a及び32bに被せ、上部開口O1がレール32と嵌合するようにする。これにより、カバー体2の位置決めがなされる。
【0052】
以上のようなカバー体2の取り付け作業により、図6(b)に示すテーブルTが、図6(a)に示すようなデザインの大きな変更を成し遂げる。
【0053】
(3)効果
以上のような本実施形態のテーブル脚用カバー1によれば、柔らかい素材からなるカバー体2により、テーブルTの脚F全体を覆い隠すことで、脚Fの素材が露出する部分をなくし、使用者の脚や身体の衝突をより考慮した脚用カバーを提供することができる。また、カバー体2の保持部材3をテーブルTの天板Bの底面に設けることで、カバー体2自体に必要以上の細工を施す必要がない。そのため、カバー体2から、蝶番などの部材が露出することなく、デザイン的に優れたものとなるとともに、使用者の脚や身体の衝突に対する配慮もされ機能的にも優れている。
【0054】
また、カバー体2の上端部Uは幅広に、下端部Lの幅はこれよりも狭く構成することで、使用者がテーブルTの天板B下部に脚入れをする足下をすっきりさせつつ、テーブルTの天板Bと接する上端部Uにおいては、奥行き感や重厚感あるカバー体2を構成することができる。すなわち、このようなデザインの変化に富んだカバー体2を、テーブルTの脚Fに装着することで、足下をすっきりさせる機能的効果を発揮させるとともに、テーブルT全体のデザインを大きく変化させるデザイン的効果を発揮させることができる。
【0055】
本実施形態の保持部材3では、テーブルTの天板Bに取り付けた保持部材3を、カバー体2の上部開口O1に嵌合させるという簡単な構成で、カバー体2の保持し及び位置決めを行うことができる。また、テーブルTの脚Fは、使用者の脚が触れる箇所であり、この箇所に、何らかの部材を設けることは使用上不便を伴うが、これに対してテーブルTの天板の裏面はテーブルTの構成要素のうちで最も邪魔にならない箇所である。したがって、この位置に保持部材を設けることで機能上メリットが非常に高い。
【0056】
カバー体2のテーブルTの脚Fを覆う脚覆部分21は、内側に脚を含むため、全体としての厚みが出るのはやむを得ないが、その他の部分である疑似脚部分22を、脚覆部分21よりも薄く構成することで、全体として、薄型のカバー体2を形成することが可能である。
【0057】
また、脚覆部分21を、カバー体2の幅広方向の端に設け、この脚覆部分21から他の部分を形成する疑似脚部分22に向かって、カバー体2全体の厚みを一方向に向かって除々薄くなる構成とすることができる。そのため、すっきりしたデザイン構成となるとともに、例えば、カバー体2をテーブルTの角方向に向かって、厚みの薄い疑似脚部分22を向けて配置することで、使用者が天板B下部において脚を入れる側の厚みを薄くできるので、カバー体2が使用者の邪魔にならず機能上の効果が高い。
【0058】
カバー体2の薄い部分である疑似脚部分22に、カバー体2を開閉させる例えばファスナー等の留め具Cを設ける。これにより、脚F全体を覆い隠すカバー体2の構成であっても、カバー体2をテーブルTの脚Fに対して横方向から着脱が可能となり、着脱容易な構成となる。なお、ファスナーなどは、樹脂製の柔軟な素材により構成するか、疑似脚部分22の端部でファスナーの左右部分をカバーして内側に隠すことにより、使用者がテーブルTの脚Fに衝突することに対する配慮もできる。
【0059】
本実施形態のテーブル脚用カバー1を備えたテーブルTでは、脚Fから天板Bの隅方向へ疑似脚部分22が向くように配置することで、幅広のテーブル脚用カバー1の広い幅を構成する面の方向が、テーブルTの中心方向に向かって斜めに配置されることとなる。また、テーブル脚用カバー1の薄い部分は、天板Bの角方向に向かい、テーブルTの脚Fを覆った脚覆部分21は、内側に配置される。そのため、使用者が脚Fを挿入する領域は広く確保することができるとともに、テーブルTの脚Fに脚用カバーを装着するだけで、テーブルTの脚Fが奥行き感ある重厚なものとなり、テーブルTのデザインを大きく変化させることができるようになる。
【0060】
[2.他の実施形態]
本発明は上記実施形態において示した態様に限定されるものではなく、例えば、以下のような実施形態も包含するものである。
本実施形態では、テーブル脚用カバー1を用いるテーブルTを、脚Fが垂直方向に配置された例を示したが、本実施形態のテーブル脚用カバー10は、図7に示すように、脚Fが斜めに配されたテーブルT1においても、採用可能である。このカバー体11は、本実施形態のカバー体2とは異なり、斜辺側に脚覆部分12が配置され、垂直辺側に疑似脚部分13が配置されることとなるが、カバー体12の断面形状は、脚覆部分12が厚く、疑似脚部分13が薄い形状となるので、使用者が脚入れを行う側のカバー体12は全体として厚みが薄いものが配置されることとなる。
【0061】
そのため、本実施形態のテーブル脚用カバー1と同じように、デザイン上は大きな変化を与え、また機能面も変更ない。なお、保持部材の構成については、本実施形態における場合と同様である。
【0062】
本実施形態では、カバー体2に用いる素材として、フェルトを挙げた。フェルトは、ある程度の柔らかさと、ある程度の形状を維持する性質を持ちつつ、様々な色彩のものが作製可能であるので、本発明において、最適な構成要素となり得る。しかしながら、本発明において、カバー体2に用いる素材は、フェルトに限られず、例えば、合成樹脂等、ある程度の柔らかさと、ある程度の形状を維持する性質を有する素材であれば、あらゆる素材によって構成することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,10…テーブル脚用カバー
2,11…カバー体
21,12…脚覆部分
22,13…疑似脚部分
3…保持部材
31…台座
32,32a,32b…レール
33…貫通孔
34…ガイド
A…アタッチメント
B…天板
C…留め具
F…脚
L…下端部
L1…ライン
O1…上部開口
O2…下部開口
P…ポール
R1…角
S…シール部
T,T1…テーブル
U…上端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルの脚を個別に覆い隠す柔軟なカバー体と、
テーブルの天板の底面に固定され、前記カバー体を保持し且つ前記カバー体の上端部の位置決めをする保持部材と、を備えたことを特徴とするテーブル脚用カバー。
【請求項2】
前記カバー体は、上端部の幅が、下端部の幅より広く構成されたことを特徴とする請求項1記載のテーブル脚用カバー。
【請求項3】
前記下端部の幅は、テーブルの脚の径と、略同一に構成されることを特徴とする請求項2に記載のテーブル脚用カバー。
【請求項4】
前記カバー体の上端部は、開口しており、
前記保持部材は、前記上端部の前記開口に嵌合することで、前記カバー体を支持するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテーブル脚用カバー。
【請求項5】
前記カバー体は、
テーブルの脚に当接する脚覆部分と、それ以外の疑似脚部分と、からなり、
前記脚覆部分は、前記疑似脚部分よりも、テーブルの脚を包む中空部分を備える分、厚みがあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテーブル脚用カバー。
【請求項6】
前記脚覆部分は、前記カバー体の幅方向端部に形成されることを特徴とする請求項5記載のテーブル脚用カバー。
【請求項7】
前記カバー体は、前記疑似脚部分の長手方向全体に渡って、カバー体を開閉させる留め具を備えることを特徴とする請求項6記載のテーブル脚用カバー。
【請求項8】
天板と、前記天板の四隅に脚を備え、前記脚に個別に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のテーブル脚用カバーを備えたテーブルであって、
前記保持部材は、前記脚から前記天板の隅方向へ前記疑似脚部分が向くように、前記天板の底面に固定されたことを特徴とするテーブル脚用カバーを備えたテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−100746(P2012−100746A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249611(P2010−249611)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】